[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による水上架空送電システムについて、図1乃至図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態による水上架空送電システムの概略構成を示す図である。図2は、本実施形態による水上架空送電システムにおける送電塔の概略構成を示す図である。図3は、本実施形態による水上架空送電システムにおける送電塔の設置方法を示す概略図である。
はじめに、本実施形態による水上架空送電システムの概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。
本実施形態による水上架空送電システム100は、図1に示すように、洋上に設置された洋上構造物10と、洋上構造物10に設置された設備と陸上の設備(図示せず)とを接続するための線状体20と、線状体20を洋上で支持する送電塔30とを含む。
洋上構造物10は、発電設備、変電設備、その他の電気的な設備や光信号の送受信等を行う光学的な設備などを含む洋上の構造物である。洋上構造物10は、図示するような浮体構造物であってもよいし、着床式の構造物であってもよい。洋上構造物10としては、特に限定されるものではないが、例えば、風力発電システム、波浪発電システム、潮流発電システム、沖合養殖システム、養殖用自動給餌システム、洋上の携帯電話基地局等が挙げられる。また、洋上構造物10ではないが、離島への送電などにおける海底送電ケーブルの代替として本発明の送電システムを利用することもできる。
線状体20は、洋上構造物10の設備と陸上の設備とを電気的或いは光学的に接続するためのケーブルであり、送電ケーブルのみならず、通信ケーブルであってもよい。また、線状体20には、必ずしも洋上構造物10の設備と陸上の設備とを接続する経路の全体に渡って架空送電方式を用いる必要はなく、経路の一部に海底送電方式を用いてもよい。なお、空中送電用のケーブルには、海底送電ケーブルに必要とされる耐水圧や遮水に必要な機能が不要なため、架空送電方式には海底送電方式と比較してケーブルコストを低減できるメリットがある。線状体20として用いられる送電ケーブルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、一般的に架空送電線に用いられる鋼心アルミより線、防食鋼心アルミより線等を例示することができる。
例えば、長距離送電において漁業権や大型船舶52の航路等に対応するために、洋上構造物10の設備と陸上の設備とを接続する経路の全体に渡って架空送電方式を用いることが困難な場合が想定される。そのような場合、例えば図1に示すように、一部のエリアでは水中送電線20Bを配置し、その他のエリアでは空中送電線20Aを配置することができる。なお、送電塔30として後述するTLP型の構造体を用いることにより送電塔30の揺動を少なくすることができるため、カテナリー係留方式に比較してライザーケーブルのような高価で敷設コストのかかるケーブルを使用することなく海底ケーブルを敷設することが可能である。
線状体20は、特に限定されるものではなく、例えば、電源線のみを含むケーブル、光ファイバ心線のみを含むケーブル、電源線と光ファイバ心線との複合ケーブルの何れであってもよい。
送電塔30は、例えば図2に示すように、支持体32と、浮力タンク34と、テンドン36と、浮沈式重力アンカー38とを有する。支持体32は、浮力タンク34に固定されており、頂部において線状体20を支持する。浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とは、テンドン36によって接続されている。浮力タンク34による浮力と浮沈式重力アンカー38による重力とによってテンドン36が緊張し、浮力タンク34はテンドン36を介して浮沈式重力アンカー38により水中に係留される。すなわち、送電塔30は、緊張係留(TLP:Tension Leg Platform)型の浮体構造物である。
支持体32は、軽量化や波力や風圧抵抗を低減する観点から、棒状部材からなる骨組構造、特にトラス構造を有する構造体であることが望ましい。棒状部材は、地上に設けられる送電塔のように金属でもよいが、耐腐食性や軽量化等の観点から繊維強化プラスチック(FRP:Fiber-Reinforced Plastics)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber-Reinforced Plastics)等の複合材料が望ましい。棒状部材は、少なくとも、波力や風圧等によって座屈しない程度の最低限の直径とする。支持体32の概形は、例えば、水面50からの高さが20m〜30m程度であり、喫水量が10m程度であり、排水量が60トン程度である。この程度の水面高があれば、線状体20によって漁船等の小型船舶54の通過が妨げられることはない。
浮力タンク34は、支持体32を設置した状態で水面50に浮き上がるに十分な浮力を有する。浮力タンク34は、軽量化等の観点から、支持体32と同様、複合材料により構成されていることが望ましい。
浮沈式重力アンカー38は、例えばコンクリート製のアンカー40と、浮沈用タンク42とを備えている。アンカー40は、支持体32が設けられた浮力タンク34を水底に係留するために十分な重量を有する。浮沈用タンク42は、空気で満たされることによってアンカー40を水上に浮かべることが可能である。これにより、浮沈式重力アンカー38は、浮沈用タンク42に注水すると水底に沈下して重力アンカーとして機能し、浮沈用タンク42が空気で満たされると水面50に浮上して曳航できる状態となる。
浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38は、例えば図示するような三角形の中抜き構造とすることが望ましい。これにより、浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38を沈下する際のグラインディングを防止することができる。
次に、本実施形態による水上架空送電システムに用いられる送電塔30の設置方法について、図3を用いて説明する。
送電塔30は設置場所から離れた工場で製造されるため、送電塔30は曳航船60により海洋エリアを通って設置現場まで運搬する必要がある。
工場から現場への運搬時、浮沈式重力アンカー38の浮沈用タンク42は空気で満たした状態とする。これにより、浮沈式重力アンカー38は水面50に浮上し、復原性を持った状態で曳航できるようになる。浮沈式重力アンカー38が水面50に浮上していることで、支持体32が設けられた浮力タンク34も余剰浮力で浮き上がり、復原性を持った状態で曳航できるようになる(図3(a))。
この状態で、支持体32が設けられた浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とを、送電塔30を設置する現場まで曳航する。本実施形態の送電塔30では、浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38は、上述のようにそれ自体が浮体構造物として扱うことができるため、これらを運搬する際に運搬用バージやクレーン船は不要である。
図3(a)には、浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とをテンドン36で接続した状態で曳航する例を示している。ただし、浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とは、テンドン36で接続された状態で曳航してもよいし、現場まで搬送した後にテンドン36で接続するようにしてもよい。
支持体32が設けられた浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とを現場まで運搬した後、浮沈式重力アンカー38の浮沈用タンク42に注水し、浮沈式重力アンカー38を水底(海底)に沈下させる。浮力タンク34は、テンドン36を介して浮沈式重力アンカー38によって水中に引き込まれ、浮力タンク34の浮力と浮沈式重力アンカー38の重力とによってテンドン36が緊張した状態で、テンドン36の長さに応じた所定の深さに係留される(図3(b))。
浮力タンク34を係留する深さはテンドン36の長さによって調整することができ、水深によらずに送電塔30を設置することが可能となる。したがって、本方法によれば、送電塔30の設置場所の選択の自由度を広げることができる。
このようにして所望の場所に送電塔30を設置した後、洋上構造物10の電気設備と陸上の電気設備との間に、送電塔30を介して線状体20を敷設する。
本実施形態による送電塔の設置方法は、支持体32が設けられた浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とを運搬する際に、前述のように、運搬用バージやクレーン船を必要としない。つまり、送電塔30の設置にあたり大型作業船は不要であり、送電塔30の運搬費用を大幅に削減することができる。また、送電塔30は浮体構造物であるため、水深によらずに設置が可能であるとともに工事費用も安価ですむ。
したがって、本実施形態による送電塔の設置方法によれば、海中設置型の送電システムと比較して、設置コストを大幅に削減することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による水上架空送電システムについて、図4乃至図12を用いて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による水上架空送電システム200の基本構成は、第1実施形態による水上架空送電システム100とほぼ同様である。本実施形態による水上架空送電システム200は、送電塔230が、線状体20として用いられる電線220の長さを調整する線長調整装置202をさらに有する点で、第1実施形態による水上架空送電システム100とは異なっている。
まず、本実施形態による水上架空送電システム200の概略構成について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態による水上架空送電システム200の概略構成を示す図である。
本実施形態による水上架空送電システム200は、図4に示すように、電線220と、電線220を洋上で支持する送電塔230とを含む。洋上には、複数基の送電塔230が設置されている。複数基の送電塔230には、番号が振られており、陸上側が若番側、洋上側が老番側になっている。本実施形態による送電塔230は、後述するように、電線220の長さを調整する線長調整装置202と、線長調整装置202を制御する制御装置204とを有している。
電線220は、第1実施形態の線状体20と同様に、洋上構造物10に設置された設備と陸上の設備(図示せず)とを接続するためのケーブルである。本実施形態では、線状体20として電線220が用いられている。電線220は、特に限定されるものではないが、一般に架空送電線に用いられる鋼心アルミより線、防食鋼心アルミより線等の裸電線が例示される。電線220は、隣接する送電塔230間に架け渡されている。なお、隣接する送電塔230の上部の間には、架空地線222が架け渡されている。また、図4では、簡便のため、単線の電線220が支持されている場合を示しているが、これに限定されるものではない。三相3線式の2回線送電線を構成する電線220等の複数線の電線220が同様に支持することができる。
本実施形態による送電塔230は、第1実施形態による送電塔30の構成とほぼ同様の基本的構成に加えて、線長調整装置202と、制御装置204とを有している。以下、本実施形態による送電塔230の構成について図5乃至図8をさらに用いて説明する。図5は、本実施形態による水上架空送電システム200における送電塔230の概略構成を示す図である。図6は、本実施形態による送電塔230における線長調整装置202の概略構成を示す図であり、図6(a)は側面図、図6(b)は上面図である。図7は、本実施形態による送電塔230における絶縁アーム206の概略構成を示す図である。図8は、本実施形態による送電塔230における制御装置204の概略構成を示すブロック図である。
送電塔230は、例えば図4及び図5に示すように、支持体232と、浮力タンク234と、テンドン236と、浮沈式重力アンカー238とを有する。浮沈式重力アンカー238は、アンカー240と、浮沈用タンク242とを有している。支持体232は、電線220を支持する構成を除き、第1実施形態による支持体32と同様の構成を有する。浮力タンク234、テンドン236及び浮沈式重力アンカー238は、それぞれ第1実施形態による浮力タンク34、テンドン36及び浮沈式重力アンカー38と同様の構成を有する。アンカー240及び浮沈用タンク242は、それぞれ第1実施形態によるアンカー40及び浮沈用タンク42と同様の構成を有する。
送電塔230は、さらに、線長調整装置202と、制御装置204と、絶縁アーム206と、GNSS(Global Navigation Satellite System、全地球航法衛星システム)アンテナ208と、金属キャップ212と、接地板214とを有している。
なお、本実施形態では、後述するように、GNSSを利用して、送電塔230における電線220の支持位置を測位する。GNSSとしては、特に限定されるものではなく、GPS(Global Positioning System)、ガリレオ、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、コンパス等が例示される。なお、GNSSに代えて、水上架空送電システム200の設置場所に応じた特定地域向けの航法衛星システムであるRNSS(Regional Navigation Satellite System、地域航法衛星システム)を利用することもできる。
本実施形態では、支持体232は、以下に述べるように、絶縁アーム206に懸垂支持された線長調整装置202で電線220を支持する。
支持体232には、線長調整装置202を支持するための絶縁アーム206が設けられている。図5には、三相3線式の2回線送電線を構成する各送電線としての電線220を支持するため、支持体232の上段部、中段部及下段部のそれぞれに2本ずつ計6本の絶縁アーム206が設けられている場合を例示している。なお、絶縁アーム206の本数及び支持体232における設置位置は、6本に限定されるものではなく、支持すべき電線220の数に応じて適宜設定することができる。
絶縁アーム206の先端部には、線長調整装置202が懸垂支持されている。線長調整装置202には、隣接する若番側の送電塔230との間で架け渡された電線220、及び隣接する老番側の送電塔230との間で架け渡された電線220がそれぞれ支持されている。線長調整装置202に支持された電線220は、後述するようにそれぞれ線長調整装置202により長さの調整が可能になっている。線長調整装置202に支持された電線220と送電塔230との間は、絶縁アーム206により絶縁されている。
線長調整装置202が懸垂支持された絶縁アーム206の先端部には、複数のGNSS衛星272からGNSS信号を受信するGNSSアンテナ208が取り付けられている。GNSSアンテナ208は、線長調整装置202が電線220を支持する支持位置近傍に取り付けられている。
また、支持体232の頭頂部には、耐雷用の金具である金属キャップ212が覆い被さるように設けられている。一方、浮沈式重力アンカー238の下面、すなわちアンカー40の下面には、金属等の導電性材料で構成される接地板214が設けられている。金属キャップ212と接地板214とは、導電ケーブル216で互いに電気的に接続されている。導電ケーブル216は、金属キャップ212と接地板214との間に電流が流れる導通経路を形成している。なお、金属キャップ212と接地板214との間の導通経路は、送電塔230を構成する支持体232、テンドン236等に導電性材料を用いて形成することもできる。この場合、導電ケーブル216は必ずしも必要はない。
支持体232を構成する棒状部材は、第1実施形態で述べたように、耐腐食性や軽量化等の観点からFRP、GFRP等の複合材料が望ましい。複合材料は、一般的に、金属正材料と比較して、雷撃によるダメージを受けやすいと考えられている。このため、支持体232を構成する棒状部材に複合材料を用いた場合、耐腐食性等のメリットあるものの、耐雷性能を高めておくことが好ましい。送電塔230への雷撃は、その頭頂部付近に多く見られる。このため、支持体232における頭頂部の複合材料に金属キャップ212を多い被せる構造にすることで、耐腐食性や軽量性のみならず耐雷性に優れた送電塔230を提供することができる。
また、設置された送電塔230において、浮沈式重力アンカー238は、海底に沈下するが、海底には固定されない。このため、送電塔230に対する落雷時に架空地線222から雷撃電流を逃がす経路を確保するため、接地抵抗を低減することが好ましい。本実施形態では、アンカー240の下面に接地板214が設けられているため、接地抵抗を十分に低減することができ、雷撃電流を海底面に放出して逃がすことができる。なお、接地板214の面積は、接地抵抗を十分に低減するのに必要な所望の面積に設定することができる。
なお、第1実施形態による送電塔30も、本実施形態と同様に金属キャップ212、接地板214及び導電ケーブル216を有していてもよい。
また、支持体232の棒状部材からなる骨組構造の内部には、線長調整装置202を制御する制御装置204が取り付けられている。制御装置204には、線長調整装置202が、有線又は無線方式により制御可能に接続されている。また、制御装置204には、GNSSアンテナ208が接続されている。なお、制御装置204の取り付け位置は、支持体232の骨組構造の内部に限定されるものではなく、送電塔230のいずれかの位置を適宜選定することができる。また、制御装置204は、必ずしも送電塔230に取り付けられている必要はない。例えば、制御装置204は、陸上や洋上の管理施設に設置されており、無線通信又は有線通信により遠隔で線長調整装置202を制御するように構成されていてもよい。
続いて、線長調整装置202、絶縁アーム206及び制御装置204について詳述する。
線長調整装置202は、図6(a)及び図6(b)に示すように、一組の金車262a、262bと、下部フレーム264a、264bと、連結フレーム266と、上部フレーム268とを有している。
金車262a、262bは、それぞれ回転軸周りに回転可能なローラ状又はホイール状の回転体である。金車262a、262bは、金属製の回転体であるが、導電性材料からなる回転体であればよい。
金車262a、262bは、それぞれ回転軸を水平にして、回転軸が互いに平行に並ぶようにそれぞれ下部フレーム264a、264bに回転可能に支持されている。金車262a、262bは、隣接する送電塔230に掛け渡された電線220の線路方向に沿って並ぶように配置されている。
金車262a、262bは、それぞれ、回転モータ274が内蔵されており、回転モータ274の回転駆動により、正逆回転可能に構成されている。金車262a、262bの回転は、それぞれ制御装置204により制御されるようになっている。なお、回転モータ274には、例えば太陽電池、バッテリー等の電源装置(図示せず)により電源が供給されるようになっている。
金車262a、262bの外周面には、それぞれ、一端側から他端側にかけて螺旋状に溝270が形成されている。金車262a、262bの外周面には、それぞれ、溝270に沿って溝270内に収容されつつ電線220が巻かれている。電線220は、金車262a、262bに巻かれて接触していることで、接触する金車262a、262bと電気的に接続されている。
金車262a、262bに巻かれた電線220は、それぞれ金車262a、262bの一端側から送り出されており、隣接する若番側又は老番側の送電塔230に架け渡されている。金車262aの一端側から送り出された電線220は、隣接する若番側の送電塔230に架け渡されている。また、金車262bの一端側から送り出された電線220は、隣接する老番側の送電塔230に架け渡されている。
金車262a、262bに巻かれた電線220の端部は、それぞれ金車262a、262bの他端側で金車262a、262bに固定されている。例えば、電線220は、金車262a、262bに固縛されて固定されている。なお、電線220の端部の金車262a、262bへの固定方法は、特に限定されるものではなく、固縛による方法のほか、種々の方法を採ることができる。
金車262a、262bに巻かれた電線220には、防食剤が塗布されている。なお、第3実施形態において説明するように、防食剤槽404a、404bを用いて防食剤が電線220に塗布されるようにすることもできる。
金車262a、262bをそれぞれ支持する下部フレーム264a、264bは、金属等の導電性材料から構成されている。下部フレーム264a、264bは、それぞれ金車262a、262bと接触して摺動する摺動部264sを有している。下部フレーム264a、264bは、それぞれ摺動部264sにより金車262a、262bに電気的に接続されている。下部フレーム264a、264bにおける少なくとも摺動部264sは、耐摩耗性に優れた材料で構成されていることが好ましい。
下部フレーム264a、264bは、これらの間に架設された連結フレーム266により連結されている。連結フレーム266は、金属等の導電性材料から構成されている。下部フレーム264a、264bは、連結フレーム266により互いに電気的に接続されている。
金車262a、262bと摺動部264sで摺動する下部フレーム264a、264b及び連結フレーム266は、1組の金車262a、262bを互いに電気的に接続する電気接続部として機能している。
上述のように、線長調整装置202において、金車262aに巻かれた電線220は、金車262aと電気的に接続されている。また、金車262aは、下部フレーム264aの摺動部264sを介して下部フレーム264aと電気的に接続されている。また、下部フレーム264aは、連結フレーム266を介して下部フレーム264bと電気的に接続されている。また、下部フレーム264bは、その摺動部264sを介して金車262bと電気的に接続されている。さらに、金車262bは、これに巻かれた電線220と電気的に接続されている。こうして、一方の金車262aに巻かれて支持された電線220が、他方の金車262bに巻かれて支持された電線220と電気的に接続されている。これにより、線長調整装置202の金車262a、262bに分離されて支持された電線220の導通が確保され、線長調整装置202に支持された送電線として機能することができる。
線長調整装置202は、金車262a、262bに電線220を巻き取り、又は金車262a、262bに電線220を送り出すことにより、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線220の長さを調整する。
上記の線長調整装置202は、支持体232に取り付けられた絶縁アーム206に支持されている。より具体的には、図7に示すように、線長調整装置202は、いわゆるアキンボがいしで構成される絶縁アーム206に懸垂支持されている。絶縁アーム206は、横方向に延びる下側アーム部であるストラット部278、斜め下方に延びる上側アーム部であるステイ部280と、ヨーク282と、クランプ284とを有している。
ストラット部278は、ポリマーがいし286と、ポリマーがいし286の両端部に取り付けられたアークホーン288とを有している。ステイ部280は、ポリマーがいし290と、ポリマーがいし290の両端部に取り付けられたアークホーン292とを有している。絶縁アーム206を構成するストラット部278及びステイ部280をそれぞれポリマーがいし286、290で構成することにより、磁器がいしで構成した場合と比較して、絶縁アーム206の軽量化を実現することができる。これにより、送電塔230のコンパクト化、軽量化を実現することができる。なお、必ずしもストラット部278及びステイ部280の両者をポリマーがいしで構成する必要はなく、いずれか一方をポリマーがいしで構成し、他方をスモッグがいし等の磁器がいしで構成することもできる。また、送電塔230のコンパクト化等が不要である場合等には、ストラット部278及びステイ部280の両者を磁器がいしで構成することもできる。
ストラット部278の先端部とステイ部280の先端部とは、それぞれ連結金具でヨーク282に取り付けられて、ヨーク282を介して横向きV字状に連結されている。
ストラット部278の基端部は、隣接する送電塔230間に架け渡される電線220の線路方向に揺動自在に取り付け金具294で支持体232に取り付けられている。ステイ部280の基端部も、同様に電線220の線路方向に揺動自在に取り付け金具296で支持体232に取り付けられている。こうして、絶縁アーム206が、電線220の線路方向に揺動自在に支持体232に取り付けられている。
ヨーク282には、クランプ284が設けられている。クランプ284には、線長調整装置202の上部フレーム268が吊設されている。これにより、線長調整装置202が、クランプ284を介してヨーク282に懸垂支持されている。線長調整装置202は、ストラット部278の中心軸とステイ部280の中心軸とがなす平面に対して、電線220の線路方向が直交又は所定の角度で交差するように懸垂支持されている。
上述のように、本実施形態では、絶縁アーム206が、電線220の線路方向に揺動自在に支持体232に取り付けられている。このため、波や風により送電塔230が揺動して電線220の支持位置が動いた場合であっても、これに伴って絶縁アーム206が揺動することにより、電線220における張力のバランスを維持することができる。こうして、本実施形態によれば、送電塔230の揺動その他の動きに起因する電線220への応力集中を緩和して電線220が受けるダメージを低減することができる。
なお、上記では、絶縁アーム206が、電線220の線路方向に揺動自在に支持体232に取り付けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。絶縁アーム206は、上記のような揺動機構のほか、スライド機構等を介して、支持体232に対して電線220の線路方向に可動に取り付けられていてもよい。絶縁アーム206が支持体232に対して電線220の線路方向に可動に取り付けられていることで、上記と同様に、電線220への応力集中を緩和して電線220が受けるダメージを低減することができる。
また、ヨーク282には、GNSSアンテナ208が取り付けられている。なお、GNSSアンテナ208の取り付け位置は、絶縁アーム206におけるヨーク282に限定されるものではなく、絶縁アーム206における他の位置であってもよいし、線長調整装置202であってもよい。ただし、GNSSアンテナ208の取り付け位置は、線長調整装置202における電線220の支持位置のできるだけ近傍の位置又は電線220の支持位置に隣接する位置であることが好ましい。
制御装置204は、送電塔230における電線220の支持位置に関する位置情報に基づき、上記の線長調整装置202を制御する。制御装置204は、図8に示すように、CPU(Central Processing Unit)302と、ROM(Read Only Memory)304と、RAM(Random Access Memory)306と、記憶装置308とを有している。また、線長調整装置202は、GNSSモジュール310と、通信モジュール312と、I/F(Interface)314とを有している。CPU302、ROM304、RAM306、記憶装置308、通信モジュール312、GNSSモジュール310及びI/F314は、共通バス316に接続されている。I/F314には、線長調整装置202が通信可能に接続されている。GNSSモジュール310には、GNSSアンテナ208が接続されている。なお、制御装置204には、例えば太陽電池、バッテリー等の電源装置(図示せず)により電源が供給されるようになっている。
CPU302は、ROM304、記憶装置308等に記憶されたプログラムに従って動作し、線長調整装置202全体の動作を制御する制御部として機能する。RAM306は、CPU302の動作に必要なメモリ領域を提供する。
GNSSモジュール310は、GNSSアンテナ208により複数のGNSS衛星272から受信するGNSS信号に基づき、当該送電塔230における電線220の支持位置を測位する。また、GNSSモジュール310は、その測位した電線220の支持位置に関する位置情報である電線支持位置情報を出力する。なお、GNSSアンテナ208は、上述のように、送電塔230において線長調整装置202が電線220を支持する支持位置の近傍に取り付けられているため、GNSSアンテナ208の位置を、送電塔230における電線220の支持位置とみなすことができる。
通信モジュール312は、無線又は有線の方式により、隣接する送電塔230その他の送電塔230における制御装置204や陸上における管理施設の管理装置(図示せず)との通信を可能にするものである。
CPU302は、通信モジュール312を介して、当該送電塔230における電線220の電線支持位置情報を、隣接する送電塔230その他の送電塔230における制御装置204や陸上における管理施設の管理装置に通知するようになっている。管理施設の管理装置は、複数基の送電塔230から通知される電線支持位置情報を収集してデータベース化し、各送電塔230の制御装置204に通知することができる。
また、CPU302は、通信モジュール312を介して、隣接する送電塔230その他の送電塔230における制御装置204から通知される電線支持位置情報を受信するようになっている。また、CPU302は、通信モジュール312を介して、管理施設の管理装置から通知される電線支持位置情報を受信するようになっている。
また、CPU302は、当該送電塔230における電線支持位置情報と、隣接する送電塔230における電線支持位置情報とに基づき、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の径間長を計算して取得する。隣接する送電塔230における電線支持位置情報は、隣接する送電塔230における制御装置204から直接通知され、又は管理施設の管理装置から通知される。
CPU302は、取得した径間長に基づき、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間に必要な電線220の長さである必要電線長を計算して取得する。必要電線長は、径間長に、所定の弛度を得るための電線長を加えた所定の長さである。なお、径間長に対応する必要電線長は、予めデータベース化されて記憶装置308等に格納されていてもよい。この場合、CPU302は、必要電線長のデータベースを参照して、径間長に応じた必要電線長を取得する。
さらに、CPU302は、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線220の長さが必要電線長となるように、金車262a、262bの回転を制御する。CPU302は、金車262a、262bの回転を制御することにより、金車262a、262bに電線220を所定の長さだけ巻き取り、又は金車262a、262bから電線220を所定の長さだけ送り出す。金車262a、262bに巻き取る電線220の長さは、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線220の長さの必要電線長からの増加を打ち消す長さである。また、金車262a、262bから送り出す電線220の長さは、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線220の長さの必要電線長からの減少を打ち消す長さである。
上述のようにして、CPU302は、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線220の長さを必要電線長に調整するように、線長調整装置202の金車262a、262bを制御する。当該送電塔230とこれに隣接する若番側の送電塔230との間の電線220の長さを調整する場合、CPU302は、若番側の金車262aの回転を制御する。当該送電塔230とこれに隣接する老番側の送電塔230との間の電線220の長さを調整する場合、CPU302は、老番側の金車262bの回転を制御する。CPU302は、金車262a、262bの制御による電線220の長さの調整を、定期に若しくは不定期に、又はほぼリアルタイムに実行することができる。
こうして、本実施形態による送電塔230が構成されている。
TLP型の構造体を用いて送電塔を構成した場合、送電塔の揺動を少なくすることができるものの、波や風による送電塔の揺動に起因する電線や送電塔自体に対する影響が依然として生じうる。例えば、波や風による送電塔の揺動に起因して、弛度が変化して張力バランスが崩れた電線220がダメージを受けたり、送電塔の電線支持部がダメージを受けたりするおそれがある。陸上の地盤に固定されて動かない鉄塔に比べて、TLP型の送電塔は、波や風で例えば数メートル動き、これに支持された電線がダイナミックな動きを示すことが想定される。このような場合であっても、電線の絶縁隔離を維持するとともに、電線を一定の弛度に維持することが必要とされる。
これに対して、本実施形態では、上述のようにして線長調整装置202により送電塔230間の電線220の長さを調整する。このため、本実施形態では、送電塔230間の電線220の長さを適切な長さに維持することができ、電線220の絶縁隔離を維持するとともに、電線220を一定の弛度に維持することができる。したがって、本実施形態によれば、波や風による送電塔230の揺動に起因する電線220や送電塔230自体に対する影響を抑制することができる。
また、本実施形態では、上述のように絶縁アーム206が揺動自在に取り付けられているため、絶縁アーム206の揺動と、線長調整装置202による電線220の長さ調整と相俟って、電線220における張力のバランスをより確実に維持することができる。
次に、本実施形態による水上架空送電システム200の設置方法についてさらに図9及び図10を用いて説明する。図9及び図10は、本実施形態による水上架空送電システム200の設置方法を示す概略図である。なお、図9及び図10には、簡便のため、単線の電線220を支持する場合を示しているが、これに限定されるものではない。三相3線式の2回線送電線を構成する電線220等の複数線の電線220も同様に支持することができる。
設置すべき水上架空送電システム200は、海上に電線220を支持するための複数基の送電塔230を含んでいる。また、複数基の送電塔230は、上述のように、それぞれ、支持体232、浮力タンク234、テンドン236、アンカー240と浮沈用タンク242とを有する浮沈式重力アンカー238、線長調整装置202、制御装置204等を有している。
陸上には、設置すべき送電塔230に架け渡す電線220を送り出して供給する電線ドラム320を設置する。洋上には、第1実施形態と同様に、復原性を持った状態で送電塔230の浮力タンク234と浮沈式重力アンカー238とを浮かべる。
次いで、洋上の送電塔230の線長調整装置202における金車262aに、電線ドラム320から送り出した電線220の一端を固定して巻き付ける。これより、電線220を、送電塔230の支持体232に線長調整装置202を介して支持する。
次いで、図9(a)に示すように、電線ドラム320から電線220を送り出しつつ、曳航船260により、電線220を支持した送電塔230の浮力タンク234及び浮沈式重力アンカー238を設置場所に向けて曳航していく。この際、送電塔230の浮力タンク234及び浮沈式重力アンカー238は、洋上に浮かべた状態であって、復原性を持った状態である。
次いで、送電塔230間に必要な長さである必要電線長の電線220が電線ドラム320から送り出されたら、曳航船260による送電塔230の浮力タンク234及び浮沈式重力アンカー238の曳航を一時的に停止する。続いて、第1実施形態と同様に、復原性を持った状態で、次の若番側の送電塔230の浮力タンク234と浮沈式重力アンカー238とを洋上に浮かべる。なお、上述のように、複数基の送電塔230には、番号が振られており、陸上側が若番側、洋上側が老番側になっている。
次いで、図9(b)に示すように、隣接する送電塔230間に必要な長さである必要電線長となる位置Psで、電線ドラム320から送り出された電線220を切断する。位置Psは、対応する送電塔230が支持する電線220の支持位置を示している。電線220における位置Psは、電線ドラム320から送り出される電線220に予めマーキングしておくことができる。位置Psが電線220に予めマーキングされていることにより、効率よく設置作業を進めることができる。
続いて、同じく図9(b)に示すように、切断した電線220の電線ドラム320側の一方の切断端を、若番側の送電塔230の線長調整装置202における金車262aに固定して巻き付ける。また、切断した電線220の他方の切断端を、若番側の送電塔230の線長調整装置202における金車262bに固定して巻き付ける。こうして、予めマーキングされた位置Psで、電線220を、若番側の送電塔230の支持体232に線長調整装置202を介して支持する。上記のように予めマーキングされた位置Psで電線220を送電塔230に支持するため、最終的な設置場所に到達した送電塔230間の電線220は、所定の弛度になる。このため、本実施形態では、電線220の弛度調整の作業が不要となり、設置作業の省力化を実現することができる。
次いで、図9(c)に示すように、電線ドラム320から電線220を送り出しつつ、曳航船260により、電線220を支持した老番側及び若番側の送電塔230それぞれの浮力タンク234及び浮沈式重力アンカー238を設置場所に向けて曳航していく。この際、各送電塔230の浮力タンク234及び浮沈式重力アンカー238は、洋上に浮かべた状態であって、復原性を持った状態である。
次いで、送電塔230間に必要な長さの電線220が電線ドラム320から送り出されたら、曳航船260による各送電塔230の浮力タンク234及び浮沈式重力アンカー238の曳航を再び一時的に停止する。
以後、残りの送電塔230のそれぞれについて、送電塔230に電線220を支持する上記図9(b)に示す作業工程と、電線220を支持した送電塔230の浮力タンク234及び浮沈式重力アンカー238を曳航する上記図9(c)に示す作業工程と順次行う。これにより、複数基の送電塔230のそれぞれについて、図9(b)に示す作業工程と図9(c)に示す作業工程とを順次繰り返す。こうして、図10(a)に示すように、設置すべき複数基の送電塔230に電線220を架け渡して、複数基の送電塔230を設置場所まで曳航する。
次いで、図10(b)に示すように、複数基の送電塔230のうちの最も老番側の送電塔230の線長調整装置202における金車262bと、洋上構造物10の電気設備とを電線220で接続する。また、複数基の送電塔230のうちの最も若番側の送電塔230の線長調整装置202における金車262aに一端が固定された電線220を、陸上に設置された鉄塔322で支持する。
次いで、複数基の送電塔230のそれぞれについて、第1実施形態と同様に、浮沈式重力アンカー238の浮沈用タンク242に注水し、浮沈式重力アンカー238を水底(海底)に沈下させる。各送電塔230における浮力タンク234は、図10(c)に示すように、テンドン236を介して浮沈式重力アンカー238によって水中に引き込まれる。そして、各送電塔230における浮力タンク234は、浮力タンク234の浮力と浮沈式重力アンカー238の重力とによってテンドン236が緊張した状態で、テンドン236の長さに応じた所定の深さに係留される。
なお、図10(b)に示す作業工程及び図10(c)に示す作業工程の順序は、上述した場合に限定されるものではない。すなわち、図10(b)に示す作業工程の前に、複数基の送電塔230のそれぞれについて、浮沈用タンク242に注水し、浮沈式重力アンカー238を水底(海底)に沈下させてもよい。
こうして、本実施形態による水上架空送電システム200が設置される。
なお、本実施形態による水上架空送電システム200は、他の設置方法により設置することもできる。以下、本実施形態の変形例による水上架空送電システム200の設置方法について図11及び図12を用いて説明する。図11及び図12は、本実施形態の変形例による水上架空送電システム200の設置方法を示す概略図である。なお、図11及び図12にも、簡便のため、単線の電線220を支持する場合を示しているが、これに限定されるものではない。三相3線式の2回線送電線を構成する電線220等の複数線の電線220も同様に支持することができる。
上記と同様、本変形例においても、設置すべき水上架空送電システム200は、海上に電線220を支持するための複数基の送電塔230を含んでいる。また、複数基の送電塔230は、上記と同様、それぞれ、支持体232、浮力タンク234、テンドン236、アンカー240と浮沈用タンク242とを有する浮沈式重力アンカー238、線長調整装置202、制御装置204等を有している。
まず、設置すべき複数基の送電塔230すべての浮力タンク234及び浮沈式重力アンカー238を、それぞれ洋上の設置場所に曳航する。この際、各送電塔230の浮力タンク234及び浮沈式重力アンカー238は、洋上に浮かべた状態であって、復原性を持った状態である。上記図9及び図10に示す方法とは異なり、本変形例では、電線220を支持しない状態で送電塔230を曳航するため、曳航時の荷重負荷を低減することができる。また、送電塔230に電線220を支持して曳航する場合には、電線220の支持位置付近で、電線220に対する曲げ荷重が生じうる。本変形例では、そのような電線220に対する曲げ荷重の発生を回避することができる。
また、送電塔230の曳航と並行して、電線ドラム320から電線220を送り出して、洋上の複数基の送電塔230に沿って、必要な長さの電線220を海面に敷設する。図11(a)は、電線220を海面に敷設した状態を上から見た図を示している。図11(b)は、電線220を海面に敷設した状態を横から見た図を示している。
次いで、図12(a)に示すように、海面に敷設した電線220を、隣接する送電塔230間に必要な長さである必要電線長を示す複数の位置Ps毎に電線220を切断する。各位置Psは、対応する送電塔230が支持する電線220の支持位置を示している。各位置Psは、電線ドラム320から送り出される電線220に予めマーキングしておくことができる。各位置Psが電線220に予めマーキングされていることにより、効率よく設置作業を進めることができる。
続いて、同じく図12(a)に示すように、各位置Psでの電線220の切断箇所について、切断した電線220の電線ドラム320側の一方の切断端を、対応する送電塔230の線長調整装置202における金車262aに固定して巻き付ける。また、切断した電線220の他方の切断端を、対応する送電塔230の線長調整装置202における金車262bに固定して巻き付ける。こうして、洋上に敷設された電線220を、複数基の送電塔230のそれぞれに対応する予めマーキングされた各位置Psで、複数基の送電塔230のそれぞれの支持体232に支持する。本変形例でも、上記のように予めマーキングされた位置Psで電線220を送電塔230に支持するため、電線220の弛度調整の作業が不要となり、設置作業の省力化を実現することができる。また、本変形例では、電線220を支持する作業が、送電塔230を設置場所に曳航した後になるため、送電塔230周りの引留装置等の設置作業が容易になる。
こうして、図12(b)に示すように、設置すべき複数基の送電塔230に電線220が架け渡される。
次いで、上記図10(b)に示す作業工程と同様にして、複数基の送電塔230のうちの最も老番側の送電塔230の線長調整装置202における金車262bと、洋上構造物10の電気設備とを電線220で接続する。また、複数基の送電塔230のうちの最も若番側の送電塔230の線長調整装置202における金車262aに一端が固定された電線220を、陸上に設置された鉄塔322で支持する。
次いで、上記図10(c)に示す作業工程と同様にして、複数基の送電塔230のそれぞれについて、第1実施形態と同様に、浮沈式重力アンカー238の浮沈用タンク242に注水し、浮沈式重力アンカー238を水底(海底)に沈下させる。
こうして、本変形例による設置方法により、水上架空送電システム200が設置される。なお、本変形例では、上記の作業工程順のほか、各送電塔230に電線220を支持する図12(a)に示す作業工程前に、複数基の送電塔230のそれぞれについて、浮沈用タンク242に注水し、浮沈式重力アンカー238を水底(海底)に沈下させてもよい。
なお、上記図9及び図10に示す設置方法並びに図11及び図12に示す設置方法のいずれにおいても、線長調整装置202を介して送電塔230の支持体232に電線220を支持する場合について説明したが、これに限定されるものではない。線長調整装置202を介さずに、がいし等を適宜用いて送電塔230の支持体232に支持する場合も、上記設置方法と同様にして、水上架空送電システムを設置することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による水上架空送電システムについて、図13を用いて説明する。なお、上記第1及び第2実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による水上架空送電システムの基本的構成は、第2実施形態による水上架空送電システム200とほぼ同様である。本実施形態による水上架空送電システムは、線長調整装置402における金車262a、262bが、それぞれ防食剤槽404a、404bに収容されている点で、第2実施形態による水上架空送電システム200とは異なっている。
以下、本実施形態による線長調整装置402の構成について、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態による線長調整装置402の概略構成を示す図であり、図13(a)は側面図、図13(b)は上面図である。
本実施形態による線長調整装置402は、図13(a)及び図13(b)に示すように、図6(a)及び図6(b)に示す第2実施形態による線長調整装置202と同様の構成に加えて、防食剤槽404a、404bをさらに有している。
防食剤槽404a、404bは、天井部、側壁部及び底板部を有する容器である。防食剤槽404a、404b内には、それぞれ電線220の腐食を防ぐための防食剤406が充填されている。防食剤406は、電線220の腐食を防ぐ防食性能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばグリースであり、粘性を有する液体状又はペースト状のものである。
防食剤406が充填された防食剤槽404a、404b内には、それぞれ金車262a、262bが収容されている。電線220が巻かれた金車262a、262bは、それぞれ防食剤槽404a、404b内の防食剤406中に埋められ又は浸されている。
なお、下部フレーム264a、264bは、それぞれ、防食剤槽404a、404bの天井部を貫通して、第2実施形態と同様に、防食剤槽404a、404b内の金車262a、262bを回転可能に支持している。また、連結フレーム266は、防食剤槽404a、404bの側壁部を貫通して、第2実施形態と同様に、防食剤槽404a、404b内の下部フレーム264a、264bの間に架設されている。
金車262a、262bに巻かれた電線220は、それぞれ防食剤槽404a、404bの側壁部に設けられた開口部408a、408bを通過して防食剤槽404a、404b外に出され、隣接する送電塔230に架け渡されている。電線220は、開口部408a、408bを介して、金車262a、26bに巻き取られ、また、金車262a、26bから送り出されるようになっている。
こうして、本実施形態による線長調整装置402が構成されている。
金車262a、262bに巻かれる電線220は、電線220の長さを調整する動作の間、金車262a、262bの外周面と接触しながら動いている状態となる。このため、防食剤槽404a、404bが設けられておらずに単に電線220に防食剤を塗布しただけの場合には、防食剤が消耗して防食機能が低下しうるため、定期的に電線220に防食剤を塗布する等のメンテナンス作業が必要となる。
これに対して、本実施形態では、電線220が巻かれた金車262a、262bが、それぞれ防食剤槽404a、404b内の防食剤406中に埋められ又は浸されている。このため、本実施形態では、防食剤槽404a、404b内の防食剤406から電線220に十分な防食剤を供給することができる。したがって、本実施形態によれば、電線220における防食剤の消耗を抑制することができ、防食剤に関するメンテナンス作業の頻度を低減することができる。
さらに、本実施形態では、防食剤406の粘度等の材料特性を調整したり、防食剤槽404a、404bの電線220が通過する開口部408a、408bの大きさ、形状、位置等を調整したりすることができる。これにより、電線220の送り出し時に電線220に付着する防食剤の付着量と、電線220の巻き取り時に電線220に付着している防食剤の付着量とを同等になるようにすることができる。これにより、防食剤槽404a、404bに防食剤を注ぎ足して補給する必要がなくなり、防食剤に関するメンテナンスフリーをも実現することができる。
こうして、本実施形態によれば、防食剤槽404a、404bにより、金車262a、262bに接触する電線220に防食剤を十分に供給することができ、防食剤に関して、メンテナンス作業の頻度を低減することができる。さらには、防食剤に関して、メンテナンスフリーをも実現することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による水上架空送電システムについて、図14及び図15を用いて説明する。なお、上記第1乃至第3実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による水上架空送電システムの基本的構成は、第2実施形態による水上架空送電システム200とほぼ同様である。本実施形態による水上架空送電システムは、線長調整装置402に代えて、ダンサローラ506により電線220の長さを調整する線長調整装置502を有する点で、第2実施形態による水上架空送電システム200とは異なっている。
以下、本実施形態による線長調整装置502の構成について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態による線長調整装置502の概略構成を示す図である。
本実施形態による線長調整装置502は、図14に示すように、一組のガイドローラ504a、504bと、ダンサローラ506と、直動アクチュエータ508と、本体フレーム510とを有している。
ガイドローラ504a、504bは、それぞれ回転軸周りに回転可能な回転体であり、ダンサローラ506へ電線220を案内するものである。なお、ガイドローラ504a、504bは、金車262a、262bとは異なり、回転モータなしで自由に正逆回転可能に構成されている。また、ガイドローラ504a、504bは、金車262a、262bとは異なり、必ずしも金属その他の導電性材料からなる必要なない。
ガイドローラ504a、504bは、それぞれ回転軸を水平にして、回転軸が互いに平行に並ぶようにそれぞれ本体フレーム510に回転可能に支持されている。ガイドローラ504a、504bは、隣接する送電塔230に掛け渡された電線220の線路方向に沿って並ぶように配置されている。
ガイドローラ504a、504bの間の下方では、本体フレーム510に直動アクチュエータ508が取り付けられている。直動アクチュエータ508には、ダンサローラ506が取り付けられている。
ダンサローラ506は、ガイドローラ504a、504bよりも低い位置に配置されている。ダンサローラ506は、直動アクチュエータ508により上下動するダンサである。ダンサローラ506は、回転軸周りに回転可能な回転体である。ダンサローラ506は、その回転軸がガイドローラ504a、504bの回転軸と平行になるように配置されている。
直動アクチュエータ508は、ガイドローラ504a、504bよりも低い範囲で、ダンサローラ506を上下動するように構成されている。直動アクチュエータ508の動作は、制御装置204により制御されるようになっている。
線長調整装置502は、第1実施形態と同様に、本体フレーム510の上部で絶縁アーム206に懸垂支持されている。
ガイドローラ504aには、若番側の送電塔230に架け渡された電線220が掛けられている。ガイドローラ504aに掛けられた電線220は、ダンサローラ506に掛けられている。ダンサローラ506に掛けられた電線220は、ガイドローラ504bに掛けられている。ガイドローラ504bに掛けられた電線220は、老番側の送電塔230に架け渡されている。こうして、本実施形態では、一条の電線220が、ガイドローラ504a、504b及びダンサローラ506に掛け渡されて、線長調整装置502に支持されている。
こうして、線長調整装置502において、電線220が、ガイドローラ504a、ダンサローラ506及びガイドローラ504bに順次掛け渡されている。これにより、電線220は、送電塔230における線長調整装置502により支持されている。
本実施形態による線長調整装置502は、第2及び第3実施形態による線長調整装置202、402とは異なり、電線220を切断することなく支持することができる。したがって、本実施形態による線長調整装置502は、電線220に代えて、例えば、光ファイバ心線のみを含むケーブル、電源線と光ファイバ心線との複合ケーブル等の線状体を支持することもできる。
線長調整装置502は、ダンサローラ506が上下動することにより、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線の長さを調整する。すなわち、線長調整装置502は、ガイドローラ504a、504bとダンサローラ506との間に電線220を引き込み、又はガイドローラ504a、504bとダンサローラ506との間から電線220を送り出すことで電線220の長さを調整する。
本実施形態において、制御装置204のCPU302は、第2実施形態とは異なり、直動アクチュエータ508を制御することにより、ダンサローラ506の上下動を制御する。これにより、CPU302は、送電塔230間の電線220の長さを調整する。
本実施形態では、CPU302は、第1実施形態と同様にして、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間に必要な電線220の長さである必要電線長を計算して取得する。
CPU302は、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線220の長さが必要電線長となるように、ダンサローラ506の上下動を制御する。これにより、CPU302は、ガイドローラ504a、504bとダンサローラ506との間に電線220を引き込み、又はガイドローラ504a、504bとダンサローラ506との間から電線220を送り出す。ガイドローラ504a、504bとダンサローラ506との間に引き込む電線220の長さは、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線220の長さの必要電線長からの増加を打ち消す長さである。また、ガイドローラ504a、504bとダンサローラ506との間から送り出す電線220の長さは、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線220の長さの必要電線長からの減少を打ち消す長さである。
上述のようにして、CPU302は、当該送電塔230とこれに隣接する送電塔230との間の電線220の長さを必要電線長に調整するように、線長調整装置202のダンサローラ506を制御する。CPU302は、ダンサローラ506の制御による電線220の長さの調整を、定期に若しくは不定期に、又はほぼリアルタイムに実行することができる。
なお、上記線長調整装置502を用いた本実施形態による水上架空送電システムは、電線220を切断することなく線長調整装置502に支持する点を除き、第2実施形態による水上架空送電システム200と同様の設置方法により設置することができる。線長調整装置502の場合、ガイドローラ504a、504b及びダンサローラ506に一条の電線220を掛け渡して、線長調整装置502に電線220を支持すればよい。
また、本実施形態による線長調整装置502においても、第3実施形態において金車262a、262bを防食剤槽404a、404bに収容したのと同様にして、ガイドローラ504a、504bを防食剤槽に収容することもできる。
図15は、本実施形態による線長調整装置502において、ガイドローラ504a、504bをそれぞれ防食剤槽512a、512b内に収容した場合の概略構成を示す図である。
この場合、図15に示すように、線長調整装置502は、図14に示す構成に加えて、防食剤槽512a、512bをさらに有している。
防食剤槽512a、512b内には、第3実施形態と同様に防食剤406が充填されている。
防食剤406が充填された防食剤槽512a、512b内には、それぞれガイドローラ504a、504bが収容されている。電線220が掛けられたガイドローラ504a、504bは、それぞれ防食剤槽404a、404b内の防食剤406中に埋められ又は浸されている。
ガイドローラ504a、504bに掛けられた電線220は、それぞれ防食剤槽512a、512bの側壁部に設けられた開口部514a、514bを通過して防食剤槽512a、512b外に出され、隣接する送電塔230に架け渡されている。
また、ガイドローラ504a、504bに掛けられた電線220は、それぞれ防食剤槽512a、512bの底部に設けられた開口部516a、516bを通過して防食剤槽512a、512b外に出され、ダンサローラ506に掛けられている。開口部516a、516bには、それぞれ防食剤槽512a、512bからの防食剤406の漏出を防止するシール機構(図示せず)が設けられている。
本実施形態においても、防食剤槽512a、512b内の防食剤406から電線220に十分な防食剤を供給することができる。したがって、本実施形態によれば、電線220における防食剤の消耗を抑制することができ、防食剤に関するメンテナンス作業の頻度を低減することができる。
また、本実施形態においても、防食剤406の粘度等の材料特性を調整したり、防食剤槽512a、512bの電線220が通過する開口部514a、514b、516a、516bの大きさ、形状、位置等を調整したりすることができる。これにより、電線220の送り出し時に電線220に付着する防食剤の付着量と、電線220の引き込み時に電線220に付着している防食剤の付着量とを同等になるようにすることができる。これにより、防食剤槽512a、512bに防食剤を注ぎ足して補給する必要がなくなり、防食剤に関するメンテナンスフリーをも実現することができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による水上架空送電システムについて、図16乃至図24を用いて説明する。図16乃至図24は、本実施形態による送電塔の設置方法を示す概略図である。なお、上記第1乃至第4実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態では、第1実施形態による送電塔30の設置方法について、特に送電塔30の曳航及び浮沈式重力アンカー38の沈下をより具体的に説明する。なお、第2乃至第5実施形態による送電塔230の場合についても本実施形態と同様に設置することができる。
図16は、曳航船(タグボート)60a、60bにより曳航される送電塔30を示し、図16(a)は側面図、図16(b)は上面図である。図16に示すように、曳航船60aと浮力タンク34とは、コントロールワイヤー62aにより連結されている。曳航船60bと浮沈式重力アンカー38とは、コントロールワイヤー62bにより連結されている。浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とは、図17に示す吊りリール66及び巻き取りリール68を介してテンドン36により連結されている。
また、浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とは、ワイヤー64により連結されている。ワイヤー64は、浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38との間のテンドン36よりも短くなっている。このようにテンドン36より短いワイヤー64により浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とを連結した状態で送電塔30の浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38を曳航することにより、テンドン36の弛みを常に確保することができる。これにより、浮沈式重力アンカー38とテンドン36との接続部に過剰な力が加わることを防止することができる。こうして、ワイヤー64により、接続部付近でテンドン36が小さい曲率で屈曲されることを防止することができ、よってテンドン36が受けるダメージを低減することができる。なお、ワイヤー64は、浮沈式重力アンカー38のアンカー40に接続されてもよいし、浮沈用タンク42に接続されてもよい。
また、送電塔30の浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38を曳航する際、上記図3(a)に示す場合とはアンカー40と浮沈用タンク42との上下を逆にすることができる。すなわち、図16(a)に示すように、浮沈用タンク42上にアンカー40が位置した状態で、換言すれば、浮沈用タンク42を海底側、アンカー40を海面側にして、送電塔30の浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38を曳航することができる。
アンカー40上に浮沈用タンク42が位置した状態で曳航する場合、浮沈式重力アンカー38に対して浮沈用タンク42側から繋がれたテンドン36が水上に向かって上方に出ることになる。テンドン36が水上に向かって上方に出ると、テンドン36の自重により、水上に向かって出たテンドン36が小さい曲率で水中側に曲げられ、その結果、送電塔30を曳航する際にテンドン36との接続部分に大きな応力が加わることになる。
これに対して、図16(a)及び後述の図17等に示すように浮沈用タンク42上にアンカー40が位置した状態で送電塔30を曳航する場合、浮沈式重力アンカー38に対して浮沈用タンク42側から繋がれたテンドン36が水中に向かって下方に出る。このため、テンドン36が自重で曲がらず、浮沈式重力アンカー38のとの接続部分の近傍のテンドン36の曲率を大きくすることができる。これにより、送電塔30の浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38を曳航する際に浮沈式重力アンカー38とテンドン36との接続部分に加わる応力を低減することができる。したがって、この場合、応力によりテンドン36が受けるダメージを低減することができる。なお、後述するように、浮沈用タンク42とアンカー40との上下位置は、浮沈式重力アンカー38を海底に沈める間に入れ替わる。これにより、浮沈式重力アンカー38は、アンカー40上に浮沈用タンク42が位置した状態で海中を沈下して海底に設置される。
図16に示す状態で、送電塔30の浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38は、浮力タンク34を前方にして曳航船60a、60bにより洋上の設置現場まで曳航される。
図17乃至図24は、送電塔30の浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38を曳航して送電塔30を設置するまでの状態を段階的に示し、それぞれ図16(a)に対応する側面図である。図17は、浮力タンク34及び浮沈式重力アンカー38を曳航して浮沈式重力アンカー38の沈下を開始する前の初期状態を示している。図18乃至図24は、浮沈式重力アンカー38が沈下する状態を段階的に示している。なお、図17乃至図22では、簡単のため、テンドン36を1本のみを示している。
図17に示すように、支持体32には、テンドン36を吊るための吊りリール66と、テンドン36を巻き取るための巻き取りリール68とが設けられている。巻き取りリール68は、吊りリール66に吊られたテンドン36を、浮沈式重力アンカー38の側で巻き取るように構成されている。巻き取りリール68は、回転軸にスイベルジョイントが用いられている。スイベルジョイントにより、巻き取りリール68は、巻き取りリール68と浮沈式重力アンカー38との間のテンドン36を巻き取る一方、巻き取りリール68と吊りリール66と巻き取りリール68との間のテンドンを巻き取らないように構成されている。なお、必ずしも巻き取りリール68が設けられている必要はなく、例えば、支持体32においてテンドン36を8の字巻きに巻き取り、8の字巻きの状態からテンドン36を繰り出せるように構成することもできる。
また、支持体32には、ウィンチ70が設けられている。ウィンチ70には、一端が浮沈式重力アンカー38に接続されたワイヤー72の他端が接続されている。ウィンチ70及びワイヤー72は、後述するように浮沈式重力アンカー38を沈下させる際に使用される。
なお、支持体32には、送電塔30を回収する際に浮沈用タンク42に空気を送るためのポンプが設けられていてもよい。この場合、ポンプと浮沈用タンク42との間は、ホースにより接続される。
送電塔30を曳航する際には、浮沈式重力アンカー38と浮力タンク34とが、支持体32に取り付けられた吊りリール66及び巻き取りリール68を介してテンドン36に繋がれる。また、浮沈式重力アンカー38は、ウィンチ70にワイヤー72を介して繋がれる。このような状態にて、送電塔30は、洋上の設置現場まで曳航される。
次いで、設置現場において、浮力タンク34と浮沈式重力アンカー38とを連結するワイヤー64をそれぞれから取り外す。また、浮沈式重力アンカー38の浮沈用タンク42に設けられた空気解放バルブ74を開け、浮沈式重力アンカー38の水中重量が零よりも若干重くなるように浮沈用タンク42に注水する。これにより、図18に示すように、浮沈式重力アンカー38は海中に沈下していく。沈下する間、曳航船60bと浮沈式重力アンカー38とを連結するコントロールワイヤー62bにより浮沈式重力アンカー38の位置を調整しながら、沈下速度にあわせて巻き取りリール68からテンドン36を繰り出す。これにより、浮沈式重力アンカー38をゆっくり沈下させる。浮沈式重力アンカー38が沈下する間には、浮沈用タンク42とアンカー40との上下位置が入れ替わる。これにより、浮沈式重力アンカー38は、アンカー40上に浮沈用タンク42が位置した状態で沈下する。この際、図19に示すように、浮沈式重力アンカー38は、浮力タンク34の真下に位置するようにその位置を調整する。
さらに、巻き取りリール68のテンドン36が全て繰り出されるまで、ウィンチ70及びコントロールワイヤー62bにより、浮沈式重力アンカー38を沈下させる。その後、図20に示すように、巻き取りリール68からテンドン36を開放して、テンドン36を吊りリール66のみで支えられた状態とする。
次いで、図21に示すように、コントロールワイヤー62bを浮沈式重力アンカー38から取り外す。次いで、図22に示すように、吊りリール66からテンドン36を取り外し、吊り下げワイヤー76によりテンドン36を下げていく。これとともに、ウィンチ70により、図23に示すように、浮力タンク34が浮沈式重力アンカー38を支える状態まで浮沈式重力アンカー38を沈下させる。
次いで、浮力タンク34が浮沈式重力アンカー38を支える状態で、浮沈用タンク42の空気を全て抜いて、浮沈式重力アンカー38を海底に着底させる。こうして、送電塔30が設置される。
なお、浮沈式重力アンカー38が海底に着底する直前まで浮沈用タンク42の空気を抜いた状態で、図24に示すように、遠隔操作無人探査機(Remotely Operated Vehicle、ROV)78で海中をモニタして海底状況が良好な場所を探してもよい。この場合、支持体32にコントロールワイヤー62c、62dで連結された曳航船60a、60bにより、海底の凹凸等を避けて、発見された海底状況が良好な場所に送電塔30を移動する。その後、浮沈用タンク42の空気を全て抜いて、浮沈式重力アンカー38を海底に着底させる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、海洋エリアに設置する架空送電システムを例にして説明したが、架空送電システムの設置場所は必ずしも海洋エリアである必要はない。例えば、湖や河川の水上に線状体を設置する架空送電システムにおいても同様に適用可能である。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。