以下に添付図面を参照して、本実施の形態の詳細を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、放射線検出装置1000の一例を示す模式図である。
放射線検出装置1000は、放射線検出器10と、信号処理部12と、記憶部14と、通信部16と、表示部18と、を備える。放射線検出器10、記憶部14、通信部16、および表示部18と、信号処理部12とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
放射線検出器10は、入射したβ線Lに応じた出力信号を出力する。信号処理部12は、放射線検出器10から取得した出力信号を用いて、放射線検出器10に入射したβ線Lの検出エネルギーを特定する。
本実施の形態の放射線検出器10で検出する対象のβ線Lを放射する放射性物質の種類は、限定されない。例えば、放射線検出器10で検出する対象のβ線Lを放射する放射性物質は、I−131、Cs−134、Cs−137、Sr−90などの少なくとも1種である。本実施の形態では、放射線検出器10で検出する対象のβ線Lを放射する放射性物質の種類は、複数種類である場合を一例として説明する。
記憶部14は、各種データを記憶する。通信部16は、ネットワークなどを介して外部装置と通信する。本実施の形態では、通信部16は、信号処理部12による特定結果を示す情報を、外部装置へ送信する。表示部18は、各種画像を表示する。本実施の形態では、表示部18は、信号処理部12による特定結果を示す情報を表示する。
なお、放射線検出装置1000は、表示部18および通信部16の何れか一方を備えた構成であってもよい。また、放射線検出装置1000を構成する各部は、1つの筐体に収められていてもよいし、複数の筐体に分割されて配置されていてもよい。
−放射線検出器10−
まず、放射線検出器10について説明する。
図2は、放射線検出器10Aを示す模式図である。放射線検出器10Aは、放射線検出器10の一例である。
――放射線検出器10A――
放射線検出器10Aは、第1のシンチレータ20Aと、第2のシンチレータ20Bと、第1の光電変換層24Aと、第2の光電変換層24Bと、第1の電極層26Aと、第2の電極層26Bと、第3の電極層28Aと、第4の電極層28Bと、を備える。
放射線検出器10Aは、第2のシンチレータ20B、第4の電極層28B、第2の光電変換層24B、第3の電極層28A、第2の電極層26B、第1の光電変換層24A、第1の電極層26A、および第1のシンチレータ20Aを、この順に積層した積層体である。
まず、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bについて説明する。
第1のシンチレータ20Aは、β線Lを第1のシンチレーション光S1に変換する。すなわち、第1のシンチレータ20Aは、第1のシンチレータ20Aに入射したβ線Lを、β線Lより長波長(低いエネルギー)のシンチレーション光(光子)である第1のシンチレーション光S1に変換する。
第2のシンチレータ20Bは、β線Lを第2のシンチレーション光S2に変換する。すなわち、第2のシンチレータ20Bは、第2のシンチレータ20Bに入射したβ線Lを、β線Lより長波長(低いエネルギー)のシンチレーション光(光子)である第2のシンチレーション光S2に変換する。
なお、第1のシンチレータ20Aで変換されたシンチレーション光を、第1のシンチレーション光S1と称して説明する。また、第2のシンチレータ20Bで変換されたシンチレーション光を、第2のシンチレーション光S2と称して説明する。また、これらの第1のシンチレーション光S1および第2のシンチレーション光S2を総称して説明する場合には、単に、シンチレーション光Sと称して説明する。
第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bは、シンチレータ材料で構成されている。シンチレータ材料は、β線Lの入射によりシンチレーション光Sを発する材料である。第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bは、有機材料を主成分とするシンチレータ材料で構成されている。主成分とするとは、70%以上の含有率であること示す。すなわち、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bは、有機シンチレータを主成分とする。
有機シンチレータは、例えば、アントラセン(C14H10)、スチルベン(C14H12)、ナフタレン(C10H8)などの芳香族分子結晶体、またはこれらの芳香族分子結晶体をプラスチックあるいは有機液体中に溶解した混合物である。これらの中でも、β線の捕獲性や加工の容易さなどの観点から、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bには、プラスチックシンチレータを用いる事が好ましい。
第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bを、有機シンチレータを主成分とする構成とすることで、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの密度を、1.0g/cm3以上2.0g/cm3以下の範囲とすることができる。
第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの密度は、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bを構成する有機シンチレータの種類を調整することで、上記範囲に調整すればよい。また、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bを、複数種類の有機シンチレータを含む構成とする場合、各種類の有機シンチレータの含有比率を調整することで、密度を調整してもよい。
第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの主成分である有機シンチレータの種類は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの密度は、上記範囲であればよく、同じであってもよいし異なっていてもよい。
第1のシンチレーション光S1および第2のシンチレーション光S2は、波長領域の少なくとも一部が重複していてもよいし、非重複であってもよい。第1のシンチレーション光S1および第2のシンチレーション光S2の波長領域の少なくとも一部が非重複である場合、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bから、互いに異なる色のシンチレーション光Sを発光させることができる。第1のシンチレーション光S1および第2のシンチレーション光S2の波長領域は、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの構成材料を調整することで、実現可能である。
本実施の形態では、第2のシンチレータ20Bの厚みは、第1のシンチレータ20Aの厚みより大きい。
第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの厚みとは、放射線検出器10Aにおける、第2のシンチレータ20B、第2の光電変換層24B、第1の光電変換層24A、および第1のシンチレータ20Aの積層方向(矢印Z方向)の厚み(長さ)を示す。
上述したように、本実施の形態では、第1のシンチレータ20Aは、第2のシンチレータ20Bより、β線Lの入射方向(矢印Z1方向参照、以下、入射方向Z1と称する場合がある)の上流側に配置されている。詳細には、第1のシンチレータ20Aは、第2のシンチレータ20B、第2の光電変換層24B、および第1の光電変換層24Aより、β線Lの入射方向Z1の上流側に配置されている。
すなわち、本実施の形態では、厚みの大きい第2のシンチレータ20Bが、厚みの小さい第1のシンチレータ20Aより、β線Lの入射方向Z1の下流側に配置されている。このため、β線Lの入射方向Z1の上流側に配置された第1のシンチレータ20Aで、より低いエネルギー帯域のβ線LAをより高いエネルギー帯域のβ線LBより優先的に、第1のシンチレーション光S1に変換することができる。また、β線Lの入射方向Z1の下流側に配置された第2のシンチレータ20Bで、より高いエネルギー帯域のβ線LBをより低いエネルギー帯域のβ線LAより優先的に、第2のシンチレーション光S2に変換することができる(詳細後述)。
なお、β線Lの入射方向Z1は、放射線検出器10Aの厚み方向に一致する。厚み方向は、放射線検出器10Aを構成する複数の層(第2のシンチレータ20B、第2の光電変換層24B、第1の光電変換層24A、第1のシンチレータ20Aなど)の積層方向に一致する。
第2のシンチレータ20Bの厚みは、第1のシンチレータ20Aの厚みより大きければよい。
第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの厚みの上限値は限定されない。第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの厚みは、例えば、以下であることが好ましい。
詳細には、第1のシンチレータ20Aの厚みは、γ線を第1のシンチレーション光S1へ変換可能な厚み未満であることが好ましい。すなわち、第1のシンチレータ20Aの厚みは、γ線を第1のシンチレーション光S1へ変換することが困難な厚みであることが好ましい。
同様に、第2のシンチレータ20Bの厚みは、γ線を第2のシンチレーション光S2へ変換可能な厚み未満であることが好ましい。すなわち、第2のシンチレータ20Bの厚みは、γ線を第2のシンチレーション光S2へ変換することが困難な厚みであることが好ましい。
第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの厚みは、上記関係を満たす範囲内で、放射線検出器10Aで検出する対象のβ線Lを放射する放射性物質の種類に応じて、適宜調整すればよい。
例えば、放射線検出器10Aで検出する対象のβ線Lを放射する放射性物質が、Sr−90およびCs−137であると想定する。すなわち、放射線検出器10Aで検出する対象のβ線Lが、Sr−90およびCs−137から放射されたβ線であると想定する。この場合、第1のシンチレータ20Aの厚みは、0.1mm以上0.9mm以下であり、第2のシンチレータ20Bの厚みは、1mm以上4mm以下であることが好ましい。
図3は、放射線検出器10Aにβ線LBが入射したときの、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの厚みと吸収エネルギーとの関係のシミュレーション結果を示す表である。
図3では、放射線検出器10Aに、Sr−90およびCs−137の各々から放射されたβ線Lを入射させた。図3中、第1のシンチレータ20AのCs/Sr比は、第1のシンチレータ20Aで吸収された、Sr−90から放射されたβ線Lの吸収量に対する、Cs−137から放射されたβ線Lの吸収量の比を示す。また、図3中、第2のシンチレータ20BのSr/Cs比は、第2のシンチレータ20Bで吸収された、Cs−137から放射されたβ線Lの吸収量に対する、Sr−90から放射されたβ線Lの吸収量、の比を示す。
ここで、Cs−137から放射されるβ線Lのエネルギー帯域は、Sr−90から放射されるβ線Lのエネルギー帯域より低い。
本実施の形態の放射線検出器10Aでは、β線Lの入射方向Z1の上流側に配置された第1のシンチレータ20Aで、第2のシンチレータ20Bより低いエネルギー帯域のβ線LBを優先的に第1のシンチレーション光S1へ変換させる。一方、放射線検出器10Aでは、β線Lの入射方向Z1の下流側に配置された第2のシンチレータ20Bで、第1のシンチレータ20Aより高いエネルギー帯域のβ線LBを優先的に第2のシンチレーション光S2へ変換させる。
このため、第1のシンチレータ20AのCs/Sr比がより高く、且つ、第2のシンチレータ20BのSr/Cs比がより高くなるように、第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの厚みを調整することが好ましい。
このため、図3に示すように、実施例1〜実施例5の第1のシンチレータ20Aおよび第2のシンチレータ20Bの厚みの組合せの内、実施例1〜実施例3に示す厚みの組合せとすることが好ましく、実施例2および実施例3に示す厚みの組合せがより好ましく、実施例2に示す厚みの組合せが最も好ましい。
具体的には、放射線検出器10Aで検出する対象のβ線Lが、Sr−90およびCs−137から放射されたβ線Lであると想定する。この場合、上述したように、第1のシンチレータ20Aの厚みが0.1mm以上0.9mm以下、第2のシンチレータ20Bの厚みが1.0mm以上4.0mm以下の組合せが好ましい。また、第1のシンチレータ20Aの厚みが0.1mm、第2のシンチレータ20Bの厚みが1.0mm以上4.0mm以下がより好ましい。また、第1のシンチレータ20Aの厚みが0.1mm、第2のシンチレータ20Bの厚みが3.0mmまたは4.0mmが更に好ましい。また、第1のシンチレータ20Aの厚みが0.1mmであり、第2のシンチレータ20Bの厚みが3.0mmが特に好ましい。
図2に戻り説明を続ける。次に、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bについて説明する。
第1の光電変換層24Aは、第1のシンチレータ20Aと第2のシンチレータ20Bとの間に設けられている。第1の光電変換層24Aは、第2の光電変換層24Bよりβ線Lの入射方向Z1の上流側に配置されている。
第1の光電変換層24Aは、第1のシンチレーション光S1を電荷に変換する。第1の光電変換層24Aは、第1のシンチレータ20Aで変換された第1のシンチレーション光S1を電荷に変換し、且つ、有機材料を主成分とする。
第2の光電変換層24Bは、第1の光電変換層24Aと、第2のシンチレータ20Bと、の間に設けられている。第2の光電変換層24Bは、第1の光電変換層24Aよりβ線Lの入射方向Z1の下流側に配置されている。
第2の光電変換層24Bは、第2のシンチレーション光S2を電荷に変換する。第2の光電変換層24Bは、第2のシンチレータ20Bで変換された第2のシンチレーション光S2を電荷に変換し、且つ、有機材料を主成分とする。
第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bは、例えば、バルクヘテロ接合構造を有する。
バルクヘテロ接合構造は、例えば、p形半導体材料とn形半導体材料との混合物を有する。バルクヘテロ接合構造では、p形半導体とn形半導体との相界面を拡大することができる。バルクヘテロ接合型の有機半導体層は、p形半導体材料とn形半導体材料とのミクロ相分離構造を有する。有機半導体層内において、p形半導体の相とn形半導体の相とは互いに分離している。
有機半導体層は、例えば、pn接合を含む。p型半導体材料としては、例えば、ポリチオフェン及びポリチオフェンの誘導体の少なくともいずれかを含む。これらの化合物は、例えば、π共役構造を有する導電性高分子である。ポリチオフェン及びポリチオフェンの誘導体は、例えば、優れた立体規則性を有する。これらの材料においては、溶媒への溶解性が比較的高い。ポリチオフェン及びポリチオフェンその誘導体は、チオフェン骨格を有する。p型半導体材料としては、例えば、ポリアリールチオフェン、ポリアルキルイソチオナフテン及びポリエチレンジオキシチオフェンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。上記のポリアリールチオフェンは、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)等のポリアルキルチオフェン、ポリ(3−フェニルチオフェン)、及び、ポリ(3−(p−アルキルフェニルチオフェン))の少なくとも1つを含む。
上記のポリアルキルイソチオナフテンは、例えば、ポリ(3−ブチルイソチオナフテン)、ポリ(3−ヘキシルイソチオナフテン)、ポリ(3−オクチルイソチオナフテン)、及び、ポリ(3−デシルイソチオナフテン)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。また、p型半導体材料として、ポリチオフェン誘導体があり、このポリチオフェン誘導体は、例えば、カルバゾール、ベンゾチアジアゾール、及び、チオフェンの共重合体よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。このチオフェンの共重合体は、例えば、ポリ[N−9”−ヘプタ−デカニル−2,7−カルバゾール−アルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)を含む。p型半導体材料として、ポリチオフェン及びポリチオフェンの誘導体を含むことにより、例えば、高い変換効率が得られる。
n型半導体材料としては、例えば、フラーレン及びフラーレン誘導体を含む。フラーレン誘導体は、フラーレン骨格を有する。フラーレン及びフラーレン誘導体は、例えば、C60、C70、C76、C78及びC84よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。フラーレン誘導体は、酸化フラーレンを含む。酸化フラーレンにおいて、これらのフラーレンの炭素原子の少なくとも一部が酸化されている。
フラーレン誘導体は、フラーレン骨格の一部の炭素原子が任意の官能基で修飾される。フラーレン誘導体は、これらの官能基どうしが互いに結合して形成された環を含んでも良い。フラーレン誘導体は、フラーレン結合ポリマーを含んでも良い。n型半導体材料は、溶剤に親和性の高い官能基を有するフラーレン誘導体を含むことが好ましい。この化合物においては、溶媒への可溶性が高い。フラーレン誘導体が含む官能基は、例えば、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、シアノ基、芳香族炭化水素基、及び、芳香族複素環基よりなる群から選択された少なくともいずれかを含んでも良い。ハロゲン原子は、例えば、フッ素原子及び塩素原子よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。アルキル基は、例えば、メチル基及びエチル基よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。アルケニル基は、例えば、ビニル基を含む。アルコキシ基は、例えば、メトキシ基及びエトキシ基よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。芳香族炭化水素基は、例えば、フェニル基及びナフチル基よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。芳香族複素環基は、例えば、チエニル基及びピリジル基よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
フラーレン誘導体は、例えば、水素化フラーレンを含んでも良い。水素化フラーレンは、例えば、C60H36及びC70H36を含む。フラーレン誘導体は、例えば、酸化フラーレンを含む。酸化フラーレンにおいて、C60またはC70が酸化される。フラーレン誘導体は、例えば、フラーレン金属錯体を含んでもよい。
フラーレン誘導体は、例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル(60PCBM)、[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステル(70PCBM)、インデン−C60ビス付加物(60ICBA)、ジヒドロナフチル−C60ビス付加物(60NCBA)、及び、ジヒドロナフチル−C70ビス付加物(70NCBA)よりなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。60PCBMは、未修飾のフラーレンである。60PCBMにおいては、光キャリアの移動度が高い。p型半導体材料およびn型半導体材料としては、例えば、メロシアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、キナクリドン系化合物、ペリレン系化合物などの低分子系化合物が含まれる。
第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bの主成分である有機材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bを、有機材料を主成分とした構成とすることで、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bの密度を、1.0g/cm3以上2.0g/cm3以下の範囲とすることができる。
第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bの密度を上記範囲に調整するためには、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bを構成する有機材料の種類を調整すればよい。また、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bが複数種類の有機材料を主成分とする場合、有機材料の含有比率を調整することで、密度を調整してもよい。
なお、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bにおける、画素領域に対応する領域は、第1の電極層26A、第2の電極層26B、第3の電極層28A、および第4の電極層28Bの配置などを調整することで、予め規定すればよい。
第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bの厚みは限定されない。例えば、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bの厚みは、ともに1nm以上1mm以下の範囲である。
第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bの厚みは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bの密度は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
次に、第1の電極層26A、第2の電極層26B、第3の電極層28A、および第4の電極層28Bについて説明する。
第1の電極層26Aおよび第2の電極層26Bは、第1の光電変換層24Aにおける厚み方向の両端面にそれぞれ配置されている。詳細には、第1の電極層26Aは、第1の光電変換層24Aにおける、β線Lの入射方向Z1の上流側の端面に配置されている。第2の電極層26Bは、第1の光電変換層24Aにおける、β線Lの入射方向Z1の下流側の端面に配置されている。
具体的には、第1の電極層26Aは、第1のシンチレータ20Aと第1の光電変換層24Aとの間に配置されている。また、第2の電極層26Bは、第1の光電変換層24Aと第2の光電変換層24Bとの間に配置されている。すなわち、第1の光電変換層24Aは、第1の電極層26Aと第2の電極層26Bとの間に配置されている。
第1の電極層26Aは、β線Lの少なくとも一部を透過し、且つ第1のシンチレーション光S1の少なくとも一部を透過する。透過する、とは、入射した光の50%以上、好ましくは80%以上を透過することを意味する。入射する光は、β線Lおよびシンチレーション光Sである。
第2の電極層26Bは、β線Lの少なくとも一部を透過し、且つ第1のシンチレーション光S1の少なくとも一部を反射する。反射する、とは、入射した光の50%以上、好ましくは80%以上を反射することを意味する。
第1の電極層26Aおよび第2の電極層26Bは、上記特性を満たし、且つ導電性を有する材料で構成される。第1の電極層26Aおよび第2の電極層26Bは、例えば、ITO(酸化インジウムスズ、Indium Tin Oxide)、グラフェン、ZnO、アルミニウム、金、マグネシウム・銀合金、マグネシウム・インジウム合金、アルミニウムドープ亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物などから選択される。
第1の電極層26Aおよび第2の電極層26Bの厚みは限定されない。第1の電極層26Aおよび第2の電極層26Bの厚みは、例えば、それぞれ50nmおよび150nmである。
第3の電極層28Aおよび第4の電極層28Bは、第2の光電変換層24Bにおける厚み方向の両端面にそれぞれ配置されている。詳細には、第3の電極層28Aは、第2の光電変換層24Bにおける、β線Lの入射方向Z1の上流側の端面に配置されている。第4の電極層28Bは、第2の光電変換層24Bにおける、β線Lの入射方向Z1の下流側の端面に配置されている。
具体的には、第3の電極層28Aは、第2の光電変換層24Bと第2の電極層26Bとの間に配置されている。また、第4の電極層28Bは、第2の光電変換層24Bと第2のシンチレータ20Bとの間に配置されている。すなわち、第2の光電変換層24Bは、第3の電極層28Aと第4の電極層28Bとの間に配置されている。
第3の電極層28Aは、β線Lの少なくとも一部を透過し、且つ第2のシンチレーション光S2の少なくとも一部を反射する。第4の電極層28Bは、β線Lの少なくとも一部を透過し、且つ第2のシンチレーション光S2の少なくとも一部を透過する。
第3の電極層28Aおよび第4の電極層28Bは、上記特性を満たし、且つ導電性を有する材料で構成される。第3の電極層28Aおよび第4の電極層28Bは、例えば、ITO(酸化インジウムスズ、Indium Tin Oxide)、グラフェン、ZnO、アルミニウム、金、アルミニウム、金、マグネシウム・銀合金、マグネシウム・インジウム合金、アルミニウムドープ亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物などから選択される。
第3の電極層28Aおよび第4の電極層28Bの厚みは限定されない。第3の電極層28Aおよび第4の電極層28Bの厚みは、例えば、それぞれ150nmおよび50nmである。
なお、本実施の形態では、第1の電極層26Aおよび第4の電極層28Bは、信号処理部12に電気的に接続されている。また、第2の電極層26Bおよび第3の電極層28Aは、接地されている。なお、第2の電極層26Bおよび第3の電極層28Aを、共通電極として構成してもよい。
−放射線検出器10Aの作用−
次に、放射線検出器10Aの作用について説明する。
放射線検出器10Aにβ線Lが入射し、第1のシンチレータ20Aに到る。第1のシンチレータ20Aに入射したβ線Lは、第1のシンチレータ20Aによって第1のシンチレーション光S1に変換される。
第1のシンチレータ20Aで変換された第1のシンチレーション光S1は、第1の光電変換層24Aへ到る。第1の光電変換層24Aは、入射した第1のシンチレーション光S1を電荷に変換する。第1の光電変換層24Aで変換された電荷による出力信号は、第1の電極層26Aを介して信号処理部12へ出力される。
上述したように、第1のシンチレータ20Aの厚みは、第2のシンチレータ20Bの厚みより小さい。
このため、エネルギー帯域の高いβ線LBであるほど、第1のシンチレータ20Aで第1のシンチレーション光S1に変換される変換効率が低く、第1のシンチレータ20Aを透過して第2のシンチレータ20Bへ到る確率が高い。このため、第1のシンチレータ20Aでは、放射線検出器10Aに入射したβ線Lの内、低いエネルギー帯域のβ線LAを、高いエネルギー帯域のβ線LBより優先的に、第1のシンチレーション光S1へ変換することとなる。
また、上述したように、第1の電極層26Aは、β線Lの少なくとも一部を透過し、且つ、第1のシンチレーション光S1の少なくとも一部を透過する。また、第2の電極層26Bは、β線Lの少なくとも一部を透過し、且つ、第1のシンチレーション光S1の少なくとも一部を反射する。
このため、第1のシンチレータ20Aで変換された第1のシンチレーション光S1は、第1の電極層26Aを介して第1の光電変換層24Aへ到る。また、第1の光電変換層24Aに到り、第2の電極層26Bに到達した第1のシンチレーション光S1は、第2の電極層26Bで反射され、再度第1の光電変換層24A内に到る。
このため、第1の電極層26Aおよび第2の電極層26Bが上記特性を有することで、第1の光電変換層24Aは、第1のシンチレーション光S1を効率よく電荷に変換することができる。
一方、放射線検出器10Aに入射したβ線Lの少なくとも一部は、第1のシンチレータ20Aを透過し、第2のシンチレータ20Bへ到る。
第2のシンチレータ20Bへ入射したβ線Lは、第2のシンチレータ20Bによって第2のシンチレーション光S2に変換され、第2の光電変換層24Bへ到る。第2の光電変換層24Bは、入射した第2のシンチレーション光S2を、電荷に変換する。第2の光電変換層24Bで変換された電荷は、第4の電極層28Bを介して出力信号として信号処理部12へ出力される。
上述したように、第2のシンチレータ20Bの厚みは、第1のシンチレータ20Aより厚い。このため、第2のシンチレータ20Bは、第1のシンチレータ20Aを透過して第2のシンチレータ20Bに到達したβ線Lを、第2のシンチレーション光S2変換することができる。すなわち、第2のシンチレータ20Bは、第1のシンチレータ20Aに比べて、より高いエネルギー帯域のβ線LBを第2のシンチレーション光S2へ変換する。すなわち、第2のシンチレータ20Bは、放射線検出器10Aへ入射したβ線Lの内、高いエネルギー帯域のβ線LBを低いエネルギー帯域のβ線LAより優先的に第2のシンチレーション光S2に変換する。
また、上述したように、第3の電極層28Aは、β線Lの少なくとも一部を透過し、且つ第2のシンチレーション光S2の少なくとも一部を反射する。第4の電極層28Bは、β線Lの少なくとも一部を透過し、且つ第2のシンチレーション光S2の少なくとも一部を透過する。
このため、第2のシンチレータ20Bで変換された第2のシンチレーション光S2は、第4の電極層28Bを介して第2の光電変換層24Bへ到る。また、第2の光電変換層24Bへ到り、第3の電極層28Aへ到達した第2のシンチレーション光S2は、第3の電極層28Aで反射され、再度第2の光電変換層24B内に到る。
このため、第3の電極層28Aおよび第4の電極層28Bが上記特性を有することで、第2の光電変換層24Bは、第2のシンチレーション光S2を効率よく電荷に変換することができる。
このように、本実施の形態の放射線検出器10Aでは、第1のシンチレータ20Aが低エネルギー帯域のβ線LAを優先的に第1のシンチレーション光S1へ変換し、第2のシンチレータ20Bが高エネルギー帯域のβ線LBを優先的に第2のシンチレーション光S2変換する。このため、本実施の形態の放射線検出器10Aは、様々なエネルギー帯域のβ線Lを検出することができる。
―信号処理部12―
図1に戻り、説明を続ける。次に、信号処理部12について説明する。
上述したように、信号処理部12は、放射線検出器10、記憶部14、通信部16、および表示部18と電気的に接続されている。
なお、放射線検出器10が放射線検出器10A(図2参照)である場合を一例として説明するなお、放射線検出器10が、放射線検出器10Bである場合も、信号処理部12は同様の処理を行えばよい。
信号処理部12は、第1の光電変換層24Aから第1出力信号を受付ける。また、信号処理部12は、第2の光電変換層24Bから第2出力信号を受付ける。
第1出力信号は、第1の光電変換層24Aで変換された電荷を示す信号である。言い換えると、第1出力信号は、第1の光電変換層24Aで検出された、第1のシンチレーション光S1の平均検出エネルギーである。信号処理部12では、第1の光電変換層24Aで検出された電荷の電荷量を、チャージアンプなどで計測可能な信号に変換し、更に、A/D変換することで、第1出力信号とする。なお、本実施の形態では、説明を簡略化するために、信号処理部12では、第1の光電変換層24Aから第1出力信号を受付けるものとして説明する。
第2出力信号は、第2の光電変換層24Bで変換された電荷を示す信号である。言い換えると、第2出力信号は、第2の光電変換層24Bで検出された、第2のシンチレーション光S2の平均検出エネルギーである。信号処理部12では、第2の光電変換層24Bで検出された電荷の電荷量を、チャージアンプなどで計測可能な信号に変換し、更に、A/D変換することで、第2出力信号とする。なお、本実施の形態では、説明を簡略化するために、信号処理部12では、第2の光電変換層24Bから第2出力信号を受付けるものとして説明する。
上述したように、第1のシンチレータ20Aは、第2のシンチレータ20Bに比べて低いエネルギー帯域のβ線Lを優先的に第1のシンチレーション光S1に変換する。一方、第2のシンチレータ20Bは、第1のシンチレータ20Aに比べて、高いエネルギー帯域のβ線LBを優先的に第2のシンチレーション光S2に変換する。
このため、第2のシンチレーション光S2を電荷に変換する第2の光電変換層24Bから出力される第2出力信号は、第1のシンチレーション光S1を電荷に変換する第1の光電変換層24Aから出力される第1出力信号に比べて、高いエネルギー帯域のβ線Lを電荷に変換した信号である。
信号処理部12は、第1出力信号および第2出力信号を用いて、β線Lの検出結果を特定する。すなわち、信号処理部12は、異なるエネルギー帯域のβ線Lを電荷に変換した出力信号である、第1出力信号および第2出力信号を用いて、β線Lの検出結果を特定する。
具体的には、信号処理部12は、第1の光電変換層24Aから出力された第1出力信号、および、第2の光電変換層24Bから出力された第2出力信号を用いて、β線Lの検出結果を特定する。
詳細には、信号処理部12は、算出部12Aと、特定部12Bと、出力制御部12Cと、を備える。算出部12A、特定部12B、および出力制御部12Cは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
算出部12Aは、第1出力信号と、第2出力信号と、の信号比を、放射線検出器10に入射したβ線Lの評価値として算出する。信号比は、具体的には、第2出力信号を、第1出力信号で除算した値である。すなわち、評価値は、下記式(1)で表せる。
評価値=第2出力信号/第1出力信号 ・・・式(1)
第1出力信号は、第1の光電変換層24Aで変換された電荷による出力信号である。第2出力信号は、第2の光電変換層24Bで変換された電荷による出力信号である。出力信号は、平均検出エネルギーに相当する。平均検出エネルギーは、単位時間あたりに検出されるエネルギーの平均値を示す。
詳細には、算出部12Aは、所定の時間間隔ごとに、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bの各々における平均検出エネルギーを、それぞれ、第1出力信号および第2出力信号として算出する。そして、算出部12Aは、第2出力信号を第1出力信号で除算した値である、評価値を算出する。
この算出方法を用いた場合、第2の光電変換層24Bにβ線Lが到達し始めたときの評価値の変動が大きくなり、β線Lの入射エネルギーの変化に対する、平均検出エネルギーの変化(すなわち差)を、検出しやすい、という利点がある。
特定部12Bは、算出部12Aで算出された評価値と、記憶部14に記憶されている換算テーブルと、を用いて、β線Lの検出エネルギーを特定する。
換算テーブルは、記憶部14に予め記憶されている。記憶部14は、換算テーブルとして、第1換算テーブル14Aと、第2換算テーブル14Bと、を予め記憶する。なお、記憶部14は、少なくとも第1換算テーブル14Aを予め記憶すればよい。
第1換算テーブル14Aは、評価値と、β線Lを放射した放射性物質の種類と、β線Lの入射エネルギーと、を対応づけた換算テーブルである。
例えば、信号処理部12は、検出に用いる放射線検出器10(例えば、放射線検出器10A)を用いて、該放射線検出器10に入射するβ線Lの入射エネルギーと、β線を放射した放射性物質の種類と、該放射線検出器10から出力された第1出力信号と第2出力信号との信号比である評価値と、を、予め測定する。そして、信号処理部12は、検出結果である、β線Lの入射エネルギーと、β線を放射した放射性物質の種類と、評価値と、の関係を示す第1換算テーブル14Aを、予め作成する。
なお、信号処理部12は、第1換算テーブル14Aを、シミュレーションにより予め作成してもよい。また、信号処理部12は、放射線検出装置1000の起動時やキャリブレーション時に、モンテカルロシミュレーションなどを用いて、第1換算テーブル14Aを予め作成してもよい。
なお、第1換算テーブル14Aの作成は、外部装置などで行ってもよい。そして、記憶部14は、この第1換算テーブル14Aを、予め記憶する。
なお、第1換算テーブル14Aは、外部装置などに予め記憶してもよい。そして、特定部12Bは、外部装置から第1換算テーブル14Aを読取ることで、β線Lの検出エネルギーを特定してもよい。また、特定部12Bは、外部装置に、算出部12Aで算出された評価値を外部装置へ出力し、外部装置から、β線Lの検出エネルギーを取得することで、該検出エネルギーを特定してもよい。この場合、外部装置は、特定部12Bから受け付けた評価値に対応する、β線Lを放射した放射性物質の種類およびβ線Lの入射エネルギーを、第1換算テーブル14Aから読取り、放射線検出装置1000へ送信すればよい。
なお、第1換算テーブル14Aは、放射線検出器10に入射するβ線Lの入射エネルギーとβ線を放射した放射性物質の種類と評価値との関係を示すものであればよく、テーブル、関数、線図、テータベース、の何れであってもよい。
なお、放射線検出器10に入射したβ線Lのエネルギーが小さい場合や、β線Lのエネルギー帯域が低い場合、第2のシンチレータ20Bにβ線Lが到達しない場合がある。
そこで、本実施の形態では、記憶部14は、第2換算テーブル14Bを予め記憶する。第2換算テーブル14Bは、第1の光電変換層24Aによる第1出力信号と、β線Lを放射した放射性物質の種類と、β線Lの入射エネルギーと、を対応づけた換算テーブルである。
例えば、検出に用いる放射線検出器10(例えば、放射線検出器10A)に、第1のシンチレータ20Aに到達するが、第2のシンチレータ20Bに到達しない程度の低エネルギーのβ線Lを照射する。そして、該放射線検出器10の第1の光電変換層24Aから出力される第1出力信号と、放射線検出器10に照射したβ線Lのエネルギーと、該β線Lを放射した放射性物質の種類と、の関係を予め測定する。そして、信号処理部12は、測定結果を用いて、第2換算テーブル14Bを予め作成し、記憶部14へ予め記憶すればよい。
なお、第2換算テーブル14Bの作成についても、外部装置などで行ってもよい。そして、記憶部14は、第2換算テーブル14Bを、予め記憶する。
特定部12Bは、第1換算テーブル14Aにおける、算出部12Aで算出された評価値に対応する、β線Lを放射した放射性物質の種類および入射エネルギーを、β線Lの検出結果として特定する。
第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bに入射したβ線Lが、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24B内でエネルギーを失う場合、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bの各々で発生する電荷の量は、第1の光電変換層24Aおよび第2の光電変換層24Bに入射したβ線Lのエネルギーに比例する。このため、算出部12Aで算出された評価値と、第1換算テーブル14Aおよび第2換算テーブル14Bと、を用いることで、放射線検出器10Aに入射したβ線Lの、放射線検出器10Aによる検出結果を特定することができる。
次に、信号処理部12が実行する情報処理の流れの一例を説明する。図4は、信号処理部12が実行する情報処理の流れの一例を示す、フローチャートである。
まず、算出部12Aが、放射線検出器10Aの第1の光電変換層24Aから第1出力信号を取得したか否かを判断する(ステップS200)。ステップS200で否定判断すると(ステップS200:No)、本ルーチンを終了する。ステップS200で肯定判断すると(ステップS200:Yes)、ステップS202へ進む。
ステップS202では、算出部12Aが、第2の光電変換層24Bから第2出力信号を取得したか否かを判断する(ステップS202)。
ステップS202で肯定判断すると(ステップS202:Yes)、ステップS204へ進む。ステップS204では、ステップS200で取得した第1出力信号と、ステップS202で取得した第2出力信号と、の信号比を、評価値として算出する(ステップS204)。
次に、特定部12Bが、ステップS204で算出された評価値と、第1換算テーブル14Aと、を用いて、放射性物質の種類および入射エネルギーを、検出結果として特定する(ステップS206)。
次に、出力制御部12Cは、ステップS206で特定された特定結果を示す情報を、通信部16および表示部18へ出力制御する(ステップS208)。ステップS208の処理によって、通信部16から外部装置へ、検出結果を示す情報が送信される。また、ステップS208の処理によって、表示部18には、検出結果を示す情報が表示される。そして、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS202で否定判断すると(ステップS202:No)、ステップS210へ進む。ステップS210では、特定部12Bが、ステップS200で取得した第1出力信号と、第2換算テーブル14Bと、を用いて、放射性物質の種類および入射エネルギーを、検出結果として特定する(ステップS210)。例えば、特定部12Bは、第2換算テーブル14Bにおける、ステップS200で取得した第1出力信号に対応する、放射性物質の種類および入射エネルギーを、検出結果として特定する。
そして、出力制御部12Cは、ステップS210で特定された検出結果を示す情報を、通信部16および表示部18へ出力制御する(ステップS212)。ステップS212の処理によって、通信部16から外部装置へ、検出結果を示す情報が送信される。また、ステップS212の処理によって、表示部18には、検出結果を示す情報が表示される。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態の放射線検出器10Aは、第1のシンチレータ20Aと、第2のシンチレータ20Bと、第1の光電変換層24Aと、第2の光電変換層24Bと、を備える。第1のシンチレータ20Aは、β線Lを第1のシンチレーション光S1へ変換する。第2のシンチレータ20Bは、β線Lを第2のシンチレーション光S2へ変換する。第1の光電変換層24Aは、第1のシンチレータ20Aと第2のシンチレータ20Bとの間に設けられ、第1のシンチレーション光S1を電荷に変換する。第2の光電変換層24Bは、第1の光電変換層24Aと第2のシンチレータ20Bとの間に設けられ、第2のシンチレーション光S2を電荷に変換する。第1のシンチレータ20A、第2のシンチレータ20B、第1の光電変換層24A、および第2の光電変換層24Bは、有機材料を主成分とする。第2のシンチレータ20Bの厚みは、第1のシンチレータ20Aの厚みより大きい。
このように、本実施の形態の放射線検出器10Aでは、第1のシンチレータ20A、第2のシンチレータ20B、第1の光電変換層24A、および第2の光電変換層24Bは、有機材料を主成分とする。
第1のシンチレータ20A、第2のシンチレータ20B、第1の光電変換層24A、および第2の光電変換層24Bを、有機材料を主成分とする構成とすることで、無機材料を主成分とした場合に比べて、密度を高くすることができる。このため、第1のシンチレータ20A、第2のシンチレータ20B、第1の光電変換層24A、および第2の光電変換層24Bを、β線Lに対して感度を有する構成とすることができる。また、第1のシンチレータ20A、第2のシンチレータ20B、第1の光電変換層24A、および第2の光電変換層24Bが、β線L以外の放射線(例えば、γ線)に対して感度を有することを抑制することができる。
また、第2のシンチレータ20Bの厚みは、第1のシンチレータ20Aの厚みより大きい。このため、本実施の形態の放射線検出器10Aでは、第1のシンチレータ20Aが低エネルギー帯域のβ線LAを優先的に第1のシンチレーション光S1へ変換し、第2のシンチレータ20Bが高エネルギー帯域のβ線LBを優先的に第2のシンチレーション光S2へ変換する。
このため、本実施の形態の放射線検出器10Aは、様々なエネルギー帯域のβ線Lを検出することができる。すなわち、本実施の形態の放射線検出器10Aは、様々なエネルギー帯域のβ線Lの内、少なくとも一部のエネルギー帯域のβ線を検出不可能となることを抑制することができる。
従って、本実施の形態の放射線検出器10Aは、β線Lの検出精度向上を図ることができる。
(第2の実施の形態)
なお、放射線検出器10の構成は、上記第1の実施の形態の放射線検出器10Aの構成に限定されない。放射線検出器10は、更に、反射層を備えた構成であってもよい。
図5は、本実施の形態の放射線検出器10Bの一例を示す模式図である。放射線検出器10Bは、放射線検出器10の一例である。
――放射線検出器10B――
放射線検出器10Bは、第1のシンチレータ20Aと、第2のシンチレータ20Bと、第1の光電変換層24Aと、第2の光電変換層24Bと、第1の電極層26Aと、第2の電極層26Bと、第3の電極層28Aと、第4の電極層28Bと、第1の反射層30Aと、第2の反射層30Bと、を備える。
第1のシンチレータ20A、第2のシンチレータ20B、第1の光電変換層24A、第2の光電変換層24B、第1の電極層26A、第2の電極層26B、第3の電極層28A、および第4の電極層28Bは、第1の実施の形態と同様である。すなわち、本実施の形態の放射線検出器10Bは、第1の実施の形態の放射線検出器10Aに、第1の反射層30Aおよび第2の反射層30Bを更に備えた構成である。
第1の反射層30Aは、第1のシンチレータ20Aのβ線Lの入射方向Z1の上流側に配置されている。第1の反射層30Aは、β線Lの少なくとも一部を透過し、第1のシンチレーション光S1の少なくとも一部を反射する。
第1の反射層30Aは、上記特性を満たす材料で構成されていればよい。例えば、第1の反射層30Aは、放射線の透過性およびシンチレーション光の反射性の観点から、アルミニウムを用いる事が好ましい。
第1の反射層30Aの厚みは限定されない。第1の反射層30Aの厚みは、例えば、10nm〜1μmであるが、これに限定されない。
第2の反射層30Bは、第2のシンチレータ20Bのβ線Lの入射方向Z1の下流側に配置されている。第2の反射層30Bは、第1のシンチレーション光S1の少なくとも一部を反射する。
第2の反射層30Bは、上記特性を満たす材料で構成されていればよい。例えば、第2の反射層30Bは、放射線の透過性およびシンチレーション光の反射性の観点から、アルミニウムを用いる事が好ましい。
第2の反射層30Bの厚みは限定されない。第2の反射層30Bの厚みは、例えば、10nm〜1μmであるが、これに限定されない。
−放射線検出器10Bの作用−
次に、放射線検出器10Bの作用について説明する。
放射線検出器10Bにβ線Lが入射し、第1のシンチレータ20Aに到る。第1のシンチレータ20Aに入射したβ線Lは、第1のシンチレータ20Aによって第1のシンチレーション光S1に変換される。第1のシンチレータ20Aで変換された第1のシンチレーション光S1は、第1の光電変換層24Aへ到る。第1の光電変換層24Aは、第1の実施の形態と同様に、入射した第1のシンチレーション光S1を電荷に変換する。
ここで、本実施の形態では、第1のシンチレータ20Aにおける、β線Lの入射方向Z1の上流側には、第1の反射層30Aが設けられている。このため、第1のシンチレータ20Aで変換され、第1の反射層30Aに到達した第1のシンチレーション光S1は、第1の反射層30Aで反射され、第1のシンチレータ20Aおよび第1の電極層26Aを介して第1の光電変換層24Aへ到る。
このように、第1の反射層30Aを設けることで、第1の光電変換層24Aは、効率よく第1のシンチレーション光S1を電荷に変換することができる。
一方、放射線検出器10Aに入射したβ線Lの内、より高いエネルギー帯域のβ線LBの少なくとも一部は、第1のシンチレータ20Aを透過し、第2のシンチレータ20Bへ到る。
第2のシンチレータ20Bへ入射したβ線LBは、第2のシンチレータ20Bによって第2のシンチレーション光S2に変換される。第2のシンチレータ20Bで変換された第2のシンチレーション光S2は、第2の光電変換層24Bへ到る。第2の光電変換層24Bは、第1の実施の形態と同様に、入射した第2のシンチレーション光S2を電荷に変換する。
ここで、本実施の形態では、第2のシンチレータ20Bにおける、β線Lの入射方向Z1の下流側には、第2の反射層30Bが設けられている。このため、第2のシンチレータ20Bで変換され、第2の反射層30Bに到達した第2のシンチレーション光S2は、第2の反射層30Bで反射され、第2のシンチレータ20Bおよび第4の電極層28Bを介して第2の光電変換層24Bへ到る。
このように、第2の反射層30Bを設けることで、第2の光電変換層24Bは、効率よく第2のシンチレーション光S2を電荷に変換することができる。
なお、放射線検出器10Bは、第1の反射層30Aおよび第2の反射層30Bの少なくとも一方を設けた構成であればよい。このため、放射線検出器10Bは、第1の反射層30Aおよび第2の反射層30Bの双方を設けた形態に限定されない。但し、効率よくシンチレーション光Sを電荷に変換する観点から、放射線検出器10Bは、第1の反射層30Aおよび第2の反射層30Bの双方を備えた構成であることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態の放射線検出器10Bは、上記第1の実施の形態の放射線検出器10Aの構成に加えて、第1の反射層30Aおよび第2の反射層30Bの少なくとも一方を備える。
第1の反射層30Aは、第1のシンチレータ20Aのβ線Lの入射方向Z1の上流側に配置され、β線Lの少なくとも一部を透過し、第1のシンチレーション光S1の少なくとも一部を反射する。第2の反射層30Bは、第2のシンチレータ20Bのβ線Lの入射方向Z1の下流側に配置され、第2のシンチレーション光S2の少なくとも一部を反射する。
このため、本実施の形態の放射線検出器10Bは、上記第1の実施の形態の効果に加えて、シンチレーション光Sの電荷への変換効率の向上を図ることができる。
−ハードウェア構成−
次に、上記実施の形態の放射線検出装置1000のハードウェア構成について説明する。図6は、上記実施の形態の放射線検出装置1000のハードウェア構成例を示すブロック図である。
上記実施の形態の放射線検出装置1000は、CPU80、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)84、HDD(Hard Disk Drive)86、I/F部88、および放射線検出器10が、バス90により相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
CPU80は、放射線検出装置1000の全体の処理を制御する演算装置である。RAM84は、CPU80による各種処理に必要なデータを記憶する。ROM82は、CPU80による各種処理を実現するプログラム等を記憶する。HDD86は、上述した記憶部14に格納されるデータを記憶する。I/F部88は、外部装置や外部端末に通信回線等を介して接続し、接続した外部装置や外部端末との間でデータを送受信するためのインタフェースである。
上記実施の形態の放射線検出装置1000で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、ROM82などに予め組み込んで提供される。
なお、上記実施の形態の放射線検出装置1000で実行されるプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。
また、上記実施の形態の放射線検出装置1000で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記実施の形態の放射線検出装置1000における上記各処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
上記実施の形態の放射線検出装置1000で実行される上記各種処理を実行するためのプログラムは、上述した各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、上記HDD86に格納されている各種情報、すなわち記憶部14に格納されている各種情報は、外部装置(例えばサーバ)に格納してもよい。この場合には、該外部装置とCPU80と、を、I/F部88を介して接続した構成とすればよい。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。