JP6969208B2 - イヤホンにおける通気路形成構造及びイヤホン - Google Patents
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Description
例えば、耳栓型(カナル型とも称する)のイヤホンでは、使用状態においてイヤーピースが外耳道の内面に密着し、振動板に対する前方空間と外耳道内空間との密閉度が高くなる。そのため、イヤホンを耳に対し装脱する際、前方空間内の圧力増減が生じ、振動板に負荷が加わる虞がある。
また、耳栓型に限らず、振動板に対する前方空間又は後方空間と外部空間とを通気可能にする通気路を設けて再生音響特性を調整する技術も知られている。
これらの通気路を孔として有するイヤホンが特許文献1に記載されている。
ハウジングを射出成形するための金型において、孔を形成するピンは、量産成形において折れや破損などを生じにくくする強度をもたせるため、所定径以上とされる。所定径は、一般に概ね直径0.8mmである。すなわち、ハウジングに形成する孔は、概ね直径0.8mm以上であることが望まれる。
イヤホンは、元来ハウジング容積が小さいため、低音域の音圧が向上した好ましい再生音を得るためには、通気路としての孔をできるだけ小径にする必要がある。
しかしながら、既述のように、例えば約直径0.8mmより小さい孔は、孔を小径にするほど、量産成形でピン折れが発生し生産性が低下する可能性が高くなる。
そのため、生産性を低下させることなく通気路断面積を小さくできる工夫が望まれていた。
1) イヤホンのハウジングに形成され、前記ハウジングに対する一方側の空間と他方側の空間とを連通する第1の貫通孔と、
前記ハウジングから突出形成された、前記第1の貫通孔を取り囲むガイドと、
前記第1の貫通孔よりも小さい第2の貫通孔を有し、前記第2の貫通孔が前記第1の貫通孔に連通して前記第1の貫通孔を覆うように前記ガイドの内側領域に取り付けられた通気路形成プレートと、
を備え、
前記第1の貫通孔の内部空間である第1の孔空間と、前記第2の貫通孔の内部空間である第2の孔空間と、により、前記一方側の空間と前記他方側の空間とを連通する通気路が構成されており、
前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔と前記ガイドと前記通気形成プレートは円形であり、
前記第2の貫通孔は前記プレートの中心にある
ことを特徴とするイヤホンにおける通気路形成構造である。
2) 振動板を有するスピーカユニットと、
前記スピーカユニットを内部に収容すると共に、前記振動板の一方側となる第1の空間と、他方側となる第2の空間と、を形成するハウジングと、
前記ハウジングに形成され、外部空間と、前記ハウジングの第1の空間又は第2の空間と、を連通する第1の貫通孔と、
前記ハウジングから突出形成された、前記第1の貫通孔を取り囲むガイドと、
前記第1の貫通孔よりも小さい第2の貫通孔を有し、前記第2の貫通孔が前記第1の貫通孔に連通して前記第1の貫通孔を覆うように前記ガイドの内側領域に取り付けられた通気路形成プレートと、
を備え、
前記第1の貫通孔の内部空間である第1の孔空間と、前記第2の貫通孔の内部空間である第2の孔空間と、により、前記外部空間と前記第1の空間又は前記第2の空間とを連通する通気路が構成されており、
前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔と前記ガイドと前記通気形成プレートは円形であり、
前記第2の貫通孔は前記プレートの中心にある
ことを特徴とするイヤホンである。
図1は、通気路形成構造K1を有するイヤホン51を説明するための模式的断面図である。説明の便宜のため、左右前後の方向を図1に示される矢印の方向に規定する。イヤホン51は、耳栓型のイヤホンである。
少なくとも、前ハウジング1は、樹脂の射出成形により形成されている。樹脂例は、PC(ポリカーボネート)である。
スピーカユニット4は、振動板4aを有し前後に薄い扁平円柱状とされており、例えば、図1に示されるように、前ハウジング1と後ハウジング2との間に挟持固定されている。
スピーカユニット4は、音を出力する放音面4bが前側となる姿勢で取り付けられており、スピーカユニット4によって、ハウジング3の内部空間は前後に非通気で分離されている。
音筒部1cは、中心軸線CL1上に貫通する放音孔1c1を有し、外周面には着脱自在にイヤーピース5が取り付けられる。イヤーピース5は、シリコーンゴムなどの柔軟性を有する材料で形成されている。
また、空間V2の前方には、イヤーピースの内部空間である空間V3が接続している。この空間V1〜V3が、振動板4aに対する前方空間Vfとなる。
図3は、図2に対応する図であって、通気路形成プレート6が取り付けられていない前ハウジング1の態様を示している。
図4は、通気路形成プレート6を説明するための図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図5は、前壁部1bへの通気路形成プレート6の取り付けを説明するための、斜め後方から見た斜視的組立図である。
尚、図2及び図3は、前壁部1bが傾斜面であることから、後面図は厳密には斜視描画になるが、描画の単純化と理解容易のため平面視描画として記載してある。以下、図6及び図8も同様である。
貫通孔1b1は、前壁部1bに対する一方側の空間と他方側の空間とを連通する孔である。
貫通孔1b1は、前壁部1bにおいて、型開き方向DRaに延び前ハウジング1の内外を連通する孔として形成されている。
すなわち、貫通孔1b1は、射出成形において、コア及びキャビティの組なる金型における、例えばコアに立てたピンにより形成する。
貫通孔1b1は、コアに立てたピンが、量産成形に十分耐えうる強度を有するように形状設定されている。例えば直径0.8mmの円孔である。
溝部1b2の、径方向の断面形状(横断面形状)は限定されない。例えば、矩形状、半円状、三角状、或いはこれらの組み合わせとされる。
溝部1b2は、その横断面積Smが、円弧状の延在方向に沿って一定となるでも一定にならないものでもよい。
一定となる場合はその横断面積Smが、一定とならない場合は、最小の横断面積が、後述のように通気路断面積S(図5参照)となる。
ここでは、溝部1b2は、横断面積Smが一定となる形状で形成されている例を説明する。
通気路形成プレート6は、通気性を有していなければ材質は限定されない。例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂とされる。
幅W6及び周方向長さL6は、前壁部1bに形成された貫通孔1b1を完全に覆う形状及びサイズとなるよう設定される。
通気路形成プレート6は、貫通孔1b1と、貫通孔1b1に接続した溝部1b2の全体又は少なくとも一部と、を覆うことができるようになっている。
外ガイドリブ1b4は、内側面1b4aが中心軸線CL1を中心とする半径R3bの曲面として形成されている。
ここで、半径R3aは、通気路形成プレート6の半径R6aより僅かに小さい値とされ、半径R3bは、通気路形成プレート6の半径R6bより僅かに大きい値とされている。
従って、図2に示されるように、内ガイドリブ1b3と外ガイドリブ1b4との間に、通気路形成プレート6を、径方向に位置決めされた状態で収めることができる。
通気路形成プレート6は、作業者や作業ロボットによって、貫通孔1b1の開口部1b1a(図3)と、貫通孔1b1に接続した溝部1b2の少なくとも一部と、を覆うように後面1b7に取り付けられる。
これにより、貫通孔1b1及び溝部1b2のうち、溝部1b2における貫通孔1b1から遠い側の端部部位のみが、通気路形成プレート6には覆われずに溝部1b2の開口部1b2aとして露出するようになっている(図2参照)。
位置規制部1b5及び位置規制部1b6により、通気路形成プレート6の周方向の取り付け位置が案内される。すなわち、作業者は、通気路形成プレート6を位置規制部1b5,1b6に当てて取り付けるだけで、細かな位置決めを気にすることなく所定の周方向位置に取り付けることができ、取り付けが容易である。
位置規制部1b5及び位置規制部1b6は、通気路形成プレート6の取り付け位置を、作業者に対して少なくとも視認可能に案内する視認可能なガイドとなる。
より具体的には、通気路TRは、貫通孔1b1の内部空間である孔空間と、溝部1b2及び通気路形成プレート6に囲まれた空間である溝空間と、によって形成されている。溝空間は、一端側が孔空間に接続し他端側が開口部1b2aとして開口する空間である。
例えば、貫通孔1b1を直径0.8mmの孔とした場合、孔断面積Shは約0.50mm2 である。
ここで、溝部1b2を、幅を0.7mm、深さを0.1mmとして形成すれば、通気路断面積Sは0.07mm2 となって孔断面積Shより小さくなる。
従って、通気路TRは、単に貫通孔1b1で通気路を構成した場合と比べて大幅に小さい通気路断面積に設定することができる。
そのため、溝部1b2の幅及び深さを小さくしても、量産成形において破損する或いは折れるという不具合が生じる可能性が低い。特に、溝部1b2の深さを小さく幅を広くすることで、対応するコア側は、背が低く幅が大きい凸条部となるので、金型の耐久性はより向上する。
そして、溝部1b2の横断面積Smの設定により、通気路TRの通気路断面積Sを、貫通孔1b1の孔断面積Shより小さい断面積として容易に得ることができる。
従って、イヤホン51は、貫通孔1b1を成形するためのピンの強度を向上して生産性を低下させることなく、低音域の音圧が高く良好な再生音響特性が得られる。また、イヤホン51を耳に対し装脱する際の前方空間Vfの圧力増減をなくし、振動板4aへ負荷が低減する。
作業者は、通気路形成プレート6の端部位置を、位置規制部1b5,1b6にのみならず、各ガイド線Lg1〜Lg3に合わせて取り付けることで、長さ違いの通気路TRを容易に、それぞれ高精度に得ることができる。
一般に、ハウジングの内外を連通する通気路(ダクト)の長さ(ダクト長)は、通気路断面積Sと同様に、再生音響特性に影響を与えるので、通気路形成プレート6の取り付け位置を変えて通気路TRの長さを変え、音質調整を行うことができる。
位置規制部1b5,1b6やガイド線Lgを設けることで、作業のばらつきを抑制し、通気路TRの長さを一定値に精度よく合わせることができる。
そのため、溝部1b2の横断面積Smを、通気路断面積Sとして貫通孔1b1の孔断面積Shよりも小さくすることができる。
これにより、前ハウジング1の前方空間Vfと外部空間Vgとを連通する通気路TRを、生産性を低下させることなくより小さな通気路断面積Sで形成することができる。
次に、実施例2の通気路形成構造K2について、図7〜図9を参照して説明する。
通気路形成構造K2は、実施例1の通気路形成構造K1における前ハウジング1及び通気路形成プレート6それぞれに対応した、形状違いの前ハウジング21及び通気路形成プレート26を含んで構成されている。
イヤホン52は、イヤホン51に対し、通気路形成構造K1を通気路形成構K2にしたものであって他はイヤホン51と同じである。
図8は、A部及びその近傍を後方から見た図である。
図9は、通気路形成プレート26を説明するための二面図であり、(b)は平面図、(a)は、(b)におけるS1−S1位置での断面図である。
前ハウジング21の前壁部21bにおける後面21b7には、貫通孔1b1を取り囲む円環状のガイドリブ21b3が、後方に突出形成されている。
ガイドリブ21b3の内側円形領域には、円板状の通気路形成プレート26が接着剤又は両面テープにより取り付けられている。
貫通孔26aの孔断面積Sm2は、貫通孔21b1の孔断面積Sh2よりも小さい。すなわち、貫通孔26aの直径φcは、貫通孔21b1の直径φbよりも小さい。例えば、直径φb=0.8mm、直径φc=0.3mmである。
すなわち、図7に示されるように、前ハウジング21の内外を連通する通気路TR2が、貫通孔21b1と貫通孔26aとで構成され、その最小の通気路断面積S2は、貫通孔26aの孔断面積Sm2となる。
貫通孔26aの直径φcが0.3mmの場合、孔断面積Sm2は、0.07mm2 となる。
詳しくは、射出成形で形成する前ハウジング21に設ける貫通孔21b1を、その直径φbを金型のピンに不具合が生じることなく生産性が維持される大きさで形成しておく。そして、貫通孔21b1よりも小さい開口面積の貫通孔26aを有する通気路形成プレート26を、前ハウジング21における前壁部21bの後面21b7に、貫通孔21b1が貫通孔26aでのみ開口するよう取り付けて、通気路TR2の通気路断面積を貫通孔21b1の断面積よりも小さくすることができる。
また、複数の通気路形成プレート26を重ねて取り付けることでも、実質的に通気路TR2の長さを変えることができる。
図10は、通気路形成構造K1の有無による再生音響特性の違いを説明するためのグラフである。
図10において、破線の特性は、前ハウジング1に、直径0.8mmの貫通孔1b1のみによる通気路断面積Sが0.50mm2 の通気路を設けた場合の特性を示している。また、実線の特性は、前ハウジング1に、通気路断面積Sが0.07mm2 の通気路形成構造K1を設けた場合の特性を示している。
図10から明らかなように、通気路形成構造K1を設けることで、概ね500Hz以下の低音域で音圧上昇が認められ、イヤホンであるにもかかわらず低音の量感に優れた再生音響特性が得られていることがわかる。
また、通気路形成構造K1における溝部1b2の延在形状及び延在方向も、円弧状及び周方向に限定されず、例えば、直状及び径方向であってもよい。
この場合は、位置規制部1b5,1b6を位置決め基準として、周方向長さL6の異なる通気路形成プレート6を取り付けることで、長さの異なる通気路TRを形成することができる。
1a 胴部、 1b,21b 前壁部、 1b1,21b1 貫通孔
1b2 溝部、 1b2a 開口部、 1b3 内ガイドリブ
1b3a 外側面、 1b4 外ガイドリブ、 1b4a 内側面
1b5,1b6 位置規制部、 1b7,21b7 後面
1c 音筒部、 1c1 放音孔
2 後ハウジング
3 ハウジング
4 スピーカユニット、 4a 振動板、 4b 放音面
5 イヤーピース
6,26 通気路形成プレート
21b3 ガイドリブ
26a 貫通孔
51,52 イヤホン
CL1 中心軸線、 CL6 仮想中心
DRa 型開き方向
K1,K2 通気路形成構造
Lg,Lg1〜Lg3 ガイド線、 LNR 半径線
R3a,R3b,R6a,R6b 半径
S,S2 通気路断面積
Sh,Sh2,Sm2 孔断面積、 Sm 横断面積
t6 厚さ
TR,TR2 通気路
Vb 後方空間、 Vf 前方空間、 Vg 外部空間
V1〜V3 空間
φb,φc 直径
Claims (6)
- イヤホンのハウジングに形成され、前記ハウジングに対する一方側の空間と他方側の空間とを連通する第1の貫通孔と、
前記ハウジングから突出形成された、前記第1の貫通孔を取り囲むガイドと、
前記第1の貫通孔よりも小さい第2の貫通孔を有し、前記第2の貫通孔が前記第1の貫通孔に連通して前記第1の貫通孔を覆うように前記ガイドの内側領域に取り付けられた通気路形成プレートと、
を備え、
前記第1の貫通孔の内部空間である第1の孔空間と、前記第2の貫通孔の内部空間である第2の孔空間と、により、前記一方側の空間と前記他方側の空間とを連通する通気路が構成されており、
前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔と前記ガイドと前記通気形成プレートは円形であり、
前記第2の貫通孔は前記プレートの中心にある
ことを特徴とする、イヤホンにおける通気路形成構造。 - 前記通気路は、前記第2の孔空間の横断面積が、前記第1の孔空間の横断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の、イヤホンにおける通気路形成構造。
- 前記ガイドを、少なくとも視認可能に有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の、イヤホンにおける通気路形成構造。
- 振動板を有するスピーカユニットと、
前記スピーカユニットを内部に収容すると共に、前記振動板の一方側となる第1の空間と、他方側となる第2の空間と、を形成するハウジングと、
前記ハウジングに形成され、外部空間と、前記ハウジングの第1の空間又は第2の空間と、を連通する第1の貫通孔と、
前記ハウジングから突出形成された、前記第1の貫通孔を取り囲むガイドと、
前記第1の貫通孔よりも小さい第2の貫通孔を有し、前記第2の貫通孔が前記第1の貫通孔に連通して前記第1の貫通孔を覆うように前記ガイドの内側領域に取り付けられた通気路形成プレートと、
を備え、
前記第1の貫通孔の内部空間である第1の孔空間と、前記第2の貫通孔の内部空間である第2の孔空間と、により、前記外部空間と前記第1の空間又は前記第2の空間とを連通する通気路が構成されており、
前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔と前記ガイドと前記通気形成プレートは円形であり、
前記第2の貫通孔は前記プレートの中心にある
ことを特徴とするイヤホン。 - 前記通気路は、前記第2の孔空間の横断面積が、前記第1の孔空間の横断面積よりも小さいことを特徴とする請求項4記載のイヤホン。
- 前記ガイドを、少なくとも視認可能に有することを特徴とする請求項4又は請求項5記載のイヤホン。
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