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JP6977615B2 - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、および感光性樹脂印刷版原版 - Google Patents
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JP6977615B2 - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、および感光性樹脂印刷版原版 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、および感光性樹脂印刷版原版 Download PDF

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Description

本発明は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体および感光性樹脂印刷版原版に関する。
感光性樹脂組成物により形成される層を有する感光性樹脂積層体を用いた感光性樹脂印刷版原版は、一般に感光性樹脂層に可溶性ポリマー、光重合性不飽和基含有モノマー、および光重合開始剤を必須成分として含有し、ネガティブ、ポジティブの原画フィルムを介して紫外光を感光性樹脂層に照射することにより、感光性樹脂層中に溶剤に溶解する部分と溶解しない部分を形成することで、レリーフ像を形成し、印刷版として使用するものである。
パッド印刷は凹版印刷版を用い、版面上にインクを載せ、金属製のドクター刃で掻き取ること、もしくは、ドクター刃の役割をするリング状のセラミックス製または特殊金属製エッジ付きインクカップの中にインクを入れて版面上をインクカップで掻き取ることによって、凹版印刷版の凹部にインクを充填し、そのインクをシリコーンゴムなどの柔軟なパッド面に転写させ、該パッドのインク付着面を被印刷体に圧着することによって印刷するオフセット印刷の一種である。パッド印刷に用いられる凹版印刷版は、印刷の方式上、版面上のインクをドクター刃やインクカップで掻き取るため、版面に耐摩耗性、およびインクの掻き取りムラがでないことを要求される。一方で、感光性樹脂印刷版原版には、環境負荷低減の観点、および製版の容易さから、画像様に露光した感光性樹脂層を水で現像できることも要求される。
これまでに、耐摩耗性を要求する印刷用途で用いられる感光性樹脂組成物には、特許文献1または2に示すように研磨性粒子である無機微粒子を配合した感光性樹脂組成物が提案されている。水現像できる感光性樹脂組成物には、特許文献2または3に示すように可溶性ポリマーとして水溶解性または水膨潤性のものを配合した感光性樹脂組成物が提案されている。
特開昭58−18635号公報 特開2016−139130 特開2000−162770
特許文献1に記載された技術は、配合した無機微粒子により耐摩耗性は向上するも、凹版印刷版の表面粗さが粗くなり、インクの掻き取り性が不十分であること、また現像溶液が有機溶剤であることに課題があった。特許文献2,3に記載された技術は、インクの掻き取り性に優れ、水現像が可能であるものの、耐摩耗性に課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水現像が可能で、耐摩耗性に優れかつパッド印刷機のブレードでスキージした際の版表面のインクの掻き取り性に優れた感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、および感光性樹脂印刷版原版を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の感光性樹脂組成物は、(A1)親水性基を有するポリアミド、(B)平均粒子径が0.5μm以上4μm以下であって、真球度が0.9以上である無機微粒子、(C)エチレン性二重結合を有する化合物、および(D)光重合開始剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物であって、前記(A1)親水性基を有するポリアミドがピペラジン環を有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、および感光性樹脂印刷版原版は、水現像が可能で、耐摩耗性に優れかつパッド印刷機のブレードでスキージした際の版表面のインクの掻き取り性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の感光性樹脂組成物を構成する(A1)成分である(A1)親水性基を有するポリアミドには、水現像性を付与するための親水性基を導入するのが容易である共重合ポリアミドが好ましく用いられる。
(A1)親水性基を有するポリアミドは、感光性樹脂組成物を固体状態にして形態を保持するための担体樹脂としての機能を有するとともに、感光性樹脂層へ水による現像性を付与するために使用される。このようなポリアミドとして、例えば、6−ナイロンを構成成分とする水溶性又は水分散性ポリアミドが挙げられ、6−ナイロンと親水性成分を含有する共重合ポリアミドや6−ナイロンを化学的に変性させた変性ポリアミドが挙げられる。また、本発明のポリアミドは、アミド結合以外にエステル結合やウレタン結合を含有していても良い。
具体的な共重合ポリアミドとしては、特開昭48−72250号公報記載の側鎖にスルホン酸基またはスルホネート基を有するポリアミド、特開昭55−74537号公報記載のポリエーテルセグメントを含有するポリアミド、特開昭50−7605号公報記載の塩基性窒素を有するポリアミドなどが挙げられる。
前記ポリアミドの中でも塩基性窒素を含有するポリアミドおよび/またはポリエーテルセグメントを含有するポリアミドが好ましく用いられる。なお、塩基性窒素を有するポリアミドは、主鎖または側鎖の一部分に塩基性窒素を含有する重合体である。塩基性窒素とは、アミド基でないアミノ基を構成する窒素原子である。そのようなポリアミドとしては、3級アミノ基を主鎖中に有するポリアミドが好ましい。塩基性窒素を有するポリアミドは、塩基性窒素を有する単量体を単独もしくは他の単量体を用いて縮重合、重付加反応などを行うことによって得ることができる。
塩基性窒素としては、ピペラジンやN,N−ジアルキルアミノ基が好ましく、より好ましくはピペラジンである。本発明で用いられるポリアミドを提供するための、塩基性窒素を有する単量体とは具体的に挙げると、N,N’−ビス(アミノメチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(β−アミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(γ−アミノベンジル)−ピペラジン、N−(β−アミノエチル)ピペラジン、N−(β−アミノプロピル)ピペラジン、N−(ω−アミノヘキシル)ピペラジン、N−(β−アミノエチル)−2,5−ジメチルピペラジン、N,N−ビス(β−アミノエチル)−ベンジルアミン、N,N−ビス(γ−アミノプロピル)−アミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)−エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)−テトラメチレンジアミンなどのジアミン類、N,N’−ビス(カルボキシメチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(カルボキシメチル)−メチルピペラジン、N,N’−ビス(カルボキシメチル)−2,6−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス(β−カルボキシエチル)−ピペラジン、N,N−ビス(カルボキシメチル)−メチルアミン、N,N−ビス(β−カルボキシエチル)−エチルアミン、N,N−ビス(β−カルボキシエチル)−メチルアミン、N,N−ジ(β−カルボキシエチル)−イソプロピルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス−(カルボキシメチル)−エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス−(β−カルボキシエチル)−エチレンジアミンなどのジカルボン酸類あるいはこれらの低級アルキルエステル、酸ハロゲン化物、N−(アミノメチル)−N’−(カルボキシメチル)−ピペラジン、N−(アミノメチル)−N’−(β−カルボキシエチル)−ピペラジン、N−(β−アミノエチル)−N’−(β−カルボキシエチル)−ピペラジン、N−カルボキシメチルピペラジン、N−(β−カルボキシエチル)ピペラジン、N−(γ−カルボキシヘキシル)ピペラジン、N−(ω−カルボキシヘキシル)ピペラジン、N−(アミノメチル)−N−(カルボキシメチル)−メチルアミン、N−(β−アミノエチル)−N−(β−カルボキシエチル)−メチルアミン、N−(アミノメチル)−N−(β−カルボキシエチル)−イソプロピルアミン、N,N’−ジメチル−N−(アミノメチル)−N’−(カルボキシメチル)−エチレンジアミンなどのω−アミノ酸などがある。またこれらの単量体のほかにジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノ酸、ラクタムなどと併用して重合したものも使用可能である。これら塩基性窒素を含有する単量体成分は全ポリアミド構成成分、すなわちアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位およびジアミン単位の和に対して、10〜100モル%であることが好ましく、さらに10〜80モル%であることが好ましい。10モル%以上であると水溶性が高くなり、(C)成分との相溶性が高くなるため好ましい。
また前記ポリアミドの中でも脂環族ジアミン残基および/または脂環族ジカルボン酸残基を含有するポリアミドが好ましい。脂環族ジアミン残基および/または脂環族ジカルボン酸残基を有することで、ポリアミドのガラス転移点が上昇し、耐磨耗性を向上させることができる。なおここで言う脂環族とは、炭素もしくは窒素を含有する環状構造のことである。
脂環族ジアミン残基としては、例えばイソホロンジアミン、1,4−シクロへキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、メチルシクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、トリシクロデカンジアミンが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸残基としては、例えばイソホロンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、1,3−シクロへキサンジカルボン酸、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−t−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジエチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジプロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−3−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−3−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−t−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−エチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−プロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−ブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジメチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジエチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジプロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジメチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジエチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジプロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−エチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−プロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−ブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−エチル−4−ブチル−2,6−デカリンジカルボン酸が挙げられる。
本発明に用いるポリアミドは、脂環族ジアミン残基および/または脂環族ジカルボン酸残基を30〜90モル%含有し、かつ脂環族ジカルボン酸残基を20モル%以上含有するポリアミドであることが好ましい。脂環族ジアミン残基および/または脂環族ジカルボン酸残基を30モル%以上含有とすることで、ポリアミドのガラス転移点が向上し印刷版原版の耐磨耗性を向上させることができる。一方、脂環族ジアミン残基および/または脂環族ジカルボン酸残基を90モル%以下含有とすることで、ポリアミドの弾性率を制御し印刷版原版の割れを防止することができる。また脂環族ジカルボン酸残基を20モル%以上含有することで、ポリアミドのガラス転移点が向上し印刷版原版の耐磨耗性を向上させることができる。
ポリアミドに含まれる脂環族ジアミン残基および/または脂環族ジカルボン酸残基のモル%とは、アミノカルボン酸、ジアミン、およびジカルボン酸より得られる総モル数に対する脂環族残基のモル数の比率を示したものである。脂環族残基のモル%は、原料仕込み段階のモル数またはH−NMRの測定結果より計算することができる。H−NMRによる分析は、一般的に行われている分析方法であり、積分値より各構造単位のモル%を計算する方法である。
また、本発明の感光性樹脂組成物を構成する別の態様として、(A2)成分である、ラジカル反応により架橋することができる官能基を側鎖に有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルを含む。一般に、このようなラジカル反応により架橋することができる官能基としては、通常は非芳香族の不飽和炭素−炭素結合、中でもエチレン性二重結合が多く使用され、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。このようなラジカル反応により架橋することができる官能基を側鎖に有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルを用いることで、ポリマーがモノマー成分と重合するため、耐摩耗性が向上する。
このようなラジカル反応により架橋することができる官能基を部分ケン化ポリ酢酸ビニルの側鎖に導入する方法として、例えば、特開平3−274558号公報、特開平4−283749号公報にある方法や特開2007−79494号公報にある方法が挙げられる。
特開平3−274558号公報および特開平4−283749号公報に記載の方法は、部分ケン化ポリ酢酸ビニルと酸無水物とを反応させ、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの水酸基を起点としてカルボキシル基をポリマー側鎖に導入し、そのカルボキシル基に不飽和エポキシ化合物を反応させることによりラジカル反応により架橋することができる官能基を導入したり、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩とを共重合させ得られたポリマーを部分ケン化し、得られたケン化度60〜90モル%のアニオン変性ポリビニルアルコールに含まれるカルボキシル基と不飽和エポキシ化合物を反応させることによりラジカル反応により架橋することができる官能基を導入する方法である。なかでも前者の方法で得られた部分ケン化ポリ酢酸ビニルが本発明の効果が顕著に現れることから好ましく使用される。
このようなラジカル反応により架橋することができる官能基は、化合物(A2)中、0.08〜0.72モル/kg存在することが好ましく、さらに好ましくは0.12〜0.36モル/kgである。0.72モル/kg以下であると、優れた水現像性を得ることができるため好ましく、0.08モル/kg以上であると、ラジカル反応により架橋することができる官能基が反応することで改善される現像時のレリーフ欠けを抑制するなどの効果を得ることができるため好ましい。このようにして得られた(A2)ラジカル反応により架橋することができる官能基を有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルは、少なくとも次の(I)、(II)、および(III)の構造単位を有することが好ましい。
Figure 0006977615
((II)中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、(III)中、Xは末端に不飽和炭素−炭素結合を有する官能基を示す。)
(A2)ラジカル反応により架橋することができる官能基を有する部分ケン化ポリ酢酸ビニルに水現像性が必要なことから、構造(I)の単位が60〜99モル%が好ましく、さらに好ましくは70〜95モル%である。(I)の構造単位が60モル%以上であると十分な水現像性を得ることができ、99モル%以下であると常温の水に対する溶解性も保持できる。また、(A2)成分の平均重合度は300〜2000の範囲が好ましく、500〜1000がより好ましい。平均重合度が300以上であると、十分な耐水性を得ることができる。平均重合度が2000以下であると、十分な水現像性が得られるだけの水溶解性を得ることができる。
一方、特開2007−79494号公報に記載の方法は、部分ケン化ポリ酢酸ビニルとN−メチロール基を有するアクリル系化合物の反応で、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの側鎖にラジカル反応により架橋することができる官能基を導入する方法である。N−メチロール基を有するアクリル系化合物の配合量は、ポリ酢酸ビニル100重量部に対し、2〜40重量部が好ましく、5〜30重量部の範囲がより好ましい。N−メチロール基を有するアクリル系化合物の配合量が40重量部以下であると、優れた水現像性を得ることができる。また、2重量部以上であると、ラジカル反応により架橋することができる官能基が反応することで改善される現像時のレリーフ欠けなどの効果が発現される。
前記N−メチロール基を有するアクリル系化合物としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチル−N−メチロールアクリルアミド、N−メチル−N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N−エチル−N−メチロールメタクリルアミドなどを挙げることができるが、特にN−メチロールアクリルアミドやN−メチロールメタクリルアミドが好ましい。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、(A1)成分および(A2)成分の両方を含むことも可能である。
本発明の感光性樹脂組成物には、(B)成分として平均粒子径が0.5μm以上4μm以下であって、真球度が0.9以上である無機微粒子を含有する(以下、「無機微粒子(B)」という。)。このような無機微粒子(B)を用いることで、耐摩耗性に優れかつパッド印刷機のブレードでスキージした際の版表面のインクの掻き取り性に優れた感光性樹脂組成物を提供できる。
無機微粒子(B)は、平均粒子径が0.5μm以上であることで、パッド印刷機のブレードした際の耐摩耗性を向上させ、4μm以下であることで、パッド印刷機のブレードでスキージした際の版表面のインクの掻き取り性が良好となる。無機微粒子(B)の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であるとよい。また平均粒子径は、好ましくは4.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下であるとよい。さらに、無機微粒子(B)の真球度が0.9以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.90〜1.0であることで、印刷版の表面粗さが小さくなるため、インクの掻き取り性がさらに良好となる。なお、本発明において、無機微粒子(B)の平均粒子径とは、レーザー回折散乱法で測定したメジアン径である。また真球度とは、走査型電子顕微鏡により、無機微粒子(B)50個の形状観察を行い、個々の無機微粒子の最短径/最長径の比率を求め、50個の相加平均値としたものである。
このような無機微粒子(B)としては、金属単体微粒子、無機酸化物粒子、無機塩微粒子、有機成分および無機成分で構成される微粒子などが挙げられる。このうち、感光性樹脂組成物に光を照射し、光硬化させる際の紫外光の散乱を抑制する観点から、感光性樹脂組成物に含まれる有機成分である(A1)親水性基を有するポリアミド、(A2)ラジカル反応により架橋することができる官能基を側鎖に有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル、(C)エチレン性二重結合を有する化合物および(D)光重合開始剤との屈折率が比較的近いシリカ粒子が好ましい。さらに、安全に取り扱う観点から非晶質シリカがより好ましい。
このような非晶質シリカの製造方法としては、特に限定されるものではないが、特開昭58−145613号公報に示すように、シリカ粒子を火炎中で溶融する方法、特開2006−36915号公報に示すように、VMC(Vaperized Metal Combustion)法により、シリコン粉末を燃焼して製造する方法などが知られている。
また、無機微粒子(B)は比表面積が10m/g以下であることが好ましい。10m/g以下であると、感光性樹脂組成物を溶剤に溶解した樹脂溶液の流動性が良好で、平滑な膜面の形成が容易である。無機微粒子(B)の比表面積は、より好ましくは9m/g以下、さらに好ましくは8m/g以下であるとよい。本明細書において、無機微粒子(B)の比表面積は、JIS Z8830:2013に記載された方法に基づき測定することができる。
一方、無機微粒子(B)は最大粒子径が好ましくは20μm以下、より好ましくは20.0μm以下である。最大粒子径が20μm以下である場合は、パッド印刷機のブレードでスキージした際のインクの掻き取り性が良好となる。無機微粒子(B)の最大粒子径はより好ましくは、10μm以下である。なお、最大粒子径は無機微粒子を該当する大きさの篩を通過させることで設定した。
さらに、無機微粒子(B)は抽出水のpHが5.5〜8.5の範囲に含まれることが好ましい。この範囲であることで、本発明で用いるその他の成分への分散性が良好となり、無機微粒子(B)の凝集が抑制される。抽出水のpHが6.0〜8.0の範囲であればさらに好ましい。本明細書において、無機微粒子(B)の抽出水のpHは、無機微粒子の粉末を蒸留水に10質量%分散させ、30分間攪拌した後の上澄み水をpHメーターで測定することができる。なお、無機微粒子のpHは活性抑制剤を無機微粒子が有する活性な水酸基に作用させることで調整することができる。活性抑制剤の例としては、有機フォスフィン化合物、スルフィド化合物、メルカプタン化合物、ケトン化合物、およびアミド化合物から選ばれる一種以上を用いればよいがこの限りではない。なお、これら活性抑制剤は無機微粒子(B)と混合し、90〜180℃の温度で、4〜24時間加熱して用いることができる。
このような無機微粒子(B)を用いると、(A1)成分、(A2)成分、もしくは(C)エチレン性二重結合を有する化合物と配合した際に、無機微粒子(B)の凝集、再凝集が抑制され、パッド印刷機のブレードで版表面のインクの掻き取り性が良好となる。
なお、無機微粒子(B)は、耐摩耗性を付与するために、感光性樹脂組成物100質量%中に3質量%以上含まれることが好ましく、層の形成を可能とするため70質量%以下とすることが好ましい。無機微粒子(B)の含有量は、より好ましくは8質量%以上であるとよく、60質量%以下であるとよい。
無機微粒子(B)の表面に、表面修飾剤を用いてエチレン性二重結合を導入することも可能である。このような修飾剤としては、例えば、(3−アクロイルプロピル)トリメトキシシラン、メタクロイルプロピルトリメトキシシラン、メタクロイルプロピルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシメチルトリメトキシシランなどが挙げられるが、この限りではない。無機微粒子(B)にエチレン性二重結合を表面修飾することにより、(A1)成分、(A2)成分、もしくは(C)エチレン性二重結合を有する化合物に混合したときに、均一となり凝集、再凝集を抑制することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)エチレン性二重結合を有する化合物を含有する。
好ましく使用される(C)エチレン性二重結合含有化合物として具体的な例としては、次のようなものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコール−(メタ)アクリル酸−安息香酸エステル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、スチレン及びその誘導体、ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、N−フェニルマレイミド及びその誘導体、N−(メタ)アクリルオキシコハク酸イミド、(メタ)アクリル酸−2−ナフチル、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、ビニルカプロラクタム、ビニルカルバゾル、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、(2−メチル−エチルジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、イミドアクリレート、(2−オキシ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(オキシジイミダゾリジン−1−イル)エチル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性二重結合を1個だけ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性二重結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多価ビニル化合物、などの2つ以上のエチレン性二重結合を有する化合物、などが挙げられる。
これらの(C)エチレン性二重結合含有化合物のうち、分子内に1つ以上の水酸基を有するものは、(A1)成分、および(A2)成分との相溶性がよく、また、抽出水のpHが5.5〜8.5の範囲の無機微粒子(B)の分散性も良好となり感光性樹脂組成物に配合した際に、均一な組成物の作製が可能である。このような(C)エチレン性二重結合含有化合物としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
さらに、分子内に2つ以上の水酸基を有する(C)エチレン性二重結合含有化合物は、水酸基の水素結合により、パッド印刷に用いられるインクの有機溶剤による凹版印刷版の膨潤を抑制できる。このような化合物としては、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
これら(C)エチレン性二重結合含有化合物の含有量は(A1)成分および(A2)成分の合計100質量部に対して、5〜200質量部であることが好ましい。5質量部以上であると、インクを用いて印刷する際に、印刷版が膨潤することなく使用することができ、200質量部以下であると感光性樹脂組成物の成形が容易となるため好ましい。(C)エチレン性二重結合含有化合物は、(A1)成分および(A2)成分の合計100質量部に対しより好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上含有するとよい。また(C)エチレン性二重結合含有化合物の含有量は、より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下であるとよい。
(C)エチレン性二重結合含有化合物は、アクリロイル基とメタアクリロイル基の両方を含む場合が好ましく、(C)エチレン性二重結合含有化合物におけるメタアクリロイル基の数がアクリロイル基の数よりも多いことが好ましい。一般に、メタアクリロイル基は、アクリロイル基よりも反応速度が遅い。そのため、ポジフィルムを介して紫外線照射した場合、メタアクリロイル基の数が多いことで、レリーフの凹部が深くなるため、300線90%などの網点スクリーンフィルムを密着させ、紫外線照射し、形成したスクリーン目により、凹部の深度調整が容易となる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、(D)光重合開始剤を含有する。(D)光重合開始剤としては、光によって重合性の炭素−炭素不飽和基を重合させることができるものであれば全て使用できる。なかでも、光吸収によって、自己分解や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく用いられる。(D)光重合開始剤として例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などがある。
(D)光重合開始剤の配合量としては、(A1)成分および(A2)成分の合計100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲が好ましい。0.1質量部以上であればレリーフ画像の形成性が向上し、20質量部以下であれば光重合開始剤の析出を抑制することが可能となる。(D)光重合開始剤の配合量は、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であるとよい。また(D)光重合開始剤の配合量は、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下であるとよい。
本発明の感光性樹脂組成物には、相溶性、柔軟性を高めるための相溶助剤としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン及びその誘導体、トリメチロールプロパン及びその誘導体、トリメチロールエタンおよびその誘導体、ペンタエリスリトールおよびその誘導体などの多価アルコール類を任意に添加することも可能である。これらの多価アルコールは、感光性樹脂組成物全体に対して、30質量%以下を添加することが好ましい。特に相溶性が向上することで、樹脂組成物の濁り、低分子量成分のブリードアウトを抑制できる。
また、本発明の感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂印刷版原版より形成される凹版印刷版において、形状が良好な凹部を形成するために、感光性樹脂層中での光の散乱を抑制する目的で紫外線吸収剤を配合してもよい。好ましい紫外吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系の化合物が挙げられ、これらを1種類以上使用することが可能である。なお、紫外線吸収剤の配合量は、全感光性樹脂組成物に対して、0.001〜5質量%の範囲で使用することが好ましい。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物の熱安定性を高くするために、従来公知の重合禁止剤を任意に添加することができる。好ましい重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類、N−ニトロソアミン誘導体などが挙げられる。これらの配合量は、全感光性樹脂組成物に対して、0.001〜5質量%の範囲で使用することが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物には他の成分として、染料、顔料、界面活性剤、消泡剤、香料などを任意に添加することができる。
本発明の感光性樹脂積層体は、少なくとも支持体(E)上に、接着層(G)、本発明の感光性樹脂組成物から形成された感光性樹脂層(F)、および保護層がこの順に積層されている。そして、本発明の感光性樹脂印刷版原版は、当該感光性樹脂積層体を用いて形成される。
支持体(E)としては、ポリエステルなどのプラスチックシートやスチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴムシート、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属板を使用することができるが、パッド印刷では特に、版面上にインクを載せ、金属製のドクター刃で掻き取るため、もしくは、ドクター刃の役割をするリング状のセラミックス製または特殊金属製エッジ付きインクカップの中にインクを入れて版面上をインクカップで掻き取るため、掻き取る際の力で支持体が変形しないよう金属版を用いることが好ましい。
支持体の厚さは特に限定されないが、取扱性の観点から100〜500μmの範囲が好ましい。100μm以上であれば支持体が変形することが抑制され、500μm以下であれば取り扱い性が向上する。
支持体(E)は、感光性樹脂層(F)との接着性を向上させる目的で、易接着処理されていることが好ましい。易接着処理の方法としては、サンドブラストなどの機械的処理、コロナ放電などの物理的処理、コーティングなどによる化学的処理などが例示できるが、コーティングにより接着層(G)を設けることが接着性の観点から好ましい。
接着層(G)は、支持体(E)および感光性樹脂層(F)の接着性を向上させるものであれば特に制限されない。接着層(G)は、好ましくは感光性樹脂層(F)に含まれる構成単位のうち少なくとも一部分を含有することにより、さらに接着性が向上する。このような共通する構成単位として、低級アルコールを含む溶液に可溶性を有する高分子化合物が例示される。また可溶性高分子化合物として、ε‐カプロラクタムの単位を含むポリアミド樹脂を好ましく挙げることができる。
感光性樹脂層(F)は、本発明の感光性樹脂組成物から形成される。感光性樹脂層(F)の厚さは、十分なレリーフ深度を有し印刷適性を向上させる観点から、0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましい。一方、感光性樹脂層(F)の厚さはコスト、省資源の観点から1mm以下が好ましく、0.7mm以下がより好ましい。
本発明の感光性樹脂印刷版原版は、表面保護、異物等の付着防止の観点から、感光性樹脂層(F)上に保護層としてカバーフィルム(H)を有することが好ましい。感光性樹脂層(F)はカバーフィルム(H)と直接接していてもよいし、感光性樹脂層(F)とカバーフィルム(H)の間に1層または複数の層を有していてもよい。感光性樹脂層(F)とカバーフィルム(H)の間の層としては、例えば、感光性樹脂層表面の粘着を防止する目的で設けられる剥離補助層(I)などが挙げられる。
カバーフィルム(H)の材質は特に限定されないが、ポリエステル、ポリエチレンなどのプラスチックシートが好ましく使用される。カバーフィルム(H)の厚さは特に限定されないが、10〜150μmの範囲が取扱性、コストの観点から好ましい。またカバーフィルム表面は、原画フィルムの密着性向上を目的として粗面化されていてもよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性樹脂印刷原版の製造方法について説明する。例えば、(A1)成分および/または(A2)成分を、水を主成分とする混合溶媒に加熱溶解した後に、(C)エチレン性二重結合含有化合物、(D)光重合開始剤および必要に応じて可塑剤その他の添加剤等を添加し、撹拌して十分に混合する。次いで、無機微粒子(B)を添加し、混合・分散することで感光性樹脂組成物溶液を得る。
無機微粒子を分散する方法としては、例えば、機械撹拌法、超音波分散法、高圧分散法、メディア分散法などを挙げることができる。これらの中でも無機微粒子を高度に分散させることが可能なメディア分散法が好ましい。
感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層(F)は、上述の方法によって得られた感光性樹脂組成物溶液を、接着層(G)を有する支持体(E)に流延し、乾燥することで得ることができる。その後、任意に剥離補助層(I)を塗布したカバーフィルム(H)を感光性樹脂層(F)上に密着させることで感光性樹脂印刷版原版を得ることができる。また、乾燥製膜により感光性樹脂シートを作製し、支持体(E)とカバーフィルム(H)で感光性シートを挟み込むようにラミネートすることでも感光性樹脂印刷版原版を得ることができる。さらに、無機微粒子(B)を含まない感光性樹脂組成物を、接着層(G)と感光性樹脂層(F)の間に設けることも可能である。
感光性樹脂印刷版原版が剥離補助層(I)を有する場合、剥離補助層(I)の形成方法は特に限定されないが、薄膜形成の簡便さから、剥離補助層(I)成分を溶媒に溶解した溶液をカバーフィルム(H)上に塗布し、溶媒を除去する方法が特に好ましく行われる。溶媒の除去方法としては、例えば熱風乾燥、遠赤外線乾燥、自然乾燥などを挙げることができる。剥離補助層(I)成分を溶解する溶媒は特に限定されないが、水やアルコール、または水とアルコールの混合物が好ましく使用される。
次に、本発明の感光性樹脂印刷版原版を用いて形成される印刷版について説明する。本発明の印刷版は、前述の本発明の感光性印刷版原版を露光および現像することにより得られる。
感光性樹脂印刷版原版がカバーフィルム(H)を具備する場合はこれを剥離し、感光性樹脂層(F)上にポジティブの原画フィルムを密着させ、紫外線照射することによって、感光性樹脂層(F)を光硬化させる。紫外線照射は、通常300〜400nmの波長を照射できる高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯などを用いて行うことができる。
次に、300線90%の網点スクリーンフィルムを密着させ、紫外線照射することによって、凹部にスクリーン目を形成して凹部の深さが適切になるように調整する。
次に、感光性印刷版原版を現像液に浸漬し、未硬化部分をブラシで擦りだして除去するブラシ式現像装置により基板上にレリーフ像を形成する。また、ブラシ式現像装置の他にスプレー式現像装置を使用することも可能である。現像液は水または界面活性剤を添加した水を用いることができる。
なお、現像時の液温は15〜40℃が好ましい。レリーフ像形成後、50〜70℃において10分間程度乾燥し、必要に応じてさらに大気中ないし真空中で活性光線処理して凹版印刷版を得ることができる。
なお、本発明の感光性樹脂組成物は、凹版印刷用またはパッド印刷用の感光性樹脂印刷版原版に用いることが最も適しているが、平版印刷用、凸版印刷用、孔版印刷用、フォトレジストとして使用することも可能である。
[実施例2〜11]
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。ただし、実施例1〜7および9〜14は参考例に読み替えるものとする。
<親水性基を有するポリアミド(A1)の合成>
合成例1:
ε−カプロラクタム10重量部、N−(2−アミノエチル)ピペラジンとアジピン酸のナイロン塩90重量部および水100重量部をステンレス製オートクレーブに入れ、内部の空気を窒素ガスで置換した後に180℃で1時間加熱し、ついで水分を除去して(A1)成分である親水性基および主鎖に塩基性窒素を有するポリアミド1を得た。脂環族ジアミン残基の含有量は39モル%であった。
合成例2:
数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα, ω−ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との等モル塩60重量部、ε−カプロラクタム20重量部およびヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩20重量部を溶融重合して、ついで水分を除去して(A1)成分である親水性基および主鎖にポリエーテルセグメントを有するポリアミド2を得た。
合成例3:
ε−カプロラクタム10重量部(30モル%)、N−(2−アミノエチル)ピペラジン8質量部(20モル%)、1、3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン6質量部(15.4モル%)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸18質量部(34.6モル%)をステンレス製オートクレーブに入れ、内部の空気を窒素ガスで置換した後に180℃で1時間加熱し、ついで水分を除去して(A1)成分である親水性基および主鎖に塩基性窒素を有するポリアミド3を得た。脂環族ジアミン残基の含有量は35.4モル%、脂環族ジカルボン酸の含有量は34.6モル%であった。
<ラジカル反応により架橋することができる官能基を側鎖に有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル(A2)の合成>
合成例4:
日本合成化学工業(株)製の部分ケン化ポリ酢酸ビニル“ゴーセノール”(登録商標)KL−05(重合度約500、ケン化度78〜82モル%)をアセトン中で膨潤させ、無水コハク酸1.0モル%を添加し、60℃で6時間撹拌して分子鎖にカルボキシル基を付加させた。このポリマーをアセトンで洗浄して未反応の無水コハク酸を除去乾燥した。酸価を測定したところ、10.0mgKOH/gであった。このポリマー100重量部をエタノール/水=30/70(重量比)の混合溶媒200重量部に80℃で溶解した。ここにグリシジルメタクリレートを6重量部添加して部分ケン化ポリ酢酸ビニル中にラジカル反応により架橋することができる官能基を導入した。電位差滴定法による分析結果からポリマー中のカルボキシル基がグリシジルメタクリレートのエポキシ基と反応しポリマー側鎖中にメタクリロイル基が導入されたことを確認し、(A2)成分であるラジカル反応により架橋することができる官能基を側鎖に有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル1を得た。得られた変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルは構造(I)を79モル%、構造(II)を20モル%、構造(III)を1モル%含有するものであった。
合成例5:
酢酸ビニルにメタクリル酸を共重合単位として1モル%含有させたポリマーをケン化し、平均重合度650、ケン化度75モル%にしたアニオン変性ポリ酢酸ビニルを得た。このポリマー100重量部をエタノール/水=30/70(重量比)の混合溶媒200重量部に80℃で溶解した。ここにグリシジルメタクリレートを6重量部添加して部分ケン化ポリ酢酸ビニル中にラジカル反応により架橋することができる官能基を導入した。電位差滴定法による分析結果からポリマー中のカルボキシル基がグリシジルメタクリレートのエポキシ基と反応しポリマー側鎖中にメタクロイル基が導入されたことを確認し、(A2)成分であるラジカル反応により架橋することができる官能基を側鎖に有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル2を得た。得られた変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルは構造(I)を79モル%、構造(II)を20モル%、構造(III)を1モル%含有するものであった。
合成例6:
日本合成化学工業(株)製の部分ケン化ポリ酢酸ビニル“ゴーセノール”(登録商標)KL−05(重合度約500、ケン化度78〜82モル%)100重量部を100重量部の水に溶解し、N−メチロールアクリルアミド15重量部を添加し、酸触媒としてリン酸1重量部を加え、100℃4時間撹拌して調整し、次いで水分を除去して、N−メチロール基を有するアクリル系化合物との反応により得られた(A2)成分であるラジカル反応により架橋することができる官能基を側鎖に有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル3を得た。得られた変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルは構造(I)を79モル%、構造(II)を20モル%、構造(III)を1モル%含有するものであった。
無機微粒子(B):
表1に記載の無機微粒子の粉末を使用した。このうち番号1〜7の無機微粒子は非晶質シリカである。平均粒子径の測定は株式会社堀場製作所製LA−500を用い、分散媒に水、屈折率を1.1に設定して測定した。最大粒子径は20.0μmメッシュの篩を通過させることにより、20.0μmに設定した。比表面積は株式会社島津製作所製Tristar3000を使用し、BET法にて測定した。
無機微粒子(B)の水抽出のpHは、無機微粒子の粉末を蒸留水に10質量%分散させ、30分間攪拌した後の上澄み水を株式会社堀場製作所製D−71LABで測定した。
Figure 0006977615
(C)エチレン性二重結合含有化合物(表2中、「(C)成分」と記載する。)
水酸基を1個有するエチレン性二重結合を有する化合物
・グリセロールジメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルG101P)
・2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルHOP)
水酸基を2個有するエチレン性二重結合を有する化合物
・グリセロールモノメタクリレート(日油(株)製ブレンマーGLM)
水酸基を有しないエチレン性二重結合を有する化合物
・イソブチルメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルIB)
・トリエチエレングルコールジメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステル3EG)。
(D)光重合開始剤(表2中、「(D)成分」と記載する。)
・2,2−ジメトキシ‐1,1−ジフェニルエタン‐1‐オン(BASF社製IRGACURE651)
・重合禁止剤:N−(アンモニウムオキシ)−N−ニトロソフェニルアミン(関東化学(株)製クペロン)
・紫外線吸収剤:2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール(BASF社製TINUVIN326)。
<接着層(G)を有する支持体(E)の作製>
“ビニトール”(登録商標)#284(名古屋油化株式会社製)66質量部およびヘキサメチレンテトラミン(関東化学株式会社製)2質量部をジメチルホルムアミド16質量部とキシレン16質量部の溶媒に混合した溶液に、ビスフェノールA“jER”(登録商標)834(三菱化学株式会社製)90質量部をジメチルホルムアミド30質量部とキシレン30質量部の溶媒に混合した溶液を添加し、接着層(G)用塗工液1を得た。
“アミラン”(登録商標)CM833(東レ株式会社製)20質量部、“CJPARL”(オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社製)をエタノール50質量部、水10質量部、ジメチルホルムアミド10質量部、およびベンジルアルコール50質量部の混合溶媒中70℃で2時間混合し、溶解した。その後、25℃でビスフェノールA“jER”(登録商標)834(三菱化学株式会社製)5質量部、ジシアノジアミド(関東化学株式会社製)0.3質量部を添加し、接着層(G)用塗工液2を得た。
支持体(E)である厚さ250μmの鉄板(新日鐵住金株式会社製)上に接着層(G)用塗工液1を乾燥後膜厚が10μmになるようにバーコーターで塗布し、180℃のオーブンで3分間加熱して溶媒を除去した後、その上に接着層(G)用塗工液2を乾燥膜厚が10μmとなるようにバーコーターで塗布し、160℃のオーブンで3分間加熱して、接着層(G)を有する支持体(E)を得た。
<カバーフィルム(H)>
厚さ100μmの“ルミラー”(登録商標)S10(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)をカバーフィルム(H)として使用した。
[評価方法]
各実施例および比較例における評価は、次の方法で行った。
(1)耐摩耗性
7cm×14cmの感光性印刷原版からカバーフィルム(H)のポリエステルフィルムのみを剥離し(剥離後の感光性印刷原版の最表面は乾燥膜厚1μmの剥離補助層)、ポジフィルムを真空密着させ、ケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)でグレースケール感度13±1段となる条件で露光し(主露光)、7cm×14cmの感光性樹脂版の全面を光硬化した。その後、液温25℃の水でブラシ式現像装置により1分間現像し、60℃で10分間乾燥した後、さらにケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)で主露光と同条件で後露光し、耐摩耗性評価用印刷版を得た。
こうして得られた印刷版を、hermetic6−12 universal(TAMPOPRINT社製)に装着し、インクにPAD−PLV−1インキ白(ナビタス社製)を用いて、5万回スキージし、印刷版の摩耗された深さを測定した。摩耗された深さが10μm以上である場合は、印刷中にインクを充填する凹部が浅くなるため印刷不具合が発生する。摩耗された深さが10μm未満であれば好ましく、8μm以内であればより好ましく、6μm以内であればさらに好ましい。
(2)ブレードによるインクの掻き取り性
7cm×14cmの感光性印刷原版からカバーフィルム(H)を剥離し、ポジフィルムを真空密着させ、ケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)でグレースケール感度13±1段となる条件で露光し(主露光)、7cm×14cmの感光性樹脂版の全面を光硬化した。その後、液温25℃の水でブラシ式現像装置により1分間現像し、60℃で10分間乾燥した後、さらにケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)で主露光と同条件で後露光し、インクの掻き取り性評価用印刷版を得た。
こうして得られた印刷版を、hermetic6−12 universal(TAMPOPRINT社製)に装着し、インクにPAD−PLV−1インキ白(ナビタス社製)を用いて、1回スキージし、印刷版の表面に残っているインクの厚みを10点測定し、その平均値を求めた。インク残りがスキージ部全面で1μm以上である場合は、印刷画像部以外にインクが転写するため印刷不具合が発生するので×、インク残りが部分的に1μm以上あるとこが発生する場合は△、1μm以上のところがない場合は○とした。
実施例1
<感光性樹脂組成物1用の組成物溶液1の調製>
撹拌用ヘラおよび冷却管を取り付けた3つ口フラスコ中に、表2の実施例1の欄に示す(A1)成分を添加し、“ソルミックス”(登録商標)H−11(アルコール混合物、日本アルコール(株)製)50質量部および水50質量部の混合溶媒を混合した後、撹拌しながら90℃で2時間加熱し、(A1)成分を溶解させた。70℃に冷却した後、そこに表2の実施例1の欄のその他の成分を添加し、30分撹拌した。さらに25℃まで冷却した後、連続型メディア分散機(NANO GRAIN MILL、浅田鉄工(株)製)を用いて分散し、感光性樹脂組成物1用の組成物溶液1を得た。
<感光性樹脂印刷版原版1の製造>
得られた組成物溶液1を、前記接着層(G)を有する支持体(E)に流延し、60℃で2.5時間乾燥した。このとき乾燥後の版厚(鉄板+感光性樹脂層)が0.5mmとなるよう調節した。このようにして得られた感光性樹脂層(F)上に、水/エタノール=50/50(重量比)の混合溶剤を塗布し、表面にカバーフィルム(H)を圧着し、感光性樹脂印刷版原版1を得た。得られた感光性印刷原版1を用いて、前記方法により印刷版の特性を評価した結果を表2に示す。
実施例2〜15
感光性樹脂組成物の組成を表2の実施例2〜15のとおり変更した以外は実施例1と同様にして感光性樹脂シートおよび感光性印刷原版を作製した。評価結果を表2に示す。
比較例1〜4
感光性樹脂組成物の組成を表2の比較例1〜4のとおり変更した以外は実施例1と同様にして感光性樹脂シートおよび感光性印刷原版を作製した。評価結果を表2に示す
比較例5
親水性基を有さないポリアミド“アミラン”(登録商標)CM9000(東レ株式会社製)を用いて感光性樹脂組成物を表2の比較例5の通り作製したが、水現像できなかったため、評価できなかった。
比較例6
ラジカル反応により架橋することができる官能基を側鎖に有さない部分ケン化ポリ酢酸ビニル“ゴーセノール”(登録商標)KL−05(重合度約500、ケン化度78〜82モル%、日本合成化学工業(株)製)を用いて感光性樹脂組成物を表2の比較例6の通り作製した。評価結果を表2に示す。
比較例7
感光性樹脂組成物の組成を表2の比較例7のとおり作製したが、シート状に形成できなかったので、評価できなかった。
Figure 0006977615

Claims (10)

  1. (A1)親水性基を有するポリアミド、(B)平均粒子径が0.5μm以上4μm以下であって、真球度が0.9以上である無機微粒子、(C)エチレン性二重結合を有する化合物、および(D)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(A1)親水性基を有するポリアミドがピペラジン環を有する感光性樹脂組成物
  2. 前記(A1)親水性基を有するポリアミドが、脂環族ジアミン残基および/または脂環族ジカルボン酸残基を有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(B)無機微粒子の比表面積が10m /g以下である請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(B)無機微粒子の最大粒子径が20μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(B)無機微粒子が非晶質シリカである請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(B)の抽出水のpHが5.5〜8.5である請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記(C)エチレン性二重結合を有する化合物が分子内に1つ以上の水酸基を有する請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記(C)エチレン性二重結合を有する化合物が分子内に2つ以上の水酸基を有する請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  9. 少なくとも支持体上に、接着層、請求項1〜8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物から形成された感光性樹脂層、保護層が順次積層された感光性樹脂印刷版原版。
  10. 凹版印刷またはパッド印刷に用いられる請求項9に記載の感光性樹脂印刷版原版。
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