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JP6986259B2 - 多層断熱材及びそれを用いた断熱方法 - Google Patents
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JP6986259B2 - 多層断熱材及びそれを用いた断熱方法 - Google Patents

多層断熱材及びそれを用いた断熱方法 Download PDF

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Description

この発明は、多層断熱材及びそれを用いた断熱方法に関する。
多層断熱材は、輻射断熱のために多くの宇宙機に用いられており、宇宙空間の過酷な温度環境から宇宙機の搭載機器を適正な温度に保つために重要な役割を担う熱制御材の一つである。多層断熱材は、低輻射率フィルムを多数積層させた構造を有しており、真空中ではフォーム材のようなバルク状の断熱材より格段に優れた断熱性能を有する。
従来型の多層断熱材では、低輻射率フィルムが互いに接触することで固体熱伝導により熱が流入し、断熱性能が低下することを防ぐために、低輻射率フィルムの間にネット状のスペーサを挿入したり、低輻射率フィルム自体にエンボス(ディンプル)加工を施している。しかし、低輻射率フィルム同士や低輻射率フィルムとネット状のスペーサとの間の不確定な接触を防ぐことはできない。そのため、宇宙機への実装方法により、低輻射率フィルム層間の接触の有無や接触圧が大きく変化し、これに伴い断熱性能が大きく変化してしまうため、実装状態で性能を精度良く予測することが困難である。
また、従来型の多層断熱材は、真空環境下では極めて高い断熱性能を発揮し、宇宙空間においては有効であるが、射場待機中から大気飛行中の大気のある有圧環境下においては、低輻射率フィルムの層間の空気の気体分子による伝熱のために断熱性能が低い。
また、薄い低輻射率フィルムを積層した柔軟な構造体である従来型の多層断熱材は、大気飛行中の動圧に耐えることは難しく、そのまま宇宙機に適用することは不可能である。
そこで、本発明者らは、従来型多層断熱材の問題点である低輻射率フィルム同士の接触を防ぐことで、断熱性能を向上させ、かつ性能の不確定性を低減させる「層間非接触型スペーサ」型の多層断熱材を提案した(下記非特許文献1参照)。これは、熱抵抗が高くなるように設計された複数の円柱状のスペーサを、隣接する低輻射率フィルム間に挿入し、スペーサを隣接する低輻射率フィルムが互いに接触しないように配置することによって、低輻射率フィルム同士の接触による熱伝導を排除するものである。
しかしながら、層間非接触型スペーサ型の多層断熱材は、従来型の多層断熱材と同様に、有圧環境下では断熱性能が低い。そこで、この有圧環境下でも高い断熱性能を発揮させるため、積層された低輻射率フィルムの最外層の外側に薄いシェルと、真空を封じきることが可能なフィルム(真空封じフィルム)を設け、多層断熱材内部を真空引きする多層断熱材(「耐荷重層間非接触型スペーサ」型多層断熱材)を本発明者らは提案した(下記非特許文献2参照)。多層断熱材内部が真空引きされることにより多層断熱材は、大気圧の荷重で圧縮されることになるが、外層のシェルと、隣接する低輻射率フィルムが互いに接触しないように配置された複数のスペーサによって、低輻射率フィルム間の空間を保持することで、軽量な、真空に保持された多層断熱材を実現することができ、有圧環境下においても高い断熱性能を発揮することが可能となった。
宮北健他、層間非接触型スペーサMLIの開発、第56回宇宙科学技術連合講演会講演集、2012年11月 宮北健他、軌道間輸送機に向けた極低温新様式断熱法の検討、第60回宇宙科学技術連合講演会講演集、2016年9月
しかしながら、耐荷重層間非接触型スペーサ型多層断熱材においては、真空引きされることにより多層断熱材が大気圧の荷重で圧縮されるため、スペーサはその圧縮力に耐えることができるようにする必要がある。そのため、スペーサの圧縮力を受け持つ面積を増やし、またスペーサの構造を強固な構造にする必要があり、それによって、スペーサの熱抵抗が小さくなり、断熱性能が、従来の層間非接触型スペーサ型多層断熱材よりも低下する。
そこで、本発明は、例えば有圧環境下と真空環境下といった、外圧の異なる環境下の双方において高い断熱性能を発揮する多層断熱材を提供することを目的の1つとする。
本発明の1つの態様は、構造体に取り付けられる多層断熱材であって、積層された複数の断熱フィルムと、前記積層された複数の断熱フィルムを覆うように配置され、前記構造体との間に密閉空間が形成されるように、前記構造体と結合される包囲部材と、隣接する前記断熱フィルムの間に挿入され、前記隣接する前記断熱フィルムを支持する複数の熱抵抗スペーサと、隣接する前記断熱フィルムの間に挿入され、前記隣接する前記断熱フィルムを支持する複数の耐荷重スペーサとを備え、前記熱抵抗スペーサは、前記複数の断熱フィルムの積層方向に加わる力に対して弾性を有し、前記耐荷重スペーサは、前記隣接する断熱フィルムの一方に取り付けられる第1の取り付け部と、前記隣接する断熱フィルムの他方に取り付けられる第2の取り付け部と、前記第1の取り付け部と前記第2の取り付け部を前記第1の取り付け部と前記第2の取り付け部が離間するように接続する接続部を備え、前記接続部が、前記包囲部材に加わる外圧と前記密閉空間内部の圧力との差の圧縮力が所定の値に達したときに分離し、該圧縮力によって当接された前記第1の取り付け部と前記第2の取り付け部によって、前記隣接する前記断熱フィルムが支持されるように構成され、前記複数の熱抵抗スペーサ及び前記複数の耐荷重スペーサは、互いに離間して配置され、且つ、前記複数の断熱フィルムが互いに接触しないように配置された多層断熱材を提供するものである。
前記外圧は大気圧であり、前記密閉空間内部の圧力は真空引きされた真空圧であるものとすることができる。
前記第1の取り付け部と前記第2の取り付け部は、前記断熱フィルムを挟んで嵌合可能に構成されているものとすることができる。
前記積層された複数の断熱フィルムの外側に外層シェルが配置されているものとすることができる。
前記構造体は、宇宙機であるものとすることができる。
本発明の1つの態様は、多層断熱材を用いた断熱方法であって、前記多層断熱材の前記密閉空間に対して、前記宇宙機の打ち上げ前に真空引きを行う方法を提供するものである。
上記構成を有する本発明によれば、例えば有圧環境下と真空環境下といった、外圧の異なる環境下の双方において高い断熱性能を発揮する多層断熱材を提供することができる。
(a)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材の真空引き前の断面模式図である。(b)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材の真空引き後の断面模式図である。(c)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材の宇宙空間における断面模式図である。 (a)は本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる耐荷重スペーサの上面斜視図である。(b)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる耐荷重スペーサの下面斜視図である。 本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる耐荷重スペーサのVI−VI断面図である。 (a)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの上面斜視図である。(b)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの下面斜視図である。 本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの側面図である。 本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの第3の取り付け部の上面図である。 本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの接続部の上面図である。 本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの第4の取り付け部の上面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、多層断熱材が宇宙機に取り付けられ、宇宙機の打ち上げの前に多層断熱材の内部が真空引きされる場合を例として説明する。
図1(a)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材の真空引き前の断面模式図である。図1(b)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材の真空引き後の断面模式図である。図1(c)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材の宇宙空間における断面模式図である。図2(a)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる耐荷重スペーサの上面斜視図である。図2(b)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる耐荷重スペーサの下面斜視図である。図3は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる耐荷重スペーサのVI−VI断面図である。図4(a)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの上面斜視図である。図4(b)は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの下面斜視図である。図5は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの側面図である。図6は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの第3の取り付け部の上面図である。図7は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの接続部の上面図である。図8は、本発明の1つの実施形態に係る多層断熱材に用いられる高熱抵抗スペーサの第4の取り付け部の上面図である。
図1(a)〜図1(c)に示されるように、本実施形態に係る多層断熱材1は、積層された複数の断熱フィルム2、外層シェル3、包囲部材4、複数の耐荷重スペーサ5、複数の高熱抵抗スペーサ6を備える。
積層された複数の断熱フィルム2は、低輻射率フィルムであり、ポリイミド等の樹脂フィルムに、アルミニウム等の金属を蒸着したものである。断熱フィルム2の構成は、これに限定されるものでなく、他の適切な任意の材料の構成のものとすることができる。積層された複数の断熱フィルム2は、その最内層の断熱フィルム2が、構造体10に面ファスナ7により取り付けられている。最内層の断熱フィルム2の構造体10への取り付け構成は、これに限定されるものではなく、例えば、後述の耐荷重スペーサ5の第1の取り付け部51や高熱抵抗スペーサ6の第3の取り付け部61と同様な構造を構造体10に設けて、嵌合により取り付ける構成等他の適切な任意の構成とすることができる。本実施形態において、構造体10は、宇宙機である。隣接する断熱フィルム2の間には、後述の複数の高熱抵抗スペーサ6と複数の耐荷重スペーサ5が挿入されている。複数の高熱抵抗スペーサ6と複数の耐荷重スペーサ5は、隣接する断熱フィルム2に取り付けられ、隣接する断熱フィルム2を支持する。
積層された複数の断熱フィルム2の最外層の断熱フィルム2の外側には、外層シェル3が配置されている。外層シェル3と最外層の断熱フィルム2との間には、隣接する断熱フィルム2間におけると同様に、複数の高熱抵抗スペーサ6と複数の耐荷重スペーサ5が挿入されている。そして、複数の高熱抵抗スペーサ6や複数の耐荷重スペーサ5は、後述の耐荷重スペーサ5の第1の取り付け部51や高熱抵抗スペーサ6の第3の取り付け部61と同様な構造の終端部材と最外層の断熱フィルム2を挟んで嵌合させることにより、外層シェル3と最外層の断熱フィルム2に取り付けられ、外層シェル3は、複数の高熱抵抗スペーサ6と複数の耐荷重スペーサ5により支持される。外層シェル3の断熱フィルム2への取り付け構成は、これに限定されるものではなく、例えば、面ファスナや接着剤により取り付ける構成等他の適切な任意の構成とすることができる。
外層シェル3は、熱硬化性CFRP製の薄板である。外層シェル3は、熱硬化性CFRP製の薄板に限定されるものでなく、他の適切な任意の材料のものとすることができる。例えば、熱可塑性CFRP、アルミ合金製のものとすることができる。後述のように、密閉空間8を真空引きすると、外部から大気圧の圧力が加わるが、この外部からの圧力は、基本的には、高熱抵抗スペーサ6と耐荷重スペーサ5によって支持される。外層シェル3は、このときに高熱抵抗スペーサ6や耐荷重スペーサ5に支持されていない断熱フィルム2の部分が変形し、複数の断熱フィルム2同士が接触することを防止するものである。なお、高熱抵抗スペーサ6や耐荷重スペーサ5の配置間隔を密にすること等によって、外層シェル3を省略することもできる。
包囲部材4は、積層された複数の断熱フィルム2と外層シェル3を覆うように配置され、構造体10との間に密閉空間8が形成されるように構造体10と結合される。包囲部材4は、アルミ層を有するラミネート(熱融着)フィルムで構成されている。包囲部材4の直下には外層シェル3が存在し、有圧環境下において密閉空間8が真空にされている際の圧縮力は外層シェル3、耐荷重スペーサ5、高熱抵抗スペーサ6により支持され、包囲部材4には面内方向に大きな力は働かない。また、密閉空間8を真空に保持する時間は、打ち上げ直後から大気航行中の時間と短いため、包囲部材4は、できるだけ軽量な材料であることが望ましい。ただし、包囲部材4を樹脂層のみ構成するとガス透過率が高いため、金属層を備えることが好ましいが、真空に保持する時間がより短い場合等においては金属層を備えなくてもよい。また、大面積の構造体10に取り付ける場合は、容易に継ぎ合わせられる構成が好都合であるので、本実施形態においては、包囲部材4を、アルミ層を有するラミネート(熱融着)フィルムとしている。包囲部材4は、これに限定されるものではなく、他の適切な任意のフィルムを用いることができる。また、包囲部材4は、フィルムに換えて、例えば伸縮性の高いゴム材等の他の適切な任意の包囲部材を用いてもよい。包囲部材4は、密閉空間8の周囲において、両面熱融着フィルムにより融着され、互いにシールされている。包囲部材と構造体を結合する構成は、これに限定されるものではなく、例えば、構造体に設けられたOリング等により包囲部材を挟み込み互いにシールされる構成、包囲部材を構造体に接着材により接着することにより互いにシールされる構成等、他の適切な任意の構成とすることができる。
耐荷重スペーサ5は、第1の取り付け部51、接続部52、第2の取り付け部53を備える。耐荷重スペーサ5は、耐熱性の高いポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を材料として射出成形により製造されたものである。耐荷重スペーサ5の構成は、これに限定されるものでなく、他の適切な任意の材料の構成のものとすることができる。
第1の取り付け部51は、円板状の形状を有する。第1の取り付け部51は、周方向に対向する一端と他端を有する、一部が欠けた円環状(C字状)の第1の要素511と、第1の要素511の一端と他端から円環の中心を挟んで径方向に延び、第1の要素511の一端と他端に対して径方向に対向する第1の要素511の部分に接続される一対の直線状の第2の要素512と、第1の要素511の一端と他端に径方向に対向する第1の要素511の部分から突出するように、一対の第2の要素512間に形成されたベース513から構成される。一対の第2の要素512の長手方向中央部には、外側に円弧状に湾曲する受部512aが形成されている。受部512aの幅は、第2の要素512の他の部分の幅よりも大きくされ、受部512aの外周が、後述の第2の取り付け部53の主部531の外周よりも大きくなるようにされている。受部512aは、後述する挿入部532を嵌合可能とする係止部を構成する。
第2の取り付け部53は、略円柱状の主部531と、主部531の第1の取り付け部51とは反対側の軸方向に直交する面に設けられた挿入部532を備える。挿入部532は、面取りされた略円柱状の頭部532aと、頭部532aの底面にその一方の端部が接続され、頭部532aの底面の直径よりも小さい直径を有する円柱形状の細径部532bから構成される。そして、頭部532aの底面と細径部532bの段差部分が係合部532cを構成する。
このような構造により、一の耐荷重スペーサ5を他の耐荷重スペーサ5に嵌合して連結することができる。すなわち、一の耐荷重スペーサ5の挿入部532を、他の耐荷重スペーサ5の受部512aに挿通すると、挿入部532の係合部532cが、受部512aと係合してロックされ、両耐荷重スペーサ5を互いに固定することができる。
また、主部531の底面には、挿入部532が収容可能な略円柱状の凹部531aが形成され、これにより、後述のように接続部52が破断した際に、主部531の底面が、第1の取り付け部51の受部512aに当接し、断熱フィルム2や圧縮力を支持することが可能となる。
接続部52は、略直方体状の支持柱521と、支持柱521に一体的に接続された支持腕522から構成される。支持柱521は、第1の取り付け部51のベース513に一体的に接続されている。また、支持腕522は、第2の取り付け部53が第1の取り付け部51に対して離間されるように、第2の取り付け部53を支持する。支持腕522の支持柱側には、切欠部522aが形成されており、第2の取り付け部53に一定の力が加わると、接続部52が破断し、支持柱521と支持腕522が分離するように構成されている。本実施形態においては、後述のように、包囲部材4に大気圧の圧縮力が加わると接続部52が破断するように構成されている。接続部の構成は、これに限定されるものでなく、包囲部材に加わる圧縮力が、小さな圧縮力から、その小さな圧縮力よりも所定の大きさだけ大きな圧縮力に変化した場合に、接続部が分離する他の任意の適切な構成とすることができる。
高熱抵抗スペーサ6は、円筒状の形状で、3段構造を有している。高熱抵抗スペーサ6は、互いに離間して平行に配置されている、同じ大きさの円板状の第3の取り付け部61、熱抵抗増強部62、第4の取り付け部63を備える。高熱抵抗スペーサ6は、耐熱性の高いポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を材料として射出成形により製造されたものである。高熱抵抗スペーサ6の構成は、これに限定されるものでなく、他の適切な任意の材料の構成のものとすることができる。
第3の取り付け部61は、円環状の第1の要素611と、円環の中心を挟んで平行に配置され、それぞれの両端が第1の要素611と一体的に接続される直線状の一対の第2の要素612を備える。第2の要素612の長手方向中央部には、外側に円弧状に湾曲する受部612aが形成され、受部612aが、後述する挿入部634を嵌合可能とする係止部を構成する。
第4の取り付け部63は、第1の要素611と同じ形状の円環状の第3の要素631と、第1の要素611に対する第2の要素612の位置と同じ位置に配置され、第3の要素631と一体的に接続される直線状の一対の第4の要素632を備える。また、第4の取り付け部63は、第3の要素631と同心円の円板状の遮光部633を備える。そして、遮光部633の中心部には、第3の取り付け部61の受部612aと嵌合可能な挿入部634が設けられている。遮光部633は、後述の断熱フィルム2に設けられた穴から光線が漏れるのを防止するためのものである。
挿入部634は、軸方向に直径が拡がる逆テーパー状に形成された本体部634a−1と本体部の端部に設けられた円柱状の先端部634a−2から構成される頭部634aと、本体部634a−1の端部にその一方の端部が接続され、頭部634aの最大直径よりも小さい直径を有する円柱状の細径部634bから構成される。そして、頭部634aの本体部634a−1の底面と細径部634bの段差部分が係合部634cを構成する。
このような構造により、一の高熱抵抗スペーサ6を他の高熱抵抗スペーサ6に嵌合して連結することができる。すなわち、一の高熱抵抗スペーサ6の挿入部634を、他の高熱抵抗スペーサ6の受部612aに挿通すると、上述のような挿入部634の頭部634aの形状により挿入がガイドされ、挿入部634の係合部634cが、受部612aと係合してロックされ、両高熱抵抗スペーサ6を互いに固定することができる。
熱抵抗増強部62は、左右一対の円弧状の、径方向に対向して離間した一対の第5の要素621と、一対の第5の要素621の対向する一端から中心を挟んで径方向に延びる一対の直線状の第6の要素622と、第6の要素622の対向する他端を接続する直線状の第7の要素623から構成される。第6の要素622の長手方向中央部には、外側に円弧状に湾曲する挿通部622aが形成され、挿入部634が受部612aと嵌合したときに挿入部634の頭部634aの先端部634a−2が挿通可能となっている。
第3の取り付け部61、熱抵抗増強部62、第4の取り付け部63は、同軸に配置され、軸方向から見て、直線状の一対の要素である第2の要素612、第4の要素632、第6の要素622が重なり合うように配置されている。そして、一対の第5の要素621の一方の他方の端部は、軸方向に延びる直線状の第8の要素64を介して第3の取り付け部61に一体的に接続され、一対の第5の要素の他方の端部は、軸方向に延びる直線状の第9の部材65を介して第4の取り付け部63に一体的に接続されている。
このように、高熱抵抗スペーサ6は、コイル状の構造を有するので、弾性(復元力)を有する。また、熱抵抗増強部62において、断面積の小さい伝熱経路が長く形成されているため、高熱抵抗スペーサ6の熱抵抗が増大する。
断熱フィルム2には、高熱抵抗スペーサ6や耐荷重スペーサ5同士の間隔に応じて穴が設けられている。この穴に、高熱抵抗スペーサ6の第4の取り付け部63の挿入部634や耐荷重スペーサ5の第2の取り付け部53の挿入部532を挿通し、断熱フィルム2を挟んでもう1つの高熱抵抗スペーサ6の第3の取り付け部61の受部612aや耐荷重スペーサ5の第1の取り付け部51の受部512aに嵌合させることによって、高熱抵抗スペーサ6と断熱フィルム2、耐荷重スペーサ5と断熱フィルム2が互いに固定されると共に、断熱フィルム2が、高熱抵抗スペーサ6や耐荷重スペーサ5によって支持される。
複数の高熱抵抗スペーサ6及び複数の耐荷重スペーサ5は、互いの間隔(一定の間隔でも変動する間隔でもよい)等を考慮して、積層された複数の断熱フィルム2が、真空引きが行われた後、すなわち包囲部材4に大気圧の圧縮力が加わった場合においても、互いに接触しないように配置されている。このような構成により、真空引きの後においても、互いに接触しないような間隔で配置されているから、断熱性能の低下を招く断熱フィルム同士の接触が防止される。また、外層シェル3が受ける圧縮力を複数の高熱抵抗スペーサ6及び複数の耐荷重スペーサで分散して受け持つことにより、外層シェル3の厚さを薄くすることができる。したがって、本実施形態によれば、有圧環境下においても、高い断熱性能を発揮することができる、軽量な、真空に保持された多層断熱材を実現することができる。
続いて、図1(b)、(c)を参照して、本実施形態の多層断熱材の動作及び本実施形態の多層断熱材を用いた断熱方法について説明する。
(1)真空引き
地上において、図示しない真空ポンプ等を用いて、多層断熱材1の密閉空間8に対して真空引きを行う。図1(b)を参照して、真空引きが完了すると、包囲部材4に加わる外圧は大気圧であり、密閉空間8内部の圧力は真空圧であるから、包囲部材4には、包囲部材4に加わる外圧と密閉空間8内部の圧力との差の大気圧の圧縮力が加わる。この圧縮力は、高熱抵抗スペーサ6と耐荷重スペーサ5に加わるが、耐荷重スペーサ5の接続部52は、この圧縮力により破断するように構成されているから、接続部52により離間されていた第1の取り付け部51と第2の取り付け部53が、この圧縮力により当接するようになる。これにより、耐荷重スペーサ5は依然として断熱フィルム2や圧縮力を支持することができる。
そして、上述のように、複数の高熱抵抗スペーサ6及び複数の耐荷重スペーサ5は、複数の断熱フィルム2が、真空引きの後においても、互いに接触しないような間隔で配置されているから、有圧環境下においても、高い断熱性能を発揮することができる、軽量な、真空に保持された多層断熱材を実現することができる。
(2)打ち上げ後
多層断熱材1が取り付けられた宇宙機が打ち上げられると、包囲部材4に加わる外圧は次第に減少し、宇宙空間においては、真空圧となる。図1(c)を参照して、宇宙空間の真空圧は、真空引きによる真空圧よりも小さいから、包囲部材4は膨張する。そして、高熱抵抗スペーサ6は積層方向に弾性(復元力)を有するから、断熱フィルム2間の間隔が拡がり、耐荷重スペーサ5の第1の取り付け部51と第2の取り付け部53は嵌合により断熱フィルム2に固定されているから、接続部52による接続が切断された耐荷重スペーサ5の第1の取り付け部51と第2の取り付け部53が再び離間する。これにより、耐荷重スペーサ5において、伝熱経路が切断されるので、耐荷重スペーサ5を介する伝導による伝熱をゼロとすることができ、真空引き後よりも更に高い伝熱性能を実現することができる。
本実施形態によれば、有圧環境下において、従来の層間非接触型スペーサ型多層断熱材では実現できなかった高い断熱性能を実現することができる。そして、真空環境下においては、従来の層間非接触型多層断熱材や耐荷重層間非接触型多層断熱材より高い伝熱性能を実現することができる。すなわち、本実施形態によれば、有圧環境下と真空環境下の双方において高い断熱性能を実現することができる。
上記実施形態においては、多層断熱材が宇宙機に取り付けられ、宇宙機の打ち上げの前に多層断熱材の内部が真空引きされる場合を例として説明したが、多層断熱材が取り付けられる構造物は、任意のものとすることができ、また、多層断熱材は、有圧環境下と真空環境下でなくとも、任意の適切な圧力の異なる、すなわち真空度の異なる環境下で用いられるものとすることができる。
以上、本発明について、例示のためにいくつかの実施形態に関して説明してきたが、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、形態及び詳細について、様々な変形及び修正を行うことができることは、当業者に明らかであろう。
1 多層断熱材
2 断熱フィルム
3 外層シェル
4 包囲部材
5 耐荷重スペーサ
51 第1の取り付け部
511 第1の要素
512 第2の要素
512a 受部
513 ベース
52 接続部
521 支持柱
522 支持腕
522a 切欠部
53 第2の取り付け部
531 主部
531a 凹部
532 挿入部
532a 頭部
532b 細径部
532c 係合部
6 高熱抵抗スペーサ
61 第3の取り付け部
611 第1の要素
612 第2の要素
612a 受部
62 熱抵抗増強部
621 第5の要素
622 第6の要素
622a 挿通部
623 第7の要素
63 第4の取り付け部
631 第3の要素
632 第4の要素
633 遮光部
634 挿入部
634a 頭部
634a−1 本体部
634a−2 先端部
634b 細径部
634c 係合部
64 第8の要素
65 第9の要素
7 面ファスナ
8 密閉空間
10 構造体

Claims (6)

  1. 構造体に取り付けられる多層断熱材であって、
    積層された複数の断熱フィルムと、
    前記積層された複数の断熱フィルムを覆うように配置され、前記構造体との間に密閉空間が形成されるように、前記構造体と結合される包囲部材と、
    隣接する前記断熱フィルムの間に挿入され、前記隣接する前記断熱フィルムを支持する複数の熱抵抗スペーサと、
    隣接する前記断熱フィルムの間に挿入され、前記隣接する前記断熱フィルムを支持する複数の耐荷重スペーサと、
    を備え、
    前記熱抵抗スペーサは、前記複数の断熱フィルムの積層方向に加わる力に対して弾性を有し、
    前記耐荷重スペーサは、前記隣接する断熱フィルムの一方に取り付けられる第1の取り付け部と、前記隣接する断熱フィルムの他方に取り付けられる第2の取り付け部と、前記第1の取り付け部と前記第2の取り付け部を前記第1の取り付け部と前記第2の取り付け部が離間するように接続する接続部を備え、
    前記接続部が、前記包囲部材に加わる外圧と前記密閉空間内部の圧力との差の圧縮力が所定の値に達したときに分離し、該圧縮力によって当接された前記第1の取り付け部と前記第2の取り付け部によって、前記隣接する前記断熱フィルムが支持されるように構成され、
    前記複数の熱抵抗スペーサ及び前記複数の耐荷重スペーサは、互いに離間して配置され、且つ、前記複数の断熱フィルムが互いに接触しないように配置された、
    多層断熱材。
  2. 前記外圧は大気圧であり、前記密閉空間内部の圧力は真空引きされた真空圧である請求項1に記載の多層断熱材。
  3. 前記第1の取り付け部と前記第2の取り付け部は、前記断熱フィルムを挟んで嵌合可能に構成されている請求項1又は2に記載の多層断熱材。
  4. 前記積層された複数の断熱フィルムの外側に外層シェルが配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層断熱材。
  5. 前記構造体は、宇宙機である請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層断熱材。
  6. 多層断熱材を用いた断熱方法であって、
    請求項5に記載の多層断熱材の前記密閉空間に対して、前記宇宙機の打ち上げ前に真空引きを行う方法。
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