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JP6988366B2 - 水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断方法及び診断装置 - Google Patents
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水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断方法及び診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、水冷式ターボ冷凍機において、冷却水汚れによる冷凍機性能低下を診断する方法または装置に関する。
ターボ冷凍機では、圧縮機、凝縮器、蒸発器を相互に配管接続されて、冷凍サイクルが構成される。
ターボ冷凍機には、空冷式と水冷式がある。中でも、水冷式のターボ冷凍機では、屋外の冷却塔との間で冷却水が循環する。冷却塔には開放式と密閉式があるが、開放式冷却塔の場合、冷却水が外気と接触して汚れ、冷凍機内部の熱交換器(凝縮器)の伝熱面に汚れが付着して、熱交換性能が低下する。熱交換性能の低下が進行すると、冷凍機で、同じ水量、同じ温度の冷水を製造するために必要な電力使用量が大きくなってしまう。そのため、冷却水汚れによる性能低下を評価し、伝熱面への汚れ付着を防止するための薬品添加量をコントロールすることは重要である。
従来、冷媒凝縮温度と冷却水の凝縮器出口温度の差(LTD=Leaving Temprature Differenceと呼ばれる)を測定・記録し、LTDで冷凍機性能を評価するという簡便な方法が採用されることが多かった。
これまで、冷凍機と冷却塔の間を循環する冷却水は、一定流量であることが多かった。しかしながら、省エネのため、冷却負荷に応じて、冷却水量をインバータで制御する事例が増えている。このような場合、伝熱面の汚れ状況とは無関係にLTDが変動することになるため、冷却水量一定を前提とした冷凍機の性能管理指標であるLTDを、冷却水量が変動する水冷式ターボ冷凍機の性能管理指標として使用することは、適切でない。また、伝熱面の汚れ状況が同じであっても、冷却負荷の大小によってLTD値は変化するため、同じ冷却負荷時のデータのみを抽出して性能管理する等の工夫が必要であった。
例えば、特許文献1には、「吸収式冷温水機冷却水汚れ診断システム」が示されている。これは、凝縮器と吸収器のそれぞれにおいて、正規化された対数平均温度差(=診断時の対数平均温度/正常時の対数平均温度差)を演算し、それに基づいて冷却水汚れを判定する冷却水汚れ診断システムである。
また、特許文献2には、「熱源機器の劣化診断システム」が示されている。特許文献2には、熱源機の性能劣化との関係が明らかな「凝縮器管内汚れ係数」や「凝縮器管内熱伝達率」を用いて診断を行うことによって、診断結果と熱源機の性能劣化との関係、伝熱管洗浄時の性能回復効果の予測が容易にかつ精度良く行えることが開示されている。
特開平7−151416号公報 特開2005−345046号公報
しかしながら、特許文献1及び2には、「冷却水汚れが、冷凍機の運転コストに及ぼす影響が不明である」という共通の課題が残る。
特許文献1では、汚れが及ぼすデメリットが定量化されておらず、「正規化された対数平均温度差」がどの値に達したら、「対策が必要」と判断し、それをどこまで下げれば「異常でない」と判断できるのかが不明である。
また、特許文献2では、「凝縮器管内汚れ係数」や「凝縮器管内熱伝達率」がどのような値に達したら「対策が必要」と判断するのかが不明である。また、伝熱管洗浄時の性能回復効果についても、コスト的にどの程度メリットがあるのかを定量的に示すことは難しい。
例えば、汚れ係数に上限値を設定して、それを管理指標とすることは無駄ではないものの、薬品添加、洗浄等の対策を講じるための根拠としては不十分である。対策を講じるための根拠としては、コスト的なメリットを定量的に示す方が、望ましい。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、水冷式ターボ式冷凍機において、伝熱面汚れ度合いを定量的に示し、薬品添加等の対策によるコスト低減効果を得ることの可能な診断方法及び診断装置を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を達成するために、冷凍機まわりの運転データを解析し、鋭意研究を重ねた結果、水冷式ターボ冷凍機の成績係数(COP;Coefficient of Performance)が、冷却水と冷水の対数平均温度差と相関性が高いことの知見を得ることで、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断方法であって、前記冷凍機の運転時における実際の運転時COP及び運転時対数平均温度差を算出するステップと、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態でのCOPと対数平均温度差との関係を示す相関式を用いて、対数平均温度差の値が前記運転時対数平均温度差の値である場合における、前記水冷式ターボ冷凍機が前記正常時状態である場合の正常時COPを算出するステップと、前記運転時COPと前記正常時COPとの比から、前記冷凍機内部の凝縮器における伝熱面汚れ度合いを診断するステップと、を含む、水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断方法である。
(2)また、本発明は、前記伝熱面汚れ度合いを診断するステップが、前記冷凍機における電力増加量に基づく診断をさらに行う、(1)に記載の性能低下診断方法である。
(3)また、本発明は、前記伝熱面汚れ度合いを診断するステップが、前記運転時COPと前記正常時COPとの比及び/又は前記冷凍機における電力増加量の経時変化の傾向に基づいて行われる、(1)又は(2)に記載の性能低下診断方法である。
(4)また、本発明は、前記運転時COPと前記正常時COPとの比があらかじめ設定した範囲にない場合及び/又は電力増加量があらかじめ設定した値以上になった場合に警報発信するステップをさらに含む、(1)から(3)のいずれかに記載の性能低下診断方法である。
(5)また、本発明は、水冷式ターボ冷凍機の性能低下を診断する性能低下診断装置であって、前記冷凍機の運転時における実際の運転時COP及び運転時対数平均温度差を算出する運転時パラメータ算出手段と、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態でのCOPと対数平均温度差との関係を示す相関式を用いて、対数平均温度差の値が前記運転時対数平均温度差の値である場合における、前記水冷式ターボ冷凍機が前記正常時状態である場合の正常時COPを算出する正常時COP算出手段と、前記運転時COPと前記正常時COPとの比から、前記伝熱面汚れ度合いを診断する診断手段と、を備える、性能低下診断装置である。
(6)また、本発明は、前記診断手段が、前記冷凍機における電力増加量に基づいて前記伝熱面汚れ度合いを診断する、(5)に記載の性能低下診断装置である。
(7)また、本発明は、前記運転時COPと前記正常時COPとの比及び/又は前記冷凍機における電力増加量の経時変化を記録する記録手段をさらに備え、前記診断手段は、前記記録手段に記録された結果に基づいて前記伝熱面汚れ度合いを診断する、(5)又は(6)に記載の性能低下診断装置である。
(8)また、本発明は、前記運転時COPと前記正常時COPとの比があらかじめ設定した範囲にない場合及び/又は電力増加量があらかじめ設定した値以上になった場合に警報発信する警報手段をさらに備える、(5)から(7)のいずれかに記載の性能低下診断装置である。
本発明によると、冷却水と冷水の対数平均温度差を用いて、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態での正常時COPを算出し、冷凍機の運転時における実際の運転時COPと、計算によって得られた正常時COPとの比から、水冷式ターボ冷凍機内部の凝縮器における伝熱面汚れ度合いを診断する。その結果、冷媒凝縮温度と冷却水の凝縮器出口温度の差(LTD)から上記伝熱面汚れ度合いを診断する場合に比べ、より正確に伝熱面汚れ度合いを診断でき、結果として、薬品添加や洗浄による冷凍機の性能維持コストを低減することができる。
運転時COPと正常時COPとの比の方が、冷却水量や冷却負荷の変動を受けやすいLTDよりも、変動幅が小さく、伝熱面の汚れ度合いの推移をより正確にとらえることができるため、冷凍機の性能を診断するパラメータとして好適である。また、COPは、熱交換器における電力使用量と関連性が高く、運転時COPと正常時COPとの比の方が、電力消費量またはコスト増加量の算出を容易に行うことが可能である。このため、薬品添加や洗浄に伴う冷凍機の性能維持コストを低減するという観点では、運転時COPと正常時COPとの比を採用することが好適である。
図1は、本実施形態に係る性能低下診断装置1を備えた冷凍システムの概略構成を示した模式図である。 図2は、本実施形態に係る性能低下診断装置1の詳細構成を示した模式図である。 図3は、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態でのCOPと対数平均温度差との相関関係を1次関数近似したことを説明するための図である。 図4は、横軸を時間軸、縦軸を正規化COPにしたトレンドグラフの一例である。 図5は、横軸を時間軸、縦軸を電力増加量にしたトレンドグラフの一例である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<冷凍システムの概略構成>
図1は、本実施形態に係る性能低下診断装置1を備えた冷凍システムの概略構成を示した模式図である。冷凍システムは、性能低下診断装置1と、水冷式ターボ冷凍機5とを備え、これら性能低下診断装置1と水冷式ターボ冷凍機5とは、通信ネットワーク6を介して接続されている。
〔性能低下診断装置1の概略構成〕
性能低下診断装置1は、水冷式ターボ冷凍機5から通信ネットワーク6を介して送られた水冷式ターボ冷凍機5での計測値を入力する計測値入力部10と、計測値入力部10に入力されたデータおよびデータベース40に書き込まれたデータを処理するデータ処理部20と、データ処理部20によって処理された結果を表示する表示部30と、計測データおよびその加工データを収録するデータベース40とを有する。
計測値入力部10及びデータ処理部20は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の制御装置を含んで構成される。データ処理部20は、それ自身に記憶された所定のプログラムを実行して、計測値入力部10から送られたデータおよびデータベース40に書き込まれたデータを演算処理する。そのプログラムは、相関式作成モジュールと、運転時パラメータ算出モジュールと、正常時COP算出モジュールと、診断モジュールと、電力増加量計算モジュールと、記録モジュールと、警報モジュール等から構成される。
相関式作成モジュールは、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態でのCOPと対数平均温度差との関係を示す相関式を作成するためのモジュールである。
運転時パラメータ算出モジュールは、冷凍機の運転時における実際の運転時COP及び運転時対数平均温度差を算出するためのモジュールである。
正常時COP算出モジュールは、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態でのCOPと対数平均温度差との関係を示す相関式を用いて、対数平均温度差の値が運転時対数平均温度差の値である場合における、水冷式ターボ冷凍機5が正常時状態である場合の正常時COPを算出するためのモジュールである。
診断モジュールは、運転時COPと正常時COPとの比から、水冷式ターボ冷凍機5の伝熱面汚れ度合いを診断するためのモジュールである。
電力増加量計算モジュールは、冷却水汚れに伴う電力増加量を計算するためのモジュールである。
記録モジュールは、運転時COPと正常時COPとの比及び/又は水冷式ターボ冷凍機5における電力増加量の経時変化を記録するためのモジュールである。
警報モジュールは、運転時COPと正常時COPとの比があらかじめ設定した値以下になった場合及び/又は電力増加量があらかじめ設定した値以上になった場合に、表示部30に対して警報発信させる処理を実行するためのモジュールである。
表示部30は、水冷式ターボ冷凍機5の状態を管理する管理者に対して、冷却水汚れによる冷凍機性能低下の診断結果を報知可能な構成であれば、特に限定されない。
データベース40は、データやファイルを記憶する装置であって、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等による、データのストレージ部を含んで構成される。
データベース40には、上述した運転時パラメータ算出モジュールと、正常時COP算出モジュールと、診断モジュールと、電力増加量計算モジュールと、記録モジュールと、警報モジュールを実行するためのプログラム等が記憶されている。
〔ターボ式冷凍機5の概略構成〕
ターボ式冷凍機5は、圧縮機と、凝縮器と、蒸発器とを含んで構成される。
[圧縮機]
圧縮機は、冷媒ガスの圧力を高める機能を有する。圧縮機によって圧力が高められた高圧状態の冷媒ガスは、凝縮器に押し込められる。
[凝縮器]
凝縮器は、冷却水と冷媒ガスの熱交換器である。凝縮器に押し込められた冷媒ガスは、冷却水によって間接的に冷却される。冷媒ガスが冷却され、沸点以下になると、冷媒の状態は、気体から液体に変化する。そして、液体としての冷媒は、蒸発器に送られる。
他方、凝縮器を通る冷却水は、冷媒ガスから熱を奪うことで温度が上昇する。
水冷式のターボ冷凍機の場合、冷凍機とは別の場所に冷却塔が設けられ、冷却塔を用いて冷却水の温度を下げ、再び、凝縮器において冷媒ガスを凝縮するための冷却水として利用する。これによって、冷凍機の冷水製造能力を維持することができる。
冷却塔は、屋外に設けられるため、開放式冷却塔の場合、冷却塔と冷凍機の間を循環する冷却水が冷却塔を通過する過程で外気と接触して汚れ、凝縮器における冷却水側流路の伝熱面に汚れが付着するため、熱交換性能が低下する。本実施形態は、この伝熱面の汚れ度合いをより正確に診断し、結果として、伝熱面への汚れ付着防止のための薬品添加や洗浄による冷凍機の性能維持コストを低減するための技術を提供するものである。
[蒸発器]
蒸発器は、水と冷媒の熱交換器である。蒸発器を通過する水は、蒸発器に供給された液体の冷媒に熱を伝える。その際、冷媒は蒸発し、液体から気体(冷媒ガス)に相転移する。相転移した冷媒ガスは、再び圧縮機に供給される。
他方、蒸発器を通過する水は、冷媒の蒸発潜熱に相当する分の熱が奪われて温度が低下し、冷水として冷凍機の外部に供給される。冷凍機から供給された冷水は、冷熱源として空調などの冷却用途に利用され、利用後に再び温度が高くなった水は、冷水用配管を通じて蒸発器へと戻される。
上記のようにして、気体から液体、液体から気体への冷媒の相転移を繰り返すことによって蒸発器で奪った熱を凝縮器で放出することが可能である。このように冷媒の周期的な変化を可能にすることで、冷凍サイクルを実現できる。
[データ収集部51]
また、ターボ式冷凍機5は、その制御に必要なデータ収集部51を含んで構成される。データ収集部51は、冷却塔から凝縮器への冷却水入口温度(Twi)、凝縮器から冷却塔への冷却水出口温度(Two)、空調装置等から蒸発器への冷水入口温度(Tci)、蒸発器から空調装置等への冷水出口温度(Tco)、空調装置等から蒸発器に供給される冷水の流量(F)、ターボ式冷凍機5を駆動するための消費電力(W)の値を計測する。そして、計測された値は、通信ネットワーク6を経由して診断装置に送られ、一定時間おきにデータベース40に収録される。
データの収録の頻度は、性能低下の診断の精度と、計測器入力部10にかかる処理の負担とに応じて適宜調整すればよいが、例えば、データベース40が1分おきの計測データを収録することで、データ処理部20での演算処理に必要なデータを1時間あたり60点得ることができる。
<性能低下診断装置1の詳細構成>
図2は、性能低下診断装置1の詳細構成を示した模式図である。
〔計測値入力部10〕
計測値入力部10には、ターボ式冷凍機5のデータ収集部51において収集された計測データが、通信ネットワーク6を介して入力される。計測値入力部10は、入力されたデータをデータベース40に記録する。
〔データ処理部20〕
データ処理部20は、以下の処理を実行する。
[相関式の作成]
データ処理部20は、相関式作成モジュールを実行し、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態でのCOPと対数平均温度差との関係を示す相関式を作成する。
まず、データ処理部20は、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常状態での計測値入力部10への入力データから、COPと対数平均温度差とを求める。
COPは、以下の式によって得られる。
COP=冷却熱量/消費電力(W)
ここで、冷却熱量=冷水の流量(F)×冷水の比熱×(冷水入口温度(Tci)−冷水出口温度(Tco))である。
対数平均温度差は、以下の式によって得られる。
対数平均温度差=(Δt−Δt)/ln(Δt/Δt
ここで、Δt=冷却水出口温度(Two)−冷水入口温度(Tci)であり、
Δt=冷却水入口温度(Twi)−冷水出口温度(Tco)である。
続いて、データ処理部20は、横軸を対数平均温度差にし、縦軸をCOPにしたときの相関式を得る。
例えば、データベース40が1分おきにデータを収録すると、COPと対数平均温度差との組合せデータを1時間あたり60点得ることができる。1〜4週間程度の運転データから、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態でのCOPと対数平均温度差との関係を相関式で表すことができる。
簡単のため、相関式は、1次関数あるいは指数関数近似であることが好ましい。
上記では、実測値による運転データから相関式を得ることについて説明したが、冷凍機メーカーのカタログ、仕様書等に記載されたデータ等から相関式が得られる場合は、カタログ、仕様書等に記載のデータから相関式を得てもよい。
得られた相関式は、データ処理を行うコンピュータのハードディスクに記録される。
[運転時パラメータの算出]
続いて、データ処理部20は、運転時パラメータ算出モジュールを実行し、冷凍機の運転時における実際の運転時COP及び運転時対数平均温度差を算出する。
運転時COP及び運転時対数平均温度差は、上記[相関式の作成]で用いた式と同じ式によって求められる。
例えば、データベース40が1分おきにデータを収録すると、運転時COPと運転時対数平均温度差との組合せデータを1時間あたり60点得ることができる。
[正常時COPの算出]
続いて、データ処理部20は、正常時COP算出モジュールを実行し、上記相関式を用いて、対数平均温度差の値が運転時対数平均温度差の値である場合における、水冷式ターボ冷凍機5が正常時状態(冷却水汚れによる冷凍機性能低下が全くないと仮定する理想状態)である場合の正常時COPを算出する。
[伝熱面汚れ度合いの診断]
続いて、データ処理部20は、診断モジュールを実行し、運転時COPと正常時COPとの比から、水冷式ターボ冷凍機5の伝熱面汚れ度合いを診断する。
データベース40が1分おきにデータを収録すると、運転時COPと正常時COPとの組合せを1時間あたり60点得ることができる。データ処理部20は、これらの組合せのそれぞれについて、運転時COPの正常時COPに対する比(運転時COP/正常時COP、以下、これを「正規化COP」ともいう。)を算出する。
冷却水汚れによる冷凍機性能低下が全くないと、正規化COPの値は1であり、冷却水汚れによって冷凍機性能が低下するにつれて、正規化COPの値が小さくなる。そのため、本実施形態では、正規化COPをターボ式冷凍機5の性能管理指標の一つとして活用し、正規化COPがあらかじめ設定した値以下になった場合に、冷却水汚れによる冷凍機性能低下が進んでいると診断するものとしている。
本実施形態では、正規化COP、すなわち、運転時COP/正常時COPがあらかじめ設定した値以下になった場合に、冷却水汚れによる冷凍機性能低下が進んでいると診断するが、これに限るものではない。正規化COPの逆数である正常時COP/運転時COPがあらかじめ設定した値以上になった場合に、冷却水汚れによる冷凍機性能低下が進んでいると診断してもよい。
[冷却水汚れに伴う電力増加量の計算]
続いて、データ処理部20は、電力増加量計算モジュールを実行し、冷却水汚れに伴う電力増加量を計算する。
電力増加量は、以下の式によって得られる。
電力増加量=ターボ式冷凍機5を駆動するための消費電力(W)−冷却熱量/正常時COP
ここで、冷却熱量=冷水の流量(F)×冷水の比熱×(冷水入口温度(Tci)−冷水出口温度(Tco))である。
また、正常時COPは、上記[正常時COPの算出]において作成された値である。
あるいは、電力増加量は、以下の式によっても得られる。
電力増加量=冷却熱量×(1/運転時COP−1/正常時COP))
[正規化COP及び/又は電力増加量の経時変化の記録]
続いて、データ処理部20は、記録モジュールを実行し、正規化COP及び/又は水冷式ターボ冷凍機5における電力増加量の経時変化を記録する。
データベース40が1分おきにデータを収録すると、正規化COPを1時間あたり60点得ることができる。そこで、データ処理部20は、データベース40から各時刻の計測データを読み込み、正規化COPを計算し、その計算結果をデータベース40に記録する。
同様に、データ処理部20は、データベース40から各時刻の計測データを読み込み、電力増加量を計算し、その計算結果をデータベース40に記録する。
[警報発信]
続いて、データ処理部20は、警報モジュールを実行し、表示部30に対し、横軸を時間軸、縦軸を正規化COPにしたトレンドグラフ(時系列表示)及び/又は横軸を時間軸、縦軸を電力消費量にしたトレンドグラフを、評価メッセージとともに表示させる。
冷却水汚れによる冷凍機性能低下が全くないと、正規化COPの値は1であり、冷却水汚れによって冷凍機性能が低下するにつれて、正規化COPの値が小さくなる。そのため、本実施形態では、正規化COPをターボ式冷凍機5の性能管理指標の一つとして活用し、正規化COPがあらかじめ設定した値以下になった場合に、表示部30において警報発信するものとしている。
同様に、凝縮器の内部を通過する冷却水への薬品の添加量が不足する場合あるいは不適切な場合、水冷式ターボ冷凍機5における電力使用量が増加傾向を示す。そのため、本実施形態では、電力増加量をターボ式冷凍機5の性能管理指標の一つとして活用し、電力増加量があらかじめ設定した値以上になった場合に、表示部30において警報発信するものとしている。
〔表示部30〕
表示部30は、データ処理部20の処理結果にしたがい、水冷式ターボ冷凍機5の状態を管理する管理者に対して、横軸を時間軸、縦軸を正規化COPにしたトレンドグラフ(時系列表示)、あるいは横軸を時間軸、縦軸を電力消費量にしたトレンドグラフ(時系列表示)を評価メッセージとともに表示可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
本実施形態に記載の性能低下診断装置1を用い、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態における各種データを取得した。各種データは、冷却塔から凝縮器への冷却水入口温度(Twi)、凝縮器から冷却塔への冷却水出口温度(Two)、空調装置等から蒸発器への冷水入口温度(Tci)、蒸発器から空調装置等への冷水出口温度(Tco)、空調装置等から蒸発器に供給される冷水の流量(F)、ターボ式冷凍機5を駆動するための消費電力(W)を含む。各種データの取得の頻度は、1分おきとした。
そして、取得したデータを用いて、COPと対数平均温度差との関係を示す相関式を1次関数近似にて作成した。結果を図3に示す。
結果、y=−0.1813x+10.072の相関式が得られた。なお、xは、対数平均温度差(単位:℃)であり、yは、正常時COP(単位:無次元)である。また、決定係数Rは、0.9475であり、相関式が精度に優れることも確認された。
続いて、性能低下診断装置1を用い、4月から9月の半年間にわたり、ターボ式冷凍機5の各種データを取得した。各種データの種類、取得頻度は、冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態での取得の条件と同じである。
そして、取得した各種データを用いて、ターボ式冷凍機5の運転時における実際の運転時COP及び運転時対数平均温度差を算出した。
また、上記相関式:y=−0.1813x+10.072を用いて、対数平均温度差の値が運転時対数平均温度差の値である場合における、水冷式ターボ冷凍機5が正常時状態である場合の正常時COPを算出した。例えば、ある時刻において、冷水と冷却水の対数平均温度差が20℃であれば、上記相関式のxに20を代入することで、y(正常時COP)=6.45が得られる。
そして、運転時COPと正常時COPとの組合せのそれぞれについて、運転時COPの正常時COPに対する比(正規化COP)を算出した。例えば、上記のように、正常時COPが6.45であり、ターボ式冷凍機5の運転時における実際の運転時COPが6.0であるとすると、正規化COPは、6.0/6.45=0.93となる。
そして、横軸を時間軸、縦軸を正規化COPにしたトレンドグラフ(時系列表示)を表示部30に表示させた。結果を図4に示す。
図4の例では、冷却負荷が変動した場合でも、正規化COPの値は、0.98から1.02の範囲内(概ねプラスマイナス2%程度の範囲内)に収まっており、冷却水汚れによる冷凍機性能低下が少なく、凝縮器に設けられた冷却水用配管の内部への薬品添加や洗浄は、不要と判断できる。
また、冷却水汚れに伴う電力増加量を計算し、横軸を時間軸、縦軸を電力増加量にしたトレンドグラフ(時系列表示)を表示部30に表示させた。結果を図5に示す。
従来法のように、「汚れ係数」や「熱伝達率」の時間的推移をグラフ表示したとしても、それが運転コストにどの程度影響を与えているのかを直接的に把握するのは難しかった。図5のように、電力増加量の時間的推移をグラフ表示することによって、洗浄頻度の見直しなどの対策実施を合理的に進めることができる。
1 性能低下診断装置
10 計測値入力部
20 データ処理部
30 表示部
40 データベース
5 ターボ式冷凍機
51 データ収集部
6 通信ネットワーク

Claims (8)

  1. 冷却水と冷媒の熱交換器である凝縮器と、
    水と冷媒の熱交換器であり、冷水を外部に供給する蒸発器と、を含む水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断方法であって、
    前記水冷式ターボ冷凍機の運転時における実際の運転時COP及び運転時対数平均温度差を算出するステップと、
    冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態でのCOPと対数平均温度差との関係を示す相関式を用いて、前記正常時状態での対数平均温度差の値が前記運転時対数平均温度差の値である場合における、前記水冷式ターボ冷凍機が前記正常時状態である場合の正常時COPを算出するステップと、
    前記運転時COPと前記正常時COPとの比から、前記水冷式ターボ冷凍機内部の前記凝縮器における伝熱面汚れ度合いを診断するステップと、
    を含み、
    前記運転時対数平均温度差および前記正常時状態での対数平均温度差は、いずれも下記の式(1)によって算出される、水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断方法。

    対数平均温度差=(Δt −Δt )/ln(Δt /Δt ) ・・・式(1)
    ただし、前記式(1)中、Δt =T wo −T ci 、Δt =T wi −T co であり、
    wi は前記凝縮器への冷却水入口温度、T wo は前記凝縮器からの冷却水出口温度、T ci は前記蒸発器への冷水入口温度、及びT co は前記蒸発器からの冷水出口温度である。
  2. 前記伝熱面汚れ度合いを診断するステップは、前記水冷式ターボ冷凍機における電力増加量に基づく診断をさらに行う、請求項1に記載の水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断方法。
  3. 前記伝熱面汚れ度合いを診断するステップは、前記運転時COPと前記正常時COPとの比及び/又は前記水冷式ターボ冷凍機における電力増加量の経時変化の傾向に基づいて行われる、請求項1又は2に記載の水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断方法。
  4. 前記運転時COPと前記正常時COPとの比があらかじめ設定した範囲にない場合及び/又は電力増加量があらかじめ設定した値以上になった場合に警報発信するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断方法。
  5. 冷却水と冷媒の熱交換器である凝縮器と、
    水と冷媒の熱交換器であり、冷水を外部に供給する蒸発器と、を含む水冷式ターボ冷凍機の性能低下を診断する性能低下診断装置であって、
    前記水冷式ターボ冷凍機の運転時における実際の運転時COP及び運転時対数平均温度差を算出する運転時パラメータ算出手段と、
    冷却水汚れによる冷凍機性能低下がない正常時状態でのCOPと対数平均温度差との関係を示す相関式を用いて、前記正常時状態での対数平均温度差の値が前記運転時対数平均温度差の値である場合における、前記水冷式ターボ冷凍機が前記正常時状態である場合の正常時COPを算出する正常時COP算出手段と、
    前記運転時COPと前記正常時COPとの比から、前記水冷式ターボ冷凍機の内部の前記凝縮器における伝熱面汚れ度合いを診断する診断手段と、
    を備え
    前記運転時対数平均温度差および前記正常時状態での対数平均温度差は、いずれも下記の式(1)によって算出される水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断装置。

    対数平均温度差=(Δt −Δt )/ln(Δt /Δt ) ・・・式(1)
    ただし、前記式(1)中、Δt =T wo −T ci 、Δt =T wi −T co であり、
    wi は前記凝縮器への冷却水入口温度、T wo は前記凝縮器からの冷却水出口温度、T ci は前記蒸発器への冷水入口温度、及びT co は前記蒸発器からの冷水出口温度である。
  6. 前記診断手段は、前記水冷式ターボ冷凍機における電力増加量に基づいて前記伝熱面汚れ度合いを診断する、請求項5に記載の水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断装置。
  7. 前記運転時COPと前記正常時COPとの比及び/又は前記水冷式ターボ冷凍機における電力増加量の経時変化を記録する記録手段をさらに備え、
    前記診断手段は、前記記録手段に記録された結果に基づいて前記伝熱面汚れ度合いを診断する、請求項5又は6に記載の水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断装置。
  8. 前記運転時COPと前記正常時COPとの比があらかじめ設定した範囲にない場合及び/又は電力増加量があらかじめ設定した値以上になった場合に警報発信する警報手段をさらに備える、請求項5から7のいずれかに記載の水冷式ターボ冷凍機の性能低下診断装置。
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