発変電所や開閉所等の電気所では、遮断器や断路器等の電気機器を操作するためのシーケンス回路に直流電源を供給する直流電源供給回路が設けられている。この直流電源供給回路は、直流電源装置が接続された直流母線から複数引き出され、さらに、直流電源供給回路から分岐して多数の直流負荷であるシーケンス回路に直流電源を供給する。
このような直流電源供給回路においては、直流電源供給回路の地絡故障を検出するための直流地絡継電器(64D)が設置されている。直流地絡継電器は、直流電源供給回路の直流母線の正極と負極を抵抗分圧した分圧回路に設けられ、分圧回路の分圧中点は抵抗を介して接地されている。
このような直流電源供給回路のいずれかで絶縁低下が発生し地絡故障が発生した場合は、直流地絡継電器が動作するので地絡故障が発生したことは検知できるが、地絡故障の箇所を特定することまではできない。そこで、地絡故障が発生したことが検知されると、地絡故障の箇所を探査することになる。地絡故障の箇所を探査する手法として、フリッカ法や低周波重畳法がある。
図10は、電気所のシーケンス回路に直流電源を供給する直流電源供給回路の直流回路の回路図である。電気所の直流回路は、直流電源装置11が接続された直流母線12から直流電源盤13の開閉器14を介して複数の直流電源供給回路15a〜15nにそれぞれ直流電源が供給されシーケンス回路16a〜16nに直流電源を供給する。図10中のCは直流電源供給回路15a〜15nの電線の対地静電容量を示している。
また、各々の直流電源供給回路15a〜15nは複数の分岐回路17を有する。図10では、直流電源供給回路15aは1個の分岐回路17を有し、直流電源供給回路15b、15nは2個の分岐回路17を有したものを示している。図示は省略するが分岐回路17にも分岐回路を有し、各々の分岐回路にはシーケンス回路が接続され電線の対地静電容量も有している。一方、直流回路の母線12の正極と負極との間には、正極と負極とを抵抗分圧し分圧中点を抵抗接地した分圧回路18が設置され、この分圧回路18は直流回路の地絡故障を検出する直流地絡継電器19の要素を構成し、直流地絡継電器19は分圧回路18の電圧のバランスが崩れたときに動作する。
このような電気所の直流回路に地絡が発生すると直流の地絡電流が流れる。例えば、直流電源供給回路15bのF点で地絡抵抗Rgの地絡故障が発生したとすると、図10の点線矢印で示すように、直流電源装置11の正極から直流電源盤13の開閉器14、地絡故障点F、分圧回路18の接地点(中性線)、直流電源装置11の負極に至る回路が形成され直流の地絡電流が流れる。これにより、分圧回路18の電圧のバランスが崩れ直流地絡継電器19が動作するので、直流電源供給回路15a〜15nのいずれかに地絡故障が発
生したことが分かる。さらに、地絡故障点Fを探査するには、各々の直流電源供給回路15a〜15nについて、直流の地絡電流が流れているか否かを調査し、地絡故障が発生している直流電源供給回路15a〜15nを特定し、地絡故障箇所を特定することになる。この場合、交流の故障電流の場合には交流電流クランプメータにより容易に検出できるが、直流の地絡電流を検出することが難しい。
そこで、直流地絡継電器19が動作し地絡故障が発生したことが検出されると、低周波重畳法あるいはフリッカ法により、交流電流クランプメータを用いて地絡故障点Fを探査できるようにしている。低周波重畳法は、各々の直流電源供給回路15a〜15nに低周波交流電流を強制的に流し、交流電流クランプメータにより、その流した交流電流の探査電流の有無や変化状態で地絡故障点Fを探査する方式であり、フリッカ法は、分圧回路18の接地点にフリッカ装置を接続し、フリッカ装置のフリッカ接点を間欠でオンオフさせ直流電源装置11から探査電流を発生させ、交流電流クランプメータにより、その流した探査電流を測定して地絡故障点Fを探査する方式である。
図11は直流電源供給回路の地絡故障点を低周波重畳法で探査する場合の説明図である。図10と同様に直流電源供給回路15bのF点で地絡抵抗Rgの地絡故障が発生したとすると、直流地絡継電器19が動作し、直流電源供給回路15a〜15nのいずれかに地絡故障が発生したことが分かる。低周波重畳法で地絡故障点Fを探査するにあたっては、分圧回路18の接地点(中性線)に低周波交流電源装置20を接続し、この低周波交流電源装置20から低周波の交流の探査電流を直流電源供給回路15a〜15nに供給する。そうすると、図11の点線矢印で示すように、低周波交流電源装置20から分圧回路18の接地抵抗、分圧回路18の正極側の分圧抵抗、直流電源盤13の開閉器14bp、地絡故障点F、低周波交流電源装置20の接地点に至る回路が形成され、地絡抵抗Rgに探査電流Ipgが流れる。
また、探査電流は交流電流であることから、低周波交流電源装置20から分圧回路18の接地抵抗、分圧回路18の正極側の分圧抵抗、直流電源盤13の開閉器14bp、直流電源供給回路15bの電線の対地静電容量Cbp、低周波交流電源装置20の接地点に至る回路が形成され、対地静電容量Cbpに探査電流Ipcが流れる。さらに、低周波交流電源装置20から分圧回路18の接地抵抗、分圧回路18の負極側の分圧抵抗、直流電源盤13の開閉器14bn、直流電源供給回路15bの電線の対地静電容量Cbn、低周波交流電源装置20の接地点に至る回路が形成され、対地静電容量Cbnに探査電流Incが流れる。
地絡故障点Fを探査するには、各々の直流電源供給回路15a〜15nについて、直流電源盤13に近い箇所(直流母線12の近傍)から直流電源供給回路15の下流の分岐回路17の分岐点に順次交流電流クランプメータ21を移動させ直流電源供給回路15の電線に挟んでクランプし探査電流を測定する。いま、地絡故障点Fが発生している直流電源供給回路15bには、交流の探査電流I1として、地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipg、対地静電容量Cbpに流れる探査電流Ipc、対地静電容量Cbnに流れる探査電流Incを合計した探査電流I1(=Ipg+Ipc+Inc)が流れるので、直流電源供給回路15bの直流母線12の近傍の電線に交流電流クランプメータ21をクランプした場合には、交流電流クランプメータ21はこの探査電流I1を測定することになる。
次に、直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点の手前の電線に交流電流クランプメータ21をクランプした場合には、地絡故障点Fを通りすぎた箇所であるので、その箇所には、交流の探査電流I2として、対地静電容量Cbpに流れる探査電流Ipc、対地静電容量Cbnに流れる探査電流Incを合計した探査電流I2(=Ipc+Inc)が流れる。
このように、探査電流I1は地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipgを含んでいるが、探査電流I2は地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipgを含んでいない。このことから、探査電流I1及び探査電流I2の電流ベクトルから地絡抵抗Rgを含む成分の有無を判定し、地絡故障点Fの箇所を特定できる。つまり、直流母線12の近傍の電線の下流に地絡故障点Fがあり、直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点の手前の電線の下流には地絡故障点Fがないことが分かるので、この間に地絡故障点Fがあると判定する。
図12は直流電源供給回路の地絡故障点をフリッカ法で探査する場合の説明図である。図10と同様に直流電源供給回路15bのF点で地絡抵抗Rgの地絡故障が発生したとすると、直流地絡継電器19が動作し、直流電源供給回路15a〜15nのいずれかに地絡故障が発生したことが分かる。フリッカ法で地絡故障点Fを探査するにあたっては、分圧回路18の接地点(中性線)にフリッカ装置22を接続し、フリッカ装置22のフリッカ接点を間欠でオンオフさせ直流電源装置11から矩形波脈流の探査電流を発生させ、矩形波脈流の探査電流を直流電源供給回路15a〜15nに供給する。
そうすると、フリッカ装置22のフリッカ接点がオンのときは分圧回路18の接地点(中性線)が接地された状態となるので、図12の点線矢印で示すように、直流電源供給回路11の正極から直流電源盤13の開閉器14bp、地絡故障点F、フリッカ装置22のフリッカ接点(接地点)、分圧回路の分圧抵抗、直流電源供給回路11の負極に至る回路が形成され、地絡抵抗Rgに探査電流Ipgが流れる。
また、図示は省略するが、探査電流は矩形波脈流の探査電流であることから、矩形波の立ち上がり部分や立ち下がり部分において、対地静電容量Cbpに探査電流Ipcが流れ、対地静電容量Cbnに探査電流Incが流れる。
地絡故障点Fを探査するには、前述したように、各々の直流電源供給回路15a〜15nについて、直流母線12の近傍から直流電源供給回路15の下流の分岐回路17の分岐点に順次交流電流クランプメータ21を移動させ直流電源供給回路15の電線にクランプして探査電流を測定する。
ここで、地絡故障点Fが発生している直流電源供給回路15bには、矩形波脈流の探査電流I1として、地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipg、対地静電容量Cbpに流れる探査電流Ipc、対地静電容量Cbnに流れる探査電流Incを合計した探査電流I1(=Ipg+Ipc+Inc)が流れるが、対地静電容量Cbpに流れる探査電流Ipc、対地静電容量Cbnに流れる探査電流Incは、矩形波脈流の立ち上がり部分や立ち下がり部分において流れる電流であり、対地静電容量Cbpに流れる探査電流Ipcと対地静電容量Cbnに流れる探査電流Incとは正負の極性が反対であることから足し算したときは相殺される。
従って、交流電流クランプメータ21で測定される探査電流I1は地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipgである。直流電源供給回路15bの直流母線12の近傍の電線に交流電流クランプメータ21をクランプした場合には、交流電流クランプメータ21はこの探査電流I1を測定することになる。なお、探査電流I1は地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipgであり、矩形波脈流の探査電流であるので、交流電流クランプメータ21は矩形波脈流の立ち上がり部分または立ち下がり部分の大きさで探査電流の有無を判定する。
次に、直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点の手前の電線に交流電流クランプメータ21をクランプした場合には、地絡故障点Fを通りすぎた箇所であるので、その箇所には、地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipgは存在しない。このことから、探査電流I1及び探査電流I2に地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipgの成分を判定することで
、地絡故障点Fの箇所を特定できる。つまり、探査電流I1には地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipgの成分が含まれるので、直流母線12の近傍の電線の下流に地絡故障点Fがあり、直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点の手前の電線の下流には地絡抵抗Rgに流れる探査電流Ipgの成分がないので、地絡故障点Fがないことが分かる。従って、この間に地絡故障点Fがあると判定する。
ここで、複数の負荷回路が並列に接続されている直流電回路の地絡検出用直流地絡継電器が地絡故障電流を検出したとき、フリッカー継電器にてリレー接点を開閉させることにより地絡故障電流を矩形波脈流に変換して出力し、その矩形波脈流を検出器で検出することで直流接地点を探索するにあたり、矩形波脈流の検出器の回路に交流波形電流の帰還部を接続し、矩形波脈流の検出精度を向上させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
本発明に至った経緯を説明する。従来においては、高感度直流電流クランプメータが存在しなかったため、前述したように、低周波重畳法あるいはフリッカ法を用いて、直流回路に低周波の交流の探査電流あるいは矩形波脈流の探査電流を流して交流電流クランプメータで探査電流を検出するようにしていた。従って、交流電流クランプメータでの検出精度に限界があった。すなわち、直流地絡継電器(64D)が継続して動作する程度の故障電流が流れない限りは、交流電流クランプメータでの測定ができなかった。つまり、交流電流クランプメータは感度の問題で、直流地絡継電器(64D)が継続して動作する程度の故障電流が流れない限りは探査電流を検出できなかった。
近年、10マイクロアンペアオーダーまで直読可能な高感度直流電流クランプメータが開発され市販されるようになり、地絡故障点に流れる微少な直流漏電流を直接測定することも不可能ではなくなった。
そこで、地絡故障点の探査のための適切な微少な探査電流を強制的に流すための本発明の強制接地装置を開発し、直流電流クランプメータとして市販のもの(マルチ計測器株式会社製、高感度DCクランプメーター、M−730、DC 0〜100mA、分解能0.01mA)を採用して本発明の地絡故障探査装置を開発した。これにより、直流地絡継電器が一旦動作するが継続して動作しない程度の地絡故障あるいは直流地絡継電器が動作しない程度の地絡故障であっても故障点を特定することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る強制接地装置を電気所の直流電源供給回路に適用した回路図である。図1では直流電源供給回路15bの正極の電線のF点で地絡抵抗Rgの地絡故障が発生し、強制接地装置23は、地絡故障が発生した直流電源供給回路15の健全極に接続された場合を示している。すなわち、地絡故障が発生した直流電源供給回路15の健全極への接続は直流母線12への接続点における作業用の正極及び負極の作業用端子25p、25nのうちの健全極(負極)の作業用端子25nに接続された場合を示している。また、直流電流クランプメータ24は前述の10マイクロアンペアオーダーまで直読可能なものであり、直流電流クランプメータ24を直流電源供給回路15aにクランプして直流電流クランプメータ24のゼロ点調整を行う状態を示している。図10と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
電気所の直流電源供給回路15における地絡故障が一旦発生すると、直流地絡継電器19の動作より検出される。直流地絡継電器19は故障極を検出し表示するため、直流電源供給回路15の正極あるいは負極のどちらに故障が発生したかは、直流地絡継電器19の故障極表示を確認することで把握する。
直流地絡継電器19が動作しない程度の地絡故障の発生把握及び故障極の特定は、直流電源供給回路15の電圧バランスを定期的に測定することにより確認する。直流電源供給回路15の正負極の電圧バランス測定は作業用端子25p、25nにおける正極及び負極の対地電圧の測定により行う。また、作業用端子25が各々の直流電源供給回路15a〜15nの正極及び負極に個別に設けられる場合には、個別の作業用端子25につき正極及び負極の電圧バランスを測定することにより、健全極を特定できる。以下の説明では、直流地絡継電器19の動作により、電気所の直流電源供給回路15a〜15nのいずれかに地絡故障が発生したことが検出された場合について説明する。直流電源供給回路15における地絡故障の発生把握及び故障極の特定は直流地絡継電器19の故障極表示を確認して行う。
直流地絡継電器19の動作により、電気所の直流電源供給回路15a〜15nのいずれかに地絡故障が発生したことが検出されると、強制接地装置23は、地絡故障を検出する直流地絡継電器19の分圧回路18の分圧中点を非接地とした状態で用いられる。これは、強制接地装置23は、直流電源装置11から直流の探査電流を直流電源供給回路15に供給するものであり、地絡故障点以外の接地点である分圧回路18の分圧中点に探査電流が流れるのを阻止するためである。分圧回路18の分圧中点を非接地とすることで探査電流の検出精度を高めることができる。
ここで、作業用端子25は各々の直流電源供給回路15a〜15nの正極及び負極に個別に設けられる場合、各々の直流電源供給回路15a〜15nの正極及び負極に共通に設けられる場合があるが、図1では共通に設けられた作業用端子25p、25nを示している。すなわち、各々の直流電源供給回路15a〜15nに対し、正極には共通の作業用端子25pが設けられ、負極には作業用端子25nが共通に設けられている場合を示している。
以下の説明では、作業用端子25は各々の直流電源供給回路15a〜15nの正極及び負極に共通に設けられている場合について説明する。すなわち、図1では、強制接地装置23を、地絡故障が発生した直流電源供給回路15の直流母線12への接続点における作業用の正極及び負極の作業用端子25のうち健全極の共通の作業用端子25nに接続した場合を示している。
強制接地装置23は、制限抵抗26及び強制接地スイッチ27を直列に接続して構成されている。制限抵抗26は、探査電流の大きさをシーケンス回路16が誤動作しない程度の大きさに制限する抵抗であり、強制接地スイッチ27はオンのときに直流電源装置11から直流の探査電流を直流電源供給回路15に供給するためのスイッチである。図1では強制接地スイッチ27はオフの状態であり、この状態では直流電源装置11から直流の探査電流を直流電源供給回路15に探査電流は供給されない。
そして、直流電源供給回路15の地絡故障点Fを探査するには、この強制接地スイッチ27がオフの状態で、各々の直流電源供給回路15a〜15nについて、直流母線12の近傍から直流電源供給回路15の下流の分岐回路17の分岐点に向けて順次直流電流クランプメータ24を移動させ、移動の度にゼロ点調整を行い探査電流を測定して地絡故障点を特定する。
直流電流クランプメータ24のゼロ点調整を行うのは、直流電流クランプメータ24は2次側に交流バイアスを流して直流の電流を検出するものであることから、ゼロ点オフセットを補正するために測定の度にゼロ点調整を必要とするからである。
図1に示すように、直流電源供給回路の1段目の直流電源供給回路15aから順次地絡故障点Fを探査していく。すなわち、直流電源供給回路の1段目の直流電源回路15aの電線に直流電流クランプメータをクランプしてゼロ点調整を行う。そして、直流電流クランプメータ24のゼロ点調整を行った後に、図2に示すように、強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオンにする。強制接地装置23の強制接地スイッチ27のオンにより、直流電源供給回路15aに地絡故障が発生している場合には、直流電源装置11から直流の探査電流を直流電源供給回路15aに供給できる状態となるが、直流電源供給回路15aには地絡故障が発生していないので、強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオンしても探査電流は流れない。従って、直流電流クランプメータ24は探査電流を検出しないので、直流電源供給回路15aには地絡故障が発生していないことが分かる。
次に、1段目の直流電源回路15aには地絡故障は発生していないので、図3に示すように、次段の2段目の直流電源回路15bの電線に直流電流クランプメータをクランプしてゼロ点調整を行う。そして、直流電流クランプメータ24のゼロ点調整を行った後に、図4に示すように、強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオンにする。
図4に示すように、2段目の直流電源回路15bには地絡故障が発生しているので、強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオンすると、直流電源装置11の正極から直流電源盤13の開閉器14bp、地絡故障点F、強制接地装置23の強制接地スイッチ27、強制接地装置23の制限抵抗26、健全極の作業用端子25n、直流電源装置11の負極に至る回路が形成され直流の探査電流が流れる。探査電流は直流であることから直流電源供給回路15bの電線の対地静電容量Cbpには流れない。
この状態で、直流電流クランプメータ24は、探査電流検出スイッチを操作にして、クランプした直流電源供給回路15bの電線に流れる直流の探査電流を検出する。前述したように、強制接地スイッチ27に直列接続された制限抵抗26は、探査電流の大きさをシーケンス回路16が誤動作しない程度の大きさに制限する抵抗である。もし、直流電源供給回路15に地絡故障がない場合には、その直流電源供給回路15のシーケンス回路16に探査電流が供給されることになり、シーケンス回路16内に電気所の電気機器を操作するリレーが接地して接続されている場合には、そのリレーを誤動作させる可能性があるから、それを避けるためである。
図4の状態では、直流電流クランプメータ24は探査電流を検出するので、直流電源供給回路15bの直流電源盤13より下流に地絡故障が発生していることが分かる。次に、直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点の手前の電線に交流電流クランプメータ21をクランプして直流電流クランプメータ24により探査電流を検出することになるが、前述したように、直流電流クランプメータ24は測定の度にゼロ点調整を必要とするから、強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオフにして直流電流クランプメータ24のゼロ点調整を行う。
図5は、図4の状態で直流電流クランプメータを直流電源供給回路の分岐点の手前の電線に移動させゼロ点調整を行っている状態を示す回路図である。図5に示すように、直流電流クランプメータ24を次の測定箇所である直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点の手前の電線に移動させ、強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオフにする。この状態で、直流電流クランプメータ24のゼロ点調整を行う。
そして、図5の状態で、直流電流クランプメータ24のゼロ点調整を行った後に、強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオンにして、直流電源装置11から直流の探査電流を直流電源供給回路15bに供給する。
図6は、図5の状態で直流電流クランプメータのゼロ点調整を行った後に強制接地装置の強制接地スイッチをオンして探査電流を供給している状態を示す回路図である。図6に示すように、強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオンすると、図4の場合と同じように、直流電源装置11の正極から直流電源盤13の開閉器14bp、地絡故障点F、強制接地装置23の強制接地スイッチ27、強制接地装置23の制限抵抗26、健全極の作業用端子25n、直流電源装置11の負極に至る回路が形成され直流の探査電流が流れる。探査電流は直流であることから直流電源供給回路15bの電線の対地静電容量Cbpには流れない。
この状態で、直流電流クランプメータ24は、探査電流検出スイッチを操作にして、クランプした直流電源供給回路15bの電線に流れる直流の探査電流を検出する。直流電流クランプメータ24をクランプした箇所は、直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点の手前であり地絡故障点Fを通りすぎた箇所であるので、図6の状態では、直流電流クランプメータ24は探査電流を検出しない。このことから、直流母線12の近傍の電線の下流に地絡故障点Fがあり、直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点の手前の電線の下流には地絡故障点Fがないことが分かる。従って、この間に地絡故障点Fがあると判定できる。
第1実施形態によれば、シーケンス回路が誤動作しない程度の大きさに制限した地絡故障点の探査のための直流の探査電流を強制的に流すための強制接地装置を設け、直流電流クランプメータを用いてゼロ点調整を行いながら探査電流を検出していくので、安全にしかも高感度に地絡故障点を特定することができる。
図7は、本発明の第2実施形態に係る強制接地装置の構成図である。図7(a)は本発明の第2実施形態の実施例1に係る強制接地装置の構成図である。この第2実施形態の実施例1は図3に示した第1実施形態に対し、強制接地装置23の強制接地スイッチ27に直列に電流計28を接続したものである。この電流計28は、強制接地スイッチ27に流れる電流を測定し表示する。電流計28は強制接地スイッチ27に流れる電流を表示するので、電流計28には、複数の直流電源供給回路15に流れる探査電流の合計値が表示される。
実施例1によれば、第1実施形態の効果に加え、直流電流クランプメータ24に表示される探査電流の値と比較することにより、直流電流クランプメータ24で探査中の直流電源供給回路15以外で地絡故障が発生しているか否かを判定することができる。すなわち、直流電流クランプメータ24に表示される探査電流の値は当該直流電源供給回路15に流れる探査電流を測定することになるが、電流計28には複数の直流電源供給回路15に流れる探査電流の合計値が表示されるからである。
図7(b)は本発明の第2実施形態の実施例2に係る強制接地装置の構成図である。この第2実施形態の実施例2は、図7(a)に示した実施例1に対し、強制接地スイッチ27を一定周期でオンオフするオンオフ制御部29を設けたものである。オンオフ制御部29は、タイマーを内蔵し一定時間を計測するタイマーの動作によりオンオフ制御する。
実施例2よれば、実施例1の効果に加え、オンオフ制御部29により強制接地スイッチ27を自動的に一定周期でオンオフするので、作業員は、強制接地スイッチ27のオンオフを確認し、強制接地スイッチ27がオフのときに直流電流クランプメータ24のゼロ点調整できる。また、強制接地スイッチ27がオンのときに直流電流クランプメータ24で地絡故障点を探査できる。従って、作業員による強制接地スイッチ27のオンオフ作業が不要となり作業量が軽減される。すなわち、強制接地装置23での探査用電流の発生作業と直流電流クランプメータ24での測定とを一人の作業者で実施できる。
図7(c)は本発明の第2実施形態の実施例3に係る強制接地装置の構成図である。この第2実施形態の実施例3は、図7(b)に示した実施例2に対し、強制接地スイッチ27がオンであることを報知する報知部30を設けたものである。報知部30は、強制接地スイッチ27がオンであるときに音を発生するブザー、あるいは強制接地スイッチ27がオンであるときに点灯する表示灯などである。実施例3によれば、実施例2の効果に加え、報知部30により強制接地スイッチ27がオンであることが報知されるので、作業員は強制接地スイッチのオンオフ状態を容易に把握でき作業性が向上する。
図7(d)は本発明の第2実施形態の実施例4に係る強制接地装置の構成図である。この第2実施形態の実施例4は、図3に示した第1実施形態に対し、強制接地スイッチ27を一定周期でオンオフするオンオフ制御部29を設けたものである。オンオフ制御部29は実施例2のものと同じである。実施例4によれば、図3に示した第1実施形態の効果に加え、作業員は、強制接地スイッチ27がオフのときに直流電流クランプメータ24のゼロ点調整でき、強制接地スイッチ27がオンのときに直流電流クランプメータ24で地絡故障点を探査でき、作業員による強制接地スイッチ27のオンオフ作業が不要となり作業量が軽減される。また、強制接地装置23での探査用電流の発生作業と直流電流クランプメータ24での測定とを一人の作業者で実施できる。
図7(e)は本発明の第2実施形態の実施例4に係る強制接地装置の構成図である。この第2実施形態の実施例5は、図7(d)に示した実施例4に対し、強制接地スイッチ27がオンであることを報知する報知部30を設けたものである。報知部30は実施例3のものと同じである。実施例5によれば、実施例4の効果に加え、報知部30により強制接地スイッチ27がオンであることが報知されるので、作業員は強制接地スイッチのオンオフ状態を容易に把握でき作業性が向上する。
以上説明した第1実施形態及び第2実施形態の強制接地装置23と直流電流クランプメータ24とを組み合わせて地絡故障探査装置を構成する。これにより、第1実施形態及び第2実施形態の効果を有した地絡故障探査装置を提供できる。
以上の説明では、直流電流クランプメータ24は直流電源供給回路15の正極及び負極の電線を一括してクランプする場合について説明したが、負荷電流が小さくゼロ点調整範囲内であれば正極または負極の電線単位で故障極側にクランプするようにしてもよい。この場合においても、電線1本単位で直流電流クランプメータ24をゼロ点調整する。これにより、正極または負極の電線の長さが異なり対地静電容量が異なる場合であっても対地静電容量の影響をキャンセルできる。
なお、以上の説明では、強制接地装置23を、地絡故障が発生した直流電源供給回路15の直流母線12への接続点における作業用の正極及び負極の作業用端子のうち健全極の作業用端子25nに接続するようにしたが、健全極の作業用端子に代えて、直流母線12の正極と負極との間の分圧回路18の分圧中点に接続することも可能である。この場合は、分圧回路18の分圧中点を抵抗接地しているので、制限抵抗26は不要となるが、地絡故障が正極及び負極の双方にある場合は、探査電流が正極及び負極の双方に流れるので検出感度が下がる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る地絡故障探査方法を説明する。図8及び図9は本発明の第3の実施形態に係る地絡故障探査方法を示すフローチャートである。本発明の第3の実施形態に係る地絡故障探査方法は、第1実施形態または第2実施形態の強制接地装置23と直流電流クランプメータ24とを用いて実現する。また、図3に示した電気所の直流電源供給回路15bの地絡故障点Fで地絡故障が発生した場合を例に取り説明する。
まず、直流電源供給回路に地絡故障が発生したか否かを判定する(S1)。直流電源供給回路に地絡故障が発生したか否かは、直流地絡継電器19の動作により判定する。直流地絡継電器19が動作しない程度の地絡故障においては電圧バランスを定期的に測定しその傾向から判定する。次に、地絡故障が発生した直流電源供給回路の故障極及び健全極を判定する(S2)。直流電源供給回路15の健全極は、直流地絡継電器19の故障極表示により判定する。直流地絡継電器19が動作しない程度の地絡故障においては電圧バランスの測定値により判定する。
直流電源供給回路に地絡故障が発生したと判定されたときは、直流電源供給回路の母線の正極と負極との間の分圧回路の分圧中点を非接地とする(S3)。分圧回路の分圧中点を非接地とするのは、地絡故障点F以外の接地点である分圧回路18の分圧中点に探査電流が流れるのを阻止し、探査電流の検出精度を高めるためである。
直流電源供給回路15の正極電圧と負極電圧との電圧バランスの測定、あるいは直流電源供給回路15の電路の絶縁抵抗の測定により、直流電源供給回路に地絡故障が発生したと判定されたときは、地絡故障が発生した直流電源供給回路の故障極及び健全極は特定できる。一方、直流地絡継電器19の動作により、直流電源供給回路に地絡故障が発生したと判定されたときは、地絡故障が発生した直流電源供給回路15の故障極及び健全極は特定できないので、直流母線12への接続点における作業用の正極及び負極の作業用端子25p、25nの電圧バランスの測定にて地絡故障が発生した直流電源供給回路15の健全極を特定する。
そして、地絡故障が発生した直流電源供給回路の健全極に強制接地装置を接続する(S4)。すなわち、直流母線12への接続点における作業用の正極及び負極の作業用端子25p、25nのうち健全極の作業用端子25に強制接地装置23を接続し、直流電源装置11から直流の探査電流を直流電源供給回路15に供給できる状態とする。この状態では、強制接地装置23の強制接地スイッチ27はオフである。
次に、直流電流クランプメータを直流母線の近傍の直流電源供給回路の電線にクランプして直流電流クランプメータをゼロ点調整する(S5)。直流電流クランプメータ24のゼロ点調整は、強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオフにして探査電流を発生させない状態で行う。
直流電流クランプメータ24のゼロ点調整の後に、強制接地装置の強制接地スイッチをオンにし探査電流を発生させるとともに直流電流クランプメータによる探査電流の検出を可能にする(S6)。強制接地装置23の強制接地スイッチ27をオンすることにより、直流電源装置11から直流の探査電流が地絡故障が発生している直流電源供給回路15bに供給され、直流電源装置11の正極から直流電源盤13の開閉器14bp、地絡故障点F、強制接地装置23の強制接地スイッチ27、強制接地装置23の制限抵抗26、健全極の作業用端子25n、直流電源装置11の負極に至る回路が形成され直流の探査電流が流れる。なお、故障が発生していない直流電源供給回路15には探査電流は流れない。作業員は、直流電流クランプメータ24が探査電流を検出できるように直流電流クランプメータ24の探査電流検出スイッチを操作する。
そして、直流電流クランプメータが探査電流を検出したか否かを判定する(S7)。直流電流クランプメータ24は、故障が発生していない直流供給回路15にクランプされているときは探査電流は検出しない。例えば、図2に示すように、故障が発生していない直流供給回路15aにクランプされているときは探査電流は検出しない。直流電流クランプメータ24が探査電流を検出しないときは、強制接地スイッチをオフにし直流電流クランプメータを別の直流電源回路の直流母線の近傍に移動させる(S8)。そして、ステップS5に戻る。通常、直流電源回路15aから順次直流電源回路15nまで探査していくことになるので、別の直流電源回路は次段の直流電源回路である。
従って、直流電源回路15aの次段の直流回路15bにつき、ステップS5以下の処理
を行うことになる。直流電源供給回路15bは地絡故障点を含む回路であるので、ステップS7において直流電流クランプメータ24は探査電流を検出することになる。
直流電流クランプメータ24が探査電流を検出したときは、探査電流が流れる直流電流クランプメータの下流側に地絡故障が発生している判定する(S9)。そして、図9に示すように、強制接地スイッチをオフにし直流電流クランプメータを前回の測定点より下流側の直流電源供給回路の分岐点に移動させる(S10)。この状態で、直流電流クランプメータを直流電源供給回路の電線にクランプし直流電流クランプメータのゼロ点調整する(S11)。これにより、探査電流を発生させない状態で直流電流クランプメータ24を移動させた箇所で直流電流クランプメータ24のゼロ点調整を行う。
直流電流クランプメータ24のゼロ点調整の後に、強制接地装置の強制接地スイッチをオンにし探査電流を発生させるとともに直流電流クランプメータによる探査電流の検出を可能にする(S12)。
そして、直流電流クランプメータが探査電流を検出したか否かを判定する(S13)。ステップS13の判定で、直流電流クランプメータが探査電流を検出したときは、探査電流が流れる直流電流クランプメータの下流側に地絡故障が発生している判定し(S14)、ステップS10に戻り、ステップS10以下の処理を行うことになる。
ステップS13の判定で、直流電流クランプメータが探査電流を検出しないときは、探査電流が流れる直流電源回路の下流側と探査電流が流れなくなった直流電源回路の上流側との間に地絡故障が発生していると判定する(S15)。
例えば、地絡故障点を含む直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点の位置では、地絡故障点Fは直流電源回路15bの上流側であるので、直流電流クランプメータ24は探査電流を検出しない。従って、直流母線12の近傍と直流電源供給回路15bの分岐回路17bの分岐点との間に地絡故障Fが発生していると判定する。
本発明の第3実施形態によれば、直流電源供給回路15bに地絡故障が発生したとき地絡故障が発生した直流電源供給回路15bに強制接地装置23を接続し、直流電流クランプメータ24のゼロ点調整を行って直流電流クランプメータ24により地絡故障の探査を行い、探査電流が流れなくなる分岐点の箇所まで繰り返し探査電流の有無を判定し、探査電流が流れる直流電源供給回路の下流側と探査電流が流れなくなくなった直流電源供給回路の上流側との間に地絡故障が発生していると判定するので、直流電源供給回路15bの地絡故障を安全に精度よく効率的に探査できる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。