以下、本発明に係る測定システムの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。また、各実施の形態では、流体の流れ方向をX軸、X軸と垂直に交差して水平面上を延びる軸をY軸、上下方向をZ軸とする直交座標系を使用する。
(実施の形態1)
図1〜図6を参照して、本発明の実施の形態1に係る測定システム1の構成を説明する。実施の形態1に係る測定システム1は、ヘテロダイン干渉法を用いて、流体の壁面せん断応力の変化に伴って変化する光のビート信号を検出することにより、流体の壁面せん断応力を測定する装置である。
ヘテロダイン干渉法は、測定したい光である信号光に、わずかに位相の異なる光である参照光を干渉させてビート信号を生成し、得られたビート信号を検出器で検出することにより、信号光の位相等の情報を取得する手法である。光の周波数は非常に高いため、検出器で光を直接検出するだけでは信号光の位相等の情報を取得できないが、参照光を用いて信号光をビート信号に変換することで、信号光の位相等の情報を取得できる。
以下、理解を容易にするために、流体が一様に流れている断面矩形状の管路における水の壁面せん断応力を測定する場合を例に説明するが、実施の形態1に係る測定システム1が壁面せん断応力を測定可能な流体の流れは、水の流れに限られず、壁面せん断応力の測定対象は、断面矩形状の管路に限られない。
図1は、測定システム1の構成を示す正面図である。測定システム1は、レーザ光を散乱させて散乱光として放射する発光装置10と、発光装置10から放射された散乱光の一部により形成された光路を流体の壁面せん断応力に応じて変化させる受感装置20と、受感装置20を通過した散乱光を受光する受光装置30と、を備える。
発光装置10、受感装置20及び受光装置30は、支持板40の上にY軸方向に並べて設置され、固定されている。支持板40は、例えば、鋼材から形成された板であり、土台、橋脚、地面等に設置されてもよい。測定システム1は、発光装置10から散乱されて放射された散乱光が、受感装置20を通過して受光装置30に入射するように構成されている。受感装置20及び支持板40の下方には、X軸方向に流体が流れる断面矩形状の管路50(対象物)が設置されている。受感装置20は、その一部が管路50の上面部に設けられた開口部51に挿入され、その下端部が管路50を流れる流体に接触するように配置されている。
図2は、測定システム1の構成を示す平面図である。図2の点線は、発光装置10から出射された散乱光の光路と、受光装置30に入射する信号光及び参照光の光路と、を示す。発光装置10にて散乱されて出射された散乱光は、その一部が受感装置20に入射する。
受感装置20は、流体の壁面せん断応力の変化を直接感知する機構を備える。受感装置20は、入射した散乱光の一部から、流体の壁面せん断応力の変化に応じて光路が変化する信号光と、光路が一定不変の参照光とを形成する。信号光は、受感装置20に設けられ、流体の壁面せん断応力の変化に応じてX軸方向に移動する第1のピンホールによって形成され、参照光は、受感装置20に設けられ、受感装置20の所定の位置に固定された第2のピンホールにより形成される。
そして、受光装置30に入射した信号光及び参照光は、一つの交点に集束され、交点で互いに干渉してうなりを発生させ、光のビート信号を生成する。測定システム1は、ビート信号の周波数を検出することにより、流体の壁面せん断応力を算出できる。
図3は、発光装置10を上方から観察した断面図である。発光装置10は、レーザ光を散乱させることにより、単一波長で位相の揃った散乱光を放射する発光手段の一例である。発光装置10は、レーザ光を出射するレーザ光源11と、レーザ光源11からのレーザ光が照射され、レーザ光を散乱させる回転可能な回転散乱板12と、回転散乱板12を中心軸周りに回転させるモータ13と、各部を収容するハウジング14と、を備える。
レーザ光源11は、例えば、赤色波長のレーザ光を出射するレーザ光源である。赤色波長は、あくまで一例であって、レーザ光源11が出射するレーザ光は、光のビート信号の周波数が測定可能な値である限り、いかなる波長の光であってもよい。
回転散乱板12は、例えば、ガラス材料に微細粒子を混入して形成したすりガラスからなる円盤状の部材である。回転散乱板12は、レーザ光源11から入射されたレーザ光を様々な周波数を有する散乱光に変換して散乱させる。回転散乱板12は、流体の壁面せん断応力の測定精度を向上させるために、内部の微細粒子の分布ができるだけ均一であることが望ましい。回転中の回転散乱板12に照射されたレーザ光は、あらゆる方向に散乱するが、主にレーザ光が出射された方向に向かって進行する。
モータ13は、例えば、回転散乱板12を回転させるサーボモータである。モータ13は、図示しない制御装置により制御され、一定の角速度で回転散乱板12を回転させる。モータ13の回転軸は、回転散乱板12の中心軸、すなわち回転散乱板12の中心点を通って回転散乱板12に垂直な向きの軸に固定されている。
流体の壁面せん断応力の測定精度を向上させるには、回転散乱板12の中心軸がモータ13の回転軸とできるだけ一致するように、回転散乱板12をモータ13の回転軸に固定することが望ましい。回転散乱板12の中心軸がモータ13の回転軸と一致する場合、レーザ光源11から出射されたレーザ光は、回転散乱板12のふらつきが抑制されるため、散乱光の散乱の変動が抑制され、結果として流体の壁面せん断応力の測定精度を向上できる。
ハウジング14は、立方体形状に形成され、側面部に散乱光を透過可能な透過部14aを備える。透過部14aは、ガラス板又は透明な樹脂板で形成され、ハウジング14の側面部に設けられた開口に嵌め込まれて固定されている。回転散乱板12により散乱された散乱光の一部は、透過部14aを通って外部に放射される。
図4は、受感装置20をXZ平面で切断した断面図である。受感装置20は、流体の壁面せん断応力に応じて、発光装置10から放射された散乱光の光路を変化させる受感手段の一例である。受感装置20は、円筒形状のハウジング21と、ハウジング21の上端部に固定された支持部22と、支持部22に固定され、支持部22から吊り下げられた一対のワイヤ23と、流体に接触するように一対のワイヤ23の先端部に支持され、流体の壁面せん断応力に応じて流体の流れ方向に移動する流体接触板24と、を備える。
ハウジング21は、受感装置20の各部を内部に収容する部材である。ハウジング21は、例えば、ステンレス等の金属材料から形成された円筒形状の部材である。ハウジング21は、その下端部に設けられ、支持板40に設置可能なフランジ21aを備える。
フランジ21aは、ステンレス等から形成された円盤形状の部材であって、同一円周上に間隔を空けて配置された複数の貫通孔21bを備える。貫通孔21bは、ボルトが挿通可能であり、支持板40の雌ネジ穴と合致する位置に形成されている。このため、貫通孔21bにボルトが挿通され、支持板40の雌ねじ穴にボルトがねじ込まれることにより、フランジ21aが支持板40に取り外し可能に固定される。
図5は、受感装置20を発光装置10側から、すなわち、図4と同じ方向から観察した様子を示す正面図である。ハウジング21は、その側面部に開口が形成されており、この開口に参照光の光路を形成する第2の光路形成部26が固定されている。第2の光路形成部26は、例えば、金属材料から形成された板状部材である。
第2の光路形成部26は、第2のピンホール(第2の貫通孔)26aと、第2のピンホール26aに隣接して形成された開口部26bと、を備える。第2のピンホール26aは、例えば、Y軸方向に貫通して形成された円形の貫通孔であって、入射した散乱光の一部を通過させて参照光の光路を形成する。開口部26bは、例えば、Y軸方向に貫通して形成された円形状の貫通孔である。
開口部26bの背面側には、第1の光路形成部25が配置されている。第1の光路形成部25は、Y軸方向に貫通して形成され、散乱光が入射したときに信号光の光路を形成する第1のピンホール(第1の貫通孔)25aを備える。開口部26bは、背面側に配置された第1の光路形成部25が流体の壁面せん断応力によってX軸方向に移動した場合でも、散乱光が第1のピンホール25aに入射するように、すなわち、第1のピンホール25aが常に外部から視認可能となるように形成されている。
図4に戻り、ハウジング21の側面部であって、第1の光路形成部25及び第2の光路形成部26の反対側に位置する部分には、別の開口が設けられている。この開口には、レーザ光を透過可能な透過部27が固定されている。透過部27は、例えば、ガラス板又は透明な樹脂板から形成されている。このため、散乱光が第1のピンホール25aを通過することにより形成された信号光と、散乱光が第2のピンホール26aを通過することにより形成された参照光とは、いずれも透過部27を通ってハウジング21の外部に出射される。
支持部22は、ハウジング21の上端部に固定され、ワイヤ23を支持する支持手段の一例である。支持部22は、例えば、ステンレス等の金属材料から形成されたキャップ状の部材である。支持部22は、円形状の上面部と、上面部の側端部から下方に延びる筒状の側面部と、を備える。支持部22は、例えば、ハウジング21の上部に溶接、締まり嵌め等の手段によって固定されている。
ワイヤ23は、一端が支持部22に固定され、他端が流体接触板に固定され、支持部22から流体接触板24を吊り下げる弾性変形可能な弾性変形手段の一例である。ワイヤ23は、例えば、ピアノ線から構成されている。ワイヤ23は、第1のワイヤ23aと、第2のワイヤ23bと、を含む。第1のワイヤ23aと第2のワイヤ23bは、流体の流れ方向(X軸方向)に並べて配置されている。
第1の光路形成部25は、第1のワイヤ23aに接着、溶接等の手段により固定されている。第1の光路形成部25は、YZ平面上に配置された板状部材であり、第1のワイヤ23aの変形に追従してX軸方向に移動する。
ワイヤ23の先端部は、流体接触板24の上面部に接着等の手段で固定されている。流体の壁面せん断応力を正確に測定するために、ワイヤ23の先端部は、流体接触板24に対して折れ曲がることがないように強固に固定されることが望ましい。
ワイヤ23の機械的特性(例えば、バネ係数)は、測定される流体の種類、温度、壁面せん断応力の大きさ、変動幅、急峻性、気泡や乱流の有無等を考慮して、ユーザが適宜選択する。例えば、低応力場を測定する場合、ワイヤ23のバネ係数は大きいことが望ましく、高応力場を測定する場合、ワイヤ23のバネ係数は小さいことが望ましい。
ワイヤ23は、流体接触板24がX軸方向に移動した場合でも、第1の光路形成部25のZ軸方向への移動が無視できる程度に十分な長さを有することが望ましい。ワイヤ23にピアノ線を用いた場合、ワイヤ23の長さは、例えば、約10cm〜約30cmである。
流体接触板24は、流体に直接接触し、流体からの壁面せん断応力に応じて流体の流れ方向(X軸方向)に移動する板状部材である。流体接触板24は、軽量かつ剛性のある材料、例えば、ステンレス等の金属材料から形成される円盤形状の部材である。流体接触板24は、例えば、外径10mm、厚さ0.2mmの寸法で形成されている。
流体接触板24の外径及び厚さは、流体の種類、壁面せん断応力の大きさ、変動幅、急峻性、気泡や乱流の有無、金属加工の容易性等を考慮して、任意の値に設定できる。流体接触板24は、例えば、外径5mm〜20mm、厚さ0.1mm〜1.0mmの範囲内であることが好ましい。流体接触板24の外径が小さい場合、局所的な壁面せん断応力を測定できるため、乱流の壁面せん断応力の測定に好適である。また、流体接触板24の外径が大きい場合、壁面せん断応力の全体的な傾向を効果的に測定できる。
図6は、受光装置30を上方から観察した断面図である。受光装置30は、受感装置20を通過した二つの散乱光を互いに干渉させ、互いに干渉した散乱光から得られたビート信号を受光する受光手段の一例である。
受光装置30は、受感装置20を通過した散乱光を一つの交点に集光してビート信号を生成するレンズ系31と、ビート信号を散乱させる散乱体32と、散乱体32によって散乱させられたビート信号を受光する光検出素子33と、を備える。受光装置30の各部は、ハウジング34内に設置されている。
レンズ系31は、平行レンズ31aと、集光レンズ31bと、を備える。平行レンズ31aは、第1のピンホール25aを通過した信号光及び第2のピンホール26aを通過した参照光を、互いに平行な光路を進むように屈折させる。集光レンズ31bは、平行レンズ31aを通過した信号光及び参照光を、一つの交点で交差するように集束させる。
散乱体32は、信号光と参照光との交点を含むように配置され、レンズ系31を通過した光を散乱させる。散乱体32は、例えば、回転散乱板12と同様に、微細粒子を含むすりガラスで形成されている。流体の壁面せん断応力の変化に応じて、信号光の光路が変化するため、ビート信号の進行方向の予測は困難である。このため、散乱体32を用いてビート信号を散乱させることにより、ビート信号の一部を光検出素子33に確実に入射させることができる。
光検出素子33は、散乱光のビート信号の強度を検出し、ビード信号の強度に対応する信号を出力するセンサである。光検出素子33は、例えば、光電効果型の光検出器である。光検出素子33は、微弱なビート信号を増幅する増幅器と、ノイズの影響を除去するために、増幅したビート信号から特定の周波数帯(例えば、約90Hz〜約150Hz)の信号を抽出するバンドパスフィルタと、フィルタリングされたビート信号を記憶するデータロガーと、に電気的に接続されている。データロガーに記憶されたビート信号は、有線又は無線の通信回路を介して演算装置(図示せず)に送信され、流体の壁面せん断応力の演算に利用される。
なお、バンドパスフィルタが信号として抽出する特定の周波数帯の範囲は、実験を繰り返すことにより経験的に設定される。また、管路50内に流体が流れていない場合にビート周波数が約50kHz〜約150kHzになるように、第1のピンホール25a及び第2のピンホール26aとレンズ系31とが互いに位置決めされている。
ハウジング34は、立方体形状に形成され、その側面部にレーザ光を透過可能な透過部34aを備える。透過部34aは、ガラス板又は透明な樹脂板から形成され、側面部の開口に嵌め込まれて固定されている。受感装置20を通過した散乱光は、透過部34aを通ってハウジング34の内部に入射する。
演算装置は、光検出素子33が検出したビート信号を処理して生成した信号を受信し、受信した信号からビート信号の周波数(以下、ビート周波数と称する)を取得し、ビート周波数から流体の壁面せん断応力を演算する演算手段の一例である。演算装置は、例えば、汎用コンピュータであって、プログラムを記憶するメモリと、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサを備える。以上が、測定システム1の構成である。
次に、図7及び図8を参照して、実施の形態1に係る測定システム1が流体の壁面せん断応力を測定する仕組みを説明する。以下、受感装置20は、流体接触板24が管路50内の流体に接触しており、流体の流れに応じて流れ方向(X軸方向)に移動するように管路50に設置されているものとする。
図7は、管路50内の流体が流れていない場合の信号光及び参照光の光路を示す図である。まず、レーザ光源11から出射されたレーザ光は、一定の角速度ωで回転中の回転散乱板12に入射する。次いで、回転散乱板12にて散乱した散乱光は、透過部14aを通って、その一部が受感装置20に向けて放射される。そして、発光装置10から放射された散乱光が、受感装置20の第1のピンホール25a及び第2のピンホール26aを通過することにより、信号光及び参照光が形成される。
次に、第1のピンホール25aからの信号光及び第2のピンホール26aからの参照光は、それぞれ受光装置30の透過部34aを通過して、受光装置30の内部に入射する。受光装置30に入射した信号光及び参照光は、レンズ系31によって集束させられ、一つの交点で交わることにより、互いに干渉して光のビート信号に変換される。信号光及び参照光の交点に散乱体32が配置されているため、変換されたビート信号は散乱し、最終的に光検出素子33にて受光される。
ビート信号の生成について、より詳細に説明すると、第1のピンホール25aを通過した信号光と、第2のピンホール26aを通過した参照光とは、回転散乱板12から異なる向きに放射された散乱光を用いて形成されているため、それぞれ周波数が異なる。互いに周波数が異なる信号光と参照光とが干渉することにより、うなりが発生してビート信号が生成される。
流体の壁面せん断応力が発生していないとき、すなわち初期状態におけるビート周波数fd1は、以下の式で表される。ただし、f1は、参照光の周波数、f2は、流体の壁面せん断応力が発生していない場合の信号光の周波数、rは、回転散乱板12におけるレーザ光が照射される部分の半径、λは、光の波長、φは、第1のピンホール25aに入射する散乱光と第2のピンホール26aに入射する散乱光とのなす角(散乱角)である。
fd1=|f1−f2|=2ωr/λ×sin(φ/2) …(1)
図8は、管路50内を流体の流れている場合の信号光及び参照光の光路を示す図である。図8では、流体の流れにより流体接触板24に壁面せん断応力が作用しているため、図7に比べて流体接触板24が流体の流れ方向(X軸方向)に移動している。これに伴い、流体接触板24を支持している第1のワイヤ23aが変形してX軸方向に移動する。このため、第1のワイヤ23aに固定された第1の光路形成部25の第1のピンホール25aは、流体の壁面せん断応力に応じて、X軸方向に移動する。
このとき、第1のピンホール25aを通過した信号光は、図8の点線に示すように、図7の場合の信号光(図8の実線で示す)と異なる角度で平行レンズ31aに入射する。第1のピンホール25aの位置が変化したことにより、信号光の第1のピンホール25aから交点までの光路長が変化するため、交点における信号光の位相も変化する。第2のピンホール26aは、受光装置30との相対的な位置関係が一定となるように配置されているため、流体の壁面せん断応力が変化しても、交点における参照光の位相は変化しない。このため、流体の壁面せん断応力が発生すると、信号光と参照光との間の位相差が変化する。この位相差の変化が散乱光の干渉により発生するビート信号のビート周波数を変化させる。
流体の壁面せん断応力の発生に伴い、第1のピンホール25aがX軸方向に移動すると、信号光の周波数はf2からf3に変化し、散乱角はφからφ’に変化することにより、ビート信号のうなりが変化する。流体の壁面せん断応力の測定時におけるビート周波数fd2は、以下の式で表される。
fd2=|f1−f3|=2ωr/λ×sin(φ’/2) …(2)
さらに、流体の壁面せん断応力τwとビード周波数の差(fd2−fd1)とは、以下の式に示す関係を有する。ただし、係数kは、実験を繰り返すことにより決定される係数である。例えば、ワイヤ23としてピアノ線を用いる場合であって、重力単位系を用いるときの係数は、k=0.0317であり、国際単位系(International System of Units:SI)を用いるときの係数は、k=3.964である。
τw=k×(fd2−fd1) …(3)
管路内に流体が流れている場合、演算装置は、流体のせん断応力に応じて変化したビート周波数から、式(3)を用いて流体の壁面せん断応力を算出できる。また、流体の壁面せん断応力が発生していない場合、流体の壁面せん断応力の測定時におけるビート周波数fd2は、初期状態のビート周波数fd1と一致するため(fd2=fd1)、演算装置は、式(3)を用いて流体の壁面せん断応力τwがゼロであると算出できる。
以上説明したように、実施の形態1に係る測定システム1は、発光装置10からの散乱光を通過させる第1のピンホール25a及び第2のピンホール26aを含み、第1のピンホール25aは、流体の壁面せん断応力に応じて流体の流れ方向に移動し、第2のピンホール26aは、流体の壁面せん断応力が変化しても一定の位置に維持される受感装置20を備える。このため、測定システム1は、流体の壁面せん断応力を流体の流れから直接測定でき、乱流や気泡流に対応可能な高い時間分解能を実現できる。
また、実施の形態1に係る測定システム1は、流体に接触するように配置され、流体の壁面せん断応力に応じて流体の流れ方向に移動する流体接触板24を備える。このため、流体接触板24が流体の壁面せん断応力を流体の流れから直接受感でき、その結果として、流体の壁面せん断応力を精度よく測定できる。
さらに、実施の形態1に係る測定システム1は、測定対象に固定された支持部22から流体接触板24を吊り下げている弾性変形可能な一対のワイヤ23を備える。このため、測定システム1の軽量化を実現できると共に、流体接触板24が流体の流れに追従しやすくなり、その結果、流体の壁面せん断応力をさらに精度よく測定できる。
(実施の形態2)
図9を参照して、本発明の実施の形態2に係る測定システムの構成を説明する。実施の形態2に係る測定システムは、実施の形態1に係る測定システム1と異なり、気泡等が含まれる混相流の壁面せん断応力を測定するために、受感装置20の上部からハウジング21内に気体を供給するように構成されている。実施の形態2では、壁面せん断応力の測定対象である流体が、管路50内を流れる海水、地下水等の液体であるものとする。
図9は、図4と同様に受感装置20をXZ平面で切断した断面図であり、液体の一部が受感装置20の下方からハウジング21内に浸入している様子を示す。理解を容易にするために、第2の光路形成部26及び第2のピンホール26aを点線で図示している。受感装置20は、ハウジング21の内側面と流体接触板24の外周面との間からハウジング21内に液体が浸入可能に形成されている。ワイヤ23がハウジング21内に浸入した液体に浸されるため、壁面せん断応力の測定結果に影響するワイヤ23の振動が抑制される。
受感装置20の支持部22は、上面部から下面部に向けて貫通する貫通孔22aを備える。貫通孔22aは、空気を送気可能なチューブ28を介してハウジング21内に気体を供給する送気装置29に接続されている。送気装置29は、例えば、コンプレッサ、シリンジ等を備える。
送気装置29は、ハウジング21内に気体を供給することで、ハウジング21内に浸入した液体がレーザ光の経路に侵入しないように、言い換えると、ハウジング21内に浸入した液体の液面が第1のピンホール25a及び第2のピンホール26aよりも下方に位置するように、液体の液面を加圧する送気手段の一例である。より詳細に説明すると、送気装置29は、ハウジング21内に浸入した液体の液面の位置を、流体接触板24の上面部と第1のピンホール25a及び第2のピンホール26aとの間に保持するように、ハウジング21内に気体を供給することで液体の液面を加圧する。送気装置29により供給される気体は、例えば、空気、窒素ガス等である。
送気装置29は、ハウジング21内の液体の液面の位置を流体接触板24の上面部と第1のピンホール25a及び第2のピンホール26aとの間に保持するために、ハウジング21内の気体を一定の圧力(例えば、約14〜約131kPa)で加圧する。ハウジング21内の気体を一定の圧力に保持することにより、ハウジング21内の液体の液面の位置は、周囲環境の変化に応じて多少変化するものの、流体接触板24の上面部と第1のピンホール25a及び第2のピンホール26aとの間に保持される。
なお、ハウジング21の側壁面には、ユーザがハウジング21内の液体の液面位置を視認するために、ハウジング21の下端部の近傍から第2のピンホール26aの近傍までZ軸方向に延びる透明な観察窓を設けてもよい。
気泡等を含む液体がハウジング21内に浸入して、発光装置10から放射されるレーザ光の経路に侵入すると、気泡等がレーザ光の経路を塞いでレーザ光を散乱させる結果、壁面せん断応力の測定精度に影響を及ぼす可能性がある。しかし、実施の形態2に係る測定システムは、上記のように構成されているため、気泡等がレーザ光の経路を塞ぐおそれがなく、気泡等を含む混相流であっても壁面せん断応力を高い精度で測定できる。
また、実施の形態2に係る測定システムは、ワイヤ23がハウジング21内に浸入した液体に浸されるように構成されているため、液体の存在によりワイヤ23の振動を抑制できる。その結果、液体の壁面せん断応力に含まれるノイズを低減でき、壁面せん断応力を高い精度で測定できる。
(実施の形態3)
図10を参照して、本発明の実施の形態3に係る測定システムの構成を説明する。実施の形態3に係る測定システムは、実施の形態1、2に係る測定システムと異なり、モータ13の回転軸からの動力を、ターニングベルト等の動力伝達手段を介して回転散乱板12の回転軸に伝達するように構成されている。
図10は、ターニングベルト15及びプーリー16を備える発光装置10の構成を示す断面図である。ターニングベルト15及びプーリー16は、モータ13の回転軸からの動力を回転散乱板12の回転軸に伝達する動力伝達手段の一例である。ターニングベルト15は、プーリー16の周りに沿って変形可能なベルトである。ターニングベルト15は、例えば、ゴム、エラストマ等のプーリー16の周りに沿って変形可能であると共に、動力を伝達可能な程度に剛性がある材料から形成されている。
プーリー16は、モータ13の回転軸の先端部に設けられた第1のプーリー16aと、回転散乱板12の回転軸の基端部に設けられた第2のプーリー16bと、を備える。第1のプーリー16aと第2のプーリー16bとは、ハウジング14内で同一平面上に配置されている。第1のプーリー16a及び第2のプーリー16bには、両者を機械的に接続するようにターニングベルト15が取り付けられている。このため、モータ13により第1のプーリー16aが回転すると、第1のプーリー16aの回転がターニングベルト15を介して第2のプーリー16bに伝達され、第2のプーリー16bの回転に伴い回転散乱板12が回転する。
第2のプーリー16bが固定された回転散乱板12の回転軸は、ハウジング14に固定された枠体17に対して先端側及び基端側の2つの箇所で回転可能に支持されている。このため、回転散乱板12は、ふらつくことなくその回転軸周りに回転できる。枠体17は、回転散乱板12の回転軸と共にレーザ光源11を支持している。このため、レーザ光源11から放射されたレーザ光は、回転散乱板12の所定の位置に照射される。
実施の形態1、2の測定システムのように回転散乱板12がモータ13の回転軸に直接固定されている場合、モータ13の組み付け精度等に由来するモータ13の回転軸のふらつきが回転散乱板12の回転に影響を及ぼし、回転散乱板12から放射される散乱光の品質が低下するおそれがある。しかし、実施の形態3に係る測定システムは、上記のように構成されているため、モータ13の回転軸のふらつきがターニングベルト15及びプーリー16で吸収される。したがって、回転散乱板12を回転軸周りに安定して回転させることができ、回転散乱板12からの均一な散乱光の放射を実現できる。その結果、流体の壁面せん断応力を高い精度で測定できる。
(実施例1)
次に、図11〜図16を参照して、測定システム1が、単相流及び気泡流における流体の壁面せん断応力を正確に測定できるかどうかを検証した結果を示す。本検証では、水平チャネルにおける内部流れにおいて流体の壁面せん断応力を測定した。
図11は、本検証にて使用した実験装置の概略を示す図である。左右に延びているチャネルは、断面が矩形状であり、気泡を視認可能とするために、透明なアクリル樹脂から形成されている。チャネルの内部には、タンクからラインポンプを介して供給された水が、左から右に向かって流されている。チャネルの全長は6000mm、高さは20mm、幅は160mmである。測定システム1は、流れが十分に発達した領域の流体の壁面せん断応力を測定するため、チャネルの先端から3750mm離れた位置にある。チャネルの先端から2250mmの位置には、チャネル内に気泡を注入する気泡注入器が取り付けられている。
図12は、本検証の実験条件を示すデータテーブルである。Remは、平均流速Umで定義された並行平板間レイノルズ数である。本検証では、図12に示す実験条件で実験を行った。本検証では、ラインポンプを、インバータを用いて制御することにより、チャネル内を流れる水の流量を変化させ、レイノルズ数Remを適宜変化させた。
本検証では、光検出素子33で検出された光のビート信号は、以下の手法で解析した。まず、光検出素子33で検出したビート信号を、75〜99Hzの周波数帯の信号を通過させるバンドパスフィルタで処理し、その後、処理された信号の強度をデータロガーに記録した。そして、データロガーに記憶されたビート信号に、短時間フーリエ変換(Short Time Fourier Transform:ST−FT)を適用することにより、周波数解析を行った。具体的には、本検証で取得された合計1048576点のデータを128点ずつにまとめ、8192区間ごとに周波数解析を行った。これにより、時間256μsごと、周波数3.9Hz刻みで、250Hzまでのパワースペクトルを得た。各区間におけるパワースペクトルの上位10個の周波数を平均することにより、各区間におけるビート信号の周波数を取得した。
図13は、単相流の場合におけるレイノルズ数Remと摩擦抵抗係数Cfの時間平均値との関係を示すグラフである。各プロットは、複数回測定した値に基づく摩擦抵抗係数Cfの平均値である。実線は、以下に示すDeanによる平行平板間流れの経験式で計算される摩擦抵抗係数Cfの値である。
Deanの経験式は以下のように表される。
Rem=√(2/Cf)×exp[0.41(√(2/Cf)−2.4] …(4)
図13に示すように、摩擦抵抗係数Cfの測定値は、Deanの経験式から導出した摩擦抵抗係数Cfの理論値とよく一致している。レイノルズ数Remが6000〜8000の場合、標準偏差は24%であり、レイノルズ数Remが9000〜22000の場合、標準偏差は10%であった。
なお、摩擦抵抗係数Cfと壁面せん断応力τwは、以下の式を満たすことが知られている。ただし、ρは密度、umは流速である。
Cf=2τw/ρum …(5)
式(5)を考慮すると、上記の実験結果は、測定システム1が、単相流において系統誤差10%以内で壁面せん断応力τwを計測できることを示している。
図14は、気泡流の場合におけるレイノルズ数Remと摩擦抵抗係数Cfの時間平均値との関係を示すグラフである。各プロットは、複数回測定した摩擦抵抗係数Cfの平均値である。実線は、Deanによる平行平板間流れの経験式で計算される摩擦抵抗係数Cfの値である。
図14に示すように、摩擦抵抗係数Cfの測定値は、Deanの経験式から導出した摩擦抵抗係数Cfの理論値とよく一致している。レイノルズ数Remが6000〜8000の場合、標準偏差は27%であった。また、レイノルズ数Remが9000〜22000の場合、標準偏差は10%以内であった。このことは、測定システム1が、気泡流においても、系統誤差10%以内で壁面せん断応力τwを計測できることを示している。
図15は、レイノルズ数Reが22000の単相流における、壁面せん断応力τwの時間変動を示すグラフである。図15の波形からは、高周波変動及び低周波変動の存在を確認できる。高周波変動は、光学系の電子ノイズが原因であると推測される。低周波変動は、流体の壁面せん断応力の変化を捉えたものである。壁面せん断応力が、乱流の縦渦構造の変化によってスパイク状に変化していることを確認できる。このことは、測定システム1が、乱流による壁面せん断応力の変動を検出できることを示している。
図16は、レイノルズ数Reが22000の気泡流における、微細気泡による摩擦抵抗低減効果領域外の壁面せん断応力τwの時間変化を示すグラフである。気泡流のボイド率は20%以下であった。低周波変動は、単相流の場合と同様に、流体の壁面せん断応力の変化を捉えたものである。このことは、測定システム1が、気泡のバーストによる壁面せん断応力の変動を検出できることを示している。
ノイズ成分を除くために2τwを超えるピークをスパイクと定義して、図15、図16の場合における、全計測区間内のスパイク数をカウントした。単相流の場合、スパイク数は16であるのに対し、気泡流の場合、スパイク数は17であった。したがって、気泡流の場合の摩擦抵抗低減効果領域外におけるバーストの発生頻度は、単相流の場合と同程度であることが理解できる。
以上説明したように、本検証を通して、測定システム1が系統誤差10%以内で壁面せん断応力を測定できること、単相流において乱流による壁面せん断応力のピークを測定できることを確認できた。また、気泡流の場合の摩擦抵抗低減効果領域外におけるバーストの発生頻度は、単相流の場合と同程度であることが理解できた。したがって、測定システム1が、従来の測定システムと比べて、高い時間分解能を有していることが確認できた。
(実施例2)
次に、図17〜図20を参照して、測定システム1が外部流れにおいて壁面せん断応力を正確に測定できるかどうかを、測定システム1を装着した実験船を曳航水槽内で曳航させ、検証した結果を示す。
図17(a)は、曳航水槽内で曳航されたアクリル製の実験船を示す斜視図であり、図17(b)は、図17(a)の実験船の断面図である。図17(a)では、実験船の船首は下側に、実験船の船尾は上側に図示されている。曳航水槽は、長さ80m、幅8m、深さ3.5mである。実験船の船首には、船首から0.65mの位置に、実験船の後方に向けて曳航水槽内の地下水に気泡を注入する気泡注入器が設けられている。また、実験船の船尾には、船首から3.35mの位置に壁面せん断応力を測定するための測定システム1が設けられている。
図18(a)は、気泡を注入しない場合(単相流)における実験条件を示すデータテーブルであり、図18(b)は、気泡を注入した場合(気泡流)における実験条件を示すデータテーブルである。本検証では、単相流及び気泡流のそれぞれについて、曳航水槽内に地下水を張った状態で、図18(a)、図18(b)に示す実験条件で実験船を曳航し、流体の壁面せん断応力を測定した。なお、気泡流の場合、実験船を1.5m/s、2.25m/s、3.0m/sで曳舟させ、実験船の速度毎にボイド率を変化させて壁面せん断応力を測定した。ボイド率は、流体の単位体積あたりに含まれるボイド(気泡)の体積比率である。
図19は、単相流の場合における壁面せん断応力τwと実験船の速度Umとの関係を示すグラフである。図19のグラフの各点は、測定システム1により実際に測定されたデータであり、実線は、Prandtl−Schlichtingの式に基づく理論値である。受感装置20(変位計)の測定可能範囲は、2.6Pa〜12.4Pa(標準偏差3%未満)であった。図19に示すように、外部流れが単相流の場合、流速の増加に応じて壁面せん断応力τwが増加する様子を確認できた。
図20は、気泡流の場合における壁面せん断応力比τw/τ0とボイド率αδとの関係を示すグラフである。壁面せん断応力τ0は、ボイド率αδがゼロの場合の壁面せん断応力である。図20に示すように、外部流れが気泡流の場合、実験船の速度が速いほど摩擦抵抗低減効果が得られることが確認できた。また、流速が3.0m/sの場合、気泡の量を増やしてボイド率αδが増加するにつれて、壁面せん断応力比τw/τ0が低下し、摩擦抵抗低減効果が得られることが確認できた。
以上説明したように、本検証を通して、外部流れにおいても内部流れと同様に壁面せん断応力の測定が可能であることを確認できた。また、外部流れにおいて気泡流を発生させることにより、内部流れの場合と同様に摩擦抵抗低減効果が得られることを確認できた。
(変形例)
本発明は上記の実施形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
上記実施の形態では、レーザ光源11から出射するレーザ光を用いて散乱光を形成していたが、本発明はこれに限られない。例えば、光源として、発光ダイオード等を用いてもよい。
上記実施の形態では、受感装置20のハウジング21は円筒形状であったが、本発明はこれに限られない。ハウジング21は、内部に一対のワイヤ23及び流体接触板24を収容可能であればよく、例えば、断面形状が楕円、多角形の筒状部材であってもよい。また、ハウジング21の内部に流体が入り込んだとしても、測定精度に影響を及ぼさないため、必ずしもハウジング21の断面形状と流体接触板24の形状が一致している必要はなく、互いに異なる形状に形成してもよい。
上記実施の形態では、ハウジング21と支持部22とが別体であったが、本発明はこれに限られない。例えば、ハウジング21と支持部22とを一体に構成して、一つのハウジングとしてもよい。
上記実施の形態では、第1の貫通孔及び第2の貫通孔として、第1のピンホール25a及び第2のピンホール26aを用いていたが、本発明はこれに限られない。第1の貫通孔及び第2の貫通孔は、例えば、楕円形、多角形等の貫通孔、スリット等であってもよい。
上記実施の形態では、開口部26bは円形の貫通孔であったが、本発明はこれに限られない。開口部26bは、第1のピンホール25aがX軸方向に移動したとしても観察可能な形状であればよく、例えば、矩形状、スリット状であってもよい。
上記実施の形態では、ハウジング21の開口にガラス板又は透明な樹脂板からなる透過部27を固定していたが、本発明はこれに限られない。例えば、ハウジング21内部に入り込んだ流体を排出するために、ハウジング21に開口を設けたままにしてもよい。
上記実施の形態では、透過部14a、27、34aはハウジング14、21、34の開口に固定されていたが、本発明はこれに限られない。例えば、透過部14a、27、34aは、開口に対して着脱自在に構成されてもよい。この場合、透過部14a、27、34aを取り外して清掃することで汚れ等を除去できるため、壁面せん断応力の測定精度の低下を抑制できる。
上記実施の形態では、流体接触板24を一対のワイヤ23で吊していたが、本発明はこれに限られない。流体接触板24が流体の流れ方向から傾くことなく流体の流れ方向に移動する構成であれば、流体接触板24を支持する部材は、いかなる部材であってもよく、流体接触板24をゴム又はエラストマからなる部材で支持してもよい。
上記変形例に関連して、例えば、ゴム又はエラストマからなる一対の板状弾性部材を、それぞれY軸方向を向くようにして、X軸方向に並べて配置してもよい。板状弾性部材は、Y軸方向を向いているので、Y軸方向には変形しにくく、X軸方向には変形しやすいため、X軸方向に作用する流体の壁面せん断応力を精度よく測定できる。
上記実施の形態では、ワイヤ23としてピアノ線を用いていたが、本発明はこれに限られない。例えば、ワイヤ23としてステンレス線、硬鋼線、鉄線等を用いてもよい。また、ワイヤ23は2本であったが、本発明はこれに限られず、例えば、3本以上であってもよい。
上記実施の形態では、発光装置10、受感装置20及び受光装置30は、別々のハウジングを備えていたが、本発明はこれに限られない。例えば、発光装置10、受感装置20、受光装置30の各構成を一つのハウジングに収容してユニット化してもよい。
上記実施の形態3では、動力伝達手段としてターニングベルト15及びプーリー16を例示していたが、本発明はこれに限られない。例えば、動力伝達手段として金属チェーンからなるターニングベルトと当該金属チェーンと係合する歯車とを用いてもよい。
上記実施の形態では、測定システム1を断面矩形状の管路50に固定して、管路50内の流体(内部流れ)の壁面せん断応力を測定する場合を例示したが、本発明はこれに限られない。例えば、測定システム1を船舶の外板等に固定して、船舶の外板に作用する流体(外部流れ)の壁面せん断応力を測定してもよい。
上記変形例に関連して、船舶の外板に作用する流体の壁面せん断応力に基づいて、船舶の対流速度を導出できる。従来、船舶の対地速度の測定が行われてきたが、航行中の船舶における対流速度の測定は実現できていなかった。導出された対流速度を用いて船舶に搭載されたエンジン等の動力源の制御を行った場合、燃費を改善することができる。特に、船舶がタンカーのような大型船の場合、燃費を大幅に改善できる。
また、船舶の海面との間における摩擦抵抗を低減するために、微細気泡を乱流境界層に注入する技術が知られているが、測定システム1を用いることにより、船舶の海面との接触場における、気泡による摩擦抵抗低減現象の詳細な実証実験が可能になる。このため、船舶ごとに測定システム1を用いて実証実験を行うことにより、乱流境界層に微細気泡を流入する量、位置、タイミング等を最適化することができる。
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。各実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。