以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1に示す実施形態の清掃用シートは多層構造のものである。多層構造の清掃用シート1は、親水性繊維2を含む第1繊維層11と、捲縮繊維3を含む第2繊維層12とから少なくとも構成されている。第1繊維層11と第2繊維層12とは隣接して配置されており、両層の間には他の層は介在していない。すなわち、第1繊維層11と第2繊維層12とは直接に隣接している。
図1に示す清掃用シートは、第1繊維層11の一方の面(同図中上部)及び該面と反対側の面(同図中下方)の各面に直接隣接して第2繊維層12が配置されている3層構造のものである。図1に示す清掃用シートは、第1繊維層11の表面に積層されている第2繊維層12の表面が、清掃用シート1の外面をなしている。清掃用シート1における第2繊維層12の表面は、該表面が主たる清掃面として機能する。
上述のとおり、本発明の清掃用シートにおける第1繊維層11は親水性繊維2を含む。第1繊維層11は親水性繊維2のみからなっていてもよく、他の繊維が含まれていてもよい。第1繊維層に親水性繊維2が含まれていることによって、本発明の清掃用シートに水性液を含浸させたウェットシートの態様として用いた場合に、清掃に十分な水分を該シートに保持することができる。親水性繊維2及び水性液の詳細については後述する。
本発明の清掃用シートにおける第2繊維層12は捲縮繊維3を含む。第2繊維層12における捲縮繊維3は、清掃用シート1の外面を構成するように存在している。清掃用シート1の清掃面には、捲縮繊維3の先端部が多数存在している。捲縮繊維3は、その捲縮形態が、螺旋状、ジグザグ状、U字状又はこれらの組み合わせの形態を有している繊維である。捲縮繊維3がこのような捲縮形態となっていることによって、清掃対象面に存在するごみを掻き取りやすくすることができ、その結果、ごみの捕集性を高めることができる。捲縮繊維3としては、例えば繊維形成能を有する合成樹脂からなり、且つ繊維径の大きな繊維が挙げられる。捲縮繊維3の詳細については後述する。
清掃用シート1の清掃面には、捲縮繊維3の先端部が多数存在している。清掃対象面に存在する汚れに対する十分な掻き取り性を発現する観点から、清掃用シート1の清掃面に存在している捲縮繊維3の先端部の本数は、20本/cm2以上であることが好ましく、50本/cm2以上であることがより好ましく、100本/cm2以上であることが更に好ましく、またその上限は4000本/cm2以下であることが好ましく、2000本/cm2以下であることがより好ましく、1000本/cm2以下であることが更に好ましい。なお、捲縮繊維3の先端部の本数は、清掃用シート1の清掃面における単位面積当たりの総重量(g/cm2)を、1本当たりの捲縮繊維の重量(g)で除した値とすることができる。
図2には、図1に示す清掃用シート1を用いてカーペットを清掃する状態が模式的に示されている。図2に示すとおり、カーペット30は、基布部31とパイル部32とを有している。基布部31は、床等の硬質表面と対向する面である。パイル部32はカーペットなどにおける清掃対象面を構成しており、複数のパイル33の集合体となっている。なお、パイルの形状はこれに限られず、例えばループ状のパイルであってもよい。パイル部32には、複数のパイル33が存在していることに起因して、ダスト状や粒状のごみだけでなく、毛髪などの繊維状のごみがパイル33間に保持されやすい状態になっている。
図2に示すとおり、カーペット30の清掃に際しては、清掃用シート1における清掃面である第2繊維層12側の面を、清掃対象面であるカーペット30のパイル部32に向けて当接させる。そして、清掃用シート1をカーペット30に対して軽く押し当てながら該シート1を面方向に沿って複数回にわたって往復移動させる。第2繊維層12に含まれる捲縮繊維3は、繊維径が太く、剛性が高いものであることに起因して、清掃用シート1を往復移動させることで、捲縮繊維3がパイル33間に容易に入り込むようになる。また捲縮繊維3は、捲縮していることに起因して、該捲縮繊維3は、パイル33間に存在するダスト状又は粒状のごみに加えて、毛髪などの繊維状のごみも捲縮繊維3間に絡めとって捕集し、パイル33外へ掻き出す。このようにして、カーペット30のパイル33間に存在するごみが効果的に除去される。
ごみの捕集性を高め、且つ清掃対象面からの汚れの除去を効率的に行う観点から、本発明の清掃用シートは、水性液が含浸されているウエットシートの態様であることが好ましい。特に、清掃用シート1における親水性繊維2が、第1繊維層11と直接に隣接している第2繊維層12側へ一部露出しており、該繊維2が第2繊維層12の表面に一部存在していると、清掃用シート1をウエットシートの態様とした場合、該シート1に含浸されていた水性液の清掃対象面への徐放性が向上し、広い面積を清掃できるという利点も奏されるので好ましい。また、清掃後において、水性液の過剰な放出による清掃対象面の過度の濡れを防ぐことができるという利点も奏されるので好ましい。
水性液の徐放性を適切に調整する観点から、第2繊維層12の表面に露出している親水性繊維2の存在割合は、清掃面全体の面積に対して、3%以上であることが好ましく、5%以上であることが更に好ましく、また捲縮繊維3の掻き取り性能を発揮させる観点から、50%以下であることが好ましく、40%以下であることが更に好ましい。このような親水性繊維の存在割合を有する清掃用シートは、後述する製造方法によって製造することができる。
第2繊維層12の表面に露出している親水性繊維2の存在割合は、以下のように測定することができる。すなわち、親水性染料でシート全体を染色後、清掃面表面の写真を撮影し、その写真を画像処理によって2値化処理して、清掃面全体の面積に対する染色された面積の割合を算出することで求めることができる。
清掃用シートをウエットシートの態様とした場合、該シートでの水性液の保持性を高める観点から、水性液は、主として親水性繊維を含む第1繊維層に含浸されていることが好ましい。
本発明に用いられる水性液としては、水単独や、添加剤を含む水溶液など、清掃用シートに用いられる一般的な組成のものを用いることができる。水性液に用いられる添加剤としては、例えば界面活性剤、殺菌剤、香料、芳香剤、消臭剤、pH調整剤、キレート剤、漂白剤、アルコール及び研磨粒子などが挙げられる。
清掃用シート1に水性液が含浸されている場合、清掃対象面からの汚れの除去と清掃後の清掃対象面等の感触の維持とを両立する観点から、清掃用シートおける水性液の含浸割合は、乾燥状態の清掃用シートの質量に対して100質量%以上とすることが好ましく、150質量%以上とすることが更に好ましい。また、乾燥状態の清掃用シートの質量に対して500質量%以下とすることが好ましく、450質量%以下とすることが更に好ましい。
第1繊維層11に含まれる親水性繊維2としては、天然繊維、再生繊維、及び繊維形成能を有する合成樹脂からなる合成繊維の表面に親水化処理を施した繊維などを用いることができる。
天然繊維としては、例えばセルロース繊維が挙げられ、具体例としてはコットンやパルプ等が挙げられる。再生繊維としては、例えばレーヨン、キュプラ、リヨセル、テンセル等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。繊維形成能を有する合成樹脂からなる合成繊維の表面に施す親水化処理としては、例えば各種界面活性剤の塗布又は樹脂中への練り込みや、コロナ放電処理などが挙げられる。親水性繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、清掃用シート1に水性液を含浸させたときの液保持性と液徐放性のバランスを良好にする観点から、パルプからなる親水性繊維を用いることが好ましい。
繊維どうしの良好な繊維ネットワークを形成する観点から、親水性繊維2の繊維径は、5μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、またその上限は30μm以下であることが好ましく、28μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが更に好ましい。具体的には、親水性繊維2の繊維径は、5μm以上30μm以下であることが好ましく、8μm以上28μm以下であることがより好ましく、10μm以上25μm以下であることが更に好ましい。繊維径は、拡大平面視で繊維短手方向における最短寸法で定義される繊維の太さのことであり、例えばキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−5000によって測定される。
清掃用シートの強度及び成形性を高める観点から、第1繊維層11には、親水性繊維2に加えて他の繊維が含まれていてもよい。このような他の繊維としては、例えば親水性繊維どうしのバインダーの役割をする熱融着性繊維が好ましく挙げられる。熱融着性繊維としては、例えばポリエステル、ポリエチレン、低融点ポリエステル、低融点ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
清掃用シートの強度を高める観点、及びウエットシートの態様としたときに、該シートに含浸された水性液の保持及び放出の制御を適切に行う観点から、第1繊維層11における熱融着性繊維の含有割合は、第1繊維層11全体の質量に対して30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、また90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。具体的には、第1繊維層11における熱融着性繊維の含有割合は、第1繊維層11全体の質量に対して30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
熱融着性繊維は、その繊維径が3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、またその上限は35μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが更に好ましい。具体的には、熱融着性繊維の繊維径は、3μm以上35μm以下であることが好ましく、5μm以上30μm以下であることが更に好ましく、10μm以上25μm以下であることが一層好ましい。この範囲の繊維径を有する熱融着性繊維を用いることで、親水性繊維(例えばパルプ繊維)を適度に固定化するアンカー効果を得ることができる。繊維径は、上述の方法と同様に測定することができる。
他の繊維として熱融着性繊維を用いる場合、熱融着性繊維の繊度は、熱の付与による溶融を効果的に実現させる観点から、0.5dtex以上であることが好ましく、1.0dtex以上であることがより好ましく、1.5dtex以上であることが更に好ましく、またその上限は5.0dtex以下であることが好ましく、4.5dtex以下であることがより好ましく、3.0dtex以下であることが更に好ましい。具体的には、熱融着性繊維の繊度は、0.5dtex以上5.0dtex以下であることが好ましく、1.0dtex以上4.5dtex以下であることがより好ましく、1.5dtex以上3.0dtex以下であることが更に好ましい。
熱融着性繊維は、長繊維の連続フィラメントでもよく、あるいは短繊維のステープルファイバでもよい。熱融着性繊維が短繊維である場合、その繊維長は、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、またその上限は15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることが更に好ましい。繊維長は、拡大平面視で繊維長手方向における最大寸法で定義される繊維長のことであり、例えばキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−5000によって測定される。
清掃用シートの強度を高める観点、及びウエットシートの態様とした時に、水性液を十分に保持させる観点から、第1繊維層11は、その坪量が50g/m2以上であることが好ましく、80g/m2以上以下であることが更に好ましく、またその上限は150g/m2以下であることが好ましく、130g/m2以下であることが更に好ましい。坪量は、50g/m2以上150g/m2以下であることが好ましく、80g/m2以上130g/m2以下であることが更に好ましい。
第1繊維層11の坪量との関係で、第1繊維層11の厚みは、1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることが更に好ましく、またその上限は4mm以下であることが好ましく、3.5mm以下であることが更に好ましい。具体的には、第1繊維層11の厚みは、1mm以上4mm以下であることが好ましく、1.5mm以上3.5mm以下であることが更に好ましい。第1繊維層11の厚みを上述の範囲にすることによって、清掃用シートの強度を維持することができ、使用時におけるシートの破断等が生じにくくなる。また、本発明の清掃用シートをウエットシートの態様で使用した時に、手又は道具によって本発明のシートに圧力を加えたときに応答性高く且つ十分に水性液を徐放させることができる。第1繊維層の厚みは、例えばJIS L 1096:2010に準じ、試料に0.3kPaの一定圧力を10秒間加えたときのシート断面を観察し、拡大平面視で短手方向最短距離をキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-5000によって測定することで求められる。
捲縮繊維3は、繊維形成能を有する合成樹脂からなり、且つ繊維径の大きな繊維であることが好ましい。ごみの掻き取り性能及び汚れの除去性を向上させる観点から、捲縮繊維3は、その繊維の太さ(繊維径)が、親水性繊維2よりも太いことが好ましい。すなわち、親水性繊維2は、その繊維の太さが捲縮繊維よりも細いものであることが好ましい。また、捲縮繊維3の間に汚れを絡め取って除去しやすくする観点から、第2繊維層12の表面に存在する捲縮繊維3は螺旋状に捲縮していることも好ましい。なお、捲縮繊維3を構成する繊維として、熱の付与によって螺旋状の捲縮が発現する繊維である潜在捲縮繊維を用いてもよい。潜在捲縮繊維については、後述する清掃用シートの製造方法にて詳述する。
ごみに対する十分な掻き取り性能又は十分な捕集性能を発現させる観点から、捲縮繊維3の繊度は、5dtex以上であることが好ましく、10dtex以上であることがより好ましく、15dtex以上であることが更に好ましく、またその上限は80dtex以下であることが好ましく、70dtex以下であることがより好ましく、50dtex以下であることが更に好ましい。具体的には、捲縮繊維3の繊度は、5dtex以上80dtex以下であることが好ましく、10dtex以上70dtex以下であることがより好ましく、15dtex以上50dtex以下であることが更に好ましい。
同様の観点から、捲縮繊維3は、その繊維径が、0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましく、2.0mm以上であることが更に好ましく、またその上限は30mm以下であることが好ましく、25mm以下であることがより好ましく、15mm以下であることが更に好ましい。具体的には、捲縮繊維3の繊維径は、0.5mm以上30mm以下であることが好ましく、1.0mm以上25mm以下であることがより好ましく、2.0mm以上15mm以下であることが更に好ましい。なお、捲縮繊維の繊維径とは、捲縮が発現している状態の繊維径を指し、上述の測定方法と同様に測定することができる。
また同様の観点から、捲縮繊維3は、その繊維長が、2mm以上であることが好ましく、2.5mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、またその上限は15mm以下であることが好ましく、12mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることが更に好ましい。具体的には、捲縮繊維3の繊維長は、2mm以上15mm以下であることが好ましく、3mm以上10mm以下であることが更に好ましい。なお、捲縮繊維の繊維長とは、捲縮が発現している状態の繊維長を指す。すなわち、捲縮繊維の繊維長とは、捲縮繊維の見かけの繊維長のことであり、該繊維を引き延ばす等の方法によって捲縮状態を解除した状態で測定した繊維長ではない。捲縮繊維の繊維長は、上述の方法と同様に測定することができる。
ごみの掻き取り性能を一層高める観点から、捲縮繊維3の捲縮数は、1以上であることが好ましく、2以上であることが更に好ましく、またその上限は10以下であることが好ましく、8以下であることが更に好ましい。捲縮繊維の捲縮数は、JIS L 1015に記載の方法に準じて測定することができる。
ごみの掻き取り性能及び汚れの捕集性を一層高める観点から、第2繊維層12の表面に存在する捲縮繊維3が、螺旋状に捲縮していることを条件として、該繊維3における螺旋の軸方向と清掃用シートの面方向とのなす角度が所定の範囲になっていることが好ましい。詳細には、捲縮繊維3における螺旋の軸方向と清掃用シートの面方向とのなす角度が、その角度の平均値として、20度以上であることが好ましく、23度以上であることがより好ましく、25度以上であることが更に好ましく、またその上限は、90度以下であることが好ましく、89度以下であることがより好ましく、88度以下であることが更に好ましい。具体的には、詳細には、捲縮繊維3における螺旋の軸方向と清掃用シートの面方向とのなす角度が、その角度の平均値として、20度以上90度以下であることが好ましく、23度以上89度以下であることがより好ましく、25度以上88度以下であることが更に好ましい。
捲縮繊維3における螺旋の軸方向と清掃用シートの面方向とのなす角度は、例えば以下のように測定することができる。すなわち、試料をカミソリやプロ用ラシャ鋏などで厚み方向に切断し、試料の断面を走査電子顕微鏡(例えば、日本電子製、JSM−IT100)を用いて拡大観察する。試料断面において観察される第2繊維層12の外表面の両端を結んだ直線を「清掃用シートの面方向」とする。また、試料断面において観察される捲縮繊維3の一端と他端とを結んだ直線を「捲縮繊維における螺旋の軸方向」とする。一端及び他端を特定できない場合には、捲縮の始点及び終点をもって、一端及び他端とする。これらの直線がなす角度のうち鋭角側の角度を、走査電子顕微鏡によって測定する。
第2繊維層12は、捲縮繊維3を少なくとも含んで構成されており、捲縮繊維3に加えて他の繊維を含んで構成されていてもよい。他の繊維としては、例えば上述した第1繊維層11に含まれる親水性繊維2や熱融着性繊維などが挙げられる。第2繊維層12において、親水性繊維2を含ませることによって、上述のとおり、清掃用シート1をウエットシートの態様とした場合に、該シート1に含浸されていた水性液の清掃対象面への徐放性が向上し、広い面積を清掃できる。また、捲縮繊維3に加えて熱融着性繊維を含むことによって、清掃用シート1の清掃対象面との摩擦によっても捲縮繊維が脱落しにくくすることができる。熱融着性繊維は、前述したものを使用することができる。
第2繊維層12が捲縮繊維3に加えて他の繊維を含む場合、他の繊維の含有割合は、第2繊維層12全体の質量に対して10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。また、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。具体的には、他の繊維が含まれる割合は、第2繊維層12全体の質量に対して10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。
第2繊維層12は、その坪量が40g/m2以上であることが好ましく、50g/m2以上であることがより好ましく、60g/m2以上であることが更に好ましく、その上限は120g/m2以下であることが好ましく、110g/m2以上であることがより好ましく、100g/m2以下であることが更に好ましい。坪量が上述の範囲内であると、ダストや粒状のごみに加えて、髪の毛等のごみの掻き取り性も一層向上し、且つごみの捕集性及び保持性が一層向上する。
以上の構成を有する清掃用シート1は、例えばカーペット、布張りのソファ又はカーテン等のパイル生地を有する物品をはじめとするリビングファブリックの清掃に好適なものである。特に、清掃用シートをウエットシートの態様とした場合、捲縮繊維3と水性液とによって、ごみを掻き取りやすしつつ、汚れの捕集性を高めることができるので、リビングファブリックの清掃に一層好適なものである。
次に、本発明の別の実施形態を図3を参照しながら説明する。図3に示す実施形態に関し特に説明しない点については、図1及び図2に示す実施形態についての説明が適宜適用される。また図3において、図1及び図2と同じ部材には同じ符号を付した。
図3に示す清掃用シート1は、図1と同様に、第1繊維層11の一方の面及び他方の面の各面に隣接して2つの第2繊維層12が配置されているが、第2繊維層12における捲縮繊維3の配向性が清掃用シート1の一方の面と他方の面とで異なっている。なお、いずれの面においても、親水性繊維2は第2繊維層12の表面に露出している。
詳細には、清掃用シート1における一方の第2繊維層12A及び他方の第2繊維層12Bに着目したときに、第2繊維層12に存在する螺旋状に捲縮した捲縮繊維3が、その螺旋の軸方向と、清掃用シートの面方向とのなす角度の平均値が、一方の第2繊維層12Aと他方の第2繊維層12Bとで異なっている。つまり、図3に示すように、一方の第2繊維層12Aにおける捲縮繊維3の螺旋の軸方向と、清掃用シートの面方向とのなす角度の平均値が、他方の第2繊維層12Bにおける捲縮繊維3の螺旋の軸方向と、清掃用シートの面方向とのなす角度の平均値よりも大きくなっている。捲縮繊維3の螺旋の軸方向と、清掃用シートの面方向とのなす角度の平均値は、上述の方法に従って測定することができる。
このような構成を有していることによって、清掃用シート1に水性液を含浸したときに、清掃対象面への水性液の徐放性能は同じでありながら、清掃した時の使用感を清掃目的に応じて使い分けることができる。例えば、清掃対象面を損傷させないようにソフトな清掃を行いたいときは、捲縮繊維3の螺旋の軸方向と清掃用シートの面方向とのなす角度が小さい第2繊維層12B側の面を使用することができ、汚れが著しい清掃対象面を清掃したいときは捲縮繊維3の螺旋の軸方向と清掃用シートの面方向とのなす角度が大きい第2繊維層12A側の面を使用することができる。
図1ないし図3に示す清掃用シート1は、該シートをそのままで使用してもよく、例えば特開2011−183153号公報に記載の清掃用具などに該シートを取り付けて使用してもよい。清掃用シート1をそのままで使用する場合、図4に示すように、清掃用シート1に複数の切り込み部Cを設けて、図5に示すように、該切り込み部Cに清掃実施者の指を挿入可能にして、清掃対象面Fを清掃することもできる。
清掃用シート1に複数の切り込み部Cを設ける場合、例えば、X方向に延び、親指や小指を好適に挿入可能な第1切り込み部C1と、X方向の一端側に位置し、人差し指、中指及び薬指のうちいずれかの指を好適に挿入可能な第2切り込み部C2とを設けることができる。このような構成となっていることによって、清掃対象面への圧力を清掃用シートを介して略均一に負荷させることができるので、清掃対象面の清掃ムラを減らし、清掃効率を高めることができる。なお、各切り込み部Cと、挿入する指との関係性は特に制限はなく、例えば、一つの切り込み部Cに複数の指を挿入したり、第1切り込み部C1に人差し指、中指及び薬指のうちいずれかの指を挿入し、第2切り込み部C2に親指又は小指を挿入したりするなど、清掃対象面に応じて適宜変更することができる。
以上は、本発明の清掃用シートの好適な実施形態に関する説明であったところ、以下に本発明の清掃用シートの好適な製造方法を、図3に示す清掃用シートの製造方法を例にとり、図6に示す製造装置100に基づいて説明する。本製造方法は、親水性繊維を含むウェブの両面に潜在捲縮繊維を含むウェブを積層して積層体を形成する工程(積層工程)と、該積層体を加熱して一体化させるとともに、潜在捲縮繊維を捲縮させて捲縮繊維とする工程(加熱工程)に大別される。
図6に示す製造装置100は、無端ベルトからなる通気性の搬送ベルト110が備えられている。搬送ベルト110は、2つの搬送ロール111,111が設けられており、単一方向(搬送方向MD)に周回軌道を描くようになっている。
搬送ベルト110の上方には、潜在捲縮繊維3Pを含む第1のウェブ3W(以下、単に「第1ウェブ3W」ともいう。)を積層形成する第1ウェブ形成部120と、親水性繊維2を含む第2のウェブ2W(以下、単に「第2ウェブ2W」ともいう。)を第1ウェブ3Wの上面に積層形成する第2ウェブ形成部130と、潜在捲縮繊維3Pを含む第3のウェブ3W’(以下、単に「第3ウェブ3W’」ともいう。)を第2ウェブ2Wの上面に更に積層形成する第3ウェブ形成部140とが備えられている。第1ないし第3ウェブ形成部120,130,140をこの順で経ることによって、親水性繊維2を含むウェブ2Wの両面に潜在捲縮繊維3Pを含むウェブ3W,3W’が配された積層体5を形成することができる。
また、第1ないし第3ウェブ形成部120,130,140と対向する位置であって、積層体5の下面側には、上述のウェブを搬送ベルト側へ吸引して積層体5を形成するためのサクションボックス150が備えられている。このように、本製造装置は一般的なエアレイド法に用いられる製造装置と同様の構成となっている。
搬送方向MDにおける下流側には、積層体5を加熱するための加熱装置160が備えられている。加熱装置160は、積層体5を加熱して一体化させるとともに、潜在捲縮繊維3Pを捲縮させて捲縮繊維3とするものである。加熱装置160はその内部に積層体5を搬送して、該積層体5を加熱できるようになっている。加熱装置160における積層体5の加熱の態様は特に制限はなく、例えばヒーター、熱風の吹き付け又は赤外線照射などによって加熱することができる。
図6に示す製造装置100を用いた清掃用シートの好適な製造方法は以下のとおりである。まず、親水性繊維2を含むウェブの両面に潜在捲縮繊維3Pを含むウェブを積層して積層体5を形成する(積層工程)。詳細には、第1ウェブ形成部120から、潜在捲縮繊維3Pと、必要に応じてバインダーとしての熱融着性繊維とを含む繊維集合体を供給して、第1ウェブ3Wを搬送ベルト上に形成させる。その後、第2ウェブ形成部130から、親水性繊維2と、必要に応じてバインダーとしての熱融着性繊維とを含む繊維集合体を供給して、第2ウェブ2Wを第1ウェブ3W上に形成させる。更に、第3ウェブ形成部140から、潜在捲縮繊維3Pと、必要に応じてバインダーとしての熱融着性繊維とを含む繊維集合体を供給して、第3ウェブ3W’を第2ウェブ2W上に形成させる。このようにして、親水性繊維2を含むウェブ2Wの両面に潜在捲縮繊維3Pを含むウェブ3W,3W’が配された積層体5を形成することができる。
潜在捲縮繊維は、例えば収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなる。繊維の構成成分としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステルや、ポリアミド、又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。その他の例としては、特開平9−296325号公報等に記載のものが挙げられる。収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料の例としては、例えばエチレン−プロピレンランダム共重合体とポリプロピレンとの組み合わせが挙げられる。よりよい収縮性を発現させる観点から、ポリプロピレンとポリエチレンとの組み合わせを用いたサイド・バイ・サイド型複合繊維であることが好ましい。
次に、積層工程で形成した積層体5を加熱して一体化させるとともに、潜在捲縮繊維3Pを捲縮させて捲縮繊維3とする(加熱工程)。加熱装置160内で積層体5を加熱することによって、バインダーである熱融着性繊維が溶融し、それに起因して、親水性繊維2どうし、潜在捲縮繊維3Pどうし、並びに親水性繊維2及び潜在捲縮繊維3Pがそれぞれ接着される。これとともに、潜在捲縮繊維3Pは、熱の付与によって螺旋状の捲縮が発現し、捲縮繊維3が形成される。このような工程を経て、親水性繊維2及びを含む不織布からなる第1繊維層11と、捲縮繊維3を含む第2繊維層12とを有し、これらの層が積層一体化された清掃用シート1が製造される。各層の一体化を更に強化させたい場合には、ヒートエンボスや超音波エンボスによる融着を更に行うこともできる。
特に、第1ウェブ3Wにおいては、サクションボックス150よって発生した吸引力による第1ウェブ3Wの搬送ベルト110への直接的な押し付けに起因して、第1ウェブ3Wを構成する繊維の配向角度が、第3ウェブ3W’を構成する繊維の配向角度と異なっている。詳細には、第1ウェブ3Wの構成繊維は、該繊維と積層体の面方向とのなす角度が、搬送ベルト110の非接触面を構成する第3ウェブ3W’の構成繊維の軸方向と積層体の面方向とのなす角度と比較して小さいものとなっている。つまり、第3ウェブ3W’の構成繊維は、第1ウェブ3Wの構成繊維よりも毛羽立った状態となっている。
この状態で、加熱工程における加熱処理を積層体5に施すことによって、第1ウェブ3W及び第3ウェブ3W’に存在する潜在捲縮繊維3Pは、熱の付与によって螺旋状の捲縮が発現する。一方、繊維の配向角度は加熱によって略変化しないので、繊維の配向角度と螺旋の軸方向とが略一致した捲縮繊維3が形成される。このようにして製造された図3に示す清掃用シートは、第2繊維層12に存在する螺旋状に捲縮した捲縮繊維3が、その螺旋の軸方向と、清掃用シートの面方向とのなす角度の平均値が、一方の第2繊維層12Aと他方の第2繊維層12Bとで異なっているものとなる。つまり、図3に示すように、一方の第2繊維層12Aにおける捲縮繊維3の螺旋の軸方向と、清掃用シートの面方向とのなす角度の平均値が、他方の第2繊維層12Bにおける捲縮繊維3の螺旋の軸方向と、清掃用シートの面方向とのなす角度の平均値よりも大きくなる。
加熱工程における加熱温度は、構成繊維の原料や融点などによって適宜調節することができるが、130℃以上200℃以下であることが好ましく、140℃以上180℃以下であることが更に好ましい。また、加熱工程における加熱処理の時間は、10秒以上100秒以下とすることができる。具体的には、親水性繊維としてパルプを、熱融着性繊維としてPET/co−PET芯鞘繊維を、潜在捲縮繊維としてPET/co−PET芯鞘繊維を使用した場合、加熱工程における加熱温度は、150℃以上170℃以下とし、加熱工程における加熱処理の時間は、20秒以上80秒以下とすることができる。
潜在捲縮繊維を含むウェブを形成する際に、潜在捲縮繊維及び熱融着性繊維を用いる場合、螺旋状の捲縮性の効率的な発現及びシートの強度確保の観点から、潜在捲縮繊維の繊維径は、熱融着性繊維の繊維径の150%以上であることが好ましく、175%以上であることがより好ましく、200%以上であることが更に好ましい。また、650%以下であることが好ましく、625%以下であることがより好ましく、600%以下であることが更に好ましい。具体的には、捲縮繊維の繊維径は、熱融着性繊維の繊維径の150%以上650%以下であることが好ましく、175%以上625%以下であることが更に好ましく、200%以上600%以下であることが一層好ましい。潜在捲縮繊維の繊維径及び繊維長とは、捲縮が発現した後の繊維径及び繊維長のことである。潜在捲縮繊維の繊維径及び繊維長は、上述の方法と同様に測定することができる。
加熱工程を経て製造された清掃用シートは、このままでドライシート(乾式シート)の態様とすることもでき、加熱工程後の工程において、乾式の清掃用シートに水性液を含浸させる工程を経て、ウエットシート(湿式シート)の態様とすることもできる。
本発明の清掃用シートは、該シートにおける親水性繊維2が第2繊維層12の表面に一部露出するように存在しているところ、このような構成を有する本発明の清掃用シートは、以下の製造条件で製造することができる。すなわち、第1ウェブ形成部120及び第3ウェブ形成部140のフォーミングヘッド内に設けられているパンチング回転ドラムの開口孔を、繊維長よりも若干大きい楕円形、トラック円形又は長方形等の形状にした状態で、潜在捲縮繊維である第1ウェブ3Wを搬送ベルト110上に不均一に積層して、次いで第2ウェブ形成部130から第2ウェブ2Wを第1ウェブ3W上に均一に積層させ、更に第2ウェブ2W上に第3ウェブ3W’を不均一に積層させる。このような製造方法を採用することによって、親水性繊維2が第2繊維層12の表面に一部露出するよう製造することができる。
以上のとおり、各実施形態の清掃用シート1は、例えば、床面、壁面、天井及び柱等の建物の清掃、建具や備品の清掃、物品等の硬質表面の拭き取り、身体及び身体に係る器具の清拭等の他、カーペット、布張りソファ又はカーテン等のパイル生地を有する物品であるいわゆるリビングファブリックを清掃するのに好適なものである。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明はかかる実施形態に制限されない。例えば、各実施形態における清掃用シートは3層構造のシートとして説明したが、第1繊維層11の一方の面のみに第2繊維層12が積層された2層構造となっていてもよい。この場合、第1繊維層11の表面は、清掃用シート1の他方の外面をなしている。
2層構造の清掃用シートを製造する場合は、積層工程において、親水性繊維を含むウェブの片面のみに潜在捲縮繊維を含むウェブを積層して積層体を形成して、然る後に、加熱工程を行えばよい。
また、本発明の清掃用シートは、該シート自体に水性液が担持されていなくてもよい。具体的には、清掃対象面に水性液を直接塗布又は噴霧して、該対象面に水性液が存在している状態下で、乾式の清掃用シートを用いて清掃対象面を清掃してもよい。このような実施形態であっても、本発明の効果は十分に奏される。