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JP6972899B2 - 酸化亜鉛粒子及びそれを含む樹脂組成物 - Google Patents
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酸化亜鉛粒子及びそれを含む樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、酸化亜鉛粒子及びそれを含む樹脂組成物に関する。より詳しくは、樹脂バリスタの材料として好適に用いることができる酸化亜鉛粒子及びそれを含む樹脂組成物に関する。
バリスタは、2つの端子の間の電圧が低い場合には電気抵抗が高く、ある程度以上の電圧になると急激に電気抵抗が低くなる性質をもつ電子部品であり、他の電子部品を高電圧から保護するためのバイパスとして多くの電子回路で使用されている。
バリスタとしては、Bi、Co、MnO、NiO、Cr、Sb等の金属酸化物を粒子径1μm以下の酸化亜鉛と混合して焼成し、更に粒子同士を焼結させることで得られる、酸化亜鉛が上記添加金属酸化物の絶縁粒界層によって取り囲まれた構造を有する焼結体であるセラミックバリスタが最も一般的であるが、セラミックバリスタは所望の形状に成形することが難しいうえ、焼結による酸化亜鉛のサイズ制御も難しいため、バリスタ特性が不安定なものとなっていた。
成形の自由度を上げるという観点から、酸化亜鉛を主成分とする焼結体、半導電性ウィスカ、触媒及びエポキシ樹脂を含むバリスタ材料や、所定の金属成分を酸化亜鉛に含有させ、非直線抵抗特性を向上させたバリスタ粉末と、例えばエポキシ樹脂とのマトリックス複合体をバリスタとして用いる技術が提案されている(特許文献1、2参照)。これらは、樹脂バリスタあるいはプラスチックバリスタと称される。
また、前記樹脂をポリアセタール樹脂の様な高絶縁性樹脂に置き換え、添加金属酸化物に代わる絶縁層と見なす、つまり、高絶縁性の樹脂に半導体の酸化亜鉛粒子を分散してバリスタ特性を発現する技術が提案されている(特許文献3参照)。
特開2015−101714号公報 特開2008−218749号公報 国際公開第2016/133460号
上記のように、バリスタの成形自由度を高めることを目的とした樹脂バリスタあるいはプラスチックバリスタが提案されているが、組成や粒径の制御が難しく、バリスタ特性が安定しないという問題は解決していない。
また、フィラー全般への親和性が低い高耐熱性樹脂に対して酸化亜鉛を高充填することは容易ではなく、従来のセラミックバリスタに匹敵するバリスタ特性を得ることが出来ていない。このように、従来のバリスタは性能の面で充分とはいえず、更なる改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、優れたバリスタ特性を有し、その特性の安定性に加え、成形性にも優れたバリスタの実現を可能とする材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、特性やその安定性及び成形性に優れたプラスチックバリスタの実現を可能とする材料について検討したところ、所望の性能を得るために、酸化亜鉛粒子を樹脂中に高い割合で含有(高配合と称するときもある)した樹脂組成物を混練、成形加工する過程で、酸化亜鉛粒子は一部が割れたり崩れたりすることを見いだした。通常、酸化亜鉛粒子が樹脂中に均一に分散する程度の量であれば、酸化亜鉛粒子が加工機の機壁が接触する頻度や粒子同士が接触する頻度は非常に少ないが、前述のとおりプラスチックバリスタ中の酸化亜鉛粒子は非常に高い割合で含まれるので、酸化亜鉛粒子と機壁が接触する頻度あるいは、酸化亜鉛粒子同士が接触する頻度が格段に増大するために割れや崩れが発生するものと推定される。更に、粒子の割れ、崩れが発生することにより成形体中の粒子径が不均一となり、ひいてはバリスタ特性の不安定化に繋がる可能性があることを見いだした。
そこで本発明者らは、バリスタ特性を安定化させることができる酸化亜鉛粒子について検討し、酸化亜鉛粒子からなる凝集体、酸化亜鉛粒子と樹脂とが混練された樹脂組成物、又は該樹脂組成物を成形して得られる成形体のいずれかをクロスセクションポリッシャにより切断して断面を走査電子顕微鏡で撮影し、任意に抽出した100個の酸化亜鉛粒子の断面にある0.1μm以上の細孔を数えたとき、断面積100μmあたりの細孔の平均数が8個未満である酸化亜鉛粒子であれば、樹脂との混練加工や成形加工において粒子が破壊され難く、樹脂に対して高い割合で配合することが可能であることを見出した。そして、このような酸化亜鉛粒子を樹脂に高い割合で配合した組成物とすることで、バリスタ特性や特性の安定性に加え、成形性にも優れたバリスタ材料となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、酸化亜鉛粒子からなる凝集体、酸化亜鉛粒子と樹脂とが混練された樹脂組成物、又は該樹脂組成物を成形して得られる成形体のいずれかをクロスセクションポリッシャにより切断して断面を走査電子顕微鏡で撮影し、任意に抽出した100個の酸化亜鉛粒子の断面にある0.1μm以上の細孔を数えたとき、断面積100μmあたりの細孔の平均数が8個未満であることを特徴とする酸化亜鉛粒子である。
本発明はまた、樹脂に対して、本発明の酸化亜鉛粒子を70重量%以上の割合で含む樹脂組成物でもある。
上記樹脂は、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂、または熱分解温度が350℃以上の熱硬化性樹脂のいずれかの高耐熱性樹脂であることが好ましい。
本発明はまた、本発明の樹脂組成物を用いてなるプラスチックバリスタでもある。
本発明の酸化亜鉛粒子は、樹脂に高配合して混練した場合にも割れたり崩れたりすることが少ない強固な粒子であり、この酸化亜鉛粒子を樹脂に高配合した樹脂組成物とすることで、バリスタ特性や特性の安定性、及び、成形性に優れたバリスタ材料とすることができる。
実施例1で得られた酸化亜鉛粒子Aの走査電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例1で得られた酸化亜鉛粒子Aの粒度分布を示した図である。 実施例1で得られた酸化亜鉛粒子Aとマレイミド樹脂とを含む樹脂組成物をプレス成形した後に熱により硬化させたディスク状成形体1の断面写真を示した図である。 実施例1で得られた酸化亜鉛粒子Aとマレイミド樹脂とを含む樹脂組成物をプレス成形した後に熱により硬化させたディスク状成形体1の電流−電圧非直線抵抗特性グラフを示した図である。 実施例1で得られたディスク状成形体1から樹脂成分を除去した残分の走査電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例1で得られたディスク状成形体1から樹脂成分を除去した残分の粒度分布を示した図である。 実施例2で得られたディスク状成形体2の電流−電圧非直線抵抗特性グラフを示した図である。 実施例2で得られたディスク状成形体2から樹脂成分を除去した残分の走査電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例2で得られたディスク状成形体2から樹脂成分を除去した残分の粒度分布を示した図である。 実施例3で得られた酸化亜鉛粒子Bの走査電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例3で得られた酸化亜鉛粒子Bの粒度分布を示した図である。 実施例3で得られた酸化亜鉛粒子Bとマレイミド樹脂とを含む樹脂組成物をプレス成形した後に熱により硬化させたディスク状成形体3の断面写真を示した図である。 実施例3で得られたディスク状成形体3の電流−電圧非直線抵抗特性グラフを示した図である。 実施例3で得られたディスク状成形体3から樹脂成分を除去した残分の走査電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例3で得られたディスク状成形体3から樹脂成分を除去した残分の粒度分布を示した図である。 実施例4で得られた酸化亜鉛粒子Cの走査電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例4で得られた酸化亜鉛粒子Cの粒度分布を示した図である。 実施例4で得られた酸化亜鉛粒子Cとポリアミド66樹脂とを含む樹脂組成物を熱プレス成形したディスク状成形体4の断面写真を示した図である。 実施例4で得られた酸化亜鉛粒子Cとポリアミド66樹脂とを含む樹脂組成物を熱プレス成形したディスク状成形体4の電流−電圧非直線抵抗特性グラフを示した図である。 実施例4で得られたディスク状成形体4から樹脂成分を除去した残分の走査電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例4で得られたディスク状成形体4から樹脂成分を除去した残分の粒度分布を示した図である。 比較例1で得られた酸化亜鉛粒子Eの走査電子顕微鏡写真を示した図である。 比較例1で得られた酸化亜鉛粒子Eの粒度分布を示した図である。 比較例1で得られた酸化亜鉛粒子Eとポリアミド66樹脂とを含む樹脂組成物を熱プレス成形した比較ディスク状成形体1の断面写真を示した図である。 比較例1で得られた酸化亜鉛粒子Eとポリアミド66樹脂とを含む樹脂組成物を熱プレス成形した比較ディスク状成形体1の電流−電圧直線抵抗特性グラフを示した図である。 比較例1で得られた比較ディスク状成形体1から樹脂成分を除去した残分の走査電子顕微鏡写真を示した図である。 比較例1で得られた比較ディスク状成形体1から樹脂成分を除去した残分の粒度分布を示した図である。 比較例2で得られた酸化亜鉛粒子Fの走査電子顕微鏡写真を示した図である。 比較例2で得られた酸化亜鉛粒子Fの粒度分布を示した図である。 比較例2で得られた酸化亜鉛粒子Fとポリアミド66樹脂とを含む樹脂組成物を熱プレス成形した比較ディスク状成形体2の断面写真を示した図である。 比較例2で得られた酸化亜鉛粒子Fとポリアミド66樹脂とを含む樹脂組成物を熱プレス成形した比較ディスク状成形体2の電流−電圧直線抵抗特性グラフを示した図である。 比較例2で得られた比較ディスク状成形体2から樹脂成分を除去した残分の走査電子顕微鏡写真を示した図である。 比較例2で得られた比較ディスク状成形体2から樹脂成分を除去した残分の粒度分布を示した図である。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1.酸化亜鉛粒子
本発明の酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子からなる凝集体、酸化亜鉛粒子と樹脂とが混練された樹脂組成物、又は該樹脂組成物を成形して得られる成形体のいずれかをクロスセクションポリッシャにより切断して断面を走査電子顕微鏡で撮影し、任意に抽出した100個の酸化亜鉛粒子の断面にある0.1μm以上の細孔を数えたとき、断面積100μmあたりの細孔の平均数が8個未満であることを特徴とする。
酸化亜鉛粒子と樹脂とを混練したり成形加工する際に酸化亜鉛粒子が割れたり崩れたりすることはバリスタ特性の低下や特性の安定性の低下の原因となるが、このような条件を満たす酸化亜鉛粒子は、樹脂と混練したり成形加工する場合に割れたり崩れたりすることが少ない。このため、本発明では酸化亜鉛粒子を樹脂に高配合することができ、しかもその場合にも粒子の割れや崩れが少ないため、バリスタ特性や特性の安定性、及び成形性に優れた材料を得ることができる。
走査電子顕微鏡で撮影した酸化亜鉛粒子の断面における細孔数の計測は、例えば酸化亜鉛粒子をプレス機などで押し固めて凝集体とした酸化亜鉛粒子に対して行ってもよく、酸化亜鉛粒子と樹脂とが混練された樹脂組成物に対して行ってもよく、樹脂組成物を成形して得られる成形体に対して行ってもよい。
また本発明において、「0.1μm以上の細孔」とは、細孔の外周上の2点間の距離の最大値が0.1μm以上となる細孔を意味する。
なお、本発明において酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子1個を指す場合と酸化亜鉛粒子からなる粉体を指す場合があり、樹脂と混練する材料としての酸化亜鉛粒子という場合には、酸化亜鉛粒子からなる粉体を指す。
本発明の酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子からなる凝集体、酸化亜鉛粒子と樹脂とが混練された樹脂組成物、又は該樹脂組成物を成形して得られる成形体のいずれかをクロスセクションポリッシャにより切断して断面を走査電子顕微鏡で撮影し、任意に抽出した100個の酸化亜鉛粒子の断面にある0.1μm以上の細孔を数えたとき、断面積100μmあたりの細孔の平均数が8個未満であればよいが、細孔の平均数は7個未満であることが好ましい。より好ましくは、6個未満であり、更に好ましくは、5個未満であり、特に好ましくは、4個未満である。
本発明の酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子と樹脂とが混練された樹脂組成物、又は該樹脂組成物を成形して得られる成形体のいずれかをクロスセクションポリッシャにより切断して断面を走査電子顕微鏡で撮影し、任意に抽出した100個の酸化亜鉛粒子の断面にある0.1μm以上の細孔を数えたとき、断面積100μmあたりの細孔数が8個未満となる粒子の割合が60%以上であることが好ましい。このような条件を満たす酸化亜鉛粒子は、より強固な粒子であるといえ、プラスチックバリスタの材料としてより好適なものとなる。
上記割合は、より好ましくは、70%以上であり、更に好ましくは、80%以上である。
本発明の酸化亜鉛粒子は、平均粒子径が1〜100μmであることが好ましい。このような平均粒子径であることで、樹脂に対して高濃度で配合することが可能になるとともに、樹脂と混練して得られる材料が良好かつ安定したバリスタ特性を有するものとなる。
酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、より好ましくは、1〜80μmであり、更に好ましくは、5〜60μmである。
酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の酸化亜鉛粒子は、粒度分布におけるD95/D10が3.5未満であることが好ましい。酸化亜鉛粒子がこのような粒度分布のものであると、樹脂と混練した際の均一分散性により優れたものとなり、そのような酸化亜鉛粒子を用いて作製したプラスチックバリスタがよりバリスタ特性や特性の安定性に優れたものとなる。
粒度分布におけるD95/D10は、より好ましくは、3.3未満であり、更に好ましくは、3.1未満であり、特に好ましくは、2.8未満であり、最も好ましくは、2.5未満である。
酸化亜鉛粒子の粒度分布は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
上記酸化亜鉛粒子は、樹脂との混練加工前の該酸化亜鉛粒子の粒度分布のD50を(a)とし、i)ポリアミド66樹脂30重量%以下と該酸化亜鉛粒子を70重量%以上からなる樹脂組成物を二軸押出機(混練温度200〜600℃、滞留時間1分)で混練し、プレス機(成形温度200〜600℃、プレス圧25MPa)で熱プレス成形したもの、または、ii)マレイミド樹脂組成物30重量%以下と該酸化亜鉛粒子を70重量%以上からなる樹脂組成物を2本ロール(混練温度20〜600℃)で25分間混練し、混練物をプレス機(加熱なし、25MPa)で成形した後、20〜600℃で熱硬化処理を行ったもの、のいずれかを、大気中500〜900℃で加熱することにより樹脂成分を焼却除去し、焼却残分の粒度分布を測定した時のD50を(b)としたとき、(a−b)/a×100により求まる値(以後、樹脂混練試験前後の変化率という)が10未満であることが好ましい。
焼却残分は加工時に割れ、崩れが起こった、あるいは起こらなかった、酸化亜鉛粒子と考えられるので、上記値は樹脂との混練及び成形加工後に酸化亜鉛粒子が形状を維持している割合を示す。
上記値が10未満であればよいが、8未満であることが好ましい。より好ましくは、6未満であり、更に好ましくは、4未満である。
2.酸化亜鉛粒子の製造方法
本発明の酸化亜鉛粒子の製造方法は特に制限されないが、原料酸化亜鉛と融剤を混合する工程と、該混合物を乾燥して造粒する工程と、その造粒物を焼成する工程とを含む製造方法で製造することが好ましい。
融剤としては、ハロゲン成分が含まれていない有機酸、有機酸の金属塩、無機酸、有機塩基、無機塩基であれば特に制限は無いが、例えば、酢酸、ポリカルボン酸塩、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、スベリン酸、マレイン酸、マゼライン酸、セバシン酸、アコニット酸、トリメリト酸、硝酸、硫酸、過酸化水素、アンモニア、ピリジン、ピペラジン、イミダゾール、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛などの亜鉛塩等の1種又は2種以上を用いることができる。
融剤の使用量は、原料酸化亜鉛100質量%に対して、0.1〜20質量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10質量%である。
原料酸化亜鉛と融剤を混合する際、原料酸化亜鉛をスラリーの状態として融剤を混合することが好ましい。スラリーにするための溶剤は水(イオン交換水、精製水、蒸留水)が好ましい。このとき、ポリカルボン酸アンモニウム塩などの分散剤を用いてもよい。
原料酸化亜鉛と融剤を混合した後、乾燥する方法は特に制限されないが、原料酸化亜鉛スラリーと融剤の混合物であればスプレードライヤーによる噴霧乾燥が好ましく、水分を含む原料酸化亜鉛と融剤を、スパルタンリューザー、スパルタンミキサー、ヘンシェルミキサー、マルメライザーなどにより造粒した後、加熱、あるいは減圧乾燥機による静置乾燥等を行ってもよい。
原料酸化亜鉛と融剤との混合物を乾燥して得られた造粒物を焼成する温度は、1210〜1600℃であることが好ましい。このような温度で焼成することで、粒子内部の細孔が減り、緻密に焼結した強固な酸化亜鉛粒子とすることができる。焼成する温度は、より好ましくは、1220〜1500℃であり、更に好ましくは、1230〜1400℃である。
原料酸化亜鉛と融剤との混合物を乾燥して得られた造粒物を焼成する時間は、最高温度に達してからの保持時間が0.5〜10時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜6時間であり、更に好ましくは、2〜4時間である。
上記酸化亜鉛粒子の製造方法は、上述した以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、篩、水簸、気流分級機等を用いた分級工程等が挙げられる。
上記酸化亜鉛粒子は、樹脂との親和性の向上や、酸化亜鉛粒子表面の体積抵抗率を変化させてバリスタ特性を任意に制御する目的で、表面処理を施したものであってもよい。上記表面処理としては特に限定されず、ケイ素酸化物、ケイ素酸化物の水和物、アルミニウムの酸化物及びアルミニウムの水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物による皮膜を形成させる表面処理、有機化合物による表面処理、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤による表面処理等を挙げることができる。また、これらの2種以上の表面処理を組み合わせて行うものであってもよい。
カップリング剤としては、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトシキシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトシキシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクタンジオレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等のチタンカップリング剤を挙げることができる。また、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトシキシラン、メチルハイドロジェンシロキサン等のシラン系表面処理剤も挙げることができる。上記以外のカップリング剤として使用できる有機化合物としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;等が挙げられる。カップリング剤による表面処理では、カップリング剤を1種用いてもよく、2種以上組合わせて用いてもよい。
3.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、樹脂に対して、本発明の酸化亜鉛粒子を70重量%以上の割合で含むことを特徴とする。このような樹脂組成物は、バリスタ特性や特性の安定性、成形加工性に優れることから、プラスチックバリスタの材料として好適に用いることができる。樹脂組成物中の酸化亜鉛粒子の割合は、72重量%以上であることが好ましい。より好ましくは、74重量%以上である。また、成形加工性の観点から、96重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、94重量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、高耐熱性樹脂を含むことが好ましい。そのような樹脂としては、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂、または熱分解温度が350℃以上の熱硬化性樹脂のいずれかの高耐熱性樹脂が好適である。
プラスチックバリスタに用いる樹脂の耐熱性が低い場合には、雷サージによる発熱や、高温下に晒される環境によっては樹脂が変質、劣化してしまい、バリスタ特性が失われる恐れがあるところ、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂、または熱分解温度が350℃以上の熱硬化性樹脂のいずれかの高耐熱性樹脂を用いることで、このような恐れを低減することが可能となる。
融点が200℃以上の熱可塑性樹脂、または熱分解温度が350℃以上の熱硬化性樹脂のいずれかの高耐熱性樹脂は一般的にフィラー全般に対する親和性が低いためフィラーを高配合することが難しく、酸化亜鉛の配合割合が低い高耐熱性樹脂は電流−電圧特性が直線抵抗特性となり易く、バリスタ特性が発現しない場合がある。しかし本発明の酸化亜鉛粒子は、高耐熱性樹脂に対しても高配合することが可能であるため、バリスタ特性に優れ、かつ、高温環境下で特性を失わないプラスチックバリスタを作製することが可能である。
融点が200℃以上の熱可塑性樹脂、または熱分解温度が350℃以上の熱硬化性樹脂のいずれかの高耐熱性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、マレイミド、チオール変性マレイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、エチレン−テトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、酢酸セルロース、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、ポリジアリルフタレート、シリコーン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては融点が210℃以上のものが好ましく、融点が220℃以上のものがより好ましい。また、熱硬化性樹脂としては熱分解温度が360℃以上のものが好ましく、熱分解温度が370℃以上のものが更に好ましい。
上記高耐熱樹脂はまた、体積抵抗率が1011Ωcm以上の樹脂であることが好ましい。このような高い絶縁性樹脂を含むと、樹脂組成物がバリスタの材料としてより好適なものとなる。より好ましくは、体積抵抗率が1012Ωcm以上の樹脂であり、更に好ましくは、体積抵抗率が1013Ωcm以上の樹脂である。
本発明の樹脂組成物は、上記高耐熱樹脂以外にプラスチックバリスタとしての性能を損なわない範囲でその他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、アクリロニトリルスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリアセタール、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル系樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ニトロセルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンエーテル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリフェニレンオキサイド、熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の樹脂組成物が高耐熱性樹脂を含むと、組成物から得られるバリスタは電流値が1mAとなる電圧と電流値が9.9mAとなる電圧との比(V9.9mA/V1mA)がより低いものとなり、非直線抵抗特性により優れたものとなる。
9.9mA/V1mAは、2.8以下であることが好ましい。より好ましくは、2.5以下であり、更に好ましくは、2.2以下である。
本発明の樹脂組成物は、樹脂及び本発明の酸化亜鉛粒子以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、射出成形や熱プレス成形時に使用する離型剤、顔料等が挙げられる。また本発明で熱硬化性樹脂を使用した場合、失活した重合開始剤や硬化促進剤を意図せず含むことがある。
その他の成分の含有量は、樹脂組成物全体100質量%に対して、1.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、樹脂と本発明の酸化亜鉛粒子等を混練して製造することができる。混練する際の温度や時間、混練速度は使用する樹脂の種類等に応じて適宜調整すればよいが、熱硬化性樹脂と本発明の酸化亜鉛粒子等を混練する場合、混練する温度は、20〜600℃であることが好ましく、100〜400℃であることがより好ましい。また熱可塑性樹脂と本発明の酸化亜鉛粒子等を混練する場合、混練する温度は、200〜600℃であることが好ましい。
混練する時間は、5〜60分であることが好ましく、より好ましくは、10〜40分である。
混練速度を回転数で制御する場合は5〜600rpmであることが好ましく、より好ましくは、10〜300rpmである。
混練用の装置としては、加熱機構を備えたバンバリミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ニーダー、2〜4本ロール、押出機などが挙げられる。
4.プラスチックバリスタ
本発明はまた、本発明の樹脂組成物を用いてなるプラスチックバリスタでもある。プラスチックバリスタは、本発明の樹脂組成物を熱プレス成形や射出成形、押出形成、ロール成形、ブロー成形、圧縮成形、シートモールディングコンパウンド成形、バルクモールディングコンパウンド成形、トランスファー成形、真空成形、圧空成形、カレンダー成形、3次元プリンター成形等により成形加工して作製することができる。
上述したとおり、本発明の樹脂組成物は、樹脂に対して本発明の酸化亜鉛粒子を高配合したものであり、本発明の酸化亜鉛粒子はプレス成形時にも粒子の割れや崩れが少ないため、本発明の樹脂組成物を用いてなるプラスチックバリスタはバリスタ特性や安定性、及び、成形性に優れたものとなる。
本発明の樹脂組成物を熱プレス成形により成形加工する際の成形温度や成形圧力、成形時間は樹脂組成物が含む樹脂の種類等に応じて適宜調整すればよいが、成形温度は、150〜600℃が好ましく、200〜400℃がより好ましい。
また成形圧力は、5〜400MPaが好ましく、10〜300MPaがより好ましい。
成形時間は0.1〜30分であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜15分である。
また、熱硬化性樹脂を用いてプラスチックバリスタを製造する場合、上記本発明の樹脂組成物を成形加工する工程の後に、更に成形加工して得られる成形品を硬化させる工程を行ってもよい。
硬化させる工程における硬化温度は、樹脂の耐熱性にもよるが、20〜600℃が好ましく、100〜400℃がより好ましい。
また硬化時間は、10〜1200分であることが好ましく、より好ましくは、60〜600分である。
本発明のプラスチックバリスタは、バリスタ特性や安定性、及び、成形性に優れたものであることから、雷サージ防護デバイス等の各種電子機器の部品として好適に用いることができる。
上記酸化亜鉛粒子は、上述した、樹脂との混練加工前の該酸化亜鉛粒子の粒度分布のD50を(a)、該酸化亜鉛粒子と所定の樹脂との組成物に所定の処理を行って樹脂成分を焼却除去した後の焼却残分の粒度分布を測定した時のD50を(b)としたとき、(a−b)/a×100より求まる値が10未満であることが好ましい。
より具体的には、例えば、ポリアミド66樹脂(旭化成ケミカルズ社製レオナ1300S、融点260℃)10重量%と該酸化亜鉛粒子を90重量%からなる樹脂組成物を二軸押出機(混練温度280℃、滞留時間1分)で混練し、プレス機(成形温度280℃、プレス圧25MPa)で熱プレス成形したもの、または、マレイミド樹脂組成物(大和化成工業社製BMI−1100Hと大和化成工業社製DABPAを3対1のモル比で混合したもの。硬化物の熱分解温度440℃)12.5重量%と該酸化亜鉛粒子を87.5重量%からなる樹脂組成物を2本ロール(混練温度140℃)で25分間混練し、混練物をプレス機(加熱なし、25MPa)で成形した後、180℃で2時間、続いて200℃で2時間、続いて230℃で2時間、続いて250℃で2時間熱硬化処理を行ったもの、のいずれかを、大気中500〜900℃で加熱することにより樹脂成分を焼却除去し、焼却残分の粒度分布を測定した時のD50を(b)としたとき(a−b)/a×100より求まる値が10未満であることである。
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」は「質量%(重量%)」を、「部」は「質量部(重量部)」を、それぞれ意味する。
各種測定は以下のようにして行った。
<電子顕微鏡写真撮影>
酸化亜鉛粒子の外観は、走査電子顕微鏡JSM−6510A(日本電子社製)で観察した。酸化亜鉛粒子の断面は、混練物または成形体をクロスセクションポリッシャ(日本電子社製)により切断し、走査電子顕微鏡JSM−7000F(日本電子社製)で観察した。
<比表面積測定>
比表面積(%)は、全自動BET比表面積測定装置Macsorb Model HM−1200(Mountech社製)により測定した。
<ZnO純度測定>
ZnO純度(%)は、蛍光X線分析装置ZSX PrimusII(理学電機工業社製)により測定した。
<粒度分布、加工変化率測定>
本明細書において、D50、D10、D95は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置マイクロトラックMT−3300 EXII(日機装社製)によって測定した体積換算径の値である。測定時の溶媒として水を用いて測定を行った。
また、加工変化率は以下の様に測定した。
ポリアミド66樹脂(旭化成ケミカルズ社製レオナ1300S、融点260℃)10重量%と酸化亜鉛粒子90重量%からなる樹脂組成物を二軸押出機(混練温度280℃、滞留時間1分)で混練し、プレス機(成形温度280℃、プレス圧25MPa)で熱プレス成形してディスク状の成形体としたもの、または、マレイミド樹脂組成物(大和化成工業社製BMI−1100Hと大和化成工業社製DABPAを3対1のモル比で混合したもの、硬化物の熱分解温度440℃)12.5重量%と酸化亜鉛粒子を87.5重量%からなる樹脂組成物を2本ロール(混練温度140℃)で25分間混練し、混練物をプレス機(加熱なし、25MPa)で成形した後、180℃で2時間、続いて200℃で2時間、続いて230℃で2時間、続いて250℃で2時間熱硬化処理を行いディスク状の成形体にしたもの、のいずれかを試験に用いた。
加工変化率(%)は、樹脂との混練加工前の該酸化亜鉛粒子の粒度分布のD50を(a)とし、前記成形加工によって得られる成形体の樹脂成分を500〜900℃で焼却除去することによって得られる該酸化亜鉛粒子の粒度分布のD50を(b)としたとき、(a−b)/a×100により求められる。ここで、焼却除去の温度が500℃未満であると樹脂が残存する可能性があり、900℃を超えると粒子が融着して変化率が正確に測定出来ない恐れがある。
加工変化率(%)の算出において、加工前後で酸化亜鉛粒子が殆ど変化しなかった場合の粒度分布測定の際、測定ばらつきの影響でaよりもbの値が僅かに大きくなり、加工変化率の値がマイナスとなる場合がある。このときの値が0〜−0.1であれば測定ばらつきの範囲であるため加工変化率は0とする。−0.1を下回る場合は再測定を行う。
<電流−電圧非直線抵抗特性測定>
耐電圧試験器TOS5051A(菊水電子工業社製)によって測定した。なお、実施例、比較例のうち電流−電圧非直線抵抗特性を示すものには〇、非直線抵抗特性を示さず単純な直線抵抗特性となったものは×として表1に記載した。
実施例1
微細酸化亜鉛(堺化学工業社製、比表面積:10m/g)10kgを純水にリパルプし、酸化亜鉛濃度が200g/Lとなるスラリーを調製し、続いて酢酸61.5g(酸化亜鉛に対して0.615重量%)、ポイズ532A(花王社製、ポリカルボン酸アンモニウム塩)250g(酸化亜鉛に対し2.5重量%)を添加した。続いて、噴霧乾燥による造粒物を1250℃で3時間焼成することで、粒子径25.79μm、ZnO純度99.5%の酸化亜鉛粒子Aを得た。得られた酸化亜鉛粒子Aの走査電子顕微鏡写真を図1、粒度分布を図2に示した。
得られた上記酸化亜鉛粒子Aをマレイミド樹脂組成物(大和化成工業社製BMI−1100Hと大和化成工業社製DABPAを3対1のモル比で混合したもの、硬化物の熱分解温度440℃)にフィラー充填率87.5重量%(60体積%)となるように計量し、2本ロール(東洋精機製作所社製デスクトップロールミル)で混練温度140℃、混練速度20rpm、混練時間25分で混練し、混練物をプレス機(加熱なし、成形圧力25MPa、成形時間10分)にて成形した。その後、箱型乾燥機にて180℃で2時間、続いて200℃で2時間、続いて230℃で2時間、続いて250℃で2時間熱硬化処理を行うことによってディスク状成形体1(直径20mm×厚み2.5mm)を得た。ディスク状成形体1をクロスセクションポリッシャにより切断した断面の写真を図3に示した。ディスク状成形体1の断面写真から、粒子を100個任意に抽出し、面積100μmあたりの0.1μm以上の細孔の数を確認したところ、全て8個未満であり、平均は、3.2個であった。
このディスク状成形体1の電流−電圧非直線抵抗特性を以下の方法により測定した。得られた電流−電圧非直線抵抗特性のグラフを図4に示した。またV9.9mA/V1mAは1.18となった。また成形体10個当りのV1mAの平均値に対する変化幅(%)は、−13.8〜13.3となった。
更にディスク状成形体1を800℃で3時間焼成することにより樹脂成分を除去し、残分を走査電子顕微鏡で観察したところ、製造直後の酸化亜鉛粒子Aの形態と変化がなく、加工変化率は0.50%であった。このことから、得られた酸化亜鉛粒子は堅牢、強固な酸化亜鉛粒子であることが確認された。抽出した残分の走査電子顕微鏡写真を図5、粒度分布を図6に示した。酸化亜鉛粒子や酸化亜鉛粒子を含む樹脂組成物の調製条件、成形体の成形条件や各種物性の測定結果等を表1に示した。
実施例2
実施例1で得られた酸化亜鉛粒子Aをポリアミド66樹脂(旭化成ケミカルズ社製レオナ1300S、融点260℃)にフィラー充填率90.0重量%(65体積%)となるように計量し、二軸押出機(東洋精機製作所社製ラボプラストミル)で混練温度280℃、混練速度40rpm、混練時間1分で混練し、プレス機にて成形温度280℃、成形圧力25MPa、成形時間5分で熱プレス成形してディスク状成形体2(直径22mm×厚み2.5mm)を得た。ディスク状成形体2をクロスセクションポリッシャにより切断した断面の写真から、粒子を100個任意に抽出し、面積100μmあたりの0.1μm以上の細孔の数を確認したところ、全て8個未満であり、平均は、3.4個であった。
得られたディスク状成形体2について、電流−電圧非直線抵抗特性を測定した。得られた電流−電圧非直線抵抗特性のグラフを図7に示した。またV9.9mA/V1mAは1.75となった。また成形体10個当りのV1mAの平均値に対する変化幅(%)は、−16.7〜16.7となった。
更にディスク状成形体2を800℃で3時間焼成することにより樹脂成分を除去し、残分を走査電子顕微鏡で観察したところ、製造直後の酸化亜鉛粒子Aの形態と変化がなく、加工変化率は1.20%であった。このことから、ディスク状成形体2中においても、酸化亜鉛粒子は堅牢、強固な状態を維持していることが確認された。抽出した残分の走査電子顕微鏡写真を図8、粒度分布を図9に示した。酸化亜鉛粒子や酸化亜鉛粒子を含む樹脂組成物の調製条件、成形体の成形条件や各種物性の測定結果等を表1に示した。
実施例3
実施例1で得られた酸化亜鉛粒子Aに対し、気流分級機ターボクラシファイアTC−25M(日清エンジニアリング社製)を用いて気流分級することにより、粒子径27.09μm、ZnO純度99.5%の酸化亜鉛粒子Bを得た。得られた酸化亜鉛粒子Bの走査電子顕微鏡写真を図10、粒度分布を図11に示した。得られた上記酸化亜鉛粒子Bを用い、表1記載の成型条件にした以外は実施例1と同様の方法で成型し、表1記載の大きさのディスク状成形体3を得た。得られたディスク状成形体3をクロスセクションポリッシャにより切断した断面の写真を図12に、電流−電圧非直線抵抗特性を測定した結果のグラフを図13に示した。また、実施例1と同様の方法によりディスク状成形体3を焼成して樹脂成分を除去した後の残分の走査電子顕微鏡写真を図14、粒度分布を図15に示した。
得られたディスク状成形体3に対して実施例1と同様の方法で行った測定結果等を表1に示す。
実施例4
微細酸化亜鉛(堺化学工業社製、比表面積:10m/g)10kgを純水にリパルプし、酸化亜鉛濃度が600g/Lとなるスラリーを調製し、続いて酢酸61.5g(酸化亜鉛に対して0.615重量%)、ポイズ532A(花王社製、ポリカルボン酸アンモニウム塩)350g(酸化亜鉛に対し3.5重量)%を添加した。続いて、噴霧乾燥による造粒品を1250℃で3時間焼成することで、粒子径41.09μm、ZnO純度99.7%の酸化亜鉛粒子Cを得た。得られた酸化亜鉛粒子Cの走査電子顕微鏡写真を図16、粒度分布を図17に示した。また、得られた酸化亜鉛粒子Cを用い、表1記載の成型条件にした以外は実施例2と同様の方法で成型し、表1記載の大きさのディスク状成形体4を得た。得られたディスク状成形体4をクロスセクションポリッシャにより切断した断面の写真を図18に、電流−電圧非直線抵抗特性を測定した結果のグラフを図19に示した。また、実施例1と同様の方法によりディスク状成形体4を焼成して樹脂成分を除去した後の残分の走査電子顕微鏡写真を図20、粒度分布を図21に示した。
得られたディスク状成形体4に対して実施例2と同様の方法で行った測定結果等を表1に示す。
実施例5
微細酸化亜鉛(堺化学工業社製、比表面積:10m/g)10kgを純水にリパルプし、酸化亜鉛濃度が200g/Lとなるスラリーを調製し、続いて酢酸61.5g(酸化亜鉛に対して0.615重量%)、ポイズ532A(花王社製、ポリカルボン酸アンモニウム塩)250g(酸化亜鉛に対し2.5重量%)を添加した。続いて、噴霧乾燥による造粒を行い、1220℃で3時間焼成することで、粒子径23.62μm、ZnO純度99.5%の酸化亜鉛粒子Dを得た。
得られた上記酸化亜鉛粒子Dを用い、表1記載の成型条件にした以外は実施例2と同様の方法で成型し、表1記載の大きさのディスク状成形体5を得た。
得られたディスク状成形体5に対して実施例2と同様の方法で行った測定結果等を表1に示す。
比較例1
微細酸化亜鉛(堺化学工業社製、比表面積:10m/g)10kgを純水にリパルプし、酸化亜鉛濃度が200g/Lとなるスラリーを調製し、続いて酢酸61.5g(酸化亜鉛に対して0.615重量%)、ポイズ532A(花王社製、ポリカルボン酸アンモニウム塩)250g(酸化亜鉛に対し2.5重量%)を加えて噴霧乾燥した造粒品を、1100℃で3時間焼成することで、粒子径22.24μm、ZnO純度99.4%の酸化亜鉛粒子Eを得た。得られた酸化亜鉛粒子Eの走査電子顕微鏡写真を図22、粒度分布を図23に示した。
得られた酸化亜鉛粒子Eを280℃の耐熱性を有するポリアミド66樹脂(旭化成ケミカルズ社製レオナ1300S、融点260℃)にフィラー充填率90.0重量%(65体積%)となるように計量し、二軸押出機(東洋精機製作所社製ラボプラストミル)で混練温度280℃、混練速度40rpm、混練時間1分で混練し、プレス機にて成形温度280℃、成形圧力25MPa、成形時間5分で熱プレス成形して比較ディスク状成形体1(直径22mm×厚み2.5mm)を得た。比較ディスク状成形体1をクロスセクションポリッシャにより切断した断面の写真を図24に示した。比較ディスク状成形体1の断面写真から、粒子を100個任意に抽出し、面積100μmあたりの0.1μm以上の細孔の数を確認したところ、20個であり、細孔の平均数は、24.3個であった。
この比較ディスク状成形体1の電流−電圧非直線抵抗特性を上記と同じ方法により測定したところ、電流−電圧特性は単純な直線抵抗特性を示し、バリスタ特性を得ることが出来なかった。電流−電圧直線抵抗特性を示したグラフを図25に示した。V9.9mA/V1mAは3.40となった。また成形体10個当りのV1mAの平均値に対する変化幅(%)は、−63.0〜66.7となった。
更に比較ディスク状成形体1を800℃で3時間焼成することにより樹脂成分を除去し、残分を走査電子顕微鏡で観察したところ、製造直後の酸化亜鉛粒子Eと比べて酸化亜鉛粒子が割れて崩れている様子が観察され、更に加工変化率は17.22%であった。このことから、酸化亜鉛粒子Eは堅牢、強固な酸化亜鉛粒子となっていないことが確認された。抽出した残分の走査電子顕微鏡写真を図26、粒度分布を図27に示した。酸化亜鉛粒子や酸化亜鉛粒子を含む樹脂組成物の調製条件、成形体の成形条件や各種物性の測定結果等を表1に示した。
比較例2
微細酸化亜鉛(堺化学工業社製、比表面積:10m/g)10kgを純水にリパルプし、酸化亜鉛濃度が200g/Lとなるスラリーを調製し、続いて酢酸61.5g(酸化亜鉛に対して0.615重量%)、ポイズ532A(花王社製、ポリカルボン酸アンモニウム塩)250g(酸化亜鉛に対し2.5重量%)加えて噴霧乾燥した造粒品を行い、1200℃で3時間焼成することで、粒子径22.26μm、ZnO純度99.4%の酸化亜鉛粒子Fを得た。得られた酸化亜鉛粒子Fの走査電子顕微鏡写真を図28、粒度分布を図29に示した。
得られた酸化亜鉛粒子Fを用いたこと以外は比較例1と同様にポリアミド66樹脂と混練して得られた混練物をクロスセクションポリッシャにより切断した断面の写真を図30に示した。また、表1記載の成型条件にした以外は比較例1と同様の方法で成型し、表1記載の大きさの比較ディスク状成形体2を得た。得られた比較ディスク状成形体2の電流−電圧非直線抵抗特性を測定したところ、電流−電圧特性は単純な直線抵抗特性を示し、バリスタ特性を得ることが出来なかった。電流−電圧直線抵抗特性を示した結果のグラフを図31に示した。また、比較例1と同様の方法により比較ディスク状成形体2を焼成して樹脂成分を除去した後の残分の走査電子顕微鏡写真を図32、粒度分布を図33に示した。
得られた比較ディスク状成形体2成形体に対して比較例1と同様の方法で行った測定結果等を表1に示す。
Figure 0006972899
実施例1〜5より、任意に抽出した100個の酸化亜鉛粒子の走査電子顕微鏡で撮影した断面写真から、断面にある0.1μm以上の細孔を数えたとき、断面積100μmあたりの細孔の平均数が8個未満となる酸化亜鉛粒子は、樹脂との混練加工及び成形加工において粒子が破壊されない堅牢、強固な酸化亜鉛粒子であり、加工変化率が低いことが確認された。また、このような酸化亜鉛粒子を融点が200℃以上の熱可塑性樹脂、または熱分解温度が350℃以上の熱硬化性樹脂のいずれかの高耐熱性樹脂に対し70重量%以上で充填、混練、成形することにより、良好なバリスタ特性を発現する成形体が得られることが確認された。更に、実施例3より、このような堅牢、強固な酸化亜鉛粒子の粒度分布におけるD95/D10が小さくなるほど、すなわち、粒子径が均一であるほど、V1mAの値が安定する、すなわち、成形体10個当りのV1mAの平均値に対する変化幅(%)を小さくできることが確認された。また、プレス成形時、または熱プレス成形時にきれいなディスク上状成形体を成形し易かった。成形時の樹脂流動性が高いと考えられることから、樹脂に対し酸化亜鉛粒子がきれいに分散していると推定される。
一方、比較例1、2より、上記細孔平均数が8個以上となる酸化亜鉛粒子は、堅牢、強固な酸化亜鉛粒子とはならず、樹脂との混練・成形加工の工程において酸化亜鉛粒子が破壊されてしまい、加工変化率も高いものとなった。そしてこのような酸化亜鉛粒子と樹脂との混練・成形加工によって得られた成形体は、良好なバリスタ特性を有するものではないことが確認された。さらに、比較例1の酸化亜鉛粒子を含む樹脂組成物は熱プレス成形時にきれいなディスク状成形体が成形しにくく、一部ひけ(欠け)やボイドがでることが多かった。ポリアミド樹脂に対する酸化亜鉛粒子の分散性が悪く樹脂の流動性が低いことが推測された。

Claims (4)

  1. 酸化亜鉛粒子からなる凝集体、酸化亜鉛粒子と樹脂とが混練された樹脂組成物、又は該樹脂組成物を成形して得られる成形体のいずれかをクロスセクションポリッシャにより切断して断面を走査電子顕微鏡で撮影し、任意に抽出した100個の酸化亜鉛粒子の断面にある0.1μm以上の細孔を数えたとき、断面積100μmあたりの細孔の平均数が8個未満であることを特徴とする酸化亜鉛粒子。
  2. 前記樹脂に対して、請求項1に記載の酸化亜鉛粒子を70重量%以上の割合で含むことを特徴とする樹脂組成物。
  3. 前記樹脂は、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂、または熱分解温度が350℃以上の熱硬化性樹脂のいずれかの高耐熱性樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項2又は3に記載の樹脂組成物を用いてなることを特徴とするプラスチックバリスタ。
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