以下、本発明のシート防水構造およびシート防水構造の施工方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のシート防水構造1は、躯体10が有する床部11(底部)と、該床部11から立設し、床部11よりも軟質な壁部12とを防水シートで覆い、躯体10に防水を施すシート防水構造であって、床部11と壁部12とを跨いで覆う防水シート30と、防水シート30を床部11に対して固定する第1固定手段2Aと、防水シート30を壁部12に対して固定する第2固定手段2Bと、を備えている。また、第1固定手段2Aは、防水シート30と床部11との間に配置され、厚さ方向に貫通する貫通孔24(第1貫通孔)を有し、床部11の反対側の表面に防水シートが固着される第1部21(第1配置部材)と、貫通孔24に挿通され、その挿通状態で少なくとも一部が床部11に埋設されることにより第1部21(第1配置部材)を床部11に対して固定する固定治具40(第1固定治具)とを有し、第2固定手段2Bは、防水シート30と壁部12との間に配置され、壁部12の反対側の表面に防水シート30が固着される第2部22(第2配置部材)を有する。
かかる構成のシート防水構造1を躯体10に施すことで、防水シート30を比較的硬い床部11に対して十分な強度で固定することができる。さらに、床部11より軟質な壁部12の厚さ方向に対する加工を実施することなく固定された固定具を介して、防水シート30を壁部12に対して固定することができる。そのため、敷設した防水シート30において不本意に亀裂や貫通孔が形成されたとしても、固定具の固定に起因した、壁部12の外部における漏水の発生を的確に防止することができる。
以下、このシート防水構造1について詳述する。
<シート防水構造>
<第1の構成例>
図1は、躯体に施工された本発明のシート防水構造を部分的に取り出した部分斜視図、図2は、図1に示すシート防水構造のA−A線縦断面図、図3は、図1に示すシート防水構造のB部における平面図、図4は、図1に示すシート防水構造が備える固定ディスクの第1の構成例における固定前の状態を示す図((a)平面図、(b)正面図)、図5は、図1に示すシート防水構造が備える固定ディスクの第1の構成例における固定後の状態を示す図((a)平面図、(b)正面図)である。なお、以下の説明では、図1、2中の上側を「上」、下側を「下」、図3中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」と言う。また、図1では、説明の便宜上、シート防水構造の全体を示すことなく、躯体が備える床部と壁部とを部分的に図示している。
本実施形態では、プールが備える貯水槽のような躯体10(構造体)に、その改修のためにシート防水構造1が施工されている場合を、一例にして説明する。
躯体10は、長方形状をなす床部11と、この床部11の外縁を取り囲むように沿って立設して設けられた、長方形の枠状をなす壁部12(立ち上がり部)とを有している。
躯体10を、このような床部11と壁部12とを備える構成とすることで、躯体10は、その中央部に、凹部を有するものとなり、これにより、この凹部内に水が貯留されるプールの貯水槽を構成する(図1参照)。
この躯体10は、床部11が主としてコンクリートで構成され、壁部12が主として繊維強化プラスチック(FRP)で構成されている。すなわち、壁部12は、床部11よりも軟質である。このような構成によれば、床部11の強度を十分に確保することができるとともに、後述するように、躯体10を比較的容易に製造することができる。
本実施形態では、シート防水構造1は、かかる構成の躯体10、すなわち枠状をなす壁部12と、底部を構成する床部11とに対して、防水シート30で覆う施工を施すものであり、躯体10の凹部に敷設される防水シート30と、防水シート30を床部11および壁部12に固定するための配置部材20と、躯体10に固定され、かつ、配置部材20を固定するための固定治具40(第1固定治具)および固定治具50(第2固定治具)と、を有している(図1、図2参照)。
なお、以下では、床部11と壁部12とで形成された入隅部13(境界部)に対して、固定治具40および固定治具50を用いて、配置部材20を固定し、この配置部材20を介して、敷設された防水シート30を躯体10に固定する場合を説明する。
配置部材20は、床部11と壁部12との入隅部13に配置された状態で、固定治具40および固定治具50により躯体10に固定されており、この状態で、防水シート30は、配置部材20とともに躯体10の凹部、すなわち、床部11と壁部12とを覆うように敷設され、かつ、配置部材20を介して躯体10に固定されており、これにより、躯体10の防水性が確保される。
すなわち、水や日光に防水シート30が晒されることとなり、躯体10が直接的に水や日光に晒されることが防止されるため、躯体10の防水性が確保される。また、配置部材20の上面(表面)と防水シート30との下面とが接合され、かつ、配置部材20が固定治具50を介して躯体10に固定されており、これにより、配置部材20を介して躯体10に防水シート30が接合・固定される。
以下、シート防水構造1が備える各部について詳述する。
配置部材20は、前述の通り、床部11と壁部12との入隅部13付近に配置されるものである(図2参照)。すなわち、第1部21(第1配置部材)は、床部11の、壁部12との境界部近傍に設けられ、第2部22(第2配置部材)は、壁部12の、床部11との境界部近傍に設けられている。これにより、第1部21を配置する位置と第2部22を配置する位置とが比較的近くなり、配置部材20を配置する工程を容易に行うことができる。
この配置部材20は、金属板と、この金属板の表面を被覆する樹脂で構成される樹脂層とからなり、本実施形態では、それぞれ、全体形状が平板状をなす第1部21(底部)と第2部22(立ち上がり面)との2つの部分からなり、第1部21の1つの長辺から第2部22が立設しており、その側面形状がL字状をなしている。すなわち、配置部材20は、第1部21と第2部22とが連結して設けられていると言える。これにより、配置部材20を入隅部13に配置した状態で、すなわち、第1部21が床部11に接触し、第2部22が壁部12に接触した状態で、第1部21を床部11に対して固定すると、第2部22も壁部12に対して固定される。従って、第2部22に対する固定治具(本実施形態では、固定治具50)を省略することができる。
これら第1部21および第2部22は、それぞれ、入隅部13に配置する際に、床部11に対応するように第1部21が位置設定され、壁部12に対応するように第2部22が位置設定されている。なお、床部11が長方形状をなす、本実施形態では、床部11と壁部12とで形成される入隅部13は、合計4つ形成され、このような第1部21と第2部22とで構成される配置部材20は、各入隅部13に対応して、合計4つ配置されている。
本実施形態では、配置部材20のうち、第1部21が、第1配置部材として機能し、第2部22が第2配置部材として機能する。そして、第1部21と固定治具40とで第1固定手段2Aが構成され、第2部22と固定治具50とで第2固定手段2Bが構成される。
防水が施工される躯体10の形状は、当然、様々であることから、配置部材20としては、複数の種類の形状のものが予め用意され、実際に施工される躯体10が備える入隅部13の形状に合致する第1部21および第2部22を備える配置部材20が選択される。そして、配置部材20は、その第1部21および第2部22が、前記入隅部13において、床部11および壁部12の形状に対応するように並べられる。
さらに、防水シート30を、配置部材20を介して躯体10に固定すべき位置は、入隅部13に限らず、床部11および壁部12の中央部や、壁部12の入隅部13と反対側の端部等が挙げられ、これらの位置の形状に対応して予め用意された配置部材20が選択され、各位置に対して、それぞれ、並べられる。
また、第1部21は、その長手方向に沿って、ほぼ等間隔に設けられた、厚さ方向に貫通する貫通孔(第1貫通孔)24を複数有している。第2部22は、その長手方向に沿って、ほぼ等間隔に設けられた、厚さ方向に貫通する貫通孔(第2貫通孔)25を複数有している。
貫通孔24には、固定治具40の胴部42が挿通され、この状態で先端部(釘先)43および胴部42の一部が、床部11に埋設されるように固定治具40が床部11に打ち込まれることで、配置部材20は、床部11に固定される。
貫通孔25には、固定治具50が備える折り曲げ部52が挿通され、この状態で折り曲げ部52を配置部材20の上面に接触するように折り曲げることで、配置部材20は、固定治具50に固定される。さらに、固定治具50が備え、折り曲げ部52と一体的に形成されている本体部51の下面が躯体10に接合されることから、配置部材20は、固定治具50を介して躯体10に固定される。
また、配置部材20は、金属板と、この金属板の表面を被覆する樹脂層とで構成される。すなわち、配置部材20(第1部21および第2部22)は、防水シート30が固着される側の表面に、樹脂層を備えるものである。このように、金属板の表面を樹脂層で被覆することで、金属板の腐食を確実に防止することができる。また、防水シート30に対して、後述する溶着法および熱融着法を用いて確実に接合できるものとし得る。
金属板は、例えば、ステンレス鋼板、鉄板のような鋼板、アルミ板、銅板等で構成されるが、鋼板であるのが好ましい。これにより、配置部材20を優れた強度を有するものとすることができる。
また、配置部材20の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上3mm以下程度であるのが好ましく、0.3mm以上2.5mm以下程度であるのがより好ましい。
さらに、配置部材20の幅は、特に限定されないが、30mm以上200mm以下程度であるのが好ましく、50mm以上150mm以下程度であるのがより好ましい。
樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ポリ塩化ビニルであるのが好ましい。すなわち、後述する防水シート30を構成する樹脂と、同種または同一であることが好ましい。これにより、樹脂層と防水シート30との密着性を向上させることができる。さらに、ポリ塩化ビニルは、溶剤溶着性や熱融着性に優れるため、前記効果をより顕著に発揮させることができるとともに、配置部材20の腐食をより確実に防止することができる。
また、この樹脂層を構成する樹脂には、後述する防水シート30の構成材料で挙げる可塑剤、安定化剤等の他の材料が含まれていてもよい。
また、樹脂層の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上であるのが好ましく、0.3mm以上0.8mm以下であるのがより好ましい。これにより、防水シート30と樹脂層との接合、すなわち、防水シート30と配置部材20とを強固に接合することができる。
なお、この配置部材20は、固定治具50を介して躯体10に固定されていれば良いが、固定治具50による固定の他、接着剤層により躯体10(床部11および壁部12)に直接、固定されていてもよい。これにより、配置部材20を躯体10に対してより強固に固定することができる。また、この場合、後述する固定治具50が備える本体部51の厚さに応じて、配置部材20と躯体10との離間距離が設定される。そのため、形成すべき接着剤層の厚さに応じて、適切な厚さを有する本体部51を備える固定治具50を選択することで、所望の厚さの接着剤層を形成することができる。
また、配置部材20の上面は、図1〜図3に示すように、平坦面で構成される場合の他、貫通孔25に挿通した状態で折り曲げられる折り曲げ部52が包含されるように、貫通孔25を中心とする円形をなす凹部を備えるものであってもよい。これにより、折り曲げられた折り曲げ部52が防水シート30側に突出するのを確実に防止することができるため、配置部材20に接合された防水シート30を確実に平坦面で構成することができる。
次に、固定治具40について説明する。
固定治具40は、釘頭41と、胴部42とを有し、床部11に打ち込まれる釘である。これにより、釘頭41は、特に限定されないが、円板状、もしくは、円錐状をなしていることが好ましい。また、その外径(最大外径)は、貫通孔24の孔径よりも大きい。胴部42は、横断面形状が真円状をなしている。また、胴部42は、その長手方向に沿って、外形が一定の部分を有し、貫通孔24の孔径よりも小さい。また、胴部42の先端部43は、先細りのテーパ状をなしている。
このような固定治具40を、釘頭41が配置部材20と当接するまで、配置部材20の貫通孔24を介して、床部11に打ち込むことにより、第1部21が床部11に対して固定される。
また、胴部42(先端部43も含む)のうち、床部11に埋設される部分の長さは、10mm以上であるのが好ましく、20mm以上であるのがより好ましい。これにより、第1部21を床部11に対して、より強固に固定することができる。
また、予め、下孔を設けていてもよい。この場合、下孔の孔径は、胴部42よりも若干(0.05mm以上、0.1mm以下程度)小さい。この下孔は、貫通孔24の延長上、すなわち、貫通孔24の直下に設けられる。この下孔を設けておくことにより、固定治具40を床部11に打ち込む作業を容易かつ簡単に行うことができる。
このように、固定治具40は、貫通孔24に挿通され、その挿通状態で少なくとも一部が床部11に埋設される(打ち込まれる)ことにより、配置部材20(第1部21)を床部11に対して固定する釘である。これにより、主としてコンクリートで構成された比較的硬質な床部11に対して、配置部材20(第1部21)を確実かつ強固に固定することができる。
なお、胴部42の外周部には、雄ネジ部が設けられ、ねじ込むことにより配置部材20(第1部21)を床部11に対して固定する構成であってもよい。これにより、床部11に対して、配置部材20(第1部21)をさらに確実かつ強固に固定することができる。
また、固定治具40は、釘頭41の上面(天面)に、その表面を被覆する樹脂層を備えるものであってもよい。このように、固定治具40は、釘頭41の表面を樹脂層で被覆することで、固定治具40の腐食を確実に防止することができる。また、釘頭41の表面の樹脂層と防水シート30との間での接合を実現することが可能となる。
なお、この樹脂層としては、配置部材20が備える樹脂層と同様のものが挙げられる。
次に、固定治具50について説明する。
固定治具50(固定ディスク)は、円盤状(平板状)をなす本体部51と、この本体部51から突出するように本体部51と一体的に形成された折り曲げ可能な棒状をなす折り曲げ部52(突出部)とを有し、配置部材20(第2部22)が備える貫通孔25に折り曲げ部52を挿通した状態で、折り曲げ部52が折り曲げられることで、貫通孔25に対応する位置で固定治具50に配置部材20(第2部22)が固定される。さらに、この状態で、本体部51(固定治具50)が壁部12に固定される。これにより、固定治具50を介して、壁部12に対して、配置部材20(第2部22)が固定される(図1〜図4参照)。
このような固定治具50を介して、配置部材20(第2部22)を壁部12に固定する構成とし、この配置部材20の表面に防水シート30を接合することで、壁部12の厚さ方向に対する加工を実施することなく、防水シート30を壁部12に対して固定することができる。そのため、敷設した防水シート30において不本意に亀裂や貫通孔が形成されたとしても、固定具の固定に起因した、壁部12の外部における漏水の発生を的確に防止することができる。
また、壁部12の厚さ方向に対する加工を実施することなく、防水シート30を壁部12に対して固定することができるため、本実施形態のように、壁部12が、床部11よりも軟質な繊維強化プラスチックで構成される場合に、本発明のシート防水構造1が好適に適用される。
さらに、壁部12が、硬質発泡材とFRPからなる表面層とで構成される場合には、固定ビスを固定するための穴部の形成を省略することができるため、この穴部を介して、硬質発泡材と表面層との間に水が入り込み、これに起因して、剥離が生じてしまうのを的確に防止することができる。
本体部51(基板)は、平面視で真円状をなし、その縦断面形状が長方形状をなしている金属板で構成されている。すなわち、中心部側から縁部側に向かって厚さが一定の全体形状が円盤状をなす金属板である。
このような本体部51は、接着剤層(図示せず)を介して、壁部12に対して固定される。これにより、壁部12に対して優れた固定強度で固定治具50を固定することができる。
この本体部51を構成する金属板としては、前述した、配置部材20が備える金属板で挙げたものと同様のものを用いることができ、これらは、同一のものであっても、異なるものであっても構わない。
また、本体部51の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上3.0mm以下程度であるのが好ましく、0.4mm以上2.0mm以下程度であるのがより好ましい。
さらに、本体部51の直径は、特に限定されないが、20mm以上150mm以下程度であるのが好ましく、40mm以上100mm以下程度であるのがより好ましい。
なお、接着剤層は、例えば、主として、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤およびゴム系接着剤等のうちの少なくとも1種からなる接着剤を主材料として構成される。
また、この本体部51は、厚さ方向に貫通する貫通孔、または、その下面(折り曲げ部52と反対側の面)で開口する穴を備えるものであってもよい。これにより、本体部51と接着剤層との接触面積が増大するため、本体部51と接着剤層とをより優れた接合強度で接合することができる。また、これら貫通孔および穴は、1つであっても、複数であってもよいが、複数であることが好ましい。これにより、前記効果がより顕著に発揮される。
折り曲げ部52は、本体部51と一体的に形成され、すなわち、本体部51と折り曲げ部52との接続部は、同一の部材で連続して形成されている。また、この第1の構成例では、折り曲げ部52は、全体形状が中実の棒状体で構成され、配置部材20が固定される前の状態では、図4に示すように、本体部51の上面のほぼ中心部から、上面に対してほぼ垂直に突出するように立設されている。
この折り曲げ部52は、配置部材20と躯体10との間に固定治具50が介在する位置で、配置部材20が備える貫通孔25が挿通され、この状態で折り曲げ部52を配置部材20の上面に接触するように折り曲げられ(図2、図5参照)、これにより、固定治具50に配置部材20が固定される。
また、この折り曲げ部52は、人の指や、金槌、ペンチのような工具を用いて、その長手方向の任意の位置で折り曲げ可能な強度で形成されている。これにより、折り曲げ部52を、配置部材20(第2部22)の厚さに対応する位置で折り曲げることができる。そのため、配置部材20を固定治具50に対して位置精度よく固定することができる。また、配置部材20として、厚さの異なるものを用いた場合でも、その厚さに応じて、所望の位置で折り曲げることができるため、複数の配置部材20に対して、1つの固定治具50によって対応することが可能となる。すなわち、シート防水構造1を施工する際の部品点数の削減を図ることができる。
また、折り曲げ部52を、本構成のような棒状体で構成することにより、その長手方向の任意の位置で折り曲げ可能な強度を有しているものとして、比較的容易に形成することができる。
このような折り曲げ部52は、本体部51を構成する金属板と同様の金属材料で構成される。
また、折り曲げ部52の直径は、特に限定されないが、0.1mm以上3mm以下程度であるのが好ましく、0.3mm以上2.5mm以下程度であるのがより好ましい。
さらに、折り曲げ部52の長さは、特に限定されないが、10mm以上75mm以下程度であるのが好ましく、15mm以上50mm以下程度であるのがより好ましい。
折り曲げ部52のサイズ(直径および長さ)をかかる範囲内に設定することにより、上述した折り曲げ部52としての機能を確実に発揮させることができる。
なお、固定治具50は、本体部51および折り曲げ部52とともに、その表面を被覆する樹脂層を備えるものであってもよい。このように、固定治具50の表面を樹脂層で被覆することで、固定治具50の腐食を確実に防止することができる。また、配置部材20の貫通孔25から突出して折り曲げられた折り曲げ部52において、樹脂層と防水シート30との間での接合を実現することが可能となる。
なお、この樹脂層としては、配置部材20が備える樹脂層と同様のものが挙げられる。
かかる構成の本体部51と折り曲げ部52とを備える固定治具50が、第2部22が備える複数の貫通孔25に対応してそれぞれ設けられることにより、固定治具50を介して、第2部22が壁部12に固定される。
ここで、躯体10に敷設される防水シート30のうち、例えば、床部11に敷設されるものでは、防水シート30が収縮する方向に応力が掛かる可能性があるため、4つの壁部12から、それぞれ、床部11の中央部に向かう方向に、応力が生じる可能性が高い。すなわち、壁部12側の防水シート30は、床部11側に引っ張られる方向に応力が加わる可能性が高い。
また、折り曲げ部52の折り曲げにより固定治具50で固定される配置部材20の第2部22における固定強度は、折り曲げ部52を折り曲げた方向の逆方向において高くなる傾向を示す。
これらのことから、壁部12に設けられた固定治具50に第2部22(配置部材20)を固定する際の折り曲げ部52の折り曲げ方向は、壁部12の立設方向、すなわち、鉛直方向上方に一致させることが好ましい。これにより、固定治具50で固定される第2部22(配置部材20)の固定強度と位置決めの精度との双方の向上が図られる。
以上説明したように、本発明によれば、防水シート30を比較的硬い床部11に対して十分な強度で固定することができる。さらに、壁部12の厚さ方向に対する加工を実施することなく固定された固定具を介して、防水シート30を壁部12に対して固定することができる。そのため、敷設した防水シート30において不本意に亀裂や貫通孔が形成されたとしても、固定具の固定に起因した、壁部12の外部における漏水の発生を的確に防止することができる。
なお、本実施形態では、本体部51は、図3〜図5に示すように、円盤状をなす場合について説明したが、本体部51は、平板状をなしていればよく、例えば、その平面視形状が三角形、四角形、五角形のような多角形のものであってもよい。
また、固定治具50は、上述したように、その全体が金属材料を主材料として構成される場合の他、その全体が熱可塑性樹脂材料を主材料として構成されていてもよい。この場合、折り曲げ部52の折り曲げは、配置部材20の貫通孔25に折り曲げ部52を挿通した状態で、加熱したアイロンを押し当てることで実施することができる。
防水シート30は、シート状(板状)をなし、配置部材20および固定治具50とともに床部11と壁部12とを覆う、すなわち、躯体10を覆うものであり、配置部材20の上面、すなわち、配置部材20の固定治具50と反対側の樹脂層が形成されている側の表面に固着されることで、配置部材20および固定治具50を介して躯体10に固定される。
これにより、水や日光に防水シート30が晒され、躯体10が直接的に水や日光に晒されることが防止されることから、躯体10の防水性が確保される。
このような防水シート30は、樹脂材料を含有する樹脂シートで構成される。
樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。これにより、防水シート30の溶剤溶着性や熱融着性を優れたものとすることができる。
なお、塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルを含む重合体、すなわちオリゴマー、プレポリマーおよびポリマーであれば特に限定されないが、例えば、塩化ビニルの単量重合体、または塩化ビニルと、酢酸ビニル、エチレン、もしくはプロピレン等との共重合体、およびこれらの2種以上の重合体の混合物等が挙げられる。
また、樹脂材料には、さらに、各種可塑剤、各種安定化剤、各種酸化防止剤、各種紫外線吸収剤、加工助剤、滑剤、充填材、難燃剤および色材等を含んでいてもよく、特に、可塑剤が含まれることが好ましい。これにより、防水シート30をより優れた柔軟性を有するものとすることができる。
なお、可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DIBP(ジイソブチルフタレート)、DHP(ジヘプチルフタレート)のようなフタル酸エステル系可塑剤、DOA(ジ−2−エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)、DOS(ジ−2−エチルヘキシルセバセート)のような脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エチレングリコールのベンゾエート類のような芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、およびTOTM(トリオクチルトリメリテート)のようなトリメリット酸エステル系可塑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、安定化剤としては、例えば、グリシン亜鉛等が挙げられ、この場合の安定助剤としては、例えば、リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸トリキシリル(TXP)、リン酸トリブチル(TBP)、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸2−エチルヘキシル・ジフェニルのような有機リン酸エステル等が挙げられる。
以上のことから、防水シート30は、塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含有する塩化ビニル系樹脂シートで構成されることが好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、防水シート30は、前記樹脂シートの単層で構成されるものの他、例えば、その厚さ方向の途中に繊維層が介挿されたもの、すなわち、厚さ方向に積層された第1樹脂層と第2樹脂層との間に繊維層(繊維シート)が挾持された構成のものであってもよい。
この繊維層は、繊維の集合体で構成されたものであり、例えば、織布や不織布等のクロス、縦糸と横糸とで複数の格子を形成したネット等の繊維シートが挙げられるが、防水シート30を、このような繊維層を備えるものとすることにより、防水シート30の強度(引き裂き強度や引っ張り強度等)および耐久性(耐繰り返し疲労特性)を向上させることができる。
また、防水シート30の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上3mm以下程度であるのが好ましく、0.8mm以上3mm以下程度であるのがより好ましい。これにより、床部11と壁部12とを、防水シート30により確実に覆うことができる。また、防水シート30が風で煽られることに起因して、この防水シート30に応力が作用したとしても、早期に防水シート30に亀裂が生じるのを的確に抑制することができる。
以上のような構成のシート防水構造1は、例えば、以下に示すシート防水構造の施工方法(本発明のシート防水構造の施工方法)により施工される。
<シート防水構造の施工方法>
本実施形態のシート防水構造の施工方法は、床部11に、床部11の反対側の表面に防水シート30が固着される第1部21(第1配置部材)を固定するとともに、壁部12に、壁部12の反対側の表面に防水シート30が固着される第2部22(第2配置部材)を固定する配置部材固定工程と、防水シート30で床部11および壁部12を配置部材20ごと覆い、かつ、防水シート30を配置部材20に固着する固着工程と、を有し、配置部材固定工程では、第1部21を貫通し、かつ、その貫通状態で、少なくとも一部が床部11に埋設される固定治具40(第1固定治具)によって第1部21を床部11に対して固定することを特徴とする。これにより、防水シート30を比較的硬い床部11に対して十分な強度で固定することができる。さらに、床部11より軟質な壁部12の厚さ方向に対する加工を実施することなく固定された固定具を介して、防水シート30を壁部12に対して固定することができる。そのため、敷設した防水シート30において不本意に亀裂や貫通孔が形成されたとしても、固定具の固定に起因した、壁部12の外部における漏水の発生を的確に防止することができる。
以下、これら各工程について、詳述する。
[1]まず、シート防水構造1を施工すべき躯体10(床部11および壁部12)の所定の位置に配置した状態で、固定治具50を、接着剤層を介して固定する(固定治具固定工程)。
すなわち、配置部材20(第1部21および第2部22)を配置すべき位置において、この配置部材20が備える複数の貫通孔25に対応する躯体10(床部11および壁部12)の位置に、固定治具50が備える本体部51を、接着剤層を介して固定する。
このように、接着剤層を介して本体部51が躯体10に固定され、この固定を、躯体10の厚さ方向に対する加工を施すことなく行うことができる。
なお、躯体10の接着剤層を形成する領域には、接着剤層の形成に先立って、表面研磨処理を施しておいてもよい。これにより、固定治具50と躯体10との接合強度の向上が図られる。
[2]次に、床部11に、床部11の反対側の表面に防水シート30が固着される第1部21(第1配置部材)を固定するとともに、壁部12に、壁部12の反対側の表面に防水シート30が固着される第2部22(第2配置部材)を固定する(配置部材固定工程)。
壁部12に固定された各固定治具50の折り曲げ部52を第2部22が備える貫通孔25に挿通する。そして、この挿通状態において、貫通孔24を介して固定治具40を床部11に打ち込むとともに、折り曲げ部52を第2部22の上面に接触するように折り曲げる。これにより、配置部材20は、第1部21および第2部22において、それぞれ、床部11および壁部12に固定治具50を介して固定される。すなわち、配置部材20が固定治具50を介して躯体10に固定される。
このように、固定治具50が備える折り曲げ部52を、配置部材20が備える貫通孔25に挿通した状態で配置部材20を躯体10に対して固定する作業を行うため、優れた位置精度をもって躯体10に対して強固に固定することができる。
なお、固定治具40を床部11に打ち込む作業と、折り曲げ部52を折り曲げる作業とは、同時に行ってもよく、各作業を順次行ってもよい。
[3]次に、これら配置部材20および固定治具50とともに躯体10を防水シート30で覆い、かつ、防水シート30を配置部材20に接合(固着)する(固着工程)。
すなわち、床部11において、固定治具50を介して固定された第1部21とともに、床部11を防水シート30で覆うとともに、第1部21の上面に備える樹脂層と、防水シート30の下面とを接合することで、防水シート30を第1部21に固着させる。また、壁部12において、固定治具50を介して固定された第2部22とともに、壁部12を防水シート30で覆うとともに、第2部22の上面に備える樹脂層と、防水シート30の下面とを接合することで、防水シート30を第2部22に固着させる。
これにより、固定治具50および配置部材20(第1部21および第2部22)を介して躯体10(床部11および壁部12)に防水シート30が接合され、その結果、躯体10(床部11および壁部12)に防水シート30が固定される。
また、配置部材20と防水シート30との接合は、例えば、I)溶剤で配置部材20が備える樹脂層を溶融して接合する溶着法や、II)熱風ガンで樹脂層を溶融して接合する熱融着法を用いることで行われるが、以下、これらの方法について、それぞれ、説明する。
I)溶着法
この溶着法としては、防水シート30の敷設に先立って、配置部材20が備える樹脂層を溶融状態とする刷毛溶着法と、防水シート30の敷設の後に、樹脂層を溶融状態とする注射溶着法とが挙げられる。
(I−1)刷毛溶着法
この刷毛溶着法では、まず、床部11および壁部12の表面に防水シート30を敷設するのに先立って、配置部材20の上面、すなわち、樹脂層の上面に、刷毛ブラシ等を用いて、溶剤(可溶性溶剤)を塗布(供給)する。これにより、樹脂層の上面が溶剤と接触し、その結果、溶融状態とされる。
次いで、床部11および壁部12の表面に防水シート30を敷設する。
次いで、防水シート30の上から配置部材20を、作業員の手等により押圧することで、防水シート30の下面を樹脂層の上面に固定させる。これにより、配置部材20および固定治具50を介して床部11および壁部12に防水シート30が接合される。
なお、前記溶剤(可溶性溶剤)としては、樹脂層を溶融状態とし得るものであれば、特に限定されないが、樹脂層が塩化ビニル系樹脂を含む樹脂で構成される場合、例えば、テトラヒドロフラン(THF)ニトロベンゼン、四塩化炭素、ピリジン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、トルエン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、THFであることが好ましい。THFは、樹脂層を確実に溶融状態とし得るとともに、揮発性に優れた溶剤であるため、防水シート30の下面と配置部材20が備える樹脂層の上面とを強固に固定することができる。
(I−2)注射溶着法
この注射溶着法では、まず、床部11および壁部12の表面に防水シート30を敷設する。
次いで、敷設された防水シート30に対して、配置部材20の上面、すなわち、樹脂層の上面と、防水シート30の下面との間に、注射器を用いて、注射器が備える注射針が防水シート30を貫通した状態として、溶剤を選択的に供給する。これにより、樹脂層の上面が溶剤と接触し、その結果、溶融状態とされる。
次いで、注射針を防水シート30から抜いた後、防水シート30の上から配置部材20を、作業員の手等により押圧することで、防水シート30の下面を配置部材20が備える樹脂層の上面に固定させる。これにより、配置部材20および固定治具50を介して床部11および壁部12に防水シート30が接合される。
なお、前記溶剤としては、刷毛溶着法で説明したのと同様のものが用いられる。
II)熱融着法
この熱融着法では、まず、床部11および壁部12の表面に防水シート30を敷設するのに先立って、配置部材20と防水シート30の隙間に、熱風ガンを用いて、熱風を供給する。これにより、配置部材20の上面、すなわち、樹脂層の上面、および、防水シート30の下面が熱風により、溶融状態とされる。
次いで、防水シート30の上から配置部材20を、作業員の手等により押圧することで、防水シート30の下面を配置部材20が備える樹脂層の上面に固定させる。これにより、配置部材20および固定治具50を介して床部11および壁部12に防水シート30が接合される。
以上のような工程を経ることで、シート防水構造1を躯体10に施工することができる。
なお、上記では、一例として、固定治具50を、接着剤層を介して固定する構成について説明したが、本発明ではこれに限定されず、例えば、固定治具50を省略して、第2部22を、接着剤層を介して直接、壁部12に固定してもよい。この場合、第2部22の貫通孔25を省略することができる。
また、固定治具50を省略して、第2部22を、接着剤層を介して直接、壁部12に固定する構成である場合、固定治具固定工程において、まず、接着剤層を介して第2部22を壁部12に対して固定(一次固定)し、その後、固定治具40を、貫通孔24を介して床部11に打ち込んで固定(二次固定)するのが好ましい。これにより、固定治具40を床部11に打ち込む作業を正確に行うことができる。
<第2の構成例>
また、シート防水構造1は、上述した構成のものの他、例えば、以下に示すような第2の構成例の固定治具50を備えるものであってもよい。
図6は、図1に示すシート防水構造が備える固定ディスクの第2の構成例における固定前の状態を示す図((a)平面図、(b)正面図、(c)側面図)、図7は、図1に示すシート防水構造が備える固定ディスクの第2の構成例における固定後の状態を示す図((a)平面図、(b)正面図、(c)側面図)である。
以下、第2の構成例の固定治具50について、前記第1の構成例の固定治具50との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図6、図7に示す固定治具50は、本体部51および折り曲げ部52の形状が異なる以外は、図4、図5に示す固定治具50と同様である。
すなわち、第2の構成例では、折り曲げ部52は、配置部材20が固定される前の状態では、本体部51を切り欠くことで形成された舌片(板片)を、その基端において、本体部51の厚さ方向に折り曲げることにより、本体部51から突出するように立設されたものである。また、本体部51は、舌片で構成される折り曲げ部52を設けることで形成された切り欠きを備えるものとなっている(図6参照)。
折り曲げ部52を、本構成のような舌片で構成することによっても、その長手方向の任意の位置で折り曲げ可能な強度を有しているものとして、比較的容易に形成することができ、図7に示すように折り曲げ状態として、配置部材20を固定することができる。
また、本構成の折り曲げ部52によっても、折り曲げ部52を配置部材20の上面に接触するように折り曲げることで、固定治具50に配置部材20が固定されるが、この際、配置部材20の上面は、平坦面を備える舌片により固定される。そのため、厚さ方向に対して、グラツキが生じるのを的確に抑制または防止することができる。
このような第2の構成例の固定治具50によっても、前記第1の構成例と同様の効果が得られる。
<第3の構成例>
また、シート防水構造1は、上述した構成のものの他、例えば、以下に示すような第3の構成例の固定治具50を備えるものであってもよい。
図8は、図1に示すシート防水構造が備える固定ディスクの第3の構成例における固定前の状態を示す図((a)平面図、(b)正面図)、図9は、図1に示すシート防水構造が備える固定ディスクの第3の構成例における固定後の状態を示す図((a)平面図、(b)正面図)である。
以下、第3の構成例の固定治具50について、前記第2の構成例の固定治具50との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8、図9に示す固定治具50は、本体部51の形状が異なり、さらに、折り曲げ部52の数が異なる以外は、図6、図7に示す固定治具50と同様である。
すなわち、第3の構成例では、折り曲げ部52は、配置部材20が固定される前の状態では、本体部51を切り欠くことで形成された舌片(板片)が、本体部51の中心を回転中心として回転させたとき、ほぼ90°ずつずらして合計4つ、本体部51から突出するように立設されている。また、本体部51は、舌片で構成される折り曲げ部52を設けることで形成された切り欠きを合計4つ備えるものとなっている(図8参照)。
かかる構成の各折り曲げ部52は、図9に示すように、配置部材20の固定のために折り曲げると、本体部51の中心を中心として放射状に折り曲げられる。すなわち、各折り曲げ部52は、互いに異なる方向に折り曲げられることとなる。そのため、配置部材20を、固定治具50により、優れた位置精度をもって、より強固に固定することができる。
なお、第3の構成例では、固定治具50は、本体部51から立設する折り曲げ部52を、合計4つ備えるものについて例示したが、折り曲げ部52を複数備える構成とする場合、図8に示す4つの折り曲げ部52のうち1つを省略して、合計3つ備えるものであってもよい。さらに、図8に示す4つの折り曲げ部52のうち2つを省略して、合計2つ備えるものであってもよい。なお、合計2つ備えるものとする際には、2つの折り曲げ部52は、折り曲げられる方向が直交するものであっても良いし、逆方向となるものであっても良い。
このような第3の構成例の固定治具50によっても、前記第2の構成例と同様の効果が得られる。
<第4の構成例>
図10は、図1に示すシート防水構造が備える第1固定手段の第4の構成例における固定後の状態を示す図である。
以下、第4の構成例の固定治具40について、前記第1の構成例の固定治具40との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図10に示すように、第1部21の貫通孔24は、床部11に向って内径が漸減するテーパ状をなしている。
図10に示すように、固定治具40は、釘頭41と胴部42とを有する。また、釘頭41は、胴部42に向って外径が漸減するテーパ状(円錐状)をなしている。また、胴部42の外周部には、雄ネジ部421が形成されている。
本構成例では、貫通孔24を介して固定部材40を床部11にねじ込むことにより、配置部材20を床部11に対してさらに強固に固定することができる。また、この固定した状態では、貫通孔24の内周部と、釘頭41の外周部とが密着するよう構成されている。これにより、釘頭41の天面411と第1部21の上面211とが同一平面上に位置することができる。よって、第1部21に防水シート30を貼着した際、防水シート30が局所的に突出するのを防止することができる。
<第5の構成例>
図11は、図1に示すシート防水構造が備える第1固定手段の第5の構成例における固定後の状態を示す図である。
以下、第5の構成例の固定治具40について、前記第1の構成例の固定治具40との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図11に示すように、固定治具40は、ボルト44と、ボルト44と螺合するナット45とを有している。ボルト44は、先端部に雄ネジ部441を有している。
ナット45は、リング状をなし、その内周部に雌ネジ部451を有している。また、ナット45は、その内周部が、配置部材20の貫通孔24と連通した状態で床部11に埋設されている。
また、図11に示すように、第1部21は、ボルト44の頭部440が収納される凹部212を有している。また、凹部212の底部に貫通孔24が形成されている。
このような本構成例では、配置部材20を配置した後に、貫通孔24を介してボルト44をナット45に回転させつつねじ込むことにより、雄ネジ部441と雌ネジ部451とが螺合し、配置部材20を床部11に対してさらに強固に固定することができる。
また、この固定した状態では、凹部212内に、ボルト44の頭部440が収納されており、ボルト44の上面と第1部21の上面211とが同一平面上に位置した状態となる。これにより、第1部21に防水シート30を貼着した際、防水シート30が局所的に突出するのを防止することができる。
なお、ナット45を床部11に埋設する方法としては、特に限定されないが、床部11を施工する際、コンクリートが硬化する以前の状態において表面から埋設して、コンクリートを硬化させるのが好ましい。これにより、ナット45が床部11に対して強固に固定される。
<第6の構成例>
図12は、図1に示すシート防水構造が備える第1固定手段の第6の構成例における固定後の状態を示す図である。
以下、第6の構成例の固定治具40について、前記第5の構成例の固定治具40との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本構成例では、ボルト44が床部11に埋設されている。また、ボルト44の雄ネジ部441は、貫通孔24を挿通し、配置部材20の上側(床部11と反対側)に露出している。この雄ネジ部441の露出した部分にナット45を回転させつつねじ込むことにより、雄ネジ部441と雌ネジ部451とが螺合し、配置部材20を床部11に対してさらに強固に固定することができる。
また、図12に示すように、第1部21は、ナット45が収納される凹部213を有している。また、凹部213の底部に貫通孔24が形成されている。
このような第6の構成例の固定治具40によれば、配置部材20を配置した後に、貫通孔24を介してナット45をボルト44に回転させつつねじ込んで固定することにより、雄ネジ部441と雌ネジ部451とが螺合し、配置部材20を床部11に対してさらに強固に固定することができる。
また、この固定した状態では、凹部213内に、ナット45が収納されており、ナット45の上面と第1部21の上面211とが同一平面上に位置した状態となる。これにより、第1部21に防水シート30を貼着した際、防水シート30が局所的に突出するのを防止することができる。
さらに、配置部材20を躯体10に配置する際、第1部21の貫通孔24に雄ネジ部441を挿通させるという簡単な方法によって、優れた位置精度をもって、配置部材20を躯体10に配置することができる。
<躯体の修繕方法>
図13は、躯体の修繕方法を説明するための図であって、(a)が床部を切断した状態を示す図、(b)が切断した床部を除去した状態を示す図、(c)が床部のサンドクッションを除去した状態を示す図、(d)が床部を形成した状態を示す図である。
以下に述べる躯体の修繕方法は、前述したシート防水構造の施工方法に先立って行われるものである。すなわち、以下に述べる躯体の修繕方法は、配置部材固定工程の前に行われる躯体修繕工程と言うことができる。
なお、以下では、一例として、床部11’および壁部12が繊維強化プラスチックで構成されている躯体10’の床部11’を修繕する場合について説明する。
本躯体の修繕方法は、床部除去工程と、床部形成工程とを有している。
まず、図13(a)に示すように、繊維強化プラスチックで構成された床部11’を、壁部12との境界部にて切断する。この切断は、例えば、電気のこぎり等を用いて行われる。
次いで、図13(b)に示すように、切断した床部11’を除去する。このとき、図示はしないが、切断した床部11’の裏側の地面が露出することとなる。この露出した地面には、例えば、水を吸収するためのサンドクッション層や、溝で構成された水路等が形成されている場合がある。これらに起因して床部11’の裏側に空洞部が生じることがあり、床部11’の強度の低下を招く可能性が有る。
そして、図13(c)に示すように、場合によってはサンドクッションを一部または全て取り除いた後、図13(d)に示すように、コンクリートを流し込み、硬化させる。このとき、前述した空洞部を塞ぐことができるとともに、繊維強化プラスチックよりも硬い床部11’を形成することができる。
その後、コンクリートで構成された床部11’と、繊維強化プラスチックで構成された壁部12に対して、前述したシート防水構造の施工方法が行われる。
このような躯体の修繕方法によれば、床部11’の強度を高めることができる。
なお、前記では、床部11’および壁部12が繊維強化プラスチックで構成されている躯体10’の床部11’を修繕する場合について説明したが、床部11’がコンクリートで構成されている場合であっても、本修繕方法を適応することができる。
以上、本発明のシート防水構造およびシート防水構造の施工方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明のシート防水構造において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
また、前記実施形態では、円盤状をなす本体部51を切り欠くことで舌片(板片)を形成することとしたが、これに限定されず、例えば、円盤状をなす本体部51を切り欠くことなく、予め、舌片を備える本体部51を、直接、形成するようにしてもよい。
なお、前記各実施形態では、配置部材20は、本実施形態では、第1部21と第2部22とを備え、側面形状がL字状をなしているものとしたが、本発明ではこれに限定されず、例えば、第1部21と第2部22とが互いに連結されず、別体として第1部21と第2部22とを備えるものであってもよい。
この場合、第1部21と第2部22とは、近接して配置されていなくてもよい。例えば、第2部22は、壁部12の上部に設けられていてもよく、下部および上部の双方に設けられていてもよい。
また、前記各実施形態のように、配置部材20が第1部21と第2部22とを備え、側面形状がL字状をなしている場合、第2固定治具である固定治具50を省略してもよい。
また、固定治具50を省略して、例えば、接着剤層等の接合層を設け、該接合層によって第2部を壁部12に固定してもよい。
さらに、本発明のシート防水構造の施工方法には、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。