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JP6979321B2 - 回転機械のシール装置及びこのシール装置を備える回転機械 - Google Patents
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回転機械のシール装置及びこのシール装置を備える回転機械 Download PDF

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Description

本開示は、回転機械のシール装置及びこのシール装置を備える回転機械に関する。
特許文献1に記載されるように、蒸気タービンのような回転機械には、タービンロータと、タービンロータの周りに設けられた環形状のリング部材との間をシールするシール装置が設けられている。
そのようなシール装置が設けられた蒸気タービンにおいて、蒸気タービンの性能を向上するためには、タービンロータとリング部材との間をリークする蒸気を低減する必要があり、そのためには、定格運転時におけるタービンロータとリング部材との間のクリアランスを小さくする必要がある。蒸気タービンの起動時から定格運転に到達するまでの間、
蒸気の熱によってタービンロータ及びリング部材が蒸気タービンの起動前に対して変形するため、蒸気タービンの起動時から定格運転に到達するまでの間でクリアランスが変化する場合がある。このため、タービンロータとリング部材とが最も接近する状態(ピンチポイント)においてタービンロータとシール装置とが接触しないようにセッチングクリアランス(初期クリアランス)を設定する必要がある。
特開2009−293784号公報
リング部材の熱容量がタービンロータの熱容量よりも大きい場合には、蒸気タービンの起動時にリング部材の温度がタービンロータに比べて上がりにくいため、リング部材に比べてタービンロータの変形量が大きくなり、タービンロータとリング部材との間のクリアランスが小さくなる傾向がある。このため、ピンチポイントにおいてタービンロータとシール装置とが接触しないように初期クリアランスを設定すると、定格運転時のクリアランスが大きくなり、蒸気タービンの性能が低下してしまうといった問題点があった。逆に、定格運転時のクリアランスを小さくするように初期クリアランスを設定すると、ピンチポイントにおいてタービンロータとシール装置とが接触してシール装置が破損してしまうおそれがあるといった問題点があった。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも1つの実施形態は、回転機械の性能を向上できる回転機械のシール装置及びこのシール装置を備える回転機械を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも1つの実施形態に係る回転機械のシール装置は、
回転可能に設けられた回転体の周囲に設けられた環形状のリング部材と、
前記リング部材に保持されるとともに前記リング部材と前記回転体との間に形成された環形状の間隙をシールするように構成された少なくとも1つのシール部材と
を備える、回転機械のシール装置であって、
前記リング部材は該リング部材の内部に、
前記間隙に連通する内部流路と、
前記回転機械内で前記リング部材に接する流体の圧力又は温度の少なくとも一方に応じて前記内部流路を開閉する少なくとも1つの開閉機構と
を備え、
前記少なくとも1つの開閉機構が前記内部流路を開くと、前記間隙を流通する前記流体の少なくとも一部が前記内部流路を流通する。
上記(1)の構成によると、少なくとも1つの開閉機構が内部流路を開くことで流体が内部流路を流通するので、内部流路を流通する流体によってリング部材の内部からもリング部材の温度が上昇し、回転機械内でリング部材の外部に接する流体がリング部材の温度を上昇させる場合に比べてリング部材の温度上昇が促進される。そうすると、回転機械の起動時から定格運転に到達するまでの間におけるリング部材及び回転体の温度差が小さくなり、リング部材及び回転体の変形量の差も小さくなる。このため、ピンチポイント及び定格運転時それぞれにおけるリング部材と回転体との間の間隙の幅(クリアランス)の差が小さくなるので、定格運転時におけるクリアランスをできるだけ小さくするような初期クリアランスの設定が可能となる。その結果、定格運転時においてリング部材と回転体との間からリークする流体の量を低減できるので、回転機械の性能を向上することができる。
また、上記(1)の構成によると、少なくとも1つの開閉機構がリング部材の内部に設けられているので、開閉機構がリング部材の外部に設けられる構成に比べてシール装置全体をコンパクトにすることができる。
さらに、上記(1)の構成によると、回転機械内でリング部材に接する流体の圧力又は温度の少なくとも一方に応じて少なくとも1つの開閉機構が内部流路を開閉するので、流体の圧力又は温度を検知するセンサ等の検出値に応じて開閉機構を作動する形態に比べて、より適切なタイミングで内部流路を開閉することができる。
(2)いくつかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記内部流路は、
前記回転体の径方向に延びる径方向流路部と、
前記回転体の軸方向に延びる軸方向流路部と
を含む。
上記(2)の構成によると、内部流路が径方向流路部だけでなく軸方向流路部も含むことにより、内部流路が径方向流路部のみを含む場合に比べて、内部流路を流通する流体とリング部材との間で行われる熱交換の伝熱面積が大きくなる。このため、内部流路が径方向流路部のみを含む場合に比べてリング部材の温度上昇が促進され、その結果、回転機械の性能をより向上することができる。
(3)いくつかの実施形態では、上記(1)または(2)の構成において、
前記内部流路は、前記回転体の軸方向に隣り合う前記シール部材間において前記間隙に連通し、
前記間隙を流通する流体の流通方向において、前記シール部材間に位置する前記内部流路よりも下流側にある前記シール部材の数に比べて、前記シール部材間に位置する前記内部流路よりも上流側にある前記シール部材の数の方が少ない。
上記(3)の構成によると、間隙を流体が流通する方向のできるだけ上流側で流体が内部流路に流入するようになる。上流側ほど流体の温度及び圧力が高いので、下流側で流体が内部流路に流入する場合に比べてリング部材の温度上昇が促進され、その結果、回転機械の性能をより向上することができる。
(4)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、
前記少なくとも1つの開閉機構は、
前記内部流路を横切るように移動することにより前記内部流路を開閉可能に構成された少なくとも1つの可動体と、
前記リング部材に接する前記流体が流入可能なように前記リング部材の内部に形成された少なくとも1つの流体収容空間であって、該流体収容空間内に流入した前記流体の圧力が前記可動体を移動させて前記内部流路を閉じる少なくとも1つの流体収容空間と、
前記内部流路を開く方向に前記少なくとも1つの可動体を移動させる弾性力を前記少なくとも1つの可動体に付与するように構成された少なくとも1つの弾性部材と
を備える。
上記(4)の構成によると、少なくとも1つの開閉機構は、回転機械内でリング部材に接する流体の圧力に応じて内部流体を開閉するので、流体の圧力を検知するセンサ等の検出値に応じて開閉機構を作動する形態に比べて、より適切なタイミングで内部流路を開閉することができる。
(5)いくつかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記内部流路を流通する流体の一部が前記少なくとも1つの流体収容空間内に流入するように構成されている。
上記(5)の構成によると、内部流路以外から流体を少なくとも1つの流体収容空間内に流入させる場合に比べて、少なくとも1つの流体収容空間に流体が流入する流路が簡素になる。その結果、シール装置全体の構成が簡素化される。
(6)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(5)のいずれかの構成において、
前記少なくとも1つの開閉機構は、前記リング部材を構成する材料よりも線膨張係数が高い材料で形成された伸縮部材を備え、
前記伸縮部材は、該伸縮部材の温度に応じて前記内部流路を横切るように伸縮することにより前記内部流路を開閉可能に構成され、
前記伸縮部材は、前記内部流路を横切る方向において前記内部流路を横切る端部とは反対の端部側のみが前記リング部材の内部で固定されている。
上記(6)の構成によると、少なくとも1つの開閉機構は、回転機械内でリング部材に接する流体の温度に応じて内部流路を開閉するので、流体の温度を検知するセンサ等の検出値に応じて開閉機構を作動する形態に比べて、より適切なタイミングで内部流路を開閉することができる。
(7)いくつかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記リング部材の内部には、前記伸縮部材を収容可能に構成された収容空間が形成され、
前記シール装置は、前記収容空間を前記リング部材の外周側から塞ぐ蓋部材を備える。
上記(7)の構成によると、伸縮部材をリング部材の内部に容易に組み付けることができる。
(8)本発明の少なくとも1つの実施形態に係る回転機械は、
回転可能に設けられた回転体と、
上記(1)〜(7)のいずれかのシール装置と
を備える。
上記(8)の構成によると、少なくとも1つの開閉機構が内部流路を開くことで流体が内部流路を流通するので、内部流路を流通する流体によってリング部材の内部からもリング部材の温度が上昇し、回転機械内でリング部材の外部に接する流体がリング部材の温度を上昇させる場合に比べてリング部材の温度上昇が促進される。そうすると、回転機械の起動時から定格運転に到達するまでの間におけるリング部材及び回転体の温度差が小さくなり、リング部材及び回転体の変形量の差も小さくなる。このため、ピンチポイント及び定格運転時それぞれにおけるリング部材と回転体との間のクリアランスの差が小さくなるので、定格運転時におけるクリアランスをできるだけ小さくするような初期クリアランスの設定が可能となる。その結果、定格運転時においてリング部材と回転体との間からリークする流体の量を低減できるので、回転機械の性能を向上することができる。
この発明の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの開閉機構が内部流路を開くことで流体が内部流路を流通するので、内部流路を流通する流体によってリング部材の内部からもリング部材の温度が上昇し、回転機械内でリング部材の外部に接する流体がリング部材の温度を上昇させる場合に比べてリング部材の温度上昇が促進される。そうすると、回転機械の起動時から定格運転に到達するまでの間におけるリング部材及び回転体の温度差が小さくなり、リング部材及び回転体の変形量の差も小さくなる。このため、ピンチポイント及び定格運転時それぞれにおけるリング部材と回転体との間のクリアランスの差が小さくなるので、定格運転時におけるクリアランスをできるだけ小さくするような初期クリアランスの設定が可能となる。その結果、定格運転時においてリング部材と回転体との間からリークする流体の量を低減できるので、回転機械の性能を向上することができる。
本発明の実施形態1に係る蒸気タービンの全体を示す概略断面図である。 本発明の実施形態1に係る蒸気タービンのシール装置を示す概略断面図である。 本発明の実施形態2に係る蒸気タービンのシール装置を示す概略部分断面図である。 図3のIV−IV断面図である。 本発明の実施形態2に係るシール装置が設けられたダミーリングの断面図である。 本発明の実施形態2に係るシール装置の開閉機構が内部流路を閉じる動作を説明するための断面図である。 本発明の実施形態2に係る蒸気タービンのシール装置の変形例を示す概略部分断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明のいくつかの実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
(実施形態1)
図1に示されるように、回転機械である蒸気タービン1は、外車室2と、外車室2を貫通するように設けられた回転体であるタービンロータ3と、外車室2内においてタービンロータ3の周囲に設けられた環形状のリング部材であるダミーリング4と、外車室2内においてタービンロータ3の周囲に設けられた環形状の翼環5とを備えている。
図2に示されるように、タービンロータ3とダミーリング4との間には、環形状の間隙6が形成されている。蒸気タービン1(図1参照)は、間隙6をシールするためのシール装置10を備えている。シール装置10は、間隙6に面するダミーリング4の内周面4aに設けられた複数のシール部材11を含んでいる。複数のシール部材11は、タービンロータ3の軸方向に沿って設けられ、各シール部材11は、タービンロータ3の周方向に沿って配置された複数のシールセグメント11aを含んでいる。
シール装置10は、ダミーリング4の内部に形成された内部流路12も含んでいる。内部流路12は、一端が間隙6に連通してダミーリング4の内部をタービンロータ3の径方向外側に向かって延びる径方向流路部12aと、一端が径方向流路部12aの他端に接続されるとともにタービンロータ3の軸方向に沿って延びて他端がダミーリング4の外周面で開口する軸方向流路部12bとを含んでいる。図2には描写されていないが、径方向流路部12a及び軸方向流路部12bは両方とも、タービンロータ3の周方向にも延びている。径方向流路部12aは、翼環5(図1参照)側から数えて1番目のシール部材11と2番目のシール部材11との間で間隙6に連通している。
シール装置10は、ダミーリング4の内部に設けられるとともに内部流路12を開閉する開閉機構20も含んでいる。開閉機構20は、軸方向流路部12bを横切るように移動することにより内部流路12を開閉可能に構成された2つの可動体21,22を含んでいる。図2には描写されていないが、可動体21,22のそれぞれは、タービンロータ3の周方向に沿って配置された複数の可動セグメント21a,22aを含んでいる。可動セグメント21a,22aはそれぞれ、板形状の受圧部23と、受圧部23に平行に受圧部23から間隔をあけるように位置する板形状のシール部24と、受圧部23とシール部24とを連結する連結部25とを含んでいる。シール部24には、軸方向流路部12bを横切る方向に延びる複数のシールフィン26が設けられている。尚、受圧部23とシール部24と連結部25とはそれぞれ別部材として形成され、それらを組み合わせて可動セグメント21a,22aを形成してもよく、受圧部23とシール部24と連結部25とを一体的に形成することによって可動セグメント21a,22aを形成してもよい。
ダミーリング4の内部には、タービンロータ3の周方向に沿って延びるように形成された連通孔32,33を介して軸方向流路部12bに連通する2つの流体収容空間30,31が形成されている。流体収容空間30,31も、図2には描写されていないが、連通孔32,33と同様に、タービンロータ3の周方向に沿って延びている。流体収容空間30,31の内部にはそれぞれ、可動セグメント21a,22aの受圧部23が配置され、可動セグメント21a,22aの連結部25がそれぞれ連通孔32,33に挿入されている。可動セグメント21a,22aそれぞれのシール部24は、軸方向流路部12b内に位置している。
流体収容空間30,31の内部にはそれぞれ、一端が可動セグメント21a,22aの受圧部23に接続又は当接するとともに他端が流体収容空間30,31の内壁に接続又は当接する弾性部材であるスプリング27,28が設けられている。スプリング27,28はそれぞれ、可動セグメント21a,22aの受圧部23をタービンロータ3の径方向外側に向かって押圧する弾性力を受圧部23に付与するように構成されている。これにより、可動セグメント21a,22aにスプリング27,28による弾性力以外の力が働かないか、又は、その弾性力よりも小さな外力しか働いていない場合(例えば、蒸気タービン1(図1参照)の起動時)には、その弾性力によって可動セグメント21a,22aがタービンロータ3の径方向外側に向かって移動されて、可動体21,22のそれぞれは内部流路12を開いた状態にする。一方、詳細な動作は後述するが、受圧部23に蒸気の圧力が加わって、受圧部23を押圧する力がスプリング27,28による弾性力を上回ると、可動セグメント21a,22aがタービンロータ3の径方向内側に向かって移動されて、可動体21,22のそれぞれは内部流路12を閉じた状態にする。
次に、本発明の実施形態1に係るシール装置の動作について説明する。
図1に示されるように、蒸気タービン1の起動後、車室2内に蒸気が流入する。車室2内に流入した蒸気は翼環5内に流入し、図示しない動翼に対して仕事をすることでタービンロータ3が回転する。蒸気は、車室2内でタービンロータ3及びダミーリング4の両方に接するため、蒸気の熱によってタービンロータ3及びダミーリング4の温度が上昇する。本実施形態1では、ダミーリング4の熱容量がダミーリング4の近傍のタービンロータ3の一部の熱容量よりも大きいものとして説明する。
図2に示されるように、タービンロータ3とダミーリング4との間には、環形状の間隙6が形成されている。この間隙6を、翼環5(図1参照)側からリークした流体すなわち蒸気が矢印Aの方向に流通する。間隙6は、シール部材11によってシールされているので、間隙6を通ってリークする蒸気の量は抑制されるが、間隙6の幅(クリアランス)が大き過ぎると、シール部材11によるシール性能が不十分となり、リークする蒸気の量が増えることによって蒸気タービン1(図1参照)の性能が低下してしまう。このため、蒸気タービン1の定格運転時における間隙6の幅の管理が重要になる。
上述したように、蒸気タービン1が起動して定格運転に到達するまでの間に、タービンロータ3及びダミーリング4の温度が上昇する。タービンロータ3及びダミーリング4の温度が上昇すると、それぞれが熱変形する。両者の温度が同じように上昇すれば、両者の熱変形も同じようになるので、両者の間の間隙6の幅の変動も少ないが、ダミーリング4の熱容量がダミーリング4の近傍のタービンロータ3の一部の熱容量よりも大きいと、ダミーリング4の変形量よりもタービンロータ3の変形量のほうが大きくなるので、定格運転に到達するまでの間に間隙6の幅が小さくなる現象が生じる。すなわち、定格運転に到達するまでの間にピンチポイントが存在する。ピンチポイントにおいてシール部材11がタービンロータ3に接することがないように、蒸気タービン1の起動前に間隙6の幅(初期クリアランス)が設定される。
しかしながら、ピンチポイントを過ぎて定格運転になると、定格運転時におけるタービンロータ3とダミーリング4との温度差は、ピンチポイントにおける両者の温度差よりも小さくなっているので、間隙6の幅の大きさはピンチポイントにおける間隙6の幅の大きさよりも大きくなり、シール部材11によるシール性能の低下、ひいては蒸気タービン1の性能の低下につながる。そこで、本実施形態1では、シール装置10が内部流路12と、内部流路12を開閉する開閉機構20とを有することにより、ピンチポイントにおいてシール部材11がタービンロータ3に接するおそれを抑制するとともに定格運転時における間隙6の幅をできるだけ小さくすることで、蒸気タービン1の性能の向上を達成した。以下に、シール装置10の動作について説明する。
上述したように、蒸気タービン1の起動時には、可動体21,22のそれぞれは内部流路12を開いた状態になっている。このため、間隙6を矢印Aの方向に流通する蒸気は、シール部材11によってシールされた間隙6をそのまま流通するよりも、径方向流路部12aに入り込んで軸方向流路部12bを流通してダミーリング4から流出する、すなわち内部流路12を流通するようになる。蒸気が内部流路12を流通すると、内部流路12を流通する蒸気によってダミーリング4の内部からもダミーリング4の温度が上昇し、蒸気タービン1内でダミーリング4の外部に接する蒸気がダミーリング4の温度を上昇させる場合に比べてダミーリング4の温度上昇が促進される。
そうすると、蒸気タービン1の起動時から定格運転に到達するまでの間におけるダミーリング4及びタービンロータ3の温度差が小さくなり、ダミーリング4及びタービンロータ3の変形量の差も小さくなる。このため、ピンチポイント及び定格運転時それぞれにおける間隙6の幅が小さくなるので、定格運転時における間隙6の幅をできるだけ小さくすることができるように、蒸気タービン1の起動前に間隙6の幅を設定することができるようになる。その結果、定格運転時において間隙6を通ってリークする蒸気の量を低減できるので、蒸気タービン1の性能を向上することができる。
蒸気が内部流路12を流通する間、蒸気の一部が連通孔32,33を介して流体収容空間30,31のそれぞれの内部に流入して、流体収容空間30,31の圧力を高めていく。蒸気タービン1の起動直後は蒸気の圧力が低いことにより、流体収容空間30,31の圧力によって可動セグメント21a,22aそれぞれの受圧部23を押圧する力がスプリング27,28による弾性力よりも小さいので、可動セグメント21a,22aは移動しない。しかし、定格運転に近づいてくると、蒸気の圧力が高くなっていき、流体収容空間30,31の圧力も高くなっていく。やがて、流体収容空間30,31の圧力によって可動セグメント21a,22aそれぞれの受圧部23を押圧する力がスプリング27,28による弾性力よりも大きくなると、可動セグメント21a,22aがタービンロータ3の径方向内側に向かって、すなわち、軸方向流路部12bを横切るように移動されて、可動体21,22のそれぞれは内部流路12を閉じていく。蒸気タービン1が定格運転に到達すると、可動体21,22のそれぞれが内部流路12を閉じることにより、蒸気が内部流路12を流通しなくなる。
このように、開閉機構20が内部流路12を開くことで蒸気が内部流路12を流通するので、内部流路12を流通する蒸気によってダミーリング4の内部からもダミーリング4の温度が上昇し、蒸気タービン1内でダミーリング4の外部に接する蒸気がダミーリング4の温度を上昇させる場合に比べてダミーリング4の温度上昇が促進される。そうすると、蒸気タービン1の起動時から定格運転に到達するまでの間におけるダミーリング4及びタービンロータ3の温度差が小さくなり、ダミーリング4及びタービンロータ3の変形量の差も小さくなる。このため、ピンチポイント及び定格運転時それぞれにおける間隙6の幅の差が小さくなるので、定格運転時における間隙6の幅をできるだけ小さくするような初期クリアランスの設定が可能となる。その結果、定格運転時において間隙6からリークする蒸気の量を低減できるので、蒸気タービン1の性能を向上することができる。
また、実施形態1では、開閉機構20は、内部流路12を流通する蒸気の圧力に応じて内部流路12を開閉するので、蒸気の圧力を検知するセンサ等の検出値に応じて開閉機構20を作動する形態に比べて、より適切なタイミングで内部流路12を開閉することができる。
実施形態1では、内部流路12は径方向流路部12a及び軸方向流路部12bを含んでいたが、径方向流路部12aのみを含む形態であってもよい。しかし、内部流路12が径方向流路部12aだけでなく軸方向流路部12bも含むことにより、内部流路12が径方向流路部12aのみを含む場合に比べて、内部流路12を流通する蒸気とダミーリング4との間で行われる熱交換の伝熱面積が大きくなる。このため、内部流路12が径方向流路部12aのみを含む場合に比べてダミーリング4の温度上昇が促進され、その結果、蒸気タービン1の性能をより向上することができる。
実施形態1では、径方向流路部12aは、翼環5側から数えて1番目のシール部材11と2番目のシール部材11との間で間隙6に連通しているが、任意の隣り合うシール部材11,11間で間隙6に連通してもよい。しかし、間隙6を蒸気が流通する流通方向において上流側ほど蒸気の温度及び圧力が高いので、下流側で蒸気が内部流路12に流入する場合に比べてダミーリング4の温度上昇が促進され、その結果、蒸気タービン1の性能をより向上することができる。このため、できる限り上流側で径方向流路部12aと間隙6とが連通することが好ましく、隣り合うシール部材11,11間に位置する径方向流路部12aよりも下流側にあるシール部材11の数に比べて、隣り合うシール部材11,11間に位置する径方向流路部12aよりも上流側にあるシール部材11の数の方が少なくなることが好ましい。
実施形態1では、タービンロータ3の軸方向に沿って6つのシール部材11が設けられているが、任意の個数のシール部材11、すなわち少なくとも1つのシール部材11が設けられてもよい。また、開閉機構20は2つの可動体21,22を含んでいるが、任意の個数の可動体、すなわち少なくとも1つの可動体を含んでもよい。また、可動体21,22は軸方向流路部12bを開閉するように設けられているが、径方向流路部12aを開閉するように設けられてもよい。
実施形態1では、流体収容空間30,31に流入する蒸気は、内部流路12を流通する蒸気であったが、この形態に限定するものではない。内部流路12を流通する蒸気以外の、ダミーリング4に接する蒸気が流体収容空間30,31に流入する流路をダミーリング4内に形成し、内部流路12を流通する蒸気以外の蒸気を流体収容空間30,31に流入させてもよい。しかし、内部流路12を流通する蒸気を流体収容空間30,31に流入させる形態の方が、流体収容空間30,31に蒸気が流入する流路が簡素になるので、シール装置10全体の構成が簡素化される。
(実施形態2)
次に、実施形態2に係るシール装置について説明する。実施形態2に係るシール装置は、実施形態1に対して、内部流路を開閉する構成を変更したものである。尚、実施形態2において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図3に示されるように、開閉機構20は、ダミーリング4の内部において径方向流路部12aに連通するとともにタービンロータ3の軸方向に延びるように形成された収容空間41と、収容空間41内に収容されるとともにダミーリング4を構成する材料よりも線膨張係数が高い材料で形成された伸縮部材40とを含んでいる。伸縮部材40は、径方向流路部12aの軸方向に直交する方向に延びるように収容空間41内に収容されている。伸縮部材40は、収容空間41内で延びる方向において一方の端部40b側が、ボルト等による締結や溶接等の任意の方法によって収容空間41内で固定され、他方の端部40aは自由端となっている。
図4に示されるように、伸縮部材40及び収容空間41は、タービンロータ3の周方向にも延びている。伸縮部材40は、タービンロータ3の周方向にも延びる湾曲した板形状を有し、タービンロータ3の周方向における伸縮部材40の両端部40c,40dも収容空間41内で固定されずに自由端となっている。さらに、タービンロータ3の周方向に延びる伸縮部材40の2つの対向する面40e,40fも収容空間41内で固定されていない。したがって、伸縮部材40は、端部40b(図3参照)側のみが収容空間41内で固定されている。
図5に示されるように、ダミーリング4は、鉛直方向に2分割された2つの半体部3a,3bをボルト7によって固定することによって構成されている。半体部3a,3bのそれぞれに収容空間41が形成され、各収容空間41内に伸縮部材40が収容されている。その他の構成は、実施形態1と同じである。
次に、本発明の実施形態2に係るシール装置の動作について説明する。ただし、内部流路12に蒸気を流通させることにより、定格運転時の間隙6の幅を最小限にして蒸気タービン1の性能を向上させる原理は実施形態1と同じであるので、実施形態1と異なる動作、すなわち、内部流路12を開閉する動作のみを以下で説明する。
図3に示されるように、蒸気タービン1(図1参照)の起動前は、伸縮部材40の端部40aは、径方向流路部12aと収容空間41との接続部分、又は、収容空間41の内部に位置している。蒸気タービン1が起動すると、実施形態1と同様の動作で蒸気が内部流路12を流通することによりダミーリング4の温度が上昇する。ダミーリング4の温度が上昇すると、ダミーリング4からの熱伝導により伸縮部材40の温度も上昇する。また、内部流路12を流通する蒸気が伸縮部材40の端部40a近傍に接することによっても、伸縮部材40の温度が上昇する。
ダミーリング4及び伸縮部材40の温度が上昇すると、両者はそれぞれ熱変形するが、伸縮部材40は、ダミーリング4を構成する材料よりも線膨張係数が高い材料で形成されているので、ダミーリング4よりも大きく変形する。そうすると、伸縮部材40は、端部40aと端部40bとを結ぶ軸線方向において、端部40b側が固定されているので、端部40a側が端部40bから離れる方向に変形、すなわち熱膨張する。その結果、図6に示されるように、伸縮部材40の端部40a側が径方向流路部12aを横切るように延びることにより、伸縮部材40が径方向流路部12aを閉じる。これにより、蒸気が内部流路12を流通しなくなる。
蒸気タービン1が停止し、伸縮部材40の温度が低下すれば、伸縮部材40は、端部40a側が収容空間41に向かって縮むように変形することで、径方向流路部12aを開けるようになる。
このように、蒸気タービン1の起動時から定格運転に到達するまでの間に、開閉機構20が内部流路12を開くことで内部流路12に蒸気を流通させるので、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、開閉機構20は、蒸気タービン1内でダミーリング4に接する蒸気の温度に応じて内部流路12を開閉するので、蒸気の温度を検知するセンサ等の検出値に応じて開閉機構20を作動する形態に比べて、より適切なタイミングで内部流路12を開閉することができる。
実施形態2では、開閉機構20は、径方向流路部12aを開閉するように設けられているが、軸方向流路部12bを開閉するように設けられてもよい。
実施形態2では、図7に示されるように、収容空間41をダミーリング4の外周面4bに対して開口するように構成し、ダミーリング4の外周面4b側から蓋部材42によって収容空間41の開口を塞ぐようにしてもよい。この構成により、伸縮部材40をダミーリング4の内部に容易に組み付けることができるようになる。
実施形態1及び2のそれぞれにおいて、開閉機構20は、可動体21,22又は伸縮部材40のいずれか一方のみを含んでいたが、両方を含んでもよい。この場合、例えば、伸縮部材40によって径方向流路部12aを開閉するようにするとともに可動体21,22によって軸方向流路部12bを開閉するようにすることができる。
実施形態1及び2では、回転機械として蒸気タービン1を例にして説明したが、蒸気タービン1に限定するものではない。ガスタービン等、回転体と静止体との間のクリアランスを最適化する必要のあるものであれば、どのようなものでもよい。また、蒸気タービン1において、リング部材はダミーリング4であったが、翼環やグランド等であってもよい。
1 蒸気タービン(回転機械)
2 外車室
3 タービンロータ(回転体)
3a 半体部
3b 半体部
4 ダミーリング(リング部材)
4a (ダミーリングの)内周面
4b (ダミーリングの)外周面
5 翼環
6 間隙(クリアランス)
7 ボルト
10 シール装置
11 シール部材
11a シールセグメント
12 内部流路
12a 径方向流路部
12b 軸方向流路部
20 開閉機構
21 可動体
21a 可動セグメント
22 可動体
22a 可動セグメント
23 受圧部
24 シール部
25 連結部
26 シールフィン
27 スプリング(弾性部材)
28 スプリング(弾性部材)
30 流体収容空間
31 流体収容空間
32 連通孔
33 連通孔
40 伸縮部材
40a (伸縮部材の)端部
40b (伸縮部材の)端部
40c (伸縮部材の)端部
40d (伸縮部材の)端部
40e (伸縮部材の)面
40f (伸縮部材の)面
41 収容空間
42 蓋部材

Claims (6)

  1. 回転可能に設けられた回転体の周囲に設けられた環形状のリング部材と、
    前記リング部材に保持されるとともに前記リング部材と前記回転体との間に形成された環形状の間隙をシールするように構成された少なくとも1つのシール部材と
    を備える、回転機械のシール装置であって、
    前記リング部材は該リング部材の内部に、
    前記間隙に連通する内部流路と、
    前記回転機械内で前記リング部材に接する流体の圧力又は温度の少なくとも一方に応じて前記内部流路を開閉する少なくとも1つの開閉機構と
    を備え、
    前記少なくとも1つの開閉機構が前記内部流路を開くと、前記間隙を流通する前記流体の少なくとも一部が前記内部流路を流通し、
    前記少なくとも1つの開閉機構は、
    前記内部流路を横切るように移動することにより前記内部流路を開閉可能に構成された少なくとも1つの可動体と、
    前記リング部材に接する前記流体が流入可能なように前記リング部材の内部に形成された少なくとも1つの流体収容空間であって、該流体収容空間内に流入した前記流体の圧力が前記可動体を移動させて前記内部流路を閉じる少なくとも1つの流体収容空間と、
    前記内部流路を開く方向に前記少なくとも1つの可動体を移動させる弾性力を前記少なくとも1つの可動体に付与するように構成された少なくとも1つの弾性部材と
    を備える、回転機械のシール装置。
  2. 前記内部流路を流通する流体の一部が前記少なくとも1つの流体収容空間内に流入するように構成されている、請求項に記載の回転機械のシール装置。
  3. 回転可能に設けられた回転体の周囲に設けられた環形状のリング部材と、
    前記リング部材に保持されるとともに前記リング部材と前記回転体との間に形成された環形状の間隙をシールするように構成された少なくとも1つのシール部材と
    を備える、回転機械のシール装置であって、
    前記リング部材は該リング部材の内部に、
    前記間隙に連通する内部流路と、
    前記回転機械内で前記リング部材に接する流体の圧力又は温度の少なくとも一方に応じて前記内部流路を開閉する少なくとも1つの開閉機構と
    を備え、
    前記少なくとも1つの開閉機構が前記内部流路を開くと、前記間隙を流通する前記流体の少なくとも一部が前記内部流路を流通し、
    前記少なくとも1つの開閉機構は、前記リング部材を構成する材料よりも線膨張係数が高い材料で形成された伸縮部材を備え、
    前記伸縮部材は、該伸縮部材の温度に応じて前記内部流路を横切るように伸縮することにより前記内部流路を開閉可能に構成され、
    前記伸縮部材は、前記内部流路を横切る方向において前記内部流路を横切る端部とは反対の端部側のみが前記リング部材の内部で固定されている、回転機械のシール装置。
  4. 前記リング部材の内部には、前記伸縮部材を収容可能に構成された収容空間が形成され、
    前記シール装置は、前記収容空間を前記リング部材の外周側から塞ぐ蓋部材を備える、請求項に記載の回転機械のシール装置。
  5. 前記内部流路は、
    前記回転体の径方向に延びる径方向流路部と、
    前記回転体の軸方向に延びる軸方向流路部と
    を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の回転機械のシール装置。
  6. 回転可能に設けられた回転体と、
    請求項1〜のいずれか一項に記載のシール装置と
    を備える回転機械。
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