[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1ないし図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る誘電体フィルタの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの内部を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの内部を示す側面図である。図3は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの内部を示す平面図である。図4は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの等価回路を示す回路図である。
本実施の形態に係る誘電体フィルタ1は、バンドパスフィルタの機能を有している。図4に示したように、誘電体フィルタ1は、第1の入出力ポート5Aと、第2の入出力ポート5Bと、偶数個の誘電体共振器と、第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bとを容量結合させるためのキャパシタC10とを備えている。
キャパシタC10は、第1の入出力ポート5Aに接続された第1端と第2の入出力ポート5Bに接続された第2端とを有し、第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bとの間に設けられている。
偶数個の誘電体共振器は、回路構成上第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bの間に設けられ、回路構成上隣接する2つの誘電体共振器が磁気結合するように構成されている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
本実施の形態では特に、図4に示したように、誘電体フィルタ1が4個の誘電体共振器2A,2B,2C,2Dを備えている例を示す。誘電体共振器2A,2B,2C,2Dは、回路構成上、第1の入出力ポート5A側からこの順に配置されている。誘電体共振器2A,2B,2C,2Dは、誘電体共振器2A,2Bが回路構成上隣接して磁気結合し、誘電体共振器2B,2Cが回路構成上隣接して磁気結合し、誘電体共振器2C,2Dが回路構成上隣接して磁気結合するように構成されている。誘電体共振器2A,2B,2C,2Dの各々は、インダクタンスとキャパシタンスを有している。
以下、回路構成上第1の入出力ポート5Aに最も近い誘電体共振器2Aを第1の入出力段共振器2Aとも言い、回路構成上第2の入出力ポート5Bに最も近い誘電体共振器2Dを第2の入出力段共振器2Dとも言う。また、回路構成上第1の入出力段共振器2Aと第2の入出力段共振器2Dの間に位置する2つの誘電体共振器2B,2Cを、中間共振器2B,2Cとも言う。
図4に示したように、誘電体フィルタ1は、更に、第1の移相器11Aと第2の移相器11Bを備えている。第1の移相器11Aと第2の移相器11Bの各々は、そこを通過する信号に対して位相の変化を生じさせるものである。以下、第1の移相器11Aと第2の移相器11Bの各々における位相の変化量を位相変化量と言う。
第1の移相器11Aは、回路構成上第1の入出力ポート5Aと第1の入出力段共振器2Aの間に設けられている。第1の移相器11Aは、第1の入出力段共振器2Aに対して容量結合するように構成されている。図4において、符号C11Aを付したキャパシタの記号は、第1の移相器11Aと第1の入出力段共振器2Aの間の容量結合を表している。
第2の移相器11Bは、回路構成上第2の入出力ポート5Bと第2の入出力段共振器2Dの間に設けられている。第2の移相器11Bは、第2の入出力段共振器2Dに対して容量結合するように構成されている。図4において、符号C11Bを付したキャパシタの記号は、第2の移相器11Bと第2の入出力段共振器2Dの間の容量結合を表している。
また、図1ないし図3に示したように、誘電体フィルタ1は、第1および第2の入出力ポート5A,5B、誘電体共振器2A,2B,2C,2D、キャパシタC10および第1および第2の移相器11A,11Bを構成するための構造体20を備えている。
構造体20は、それぞれ第1の比誘電率を有する第1の誘電体よりなり、偶数個の誘電体共振器に対応する偶数個の共振器本体部と、第1の比誘電率よりも小さい第2の比誘電率を有する第2の誘電体よりなり、偶数個の共振器本体部の周囲に存在する周囲誘電体部4とを含んでいる。本実施の形態では特に、構造体20は、4個の誘電体共振器2A,2B,2C,2Dに対応する4個の共振器本体部3A,3B,3C,3Dを含んでいる。
以下、第1の入出力段共振器2Aに対応する共振器本体部3Aを第1の入出力段共振器本体部3Aとも言い、第2の入出力段共振器2Dに対応する共振器本体部3Dを第2の入出力段共振器本体部3Dとも言う。また、中間共振器2B,2Cに対応する共振器本体部3B,3Cを中間共振器本体部3B,3Cとも言う。
本実施の形態では、周囲誘電体部4は、積層された複数の誘電体層からなる積層体によって構成されている。ここで、図1ないし図3に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。本実施の形態では、複数の誘電体層の積層方向(図1では上側に向かう方向)を、Z方向とする。
周囲誘電体部4は、外面を有する直方体形状をなしている。周囲誘電体部4の外面は、Z方向における互いに反対側に位置する下面4aおよび上面4bと、下面4aと上面4bを接続する4つの側面4c,4d,4e,4fとを含んでいる。側面4c,4dは、Y方向における互いに反対側に位置している。側面4e,4fは、X方向における互いに反対側に位置している。
図1に示した例では、共振器本体部3A〜3Dの各々は、中心軸がZ方向に向いた円柱形状を有している。しかし、共振器本体部3A〜3Dの各々の形状は、円柱形状に限られず、例えば四角柱形状であってもよい。また、共振器本体部3A〜3Dの各々は、それぞれ第1の誘電体よりなる複数本の棒状部材の集合体によって構成されていてもよい。
共振器本体部3A〜3Dは、共振器本体部3A,3Bが磁気結合し、共振器本体部3B,3Cが磁気結合し、共振器本体部3C,3Dが磁気結合するように構成されている。
図1に示したように、構造体20は、更に、それぞれ導体よりなる分離導体層6とシールド部7を含んでいる。
分離導体層6は、共振器本体部3A〜3Dが存在する領域とキャパシタC10が存在する領域とを分離する。
シールド部7は、共振器本体部3A〜3Dとシールド部7との間に周囲誘電体部4の少なくとも一部が介在するように、共振器本体部3A〜3Dの周囲に配置されている。
本実施の形態では、分離導体層6は、シールド部7の一部を兼ねている。シールド部7は、分離導体層6とシールド導体層72と接続部71とを含んでいる。なお、図3では、シールド導体層72を省略している。
分離導体層6とシールド導体層72は、周囲誘電体部4の内部において、Z方向に互いに離れた位置に配置されている。分離導体層6は、周囲誘電体部4の下面4aの近くに配置されている。シールド導体層72は、周囲誘電体部4の上面4bの近くに配置されている。共振器本体部3A〜3Dは、構造体20内における、分離導体層6とシールド導体層72との間の領域に配置されている。共振器本体部3A〜3Dの各々は、分離導体層6に最も近い下端面と、シールド導体層72に最も近い上端面とを有している。
接続部71は、分離導体層6とシールド導体層72を電気的に接続している。接続部71は、複数のスルーホール列71Tを含んでいる。複数のスルーホール列71Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。分離導体層6、シールド導体層72および接続部71は、共振器本体部3A〜3Dを囲むように配置されている。共振器本体部3A〜3Dの各々は、シールド部7に接していない。
図1および図3に示したように、第1の入出力段共振器本体部3Aと第2の入出力段共振器本体部3Dは、中間共振器本体部3B,3Cのいずれをも介することなく物理的に隣接している。共振器本体部3A,3Dは、周囲誘電体部4の側面4cの近傍において、X方向に並んでいる。共振器本体部3B,3Cは、周囲誘電体部4の側面4dの近傍において、X方向に並んでいる。
図1に示したように、構造体20は、更に、それぞれ導体よりなる仕切り部8、グランド層9および接続部12を含んでいる。
仕切り部8は、第1の入出力段共振器本体部3Aと第2の入出力段共振器本体部3Dの間に磁気結合が生じないようにするためのものである。仕切り部8は、第1の入出力段共振器本体部3Aと第2の入出力段共振器本体部3Dの間を通過するように設けられている。仕切り部8は、分離導体層6とシールド導体層72を電気的に接続している。仕切り部8は、複数のスルーホール列8Tを含んでいる。複数のスルーホール列8Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。
グランド層9は、周囲誘電体部4の下面4aに配置されている。接続部12は、グランド層9と分離導体層6を電気的に接続している。接続部12は、複数のスルーホール列12Tを含んでいる。複数のスルーホール列12Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。
Z方向から見たグランド層9、分離導体層6およびシールド導体層72の形状は、いずれも矩形である。
図1に示したように、構造体20は、更に、それぞれ導体よりなる結合調整部13,14,15を含んでいる。
結合調整部13は、共振器本体部3A,3Bの間の磁気結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部14は、共振器本体部3B,3Cの間の磁気結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部15は、共振器本体部3C,3Dの間の磁気結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部13,14,15の各々は、分離導体層6とシールド導体層72を電気的に接続している。
図1に示した例では、結合調整部13は、1つのスルーホール列13Tを含んでいる。結合調整部14は、複数のスルーホール列14Tを含んでいる。結合調整部15は、1つのスルーホール列15Tを含んでいる。スルーホール列13T,14T,15Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。
誘電体共振器2Aは、共振器本体部3Aと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。誘電体共振器2Bは、共振器本体部3Bと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。誘電体共振器2Cは、共振器本体部3Cと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。誘電体共振器2Dは、共振器本体部3Dと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。
本実施の形態では、誘電体共振器2A〜2Dの各々の共振モードは、TMモードである。誘電体共振器2A〜2Dによって発生する電磁界は、共振器本体部3A〜3Dの内部および外部に存在する。シールド部7は、共振器本体部3A〜3Dの外部の電磁界を、シールド部7によって囲まれた領域内に閉じ込める機能を有する。
次に、図5ないし図13を参照して、周囲誘電体部4を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、周囲誘電体部4は、積層された32層の誘電体層を有している。以下、この32層の誘電体層を、下から順に1層目ないし32層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし32層目の誘電体層を符号31〜62で表す。図5ないし図12において、複数の小さな円は複数のスルーホールを表している。
図5は、1層目の誘電体層31のパターン形成面を示している。誘電体層31のパターン形成面には、グランド層9と、第1の入出力ポート5Aを構成する導体層311と、第2の入出力ポート5Bを構成する導体層312が形成されている。グランド層9には、2つの円形の孔9a,9bが形成されている。導体層311は孔9aの内側に配置され、導体層312は孔9bの内側に配置されている。
また、誘電体層31には、導体層311に接続されたスルーホール31T1と、導体層312に接続されたスルーホール31T2が形成されている。誘電体層31には、更に、複数のスルーホール列12Tの一部を構成する複数のスルーホール12T1が形成されている。図5において、スルーホール31T1,31T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール12T1である。複数のスルーホール12T1は、グランド層9に接続されている。
図6は、2層目の誘電体層32のパターン形成面を示している。誘電体層32のパターン形成面には、それぞれX方向に長い導体層321,322が形成されている。導体層321,322の各々は、互いに反対側に位置する第1端と第2端を有している。導体層321の第1端と導体層322の第1端は、互いに対向している。導体層321における第1端の近傍部分には、図5に示したスルーホール31T1が接続されている。導体層322における第1端の近傍部分には、図5に示したスルーホール31T2が接続されている。
また、誘電体層32には、導体層321における第2端の近傍部分に接続されたスルーホール32T1と、導体層322における第2端の近傍部分に接続されたスルーホール32T2が形成されている。誘電体層32には、更に、複数のスルーホール列12Tの一部を構成する複数のスルーホール12T2が形成されている。図6において、スルーホール32T1,32T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール12T2である。複数のスルーホール12T2には、図5に示した複数のスルーホール12T1が接続されている。
図7は、3層目の誘電体層33のパターン形成面を示している。誘電体層33のパターン形成面には、X方向に長い導体層331が形成されている。導体層331の一部は、誘電体層32を介して導体層321における第1端の近傍部分に対向している。導体層331の他の一部は、誘電体層32を介して導体層322における第1端の近傍部分に対向している。
また、誘電体層33には、スルーホール33T1,33T2と、複数のスルーホール列12Tの一部を構成する複数のスルーホール12T3が形成されている。スルーホール33T1,33T2には、それぞれ図6に示したスルーホール32T1,32T2が接続されている。図7において、スルーホール33T1,33T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール12T3である。複数のスルーホール12T3には、図6に示した複数のスルーホール12T2が接続されている。
図8は、4層目の誘電体層34のパターン形成面を示している。誘電体層34のパターン形成面には、分離導体層6が形成されている。分離導体層6には、2つの矩形の孔6a,6bが形成されている。
また、誘電体層34には、スルーホール34T1,34T2が形成されている。誘電体層34には、更に、それぞれスルーホール列8T,13T,14T,15T,71Tの一部を構成するスルーホール8T1,13T1,14T1,15T1,71T1が形成されている。図8において、スルーホール34T1,34T2,8T1,13T1,14T1,15T1以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T1である。
スルーホール34T1は孔6aの内側に配置され、スルーホール34T2は孔6bの内側に配置されている。スルーホール34T1,34T2には、それぞれ図7に示したスルーホール33T1,33T2が接続されている。
図8において、スルーホール34T1,34T2以外の全てのスルーホールは、分離導体層6に接続されている。分離導体層6は、矩形の外縁を有している。複数のスルーホール71T1は、分離導体層6のうち、外縁の近傍の部分に接続されている。
図9は、5層目ないし8層目の誘電体層35〜38のパターン形成面を示している。誘電体層35〜38の各々には、スルーホール35T1,35T2が形成されている。誘電体層35〜38の各々には、更に、それぞれスルーホール列8T,13T,14T,15T,71Tの一部を構成するスルーホール8T2,13T2,14T2,15T2,71T2が形成されている。図9において、スルーホール35T1,35T2,8T2,13T2,14T2,15T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T2である。
5層目の誘電体層35に形成されたスルーホール35T1,35T2,8T2,13T2,14T2,15T2,71T2には、それぞれ図8に示したスルーホール34T1,34T2,8T1,13T1,14T1,15T1,71T1が接続されている。誘電体層35〜38では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図10は、9層目の誘電体層39のパターン形成面を示している。誘電体層39のパターン形成面には、導体層391,392が形成されている。導体層391,392には、それぞれ8層目の誘電体層38に形成されたスルーホール35T1,35T2が接続されている。
また、誘電体層39には、それぞれスルーホール列8T,13T,14T,15T,71Tの一部を構成するスルーホール8T3,13T3,14T3,15T3,71T3が形成されている。図10において、スルーホール8T3,13T3,14T3,15T3以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T3である。
誘電体層39に形成されたスルーホール8T3,13T3,14T3,15T3,71T3には、それぞれ8層目の誘電体層38に形成されたスルーホール8T2,13T2,14T2,15T2,71T2が接続されている。
図11は、10層目ないし30層目の誘電体層40〜60のパターン形成面を示している。誘電体層40〜60の各々には、それぞれスルーホール列8T,13T,14T,15T,71Tの一部を構成するスルーホール8T4,13T4,14T4,15T4,71T4が形成されている。図11において、スルーホール8T4,13T4,14T4,15T4以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T4である。
10層目の誘電体層40に形成されたスルーホール8T4,13T4,14T4,15T4,71T4には、それぞれ図10に示したスルーホール8T3,13T3,14T3,15T3,71T3が接続されている。誘電体層40〜60では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
共振器本体部3A〜3Dは、誘電体層40〜60を貫通するように設けられている。図10に示した導体層391は、誘電体層39を介して共振器本体部3Aの下端面に対向している。図10に示した導体層392は、誘電体層39を介して共振器本体部3Dの下端面に対向している。
図12は、31層目の誘電体層61のパターン形成面を示している。誘電体層61には、それぞれスルーホール列8T,13T,14T,15T,71Tの一部を構成するスルーホール8T5,13T5,14T5,15T5,71T5が形成されている。図12において、スルーホール8T5,13T5,14T5,15T5以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T5である。
誘電体層61に形成されたスルーホール8T5,13T5,14T5,15T5,71T5には、それぞれ30層目の誘電体層60に形成されたスルーホール8T4,13T4,14T4,15T4,71T4が接続されている。
図13は、32層目の誘電体層62のパターン形成面を示している。誘電体層62のパターン形成面には、シールド導体層72が形成されている。シールド導体層72には、図12に示したスルーホール8T5,13T5,14T5,15T5,71T5が接続されている。
周囲誘電体部4は、図5に示した誘電体層31のパターン形成面が周囲誘電体部4の下面4aになるように、誘電体層31〜62が積層されて構成されている。
図4に示したキャパシタC10は、図7に示した導体層331と、図6に示した導体層321,322と、これらの間の誘電体層32とによって構成されている。キャパシタC10は、構造体20内における、分離導体層6とグランド層9との間の領域に配置されている。前述の通り、共振器本体部3A〜3Dは、構造体20内における、分離導体層6とシールド導体層72との間の領域に配置されている。このように、分離導体層6は、共振器本体部3A〜3Dが存在する領域とキャパシタC10が存在する領域とを分離している。
接続部12を構成する複数のスルーホール列12Tのうちの一部のスルーホール列12Tは、キャパシタC10を構成する導体層321,322,331を囲うように配置されている。
図2に示したように、導体層321と導体層391は、直列に接続されたスルーホール32T1,33T1,34T1,35T1からなるスルーホール列11ATによって接続されている。また、導体層322と導体層392は、直列に接続されたスルーホール32T2,33T2,34T2,35T2からなるスルーホール列11BTによって接続されている。
第1の移相器11Aは、導体層321とスルーホール列11ATによって構成されている。第2の移相器11Bは、導体層322とスルーホール列11BTによって構成されている。
導体層391は、誘電体層39を介して共振器本体部3Aの下端面に対向している。これにより、第1の移相器11Aと第1の入出力段共振器2Aの間の容量結合C11Aが実現されている。導体層392は、誘電体層39を介して共振器本体部3Dの下端面に対向している。これにより、第2の移相器11Bと第2の入出力段共振器2Dの間の容量結合C11Bが実現されている。
なお、周囲誘電体部4は、誘電体層31,32,33を含まずに、誘電体層34〜62からなる積層体によって構成されていてもよい。この場合、誘電体層31,32,33を構成する誘電体の比誘電率は、共振器本体部3A〜3Dを構成する第1の誘電体の第1の比誘電率以上であってもよい。
ここで、図14および図15を参照して、回路構成上隣接する2つの誘電体共振器間の磁気結合について、シミュレーションの結果を参照して説明する。図14は、シミュレーションで用いたモデルの平面図である。図15は、このモデルの斜視図である。このモデルは、2つの誘電体共振器に対応する2つの共振器本体部3M1,3M2と、それらを囲う周囲誘電体部およびシールド部と、2つの共振器本体部3M1,3M2の間の磁気結合の大きさを調整するための結合調整部とを備えている。
図14および図15では、磁界の分布を複数の矢印を用いて表している。矢印の方向は磁界の方向を表し、矢印の大きさは磁界の大きさを表している。図14および図15に示したモデルにおいて、2つの誘電体共振器がTMモードで共振するとき、共振器本体部3M1,3M2の周りには、図14および図15に示したような分布の磁界が生じる。この磁界の一部は、共振器本体部3M1,3M2の間の平面を貫く。これにより、2つの誘電体共振器間の磁気結合が実現される。
次に、本実施の形態に係る誘電体フィルタ1の製造方法について説明する。この製造方法は、後に焼成されて構造体20となる焼成前積層体を作製する工程と、焼成前積層体を焼成して構造体20を完成させる工程とを含んでいる。
焼成前積層体を作製する工程では、まず、複数の誘電体層31〜62となる複数の焼成前のセラミックシートを作製する。次に、複数のスルーホールが形成された誘電体層に対応するセラミックシートに、複数の焼成前のスルーホールを形成する。また、1つ以上の導体層が形成された誘電体層に対応するセラミックシートに、1つ以上の焼成前の導体層を形成する。以下、複数の焼成前のスルーホールと1つ以上の焼成前の導体層の少なくとも一方が形成された後のセラミックシートを焼成前シートと言う。
焼成前積層体を作製する工程では、次に、図11に示した誘電体層40〜60に対応する複数の焼成前シートを積層して、焼成前積層体の一部を形成する。次に、この焼成前積層体の一部に、共振器本体部3A〜3Dを収容するための4つの収容部を形成する。次に、この4つの収容部に共振器本体部3A〜3Dを収容する。次に、上記焼成前積層体の一部と、焼成前積層体の残りの部分を構成する複数の焼成前シートとを積層して、焼成前積層体を完成させる。
次に、本実施の形態に係る誘電体フィルタ1の作用および効果について説明する。誘電体フィルタ1は、バンドパスフィルタの機能を有している。誘電体フィルタ1は、通過帯域が例えば10〜30GHzの準ミリ波帯または30〜300GHzのミリ波帯に存在するように設計および構成される。なお、通過帯域は、例えば、挿入損失の最小値から3dBだけ挿入損失が大きくなる2つの周波数の間の周波数帯域である。
誘電体フィルタ1は、回路構成上隣接する2つの誘電体共振器が磁気結合するように構成された偶数個の誘電体共振器2A〜2Dと、第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bとを容量結合させるためのキャパシタC10とを備えている。このような構成の誘電体フィルタ1によれば、挿入損失の周波数特性において、通過帯域よりも低く通過帯域に近い周波数領域である第1の通過帯域近傍領域に第1の減衰極を生じさせ、通過帯域よりも高く通過帯域に近い周波数領域である第2の通過帯域近傍領域に第2の減衰極を生じさせることができる。
誘電体フィルタ1の挿入損失の周波数特性において第1および第2の減衰極が生じる2つの周波数は、誘電体フィルタ1の偶モードインピーダンスZeと誘電体フィルタ1の奇モードインピーダンスZoの差の絶対値|Ze−Zo|が極小値をとる2つの周波数である。本実施の形態に係る誘電体フィルタ1では、絶対値|Ze−Zo|が極小値をとる2つの周波数の一方が第1の通過帯域近傍領域に存在し、2つの周波数の他方が第2の通過帯域近傍領域に存在する。そのため、誘電体フィルタ1によれば、第1の通過帯域近傍領域に第1の減衰極を生じさせ、第2の通過帯域近傍領域に第2の減衰極を生じさせることができる。これにより、本実施の形態によれば、第1および第2の通過帯域近傍領域において挿入損失が急峻に変化する誘電体フィルタ1の特性を実現することが可能になる。
なお、第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bの間に設けられる誘電体共振器の数が奇数の場合には、第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bとを容量結合させても、第1の通過帯域近傍領域にしか減衰極が生じない。
また、第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bの間に設けられる誘電体共振器の数が4つ以上の偶数で、回路構成上第1の入出力ポート5Aに最も近い誘電体共振器と、回路構成上第2の入出力ポート5Bに最も近い誘電体共振器とを磁気結合させた場合には、第2の通過帯域近傍領域にしか減衰極が生じない。
また、誘電体フィルタ1では、第1および第2の移相器11A,11Bの各々における位相変化量を調整することにより、誘電体フィルタ1の挿入損失の周波数特性を調整することができる。第1および第2の移相器11A,11Bの各々における位相変化量は、第1および第2の移相器11A,11Bの各々の長さを変えることによって変えることができる。
以下、図16ないし図18を参照して、シミュレーションで求めた誘電体フィルタ1の特性の例について説明する。
図16は、第1および第2の移相器11A,11Bを設けずに、第1の入出力ポート5Aを誘電体共振器2Aに対して容量結合させ、第2の入出力ポート5Bを誘電体共振器2Dに対して容量結合させた構成の誘電体フィルタ1の特性の例を示している。図17は、第1および第2の移相器11A,11Bの各々における位相変化量を、周波数29GHzにおいて74.4°となるようにしたときの誘電体フィルタ1の特性の例を示している。図16および図17において、実線は、挿入損失の周波数特性を示し、点線は、前述の絶対値|Ze−Zo|の周波数特性を示している。また、図16および図17において、横軸は周波数を示し、左側の縦軸は挿入損失を示し、右側の縦軸は絶対値|Ze−Zo|を示している。
図16および図17から理解されるように、第1および第2の移相器11A,11Bを設け、第1および第2の移相器11A,11Bの各々における位相変化量を適当な大きさにすることにより、第1および第2の移相器11A,11Bを設けない場合に比べて、第1の減衰極が生じる周波数と第2の減衰極が生じる周波数を通過帯域に近づけて、第1および第2の通過帯域近傍領域において挿入損失がより急峻に変化する誘電体フィルタ1の特性を実現することが可能になる。
図18は、第1および第2の移相器11A,11Bの各々における位相変化量を変えたときの誘電体フィルタ1の挿入損失の周波数特性の変化を示している。図18において、符号81で示した曲線は、上記位相変化量を、周波数29GHzにおいて70°となるようにしたときの特性を示している。また、符号82で示した曲線は、上記位相変化量を、周波数29GHzにおいて75°となるようにしたときの特性を示している。また、符号83で示した曲線は、上記位相変化量を、周波数29GHzにおいて80°となるようにしたときの特性を示している。図18において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。
図18から理解されるように、上記位相変化量を調整することによって、誘電体フィルタ1の挿入損失の周波数特性を調整することができる。
また、誘電体フィルタ1では、回路構成上隣接しない2つの誘電体共振器を電磁結合させるのではなく、第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bとを容量結合させることによって、挿入損失の周波数特性に2つの減衰極を生じさせている。第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bとの間の容量結合は、簡単な構造のキャパシタC10によって実現することができる。
以上のことから、本実施の形態に係る誘電体フィルタ1によれば、簡単な構造で、挿入損失の周波数特性に2つの減衰極を生じさせることができる。
また、本実施の形態では、構造体20は、共振器本体部3A〜3Dが存在する領域とキャパシタC10が存在する領域とを分離する分離導体層6を含んでいる。これにより、本実施の形態によれば、共振器本体部3A〜3Dの周辺の電磁界に影響を与えることなく、第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bの間の容量結合を実現することができる。
また、本実施の形態では、第1の入出力段共振器本体部3Aと第2の入出力段共振器本体部3Dは、中間共振器本体部3B,3Cのいずれをも介することなく物理的に隣接している。これにより、本実施の形態によれば、第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bとを互いに近づけることができ、その結果、キャパシタC10を容易に構成することが可能になる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図19は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの内部を示す斜視図である。図20は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの等価回路を示す回路図である。
図20に示したように、本実施の形態に係る誘電体フィルタ101は、第1の実施の形態に係る誘電体フィルタ1における4個の誘電体共振器2A,2B,2C,2Dの代わりに、回路構成上第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bの間に設けられた6個の誘電体共振器102A,102B,102C,102D,102E,102Fを備えている。
誘電体共振器102A,102B,102C,102D,102E,102Fは、回路構成上、第1の入出力ポート5A側からこの順に配置されている。誘電体共振器102A〜102Fは、誘電体共振器102A,102Bが回路構成上隣接して磁気結合し、誘電体共振器102B,102Cが回路構成上隣接して磁気結合し、誘電体共振器102C,102Dが回路構成上隣接して磁気結合し、誘電体共振器102D,102Eが回路構成上隣接して磁気結合し、誘電体共振器102E,102Fが回路構成上隣接して磁気結合するように構成されている。誘電体共振器102A〜102Fの各々は、インダクタンスとキャパシタンスを有している。
以下、回路構成上第1の入出力ポート5Aに最も近い誘電体共振器102Aを第1の入出力段共振器102Aとも言い、回路構成上第2の入出力ポート5Bに最も近い誘電体共振器102Fを第2の入出力段共振器102Fとも言う。また、回路構成上第1の入出力段共振器102Aと第2の入出力段共振器102Fの間に位置する4つの誘電体共振器102B,102C,102D,102Eを、中間共振器102B,102C,102D,102Eとも言う。
本実施の形態では、第1の移相器11Aは、回路構成上第1の入出力ポート5Aと第1の入出力段共振器102Aの間に設けられている。第1の移相器11Aは、第1の入出力段共振器102Aに対して容量結合するように構成されている。図20において、符号C11Aを付したキャパシタの記号は、第1の移相器11Aと第1の入出力段共振器102Aの間の容量結合を表している。
また、第2の移相器11Bは、回路構成上第2の入出力ポート5Bと第2の入出力段共振器102Fの間に設けられている。第2の移相器11Bは、第2の入出力段共振器102Fに対して容量結合するように構成されている。図20において、符号C11Bを付したキャパシタの記号は、第2の移相器11Bと第2の入出力段共振器102Fの間の容量結合を表している。
また、図19に示したように、誘電体フィルタ101は、第1および第2の入出力ポート5A,5B、誘電体共振器102A〜102F、キャパシタC10および第1および第2の移相器11A,11Bを構成するための構造体20を備えている。
構造体20は、それぞれ第1の比誘電率を有する第1の誘電体よりなり、6個の誘電体共振器102A,102B,102C,102D,102E,102Fに対応する6個の共振器本体部103A,103B,103C,103D,103E,103Fと、第1の比誘電率よりも小さい第2の比誘電率を有する第2の誘電体よりなり、6個の共振器本体部103A〜103Fの周囲に存在する周囲誘電体部4とを含んでいる。
以下、第1の入出力段共振器102Aに対応する共振器本体部103Aを第1の入出力段共振器本体部103Aとも言い、第2の入出力段共振器102Fに対応する共振器本体部103Fを第2の入出力段共振器本体部103Fとも言う。また、中間共振器102B,102C,102D,102Eに対応する共振器本体部103B,103C,103D,103Eを中間共振器本体部103B,103C,103D,103Eとも言う。
共振器本体部103A〜103Fの各々の形状や構成は、第1の実施の形態における共振器本体部3A〜3Dのうちの1つと同様である。
共振器本体部103A〜103Fは、共振器本体部103A,103Bが磁気結合し、共振器本体部103B,103Cが磁気結合し、共振器本体部103C,103Dが磁気結合し、共振器本体部103D,103Eが磁気結合し、共振器本体部103E,103Fが磁気結合するように構成されている。
第1の実施の形態と同様に、構造体20は、それぞれ導体よりなる分離導体層6とシールド部7を含んでいる。分離導体層6は、シールド部7の一部を兼ねている。シールド部7は、分離導体層6とシールド導体層72と接続部71とを含んでいる。
分離導体層6は、共振器本体部103A〜103Fが存在する領域とキャパシタC10が存在する領域とを分離する。
シールド部7は、共振器本体部103A〜103Fとシールド部7との間に周囲誘電体部4の少なくとも一部が介在するように、共振器本体部103A〜103Fの周囲に配置されている。
共振器本体部103A〜103Fは、構造体20内における、分離導体層6とシールド導体層72との間の領域に配置されている。共振器本体部103A〜103Fの各々は、分離導体層6に最も近い下端面と、シールド導体層72に最も近い上端面とを有している。
接続部71は、分離導体層6とシールド導体層72を電気的に接続している。接続部71は、複数のスルーホール列71Tを含んでいる。分離導体層6、シールド導体層72および接続部71は、共振器本体部103A〜103Fを囲むように配置されている。共振器本体部103A〜103Fの各々は、シールド部7に接していない。
図19に示したように、第1の入出力段共振器本体部103Aと第2の入出力段共振器本体部103Fは、中間共振器本体部103B〜103Eのいずれをも介することなく物理的に隣接している。
図19に示したように、構造体20は、更に、それぞれ導体よりなる仕切り部108,109、グランド層9および接続部12を含んでいる。
仕切り部108は、第1の入出力段共振器本体部103Aと第2の入出力段共振器本体部103Fの間に磁気結合が生じないようにするためのものである。仕切り部108は、第1の入出力段共振器本体部103Aと第2の入出力段共振器本体部103Fの間を通過するように設けられている。仕切り部108は、分離導体層6とシールド導体層72を電気的に接続している。仕切り部108は、複数のスルーホール列108Tを含んでいる。複数のスルーホール列108Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。
仕切り部109は、共振器本体部103Bと共振器本体部103Eの間に磁気結合が生じないようにするためのものである。仕切り部109は、共振器本体部103Bと共振器本体部103Eの間を通過するように設けられている。仕切り部109は、分離導体層6とシールド導体層72を電気的に接続している。仕切り部109は、複数のスルーホール列109Tを含んでいる。複数のスルーホール列109Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。
接続部12は、グランド層9と分離導体層6を電気的に接続している。接続部12は、複数のスルーホール列12Tを含んでいる。
図19に示したように、構造体20は、更に、それぞれ導体よりなる結合調整部111,112,113,114,115を備えている。
結合調整部111は、共振器本体部103A,103Bの間の磁気結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部112は、共振器本体部103B,103Cの間の磁気結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部113は、共振器本体部103C,103Dの間の磁気結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部114は、共振器本体部103D,103Eの間の磁気結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部115は、共振器本体部103E,103Fの間の磁気結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部111〜115の各々は、分離導体層6とシールド導体層72を電気的に接続している。
図19に示した例では、結合調整部111は、1つのスルーホール列111Tを含んでいる。結合調整部112は、2つのスルーホール列112Tを含んでいる。結合調整部113は、4つのスルーホール列113Tを含んでいる。結合調整部114は、2つのスルーホール列114Tを含んでいる。結合調整部115は、1つのスルーホール列115Tを含んでいる。スルーホール列111T,112T,113T,114T,115Tの各々は、直列に接続された2つ以上のスルーホールを含んでいる。
誘電体共振器102Aは、共振器本体部103Aと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。誘電体共振器102Bは、共振器本体部103Bと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。誘電体共振器102Cは、共振器本体部103Cと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。誘電体共振器102Dは、共振器本体部103Dと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。誘電体共振器102Eは、共振器本体部103Eと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。誘電体共振器102Fは、共振器本体部103Fと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。
誘電体共振器102A〜102Fの各々の共振モードは、TMモードである。誘電体共振器102A〜102Fによって発生する電磁界は、共振器本体部103A〜103Fの内部および外部に存在する。シールド部7は、共振器本体部103A〜103Fの外部の電磁界を、シールド部7によって囲まれた領域内に閉じ込める機能を有する。
次に、図21ないし図29を参照して、本実施の形態における周囲誘電体部4を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、周囲誘電体部4は、積層された32層の誘電体層を有している。以下、この32層の誘電体層を、下から順に1層目ないし32層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし32層目の誘電体層を符号131〜162で表す。図21ないし図28において、複数の小さな円は複数のスルーホールを表している。
図21は、1層目の誘電体層131のパターン形成面を示している。誘電体層131のパターン形成面には、グランド層9と、第1の入出力ポート5Aを構成する導体層311と、第2の入出力ポート5Bを構成する導体層312が形成されている。グランド層9には、2つの円形の孔9a,9bが形成されている。導体層311は孔9aの内側に配置され、導体層312は孔9bの内側に配置されている。
また、誘電体層131には、導体層311に接続されたスルーホール31T1と、導体層312に接続されたスルーホール31T2が形成されている。誘電体層131には、更に、複数のスルーホール列12Tの一部を構成する複数のスルーホール12T1が形成されている。図21において、スルーホール31T1,31T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール12T1である。複数のスルーホール12T1は、グランド層9に接続されている。
図22は、2層目の誘電体層132のパターン形成面を示している。誘電体層132のパターン形成面には、導体層321,322が形成されている。導体層321,322の形状と配置は、第1の実施の形態と同様である。導体層321における第1端の近傍部分には、図21に示したスルーホール31T1が接続されている。導体層322における第1端の近傍部分には、図21に示したスルーホール31T2が接続されている。
また、誘電体層132には、導体層321における第2端の近傍部分に接続されたスルーホール32T1と、導体層322における第2端の近傍部分に接続されたスルーホール32T2が形成されている。誘電体層132には、更に、複数のスルーホール列12Tの一部を構成する複数のスルーホール12T2が形成されている。図22において、スルーホール32T1,32T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール12T2である。複数のスルーホール12T2には、図21に示した複数のスルーホール12T1が接続されている。
図23は、3層目の誘電体層133のパターン形成面を示している。誘電体層133のパターン形成面には、X方向に長い導体層331が形成されている。導体層331の一部は、誘電体層132を介して導体層321における第1端の近傍部分に対向している。導体層331の他の一部は、誘電体層132を介して導体層322における第1端の近傍部分に対向している。
また、誘電体層133には、スルーホール33T1,33T2と、複数のスルーホール列12Tの一部を構成する複数のスルーホール12T3が形成されている。スルーホール33T1,33T2には、それぞれ図22に示したスルーホール32T1,32T2が接続されている。図23において、スルーホール33T1,33T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール12T3である。複数のスルーホール12T3には、図22に示した複数のスルーホール12T2が接続されている。
図24は、4層目の誘電体層134のパターン形成面を示している。誘電体層134のパターン形成面には、分離導体層6が形成されている。分離導体層6には、2つの矩形の孔6a,6bが形成されている。
また、誘電体層134には、スルーホール34T1,34T2が形成されている。誘電体層134には、更に、それぞれスルーホール列71T,108T,109T,111T,112T,113T,114T,115Tの一部を構成するスルーホール71T1,108T1,109T1,111T1,112T1,113T1,114T1,115T1が形成されている。図24において、スルーホール34T1,34T2,108T1,109T1,111T1,112T1,113T1,114T1,115T1以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T1である。
スルーホール34T1は孔6aの内側に配置され、スルーホール34T2は孔6bの内側に配置されている。スルーホール34T1,34T2には、それぞれ図23に示したスルーホール33T1,33T2が接続されている。
図24において、スルーホール34T1,34T2以外の全てのスルーホールは、分離導体層6に接続されている。分離導体層6は、矩形の外縁を有している。複数のスルーホール71T1は、分離導体層6のうち、外縁の近傍の部分に接続されている。
図25は、5層目ないし8層目の誘電体層135〜138のパターン形成面を示している。誘電体層135〜138の各々には、スルーホール35T1,35T2が形成されている。誘電体層135〜138の各々には、更に、それぞれスルーホール列71T,108T,109T,111T,112T,113T,114T,115Tの一部を構成するスルーホール71T2,108T2,109T2,111T2,112T2,113T2,114T2,115T2が形成されている。図25において、スルーホール35T1,35T2,108T2,109T2,111T2,112T2,113T2,114T2,115T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T2である。
5層目の誘電体層135に形成されたスルーホール35T1,35T2,71T2,108T2,109T2,111T2,112T2,113T2,114T2,115T2には、それぞれ図24に示したスルーホール34T1,34T2,71T1,108T1,109T1,111T1,112T1,113T1,114T1,115T1が接続されている。誘電体層135〜138では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図26は、9層目の誘電体層139のパターン形成面を示している。誘電体層139のパターン形成面には、導体層391,392が形成されている。導体層391,392には、それぞれ8層目の誘電体層138に形成されたスルーホール35T1,35T2が接続されている。
また、誘電体層139には、それぞれスルーホール列71T,108T,109T,111T,112T,113T,114T,115Tの一部を構成するスルーホール71T3,108T3,109T3,111T3,112T3,113T3,114T3,115T3が形成されている。図26において、スルーホール108T3,109T3,111T3,112T3,113T3,114T3,115T3以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T3である。
誘電体層139に形成されたスルーホール71T3,108T3,109T3,111T3,112T3,113T3,114T3,115T3には、それぞれ8層目の誘電体層138に形成されたスルーホール71T2,108T2,109T2,111T2,112T2,113T2,114T2,115T2が接続されている。
図27は、10層目ないし30層目の誘電体層140〜160のパターン形成面を示している。誘電体層140〜160の各々には、それぞれスルーホール列71T,108T,109T,111T,112T,113T,114T,115Tの一部を構成するスルーホール71T4,108T4,109T4,111T4,112T4,113T4,114T4,115T4が形成されている。図27において、スルーホール108T4,109T4,111T4,112T4,113T4,114T4,115T4以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T4である。
10層目の誘電体層140に形成されたスルーホール71T4,108T4,109T4,111T4,112T4,113T4,114T4,115T4には、それぞれ図26に示したスルーホール71T3,108T3,109T3,111T3,112T3,113T3,114T3,115T3が接続されている。誘電体層140〜160では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
共振器本体部103A〜103Fは、誘電体層140〜160を貫通するように設けられている。図26に示した導体層391は、誘電体層139を介して共振器本体部103Aの下端面に対向している。図26に示した導体層392は、誘電体層139を介して共振器本体部103Fの下端面に対向している。
図28は、31層目の誘電体層161のパターン形成面を示している。誘電体層161には、それぞれスルーホール列71T,108T,109T,111T,112T,113T,114T,115Tの一部を構成するスルーホール71T5,108T5,109T5,111T5,112T5,113T5,114T5,115T5が形成されている。図28において、スルーホール108T5,109T5,111T5,112T5,113T5,114T5,115T5以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T5である。
誘電体層161に形成されたスルーホール71T5,108T5,109T5,111T5,112T5,113T5,114T5,115T5には、それぞれ30層目の誘電体層160に形成されたスルーホール71T4,108T4,109T4,111T4,112T4,113T4,114T4,115T4が接続されている。
図29は、32層目の誘電体層162のパターン形成面を示している。誘電体層162のパターン形成面には、シールド導体層72が形成されている。シールド導体層72には、図28に示したスルーホール71T5,108T5,109T5,111T5,112T5,113T5,114T5,115T5が接続されている。
周囲誘電体部4は、図21に示した誘電体層131のパターン形成面が周囲誘電体部4の下面になるように、誘電体層131〜162が積層されて構成されている。
図20に示したキャパシタC10は、図23に示した導体層331と、図22に示した導体層321,322と、これらの間の誘電体層132とによって構成されている。キャパシタC10は、構造体20内における、分離導体層6とグランド層9との間の領域に配置されている。共振器本体部103A〜103Fは、構造体20内における、分離導体層6とシールド導体層72との間の領域に配置されている。このように、分離導体層6は、共振器本体部103A〜103Fが存在する領域とキャパシタC10が存在する領域とを分離している。
接続部12を構成する複数の複数のスルーホール列12Tのうちの一部のスルーホール列12Tは、キャパシタC10を構成する導体層321,322,331を囲うように配置されている。
第1の実施の形態と同様に、第1の移相器11Aは、導体層321と、スルーホール32T1,33T1,34T1,35T1からなるスルーホール列とによって構成されている。また、第2の移相器11Bは、導体層322と、スルーホール32T2,33T2,34T2,35T2からなるスルーホール列とによって構成されている。
導体層391は、誘電体層139を介して共振器本体部103Aの下端面に対向している。これにより、第1の移相器11Aと第1の入出力段共振器102Aの間の容量結合C11Aが実現されている。導体層392は、誘電体層139を介して共振器本体部103Fの下端面に対向している。これにより、第2の移相器11Bと第2の入出力段共振器102Fの間の容量結合C11Bが実現されている。
図30は、誘電体フィルタ101の特性の一例を示している。図30において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。図30に示したように、誘電体フィルタ101によれば、第1の通過帯域近傍領域に第1の減衰極を生じさせ、第2の通過帯域近傍領域に第2の減衰極を生じさせることができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図31は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの内部を示す斜視図である。図32は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの等価回路を示す回路図である。
図32に示したように、本実施の形態に係る誘電体フィルタ201は、第1の実施の形態に係る誘電体フィルタ1における4個の誘電体共振器2A,2B,2C,2Dの代わりに、回路構成上第1の入出力ポート5Aと第2の入出力ポート5Bの間に設けられた2個の誘電体共振器202A,202Bを備えている。
誘電体共振器202A,202Bは、回路構成上、第1の入出力ポート5A側からこの順に配置されている。誘電体共振器202A,202Bは、回路構成上隣接して磁気結合するように構成されている。誘電体共振器202A,202Bの各々は、インダクタンスとキャパシタンスを有している。
以下、回路構成上第1の入出力ポート5Aに最も近い誘電体共振器202Aを第1の入出力段共振器202Aとも言い、回路構成上第2の入出力ポート5Bに最も近い誘電体共振器202Bを第2の入出力段共振器202Bとも言う。
本実施の形態では、第1の移相器11Aは、回路構成上第1の入出力ポート5Aと第1の入出力段共振器202Aの間に設けられている。第1の移相器11Aは、第1の入出力段共振器202Aに対して容量結合するように構成されている。図32において、符号C11Aを付したキャパシタの記号は、第1の移相器11Aと第1の入出力段共振器202Aの間の容量結合を表している。
また、第2の移相器11Bは、回路構成上第2の入出力ポート5Bと第2の入出力段共振器202Bの間に設けられている。第2の移相器11Bは、第2の入出力段共振器202Bに対して容量結合するように構成されている。図32において、符号C11Bを付したキャパシタの記号は、第2の移相器11Bと第2の入出力段共振器202Bの間の容量結合を表している。
また、図31に示したように、誘電体フィルタ201は、第1および第2の入出力ポート5A,5B、誘電体共振器202A,202B、キャパシタC10および第1および第2の移相器11A,11Bを構成するための構造体20を備えている。
構造体20は、それぞれ第1の比誘電率を有する第1の誘電体よりなり、2個の誘電体共振器202A,202Bに対応する2個の共振器本体部203A,203Bと、第1の比誘電率よりも小さい第2の比誘電率を有する第2の誘電体よりなり、2個の共振器本体部203A,202Bの周囲に存在する周囲誘電体部4とを含んでいる。
共振器本体部203A,203Bの各々の形状や構成は、第1の実施の形態における共振器本体部3A〜3Dのうちの1つと同様である。共振器本体部203A,203Bは、磁気結合するように構成されている。
第1の実施の形態と同様に、構造体20は、それぞれ導体よりなる分離導体層6とシールド部7を含んでいる。分離導体層6は、シールド部7の一部を兼ねている。シールド部7は、分離導体層6とシールド導体層72と接続部71とを含んでいる。
分離導体層6は、共振器本体部203A,203Bが存在する領域とキャパシタC10が存在する領域とを分離する。
シールド部7は、共振器本体部203A,203Bとシールド部7との間に周囲誘電体部4の少なくとも一部が介在するように、共振器本体部203A,203Bの周囲に配置されている。
共振器本体部203A,203Bは、構造体20内における、分離導体層6とシールド導体層72との間の領域に配置されている。共振器本体部203A,203Bの各々は、分離導体層6に最も近い下端面と、シールド導体層72に最も近い上端面とを有している。
接続部71は、分離導体層6とシールド導体層72を電気的に接続している。接続部71は、複数のスルーホール列71Tを含んでいる。分離導体層6、シールド導体層72および接続部71は、共振器本体部203A,203Bを囲むように配置されている。共振器本体部203A,203Bの各々は、シールド部7に接していない。
図31に示したように、構造体20は、更に、それぞれ導体よりなるグランド層9および接続部12を含んでいる。接続部12は、グランド層9と分離導体層6を電気的に接続している。接続部12は、複数のスルーホール列12Tを含んでいる。
図31に示したように、構造体20は、更に、導体よりなる結合調整部214を含んでいる。結合調整部214は、共振器本体部203A,203Bの間の磁気結合の大きさを調整するためのものである。結合調整部214は、分離導体層6とシールド導体層72を電気的に接続している。図31に示した例では、結合調整部214は、2つのスルーホール列214Tを含んでいる。
誘電体共振器202Aは、共振器本体部203Aと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。誘電体共振器202Bは、共振器本体部203Bと周囲誘電体部4の少なくとも一部とシールド部7によって構成されている。
誘電体共振器202A,202Bの各々の共振モードは、TMモードである。誘電体共振器202A,202Bによって発生する電磁界は、共振器本体部203A,203Bの内部および外部に存在する。シールド部7は、共振器本体部203A,203Bの外部の電磁界を、シールド部7によって囲まれた領域内に閉じ込める機能を有する。
次に、図33ないし図41を参照して、本実施の形態における周囲誘電体部4を構成する複数の誘電体層と、この複数の誘電体層に形成された複数の導体層および複数のスルーホールの構成の一例について説明する。この例では、周囲誘電体部4は、積層された32層の誘電体層を有している。以下、この32層の誘電体層を、下から順に1層目ないし32層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし32層目の誘電体層を符号231〜262で表す。図33ないし図40において、複数の小さな円は複数のスルーホールを表している。
図33は、1層目の誘電体層231のパターン形成面を示している。誘電体層231のパターン形成面には、グランド層9と、第1の入出力ポート5Aを構成する導体層311と、第2の入出力ポート5Bを構成する導体層312が形成されている。グランド層9には、2つの円形の孔9a,9bが形成されている。導体層311は孔9aの内側に配置され、導体層312は孔9bの内側に配置されている。
また、誘電体層231には、導体層311に接続されたスルーホール31T1と、導体層312に接続されたスルーホール31T2が形成されている。誘電体層231には、更に、複数のスルーホール列12Tの一部を構成する複数のスルーホール12T1が形成されている。図33において、スルーホール31T1,31T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール12T1である。複数のスルーホール12T1は、グランド層9に接続されている。
図34は、2層目の誘電体層232のパターン形成面を示している。誘電体層232のパターン形成面には、導体層321,322が形成されている。導体層321,322の形状と配置は、第1の実施の形態と同様である。導体層321における第1端の近傍部分には、図33に示したスルーホール31T1が接続されている。導体層322における第1端の近傍部分には、図33に示したスルーホール31T2が接続されている。
また、誘電体層232には、導体層321における第2端の近傍部分に接続されたスルーホール32T1と、導体層322における第2端の近傍部分に接続されたスルーホール32T2が形成されている。誘電体層232には、更に、複数のスルーホール列12Tの一部を構成する複数のスルーホール12T2が形成されている。図34において、スルーホール32T1,32T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール12T2である。複数のスルーホール12T2には、図33に示した複数のスルーホール12T1が接続されている。
図35は、3層目の誘電体層233のパターン形成面を示している。誘電体層233のパターン形成面には、X方向に長い導体層331が形成されている。導体層331の一部は、誘電体層232を介して導体層321における第1端の近傍部分に対向している。導体層331の他の一部は、誘電体層232を介して導体層322における第1端の近傍部分に対向している。
また、誘電体層233には、スルーホール33T1,33T2と、複数のスルーホール列12Tの一部を構成する複数のスルーホール12T3が形成されている。スルーホール33T1,33T2には、それぞれ図34に示したスルーホール32T1,32T2が接続されている。図35において、スルーホール33T1,33T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール12T3である。複数のスルーホール12T3には、図34に示した複数のスルーホール12T2が接続されている。
図36は、4層目の誘電体層234のパターン形成面を示している。誘電体層234のパターン形成面には、分離導体層6が形成されている。分離導体層6には、2つの矩形の孔6a,6bが形成されている。
また、誘電体層234には、スルーホール34T1,34T2が形成されている。誘電体層234には、更に、それぞれスルーホール列71T,214Tの一部を構成するスルーホール71T1,214T1が形成されている。図36において、スルーホール34T1,34T2,214T1以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T1である。
スルーホール34T1は孔6aの内側に配置され、スルーホール34T2は孔6bの内側に配置されている。スルーホール34T1,34T2には、それぞれ図35に示したスルーホール33T1,33T2が接続されている。
図36において、スルーホール71T1,214T1は、分離導体層6に接続されている。分離導体層6は、矩形の外縁を有している。複数のスルーホール71T1は、分離導体層6のうち、外縁の近傍の部分に接続されている。
図37は、5層目ないし8層目の誘電体層235〜238のパターン形成面を示している。誘電体層235〜238の各々には、スルーホール35T1,35T2が形成されている。誘電体層235〜238の各々には、更に、それぞれスルーホール列71T,214Tの一部を構成するスルーホール71T2,214T2が形成されている。図37において、スルーホール35T1,35T2,214T2以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T2である。
5層目の誘電体層235に形成されたスルーホール35T1,35T2,71T2,214T2には、それぞれ図36に示したスルーホール34T1,34T2,71T1,214T1が接続されている。誘電体層235〜238では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図38は、9層目の誘電体層239のパターン形成面を示している。誘電体層239のパターン形成面には、導体層391,392が形成されている。導体層391,392には、それぞれ8層目の誘電体層238に形成されたスルーホール35T1,35T2が接続されている。
また、誘電体層239には、それぞれスルーホール列71T,214Tの一部を構成するスルーホール71T3,214T3が形成されている。図38において、2つのスルーホール214T3以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T3である。
誘電体層239に形成されたスルーホール71T3,214T3には、それぞれ8層目の誘電体層238に形成されたスルーホール71T2,214T2が接続されている。
図39は、10層目ないし30層目の誘電体層240〜260のパターン形成面を示している。誘電体層240〜260の各々には、それぞれスルーホール列71T,214Tの一部を構成するスルーホール71T4,214T4が形成されている。図39において、2つのスルーホール214T4以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T4である。
10層目の誘電体層240に形成されたスルーホール71T4,214T4には、それぞれ図38に示したスルーホール71T3,214T3が接続されている。誘電体層240〜260では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
共振器本体部203A,203Bは、誘電体層240〜260を貫通するように設けられている。図38に示した導体層391は、誘電体層239を介して共振器本体部203Aの下端面に対向している。図38に示した導体層392は、誘電体層239を介して共振器本体部203Bの下端面に対向している。
図40は、31層目の誘電体層261のパターン形成面を示している。誘電体層261には、それぞれスルーホール列71T,214Tの一部を構成するスルーホール71T5,214T5が形成されている。図40において、2つのスルーホール214T5以外の複数のスルーホールは、全てスルーホール71T5である。
誘電体層261に形成されたスルーホール71T5,214T5には、それぞれ30層目の誘電体層260に形成されたスルーホール71T4,214T4が接続されている。
図41は、32層目の誘電体層262のパターン形成面を示している。誘電体層262のパターン形成面には、シールド導体層72が形成されている。シールド導体層72には、図40に示したスルーホール71T5,214T5が接続されている。
周囲誘電体部4は、図33に示した誘電体層231のパターン形成面が周囲誘電体部4の下面になるように、誘電体層231〜262が積層されて構成されている。
図32に示したキャパシタC10は、図35に示した導体層331と、図34に示した導体層321,322と、これらの間の誘電体層232とによって構成されている。キャパシタC10は、構造体20内における、分離導体層6とグランド層9との間の領域に配置されている。共振器本体部203A,203Bは、構造体20内における、分離導体層6とシールド導体層72との間の領域に配置されている。このように、分離導体層6は、共振器本体部203A,203Bが存在する領域とキャパシタC10が存在する領域とを分離している。
接続部12を構成する複数の複数のスルーホール列12Tのうちの一部のスルーホール列12Tは、キャパシタC10を構成する導体層321,322,331を囲うように配置されている。
第1の実施の形態と同様に、第1の移相器11Aは、導体層321と、スルーホール32T1,33T1,34T1,35T1からなるスルーホール列とによって構成されている。また、第2の移相器11Bは、導体層322と、スルーホール32T2,33T2,34T2,35T2からなるスルーホール列とによって構成されている。
導体層391は、誘電体層239を介して共振器本体部203Aの下端面に対向している。これにより、第1の移相器11Aと第1の入出力段共振器202Aの間の容量結合C11Aが実現されている。導体層392は、誘電体層239を介して共振器本体部203Bの下端面に対向している。これにより、第2の移相器11Bと第2の入出力段共振器202Bの間の容量結合C11Bが実現されている。
図42は、誘電体フィルタ201の特性の一例を示している。図42において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示している。図42に示したように、誘電体フィルタ201によれば、第1の通過帯域近傍領域に第1の減衰極を生じさせ、第2の通過帯域近傍領域に第2の減衰極を生じさせることができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明において、回路構成上第1の入出力ポートと第2の入出力ポートの間に設けられる誘電体共振器の数は、8以上の偶数であってもよい。