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JP6981164B2 - 正極板および非水電解質二次電池 - Google Patents
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JP6981164B2 - 正極板および非水電解質二次電池 - Google Patents

正極板および非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本開示は、正極板および非水電解質二次電池に関する。
特開2010−251217号公報(特許文献1)には、リチウム二次電池の正極合材層に、ポリリン酸メラミン(MPP)等の難燃剤を含有させることが開示されている。
特開2010−251217号公報
電池抵抗増加を抑制しつつ、正極に含まれる正極活物質を高容量化することが求められている。正極活物質の高容量化は、たとえば(LiNiCoMn(但し、a+b+c=1))で表される正極活物質において、Niの比率を増加させることにより達成することができる。
しかしながら、Niの比率を増加させることにより、正極活物質の熱分解温度は低下する。そのため、正極活物質の熱分解温度が、MPP等の難燃剤の熱分解温度よりも低くなる傾向にある。本明細書において「難燃剤の熱分解温度」とは、難燃剤の重量減少が開始される温度を意味し、「正極活物質の熱分解温度」とは、正極活物質の重量減少が開始される温度を意味する。これらの熱分解温度は、たとえば熱重量・示差熱量同時分析(TG−DTA)によって測定することができる。
正極活物質の熱分解温度が難燃剤の熱分解温度よりも低い場合、異常時(たとえば、釘刺し時)において、難燃剤が熱分解する温度よりも低い温度で、正極活物質が熱分解すると考えられる。したがって、正極活物質が熱分解し、正極活物質が発熱することを抑制できないものと考えられる。すなわち、難燃剤としてMPP等を用いている特許文献1においては、少なくとも異常時における電池温度上昇の抑制に改善の余地が存在する。
本開示の目的は、異常時における電池温度上昇の抑制と、通常使用時における電池抵抗増加の抑制とを両立させることにある。
以下、本開示の技術的構成および作用効果が説明される。ただし本開示の作用メカニズムは推定を含んでいる。作用メカニズムの正否により、特許請求の範囲が限定されるべきではない。
〔1〕本開示の正極板は、非水電解質二次電池用の正極板である。正極板は、正極合材層を含む。正極合材層は、少なくとも正極活物質と難燃剤とを含む。難燃剤は、リン(P)または硫黄(S)を含む難燃剤である。難燃剤は、80℃以上210℃以下の熱分解温度を有する。正極合材層の多孔度(%)を、正極合材層中に含まれるPおよびSの量(質量%)で除した値は、5以上5000以下である。
本開示の正極板は、難燃剤を含む。該難燃剤はリン(P)または硫黄(S)を含む難燃剤であり、80℃以上210℃以下の熱分解温度を有する。そのため、該難燃剤の熱分解温度は、正極活物質の熱分解温度よりも低いものと考えられる。
上記の様に、本開示の正極板に含まれる難燃剤の熱分解温度は、80℃以上210℃以下である。そのため、正極活物質が熱分解される前に、難燃剤による難燃化機構が発動されると考えられる。具体的には、80℃以上210℃以下の温度において難燃剤が熱分解する。これにより、難燃剤に含まれるPおよびS(以下、単に「PおよびS」とも記される)が、非水電解質二次電池の電解液中に分散されると考えられる。電解液中に分散されたPおよびSは、電解液の脱水に寄与し、電解液内に水が生成されると考えられる。生成された水は蒸発し、蒸発する際の潜熱により電池が冷却され、電池温度上昇が抑制されるものと期待される。すなわち、異常時における電池温度上昇の抑制が達成されるものと期待される。
本開示の正極板において、正極合材層の多孔度(%)を、正極合材層中に含まれるPおよびSの量(質量%)で除した値は、5以上5000以下である。正極合材層の多孔度(%)と正極合材層中に含まれるPおよびSの量(質量%)との関係をこのように制御する事により、電池抵抗の上昇が抑制されるものと期待される。加えて、熱分解された難燃剤が、正極合材層の細孔内に含まれる電解液に効率的に分散されると期待される。これにより、異常時における電池温度上昇の抑制と、通常使用時における電池抵抗増加の抑制とが両立されるものと期待される。
〔2〕正極板は、難燃剤として、リン酸二アンモニウム、スルファミン酸グアニジン、スルファミン酸アンモニウム、((CPO)、および(HO-CPOからなる群より選択される少なくとも1種の難燃剤を含んでいてもよい。これらの難燃剤を用いた場合、異常時における電池温度上昇の抑制が顕著に達成されるものと期待される。
〔3〕本開示の非水電解質二次電池は、上記〔1〕または〔2〕の正極板を少なくとも含む。本開示の非水電解質二次電池は、異常時における電池温度上昇の抑制と、通常使用時における電池抵抗増加の抑制とが両立されていると期待される。
〔4〕本開示の非水電解質二次電池は、電解液を含んでもよい。本開示の非水電解質二次電池は、上述のPおよびSによる温度抑制が、有効に作用するものと期待される。
〔5〕本開示の非水電解質二次電池は、電解液の分解温度をXとし、難燃剤の熱分解温度をYとしたときに、10≦X−Y≦140の関係式を満たしてもよい。これにより、異常時における電池温度上昇の抑制と、通常使用時における電池抵抗増加の抑制とが顕著に両立させれるものと期待される。
図1は、本実施形態の非水電解質二次電池の構成の一例を示す概略図である。 図2は、本実施形態の電極群の構成の一例を示す概略図である。 図3は、本実施形態の正極板の構成の一例を示す概略図である。
以下、本開示の実施形態(本明細書では「本実施形態」とも記される)が説明される。ただし以下の説明は、特許請求の範囲を限定するものではない。
以下、非水電解質二次電池の一例としてリチウムイオン二次電池が説明される。ただし本実施形態の非水電解質二次電池は、リチウムイオン二次電池に限定されるべきではない。本実施形態の非水電解質二次電池は、たとえばナトリウムイオン二次電池等でもあり得る。以下、非水電解質二次電池は単に「電池」とも記される。
<非水電解質二次電池>
図1は、本実施形態の非水電解質二次電池の構成の一例を示す概略図である。電池1000の外形は、扁平直方体である。すなわち電池1000は角形電池である。ただし本実施形態の電池は角形電池に限定されるべきではない。本実施形態の電池は、たとえば円筒形電池であってもよい。
《ケース》
電池1000はケース1001を含む。ケース1001は密閉されている。ケース1001は、たとえばアルミニウム(Al)合金等により構成され得る。ただしケース1001が密閉され得る限り、ケースは、たとえばAlラミネートフィルム製のパウチ等であってもよい。すなわち本実施形態の電池はラミネート型電池であってもよい。
ケース1001は容器1002および蓋1003を含む。蓋1003は、たとえばレーザ溶接により容器1002と接合されている。蓋1003には、正極端子901および負極端子902が設けられている。蓋1003には、図示はしないが、注液口、ガス排出弁、電流遮断機構(CID)等がさらに設けられていてもよい。
ケース1001は、電極群500および電解液(図示せず)を収納している。図1中の一点鎖線は電解液の液面を示している。さらに電解液は電極群500にも含浸されている。すなわち電解液は電極群500の内部にも存在している。
《電極群》
図2は、本実施形態の電極群の構成の一例を示す概略図である。電極群500は巻回型である。すなわち電極群500は、正極板100、セパレータ300、負極板200およびセパレータ300がこの順序で積層され、さらにこれらが渦巻状に巻回されることにより形成されている。ただし本実施形態の電極群は巻回型に限定されるべきではない。本実施形態の電極群は積層(スタック)型であってもよい。積層型の電極群は、たとえば、正極および負極の間にセパレータが挟まれつつ、正極および負極が交互に積層されることにより形成され得る。
<正極板>
図3は、非水電解質二次電池用の正極板であって、本実施形態の正極板の構成の一例を示す概略図である。電池1000は少なくとも正極板100と電解液とを含む。正極板100は帯状のシートである。正極板100は、正極合材層102および正極集電体101を含む。すなわち、正極板100は、正極合材層102を含む。正極集電体101は、正極端子901に電気的に接続されている。正極集電体101は、たとえばAl箔、Al合金箔等であってもよい。正極集電体101は、たとえば5μm以上50μm以下の厚さを有してもよい。なお図3のx軸方向において、正極集電体101が正極合材層102から突出した部分は、正極端子901(図1)との接続に利用され得る。
《正極合材層》
正極合材層102は、正極集電体101の表面に形成されている。正極合材層102は、正極集電体101の表裏両面に形成されていてもよい。正極合材層102は、たとえば10μm以上200μm以下の厚さを有してもよい。
《正極合材層の組成》
正極合材層102は、正極活物質、導電材、バインダおよび難燃剤を含む。すなわち、正極合材層102は、少なくとも正極活物質と難燃剤とを含む。
(正極活物質)
正極活物質粒子は、電荷担体(本実施形態ではリチウムイオン)を電気化学的に吸蔵し、放出する。正極活物質は特に限定されるべきではない。正極活物質は、たとえばLiCoO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM)、LiNi0.8Co0.15Al0.05(NCA)、LiMnO、LiMn、LiFePO等であってもよい。2種以上の正極活物質が組み合わされて使用されてもよい。
(難燃剤)
難燃剤は、リン(P)または硫黄(S)を含む難燃剤である。難燃剤は、80℃以上210℃以下の熱分解温度を有する。難燃剤の熱分解温度は110℃以上190℃以下であることが望ましい。
難燃剤の熱分解温度が、電池が使用され得る温度領域(たとえば、60℃)に近い場合、電池が使用され得る温度領域において難燃剤が熱分解され、電池抵抗が上昇する可能性がある。そのため、難燃剤の熱分解温度は80℃以上であり、110℃以上であることが望ましい。難燃剤の熱分解温度が高温(たとえば、300℃)の場合、難燃剤が熱分解する前に、正極活物質が熱分解し、正極活物質が発熱するおそれがある。特に、Niを豊富に含む正極活物質は熱分解温度が300℃未満である。そのため、正極活物質が難燃剤よりも先に熱分解されることを防止する観点から、難燃剤の熱分解温度は210℃以下であり、190℃以下であることが望ましい。
難燃剤は、リン(P)または硫黄(S)を含む難燃剤であり、かつ、難燃剤の熱分解温度が80℃以上210℃以下である限り、特に制限されない。難燃剤は、たとえばスルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、リン酸二アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート、ビスフェノールAビス(ジフェニルリン酸エステル)、レゾルシノールビス(ジフェニルリン酸エステル)、トリイソピルフェニルリン酸エステル、トリフェニルリン酸エステル、トリメチルリン酸エステル、トリエチルリン酸エステル、トリクレジルリン酸エステル、トリス(クロロイソプロピル)リン酸エステル、((CPO)、(HO-CPO、ホスファゼン化合物、五酸化二リン、ポリリン酸、メラミン等であってもよく、これらの難燃剤は単独で使用されてもよいし、2種以上の難燃剤が組み合わされて使用されてもよい。
難燃剤は、リン酸二アンモニウム、スルファミン酸グアニジン、スルファミン酸アンモニウム、(CPO、および、(HO-CPOからなる群より選択される少なくとも1種の難燃剤であることが望ましい。これらの難燃剤は単独で使用されてもよいし、2種以上の難燃剤が組み合わされて使用されてもよい。
(導電材およびバインダ)
導電材およびバインダは特に限定されるべきではない。導電材はたとえばアセチレンブラック(AB)、ファーネスブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、黒鉛等であってもよい。バインダは、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等であってもよい。
《正極合材層の多孔度と、正極合材層中に含まれるPおよびSの量との関係》
正極合材層102の多孔度B(%)を、正極合材層102中に含まれるPおよびSの量A(質量%)で除した値(以下、単に「B/A」とも記される)は、5以上5000以下であり、13以上2500以下であることが望ましく、40以上400以下であることがより望ましい。
B/Aが5未満の場合、多孔度が小さく、正極合材層102の孔中に存在する電解液が少ないと考えられる。そのため、電解液の量が不足していると考えられる。したがって、電池1000の電池抵抗が上昇する可能性がある。B/Aが5000を超える場合、電池1000に含まれる電解液が過剰であり、難燃剤の量が電解液の量に対して不足していると考えられる。そのため、難燃剤の分解による電解液の脱水量が不十分であり、電解液内に生成される水が不足するものと考えられる。これにより、異常時において蒸発する水の量が不足し、潜熱が不足すると考えられる。結果として、異常時における電池温度上昇の抑制が不十分となるおそれがある。
(正極合材層の多孔度(%))
正極合材層102は、20%以上60%以下の多孔度を有してもよい。正極合材層102の多孔度が20%未満の場合、正極合材層102の孔中に含まれる電解液が少ないため、電解液の量が不足し、電池1000の電池抵抗が上昇する可能性がある。正極合材層102の多孔度が60%を超えると、電池1000に含まれる電解液が過剰となり、電池1000に含まれる難燃剤の量(質量%)が不足すると考えられる。そのため、難燃剤の分解による電解液の脱水量が不十分であり、電解液内に生成される水が不足するものと考えられる。これにより、異常時において蒸発する水の量が不足し、潜熱が不足すると考えられる。結果として、異常時における電池温度上昇の抑制が不十分となるおそれがある。
正極合材層102の多孔度は、たとえば下記式(I):
(多孔度)=(V−V)÷V・・・(I)
に従って算出してもよい。
上記式(I)中、Vは「正極合材層102の見かけ体積」を表し、Vは「正極合材層102の真体積」を表す。Vは正極合材層の長さ寸法をL、幅寸法をW、厚さ寸法をTとするとき、V=L×W×Tから算出できる。厚さ寸法Tは、たとえばSEMにより計測することができる。またVは、「正極合材層102の質量」を「正極合材の真密度」で除することにより算出できる。正極合材の真密度は、正極合材を構成する各材料(正極活物質、導電材およびバインダ)の真密度、ならびに各材料の配合比から算出することができる。
(正極合材層中に含まれるPおよびSの量(質量%))
正極合材層102に含まれるPおよびSの量は、たとえば0.004質量%以上12質量%以下であってもよい。正極合材層102中のPおよびSの量が0.004質量%未満の場合、難燃剤の量が不足していると考えられる。そのため、難燃剤の分解による電解液の脱水量が不十分であり、電解液内に生成される水が不足するものと考えられる。これにより、異常時において蒸発する水の量が不足し、潜熱が不足すると考えられる。結果として、異常時における電池温度上昇の抑制が不十分となるおそれがある。正極合材層102中のPおよびSの含有量が12質量%を超える場合、難燃剤の増加により導電パスが阻害され、電池抵抗が上昇する可能性がある。
正極合材層102に含まれるPおよびSの量(質量%)は、たとえば次のように測定してもよい。まず、電池1000に含まれる正極板100を溶媒(たとえば、エチルメチルカーボネート)で洗浄し、その後乾燥を行う。乾燥させた正極板100を王水等の強酸を用いて溶解させ、溶液を得る。誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)を用いて該溶液中の金属イオンを定量する。これにより、正極合材層102に含まれるPおよびSの重量が定量される。次いで、洗浄・乾燥後の正極板100の重量と、ICPにより得られた正極合材層102に含まれるPおよびSの重量から、正極合材層102に含まれるPおよびSの量(質量%)を算出することができる。
<負極板>
負極板200は帯状のシートである。負極板200は、負極合材層202および負極集電体201を含む。負極集電体201は、負極端子902に電気的に接続されている。負極集電体201は、たとえば銅(Cu)箔等であってもよい。負極集電体201は、たとえば5〜20μm程度の厚さを有してもよい。負極合材層202は、負極集電体201の表面に形成されている。負極合材層202は、負極集電体201の表裏両面に形成されていてもよい。
《負極合材層》
負極合材層202は、負極活物質およびバインダを含む。負極合材層202は、たとえば95〜99質量%の負極活物質、および1〜5質量%のバインダを含んでもよい。負極合材層202は、たとえば50〜150μm程度の厚さを有してもよい。
(負極活物質およびバインダ)
負極活物質およびバインダは特に限定されるべきではない。負極活物質は、たとえばアモルファスコートグラファイト(黒鉛粒子の表面にアモルファスカーボンがコートされた形態のもの)、黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、珪素、酸化珪素、錫、酸化錫等であってもよい。バインダは、たとえば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等であってもよい。
<セパレータ>
電池1000はセパレータ300を含み得る。セパレータ300は、帯状のフィルムである。セパレータ300は、正極板100および負極板200の間に配置されている。セパレータ300は、たとえば5μm以上30μm以下の厚さを有してもよい。セパレータ300は多孔質である。セパレータ300は、正極板100および負極板200を電気的に絶縁している。セパレータ300は、たとえばポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製等であってもよい。
セパレータ300は、たとえば単層構造を有してもよい。セパレータ300は、たとえばPE製の多孔質フィルムのみから形成されていてもよい。セパレータ300は、たとえば多層構造を有してもよい。セパレータ300は、たとえば、PP製の多孔質フィルム、PE製の多孔質フィルムおよびPP製の多孔質フィルムがこの順序で積層されることにより、形成されていてもよい。セパレータ300は、その表面に耐熱層(HRL)を含んでもよい。耐熱層は耐熱材料を含む。耐熱材料は、たとえばアルミナ、ポリイミド等であってもよい。
<電解液>
電池1000は電解液を含む。電解液は、リチウム(Li)塩および溶媒を少なくとも含む。電解液は、たとえば0.5mоl/l以上2mоl/l以下のLi塩を含んでもよい。Li塩は支持電解質である。Li塩は溶媒に溶解している。Li塩は、たとえば、LiPF、LiBF、Li[N(FSO]、Li[N(CFSO]等であってもよい。1種のLi塩が単独で使用されてもよい。2種以上のLi塩が組み合わされて使用されてもよい。
溶媒は非プロトン性である。すなわち本実施形態の電解液は非水電解質である。溶媒は、たとえば環状カーボネートおよび鎖状カーボネートの混合物であってもよい。混合比は、たとえば「環状カーボネート:鎖状カーボネート=1:9〜5:5(体積比)」であってもよい。
環状カーボネートは、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等であってもよい。1種の環状カーボネートが単独で使用されてもよい。2種以上の環状カーボネートが組み合わされて使用されてもよい。
鎖状カーボネートは、たとえば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等であってもよい。1種の鎖状カーボネートが単独で使用されてもよい。2種以上の鎖状カーボネートが組み合わされて使用されてもよい。
溶媒は、たとえば、ラクトン、環状エーテル、鎖状エーテル、カルボン酸エステル等を含んでもよい。ラクトンは、たとえば、γ−ブチロラクトン(GBL)、δ−バレロラクトン等であってもよい。環状エーテルは、たとえば、テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等であってもよい。鎖状エーテルは、1,2−ジメトキシエタン(DME)等であってもよい。カルボン酸エステルは、たとえば、メチルホルメート(MF)、メチルアセテート(MA)、メチルプロピオネート(MP)等であってもよい。
電解液は、Li塩および溶媒に加えて、各種の機能性添加剤をさらに含んでもよい。電解液は、たとえば1質量%以上5質量%以下の機能性添加剤を含んでもよい。機能性添加剤としては、たとえば、ガス発生剤(過充電添加剤)、SEI(solid electrolyte interface)膜形成剤等が挙げられる。ガス発生剤は、たとえば、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、ビフェニル(BP)等であってもよい。SEI膜形成剤は、たとえば、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、Li[B(C]、LiPO、プロパンサルトン(PS)、エチレンサルファイト(ES)等であってもよい。
《電解液の熱分解終了温度Xと難燃剤の熱分解温度Yとの関係》
電解液の熱分解終了温度Xと正極合材層102に含まれる難燃剤の熱分解温度Yとは、以下の下記関係式(1):
10≦X−Y≦140・・・(1)
を満たしていることが望ましい。本明細書において「電解液の熱分解終了温度」とは、電解液の重量減少が収束する温度を意味し、たとえばTG−DTAによって測定することができる。
上記X−Yが10未満の場合、電解液の熱分解終了温度Xと難燃剤の熱分解温度Yとが近い。そのため、釘刺し等の異常時において、電解液が熱分解するため難燃剤が電解液中に十分分散されず、電池の発熱を十分に抑制できないおそれがある。上記X−Yが140を超える場合、難燃剤の熱分解温度Yが、電池が通常使用され得る温度領域(たとえば、60℃)に近い可能性がある。係る場合、電池が通常使用され得る温度領域で難燃剤が熱分解され、電池の抵抗が上昇するおそれがある。係る観点から、X−Yは、10以上140以下であることが望ましく、20以上140以下であることがより望ましく、30以上140以下であることがさらに望ましく、70以上140以下であることが特に望ましい。
<用途等>
本実施形態の電池1000は、異常時における電池温度上昇の抑制と、通常使用時における電池抵抗増加の抑制とが両立されていると期待される。係る特性が活かされる用途としては、たとえば、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等の駆動用電源等が挙げられる。ただし本実施形態の電池1000の用途は車載用途に限定されるべきではない。本実施形態の電池1000はあらゆる用途に適用可能である。
以下、本開示の実施例が説明される。ただし以下の説明は特許請求の範囲を限定するものではない。
<実施例1>
1.正極板の準備
以下の材料が準備された。
正極活物質:NCM
導電材:AB
バインダ:PVDF
難燃剤:リン酸二アンモニウム(熱分解温度:150℃)
溶媒:N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
正極集電体:Al箔(厚さ15μm、幅寸法=130mm)
NCM、AB、PVDF、リン酸二アンモニウムおよびNMPが混合されることにより、ペーストが調製された。混合比は、質量比で「NCM:AB:PVDF:リン酸二アンモニウム=94:1:1:4」である。該ペーストが正極集電体101の表面に塗布され、乾燥されることにより、正極合材層102が形成された。正極合材層102(乾燥後、片面)は25mg/cmの目付を有する。正極合材層102は、110mmの幅寸法を有する。また、正極合材層102中に含まれるPの濃度は1質量%、Sの濃度は0質量%とされ、正極合材層102の多孔度は40%とされた。すなわち、正極合材層102の多孔度B(%)を、正極合材層102中に含まれるPおよびSの含有量A(質量%)で除した値(B/A)は、40であった。
ロール圧延機により、正極合材層102および正極集電体101が圧縮された。以上より正極板100が準備された。
2.負極板の準備
負極活物質:天然黒鉛粒子(粒径(D50):25μm)
増粘材:CMC
バインダ:SBR
溶媒:水
負極集電箔:Cu箔(厚さ10μm、幅寸法=132mm)
攪拌装置の攪拌槽に、天然黒鉛粒子、CMC、SBRおよび水を投入し、攪拌することにより、スラリーが調製された。該スラリーが負極集電体201の表面に塗布され、その後乾燥された。これにより負極合材層202が形成された。負極合材層202(乾燥後、片面)は20mg/cmの目付を有する。負極合材層202は112mmの幅寸法を有する。
ロール圧延機により、負極合材層202および負極集電体201が圧縮された。以上より負極板200が準備された。
3.セパレータの準備
以下の材料が準備された。
耐熱材料:アルミナ
バインダ:エチレン−アクリル酸エステル共重合体
溶媒:水
セパレータ:PE製の多孔質フィルム(厚さ=20μm、幅寸法=120mm)
アルミナ、エチレン−アクリル酸エステル共重合体および水が混合されることにより、スラリーが調製された。該スラリーがセパレータ300の表面に塗布され、乾燥されることにより、耐熱層が形成された。耐熱層は4μmの厚さを有する。以上よりセパレータ300が準備された。
4.電解液の準備
電解液が準備された。電解液は以下の組成を有し、電解液の熱分解終了温度は220℃である。
支持塩:LiPF(1mоl/l)
溶媒:[EC:EMC:DEC=1:4:5(体積比)]
5.組み立て
正極板100、セパレータ300、負極板200およびセパレータ300がこの順序で積層され、さらにこれらが渦巻状に巻回された。これにより電極群500が形成された。
角形のケース1001が準備された。ケース1001の材料は、アルミ合金であった。ケース1001は、高さ寸法(75mm)×幅寸法(120mm)×奥行寸法(15mm)の外形寸法を有する。高さ寸法は図1のz軸方向の寸法である。幅寸法は図1のx軸方向の寸法である。奥行寸法は図1のy軸方向の寸法である。ケース1001は1mmの肉厚を有する。
ケース1001に電極群500が収納された。ケース1001に電解液が注入された。ケース1001が蓋1003により密閉された。以上より、実施例1に係る電池1000(角形リチウムイオン二次電池)が製造された。該電池1000は、3.0〜4.1Vの範囲で5Ahの定格容量を有するように設計されている。
6.初期充放電
25℃環境において、1Cの電流レートにより電池1000が4.2Vまで充電された。「1C」の電流レートは定格容量を1時間で充電する。5分間の休止を挟んで、1Cの電流レートにより電池1000が3.0Vまで放電された。
さらに以下の定電流−定電圧(CC−CV)方式充電、およびCC−CV方式放電により、電池1000の初期容量が確認された。
CC−CV方式充電:CC=1C、CV=4.1V、0.01Cカット
CC−CV方式放電:CC=1C、CV=3.0V、0.01Cカット
<実施例2〜12>
下記表1に示されるように、正極合材層102の多孔度B(%)を、正極合材層102中に含まれるPおよびSの含有量A(質量%)で除した値(B/A)が変更されたことを除いては、実施例1と同様に電池1000が製造された。
<実施例13〜16>
下記表1に示されるように、正極合材層102に含まれる難燃剤が変更されたこと、および電解液の熱分解温度終了温度Xと難燃剤の熱分解温度Yとの差(以下、単に「X−Y」とも記される)が変更されたことを除いては、実施例1と同様に電池1000が製造された。
<実施例17>
下記表1に示されるように、正極合材層102に含まれる難燃剤が変更されたこと、電解液の組成が変更されたこと、およびX−Yが変更されたことを除いては、実施例1と同様に電池1000が製造された。
<実施例18>
下記表1に示されるように、正極合材層に含まれる難燃剤が変更されたこと、および電解液の組成が変更されたことを除いては、実施例1と同様に電池1000が製造された。
<実施例19>
下記表1に示されるように、正極合材層102に含まれる正極活物質が変更されたことを除いては、実施例1と同様に電池1000が製造された。
<比較例1〜4>
下記表1に示されるように、B/Aが変更されたことを除いては、実施例1と同様に電池1000が製造された。
<比較例5>
下記表1に示されるように、正極合材層102に含まれる正極活物質が変更されたこと、およびB/Aが変更されたことを除いては、実施例1と同様に電池1000が製造された。
<比較例6>
下記表1に示されるように、正極合材層102に含まれる難燃剤が変更されたこと、およびX−Yが変更されたことを除いては、実施例1と同様に電池1000が製造された。
<評価>
《釘刺し試験》
電池1000のSOC(state оf charge)が100%に調整された。釘が準備された。該釘は、3mmの胴部径、および1mmの先端部Rを有する。電池1000の表面に熱電対を取り付け、電池1000を60℃まで加熱した。該釘を1mm/sの速度で電池1000に刺し込み、強制的に内部短絡を生じさせた。熱電対によって、短絡後1秒後の電池表面(釘より1cm離れた場所)の電池温度を測定し、評価した。結果は下記表1の「到達温度」の欄に示されている。到達温度が低いほど、異常時における電池温度上昇が抑制されていることを示している。
《電池抵抗測定試験》
電池1000のSOCが50%に調整された。25℃環境において、10Cの電流レートにより電池1000が10秒間放電された。放電開始から10秒後の電圧降下量が測定された。電圧降下量と電流レートとの関係から電池抵抗が算出された。結果は下記表1の「電池抵抗」の欄に示されている。電池抵抗が低い程、通常使用時の電池抵抗が低い(すなわち、通常使用時における電池抵抗増加の抑制されている)と考えられる。
Figure 0006981164
<結果>
上記表1に示されるように、以下の条件(A)〜(C)を全て満たす実施例1−19は、異常時(釘刺し時)における電池温度上昇の抑制と、通常使用時における電池抵抗増加の抑制とが両立されていた。
(A)正極板100は、正極合材層102を含み、正極合材層102は、少なくとも正極活物質と難燃剤とを含む。
(B)難燃剤は、リン(P)または硫黄(S)を含む難燃剤であり、80℃以上210℃以下の熱分解温度を有する。
(C)正極合材層102の多孔度B(%)を、前記正極合材層102中に含まれるPおよびSの含有量A(質量%)で除した値が、5以上5000以下である。
上記条件(B)を満たすことにより、正極活物質が熱分解される前に、難燃剤による難燃化機構が発動されたものと考えられる。これにより、異常時における電池温度上昇が抑制されたと考えられる。
上記条件(C)を満たすことにより、電池1000に適切な量の電解液が含まれ、かつ、正極合材層102中に適切な量のPおよびSが含まれていたものと考えられる。これにより、異常時(釘刺し時)における電池温度上昇の抑制と、通常使用時における電池抵抗増加の抑制とが両立されたものと考えられる。
比較例2および4の結果から、上記条件(A)および(B)を満たしても、B/Aが5未満の場合(すなわち、上記条件(C)を満たさない場合)は、通常使用時における電池抵抗増加の抑制に改善の余地があることが示された。正極合材層102中に存在するPおよびSの量が過剰となり、絶縁体として機能したため、電池抵抗が増加したものと考えられる。あるいは、正極合材層102の多孔度が小さすぎて、電解液中にリチウムイオンが透過する量が不十分であった可能性も考えられる。
比較例1および3の結果から、上記条件(A)および(B)を満たしても、B/Aが5000を超える場合(すなわち、上記条件(C)を満たさない場合)は、異常時における電池温度上昇の抑制に改善の余地があることが示された。正極合材層102中の難燃剤の量が少なすぎるか、または電解液の量が多すぎるため、充分な発熱抑制効果が得られなかったと考えられる。
実施例19および比較例5の結果から、上記条件(A)〜(C)を満たしている場合、正極活物質中のニッケルが増加した際にも、異常時(釘刺し時)における電池温度上昇の抑制と、通常使用時における電池抵抗増加の抑制とが両立されることが認められる。正極活物質の熱分解温度に達する前に難燃剤が熱分解し、電池の発熱が抑制されたものと考えられる。
上記表1において、難燃剤をリン酸二アンモニウム、スルファミン酸グアニジン、スルファミン酸アンモニウム、((CPO)、および、(HO-CPOからなる群より選択される少なくとも1種の塩とすることにより、異常時(釘刺し時)における電池温度上昇の抑制と、通常使用時における電池抵抗増加の抑制とが両立されることが確認された。対して難燃剤がMPPである比較例6では、電池温度上昇の抑制に改善の余地があることが示された。MPPの熱分解温度が320℃と高いため、MPPが熱分解する温度よりも低い温度で、正極活物質が熱分解したものと考えられる。そのため、電池温度上昇の抑制が不十分であったものと考えられる。
上記表1の結果から、電解液の熱分解温度終了温度をXとし、難燃剤の熱分解温度をYとしたとき、X−Yは10以上140以下であることが望ましく、20以上140以下であることがより望ましく、30以上140以下であることがさらに望ましく、70以上140以下であることが特に望ましことが示された。実施例1−19においては電解液の熱分解温度終了温度と難燃剤の熱分解温度との差が適切なため、異常時における電池温度上昇がより抑制されたものと考えられる。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。特許請求の範囲によって確定される技術的範囲は、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
100 正極板、101 正極集電体、102 正極合材層、200 負極板、201 負極集電体、202 負極合材層、300 セパレータ、500 電極群、901 正極端子、902 負極端子、1000 電池、1001 ケース、1002 容器、1003 蓋。

Claims (3)

  1. 非水電解質二次電池用の正極板であって、
    前記正極板は、正極合材層を含み、
    前記正極合材層は、少なくとも正極活物質と難燃剤とを含み、
    前記難燃剤は、リン(P)または硫黄(S)を含む難燃剤であり、
    前記難燃剤は、スルファミン酸グアニジン、スルファミン酸アンモニウム、((CPO)、および(HO-CPOからなる群より選択される少なくとも1種の難燃剤であり、
    前記難燃剤は、80℃以上210℃以下の熱分解温度を有し、
    前記正極合材層の多孔度(%)を、前記正極合材層中に含まれるPおよびSの量(質量%)で除した値が、13以上400以下であり、
    前記正極合材層の多孔度は、20%以上60%以下であり、
    前記正極合材層中に含まれるPおよびSの量は、0.004質量%以上12質量%以下である、
    正極板。
  2. 請求項1に記載の前記正極板を少なくとも含む、非水電解質二次電池。
  3. 前記非水電解質二次電池は、電解液を含む、請求項2に記載の非水電解質二次電池。
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