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JP7004566B2 - 積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法 - Google Patents
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JP7004566B2 - 積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法 - Google Patents

積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層体及びその製造方法、並びに電子部品の製造方法に関する。
半導体素子を含む半導体パッケージ(電子部品)には、対応サイズに応じて様々な形態が存在し、例えばWLP(Wafer Level Package)、PLP(Panel Level Package)等がある。
半導体パッケージの技術としては、ファンイン型技術、ファンアウト型技術が挙げられる。ファンイン型技術による半導体パッケージとしては、ベアチップ端部にある端子をチップエリア内に再配置する、ファンイン型WLP(Fan-in Wafer Level Package)等が知られている。ファンアウト型技術による半導体パッケージとしては、該端子をチップエリア外に再配置する、ファンアウト型WLP(Fan-out Wafer Level Package)等が知られている。
近年、特にファンアウト型技術は、パネル上に半導体素子を配置してパッケージ化するファンアウト型PLP(Fan-out Panel Level Package)に応用される等、半導体パッケージにおける、よりいっそうの高集積化、薄型化及び小型化等を実現し得る方法として注目を集めている。
半導体パッケージの小型化を図るためには、組み込まれる素子における基板の厚さを薄くすることが重要となる。しかしながら、基板の厚さを薄くすると、その強度が低下し、半導体パッケージ製造の際に基板の破損を生じやすくなる。これに対し、基板に支持体を貼り合わせた積層体が採用されている。
ここで基板と支持体とを貼り合わせる際には、従来、光の透過率に優れる点から、シクロオレフィン構造を有するポリマー、を含有する接着剤が汎用されている。
特許文献1には、シクロオレフィン構造を有するポリマーと、当該ポリマーに相溶する(メタ)アクリレートモノマーと、を含有する接着剤組成物が開示されている。
特開2014-105316号公報
ところで、ファンアウト型技術では、支持体上に配置された基板として、モールド材で封止された基板が用いられたり、支持体上に絶縁樹脂と金属配線とが組み合わさった構造体が設けられることがある。たとえば、このようなモールド材としては、吸湿性のエポキシ樹脂などの樹脂材料が用いられる。半導体パッケージ製造においては、封止材により封止を行った後、薄膜形成、焼成などの高温処理が施される。その際に、封止材が含有する樹脂中の水分等が気化してガスを発生し、基板と支持体との間にボイド(泡)が生じ、これにより支持体が剥がれる等の問題をが生じる懸念がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高温処理を施した場合でも、デバイス層と支持体との間の剥離のリスクを低減できる積層体を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、少なくとも、前記中間層と前記デバイス層とは互いに隣接しており、前記デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体であり、前記中間層は、温度:40℃、湿度:90%RHにおいて、厚み20μm換算値の水蒸気透過率が5g/(m・day)以下との要件を満たす材料により構成される積層体である。
本発明の第2の態様は、支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、少なくとも、前記中間層と前記デバイス層とは互いに隣接しており、前記デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体であり、前記中間層は、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が10000(Pa・s)以上との要件を満たす材料により構成される積層体である。
本発明の第3の態様は、支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、少なくとも、前記中間層と前記デバイス層とは互いに隣接しており、前記デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体であり、前記中間層は、シクロオレフィンポリマーを含む、積層体である。
本発明の第4の態様は、支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体の製造方法であって、支持体上に、接着剤組成物を用いて接着層を形成する接着層形成工程と、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である、デバイス層を形成するデバイス層形成工程と、前記デバイス層上又は前記接着層上に、中間層形成材料を用いて、中間層を形成する中間層形成工程と、前記接着層及び前記中間層を介して、前記支持体上に、前記デバイス層を固定するデバイス層固定工程と、を含み、前記中間層形成材料が、温度:40℃、湿度:90%RHにおいて、厚み20μm換算値の水蒸気透過率が5g/(m・day)以下との要件を満たす材料である、積層体の製造方法である。
本発明の第5の態様は、支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体の製造方法であって、支持体上に、接着剤組成物を用いて接着層を形成する接着層形成工程と、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である、デバイス層を形成するデバイス層形成工程と、前記デバイス層上又は前記接着層上に、中間層形成材料を用いて、中間層を形成する中間層形成工程と、前記接着層及び前記中間層を介して、前記支持体上に、前記デバイス層を固定するデバイス層固定工程と、を含み、前記中間層形成材料が、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃で溶融粘度が10000(Pa・s)以上との要件を満たす材料である、積層体の製造方法である。
本発明の第6の態様は、支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体の製造方法であって、支持体上に、接着剤組成物を用いて接着層を形成する接着層形成工程と、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である、デバイス層を形成するデバイス層形成工程と、前記デバイス層上又は前記接着層上に、中間層形成材料を用いて、中間層を形成する中間層形成工程と、前記接着層及び前記中間層を介して、前記支持体上に、前記デバイス層を固定するデバイス層固定工程と、を含み、前記中間層形成材料が、シクロオレフィンポリマーを含む材料である、積層体の製造方法である。
本発明の第7の態様は、前記第4~6のいずれかの態様に係る積層体の製造方法により積層体を得た後、前記支持基体を介して前記分離層に光を照射して、前記分離層を変質させることにより、前記積層体が備える前記デバイス層から前記支持基体を分離する分離工程と、前記分離工程の後、前記デバイス層に付着する前記接着層および中間層を除去する除去工程と、を含む、電子部品の製造方法である。
本発明によれば、高温処理を施した場合でも、デバイス層と支持体との間の剥離のリスクを低減できる積層体を提供することを課題とする。
本発明を適用した積層体の一実施形態を示す模式図である。 本発明を適用した積層体の一実施形態を示す模式図である。 本発明を適用した積層体の一実施形態を示す模式図である。 本発明を適用した積層体の一実施形態を示す模式図である。 支持体および接着層からなる接着層付き支持体123の製造方法の一実施形態を説明する概略工程図である。図5(a)は、支持基体及び分離層からなる支持基体を示す図であり、図5(b)は、接着層形成工程を説明する図である。 接着層付き支持体123から積層体100を製造する方法の一実施形態を説明する概略工程図である。図6(a)は、接着層付き支持体123を示す図であり、図6(b)は、中間層形成工程を示す図であり、図6(c)は、デバイス層固定工程を説明する図である。 積層体100から積層体200を製造する方法の一実施形態を説明する概略工程図である。図7(a)は、積層体100を示す図であり、図7(b)は、研削工程を説明する図であり、図5(c)は配線層形成工程を説明する図である。 積層体200から半導体パッケージ(電子部品)を製造する方法の一実施形態を説明する概略工程図である。図8(a)は、積層体200を示す図であり、図8(b)は、分離工程を説明する図であり、図8(c)は、除去工程を説明する図である。 エポキシ樹脂を含むモールド材からのガス放出量を測定したグラフである。図9(a)は、全ガス放出量を示すグラフであり、図9(b)は、水蒸気放出量を示すグラフである。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」又は「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。「ヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。尚、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1~5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1~5が好ましく、1が最も好ましい。
(積層体(第1の態様))
本発明の第1の態様に係る積層体は、支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、少なくとも、前記中間層と前記デバイス層とは互いに隣接してたものである。前記デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である。前記中間層は、温度:40℃、湿度:90%RHにおいて、厚み20μm換算値の水蒸気透過率が5g/(m・day)以下との要件を満たす材料により構成される。
図1は、第1の態様に係る積層体の一実施形態を示している。
図1に示す積層体100は、支持基体1および分離層2からなる支持体12と、接着層3と、中間層10と、基板4および封止材層5からなるデバイス層45と、を備えている。積層体100において、支持体12、接着層3、中間層10及びデバイス層456が、この順に積層している。なお、図1の例では、支持体12は、支持基体1および分離層2からなるが、これに限定されず、支持基体のみから支持体を構成してもよい。
中間層10は、デバイス層45と隣接して設けられており、これにより熱処理時のデバイス層45からガスが放出されたとしても、接着層3側にこのガスが行き渡ることを抑制することができる。
図2は、第1の態様に係る積層体の別の実施形態を示している。
図2に示す積層体200は、デバイス層が、基板4、封止材層5および配線層6からなるデバイス層456である以外は、積層体100と同様の構成である。
図3は、第1の態様に係る積層体のさらなる別の実施形態を示している。
図3に示す積層体300は、デバイス層が、配線層6からなる以外は、積層体100と同様の構成である。
図4は、第1の態様に係る積層体のさらなる別の実施形態を示している。
図4に示す積層体400は、デバイス層が、配線層6、基板4および封止材層5からなるデバイス層645である以外は、積層体100と同様の構成である。
<中間層>
中間層は、接着層とデバイス層との間に、デバイス層に隣接して設けられる層であり、中間層形成材料により構成される。中間層は、デバイス層からのガスの放出を抑制する機能を有する。
本実施形態において、中間層形成材料は、下記(要件1-1)を満たす。
(要件1-1):温度:40℃、湿度:90%RHにおいて、厚み20μm換算値の水蒸気透過率が5g/(m・day)以下となる。
上記(要件1-1)における水蒸気透過率の測定は、JIS K7129Bに準拠して行うことができる。
上記(要件1-1)を満たす材料により構成される中間層をデバイス層に隣接して設けることで、デバイス層からのガスの放出を効果的に抑制することができる。上記(要件1-1)における水蒸気透過率は、3g/(m・day)以下が好ましく、1g/(m・day)以下がより好ましい。水蒸気透過率の下限値は特に限定されるものではないが、例えば、0.01g/(m・day)以上である。
中間層形成材料は、上記(要件1-1)を満たし、成膜可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。そのような材料としては、例えば、シクロオレフィンポリマー、無機物、包装用フィルム材料等として用いられる各種樹脂材料等が挙げられる。
≪シクロオレフィンポリマー≫
シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、シクロオレフィンモノマーを含む単量体成分の開環重合体、シクロオレフィンモノマーを含む単量体成分を付加重合させた付加重合体が好適に挙げられる。
前記シクロオレフィンモノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ヒドロキシジシクロペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセンなどの四環体、シクロペンタジエン三量体などの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、又はこれら多環体のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)置換体、アルケニル(ビニルなど)置換体、アルキリデン(エチリデンなど)置換体もしくはアリール(フェニル、トリル、ナフチルなど)置換体等のモノマーが挙げられる。
上記の中でも、特に、ノルボルネン、テトラシクロドデセン及びこれらのアルキル置換体からなる群より選ばれる、ノルボルネン構造を有するモノマー由来の構成単位を有するポリマーが好ましい。このような、ノルボルネン構造をもつシクロオレフィンポリマーを用いることにより、水蒸気透過率を低減することができる。
シクロオレフィンポリマーは、前記シクロオレフィンモノマーと共重合可能なモノマーを単量体単位として有していてもよい。
かかる共重合可能なモノマーとしては、例えば、アルケンモノマーが好適に挙げられる。このアルケンモノマーは、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、炭素数2~10のアルケンモノマーが挙げられ、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン等のα-オレフィンが好ましく、これらの中でも、エチレンを単量体単位とすることがより好ましい。
シクロオレフィンポリマー中、シクロオレフィンモノマー単位の含有割合は、シクロオレフィンポリマーを構成する全構成単位(100モル%)に対して、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましい。シクロオレフィンモノマー単位の含有割合が、上記好ましい範囲の下限値以上であると、水蒸気透過率を低減することができる。シクロオレフィンモノマー単位の含有割合の上限は特に限定されるものではないが、シクロオレフィンポリマーを構成する全構成単位(100モル%)に対して、例えば、90モル%以下である。
シクロオレフィンポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、シクロオレフィンポリマーは、例えば、シクロオレフィンモノマーとアルケンモノマーとからなる単量体成分を重合させてなる樹脂のように、極性基を有していない樹脂であることが、高温下でのガスの発生を抑制する点から好ましい。
単量体成分を重合するときの重合方法や重合条件等については、特に制限はなく、常法に従って適宜設定すればよい。
シクロオレフィンポリマーの市販品としては、例えば、ポリプラスチックス株式会社製の「TOPAS(商品名)」、三井化学株式会社製の「APEL(商品名)」、日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR(商品名)」、日本ゼオン株式会社製の「ZEONEX(商品名)」、JSR株式会社製の「ARTON(商品名)」等が挙げられる。
シクロオレフィンポリマーは、適宜、他の成分を添加して、シクロオレフィンポリマー組成物として中間層に用いてもよい。かかる他の成分としては、例えば、希釈溶剤、重合禁止剤、重合開始剤、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤、界面活性剤等が挙げられる。これらは、公知のものを特に制限なく用いることができる。希釈溶剤としては、例えば、後述する「≪接着層≫」において挙げたもの等が挙げられる。
≪無機物≫
中間層形成材料としての無機物は、上記(要件1-1)を満たすものであれば特に限定されない。かかる無機物としては、例えば、金属、金属化合物及びカーボンからなる群より選択される1種類以上が好適に挙げられる。金属化合物とは、金属原子を含む化合物であり、例えば金属酸化物、金属窒化物が挙げられる。
このような無機物としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、SiO、SiN、Si、TiN、及びカーボンからなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。ここで、カーボンとは、炭素の同素体も含まれ得る概念であり、例えばダイヤモンド、フラーレン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブ等を包含する。
無機物膜からなる中間層は、例えばスパッタ、化学蒸着(CVD)、メッキ、プラズマCVD、スピンコート等の公知の技術により、接着層上に形成され得る。
≪各種樹脂材料≫
中間層形成材料として使用可能な樹脂材料は特に限定されず、上記(要件1-1)を満たす材料であれば、例えば、包装用フィルム材料として公知の樹脂材料等を用いることができる。かかる樹脂材料としては、例えば、下記表1に示す樹脂材料が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 0007004566000001
表1における各略語は、以下のとおりである。
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:無延伸ポリプロピレン
ONY:ナイロン
PVDC:ポリ塩化ビニリデン
VDC:塩化ビニル
MA:メタクリル酸
OPP:二軸延伸ポリプロピレン
PVC:ポリ塩化ビニル
中間層形成材料は、上記(要件1-1)に加えて、下記(要件1-2)を満たすことが好ましい。
(要件1-2):厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が10000(Pa・s)以上となる。
上記(要件1-2)における溶融粘度の測定は、動的粘弾性測定装置(Rheogel-E4000、ユービーエム株式会社製)を用い、前述の(要件1-2)に記載の条件に沿って実施することができる。
上記(要件1-1)に加えて(要件1-2)を満たすことで、デバイス層からのガス放出をより効果的に抑制することができる。上記(要件1-2)における溶融粘度は、15000(Pa・s)以上が好ましく、20000(Pa・s)以上がより好ましく、25000(Pa・s)以上がさらに好ましい。溶融粘度の上限値は特に限定されるものではないが、例えば、50000(Pa・s)以下である。
中間層の厚さは、例えば0.1μm以上、50μm以下の範囲内であることが好ましく、5μm以上、40μm以下の範囲内であることがより好ましく、10μm以上、30μm以下の範囲内であることがさらに好ましく、15μm以上、25μm以下の範囲内であることが特に好ましい。
中間層の厚さが前記好ましい範囲の下限値以上であれば、デバイス層から放出されるガスの遮断機能が向上する。また、中間層の厚さが前記好ましい範囲の上限値以下であることにより、後の除去工程の妨げとなることがない。
<接着層>
接着層は、支持体と基板とを貼り合わせるための層であり、後述の接着剤組成物を用いて形成することができる。
接着層の厚さは、例えば0.1μm以上、100μm以下の範囲内であることが好ましく、1μm以上、50μm以下の範囲内であることがより好ましく、10μm以上、40μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。接着層の厚さが前記好ましい範囲内であると、支持体と基板とをより良好に貼り合わせることができる。
接着層の厚さ(μm)と上記中間層の厚さ(μm)との比率は、接着層/中間層=1/9~9/1であることが好ましい。前記比率が前記好ましい範囲内であると、支持体と基板との接着性を保ちつつ、デバイス層からのガスの放出を抑制することができる。前記比率は、接着層/中間層=1/5~5/1であることがより好ましく、接着層/中間層=1/1~4/1であることがさらに好ましい。
≪接着剤組成物≫
接着剤組成物は、下記(要件A)を満たすことが好ましい。
(要件A):厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が1000(Pa・s)以上10000(Pa・s)以下となる。
上記(要件A)における溶融粘度の測定は、上記「<中間層>」における(要件1-2)の溶融粘度の測定と同様の手順に従って行うことができる。
接着剤組成物が(要件A)を満たすことで、接着剤組成物は、常温時、加熱時とも安定的な接着機能を発揮しやすくなる。上記(要件A)における溶融粘度は、2000(Pa・s)以上8000(Pa・s)以下がより好ましく、2000(Pa・s)以上6000(Pa・s)以下がさらに好ましい。
接着剤組成物として、例えば、アクリル系、ノボラック系、ナフトキノン系、炭化水素系、ポリイミド系、エラストマー、ポリサルホン系等の当該分野において公知の種々の接着剤組成物が使用可能である。
接着剤組成物としては、例えば熱可塑性樹脂、希釈剤、及び、添加剤等のその他成分を含有しているものが挙げられる。かかる熱可塑性樹脂は、接着力を発現するものであればよく、例えば、炭化水素樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、エラストマー樹脂、ポリサルホン系樹脂等、又はこれらを組み合わせたもの等を好ましく用いることができる。
・炭化水素樹脂
炭化水素樹脂は、炭化水素骨格を有し、単量体組成物を重合してなる樹脂である。炭化水素樹脂として、シクロオレフィンポリマー(以下、「樹脂(A)」ということがある。)、並びに、テルペン樹脂、ロジン系樹脂及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(以下、「樹脂(B)」ということがある。)等が挙げられるが、これに限定されない。
樹脂(A)としては、例えば、シクロオレフィンモノマーを含む単量体成分の開環重合体、シクロオレフィンモノマーを含む単量体成分を付加重合させた付加重合体が好適に挙げられる。
前記シクロオレフィンモノマーとしては、上記「<中間層>」で挙げたものと同様の者が挙げられる。
シクロオレフィンポリマーは、前記シクロオレフィンモノマーと共重合可能なモノマーを単量体単位として有していてもよく、かかる共重合可能なモノマーも、上記「<中間層>」で挙げたものと同様の者が挙げられる。
また、樹脂(A)を構成する単量体成分として、シクロオレフィンモノマーを含有することが、高耐熱性(低い熱分解、熱重量減少性)の観点から好ましい。樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましい。また、樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、特に限定されないが、溶解性及び溶液での経時安定性の観点からは80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。
また、樹脂(A)を構成する単量体成分として、直鎖状又は分岐鎖状のアルケンモノマーを含有してもよい。樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するアルケンモノマーの割合は、溶解性及び柔軟性の観点からは10~90モル%であることが好ましく、20~85モル%であることがより好ましく、30~80モル%であることがさらに好ましい。
なお、樹脂(A)は、例えば、シクロオレフィンモノマーとアルケンモノマーとからなる単量体成分を重合させてなる樹脂のように、極性基を有していない樹脂であることが、高温下でのガスの発生を抑制する上で好ましい。
単量体成分を重合するときの重合方法や重合条件等については、特に制限はなく、常法に従って適宜設定すればよい。
樹脂(A)として用い得るシクロオレフィンポリマーの市販品としては、例えば、ポリプラスチックス株式会社製の「TOPAS(商品名)」、三井化学株式会社製の「APEL(商品名)」、日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR(商品名)」、日本ゼオン株式会社製の「ZEONEX(商品名)」、JSR株式会社製の「ARTON(商品名)」等が挙げられる。
樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることが特に好ましい。樹脂(A)のガラス転移温度が60℃以上であると、高温環境に曝されたときに接着層の軟化を抑制することができる。
樹脂(B)は、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。具体的には、テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、変性ロジン等が挙げられる。石油樹脂としては、例えば、脂肪族又は芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、変性石油樹脂、脂環族石油樹脂、クマロン・インデン石油樹脂等が挙げられる。これらの中でも、水添テルペン樹脂、水添石油樹脂がより好ましい。
樹脂(B)の軟化点は特に限定されないが、80~160℃であることが好ましい。樹脂(B)の軟化点が80~160℃であると、高温環境に曝されたときに軟化することを抑制することができ、接着不良を生じない。
樹脂(B)の重量平均分子量は特に限定されないが、300~3,000であることが好ましい。樹脂(B)の重量平均分子量が300以上であると、耐熱性が十分なものとなり、高温環境下において脱ガス量が少なくなる。一方、樹脂(B)の重量平均分子量が3,000以下であると、炭化水素系溶剤への接着層の溶解速度が良好なものとなる。このため、支持体を分離した後のデバイス層上の接着層の残渣を迅速に溶解し、除去することができる。なお、本実施形態における樹脂(B)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の分子量を意味するものである。
炭化水素樹脂としては、樹脂(A)と樹脂(B)とを混合したものを用いてもよい。混合することにより、耐熱性が良好なものとなる。例えば、樹脂(A)と樹脂(B)との混合割合としては、(A):(B)=80:20~55:45(質量比)であることが、高温環境時の熱耐性、及び柔軟性に優れるので好ましい。
・アクリル-スチレン系樹脂
アクリル-スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン又はスチレンの誘導体と、(メタ)アクリル酸エステル等とを単量体として用いて重合した樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数15~20のアルキル基を有するアクリル系長鎖アルキルエステル、炭素数1~14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステル等が挙げられる。アクリル系長鎖アルキルエステルとしては、アルキル基がn-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基等であるアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。なお、当該アルキル基は、分岐鎖状であってもよい。
炭素数1~14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステルとしては、既存のアクリル系接着剤に用いられている公知のアクリル系アルキルエステルが挙げられる。例えば、アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2-エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基等からなるアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。
脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、イソボルニルメタアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、芳香族環としては、例えばフェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。また、芳香族環は、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有していてもよい。具体的には、フェノキシエチルアクリレートが好ましい。
・マレイミド系樹脂
マレイミド系樹脂としては、例えば、単量体として、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-n-プロピルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-n-ブチルマレイミド、N-イソブチルマレイミド、N-sec-ブチルマレイミド、N-tert-ブチルマレイミド、N-n-ペンチルマレイミド、N-n-ヘキシルマレイミド、N-n-へプチルマレイミド、N-n-オクチルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-ステアリルマレイミド等のアルキル基を有するマレイミド、N-シクロプロピルマレイミド、N-シクロブチルマレイミド、N-シクロペンチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-シクロヘプチルマレイミド、N-シクロオクチルマレイミド等の脂肪族炭化水素基を有するマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-m-メチルフェニルマレイミド、N-o-メチルフェニルマレイミド、N-p-メチルフェニルマレイミド等のアリール基を有する芳香族マレイミド等を重合して得られた樹脂が挙げられる。
・エラストマー
エラストマーは、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含んでいることが好ましく、当該「スチレン単位」は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルコキシアルキル基、アセトキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。また、当該スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲内であることがより好ましい。さらに、エラストマーは、重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲内であることが好ましい。
スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲内であり、エラストマーの重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲内であれば、後述する炭化水素系の溶剤に容易に溶解するので、より容易かつ迅速に接着層を除去することができる。また、スチレン単位の含有量及び重量平均分子量が上記の範囲内であることにより、レジストリソグラフィーに用いられるレジスト溶剤(例えばPGMEA、PGME等)、酸(フッ化水素酸等)、アルカリ(TMAH等)に対して優れた耐性を発揮する。
なお、エラストマーには、上述した(メタ)アクリル酸エステルをさらに混合してもよい。
スチレン単位の含有量は、より好ましくは17重量%以上であり、また、より好ましくは40重量%以下である。
重量平均分子量のより好ましい範囲は20,000以上であり、また、より好ましい範囲は150,000以下である。
エラストマーとしては、スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲内であり、エラストマーの重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲内であれば、種々のエラストマーを用いることができる。例えば、ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー(SEP)、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー(SBBS)、及び、これらの水添物、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマー(スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー)(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマー(SEEPS)、スチレンブロックが反応架橋型のスチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマー(SeptonV9461(株式会社クラレ製)、SeptonV9475(株式会社クラレ製))、スチレンブロックが反応架橋型のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー(反応性のポリスチレン系ハードブロックを有する、SeptonV9827(株式会社クラレ製))、ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレンブロックコポリマー(SEEPS-OH:末端水酸基変性)等が挙げられ、エラストマーのスチレン単位の含有量及び重量平均分子量が上述の範囲内であるものを用いることができる。
また、エラストマーの中でも水添物がより好ましい。水添物であれば熱に対する安定性が向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。また、炭化水素系溶剤への溶解性及びレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
また、エラストマーの中でも両端がスチレンのブロック重合体であるものがより好ましい。熱安定性の高いスチレンを両末端にブロックすることでより高い耐熱性を示すからである。
より具体的には、エラストマーは、スチレン及び共役ジエンのブロックコポリマーの水添物であることがより好ましい。熱に対する安定性が向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。また、熱安定性の高いスチレンを両末端にブロックすることでより高い耐熱性を示す。さらに、炭化水素系溶剤への溶解性及びレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
接着剤組成物に含まれるエラストマーとして用いられ得る市販品としては、例えば、株式会社クラレ製「セプトン(商品名)」、株式会社クラレ製「ハイブラー(商品名)」、旭化成株式会社製「タフテック(商品名)」、JSR株式会社製「ダイナロン(商品名)」等が挙げられる。
接着剤組成物に含まれるエラストマーの含有量としては、例えば、接着剤組成物全量を100重量部として、50重量部以上、99重量部以下の範囲内が好ましく、60重量部以上、99重量部以下の範囲内がより好ましく、70重量部以上、95重量部以下の範囲内が最も好ましい。これらの範囲内にすることにより、耐熱性を維持しつつ、基板を支持体に好適に固定することができる。
また、エラストマーは、複数の種類を混合してもよい。すなわち、接着剤組成物は複数の種類のエラストマーを含んでいてもよい。そして、複数の種類のエラストマーのうち少なくとも一つが、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含んでいればよい。また、複数の種類のエラストマーのうち少なくとも一つが、スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲内である、又は、重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲内であれば、本発明の範疇である。また、接着剤組成物において、複数の種類のエラストマーを含む場合、混合した結果、スチレン単位の含有量が上記の範囲内となるように調整してもよい。例えば、スチレン単位の含有量が30重量%である株式会社クラレ製のセプトン(商品名)のSepton4033と、スチレン単位の含有量が13重量%であるセプトン(商品名)のSepton2063とを重量比1対1で混合すると、接着剤に含まれるエラストマー全体に対するスチレン含有量は21~22重量%となり、従って14重量%以上となる。また、例えば、スチレン単位が10重量%のものと60重量%のものとを重量比1対1で混合すると35重量%となり、上記の範囲内となる。本発明はこのような形態でもよい。また、接着剤組成物に含まれる複数の種類のエラストマーは、全て上記の範囲内でスチレン単位を含み、かつ、上記の範囲内の重量平均分子量であることが最も好ましい。
・ポリサルホン系樹脂
接着剤組成物は、ポリサルホン系樹脂を含んでいてもよい。接着層3をポリサルホン系樹脂によって形成することにより、封止体形成工程において高温の処理を行っても、その後の工程において接着層3を溶解し、封止体7から支持基体1を剥離することができる。接着層3がポリサルホン樹脂を含んでいれば、封止体形成工程において、例えば、300℃以上という高温で処理する高温プロセスを用いることができる。
ポリサルホン系樹脂は、下記一般式(ad1)で表される構成単位、及び、下記一般式(ad2)で表される構成単位のうちの少なくとも1種の構成単位からなる構造を有している。
Figure 0007004566000002
[式中、RC3、RC4、RC5、RC3及びRC4は、それぞれ独立して、フェニレン基、ナフチレン基及びアントリレン基からなる群より選択される基であり、X’は、炭素数1~3のアルキレン基である。]
ポリサルホン系樹脂は、式(ad1)で表されるポリサルホン構成単位及び式(ad2)で表されるポリエーテルサルホン構成単位のうちの少なくとも1つを備えていることによって、支持体上に接着層を形成した後、高い温度条件の処理を行っても、分解及び重合等により接着層が不溶化することを防止することができる。また、ポリサルホン系樹脂は、上記式(ad1)で表されるポリサルホン構成単位からなるポリサルホン樹脂であれば、より高い温度に加熱しても安定である。
ポリサルホン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30,000以上、70,000以下の範囲内であることが好ましく、30,000以上、50,000以下の範囲内であることがより好ましい。ポリサルホン系樹脂の重量平均分子量(Mw)が、30,000以上の範囲内であれば、例えば、300℃以上の高い温度において用いることができる接着剤組成物を得ることができる。また、ポリサルホン系樹脂の重量平均分子量(Mw)が、70,000以下の範囲内であれば、溶剤によって好適に溶解することができる。つまり、溶剤によって好適に除去することができる接着剤組成物を得ることができる。
・希釈溶剤
希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、イソノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数4から15の分岐鎖状の炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン等の環状炭化水素、p-メンタン、o-メンタン、m-メンタン、ジフェニルメンタン、1,4-テルピン、1,8-テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール、テルピネン-1-オール、テルピネン-4-オール、ジヒドロターピニルアセテート、1,4-シネオール、1,8-シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー、d-リモネン、l-リモネン、ジペンテン等のテルペン系溶剤;γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類又は前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体(これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等の芳香族系有機溶剤等を挙げることができる。
・その他の成分
接着剤組成物は、本質的な特性を損なわない範囲において、混和性のある他の物質をさらに含んでいてもよい。例えば、接着剤の性能を改良するための付加的樹脂、硬化性モノマー、重合禁止剤、重合開始剤、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤、及び界面活性剤等、慣用されている各種添加剤をさらに用いることができる。
<支持体>
支持体は、基板を支持する部材であり、接着層を介して支持体上に基板が固定される。図1及び図2の例では、支持体12は、支持基体1と、支持基体1上に設けられた分離層2と、を備えている。なお、分離層2を設けない場合には、支持基体1が支持体となる。
≪支持基体≫
支持基体は、光を透過する特性を有する。支持基体は、基板を支持する部材であり、分離層を設ける場合には分離層及び接着層を介して基板に貼り合わされる。分離層を設けない場合には、支持基体は、接着層を介して基板に貼り合される。そのため、支持基体としては、デバイスの薄化、基板の搬送、基板への実装等の際に、基板の破損又は変形を防ぐために必要な強度を有していることが好ましい。また、支持基体は、分離層を変質させることができる波長の光を透過するものが好ましい。
支持基体の材料としては、例えば、ガラス、シリコン、アクリル系樹脂等が用いられる。支持基体の形状としては、例えば矩形、円形等が挙げられるが、これに限定されない。
また、支持基体としては、さらなる高密度集積化や生産効率の向上のために、円形である支持基体のサイズを大型化したもの、平面視における形状が四角形である大型パネルを用いることもできる。
≪分離層≫
分離層は、接着層に隣接し、光の照射により変質して、支持体に貼り合わされる基板から支持基体を分離可能とする層である。
この分離層は、後述の分離層形成用組成物を用いて形成することができ、例えば、分離層形成用組成物が含有する成分を焼成することにより、又は化学気相堆積(CVD)法により形成される。この分離層は、支持基体を透過して照射される光を吸収することによって好適に変質する。
分離層が「変質する」とは、分離層が外力を受けて破壊され得る状態、又は分離層と接する層との接着力が低下した状態になる現象をいう。分離層は、光を吸収することによって脆くなり、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。かかる分離層の変質は、吸収した光のエネルギーによる分解、立体配置の変化又は官能基の解離等を生じることで起こる。
分離層は、光を吸収する材料のみから形成されていることが好ましいが、本発明における本質的な特性を損なわない範囲で、光を吸収する構造を有していない材料が配合された層であってもよい。
分離層の厚さは、例えば0.05μm以上、50μm以下の範囲内であることが好ましく、0.3μm以上、1μm以下の範囲内であることがより好ましい。分離層の厚さが0.05μm以上、50μm以下の範囲内であれば、短時間の光の照射及び低エネルギーの光の照射によって、分離層に所望の変質を生じさせることができる。また、分離層の厚さは、生産性の観点から1μm以下の範囲内であることが特に好ましい。
分離層は、接着層に接する側の面が平坦である(凹凸が形成されていない)ことが好ましく、これにより、接着層の形成が容易に行え、かつ、支持基体と基板とを均一に貼り付けることが容易となる。
〔分離層形成用組成物〕
分離層を形成するための材料である分離層形成用組成物は、例えば、フルオロカーボン、光吸収性を有している構造を含む繰り返し単位を有する重合体、無機物、赤外線吸収性の構造を有する化合物、赤外線吸収物質、反応性ポリシルセスキオキサン、又はフェノール骨格を有する樹脂成分を含有するものが挙げられる。
また、分離層形成用組成物は、任意成分としてフィラー、可塑剤、熱酸発生剤成分、光酸発生剤成分、有機溶剤成分、界面活性剤、増感剤、又は支持基体の分離性を向上し得る成分等を含有してもよい。
・フルオロカーボン
分離層は、フルオロカーボンを含有していてもよい。フルオロカーボンによって構成される分離層は、光を吸収することで変質するようになっており、その結果、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体を持ち上げる等)ことによって、分離層が破壊されて、支持体と基板とを分離し易くすることができる。分離層を構成するフルオロカーボンは、プラズマCVD法によって好適に成膜することができる。
フルオロカーボンは、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層に用いたフルオロカーボンが吸収する範囲の波長の光を分離層に照射することにより、フルオロカーボンを好適に変質させ得る。分離層における光の吸収率は、80%以上であることが好ましい。
分離層に照射する光としては、フルオロカーボンが吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He-Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、又は非レーザ光を適宜用いればよい。フルオロカーボンを変質させ得る波長としては、例えば600nm以下の範囲の波長を用いることができる。
・光吸収性を有している構造を含む繰り返し単位を有する重合体
分離層は、光吸収性を有している構造を含む繰り返し単位を有する重合体を含有していてもよい。該重合体は、光の照射を受けて変質する。
光吸収性を有している構造は、例えば、置換若しくは非置換のベンゼン環、縮合環又は複素環からなる共役π電子系を含む原子団が挙げられる。光吸収性を有している構造は、より具体的には、カルド構造、又は該重合体の側鎖に存在するベンゾフェノン構造、ジフェニルスルフォキシド構造、ジフェニルスルホン構造(ビスフェニルスルホン構造)、ジフェニル構造若しくはジフェニルアミン構造が挙げられる。
上記の光吸収性を有している構造は、その種類に応じて、所望の範囲の波長を有している光を吸収することができる。例えば、上記の光吸収性を有している構造が吸収可能な光の波長は、100~2000nmの範囲内であることが好ましく、100~500nmの範囲内であることがより好ましい。
上記の光吸収性を有している構造が吸収可能な光は、例えば、高圧水銀ランプ(波長254nm以上、436nm以下)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、Fエキシマレーザ(波長157nm)、XeClレーザ(波長308nm)、XeFレーザ(波長351nm)若しくは固体UVレーザ(波長355nm)から発せられる光、又はg線(波長436nm)、h線(波長405nm)若しくはi線(波長365nm)等である。
・無機物
分離層は、無機物からなるものであってもよい。この無機物は、光を吸収することによって変質するものであればよく、例えば、金属、金属化合物及びカーボンからなる群より選択される1種類以上が好適に挙げられる。金属化合物とは、金属原子を含む化合物であり、例えば金属酸化物、金属窒化物が挙げられる。
このような無機物としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、SiO、SiN、Si、TiN、及びカーボンからなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
尚、カーボンとは、炭素の同素体も含まれ得る概念であり、例えばダイヤモンド、フラーレン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブ等を包含する。
上記無機物は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。
無機物からなる分離層に照射する光としては、上記無機物が吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He-Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、又は非レーザ光を適宜用いればよい。
無機物からなる分離層は、例えばスパッタ、化学蒸着(CVD)、メッキ、プラズマCVD、スピンコート等の公知の技術により、支持基体上に形成され得る。
・赤外線吸収性の構造を有する化合物
分離層は、赤外線吸収性の構造を有する化合物を含有していてもよい。この、赤外線吸収性の構造を有する化合物は、赤外線を吸収することにより変質する。
赤外線吸収性を有している構造、又はこの構造を有する化合物としては、例えば、アルカン、アルケン(ビニル、トランス、シス、ビニリデン、三置換、四置換、共役、クムレン、環式)、アルキン(一置換、二置換)、単環式芳香族(ベンゼン、一置換、二置換、三置換)、アルコールもしくはフェノール類(自由OH、分子内水素結合、分子間水素結合、飽和第二級、飽和第三級、不飽和第二級、不飽和第三級)、アセタール、ケタール、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、ビニルエーテル、オキシラン環エーテル、過酸化物エーテル、ケトン、ジアルキルカルボニル、芳香族カルボニル、1,3-ジケトンのエノール、o-ヒドロキシアリールケトン、ジアルキルアルデヒド、芳香族アルデヒド、カルボン酸(二量体、カルボン酸アニオン)、ギ酸エステル、酢酸エステル、共役エステル、非共役エステル、芳香族エステル、ラクトン(β-、γ-、δ-)、脂肪族酸塩化物、芳香族酸塩化物、酸無水物(共役、非共役、環式、非環式)、第一級アミド、第二級アミド、ラクタム、第一級アミン(脂肪族、芳香族)、第二級アミン(脂肪族、芳香族)、第三級アミン(脂肪族、芳香族)、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、アンモニウムイオン、脂肪族ニトリル、芳香族ニトリル、カルボジイミド、脂肪族イソニトリル、芳香族イソニトリル、イソシアン酸エステル、チオシアン酸エステル、脂肪族イソチオシアン酸エステル、芳香族イソチオシアン酸エステル、脂肪族ニトロ化合物、芳香族ニトロ化合物、ニトロアミン、ニトロソアミン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロソ結合(脂肪族、芳香族、単量体、二量体)、メルカプタンもしくはチオフェノールもしくはチオール酸等の硫黄化合物、チオカルボニル基、スルホキシド、スルホン、塩化スルホニル、第一級スルホンアミド、第二級スルホンアミド、硫酸エステル、炭素-ハロゲン結合、Si-A結合(Aは、H、C、O又はハロゲン)、P-A結合(Aは、H、C又はO)又はTi-O結合が挙げられる。
上記の炭素-ハロゲン結合を含む構造としては、例えば-CHCl、-CHBr、-CHI、-CF-、-CF、-CH=CF、-CF=CF、フッ化アリール又は塩化アリール等が挙げられる。
上記のSi-A結合を含む構造としては、例えば、SiH、SiH、SiH、Si-CH、Si-CH-、Si-C、SiO-脂肪族、Si-OCH、Si-OCHCH、Si-OC、Si-O-Si、Si-OH、SiF、SiF又はSiF等が挙げられる。Si-A結合を含む構造としては、特に、シロキサン骨格又はシルセスキオキサン骨格を形成していることが好ましい。
上記のP-A結合を含む構造としては、例えば、PH、PH、P-CH、P-CH-、P-C、A -P-O(Aは脂肪族基又は芳香族基)、(AO)-P-O(Aはアルキル基)、P-OCH、P-OCHCH、P-OC、P-O-P、P-OH又はO=P-OH等が挙げられる。
上記のTi-O結合を含む化合物としては、例えば、(i)テトラ-i-プロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキシルオキシ)チタン又はチタニウム-i-プロポキシオクチレングリコレート等のアルコキシチタン;(ii)ジ-i-プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン又はプロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のキレートチタン;(iii)i-CO-[-Ti(O-i-C-O-]-i-C又はn-CO-[-Ti(O-n-C-O-]-n-C等のチタンポリマー;(iv)トリ-n-ブトキシチタンモノステアレート、チタニウムステアレート、ジ-i-プロポキシチタンジイソステアレート又は(2-n-ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン等のアシレートチタン;(v)ジ-n-ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン等の水溶性チタン化合物等が挙げられる。
中でも、Ti-O結合を含む化合物としては、ジ-n-ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン(Ti(OC[OCN(COH))が好ましい。
上記の赤外線吸収性の構造は、その種類の選択によって、所望の範囲の波長を有している赤外線を吸収することができる。具体的には、上記の赤外線吸収性の構造が吸収可能な赤外線の波長は、例えば1~20μmの範囲内であり、2~15μmの範囲内をより好適に吸収することができる。
さらに、上記構造がSi-O結合、Si-C結合又はTi-O結合である場合には、9~11μmの範囲内が好ましい。
尚、上記の各構造が吸収できる赤外線の波長は、当業者であれば容易に理解することができる。例えば、各構造における吸収帯として、非特許文献:SILVERSTEIN・BASSLER・MORRILL著「有機化合物のスペクトルによる同定法(第5版)-MS、IR、NMR、UVの併用-」(1992年発行)第146頁から第151頁の記載を参照することができる。
分離層の形成に用いられる、赤外線吸収性の構造を有する化合物としては、上述のような構造を有している化合物のうち、塗布のために溶媒に溶解することができ、固化して固層を形成することができるものであれば、特に限定されるものではない。しかしながら、分離層における化合物を効果的に変質させ、支持基体と基板との分離を容易にするには、分離層における赤外線の吸収が大きいこと、すなわち、分離層に赤外線を照射したときの赤外線の透過率が低いことが好ましい。具体的には、分離層における赤外線の透過率が90%より低いことが好ましく、赤外線の透過率が80%より低いことがより好ましい。
・赤外線吸収物質
分離層は、赤外線吸収物質を含有していてもよい。この赤外線吸収物質は、光を吸収することによって変質するものであればよく、例えば、カーボンブラック、鉄粒子、又はアルミニウム粒子を好適に用いることができる。
赤外線吸収物質は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層に用いた赤外線吸収物質が吸収する範囲の波長の光を分離層に照射することにより、赤外線吸収物質を好適に変質させ得る。
・反応性ポリシルセスキオキサン
分離層は、反応性ポリシルセスキオキサンを重合させることにより形成することができる。これにより形成される分離層は、高い耐薬品性と高い耐熱性とを備えている。
「反応性ポリシルセスキオキサン」とは、ポリシルセスキオキサン骨格の末端にシラノール基、又は、加水分解することによってシラノール基を形成することができる官能基を有するポリシルセスキオキサンをいう。当該シラノール基、又はシラノール基を形成することができる官能基を縮合することによって、互いに重合することができる。また、反応性ポリシルセスキオキサンは、シラノール基、又は、シラノール基を形成することができる官能基を有していれば、ランダム構造、籠型構造、ラダー構造等のシルセスキオキサン骨格を備えている反応性ポリシルセスキオキサンを採用することができる。
反応性ポリシルセスキオキサンのシロキサン含有量は、70~99モル%であることが好ましく、80~99モル%であることがより好ましい。
反応性ポリシルセスキオキサンのシロキサン含有量が、前記の好ましい範囲内であれば、赤外線(好ましくは遠赤外線、より好ましくは波長9~11μmの光)を照射することによって好適に変質させることができる分離層を形成することができる。
反応性ポリシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)は、500~50000であることが好ましく、1000~10000であることがより好ましい。
反応性ポリシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)が、前記の好ましい範囲内であれば、溶剤に好適に溶解させることができ、サポートプレート上に好適に塗布することができる。
反応性ポリシルセスキオキサンとして用いることができる市販品としては、例えば、小西化学工業株式会社製のSR-13、SR-21、SR-23又はSR-33(商品名)等を挙げられる。
・フェノール骨格を有する樹脂成分
分離層は、フェノール骨格を有する樹脂成分を含有していてもよい。フェノール骨格を有することで、加熱等により容易に変質(酸化等)して光反応性が高まる。
ここでいう「フェノール骨格を有する」とは、ヒドロキシベンゼン構造を含んでいることを意味する。
フェノール骨格を有する樹脂成分は、膜形成能を有し、好ましくは分子量が1000以上である。当該樹脂成分の分子量が1000以上であることにより、膜形成能が向上する。当該樹脂成分の分子量は、1000~30000がより好ましく、1500~20000がさらに好ましく、2000~15000が特に好ましい。当該樹脂成分の分子量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であることにより、分離層形成用組成物の溶媒に対する溶解性が高められる。
尚、樹脂成分の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を用いるものとする。
フェノール骨格を有する樹脂成分としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ヒドロキシフェニルシルセスキオキサン樹脂、ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン樹脂、フェノール骨格含有アクリル樹脂、後述の一般式(P2)で表される繰り返し単位を有する樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂がより好ましい。
<デバイス層>
デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である。具体的には、デバイス層は、封止材層および配線層の少なくとも一方を含み、さらに基板を含むことができる。
図1に示す積層体100では、デバイス層456は、基板4と封止材層5、および配線層6により構成されている。図2に示す積層体200では、デバイス層45は、基板4および封止材層5により構成されている。図3に示す積層体300では、デバイス層は配線層6により構成されている。図4に示す積層体400では、デバイス層645は、配線層6、基板4および封止材層5により構成されている。
≪基板≫
基板(ベアチップ)は、支持体に支持された状態で、薄化、実装等のプロセスに供される。基板には、例えば集積回路や金属バンプ等の構造物が実装される。
基板としては、典型的には、シリコンウェーハ基板が用いられるが、これに限定されず、セラミックス基板、薄いフィルム基板、フレキシブル基板等を用いてもよい。
基板は、半導体素子又はその他素子であってもよく、単層又は複数層の構造を有し得る。尚、基板が半導体素子である場合、デバイス層をダイシングすることにより得られる電子部品は半導体装置となる。好ましくは、基板は半導体素子である。
≪封止材層≫
封止材層は、基板を封止するために設けられるものであり、封止材を用いて形成される。封止材には、金属または半導体により構成される部材を絶縁または封止可能な部材が用いられる。
本実施形態において、封止材としては、樹脂を含む樹脂組成物が用いられる。封止材に用いられる樹脂は、金属または半導体を封止および/または絶縁可能なものであれば、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂等が挙げられる。
封止材は、樹脂のほか、フィラー等の他の成分を含んでいてもよい。フィラーとしては、例えば、球状シリカ粒子等が挙げられる。
後述する実施例で示すように、封止材に用いられる樹脂は、吸湿性を有し、昇温に伴いガスを発生する(図9(a)参照)。また、封止材から発生するガスのほとんどは、水蒸気であることが確認された(図9(b)参照)。そのため、電子部品製造プロセス中の熱処理工程により、封止材からガスが放出されて、ボイドの原因となる。本実施形態の積層体では、水蒸気透過率の低い材料(すなわち、(要件1-1)を満たす材料)により構成される中間層を、デバイス層に隣接させて設けることを特徴とし、これにより封止材からのガスの放出を抑制している。そのため、デバイス層と支持体との間におけるボイドの発生を低減することができる。
≪配線層≫
配線層は、RDL(Redistribution Layer:再配線層)とも呼ばれ、基板に接続する配線を構成する薄膜の配線体であり、単層又は複数層の構造を有し得る。配線層は、パターン化された樹脂材料(感光性を有するポリイミドや感光性を有するアクリル樹脂等)の間に導電体(例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、金及び銀等の金属並びに銀-錫合金等の合金)によって配線が形成されたものであり得るが、これに限定されない。
デバイス層において、中間層に隣接して配線層が設けられる場合、配線層中の誘電体は樹脂を含むことが好ましい。誘電体がエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の吸湿性の樹脂を含む場合、熱処理工程により、当該樹脂からガスが放出されて、ボイドの原因となる。本実施形態の積層体では、デバイス層に隣接する中間層により、当該樹脂からのガスの放出が抑制されるため、ボイドの発生を低減することができる。
なお、図1~図3の積層体では、支持基体1と分離層2とが隣接しているが、これに限定されず、支持基体1と分離層2との間に他の層がさらに形成されていてもよい。この場合、他の層は、光を透過する材料から構成されていればよい。これによれば、分離層2への光の入射を妨げることなく、積層体100に好ましい性質等を付与する層を適宜追加できる。分離層2を構成している材料の種類によって、用い得る光の波長が異なる。よって、他の層を構成する材料は、全ての波長の光を透過させる必要はなく、分離層2を構成する材料を変質させ得る波長の光を透過する材料から適宜選択し得る。
(積層体(第2の態様))
本発明の第2の態様に係る積層体は、支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、少なくとも、前記中間層と前記デバイス層とは互いに隣接してたものである。前記デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である。前記中間層は、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での貯蔵弾性率が10000(Pa・s)以上との要件を満たす材料により構成される。
第2の態様に係る積層体は、中間層が、下記(要件2-1)を満たす中間層形成材料により構成される以外は、上記第1の態様に係る積層体と同様の構成である。
(要件2-1):厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が10000(Pa・s)以上となる。
上記(要件2-1)における溶融粘度の測定は、上記第1の態様の積層体における「(要件1-2)」と同様の手順に従って行うことができる。
上記(要件2-1)を満たす中間層形成材料により構成される中間層をデバイス層に隣接して設けることで、デバイス層からのガスの放出を効果的に抑制することができる。上記(要件1)における溶融粘度は、15000(Pa・s)以上が好ましく、20000(Pa・s)以上がより好ましく、25000(Pa・s)以上がさらに好ましい。溶融粘度の上限値は特に限定されるものではないが、例えば、50000(Pa・s)以下である。
中間層形成材料は、上記(要件2-1)を満たし、成膜可能なものであれば、公知のものを特に制限なく用いることができる。そのような材料としては、例えば、エラストマー樹脂等が挙げられる。かかるエラストマー樹脂としては、上記第1の態様の積層体における「≪接着剤組成物≫」で記載したものと同様のものが挙げられる。
エラストマーは、適宜、他の成分を添加して、エラストマー組成物として中間層に用いてもよい。かかる他の成分としては、例えば、希釈溶剤、重合禁止剤、重合開始剤、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤、界面活性剤等が挙げられる。これらは、公知のものを特に制限なく用いることができる。
中間層の材料として用い得るエラストマー樹脂組成物の市販品としては、例えば、東京応化工業株式会社製の「TZNR-A4007」等が挙げられる。
中間層形成材料は、上記(要件2-1)に加えて、下記(要件2-2)を満たすことが好ましい。
(要件2-2):温度:40℃、湿度:90%RHにおいて、厚み20μm換算値の水蒸気透過率が5g/(m・day)以下となる。
上記(要件2)における水蒸気透過率の測定は、上記第1の態様の積層体における「(要件1)」と同様の手順に従って行うことができる。
上記(要件2-1)に加えて(要件2-2)を満たすことで、デバイス層からのガス放出をより効果的に抑制することができる。上記(要件2)における水蒸気透過率は、3g/(m・day)以下が好ましく、1g/(m・day)以下がより好ましい。水蒸気透過率の下限値は特に限定されるものではないが、例えば、0.01g/(m・day)以上である。
本態様の積層体では、溶融粘度の高い材料(すなわち、(要件2-1)を満たす材料)により構成される中間層を、デバイス層に隣接させて設けることを特徴としている。これにより、上記第1の態様の積層体と同様に、デバイス層からのガスの放出を抑制し、デバイス層と支持体との間におけるボイドの発生を低減することができる。
(積層体(第3の態様))
本発明の第3の態様に係る積層体は、支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、少なくとも、前記中間層と前記デバイス層とは互いに隣接してたものである。前記デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である。前記中間層は、シクロオレフィンポリマーを含む。
第3の態様に係る積層体は、中間層が、シクロオレフィンポリマーを含む中間層形成材料により構成される以外は、上記第1の態様に係る積層体と同様の構成である。
≪シクロオレフィンポリマー≫
シクロオレフィンポリマーとしては、上記第1の態様における「<中間層>」で挙げたものと同様のものが挙げられる。
シクロオレフィンポリマーが有するシクロオレフィンモノマーから誘導される構成単位(u1)の好ましい例としては、下記一般式(u1-1)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0007004566000003
[式中、Ru11~Ru14は、それぞれ独立に、炭素数1~30の有機基又は水素原子を表す。nは、0~2の整数である。]
前記式(u1-1)中、Ru11~Ru14における有機基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、カルボキシ基を有する有機基、ヘテロ環を有する有機基が挙げられる。
u11~Ru14におけるアルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
u11~Ru14におけるアルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、ビニル基等が挙げられる。
u11~Ru14におけるアルキニル基としては、例えばエチニル基等が挙げられる。
u11~Ru14におけるアルキリデン基としては、例えばメチリデン基、エチリデン基等が挙げられる。
u11~Ru14におけるアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
u11~Ru14におけるアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
u11~Ru14におけるアルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基等が挙げられる。
u11~Ru14におけるシクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
u11~Ru14におけるヘテロ環を有する有機基としては、例えば、エポキシ基を有する有機基、オキセタニル基を有する有機基等が挙げられる。
u11~Ru14における有機基は、炭化水素系の溶剤に対する溶解性をより高められること、及び合成上の観点から、アルキル基が好ましい。加えて、高いガラス転移点を維持しやすいことから、炭素数1~8のアルキル基がより好ましく、炭素数2~6のアルキル基がさらに好ましい。
u11~Ru14における有機基は、1つ以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。このハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
u11~Ru14としては、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
前記式(u1-1)中、nは、0~2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
以下に、構成単位(u1)の具体例を示す。
Figure 0007004566000004
上記の中でも、構成単位(u1)としては、式(u1-1-1)で表される構成単位が好ましい。シクロオレフィンポリマーが有する構成単位(u1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
シクロオレフィンポリマー中の構成単位(u1)の割合は、シクロオレフィンポリマーを構成する全構成単位(100モル%)に対して、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましい。構成単位(u1)の含有割合が、上記好ましい範囲の下限値以上であると、デバイス層からのガス放出を効果的に抑制することができる。構成単位(u1)の含有割合の上限は特に限定されるものではないが、シクロオレフィンポリマーを構成する全構成単位(100モル%)に対して、例えば、90モル%以下である。
また、シクロオレフィンポリマー中の構成単位(u1)の割合は100モル%であってもよい。
シクロオレフィンポリマーは、前記構成単位(u1)に加えて、シクロオレフィンモノマーと共重合可能な他のモノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。
かかる構成単位としては、例えば、アルケンモノマーから誘導される構成単位(u2)が挙げられる。構成単位(u2)の好ましい例としては、下記一般式(u2-1)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0007004566000005
[式中、Ru21は、アルキル基又は水素原子を表す。]
前記一般式(u2-1)中、Ru21は、アルキル基又は水素原子である。
u21におけるアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。Ru21におけるアルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がさらに好ましい。
u21の好ましい例としては、メチル基、エチル基、又は水素原子が挙げられる。中でも、Ru21は、水素原子が好ましい。
シクロオレフィンポリマーが有する構成単位(u2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
シクロオレフィンポリマー中の構成単位(u2)の割合は、シクロオレフィンポリマーを構成する全構成単位(100モル%)に対して、70モル%以下が好ましく、60モル%以上がより好ましい。構成単位(u2)の含有割合が、上記好ましい範囲の下限値以上であると、構成単位(u1)とのバランスがとりやすくなる。構成単位(u2)の含有割合の下限は特に限定されるものではないが、シクロオレフィンポリマーを構成する全構成単位(100モル%)に対して、例えば、10モル%以上である。
本実施形態において、シクロオレフィンポリマーは、シクロオレフィンモノマーとアルケンモノマーとの共重合体であることが好ましく、かかる共重合体は、構成単位(u1)及び(u2)からなる。
以下に、シクロオレフィンポリマーの具体例を示す。
Figure 0007004566000006
本実施形態において、シクロオレフィンポリマーを含む中間層形成材料は、下記(要件3-1)を満たすシクロオレフィンポリマー組成物であることが好ましい。
(要件3-1):温度:40℃、湿度:90%RHにおいて、厚み20μm換算値の水蒸気透過率が5g/(m・day)以下となる。
上記(要件3-1)における水蒸気透過率の測定は、上記第1の態様の積層体における「(要件1-1)」と同様の手順に従って行うことができる。
上記(要件3-1)を満たすシクロオレフィンポリマー組成物を用いることで、デバイス層からのガス放出をより効果的に抑制することができる。上記(要件3-1)における水蒸気透過率は、3g/(m・day)以下が好ましく、1g/(m・day)以下がより好ましい。水蒸気透過率の下限値は特に限定されるものではないが、例えば、0.01g/(m・day)以上である。
さらに、シクロオレフィンポリマー組成物は、上記要件(3-1)に加えて、下記要件(3-2)を満たすことが好ましい。
(要件3-2):厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が10000(Pa・s)以上となる。
上記(要件3-2)における溶融粘度の測定は、上記第1の態様の積層体における「(要件1-2)」と同様の手順に従って行うことができる。
上記(要件3-1)に加えて(要件3-2)を満たすシクロオレフィンポリマー組成物を用いることで、デバイス層からのガス放出をより効果的に抑制することができる。上記(要件3-2)における溶融粘度は、15000(Pa・s)以上が好ましく、20000(Pa・s)以上がより好ましく、25000(Pa・s)以上がさらに好ましい。溶融粘度の上限値は特に限定されるものではないが、例えば、50000(Pa・s)以下である。
また、シクロオレフィンポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上であることが好ましい。
樹脂成分についてのガラス転移温度(Tg/℃)は、動的粘弾性測定により求められる。例えば、動的粘弾性測定装置Rheologel-E4000(UBM株式会社製)を用い、周波数1Hzの条件にて、5℃/分の昇温速度で、25℃から300℃まで温度を上昇させることにより測定した粘弾性の変化に基づき求めることができる。
シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度(Tg)が、90℃以上であると、デバイス層からのガス放出をより効果的に抑制することができる。ガラス転移温度(Tg)は、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。ガラス転移温度(Tg)の上限値は特に限定されるものではないが、例えば、250℃以下である。
中間層形成材料は、シクロオレフィンポリマーに加えて、他の成分を含有していてもよい。かかる他の成分としては、例えば、希釈溶剤、重合禁止剤、重合開始剤、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤、界面活性剤等が挙げられる。これらは、公知のものを特に制限なく用いることができる。希釈溶剤としては、例えば、上記第1の態様の積層体における「≪接着層≫」において挙げたもの等が挙げられる。
本態様の積層体では、シクロオレフィンポリマーを含む材料により構成される中間層を、デバイス層に隣接させて設けることを特徴としている。これにより、上記第1および第2の態様の積層体と同様に、デバイス層からのガスの放出を抑制し、デバイス層と支持体との間におけるボイドの発生を低減することができる。
(積層体の製造方法)
本発明の第4~6の態様に係る積層体の製造方法は、支持体、接着層、中間層およびデバイス層がこの順に積層した積層体の製造方法であり、接着層形成工程、デバイス層形成工程、中間層形成工程およびデバイス層固定工程を含む。前記積層体の製造方法は、さらに、研削工程、配線層形成工程、分離層形成工程等を含んていてもよい。
第4の態様に係る積層体の製造方法は、上記第1の態様に係る積層体を製造する方法であり、中間層形成材料として、温度:40℃、湿度:90%RHにおいて、厚み20μm換算値の水蒸気透過率が5g/(m・day)以下との要件を満たす材料を用いる。
第5の態様に係る積層体の製造方法は、上記第2の態様に係る積層体を製造する方法であり、中間層形成材料として、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃で溶融粘度が10000(Pa・s)以上との要件を満たす材料を用いる。
第6の態様に係る積層体の製造方法は、上記第3の態様に係る積層体を製造する方法であり、中間層形成材料として、シクロオレフィンポリマーを含む材料を用いる。
中間層形成工程で用いる中間層形成材料を上記のとおりとする以外は、第4~6の態様に係る積層体の製造方法は、同様の工程により行うことができる。
図5~7は、本実施形態に係る積層体の製造方法の一実施形態を説明する概略工程図である。
図5は、支持体12および接着層3から構成される接着層付き支持体123の製造工程を説明する図である。図5(a)は、分離層形成工程を説明する図であり、図5(b)は、接着層形成工程を説明する図である。
図6は、接着層付き支持体123から積層体100を製造する工程を説明する図である。図6(a)は、接着層付き支持体123を示す図であり、図6(b)は、中間層形成工程を説明する図であり、図6(c)は、デバイス層固定工程を説明する図である。
図7は、積層体100から積層体200を製造する工程を説明する図である。図7(a)は、積層体100を示す図であり、図7(b)は、研削工程を説明する図であり、図7(c)は、配線層形成工程を説明する図である。
[分離層形成工程]
本実施形態に係る積層体の製造方法は、分離層形成工程を含んでいてもよい。分離層形成工程は、支持基体上の一方に、分離層形成用組成物を用いて分離層を形成する工程である。
図5(a)では、支持基体1上に、分離層形成用組成物を用いることにより分離層2を形成している。これにより、支持基体1および分離層2により構成される支持体12が作製される。
支持基体1上への分離層2の形成方法は、特に限定されないが、例えば、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布、スリット塗布、化学気相成長(CVD)等の方法が挙げられる。
例えば、分離層形成工程では、加熱環境下もしくは減圧環境下、支持基体1上に塗布された分離層形成用組成物の塗工層から溶剤成分を除去して成膜する、又は、支持基体1上に、蒸着法により成膜することで、支持体12を得ることができる。
なお、接着層又は中間層に分離層の機能を有するものを用いる等により、分離層が不要である場合には、分離層形成工程は省略可能である。この場合、支持基体1を、支持体として用いればよい。
[接着層形成工程]
本実施形態に係る積層体の製造方法は、接着層形成工程を含む。接着層形成工程は、支持体上に、接着剤組成物を用いて接着層を形成する工程である。支持体が分離層を有する場合には、接着層は、支持体において分離層を有する側の面に形成される。
図5(b)では、支持体12の分離層2側の面に、接着剤組成物を用いて接着層3を形成している。これにより、接着層付き支持体123が作製される。
支持体12上への接着層3の形成方法は、特に限定されないが、例えば、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布、スリット塗布等の方法が挙げられる。そして、支持体12上に、接着剤組成物を塗布して加熱するか、又は、減圧環境下で接着剤組成物に含まれている溶剤成分を除去する。
その後、接着層が硬化性モノマー及び熱重合開始剤を含有する場合、加熱により、当該硬化性モノマーを重合させるとよい。接着層3を加熱する条件は、熱重合開始剤における1分間半減温度、及び1時間半減温度に基づいて適宜設定すればよい。加熱は、例えば50~300℃の範囲内の温度において、真空下、又は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、不活性ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。
また、接着層が硬化性モノマー及び光重合開始剤を含んでいる場合、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下にて露光することにより、硬化性モノマーを重合させるとよい。露光する条件は、光重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
[デバイス層形成工程]
本実施形態に係る積層体の製造方法は、デバイス層形成工程を含む。デバイス層形成工程は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である、デバイス層を形成する工程である。
デバイス層形成工程は、基板を封止材により封止する封止工程を含むことができる。例えば、図6(b)では、基板4を封止材で封止することにより、デバイス層45(封止体)を形成している。
<封止工程>
封止工程は、基板を、封止材を用いて封止することにより、封止体を作製する工程である。前記封止体は、本実施形態に係る積層体の製造方法において、デバイス層45として用いられる。封止材により封止する基板の数は、特に限定されず、所望のデバイス層を形成するために必要な数とすればよい。
封止工程においては、例えば、保持プレート上に基板を配置し、130~170℃に加熱された封止材が、高粘度の状態を維持しつつ、基板4を覆うように、前記保持プレート上に供給され、圧縮成形されることによって、封止体が作製される。
その際、温度条件は、例えば130~170℃である。
基板4に加えられる圧力は、例えば50~500N/cmである。
なお、デバイス層形成工程は、後述する研削工程、配線層形成工程等を含んでいてもよい。
[中間層形成工程]
本実施形態に係る積層体の製造方法は、中間層形成工程を含む。中間層形成工程は、デバイス層上又は接着層上に、中間層形成材料を用いて中間層を形成する工程である。
図6(b)では、デバイス層45(封止体)上に、中間層形成材料を用いて中間層10を形成している。これにより、デバイス層45および中間層から構成される積層体20が作製される。なお、中間層10は、接着層付き支持体123の接着層3上に形成してもよい。後述のデバイス層固定工程における接着性の観点から、中間層10は、デバイス層45上に形成することが好ましい。
中間層形成工程では、中間層形成材料として、上述の第1~3の態様の積層体において説明した中間層形成材料のいずれかを用いて、デバイス層45上又は接着層3上に中間層10を形成する。
デバイス層45上又は接着層3上への中間層10の形成方法は、特に限定されないが、例えば、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布、スリット塗布、化学気相成長(CVD)等の方法が挙げられる。中間層形成材料として無機物を用いる場合には、中間層10の形成方法としては、例えばスパッタ、化学蒸着(CVD)、メッキ、プラズマCVD、スピンコート等の方法が挙げられる。
例えば、中間層形成工程では、加熱環境下もしくは減圧環境下、デバイス層45上又は接着層3上に塗布された中間層形成材料の塗工層から溶剤成分を除去して成膜する、あるいは、デバイス層45上又は接着層3上に、蒸着法により成膜することで、デバイス層45上又は接着層3上に中間層10を形成することができる。
本実施形態に係る積層体の製造方法によれば、上述した中間層形成材料を用いて中間層が形成されるため、その後の工程で高温処理がなされた場合であっても、封止材層からのガスの放出を抑制することができる。そのため、支持体とデバイス層との間にボイドが発生することが防止され、後のプロセスを好適に行うことができる。
[デバイス層固定工程]
本実施形態に係る積層体の製造方法は、デバイス層固定工程を含む。デバイス層固定程工程は、接着層3及び中間層10を介して、支持体12上にデバイス層45(封止体)を固定する工程である。これにより、積層体100を得ることができる。
図6(c)では、接着層付き支持体123と積層体20とを貼り合せることにより、接着層3及び中間層10を介して、支持体12上にデバイス層45を固定することにより、積層体100を得ている。
接着層3および中間層10を介して支持体12上にデバイス層45を固定する方法は、特に限定されず、基板の接着等に用いられる公知の方法を用いればよい。例えば、接着層3と中間層10とを向い合せて、支持体12上の所定位置にデバイス層45を配置し、真空下で加熱(例えば100℃程度)しつつ、ダイボンダー等によって支持体12と基板4とを圧着することにより行うことができる。
[任意工程]
本実施形態に係る積層体の製造方法は、上記工程に加えて、他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、例えば、研削工程、配線層形成工程等が挙げられる。なお、研削工程、配線層形成工程は、上記デバイス層形成工程において行ってもよい。
<研削工程>
研削工程は、前記デバイス層固定工程の後、デバイス層における封止材部分(封止材層5)を、基板の一部が露出するように研削する工程である。
封止材部分の研削は、例えば図7(b)に示すように、封止材層5を、基板4とほぼ同等の厚さになるまで削ることにより行う。
<配線層形成工程>
配線層形成工程は、デバイス層固定工程の後、デバイス層上に配線層を形成する工程である。配線層形成工程は、前記研削工程の後、前記の露出した基板上に配線層を形成することが好ましい。
図7(c)では、基板4及び封止材層5上に、配線層6が形成されている。これにより、積層体200を得ることができる。積層体200において、基板4、封止材層5および配線層6は、デバイス層456を構成する。
配線層6を形成する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、封止材層5上に、酸化シリコン(SiO)、感光性樹脂等の誘電体層を形成する。酸化シリコンからなる誘電体層は、例えばスパッタ法、真空蒸着法等により形成することができる。感光性樹脂からなる誘電体層は、例えばスピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布、スリット塗布等の方法により、封止材層5上に、感光性樹脂を塗布することで形成することができる。
続いて、誘電体層に、金属等の導電体によって配線を形成する。配線を形成する方法としては、例えば、フォトリソグラフィー(レジストリソグラフィー)等のリソグラフィー処理、エッチング処理等の公知の半導体プロセス手法を用いることができる。このような、リソグラフィー処理としては、例えば、ポジ型レジスト材料を用いたリソグラフィー処理、ネガ型レジスト材料を用いたリソグラフィー処理が挙げられる。
このように、フォトリソグラフィー処理及びエッチング処理等を行う際、積層体は、フッ化水素酸等の酸、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ、又はレジスト材料を溶解するためのレジスト溶剤に曝されるとともに、高温で処理される。
しかしながら、上述した中間層形成材料を用いて中間層10を形成することにより、封止材から放出されるガスの移動が抑制される。このため、デバイス層45と支持体12との間でのボイド発生を防止することができ、配線層6を好適に形成することができる。
本実施形態に係る積層体の製造方法によれば、支持体12と、接着層3と、中間層10と、デバイス層45(基板4および封止材層5)またはデバイス層456(基板4、封止材層5および配線層6)と、がこの順に積層されてなる積層体を安定的に製造することができる。
かかる積層体は、基板4に設けられた端子がチップエリア外に広がる配線層6に実装される、ファンアウト型技術に基づく過程において作製される積層体である。
本実施形態に係る積層体の製造方法においては、さらに、配線層6上にバンプの形成、又は素子の実装を行うことができる。配線層6上への素子の実装は、例えば、チップマウンター等を用いて行うことができる。
また、上述した積層体の製造方法においては、デバイス層固定工程及び研削工程の後、配線層形成工程を行っているが、接着層形成工程の後、デバイス層形成工程において配線層形成工程を行い、その後、中間層形成工程及びデバイス層固定工程を行って、図3に示す積層体300を得てもよい。この場合、配線層形成工程に続いて、封止工程および研削工程を行い、図4に示す積層体400を得てもよい。この実施態様における封止工程では、配線層上に基板を配置して、封止材による封止を行う。
(電子部品の製造方法)
第7の態様に係る電子部品の製造方法は、上記第4~6の態様のいずれかに係る積層体の製造方法により上記第1~3の態様のいずれかに係る積層体を得た後、分離工程と、除去工程と、を有する。
図8は、半導体パッケージ(電子部品)の製造方法の一実施形態を説明する概略工程図である。図8(a)及び図8(b)は、分離工程を説明する図であり、図8(c)は、除去工程を説明する図である。
[分離工程]
分離工程は、支持基体1を介して分離層2に光(矢印)を照射して、分離層2を変質させることにより、デバイス層456と支持基体1とを分離する工程である。
図8(a)では、支持基体1を介して、分離層2に光(矢印)を照射することで、分離層2を変質させている。
分離層2を変質させ得る波長としては、例えば600nm以下の範囲が挙げられる。
照射する光の種類及び波長は、支持基体1の透過性、及び分離層2の材質に応じて適宜選択すればよく、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He-Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、非レーザ光を用いることができる。これにより、分離層2を変質させて、支持基体1とデバイス層456とを容易に分離可能な状態とすることができる。
レーザ光を照射する場合、レーザ光照射条件の一例として、以下の条件を挙げることができる。
レーザ光の平均出力値は、1.0W以上、5.0W以下が好ましく、3.0W以上、4.0W以下がより好ましい。レーザ光の繰り返し周波数は、20kHz以上、60kHz以下が好ましく、30kHz以上、50kHz以下がより好ましい。レーザ光の走査速度は、100mm/s以上、10000mm/s以下が好ましい。
分離層2に光(矢印)を照射して分離層2を変質させた後、図8(b)に示すように、デバイス層456から支持基体1を分離する。
例えば、支持基体1とデバイス層456とが互いに離れる方向に力を加えることにより、支持基体1とデバイス層456とを分離する。具体的には、支持基体1又はデバイス層456側の一方をステージに固定した状態で、他方をベローズパッド等の吸着パッドを備えた分離プレートにより吸着保持しつつ持ち上げることにより、支持基体1とデバイス層456とを分離することができる。
積層体100に加える力は、積層体100の大きさ等により適宜調整すればよく、限定されるものではないが、例えば、直径が300mm程度の積層体であれば、0.1~5kgf(0.98~49N)程度の力を加えることによって、支持基体1とデバイス層456とを好適に分離することができる。
[除去工程]
除去工程は、前記分離工程の後、デバイス層に付着する分離層、接着層及び中間層を除去する工程である。
図6(b)は、分離工程後のデバイス層456に、分離層2、接着層3及び中間層10が付着して残存している状態を示している。図8(c)では、除去工程において、デバイス層456に付着する分離層2、接着層3及び中間層10を除去することにより、電子部品50が得られている。
デバイス層456に付着する接着層3等を除去する方法としては、例えば、洗浄液を用いて分離層2、接着層3及び中間層10の残渣を除去する方法が挙げられる。
洗浄液には、有機溶剤を含有する洗浄液が好適に用いられる。この洗浄液における有機溶剤としては、分離層形成用組成物に配合の溶剤成分、接着層形成用組成物に配合の溶剤成分、中間層形成材料に配合の溶剤成分等を用いることが好ましい。
本実施形態の電子部品の製造方法は、上記の除去工程の後、さらに、電子部品50に対してソルダーボール形成、ダイシング、酸化膜形成等の処理を行ってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(モールド材のガス放出性評価)
エポキシ樹脂を含むモールド材を1cm X 1cm角にカットし、ESCO社製のTDS1200を使用して、水分量の測定を行った。温度は40℃から300℃で0.5℃/秒の昇温速度で行った。
結果を図9に示す。図9(a)は、モールド材からの全ガス放出量を示し、図9(b)は、封止材からの水蒸気放出量を示す。図9(a)及び図9(b)に示すように、昇温に伴い、150~180℃付近をピークとして、モールド材からの全ガス放出量及び水蒸気放出量が増加することが確認された。全ガス放出量及び水蒸気放出量は、ベイクによる脱水処理により減少するが、脱水処理後1日おくと、放出量が増加した。また、図9(a)及び図9(b)から、封止材から放出されるガスのほとんどは、水蒸気であると確認された。
(実施例1、比較例1~2)
<積層体の製造>
[接着層形成工程]
ガラス支持基体(サイズ直径30cm、厚さ700μm)上に、表2の実施例1に示す接着層をスピンコート法により1000rpmで回転させながら作製した。
次いで、各例の接着剤組成物を塗布した支持基体をそれぞれ、90℃で4分間、160℃で4分間、220℃で4分間で加熱することにより、表2に示す各例の厚さの接着層を形成した。
[中間層形成工程]
エポキシ封止材により封止されたモールド基板上に、表2の実施例1に示す中間層をスピンコート法により1000rpmで回転させながら塗布した。
次いで、中間層形成材料を塗布した支持基体をそれぞれ、90℃で4分間、160℃で4分間、220℃で4分間で加熱することにより、表2の実施例1に示す厚さの中間層を形成した。
[積層体の形成]
上述のように形成したガラス支持基体とモールド基板とを、接着層と中間層とを互いに向い合せながら積層させ、次いで、10Paよりも低圧の減圧条件下、貼付装置を用い、215℃に加熱した押圧用プレート(300mmφ)にて押圧して、4トンの力を加えつつ、3分間圧縮し、表2に示す各例の積層体を得た(実施例1)。
なお、比較例1においては、A4007のみを介してガラス支持基体とモールド基板とを積層させようとしたものであるが、この例は貼付自体ができなかった。
また、比較例2においては、厚さ50μmのA4017により構成される接着層を介してガラス支持基体とモールド基板とを積層させたものである。
<評価>
各例の積層体に対して熱処理を行い、支持基体と封止基盤との間にボイドが発生するかを評価した。加えて、各例の積層体に用いた接着剤組成物/中間層形成材料について、溶融粘度、水蒸気透過率、ガラス転移温度(Tg)の測定を行った。これらの結果を表2及び表3にそれぞれに示した。
[ボイド発生試験]
各例の積層体について、150℃、180℃、又は200℃の温度条件下で1時間熱処理した。熱処理後、目視にて以下のに示す評価基準に従い、接着層中のボイドの発生を評価した。評価結果を表2に示した。
評価基準
○:ボイドなし
×:ボイド発生
[溶融粘度の測定]
各例の接着剤組成物/中間層形成材料について、動的粘弾性測定装置(Rheogel-E4000、ユービーエム株式会社製)を用い、150℃、180℃、及び200℃における溶融粘度をそれぞれ測定した。
まず、接着剤組成物/中間層形成材料を、離型剤付のPETフィルム上に塗布し、大気圧下のオーブンで50℃、150℃で各60分間、加熱して試験片層を形成した(厚さ500μm)。その後、PETフィルムから剥がした試験片の溶融粘度を、前記の動的粘弾性測定装置を用いて測定した。
測定条件を、周波数1Hzの引張条件において、開始温度50℃から300℃まで、速度5℃/分で昇温する条件とした。
[水蒸気透過率]
前述の手法(JIS K7129B)に基づき、各例の接着剤組成物/中間層形成材料について、厚み20μm換算値および厚み50μm換算値の水蒸気透過率をそれぞれ求め表3に記した。なお、水蒸気透過率は、温度40℃、湿度90%RHの条件下での値として示している。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
各例の接着剤組成物/中間層形成材料について、動的粘弾性測定装置Rheogel-E4000(UBM株式会社製)を用い、周波数1Hzの条件にて、5℃/分の昇温速度で、25℃から300℃まで温度を上昇させることにより測定した粘弾性の変化に基づき、ガラス転移温度を求めた。結果を表3に示した。
Figure 0007004566000007
Figure 0007004566000008
表2~3中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
A4007:TZNR-A4007(商品名)、東京応化工業株式会社製;エラストマー系接着剤。
A4017:TZNR-A4017(商品名)、東京応化工業株式会社製;エラストマー系接着剤。
表2および表3に示す結果より、実施例1の積層体は、いずれの温度においても封止基板からのガス発生を抑制し、ボイド発生を防止できることが確認された。
これに対して、比較例1では、支持基体に対して封止基板を貼付できず、積層体を作製することができなかった。比較例2では、いずれの温度においてもボイドが発生した。
(実施例2~3、参考例1~3)
<樹脂組成物の調製>
表4に示す樹脂成分を固形分濃度30%で溶媒(デカヒドロナフタリン)に溶解し、各例の樹脂組成物を調製した。また、各例の樹脂組成物から成膜を行い、上記と同様の方法で、厚み5μm換算値、厚み20μm換算値および厚み50μm換算値の水蒸気透過率をそれぞれ測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0007004566000009
表4中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。なお、以下に示す樹脂成分についてのガラス転移温度(℃)は、上記と同様にして求めた。
(P)-1:APL8008T(商品名)三井化学社製。ガラス転移温度75℃、重量平均分子量80000;下記化学式(P)-1で表されるシクロオレフィンポリマー(m:n=80:20(モル比))。
Figure 0007004566000010
(P)-2:APL6013T(商品名)三井化学社製。ガラス転移温度125℃、重量平均分子量60000;下記化学式(P)-2で表されるシクロオレフィンポリマー(m:n=65:35(モル比))。
Figure 0007004566000011
(P)-3:APL6015T(商品名)三井化学社製。ガラス転移温度145℃、重量平均分子量60000;下記化学式(P)-3で表されるシクロオレフィンポリマー(m:n=58:42(モル比))。
Figure 0007004566000012
<積層体の製造>
接着剤組成物および中間層形成材として表5および表6に示す各例の組成物を用いたこと以外は、上記と同様の方法で、表5に示す各例の積層体を製造した。
<評価>
各例の積層体に対して熱処理を行い、上記と同様の方法で、ボイド発生試験を行った。その結果を表5および表6に示した。表5中、「A4017」は表2におけるものと同じである。評価基準は、以下のとおりである。
評価基準
○:ボイドなし
×:ボイド発生
Figure 0007004566000013
Figure 0007004566000014
表5に示す結果から、実施例3の積層体は、いずれの温度においても、封止基板からのガス発生を抑制し、ボイド発生を防止できることが確認された。実施例2の積層体でも、150℃までの温度までは、ボイド発生を防止できることが確認された。
一方、参考例1~2では、150℃以上になるとボイドが発生した。参考例3では、支持基体に対して封止基板を貼付できず、積層体を作製することができなかった。
1 支持基体、
2 分離層、
3 接着層、
4 基板、
5 封止材層、
6 配線層、
10 中間層、
12 支持体、
20 積層体、
45 デバイス層
50 電子部品、
100 積層体、
200 積層体、
300 積層体、
400 積層体、
123 接着層付き支持体
456 デバイス層
645 デバイス層。

Claims (15)

  1. 支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、
    少なくとも、前記中間層と前記デバイス層とは互いに隣接しており、
    前記デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体であり、
    前記中間層は、温度:40℃、湿度:90%RHにおいて、厚み20μm換算値の水蒸気透過率が5g/(m・day)以下との要件を満たす材料により構成される積層体。
  2. 支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、
    少なくとも、前記中間層と前記デバイス層とは互いに隣接しており、
    前記デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体であり
    前記中間層は、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が10000(Pa・s)以上との要件を満たす材料により構成される積層体。
  3. 支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体であって、
    少なくとも、前記中間層と前記デバイス層とは互いに隣接しており、
    前記デバイス層は、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体であり
    前記中間層は、シクロオレフィンポリマーを含み、
    前記中間層を構成するシクロオレフィンポリマーを含む中間層形成材料は、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が10000(Pa・s)以上との要件を満たす、積層体。
  4. 前記シクロオレフィンポリマーは、シクロオレフィンモノマーとアルケンモノマーとの共重合体である、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記共重合体中の、シクロオレフィンモノマーから誘導される構成単位の割合は、前記共重合体を構成する全構成単位(100モル%)に対して30モル%以上である、請求項4に記載の積層体。
  6. 前記接着層は、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が1000(Pa・s)以上10000(Pa・s)以下との要件を満たす材料により構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記接着層の厚さ(μm)と前記中間層の厚さ(μm)との比率は、接着層/中間層=1/9~9/1である、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記支持体は、光を透過する支持基体と、前記支持基体上に形成され、光の照射により変質する分離層と、を有し、前記分離層と前記接着層とが互いに隣接するように設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体の製造方法であって、
    支持体上に、接着剤組成物を用いて接着層を形成する接着層形成工程と、
    金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である、デバイス層を形成するデバイス層形成工程と、
    前記デバイス層上又は前記接着層上に、中間層形成材料を用いて、中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記接着層及び前記中間層を介して、前記支持体上に、前記デバイス層を固定するデバイス層固定工程と、を含み、
    前記中間層形成材料が、温度:40℃、湿度:90%RHにおいて、厚み20μm換算値の水蒸気透過率が5g/(m・day)以下との要件を満たす材料である、
    積層体の製造方法。
  10. 支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体の製造方法であって、
    支持体上に、接着剤組成物を用いて接着層を形成する接着層形成工程と、
    金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である、デバイス層を形成するデバイス層形成工程と、
    前記デバイス層上又は前記接着層上に、中間層形成材料を用いて、中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記接着層及び前記中間層を介して、前記支持体上に、前記デバイス層を固定するデバイス層固定工程と、を含み、
    前記中間層形成材料が、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が10000(Pa・s)以上との要件を満たす材料である、
    積層体の製造方法。
  11. 支持体、接着層、中間層及びデバイス層がこの順に積層した積層体の製造方法であって、
    支持体上に、接着剤組成物を用いて接着層を形成する接着層形成工程と、金属または半導体により構成される部材と、前記部材を封止または絶縁する樹脂との複合体である、デバイス層を形成するデバイス層形成工程と、
    前記デバイス層上又は前記接着層上に、中間層形成材料を用いて、中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記接着層及び前記中間層を介して、前記支持体上に、前記デバイス層を固定するデバイス層固定工程と、を含み、
    前記中間層形成材料が、シクロオレフィンポリマーを含む材料であり、厚み500μmの試験片を作製し、開始温度:25℃、昇温速度:5℃/min、周波数:1Hzの条件での動的粘弾性測定に付したときに、180℃での溶融粘度が10000(Pa・s)以上との要件を満たす、
    積層体の製造方法。
  12. 前記デバイス層が、半導体により構成される基板と前記基板を封止する樹脂との複合体であり、
    前記デバイス層固定工程の後、さらに、
    前記デバイス層上に、金属により構成される配線と、前記配線を絶縁する樹脂との複合体である配線層を形成する配線層形成工程を含む、
    請求項9~11のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  13. 前記デバイス層固定工程の後、前記配線層形成工程の前に、さらに
    前記基板の一部が露出するように、前記基板を封止する樹脂部分を研削する研削工程を含む、
    請求項12に記載の積層体の製造方法。
  14. 前記支持体が、支持基体および光の照射により変質する分離層から構成されており、
    前記接着層形成工程が、前記分離層上に接着層を形成する工程である、請求項9~13のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  15. 請求項14記載の製造方法により積層体を得た後、
    前記支持基体を介して前記分離層に光を照射して、前記分離層を変質させることにより、前記積層体が備える前記デバイス層から前記支持基体を分離する分離工程と、
    前記分離工程の後、前記デバイス層に付着する前記接着層および中間層を除去する除去工程と、
    を含む、電子部品の製造方法。
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