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JP6969269B2 - 車両用動力伝達シャフト - Google Patents
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JP6969269B2 - 車両用動力伝達シャフト - Google Patents

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本発明は、捩れにより剛性が変化する車両用動力伝達シャフトに関する。
車両駆動用の動力源から駆動輪に至る動力伝達経路において、その動力源から出力された動力を駆動輪へ伝達するために設けられる回転軸としての車両用動力伝達シャフトが知られている。例えば、特許文献1に記載された車両用動力伝達シャフトがそれである。特許文献1に記載された車両用動力伝達シャフトは、トルクを伝達する第1シャフトと、第1シャフトの回転中心線と同じ回転中心線で回転する第2シャフトと、を備え、第1シャフトが伝達するトルクの増大によって所定の捩れ角度になると、第1シャフトに設けられた突起と第2シャフトに設けられた突起とが周方向で当接することで、トルクを伝達する車両用動力伝達シャフトの剛性が変化する。
特開2010−121738号公報
特許文献1に記載の車両用動力伝達シャフトでは、第1シャフトが所定の捩れ角度になると、車両用動力伝達シャフトの剛性が低剛性から高剛性へと変化するため、剛性が切り替わる領域付近で伝達するトルクが変化すると、剛性が急激に変化するため挙動が不安定となるおそれがある。
本発明はそのような課題を解決するためになされたものであり、剛性が急激に変化することなく、伝達するトルクの増大に伴って剛性を増大させられる車両用動力伝達シャフトを提供することにある。
本発明の要旨とするところは、回転中心線を中心とする回転力を伝達する第1シャフトと、前記回転中心線方向への移動が規制されるとともに、前記第1シャフトとの間に前記回転中心線まわりの所定角度の隙間で相対回転が許容されてスプライン嵌合された嵌合部を含む第2シャフトと、を備え、差動歯車装置と駆動輪との間に等速ジョイントをそれぞれ介して連結される車両用動力伝達シャフトであって、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方は、中空部を有し、前記嵌合部は、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方の前記中空部の内周面と、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方の外周面と、が前記スプライン嵌合されており、前記第1シャフトの捩れの増加に伴って、前記隙間が無くなる嵌合領域が前記回転中心線方向に増大することにある。
本発明の、差動歯車装置と駆動輪との間に等速ジョイントをそれぞれ介して連結される車両用動力伝達シャフトによれば、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方は、中空部を有し、前記嵌合部は、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方の前記中空部の内周面と、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方の外周面と、が前記スプライン嵌合されており、前記第1シャフトの捩れの増加に伴って、前記隙間が無くなる嵌合領域が前記回転中心線方向に増大する。したがって、伝達するトルクの増大に応じて嵌合領域が増大するため、剛性が急激に変化することはなく、車両用動力伝達シャフトは、その伝達するトルクの増大によって剛性を増大することができる。
本発明の一実施例である車両用動力伝達シャフトを搭載した駆動力伝達装置の斜視図である。 図1の駆動力伝達装置の一部の概要を示す図である。 図2の車両用動力伝達シャフトの第1等速ジョイントとの連結部分の概要を示す図である。 図3の車両用動力伝達シャフトの概要を示す図である。 図4の車両用動力伝達シャフトのV-V視断面図である。 図4の車両用動力伝達シャフトのVI-VI視断面図である。 図2の車両用動力伝達シャフトの捩りに関する特性を示す図であって、車両用動力伝達シャフトの伝達トルクTと車軸の一方の端部領域における一方端部に対する他方端部の捩り角θTとの関係を示す図である。 図7の非嵌合状態における車両用動力伝達シャフトの嵌合領域および非嵌合領域の範囲を示す図である。 図7の部分嵌合状態における車両用動力伝達シャフトの嵌合領域および非嵌合領域の範囲を示す図である。 図7の全嵌合状態における車両用動力伝達シャフトの嵌合領域および非嵌合領域の範囲を示す図である。 本発明の他の実施例である車両用動力伝達シャフトの概要を示す図である。 図11の車軸およびアウターシャフトが回転中心線を含む平面において一部を切り欠いて示された側面図である。 図12の車両用動力伝達シャフトのXIII-XIII視断面図である。 図12の車両用動力伝達シャフトのXIV-XIV視断面図である。
本発明の一実施形態において、前記第1シャフトは、前記中空部を有し、前記第2シャフトは、前記第1シャフトの端部領域において前記回転中心線方向への移動が規制される。
本発明の一実施形態において、前記第2シャフトは、前記中空部を有し、前記第2シャフトは、前記第1シャフトの外周面において前記第2シャフトの両端部を挟んで設けられたスナップリングにより前記回転中心線方向への移動が規制される。
以下、本発明の車両用動力伝達シャフトの実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両用動力伝達シャフト100を搭載した動力伝達装置120の斜視図である。差動歯車装置12と図示しない一対の駆動輪との間には、それぞれ2つずつ等速ジョイントが設けられ、差動歯車装置12側に第1等速ジョイント14が配設され、駆動輪側に第2等速ジョイント20が配設されている。第1等速ジョイント14と第2等速ジョイント20との間には車軸16を含む車両用動力伝達シャフト100がそれぞれ設けられている。
図2は、図1の動力伝達装置120の一部の概要を示す図である。図2は、第1等速ジョイント14、車両用動力伝達シャフト100、および第2等速ジョイント20についてそれぞれの回転中心線C1、C2、およびC3を含む平面において一部を切り欠いて示された側面図である。第1等速ジョイント14は、差動歯車装置12から動力が伝達される連結軸22の回転中心線C1回りに相対回転不能、且つ回転中心線C1を含む平面内において相対回動可能に、連結軸22と車軸16とを連結させ、連結軸22から出力されたトルク(回転力)が等角速度で車軸16側に伝達されるようになっている。また、第2等速ジョイント20は、車軸16の回転中心線C2回りに相対回転不能、且つ回転中心線C2を含む平面内において相対回動可能に、車軸16と連結軸52とを連結させ、車軸16から出力されたトルク(回転力)が等角速度で連結軸52側に伝達されるようになっている。
車軸16は円筒状であって、その内部に中空部16oを有する。車軸16は、中央部領域16lと、中央部領域16lから第1ジョイント14側であって中央部領域16lよりも外径が小さい一方の端部領域16mと、中央部領域16lから第2ジョイント20側であって中央部領域16lよりも外径が小さい他方の端部領域16nと、を有する。車軸16は、中央部領域16lから一方の端部領域16mにかけてその外径が次第に小さくなるようになっており、中央部領域16lから他方の端部領域16nにかけてもその外径が次第に小さくなるようになっている。これら中央部領域16l、一方の端部領域16m、および他方の端部領域16nは、同じ回転中心線C2で回転可能とされ、中空部16oはこれら3領域を連通している。なお、車軸16の一方の端部領域16mおよび他方の端部領域16nは、中央部領域16lに比較して捩り剛性(捩れに対する剛さ)が低い。
図3は、図2の車両用動力伝達シャフト100の第1等速ジョイント14との連結部分の概要を示す図である。図3は、第1等速ジョイント14および車両用動力伝達シャフト100が、それぞれの回転中心線C1およびC2を含む平面において一部を切り欠いて示された側面図である。
第1等速ジョイント14のジョイント部24は、差動歯車装置12から動力が伝達される連結軸22を一体に有するアウターレース26と、車軸16にスプライン嵌合により連結され、アウターレース26内に収容されるインナーレース28と、アウターレース26とインナーレース28との間に介挿されたトルク伝達部材である複数のボール30と、それら複数のボール30を転動可能に保持するケージ32と、ブーツ50と、を備えている。
アウターレース26は、連結軸22の回転中心線C1まわりに回転可能に形成され、連結軸22とは反対側の一端に設けられた開口部34と、連結軸22の回転中心線C1方向に延びる形で溝状に形成されたボール転動溝40と、を備えている。
インナーレース28は、球面状の外周面42と、その外周面42に車軸16の回転中心線C2方向に延びる形で溝状に形成されたボール転動溝44と、車軸16の接続部として機能する内周スプライン歯28aと、を備える。インナーレース28の内周スプライン歯28aと車軸16の一端にあるスプライン歯16wとがスプライン嵌合により連結されることで、インナーレース28は車軸16と共通の回転中心線C2まわりに一体的に回転させられるように構成されている。
複数のボール30は、アウターレース26に形成されたボール転動溝40と、インナーレース28に形成されたボール転動溝44と、の間の空間に転動可能に嵌め入れられている。
ケージ32は、アウターレース26の内壁面に部分的に摺接する球面状の外周面46と、インナーレース28の外周面42に部分的に摺接する球面状の内周面48と、を備えており、複数のボール30のボール転動溝40およびボール転動溝44からの脱落を防止する。
ブーツ50は、例えばゴム等の弾性を有する材料からなり筒状に形成されて、ジョイント部24内を外部からの土砂、水などに対してシールする機能を有する。
以上の構成により、第1等速ジョイント14は、車軸16と連結軸22との角度変位(車軸16の回転中心線C2と連結軸22の回転中心線C1とが成す角度の変化)を許容しつつ、アウターレース26とインナーレース28との間で複数のボール30を介してトルクを伝達する。
車両用動力伝達シャフト100は、車軸16およびインナーシャフト60を備える。車軸16は本発明の第1シャフトに相当し、インナーシャフト60は本発明の第2シャフトに相当する。車軸16の一方の端部領域16mは、その中空部16oの内周面16pにおいて回転中心線C2と平行に伸びるスプライン歯16uを有するスプライン部16aと、後述のインナーシャフト60を固定するための固定歯16vを有する固定部16bと、を備える。
図4は、車両用動力伝達シャフト100の概要を示す図であり、車軸16およびインナーシャフト60が回転中心線C2を含む平面において一部を切り欠いて示された側面図である。インナーシャフト60は略円筒形状であって、一方端部60s側においてその外周面60pに回転中心線C2と平行に伸びるスプライン歯60uを有するスプライン部60aと、他方端部60t側において車軸16の中空部16oの内径よりも大きい外径を有するストッパ60cと、スプライン部60aとストッパ60cとの間において車軸16の固定歯16vに噛み合うように設けられた固定歯60vを有する固定部60bと、を備える。回転中心線C2方向において、スプライン部16aおよびスプライン部60aは、それぞれ固定部16bおよび固定部60bよりも長い。インナーシャフト60は、一方端部60s側の先端部において、面取りがなされている。
図5は、図4の車両用動力伝達シャフト100のV-V視断面図である。車軸16のスプライン歯16uおよびインナーシャフト60のスプライン歯60uは、それぞれ回転中心線C2の周方向に等角度間隔で複数個(本実施例では8個)設けられ、これらがスプライン嵌合されている。このとき、車軸16のスプライン歯16uは、その回転方向(回転によってスプライン歯16uが進む方向)において、インナーシャフト60のスプライン歯60uとの間に回転中心線C2の周方向に角度ψ(rad)の隙間Gが設けられている。したがって、車軸16は、回転中心線C2の周方向に角度ψ(rad)だけ捩れると、車軸16のスプライン歯16uとインナーシャフト60のスプライン歯60uとが当接して回転するようになる。なお、角度ψが本発明の所定角度に相当する。
図6は、図4の車両用動力伝達シャフト100のVI-VI視断面図である。車軸16の先端部において、車軸16の固定歯16vおよびインナーシャフト60の固定歯60vは、それぞれ回転中心線C2の周方向に等角度間隔で複数個(本実施例では8個)設けられ、これらの嵌合によって、インナーシャフト60は車軸16に固定されている。このように、車軸16の先端部においてインナーシャフト60が固定されているため、車軸16の捩り剛性の特性への影響は小さい。なお、ここでいう固定とは、車軸16の捩れに関係なく、車軸16の固定歯16vとインナーシャフト60の固定歯60vとが当接しており、車軸16とインナーシャフト60とが回転中心線C2で相対回転不能で回転するように固定されていることを意味する。また、車軸16の固定歯16vとインナーシャフト60の固定歯60vとの嵌合、およびストッパ60cにより、インナーシャフト60の回転中心線C2方向への移動が規制される。
図7は、図2の車両用動力伝達シャフト100の捩りに関する特性を示す図であって、車両用動力伝達シャフト100の伝達トルクTと車軸16の一方の端部領域16mにおける一方端部に対する他方端部の捩り角θTとの関係を示す図である。図8乃至10は、それぞれ図7における非嵌合状態、部分嵌合状態、全嵌合状態における車両用動力伝達シャフト100の嵌合領域90aおよび非嵌合領域90bの範囲を示す図である。なお、嵌合領域90aとは、車軸16の捩れによってスプライン歯16uとスプライン歯60uとの間の隙間Gが無くなる、すなわちスプライン歯16uとスプライン歯60uとが当接して回転している領域をいい、非嵌合領域90bとは、車軸16が捩れてもスプライン歯16uとスプライン歯60uとの間に隙間Gが存在し、スプライン歯16uとスプライン歯60uとが当接せずに回転している領域をいう。
図7に示すように、車両用動力伝達シャフト100では、伝達トルクTが、例えば設定された所定トルクT1を下回り、車軸16だけを介してトルクが伝達される非嵌合状態となる。この場合、図8に示すように、スプライン歯16uとスプライン歯60uとの間は全て隙間Gが存在する非嵌合領域90bであり、車両用動力伝達シャフト100の捩り剛性は低い状態となっている。
図7に示すように、伝達トルクTが所定トルクT1と所定トルクT2(所定T2は、所定トルクT1よりも大きい)との間になると、インナーシャフト60の他方端部60t側において車軸16の捩れによってスプライン歯16uとスプライン歯60uとの間の隙間Gが無くなる嵌合領域90aが現れた部分嵌合状態となる。この場合、図9に示すように、インナーシャフト60の他方端部60t側に嵌合領域90aが存在し、インナーシャフト60の一方端部60s側に非嵌合領域90bが存在する。伝達トルクTが大きくなると、図9の白矢印のように嵌合領域90aが増大し、非嵌合領域90bが減少する。逆に、伝達トルクTが小さくなると、図9の黒矢印のように嵌合領域90aが減少し、非嵌合領域90bが増大する。嵌合領域90aは、車軸16とインナーシャフト60とが当接しながら回転するため、車軸16がインナーシャフト60と当接せずに回転していた場合よりも捩り剛性が高くなる。したがって、部分嵌合状態では、捩り剛性が高くなった嵌合領域90aと、捩り剛性が変わっていない非嵌合領域90bと、が混在し、伝達トルクTが大きくなるのに応じて嵌合領域90aが連続的に増大するため、伝達トルクTが大きくなると、捩り剛性も連続的に高くなっていく。
図7に示すように、伝達トルクTが所定トルクT2を超えると、車軸16の捩れによってスプライン歯16uとスプライン歯60uとの間の隙間Gが無くなる嵌合領域90aの増大は飽和し、インナーシャフト60の固定部60b付近にまで及ぶ全嵌合状態となる。この場合、図10に示すように、スプライン歯16uとスプライン歯60uとの間は隙間Gが存在しない嵌合領域90aが占め、車両用動力伝達シャフト100の捩り剛性は高い状態となっている。なお、厳密には、車軸16の回転中心線C2方向の長さに対する捩れ角は有限値であるため、車軸16のスプライン部16aのうち固定部16bとの境界部分では隙間Gだけ捩れることは無いため、固定部16bの付近には一部非嵌合領域90bが存在する。なお、所定トルクT1、T2および隙間Gの角度ψは、所望の捩れ剛性となるように予め実験等から求められる値である。
なお、詳細な説明は省略するが、車軸16の他方の端部領域16nにおいても、一方の端部領域16mにおける上記実施例と同様の構造によって、捩り剛性が変化するように構成されている。
本実施例の車両用動力伝達シャフト100によれば、車軸16は中空部16oを有し、中空部16oの内周面16pに設けられたスプライン歯16uと、インナーシャフト60の外周面60pに設けられたスプライン歯60uと、が回転中心線C2まわりの周方向に隙間Gを有してスプライン嵌合されており、車軸16の捩れの増加に伴って隙間Gが無くなる嵌合領域90aが回転中心線C2方向に増大する。したがって、伝達するトルクの増大に応じて、捩り剛性が高くなる嵌合領域90aが連続的に増大するため捩り剛性が急激に変化することはなく、車両用動力伝達シャフト100は、その伝達するトルクの増大によって捩り剛性が増大するため、耐久性の向上や車両の操作安定性が確保される。
また、本実施例の車両用動力伝達シャフト100によれば、車軸16のうち、捩り剛性への影響が少ない車軸16の先端部において、インナーシャフト60の固定がなされている。したがって、本発明の適用にあたって、車両用動力伝達シャフト100の捩り剛性への影響は少ない。
図11は、本発明の他の実施例である車両用動力伝達シャフト110の概要を示す図である。図11は、第1等速ジョイント14、車両用動力伝達シャフト110、および第2等速ジョイント20が、それぞれの回転中心線C1、C2、およびC3を含む平面において一部を切り欠いて示された側面図である。なお、以下の説明において前述の実施例1と共通する部分には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
本実施例の第1等速ジョイント14における連結軸22と車軸18との連結構造は、実施例1における第1等速ジョイント14の連結軸22と車軸16との連結構造と同様である。また、本実施例の第2等速ジョイント20における連結軸52と車軸18との連結構造は、実施例1における第2等速ジョイント20の連結軸52と車軸16との連結構造と同様である。本実施例の車両用動力伝達シャフト110は、実施例1とは異なりインナーシャフト60が無く、その代わりに車軸18の外周を覆うアウターシャフト70を備える。車両用動力伝達シャフト110は、車軸18およびアウターシャフト70を備える。車軸18は本発明の第1シャフトに相当し、アウターシャフト70は本発明の第2シャフトに相当する。
車軸18は、円筒形状であって、中央部領域18lと、中央部領域18lよりも第1ジョイント14側であって中央部領域18lよりも外径の小さい一方の端部領域18mと、中央部領域18lよりも第2ジョイント20側であって中央部領域18lよりも外径の小さい他方の端部領域18nと、を備えている。車軸18は、中央部領域18lから一方の端部領域18mにかけてその外径が次第に小さくなるようになっており、中央部領域18lから他方の端部領域18nにかけてもその外径が次第に小さくなるようになっている。これら中央部領域18l、一方の端部領域18m、および他方の端部領域18nは、同じ回転中心線C2で回転可能とされる。なお、車軸18の中央部領域18lは、一方の端部領域18mおよび他方の端部領域18nに比較して捩り剛性が高い。
アウターシャフト70は、車軸18の外径よりも大きい内径の中空部70oを有する円筒形の管である。車軸18はアウターシャフト70の中空部70oに挿通されており、後述するように車軸18の中央部領域18lの外周面18pとアウターシャフト70の中空部70oの内周面70pとが対向している。
図12は、図11の車軸18およびアウターシャフト70が回転中心線C2を含む平面において一部を切り欠いて示された側面図である。
アウターシャフト70は、一方端部70s側に設けられたスプライン部70aと、他方端部70t側に設けられた固定部70bと、を備える。スプライン部70aは、その中空部70oの内周面70pにおいて回転中心線C2と平行に伸びるスプライン歯70uを有する。固定部70bは、その中空部70oの内周面70pにおいてアウターシャフト70が車軸18に固定されるための固定歯70vを有する。
車軸18は、アウターシャフト70のスプライン歯70uに対向したスプライン歯18uを有するスプライン部18aと、アウターシャフト70の固定歯70vに噛み合うように設けられた固定歯18vを有する固定部18bと、を備える。回転中心線C2方向において、スプライン部18aおよびスプライン部70aは、それぞれ固定部18bおよび固定部60bよりも長い。アウターシャフト70は、一方端部70sおよび他方端部70tの先端部において、外周面側および内周面70p側のそれぞれが面取りされている。また、車軸18の外周部には周方向に形成された溝が2つあり、一方の溝に嵌め込まれたスナップリング80は、アウターシャフト70の一方端部70sに対向しており、他方の溝に嵌め込まれたスナップリング82は、アウターシャフト70の他方端部70tに対向している。
図13は、図12の車両用動力伝達シャフト110のXIII-XIII視断面図である。車軸18のスプライン歯18uおよびアウターシャフト70のスプライン歯70uは、それぞれ回転中心線C2の周方向に等角度間隔で複数個(本実施例では8個)設けられ、これらがスプライン嵌合されている。このとき、車軸18のスプライン歯18uは、その回転方向(回転によってスプライン歯18uが進む方向)において、アウターシャフト70のスプライン歯70uとの間に、回転中心線C2の周方向に角度ψ(rad)の隙間G1が設けられている。したがって、車軸18は、回転中心線C2の周方向に角度ψ(rad)だけ捩れると、車軸18のスプライン歯18uとアウターシャフト70のスプライン歯70uとが当接して回転するようになる。なお、角度ψは本発明の所定角度に相当する。
図14は、図12の車両用動力伝達シャフト110のXIV-XIV視断面図である。車軸18の固定歯18vおよびアウターシャフト70の固定歯70vは、それぞれ回転中心線C2の周方向に等角度間隔で複数個(本実施例では8個)設けられ、これらの嵌合によって、アウターシャフト70は車軸18に固定されている。この固定とは、車軸18の捩れに関係なく、車軸18の固定歯18vとアウターシャフト70の固定歯70vとが当接しており、車軸18とアウターシャフト70とが回転中心線C2で相対回転不能で回転するように固定されていることを意味する。また、車軸18の固定歯18vとアウターシャフト70の固定歯70vとの嵌合、およびスナップリング80、82により、アウターシャフト70の回転中心線C2方向への移動が規制される。
本実施例においても、車両用動力伝達シャフト110の捩りに関する特性および車両用動力伝達シャフト110の伝達トルクTと車軸18の中央部領域18lにおける一方端部に対する他方端部の捩り角θTとの関係は、前述の実施例1における図7と同様である。本実施例において、車軸18の捩れによってスプライン歯18uとスプライン歯70uとの間の隙間G1が無くなる、すなわちスプライン歯18uとスプライン歯70uとが当接して回転している領域を嵌合領域92aとし、車軸18が捩れてもスプライン歯18uとスプライン歯70uとの間に隙間G1が存在し、スプライン歯18uとスプライン歯70uとが当接せずに回転している領域を非嵌合領域92bとすると、車両用動力伝達シャフト110の嵌合領域92aおよび非嵌合領域92bの範囲は以下のようになる。
伝達トルクTが、例えば設定された所定トルクT1を下回り、車軸16だけを介してトルクが伝達される非嵌合状態では、車両用動力伝達シャフト110は、スプライン歯18uとスプライン歯70uとの間は全て隙間G1が存在する非嵌合領域92bである。
伝達トルクTが所定トルクT1と所定トルクT2(所定T2は、所定トルクT1よりも大きい)との間である部分嵌合状態では、車両用動力伝達シャフト110は、アウターシャフト70の一方端部70s側に嵌合領域92aが存在し、アウターシャフト70の他方端部70t側に非嵌合領域92bが存在する。伝達トルクTが大きくなると、回転中心線C2方向に嵌合領域92aが増大し、非嵌合領域92bが減少する。逆に、伝達トルクTが小さくなると、回転中心線C2方向に嵌合領域92aが減少し、非嵌合領域92bが増大する。したがって、部分嵌合状態では、捩り剛性が高くなった嵌合領域92aと、捩り剛性が変わっていない非嵌合領域92bと、が混在し、伝達トルクTが大きくなるのに応じて嵌合領域92aが連続的に増大するため、伝達トルクTが大きくなると、捩り剛性も連続的に高くなっていく。
伝達トルクTが所定トルクT2を超える全嵌合状態では、車軸18の捩れによるスプライン歯18uとスプライン歯70uとの間の隙間G1が無くなる嵌合領域92aの増大は飽和し、アウターシャフト70の固定部70b付近にまで及ぶ。なお、厳密には、車軸18の回転中心線C2方向の長さに対する捩れ角は有限値であるため、車軸18のスプライン部18aのうち固定部18bとの境界部分では隙間G1だけ捩れることは無いため、固定部18bの付近には一部非嵌合領域92bが存在する。
本実施例の車両用動力伝達シャフト110によれば、アウターシャフト70は中空部70oを有し、中空部70oの内周面70pに設けられたスプライン歯70uと、車軸18の外周面18pに設けられたスプライン歯18uと、が回転中心線C2まわりの周方向に隙間G1を有してスプライン嵌合されており、車軸18の捩れの増加に伴って隙間G1が無くなる嵌合領域92aが回転中心線C2方向に増大する。したがって、伝達するトルクの増大に応じて、捩り剛性が高くなる嵌合領域92aが連続的に増大するため捩り剛性が急激に変化することはなく、車両用動力伝達シャフト110は、その伝達するトルクの増大によって捩り剛性が増大するため、耐久性の向上や車両の操作安定性が確保される。
また、本実施例の車両用動力伝達シャフト110によれば、車軸18のうち、捩り剛性が相対的に低い一方の端部領域18mや他方の端部領域18nではなく、外径が大きく捩り剛性が比較的高い中央部領域18lにおいて、捩り剛性が増大する構成が施されている。したがって、本発明の適用にあたって、車両用動力伝達シャフト110の強度が低下する懸念が少ない。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例1では、車軸16のうち、一方の端部領域16mおよび他方の端部領域16nの両領域において、本発明が適用されたが、これに限らない。一方の端部領域16mおよび他方の端部領域16nの少なくとも片方の領域において、本発明が適用されれば良い。
前述の実施例1、実施例2では、インナーシャフト60の車軸16への固定およびアウターシャフト70の車軸18への固定は、それぞれ回転中心線C2の周方向に隙間なく噛み合った固定歯60vと固定歯16vとの嵌合または固定歯70vと固定歯18vとの嵌合によって行ったが、これに限らない。例えば、圧入による締り嵌め、溶接など他の方法でも良い。
前述の実施例2では、アウターシャフト70は、回転中心線C2の周方向に隙間なく噛み合った固定歯70vと固定歯18vの嵌合によって車軸18に固定されていたが、回転中心線C2の周方向に隙間なく固定されていなくても良い。例えば、アウターシャフト70に固定部70bが無く、車軸18にも固定部18bが無く、一方端部70sから他方端部70tまで全てスプライン部70aであっても良い。具体的には、図13に示すように、車軸18のスプライン歯18uは、その回転方向(回転によってスプライン歯18uが進む方向)において、アウターシャフト70のスプライン歯70uとの間に、回転中心線C2の周方向に角度ψ(rad)の隙間G1が設けられており、その回転方向とは反対の方向において、アウターシャフト70のスプライン歯70uとの間に、回転中心線C2の周方向に角度φ(rad)の隙間G2が設けられていても良い。なお、角度ψおよびφは本発明の所定角度に相当する。この場合、アウターシャフト70の中空部70oに挿通している車軸18が角度ψ+φ(rad)だけ捩れることによって、スプライン部70aのスプライン歯70uとスプライン部18aのスプライン歯18uとの隙間G1またはG2が無くなって車軸18のスプライン歯18uとアウターシャフト70のスプライン歯70uとが当接して回転するようになる。そのため、伝達するトルクの増大に応じて、隙間G1が無くなることによって捩り剛性が高くなる嵌合領域92aが回転中心線C2方向において他方端部70t側(車軸18に動力を伝達する第1等速ジョイント14側)からアウターシャフト70の中央部分に向かって連続的に増大し、隙間G2が無くなることによって捩り剛性が高くなる嵌合領域92aが回転中心線C2方向において一方端部70s側(車軸18が動力を伝達する第2等速ジョイント20側)からアウターシャフト70の中央部分に向かって連続的に増大する。よって、この場合においても、伝達するトルクの増大によって捩り剛性が急激に変化することはなく、車両用動力伝達シャフト110は、その伝達するトルクの増大によって捩り剛性が増大するため、耐久性の向上や車両の操作安定性が確保される。また、アウターシャフト70の固定部70bおよび車軸18の固定部18bを無くすことで、隙間なく噛み合う固定歯70vおよび固定歯18vを形成する必要がなくなるため、アウターシャフト70および車軸18の加工に関して技術的、製造的に容易となる。
前述の実施例2では、アウターシャフト70の回転中心線C2方向への移動を規制するものとしてスナップリング80、82が設けられたが、これに限らない。例えば、アウターシャフト70の一方端部70sおよび他方端部70tに対向するように、クランプなどの締め具を車軸18に取り付けることでアウターシャフト70の回転中心線C2方向への移動が規制されても良い。
前述の実施例1では、ストッパ60cにより、インナーシャフト60の回転中心線C2方向への移動が規制され、前述の実施例2では、スナップリング80、82により、アウターシャフト70の回転中心線C2方向への移動が規制されたが、この構成は必須ではない。例えば、インナーシャフト60の固定部60bと車軸16の固定部16bとの嵌合等による固定、またはアウターシャフト70の固定部70bと車軸18の固定部18bとの嵌合等による固定によって、インナーシャフト60およびアウターシャフト70の回転中心線C2方向への移動が十分に規制されるのであれば、ストッパ60cやスナップリング80、82は備えられなくても良い。
前述の実施例1の隙間Gおよび実施例2の隙間G1は、ψ(rad)に設定され、スプライン歯16uとスプライン歯60u、スプライン歯18uとスプライン歯70uは、周方向に8個配置されていたが、これに限らない。実施例1の隙間G、実施例2の隙間G1、G2の設定値、スプライン歯の回転中心線C2の周方向に配置された個数、スプライン歯の歯の形状を適宜変更することで、伝達するトルクに対して非嵌合状態、部分嵌合状態、全嵌合状態となるトルク値、すなわち車両用伝達シャフトの捩りに関する特性が調整可能である。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
16:車軸(第1シャフト)
16a:スプライン部
16b:固定部
16o:中空部
16p:内周面
60:インナーシャフト(第2シャフト)
60a:スプライン部(嵌合部)
60b:固定部
60p:外周面
100:車両用動力伝達シャフト
G:隙間
C2:回転中心線

Claims (1)

  1. 回転中心線を中心とする回転力を伝達する第1シャフトと、前記回転中心線方向への移動が規制されるとともに、前記第1シャフトとの間に前記回転中心線まわりの所定角度の隙間で相対回転が許容されてスプライン嵌合された嵌合部を含む第2シャフトと、を備え、差動歯車装置と駆動輪との間に等速ジョイントをそれぞれ介して連結される車両用動力伝達シャフトであって、
    前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方は、中空部を有し、
    前記嵌合部は、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方の前記中空部の内周面と、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方の外周面と、が前記スプライン嵌合されており、
    前記第1シャフトの捩れの増加に伴って、前記隙間が無くなる嵌合領域が前記回転中心線方向に増大する
    ことを特徴とする車両用動力伝達シャフト。
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