図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、モータMG1,MG2,MG3を有する電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2,MG3と、インバータ41,42,43と、蓄電装置としてのバッテリ50と、メイン電子制御ユニット(以下、「メインECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されており、ダンパ28を介してプラネタリギヤ30のキャリヤに接続されている。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御されている。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrなどが入力ポートから入力されている。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、前輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38Fを介して連結された駆動軸36Fが接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、上述したように、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、永久磁石が埋め込まれた回転子と三相コイルが巻回された固定子とを備える同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、モータMG1と同様に同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36Fに接続されている。モータMG3は、モータMG1,MG2と同様に同期発電電動機として構成されており、回転子が後輪39c,39dにデファレンシャルギヤ38Rを介して連結された駆動軸36Rに接続されている。
インバータ41,42,43は、モータMG1,MG2,MG3の駆動に用いられる。図2に示すように、インバータ41は、電力ライン54に接続されており、6つのスイッチング素子としてのトランジスタT11~T16と、6つのトランジスタT11~T16のそれぞれに並列に接続された6つのダイオードD11~D16と、を有する。トランジスタT11~T16は、それぞれ、電力ライン54の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になるように2個ずつペアで配置されている。また、トランジスタT11~T16の対となるトランジスタ同士の接続点の各々には、モータMG1の三相コイル(U相、V相、W相)の各々が接続されている。したがって、インバータ41に電圧が作用しているときに、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータ用ECU」という)40によって、対となるトランジスタT11~T16のオン時間の割合が調節されることにより、モータMG1の三相コイルに回転磁界が形成され、モータMG1が回転駆動される。
インバータ42,43は、それぞれ、インバータ41と同様に、電力ライン54に接続されており、6つのトランジスタT21~T26,T31~T36と6つのダイオードD21~D26,D31~D36とを有する。そして、インバータ42,43に電圧が作用しているときに、モータECU40によって、対となるトランジスタT21~T26,T31~T36のオン時間の割合が調節されることにより、モータMG2,MG3の三相コイルに回転磁界が形成され、モータMG2,MG3が回転駆動される。以下、インバータ41,42,43のトランジスタT11~T13,T21~T23,T31~T33を「上アーム」といい、トランジスタT14~T16,T24~T26,T31~T36を「下アーム」という。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2,MG3を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、例えば、モータMG1,MG2,MG3の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ44,45,46からの回転位置θm1,θm2,θm3や、モータMG1,MG2,MG3の各相に流れる相電流を検出する図示しない電流センサからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2,Iu3,Iv3を挙げることができる。モータECU40からは、インバータ41,42,43の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ44,45,46からのモータMG1,MG2,MG3の回転子の回転位置θm1,θm2,θm3に基づいてモータMG1,MG2,MG3の電気角θe1,θe2,θe3や角速度ωm1,ωm2,ωm3、回転数Nm1,Nm2,Nm3を演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、上述したように、電力ライン54を介してインバータ41,42,43に接続されている。バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52により管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ib、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算している。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対する放電可能な電力量の割合である。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速Vを挙げることができる。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションSPとしては、駐車ポジション(Pポジション)や後進ポジション(Rポジション)、ニュートラルポジション(Nポジション)、前進ポジション(Dポジション)、ブレーキポジション(Bポジション)が用意されている。Bポジションは、アクセルオン時の駆動力をDポジションと同様にすると共にアクセルオフ時の制動力をDポジションよりも大きくするポジションである。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を伴わずに(回転停止させて)走行する電動走行(EV走行)モードやエンジン22の運転(回転)を伴って走行するハイブリッド走行(HV走行)モードを含む複数の走行モードで走行する。
EV走行モードでは、基本的には、以下のように走行する。HVECU70は、最初に、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される要求トルクTd*を設定する。続いて、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に要求トルクTd*がトルク配分比ktに基づいて前輪39a,39bと後輪39c,39dとに出力されるようにモータMG2,MG3のトルク指令Tm2*,Tm3*を設定する。ここで、トルク配分比ktは、前輪39a,39bに出力するトルクと後輪39c,39dに出力するトルクとの和に対する後輪39c,39dに出力するトルクの割合であり、走行状態(発進時や加速時、定速時、減速時、スリップ時など)に基づいて設定される。そして、設定したモータMG1,MG2,MG3のトルク指令Tm1*,Tm2*,Tm3*をモータECU40に送信する。モータECU40は、モータMG1,MG2,MG3がトルク指令Tm1*,Tm2*,Tm3*で駆動されるようにインバータ41,42,43の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
HV走行モードでは、基本的には、以下のように走行する。HVECU70は、最初に、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される要求トルクTd*を設定すると共に、設定した要求トルクTd*と車速Vとに基づいて走行に要求される要求パワーPd*を設定する。続いて、要求パワーPd*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*を減じて車両に要求される(エンジン22に要求される)要求パワーPe*を計算する。そして、エンジン22から要求パワーPe*が出力されると共に要求トルクTd*がトルク配分比ktに基づいて前輪39a,39bと後輪39c,39dとに出力されるように、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2,MG3のトルク指令Tm1*,Tm2*,Tm3*を設定する。そして、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2,MG3のトルク指令Tm1*,Tm2*,Tm3*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*および目標トルクTe*で運転されるようにエンジン22の吸入空気量制御,燃料噴射制御,点火制御などを行なう。モータECU40によるインバータ41,42,43の制御については上述した。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、EV走行モードでアクセルオフのときの動作について説明する。図3は、HVECU70により実行されるアクセルオフ時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、モータ運転モードでアクセルオフのときに繰り返し実行される。
図3のアクセルオフ時制御ルーチンが実行されると、HVECU70は、最初に、シフトポジションSPや車速V、バッテリ50の蓄電割合SOCなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、シフトポジションSPは、シフトポジションセンサ82により検出されたものが入力される。車速Vは、車速センサ88により検出されたものが入力される。バッテリ50の蓄電割合SOCは、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibに基づいて演算されたものがバッテリECU52から通信により入力される。
こうしてデータを入力すると、入力したシフトポジションSPおよび車速Vに基づいて要求トルクTd*を設定すると共に(ステップS110)、車速Vに基づいてインバータ41,42,43をそれぞれ三相オンしたときにモータMG1,MG2,MG3から車両に作用するトルクTon1,Ton2,Ton3を推定する(ステップS120)。
アクセルオフ時を考えているから、要求トルクTd*には、負の値(制動トルク)が設定される。実施例では、シフトポジションSPがBポジションのときにはDポジションのときに比して小さい(絶対値としては大きい)トルクを要求トルクTd*に設定するものとした。また、インバータ41の三相オンは、トランジスタT11~T16のうちの上アーム(トランジスタT11~T13)の全てまたは下アーム(トランジスタT14~T16)の全てをオンにすることをいう。インバータ42,43の三相オンも同様である。EV走行モードではモータMG1が負回転(駆動軸36Fとは逆回転)しているから、インバータ41を三相オンすると、モータMG1の回転数Nm1の絶対値を低下させるトルクが生じ、このトルクがプラネタリギヤ30を介して駆動軸36Fひいては前輪39a,39bに制動トルク(トルクTon1)として作用する。また、インバータ42を三相オンすると、モータMG2の回転数Nm2の絶対値を低下させるトルクが生じ、このトルクが駆動軸36Fひいては前輪39a,39bに制動トルク(トルクTon2)として作用する。さらに、インバータ43を三相オンすると、モータMG3の回転数Nm3の絶対値を低下させるトルクが生じ、このトルクが駆動軸36Rひいては後輪39c,39dに制動トルク(トルクTon3)として作用する。したがって、トルクTon1,Ton2,Ton3は、何れも負のトルク(制動トルク)であり、実施例では、大きい側(絶対値としては小さい側)からトルクTon1,Ton3,Ton2の順となるものとした。
続いて、バッテリ50の蓄電割合SOCを閾値Sref1や閾値Sref1よりも大きい閾値Sref2、閾値Sref2よりも大きい閾値Sref3と比較すると共に要求トルクTd*をトルクTon1やトルクTon1,Ton3の和、トルクTon1,Ton2,Ton3の和と比較する(ステップS130~S180)。ここで、閾値Sref1としては、例えば、60%や65%、70%などが用いられ、閾値Sref2としては、例えば、閾値Sref1よりも8%や10%、12%など大きい値が用いられ、閾値Sref3としては、例えば、閾値Sref2よりも8%や10%、12%など大きい値が用いられる。また、トルクTon1、トルクTon1,Ton3の和、トルクTon1,Ton2,Ton3の和と車速Vとの関係の一例を図4に示す。
最初に、バッテリ50の蓄電割合SOCを閾値Sref1と比較し(ステップS130)、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref1未満のときには、モータMG2のトルク指令Tm2*に要求トルクTd*を設定すると共にモータMG1,MG3のトルク指令Tm1*,Tm3*に値0を設定してこれらをモータECU40に送信して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。この場合、モータMG2はトルク指令Tm2*(=Td*)で回生駆動され、モータMG1,MG3はトルクが値0となるように駆動される(d軸電流が供給される)。こうした制御により、要求トルクTd*を車両に作用させることができる。
ステップS130でバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref1以上のときには、バッテリ50の蓄電割合SOCを閾値Sref2と比較し(ステップS140)、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2未満のときには、インバータ41の三相オン指令をモータECU40に送信し(ステップS200)、モータMG2のトルク指令Tm2*に要求トルクTd*からトルクTon1を減じた値を設定すると共にモータMG3のトルク指令Tm3*に値0設定してこれらをモータECU40に送信して(ステップS210)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41は三相オンされる。インバータ41が三相オンされると、モータMG1とインバータ41とで電流が循環するから、インバータ41からバッテリ50には電力が供給されない。モータMG2は、要求トルクTd*がトルクTon1よりも小さい(絶対値としては大きい)ときにはトルク指令Tm2*(=Td*-Ton1)で回生駆動され、要求トルクTd*がトルクTon1よりも大きいときにはトルク指令Tm2*(=Td*-Ton1)で力行駆動され、要求トルクTd*とトルクTon1とが等しいときにはトルクが値0となるように駆動される。モータMG3はトルクが値0となるように駆動される。こうした制御により、インバータ41,42,43の何れも三相オンせずにモータMG2を要求トルクTd*で回生駆動する場合に比して、バッテリ50の蓄電割合SOCの増加を抑制しつつ、要求トルクTd*を車両に作用させることができる。
ステップS140でバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2以上のときには、要求トルクTd*をトルクTon1と比較し(ステップS150)、要求トルクTd*がトルクTon1以上(絶対値としては以下)のときには、上述のステップS200,S210の処理を実行して、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41は三相オンされ、モータMG2はトルク指令Tm2*(=Td*-Ton1)で力行駆動されるかトルクが値0となるように駆動され、モータMG3はトルクが値0となるように駆動される。こうした制御により、インバータ41,42,43の何れも三相オンせずにモータMG2を要求トルクTd*で回生駆動する場合に比して、バッテリ50の蓄電割合SOCの増加を抑制しつつ、要求トルクTd*を車両に作用させることができる。
ステップS150で要求トルクTd*が閾値Ton1よりも小さい(絶対値としては大きい)ときには、バッテリ50の蓄電割合SOCを閾値Sref3と比較し(ステップS160)、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref3未満のときには、インバータ41,43の三相オン指令をモータECU40に送信し(ステップS220)、モータMG2のトルク指令Tm2*に要求トルクTd*からトルクTon1,Ton3の和を減じた値を設定してこれをモータECU40に送信して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41,43は三相オンされる。モータMG2は、要求トルクTd*がトルクTon1,Ton3の和よりも小さい(絶対値としては大きい)ときにはトルク指令Tm2*(=Td*-Ton1-Ton3)で回生駆動され、要求トルクTd*がトルクTon1,Ton3の和よりも大きいときにはトルク指令Tm2*(=Td*-Ton1-Ton3)で力行駆動され、要求トルクTd*とトルクTon1,Ton3の和とが等しいときにはトルクが値0となるように駆動される。こうした制御により、インバータ41,42,43の何れも三相オンせずにモータMG2を要求トルクTd*で回生駆動する場合に比して、バッテリ50の蓄電割合SOCの増加を抑制しつつ、要求トルクTd*を車両に作用させることができる。
ステップS160でバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref3以上のときには、要求トルクTd*をトルクTon1,Ton3の和と比較し(ステップS170)、要求トルクTd*がトルクTon1,Ton3の和以上(絶対値としては以下)のときには、上述のステップS220,S230の処理を実行して、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41,43は三相オンされ、モータMG2は、トルク指令Tm2*(=Td*-Ton1-Ton3)で力行駆動されるかトルクが値0となるように駆動される。こうした制御により、インバータ41,42,43の何れも三相オンせずにモータMG2を要求トルクTd*で回生駆動する場合に比して、バッテリ50の蓄電割合SOCの増加を抑制しつつ、要求トルクTd*を車両に作用させることができる。
ステップS170で要求トルクTd*がトルクTon1,Ton3の和よりも小さい(絶対値としては大きい)ときには、要求トルクTd*をトルクTon1,Ton2,Ton3の和と比較し(ステップS180)、要求トルクTd*がトルクTon1,Ton2,Ton3の和以上(絶対値としては以下)のときには、インバータ41,43の三相オン指令をモータECU40に送信し(ステップS240)、モータMG2のトルク指令Tm2*に値0を設定して(ステップS250)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41,43は三相オンされ、モータMG2はトルクが値0となるように駆動される。こうした制御により、インバータ41,42,43の何れも三相オンせずにモータMG2を要求トルクTd*で回生駆動する場合に比して、バッテリ50の蓄電割合SOCの増加を抑制しつつ、トルクTo1,Ton3の和のトルクを車両に作用させることができる。
ステップS180で要求トルクTd*がトルクTon1,Ton2,Ton3の和よりも小さい(絶対値としては大きい)ときには、インバータ41,42,43の三相オン指令をモータECU40に送信して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41,42,43は三相オンされる。こうした制御により、インバータ41,42,43の何れも三相オンせずにモータMG2を要求トルクTd*で回生駆動する場合に比して、バッテリ50の蓄電割合SOCの増加を抑制しつつ、トルクTo1,Ton2,Ton3の和のトルクを車両に作用させることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、EV走行モードでアクセルオフのときに、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref1以上のときには、少なくともインバータ41を三相オンする。これにより、インバータ41,42,43の何れも三相オンしないものに比して、バッテリ50の蓄電割合SOCの増加を抑制しつつ車両に制動トルクを作用させることができる。しかも、燃料カット中のエンジン22をモータMG1によりモータリングして駆動軸36Fに制動トルクを作用させるものとは異なり、エンジン22を回転させずに(エンジン22の回転音を発生させずに)車両に制動トルクを作用させることができる。即ち、EV走行モードを継続することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の蓄電割合SOCについての閾値Sref1,Sref2,Sref3として、シフトポジションSPに拘わらずに一律の値を用いるものとした。しかし、シフトポジションSPがBポジションのときに、Dポジションのときに比して、閾値Sref1,Sref2,Sref3として小さい値を用いるものとしてもよい。アクセルオフ時において、シフトポジションSPがBポジションのときには、Dポジションに比して要求トルクTd*が小さい(絶対値としては大きい)から、モータMG2を回生駆動したときの発電電力が大きくなり、バッテリ50の蓄電割合SOCが増加しやすい。この変形例では、シフトポジションSPがBポジションのときに、Dポジションのときに比して閾値Sref1,Sref2,Sref3を小さくすることにより、バッテリ50の蓄電割合SOCが低い状態からインバータ41などを三相オンさせることができる。これにより、モータMG2の回生駆動による発電電力を小さくし、バッテリ50の蓄電割合SOCの増加を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションSPとして、駐車ポジション(Pポジション)や後進ポジション(Rポジション)、ニュートラルポジション(Nポジション)、前進ポジション(Dポジション)、ブレーキポジション(Bポジション)が用意されているものとした。しかし、これらのポジションに加えてまたはブレーキポジション(Bポジション)に代えて、アップシフト指示ポジションおよびダウンシフト指示ポジションを有するシーケンシャルシフトポジション(Sポジション)が用意されているものとしてもよい。ここで、Sポジションは、アクセルオン時の駆動力やアクセルオフ時の制動力(Dポジションよりも大きい制動力)を仮想的な有段変速機の変速段Mに応じて変更するポジションである。これにより、Sポジションでは、仮想的な有段変速機による変速感を運転者に与えることができる。仮想的な有段変速機としては、例えば、4段変速機や5段変速機、6段変速機、7段変速機、8段変速機などを考えることができる。
シフトポジションSPがSポジションでのアクセルオフ時において、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref未満のときには、モータMG2の回生駆動により車両の制動トルクを変速段Mに応じて変更し、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref以上のときには、インバータ41,42,43のうちの少なくとも1つの三相オンにより車両の制動トルクを変速段Mに応じて変更するものとしてもよい。後者の場合、HVECU70は、図5のアクセルオフ時制御ルーチンを実行するものとしてもよい。この変形例では、仮想的な変速機として7段変速機を考えるものとした。また、インバータ41,42,43のうちの少なくとも1つを三相オンしたときに車両に作用するトルク(制動トルク)は、この変形例では、大きい側(絶対値としては小さい側)から、トルクTon1、トルクTon3、トルクTon2、トルクTon1,Ton3の和、トルクTon1,Ton2の和、トルクTon2,Ton3の和、トルクTon1,Ton2,Ton3の和の順となるものとした。
図5のアクセルオフ時制御ルーチンが実行されると、HVECU70は、最初に、変速段Mを入力し(ステップS300)、入力した変速段Mが7速段であるか否かを判定し(ステップS310)、変速段Mが7速段であると判定したときには、インバータ41の三相オン指令をモータECU40に送信して(ステップS320)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41が三相オンされ、モータMG1から車両にトルクTon1が作用する。
ステップS310で変速段Mが7速段でないと判定したときには、変速段Mが6速段であるか否かを判定し(ステップS330)、変速段Mが6速段であると判定したときには、インバータ43の三相オン指令をモータECU40に送信して(ステップS340)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ43が三相オンされ、モータMG3から車両にトルクTon3が作用する。
ステップS330で変速段Mが6速段でないと判定したときには、変速段Mが5速段であるか否かを判定し(ステップS350)、変速段Mが5速段であると判定したときには、インバータ42の三相オン指令をモータECU40に送信して(ステップS360)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ42が三相オンされ、モータMG2から車両にトルクTon2が作用する。
ステップS350で変速段Mが5速段でないと判定したときには、変速段Mが4速段であるか否かを判定し(ステップS370)、変速段Mが4速段であると判定したときには、インバータ41,43の三相オン指令をモータECU40に送信して(ステップS380)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41,43が三相オンされ、モータMG1,MG3から車両にトルクTon1,Ton3の和のトルクが作用する。
ステップS370で変速段Mが4速段でないと判定したときには、変速段Mが3速段であるか否かを判定し(ステップS390)、変速段Mが3速段であると判定したときには、インバータ41,42の三相オン指令をモータECU40に送信して(ステップS400)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41,42が三相オンされ、モータMG1,MG2から車両にトルクTon1,Ton2の和のトルクが作用する。
ステップS390で変速段Mが3速段でないと判定したときには、変速段Mが2速段であるか否かを判定し(ステップS410)、変速段Mが2速段であると判定したときには、インバータ42,43の三相オン指令をモータECU40に送信して(ステップS420)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ42,43が三相オンされ、モータMG2,MG3から車両にトルクTon2,Ton3の和のトルクが作用する。
ステップS410で変速段Mが2速段でないと判定したときには、変速段Mが1速段であると判定し、インバータ41,42,43の三相オン指令をモータECU40に送信して(ステップS430)、本ルーチンを終了する。この場合、インバータ41,42,43が三相オンされ、モータMG1,MG2,MG3から車両にトルクTon1,Ton2,Ton3の和のトルクが作用する。
こうした制御により、車両に作用させる制動トルクを変速段Mに応じて変更する、具体的には、変速段Mが低速段になるにつれて大きくすることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、蓄電装置として、バッテリ50を用いるものとしたが、バッテリ50に代えて、キャパシタを用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とメインECU70とを備えるものとしたが、これらのうちの少なくとも2つを単一の電子制御ユニットとして構成するものとしてもよい。
実施例では、図1に示したように、前輪39a,39bに連結された駆動軸36Fにプラネタリギヤ30を介してエンジン22およびモータMG1を接続すると共に駆動軸36FにモータMG2を接続し、後輪39c,39dに連結された駆動軸36RにモータMG3を接続し、モータMG1,MG2,MG3に電力ライン54を介してバッテリ50を接続するハイブリッド自動車20の構成とした。しかし、図6に示すように、前輪39a,39bに連結された駆動軸36Fに変速機130を介してモータMG2を接続すると共にモータMG2にクラッチ129を介してエンジン22を接続し、後輪39c,39dに連結された駆動軸36RにモータMG3を接続し、モータMG2,MG3に電力ライン54を介してバッテリ50を接続するハイブリッド自動車120の構成としてもよい。また、図7に示すように、前輪39a,39bに連結された駆動軸36FにモータMG2を接続すると共に後輪39c,39dに連結された駆動軸36RにモータMG3を接続し、モータMG2,MG3に電力ライン54を介してバッテリ50を接続する電気自動車320の構成としてもよい。加えて、図1や図6のハイブリッド自動車20,120や図7の電気自動車320からモータMG3やインバータ43を除いた構成としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG2が「モータ」に相当し、インバータ42が「インバータ」に相当し、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、HVECU70とモータECU40とが「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。