JP6986897B2 - 緊張材の中間定着具 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の中間定着具は、緊張材が露出された部分に2つの半筒状部材を互いに結合して装着し、これらの間に膨張性グラウトを充填・硬化させて緊張材に固着させるものとなっている。そして、2つの半筒状部材からなる定着具をコンクリート構造物の残す部分と一体となった支圧層に当接させて緊張材を定着する。
特許文献2に記載の中間定着具は、2つの半割り鋼スリーブを併せてなる鋼管スリーブを露出したPC鋼材に装着し、これらの半割り鋼スリーブの周囲に複数の板状C型部材を嵌め合わせて2つの半割り鋼スリーブを互いに固定する。そして、鋼管スリーブ内に膨張材を流し込んで膨張圧により鋼管スリーブとPC鋼材とを一体化するものとなっている。
上記先行技術は、筒状となった部材と緊張材との間に充填材が充填され、この充填材が硬化する時の膨張圧を利用して筒状となった部材と緊張材を一体化するものである。このため、充填材が硬化したときに適正な膨張圧が生じていなければならず、充填材の硬化時における厳重な温度管理が必要となって施工性が良好ではない。
また、充填材を介して緊張材を保持する筒状の部材は、充填材の膨張圧に耐え得るとともに緊張材の緊張力を構造物等に伝達することができる強固なものが必要となり、鋼部材とすると重量が大きくなる。このため緊張力が導入されている緊張材の周囲に設置するときの作業性が悪くなっている。
また、この緊張材の中間定着具では、対となる半割ブロックを互いに結合するための結 合手段であるボルトによって、分割された小ブロックを一体に結合することができる。
本請求項に係る緊張材の中間定着具では、緊張材が引っ張られる方向の上流側にある小ブロック対の中空孔の断面縮小率が下流側の小ブロック対より大きくなっているので、小ブロック対が硬化した無収縮モルタルを保持する力が下流側より作用しやすくなる。したがって、緊張材と硬化した無収縮モルタルとの間でずれようとする力が、断面縮小率が均等である場合に比べて緊張材の軸線方向に均等に近い状態で作用する。これにより、硬化した無収縮モルタルが緊張材を保持する耐力が増大する。
図1は、本発明に係る緊張材の中間定着具を示す側面図、正面図及び平面図であり、図2は、図1中に示すA−A線及びB−B線における断面図である。
この緊張材の中間定着具1は、緊張力が導入されている緊張材9の中間部分に装着されたものであり、二つの半割ブロック3,4からなる定着ブロック2と、二つの半割ブロック3,4を互いに結合して一体とする結合手段である複数のボルト5とを備えるものである。二つの半割ブロック3,4はいずれも鋼からなるものであり、外形がほぼ直方体となっている。そして、これらを重ね合わせたときに、これらの半割ブロック3,4の間に断面形状がほぼ円形となる中空孔6が形成されるものとなっている。
上記被膜は合成樹脂に代えて合成ゴム又は天然ゴム等によって形成されるものであってもよい。
第1の半割ブロック3の、緊張材9が引っ張られる方向Dの上流側の端部付近には、排出口12が設けられており、注入口11から充填材10を注入するときに、中空孔6内の空気を排出して充填材10が円滑に注入されるものとなっている。
このとき、中空孔6内の硬化した充填材10は緊張材9に付着しており、緊張力によって緊張材9とともに定着ブロック2に対して引っ張られる。このとき、中空孔6の内周面と硬化した充填材10との間に介挿されている合成樹脂の被膜は弾性係数が小さいことによって変形し、緊張材9と硬化した充填材10とが定着ブロック2に対して微小に変位する。これにともない、内径が引っ張られる方向Dに向かって縮小されている中空孔6の内周面から硬化した充填材10に対して、中空孔6の中心方向に圧縮力が作用する。そして、緊張力が大きく作用して充填材10を介して定着ブロック2に伝達されるのにともない、さらに強い圧縮力が中空孔6の内周面から硬化した充填材10に作用し、充填材10と緊張材9との間に強い圧縮力が作用する。したがって、緊張材9から定着ブロック2に対して力が伝達される初期においては緊張材9と硬化した充填材10との間に生じずれようとする力は小さく、被膜の変形が生じて圧縮力が強く作用する状態で硬化した充填材10と緊張材9との間のずれようとする力が増大する。これにより、圧縮力の作用下で緊張材9は硬化した充填材10によって強固に把持され、緊張材9が中間定着具1から抜け出すことなく、緊張材9を構造物等に定着することができる。
図3は、本発明に係る緊張材の中間定着具1を用いてプレストレストコンクリートからなる橋桁の一部を撤去する例を示す概略断面図である。
この橋桁20は複数の主桁21を有するものであり、これらの主桁21に支持される床版22には幅方向に横締め緊張材23が配置されている。この橋桁20を老朽化等の理由によって架け替えるものであり、幅方向の約半分を残存させて車両等の交通を維持するとともに、約半分を撤去して新たな橋桁に架け替える。そして、新たな橋桁が完成すると、交通を新たな橋桁上に切り代え、最初に残存させた部分を撤去してこの部分も新たな橋桁に架け替えるものである。橋桁20の幅方向の約半分を撤去するためには残存させる部分20aで横締め緊張材23の緊張力を維持し、撤去する部分20bではコンクリートを破砕するとともに横締め緊張材23の緊張力を解放して切断することになる。
最初に、橋桁20の幅方向におけるほぼ中央部でコンクリートを斫り、緊張材23を露出させる。そして、図3(a)及び図4に示すように、この部分に本発明に係る緊張材の中間定着具1を装着する。二つの半割ブロック3,4は緊張力が導入されている緊張材23の両側から中空孔となる位置に緊張材23が挿通されるように配置し、互いに結合して支持する。
二つの半割ブロック3,4を結合して形成された中空孔6は、図4(b)に示すように両端に板材24等を接着し、緊張材23が通過する状態で閉鎖する。そして、中空孔6内に注入口11から充填材を注入する。
なお、装着された中間定着具1を埋め込むように打設するコンクリート25に代えて、図6に示すように残存させる部分20aと一体となり、定着ブロック2と密接するようにコンクリート26を打設してもよい。また、このように打設するコンクリート26と定着ブロック2との間には鋼プレート27等を介挿することもできる。
この緊張材の中間定着具31は、図1及び図2に示す中間定着具1と同様に、二つの半割ブロック33,34からなる定着ブロック32と、二つの半割ブロック33,34を互いに結合して一体とする複数のボルト35とを備えるものである。そして、この中間定着具31では二つの半割ブロック33,34が、それぞれ複数に分割されている。つまり、分割された複数の小ブロックが緊張材36の軸線方向に配列され、これらが結合されてそれぞれの半割ブロック33,34を形成している。それぞれの小ブロックは、第1の半割ブロック33と第2の半割ブロック34とで分割位置が同一となっており、同数の小ブロックがそれぞれ対となっている。
第1の半割ブロック33に設けられてボルト35が挿通されるボルト孔37及び第2の半割ブロック34に設けられてボルト35の先端部がねじ込まれるボルト孔38は、図1に示す中間定着具1と同様に設けられている。
これらの小ブロック対のそれぞれに設けられた中空孔39の内周面には、図1に示す中間定着具1と同様に合成樹脂又はゴムの薄層が形成され、中空孔39内には充填材の注入孔(図示しない)から充填材40が充填される。そして、充填材が硬化することによって二つの半割ブロック33,34からなる定着ブロック32と緊張材36とが一体に結合されるものである。
このような使用例では、図12に示すように橋桁61の残存させる部分61aで緊張材の周囲のコンクリート63を斫り、緊張材62を露出させる。そして、本発明の中間定着具71を緊張材62に装着し、この中間定着具71を埋め込むようにコンクリートを打設して橋桁の残存させる部分61aと一体とする。
打設したコンクリートが硬化した後、図13(a)に示すように仮支柱64によって橋桁61を仮支持し、橋桁の端部61bのコンクリートを破砕して除去するとともに中間定着具71より端部側で緊張材62の緊張力が開放された部分を切断する。切断した緊張材62には、図13(b)に示すように新たな緊張材65を接続して、桁端部の新たなコンクリート66を打設する。そして、硬化後に接続した緊張材64に緊張力を導入して橋桁端部の補修を完了する。
20:橋桁, 20a:橋桁の残存させる部分, 20b:橋桁の撤去する部分, 21
:主桁, 22:床版, 23:緊張材, 24:中空孔を閉鎖する板材, 25:中間定着具を埋め込むコンクリート, 26:定着ブロックと密接するコンクリート, 27
:鋼プレート,
31:中間定着具, 32:定着ブロック, 33:第1の半割ブロック, 34:第2の半割ブロック, 35:ボルト, 36:緊張材, 37:第1の半割ブロックに設けられたボルト孔, 38:第2の半割ブロックに設けられたボルト孔, 39:中空孔,
40:充填材, 41:小孔, 42:長ボルト, 43:ナット, 44:ピン孔,
45:位置決めピン, 46:溝,
51:中間定着具, 52:緊張材, 53:第1の半割ブロック, 54:第2の半割ブロック, 55:ボルト対,
61:橋桁, 62:緊張材, 63:定着具を露出させるために斫るコンクリート,
64:仮支柱, 65:新たに接続した緊張材, 66:桁端部に打設したコンクリート, 71:中間定着具
Claims (5)
- すでに緊張力が導入されている緊張材の中間部分に装着され、緊張力が導入された状態を維持したまま構造物に定着する緊張材の中間定着具であって、
分離可能で対となる半割ブロックが互いに接合され、双方の半割ブロック間に前記緊張材が挿通される中空孔が形成された定着ブロックと、
これらの半割ブロックを互いに結合する結合手段と、を有し、
前記中空孔内に挿通された緊張材と前記中空孔の内周面との間に充填され、硬化した無収縮モルタルによって前記定着ブロックと前記緊張材とが結合され、
前記中空孔は全長にわたって、又は前記中空孔の一部は、前記緊張材が引っ張られる方向に向かって徐々に断面が縮小されており、
前記定着ブロックに形成された前記中空孔の内周面には、ゴム又は合成樹脂の薄層が形成されていることを特徴とする緊張材の中間定着具。 - 前記結合手段は、前記緊張材の軸線方向に配列された複数列のボルトを有するものであり、
前記半割ブロックの少なくとも一方は、前記緊張材の軸線方向に配列された複数の小ブロックに分割されており、
前記緊張材の両側に配置された少なくとも一対の前記ボルトによってそれぞれの前記小ブロックが対向する他方の半割ブロックと結合されており、
一方の前記半割ブロックの複数に分割された小ブロックのうち、少なくとも二つが他方の半割ブロックの複数に分割された小ブロックの一つ、又は分割されていない単一の半割ブロックと結合されていることを特徴とする請求項1に記載の緊張材の中間定着具。 - 前記結合手段は、前記緊張材の軸線方向に配列された複数列のボルトを有するものであり、
前記半割ブロックの少なくとも一方は、前記緊張材の軸線方向に配列された複数の小ブロックに分割されており、
前記緊張材の両側に配置された少なくとも一対の前記ボルトによってそれぞれの前記小ブロックが対向する他方の半割ブロックと結合されており、
分割された前記小ブロックのそれぞれには、緊張材の軸線方向に小孔が設けられ、
前記小孔に挿通された長ボルトによって複数の前記小ブロックが締め付けられていることを特徴とする請求項1に記載の緊張材の中間定着具。 - 前記結合手段は、前記緊張材の軸線方向に配列された複数列のボルトを有するものであり、
前記半割ブロックの少なくとも一方は、前記緊張材の軸線方向に配列された複数の小ブロックに分割されており、
前記緊張材の両側に配置された少なくとも一対の前記ボルトによってそれぞれの前記小ブロックが対向する他方の半割ブロックと結合されており、
分割された前記小ブロックのそれぞれには、該小ブロック間の接合面にピン穴が設けられ、
該ピン穴には、接合される双方の小ブロックにわたって位置決めピンが挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の緊張材の中間定着具。 - 前記結合手段は、前記緊張材の軸線方向に配列された複数列のボルトを有するものであり、
前記半割ブロックの双方が、前記緊張材の軸線方向に配列された複数の小ブロックに分割されており、
前記緊張材の両側に配置された少なくとも一対の前記ボルトによってそれぞれの前記小ブロックが対向する他方の半割ブロックと結合されており、
前記半割ブロックの一方と前記半割ブロックの他方とは、前記緊張材の軸線方向における同じ位置で複数の小ブロックに分割され、それぞれの半割ブロックが有する小ブロックが互いに結合されて小ブロック対を形成しており、
各小ブロック対に形成されている前記中空孔は、前記緊張材の軸線方向に連続して設けられ、
前記緊張材が引っ張られる方向の上流側にある小ブロック対が形成する中空孔の断面の縮小率が、下流側にある小ブロック対が形成する中空孔の断面の縮小率より大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の緊張材の中間定着具。
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