JP6973443B2 - 石膏の製造方法及びセメント組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係る石膏の製造方法のフローを示す模式図である。この製造方法は、排煙脱硫プロセスの一態様である「水酸化マグネシウム−石膏法」を変形し、六価クロムの溶出を抑制し得る石膏を製造できるようにしたものであって、以下の工程を含む。
・水酸化マグネシウムと、二水石膏(硫酸カルシウム)と、水酸化カルシウムとを少なくとも含む第1のスラリーを調製する第1工程。
・二酸化硫黄を含有するガスと、第1のスラリーとを気液接触させることによって、マグネシウムイオンと、硫酸イオン、亜硫酸イオン及び亜硫酸水素イオンの少なくとも一種のイオンと、石膏とを含む第2のスラリーを得る第2工程。
・第2のスラリーを固液分離することによって、石膏を回収するとともに、マグネシウムイオンと、硫酸イオン、亜硫酸イオン及び亜硫酸水素イオンの少なくとも一種のイオンとを含む第3のスラリーを得る第3工程。
・第3のスラリーの少なくとも一部に対して酸化処理を施すことを経ることによって、硫酸マグネシウムを含む第4のスラリーを得る第4工程。
・第4のスラリーに水酸化カルシウムを添加することによって、硫酸マグネシウムから再生された水酸化マグネシウムと、二水石膏と、水酸化カルシウムとを含む第5のスラリーを得る第5工程。
第1工程は、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)と、二水石膏(CaSO4・2H2O)と、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)とを少なくとも含む第1のスラリーを調製する工程である。本実施形態に係る第1のスラリーは、第5工程で得られる第5のスラリーの成分を必要に応じて調整して得られるものであって、ガスに含まれる二酸化硫黄を吸収させるためのものである(第2工程における反応式(1)〜(4)参照)。なお、二酸化硫黄を含むガスの一例として、石炭火力発電所の排ガスが挙げられる。
第2工程は、二酸化硫黄を含有するガスと、第1のスラリーとを気液接触させることによって、マグネシウムイオンと、硫酸イオン、亜硫酸イオン及び亜硫酸水素イオンの少なくとも一種のイオンと、石膏とを含む第2のスラリーを得る工程である。換言すれば、第2工程は「水酸化マグネシウム−石膏法」における吸収工程に相当するものであり、ガスに含まれる二酸化硫黄を理論的には(1)〜(4)の反応と、(5)の反応が同時に進むことによってスラリーに吸収させる工程である。この工程は、水酸化マグネシウム−石膏法で用いられる吸収塔にガス及び第1のスラリーをそれぞれ供給することで実施することができる。なお、理論的には(5)のように亜硫酸石膏が生成する反応が進むが、本実施形態のプロセスではスラリー中に含まれる二水石膏を核として、亜硫酸イオンはこの二水石膏の結晶中にSO4 2−イオンとSO3 2−イオンとが置換する形で取り込まれ、セメント品質に悪影響を及ぼさない形態となると推測される。
H2O+SO2→H2SO3 (1)
H2SO3+Mg(OH)2→MgSO3+2H2O (2)
MgSO3+SO2+H2O→Mg(HSO3)2 (3)
Mg(HSO3)2+Mg(OH)2→2MgSO3+2H2O (4)
SO2+Ca(OH)2→CaSO3・1/2H2O+1/2H2O (5)
第3工程は、第2のスラリーを固液分離することによって、JIS R9101−1995に記載の方法に準じて定量される二酸化硫黄の含有率(SO2量)が0.5〜15質量%である石膏を回収するとともに、マグネシウムイオンと、硫酸イオン、亜硫酸イオン及び亜硫酸水素イオンの少なくとも一種のイオンとを含む第3のスラリーを得る工程である。固液分離処理は、例えば、ハイドロサイクロン、脱水機、フィルタープレスなどを用いて実施することができ、これらのうち、一種を単独で用いてもよく、一種を複数直列に配置して用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
第4工程は、第3のスラリーの少なくとも一部に対して酸化処理を施すことを経ることによって、硫酸マグネシウム(マグネシウムイオン及び硫酸イオン)を含む第4のスラリーを得る工程である。この工程は、水酸化マグネシウム−石膏法で用いられる酸化塔に第3のスラリーを供給することで実施することができる。
MgSO3+1/2O2→MgSO4 (6)
(SO3 2−+1/2O2→SO4 2−)
Mg(HSO3)2+O2→MgSO4+H2SO4 (7)
(2HSO3 −+O2→SO4 2−+H2SO4)
第5工程は、第4のスラリーに水酸化カルシウムを添加することによって、硫酸マグネシウムから再生された水酸化マグネシウムと、二水石膏と、水酸化カルシウムとを含む第5のスラリーを得る工程である。この工程は、水酸化マグネシウム−石膏法で用いられる複分解槽に第4のスラリーを供給することで実施することができる。
MgSO4+Ca(OH)2+H2O→CaSO4・2H2O+Mg(OH)2 (8)
本実施形態に係る石膏は、上記の第3工程において固形分として回収され、二水石膏を主成分として含有するものである。この石膏は、上述のとおり、二酸化硫黄の含有率が所定の範囲(0.5〜15質量%)であり、石膏とセメントクリンカーとを混合してセメント組成物を製造したときに、セメントクリンカーのクロム含有量が比較的高くても、セメントの硬化体から六価クロムが溶出することを十分に抑制できる。なお、石膏全体における二酸化硫黄の含有率が所定の範囲(0.5〜15質量%)となる限りにおいては、二酸化硫黄の含有率が0.5質量%未満の石膏や15質量%超の石膏を更に加えてもよい。
上記石膏と、セメントクリンカーとを混合することによってセメント組成物を製造することができる。六価クロムの溶出をより一層低減する観点から、石膏とセメントクリンカーとを混合する工程において、混合処理とともに粉砕処理も実施することが好ましい。セメントクリンカー100質量部に対し、石膏の配合量は1.5〜20.0質量部程度、好ましくは1.5〜6.0質量部程度とすればよい。上述のとおり、本実施形態に係る石膏によれば、セメントの硬化体から六価クロムが溶出することを十分に抑制できるため、セメントクリンカーの全クロム含有量は、例えば、50〜250mg/kgであってもよく、100〜200mg/kgであってもよく、水溶性六価クロム量は、例えば、3〜40mg/kgであってもよく、10〜40mg/kgであってもよく、20〜30mg/kgであってもよい。
本実施形態に係る地盤改良材は、上記セメント組成物と、無水石膏及び高炉スラグの少なくとも一方とを含むものである。無水石膏及び高炉スラグの一方を配合する場合、セメント組成物の量を100質量部とすると、無水石膏の配合量は3〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることが好ましく、高炉スラグの配合量は2〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることが好ましい。無水石膏と高炉スラグとを併用する場合、セメント組成物の量を100質量部とすると、両者の合計の配合量は5〜60質量部であることが好ましく、20〜50質量部であることが好ましく、高炉スラグの配合量は2〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることが好ましい。
(実施例1,2)
上記実施形態に係る製造方法により、石炭火力発電所からの二酸化硫黄を含む排ガスから排煙脱硫石膏を連続的に製造した。実施例1,2に係る石膏は、第1のスラリーに含まれる二水石膏100質量部に対し、第1のスラリーに含まれる水酸化カルシウムの量が1〜10質量部の範囲内となるように、第5工程において水酸化カルシウムの添加量を調整して操業しているときに、別々のタイミングで採取したものである。なお、主に、排ガスに含まれる二酸化硫黄の量の変動に応じて、添加する水酸化カルシウムの量を調整した。
比較例1〜3に係る石膏は、第1のスラリーに含まれる二水石膏100質量部に対し、第1のスラリーに含まれる水酸化カルシウムの量が0.5質量部未満となるように、第5工程において水酸化カルシウムの添加量を調整して操業しているときに、別々のタイミングで採取したものである。
比較例4〜12に係る石膏は、いわゆる石灰・石膏法によってそれぞれ製造したものである。すなわち、石灰の微粉を含むスラリーに、二酸化硫黄を含む排ガスを通し、これを空気で酸化して二水石膏を得た。
実施例及び比較例に係る石膏について以下の評価を行った。表1に結果を示す。
(1)強熱減量(ig.loss)の測定
石膏の強熱減量(ig.loss)は、JIS R 5202:2010の「5.強熱減量の定量方法」における「5.2 高炉セメント及び高炉スラグ以外の場合」に記載の方法に準拠して測定した。
(2)SO3量の測定
石膏のSO3量は、JIS R 5202:2010に記載の方法に準拠して測定した。
(3)二酸化硫黄含有率(SO2量)の測定
石膏のSO2量は、JIS R9101−1995に記載の方法に準拠して定量した。なお、実施例及び比較例に係る全ての石膏のX線回折をX線回折装置(リガク社製、型番RINT2000)で確認したところ、明確な回折ピークは認められなかった(図2参照)。
(4)酸化マグネシウム含有率(MgO量)の測定
MgO量は、JIS R5202:2010に記載の方法に準拠して測定した。
(実施例1,2及び比較例1〜12)
全Cr含有量が101mg/kg、石膏無添加時の水溶性Cr(VI)量が13mg/kgであるセメントクリンカーに、実施例及び比較例に係る石膏をそれぞれ内割りで3.5質量部添加し、計14種類のセメント組成物を製造した。セメントの粉砕は、5mm以下のクリンカーと、石膏とを、振動ミルで混合粉砕した。ブレーン比表面積は3200±150cm2/gとした。
粉砕方法を変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例3に係るセメント組成物を作製した。すなわち、本実施例においては、クリンカーと石膏とを混合粉砕するのではなく、まず、石膏とクリンカーとを別々にブレーン比表面積3200±150cm2/gとなるように粉砕し、その後で両者を混合した。
セメント協会標準試験方法I-51−1981に記載の方法に準拠し、セメント中の水溶性Cr(VI)量を測定した。表1に結果を示す。
実施例1,2と同様の方法で製造した石膏と、一般的な方法で製造された石膏(SO2量:0質量%以上0.5質量%未満)とを準備し、これら二種類の石膏の混合比率等が異なる計9種類の石膏の混合物を連続的に作製した。次に、普通ポルトランドセメントクリンカーの組成となるよう焼成したクリンカーにそれぞれ内割りで前記石膏の混合物を3.5質量%と、石灰石を4.5質量%とを混合し、ブレーン比表面積が3150±150cm2/gとなるように粉砕し、実施例4〜7及び比較例13〜17のセメント組成物を製造した。得られたセメント組成物について、水溶性Cr(VI)量をセメント協会標準試験方法I−51−1981に記載の方法に準拠して、凝結及びモルタル圧縮強さをJIS R5201「セメントの物理試験方法」に準拠してそれぞれ測定した。水溶性Cr(VI)量と石膏中のSO2量との関係を実施例1,2及び比較例1〜3より導き、当該関係から実施例4〜7及び比較例13〜17のセメント組成物中の石膏混合物に含まれるSO2量を推定した。結果を表2に示す。表2より、実施例4〜7のセメント組成物は、水溶性Cr(VI)の低減効果が見られない比較例13〜17と遜色ない凝結時間、圧縮強さが得られていることが判る。
Claims (4)
- 二酸化硫黄を含有するガスと、硫酸カルシウム及び水酸化カルシウムを少なくとも含むスラリーとの気液接触工程を経て石膏を製造する方法であり、
前記スラリーに含まれる硫酸カルシウムの量を100質量部とすると、前記スラリーに含まれる水酸化カルシウムの量が0.5〜10質量部であり、
前記スラリーに含まれる水の量を100質量部とすると、前記スラリーに含まれる水酸化マグネシウムの量が3〜40質量部であり、
前記石膏は、JIS R9101−1995に記載の方法に準拠して定量される二酸化硫黄の含有率が0.5〜15質量%である、石膏の製造方法。 - 水酸化マグネシウムと、硫酸カルシウムと、水酸化カルシウムとを少なくとも含む第1のスラリーを調製する第1工程と、
二酸化硫黄を含有するガスと、前記第1のスラリーとを気液接触させることによって、マグネシウムイオンと、硫酸イオン、亜硫酸イオン及び亜硫酸水素イオンの少なくとも一種のイオンと、石膏とを含む第2のスラリーを得る第2工程と、
前記第2のスラリーを固液分離することによって、石膏を回収するとともに、マグネシウムイオンと、硫酸イオン、亜硫酸イオン及び亜硫酸水素イオンの少なくとも一種のイオンとを含む第3のスラリーを得る第3工程と、
を含み、
前記第1のスラリーに含まれる硫酸カルシウムの量を100質量部とすると、前記第1のスラリーに含まれる水酸化カルシウムの量が0.5〜10質量部であり、
前記スラリーに含まれる水の量を100質量部とすると、前記スラリーに含まれる水酸化マグネシウムの量が3〜40質量部であり、
前記石膏は、JIS R9101−1995に記載の方法に準じて定量される二酸化硫黄の含有率が0.5〜15質量%である、石膏の製造方法。 - 前記第3のスラリーの少なくとも一部に対して酸化処理を施すことを経ることによって、硫酸マグネシウムを含む第4のスラリーを得る第4工程と、
前記第4のスラリーに水酸化カルシウムを添加することによって、硫酸マグネシウムから再生された水酸化マグネシウムと、二水石膏と、水酸化カルシウムとを含む第5のスラリーを得る第5工程と、
を含み、
前記第1のスラリーに含まれる硫酸カルシウムは、前記第5のスラリーに含まれる二水石膏の少なくとも一部である、請求項2に記載の石膏の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法によって得られた石膏と、セメントクリンカーとを混合すると共に粉砕する工程を含む、セメント組成物の製造方法。
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