以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 原子発振器
1.1. 概略
まず、本実施形態に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る原子発振器10を示す概略図である。
原子発振器10は、アルカリ金属原子に対して特定の異なる波長の2つの共鳴光を同時に照射したときに当該2つの共鳴光がアルカリ金属原子に吸収されずに透過する現象が生じる量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した原子発振器である。なお、この量子干渉効果による現象は、電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象とも言う。また、本発明に係る原子発振器は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した原子発振器であってもよい。
原子発振器10は、図1に示すように、光源ユニット100と、光学系ユニット200と、原子セルユニット300と、光源ユニット100および原子セルユニット300を制御する制御ユニット500と、を含む。以下、まず、原子発振器10の概略について説明する。
光源ユニット100は、ペルチェ素子110と、光源120と、温度センサー130と、を有している。
光源120は、周波数の異なる2種の光を含んでいる直線偏光の光LLを出射する。光源120は、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの発光素子である。温度センサー130は、光源120の温度を検出する。ペルチェ素子110は、光源120の温度を第1の温度に制御する第1温度制御素子である。具体的には、ペルチェ素子110は、光源120を加温または冷却する。第1の温度は、例えば、25℃以上35℃以下である。
光学系ユニット200は、光源ユニット100と原子セルユニット300との間に配置されている。光学系ユニット200は、減光フィルター210と、レンズ220と、1/4波長板230と、を有している。
減光フィルター210は、光源120から出射された光LLの強度を減少させる。レンズ220は、光LLの放射角度を調整する。具体的には、レンズ220は、光LLを平行光にする。1/4波長板230は、光LLに含まれる周波数の異なる2種の光を、直線偏光から円偏光に変換する。
原子セルユニット300は、原子セル310と、受光素子320と、ヒーターユニット380と、温度センサー322と、コイル324と、を有している。
原子セル310は、光源120から出射される光LLを透過する。原子セル310には、アルカリ金属原子が収容されている。アルカリ金属原子は、互いに異なる2つの基底準位と励起準位とからなる3準位系のエネルギー準位を有する。原子セル310には、光源120から出射された光LLが減光フィルター210、レンズ220、および1/4波長板230を介して入射する。
受光素子320は、原子セル310を通過した光LLを受光し、検出する。受光素子320は、例えば、フォトダイオードである。
ヒーターユニット380は、原子セル310を、第1の温度とは異なる第2の温度に制御する第2温度制御素子である。ヒーターユニット380は、原子セル310に収容されたアルカリ金属原子を加熱し、アルカリ金属原子の少なくとも一部をガス状態にする。第2の温度は、例えば、60℃以上70℃以下である。
温度センサー322は、原子セル310の温度を検出する。コイル324は、原子セル310に収容されたアルカリ金属原子に所定方向の磁場を印加し、アルカリ金属原子のエネルギー準位をゼーマン分裂させる。
アルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光した共鳴光対がアルカリ金属原子に照射されると、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くなる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号が大きくなる。その結果、原子発振器10の発振特性を向上させることができる。
制御ユニット500は、温度制御部510と、光源制御部520と、磁場制御部530と、温度制御部540と、を有している。
温度制御部510は、温度センサー322の検出結果に基づいて、原子セル310の内部が所望の温度となるように、ヒーターユニット380への通電を制御する。磁場制御部530は、コイル324が発生する磁場が一定となるように、コイル324への通電を制御する。温度制御部540は、温度センサー130の検出結果に基づいて、光源120の温度が所望の温度となるように、ペルチェ素子110への通電を制御する。
光源制御部520は、受光素子320の検出結果に基づいて、EIT現象が生じるように、光源120から出射された光LLに含まれる2種の光の周波数を制御する。ここで、これら2種の光が原子セル310に収容されたアルカリ金属原子の2つの基底準位間のエネルギー差に相当する周波数差の共鳴光対となったとき、EIT現象が生じる。光源制御部520は、2種の光の周波数の制御に同期して安定化するように発振周波数が制御される電圧制御型発振器(図示せず)を備えており、この電圧制御型発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)の出力信号を原子発振器10の出力信号(クロック信号)として出力する。
1.2. 具体的な構成
次に、原子発振器10の具体的な構成について説明する。図2および図3は、原子発振器10を模式的に示す断面図である。なお、図2は、図3のII-II線断面図である。また、図2,3、後述する図4~図13、および後述する図19,20では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
原子発振器10は、図2および図3に示すように、光源ユニット100と、光学系ユニット200と、原子セルユニット300と、支持部材(基板)400と、制御ユニット500と、外容器600と、を含む。
ここで、Z軸は、外基部610の第1外容器面612の垂線Pに沿う軸であり、+Z軸方向は、外基部610の第1外容器面612から第1外容器面612上に配置されている部品へ向かう方向である。X軸は、光源ユニット100から出射される光LLに沿う軸であり、+X軸方向は、光LLの進む方向である。Y軸は、X軸およびZ軸に垂直な軸であり、+Y軸方向は、+Z軸方向を上、+X軸方向を右に向けた時に、手前から奥へ向かう方向である。
光源ユニット100は、支持部材400に配置されている。光源ユニット100は、ペルチェ素子110と、光源120と、温度センサー130と、これらを収容している光源容器140と、光源容器140が配置される光源基板150と、を有している。光源基板150は、例えば、ねじ(図示せず)によって支持部材400に固定されている。ペルチェ素子110、光源120、および温度センサー130は、制御ユニット500と電気的に接続されている。
光学系ユニット200は、支持部材400に配置されている。光学系ユニット200は、減光フィルター210と、レンズ220と、1/4波長板230と、これらを保持しているホルダー240と、を有している。ホルダー240は、例えば、ねじ(図示せず)によって支持部材400に固定されている。
ホルダー240には、貫通孔250が設けられている。貫通孔250は、光LLの通過領域である。貫通孔250には、減光フィルター210、レンズ220、および1/4波長板230が光源ユニット100側からこの順で配置されている。
ここで、図4は、原子セルユニット300を模式的に示す断面図である。原子セルユニット300は、図2~図4に示すように、原子セル310と、受光素子320と、第1保持部材330と、ねじ331と、第2保持部材332と、第1原子セル容器340と、第1位置決め部材350と、第2位置決め部材360と、スペーサー369と、第2原子セル容器370と、ヒーターユニット380と、ペルチェ素子390と、を含む。
原子セル310には、気体のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が収容されている。原子セル310には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属原子とともに収容されていてもよい。
原子セル310には、光源120から出射された光LLが入射する。原子セル310の壁部の材質は、例えば、ガラスなどである。原子セル310の壁部は、原子セル310の内部空間を規定している。原子セル310の内部空間は、図4に示すように、第1空間312と、第2空間314と、連通孔316と、を含む。
第1空間312は、例えば、アルカリ金属原子の飽和蒸気圧となっている。光源120
から出射された光LLは、第1空間312を通過する。第2空間314は、連通孔316を介して、第1空間312と連通している。第2空間314の体積は、例えば、第1空間312の体積よりも小さい。第2空間314は、第1空間312よりも低温となるように温度調整される。そのため、第2空間314には、例えば、液体のアルカリ金属原子が存在する。これにより、第1空間312の気体のアルカリ金属原子が原子セル310の壁部との反応等により減少した場合、液体のアルカリ金属原子が気化して、第1空間312における気体のアルカリ金属原子の濃度を一定に保つことができる。
受光素子320は、原子セル310の光源120側とは反対側に配置されている。図示の例では、受光素子320は、第1原子セル容器340に配置されている。受光素子320は、制御ユニット500と電気的に接続されている。
第1保持部材330は、第1原子セル容器340内において、原子セル310を保持している。第1保持部材330は、例えば、第1空間312を規定する原子セル310の壁部に接している。図示の例では、第1保持部材330は、ねじ331によって、第1原子セル容器340の壁部345に固定されている。壁部345は、第1原子セル容器340の-Y軸方向側の壁部である。第1保持部材330は、ヒーターユニット380の熱を、第1空間312のアルカリ金属原子に伝える。第1保持部材330の材質は、例えば、アルミニウム、チタン、銅、真鍮などである。
第1保持部材330には、貫通孔330a,330bが設けられている。光源120から出射された光LLは、貫通孔330aを通って原子セル310に入射する。原子セル310を透過した光LLは、貫通孔330bを通って受光素子320に入射する。貫通孔330a,330bには、光LLを透過させる部材が配置されていてもよい。
第2保持部材332は、第1原子セル容器340内において、原子セル310を保持している。第2保持部材332は、例えば、第2空間314を規定する原子セル310の壁部に接している。図示の例では、第2保持部材332は、ねじ333によって、第1原子セル容器340に固定されている。第2保持部材332は、例えば、第2空間314の熱を、ペルチェ素子390に伝える。第2保持部材332は、第1保持部材330と離間して設けられている。これにより、第2空間314を、第1空間312よりも低温となるように調整することができる。第2保持部材332の材質は、例えば、第1保持部材330と同じである。
第1原子セル容器340は、原子セル310、受光素子320、および保持部材330,332を収容している。第1原子セル容器340は、位置決め部材350,360を介して、支持部材400に配置されている。第1原子セル容器340は、略直方体の外形形状を有している。第1原子セル容器340の材質は、例えば、鉄、ケイ素鉄、パーマロイ、スーパーマロイ、センダスト、銅などである。このような材料を用いることにより、第1原子セル容器340は、外部からの磁気を遮蔽することができる。これにより、外部からの磁気によって原子セル310内のアルカリ金属原子が影響を受けることを抑え、原子発振器10の発振特性の安定化を図ることができる。ここで、「抑える」とは、ある事象が生じないように、当該事象が生じることを完全にとめる場合と、ある事象が生じても当該事象の程度を少なくする場合と、を含む。
第1原子セル容器340には、貫通孔340aが設けられている。光源120から出射された光LLは、貫通孔340aを通って原子セル310に入射する。貫通孔340aには、光LLを透過させる部材が設けられていてもよい。
第1原子セル容器340の外表面34fには、伝熱部材346が配置されている。図示
の例では、伝熱部材346は、板状であり、ねじ331によって、第1原子セル容器340の壁部345に固定されている。伝熱部材346は、第1原子セル容器340とヒーターユニット380との間に配置されている。伝熱部材346の熱伝導率は、例えば、第1原子セル容器340の熱伝導率およびヒーターユニット380のヒーター蓋部383の熱伝導率よりも高い。伝熱部材346は、ヒーターユニット380の熱を第1空間312のアルカリ金属原子に伝える。伝熱部材346の材質は、例えば、アルミニウム、銅などである。
ここで、図5および図6は、本実施形態に係る原子発振器10を模式的に示す斜視図である。図7は、第1位置決め部材350を模式的に示す斜視図である。図8は、第1位置決め部材350を模式的に示す平面図である。なお、便宜上、図5および図6では、原子発振器10の部材を、一部省略して図示している。
第1位置決め部材350および第2位置決め部材360は、図5および図6に示すように、支持部材400に配置されている。第1位置決め部材350および第2位置決め部材360は、支持部材400に固定されている。支持部材400と第1位置決め部材350とは、別体である。すなわち、支持部材400と第1位置決め部材350とは、一体的に形成されておらず、別の部材である。同様に、支持部材400と第2位置決め部材360とは、別体である。支持部材400の材質と、位置決め部材350,360の材質とは、異なる。なお、図示はしないが、支持部材400、第1位置決め部材350、および第2位置決め部材360とは、一体的に形成されていてもよい。すなわち、支持部材400に、位置決め部材350,360と同様の形状の構造体が形成されていてもよい。また、少なくとも第1位置決め部材350があれば、位置精度よく原子セル310を支持部材400に配置することができる。すなわち、第2位置決め部材360はなくてもよい。第2位置決め部材360があれば、第1位置決め部材350および第2位置決め部材360の2つの位置決め部材によって、原子セル310の位置を決めることができる。
第1位置決め部材350は、第1原子セル容器340の+Y軸方向側に配置されている。第2位置決め部材360は、第1原子セル容器340の-Y軸方向側に配置されている。Z軸方向(垂線P方向)からみて、第1原子セル容器340は、第1位置決め部材350と第2位置決め部材360との間に配置されている。
第1位置決め部材350および第2位置決め部材360は、支持部材400に対して、第1原子セル容器340の位置決めをする部材である。第1原子セル容器340を支持部材400に配置する方法としては、まず、図5に示すように、位置決め部材350,360を支持部材400に固定する。次に、図6に示すように、位置決め部材350,360を用いて支持部材400に第1原子セル容器340を配置して、支持部材400に対する第1原子セル容器340の位置が決められる。
第1原子セル容器340は、第1角部341と第2角部342とを有している。図6に示す例では、第1角部341は、第1原子セル容器340の-X軸方向側かつ+Y軸方向側の角部である。外表面34a、外表面34b、外表面34cは互いに交わり、これらの3つの面が交わる部分が、第1角部341である。第2角部342は、第1原子セル容器340の+X軸方向側かつ-Y軸方向側の角部である。外表面34a、外表面34c、外表面34dは互いに交わり、これらの3つの面が交わる部分が、第2角部342である。第1位置決め部材350は、第1角部341に接する第1ブロック352と、第2角部342に接する第2ブロック354と、第1ブロック352と第2ブロック354とを接続する接続部356と、を有している。
なお、「第1原子セル容器340の角部」は、第1原子セル容器340の3つの外表面
がなす頂点と、該頂点近傍の部分と、を含む。「頂点近傍の部分」とは、例えば、3つの外表面がなす頂点から、外表面の各辺の長さの4分の1以内の部分である。
第1ブロック352は、ブロック基部352aと、ブロック基部352aから+Z軸方向に延出するブロック壁部352b,352cと、を有している。ブロック基部352aは、第1原子セル容器340の-Z軸方向側の外表面34aに接している。ブロック壁部352bは、第1原子セル容器340の-X軸方向側の外表面34bに接している。ブロック壁部352cは、第1原子セル容器340の+Y軸方向側の外表面34cに接している。このように、第1ブロック352は、第1原子セル容器340の3つの外表面34a,34b,34cに接している。そのため、第1位置決め部材350は、第1原子セル容器340のX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の位置決めを行うことができる。
第2ブロック354は、ブロック基部354aと、ブロック基部354aから+Z軸方向に延出するブロック壁部354b,354cと、を有している。ブロック基部354aは、第1原子セル容器340の-Z軸方向側の外表面34aに接している。ブロック壁部354cは、第1原子セル容器340の+Y軸方向側の外表面34cに接している。ブロック壁部354bは、第1原子セル容器340の+X軸方向側の外表面34dに対向している。ブロック壁部354bは、外表面34dに接していてもよいし、外表面34dと離間していてもよい。
第1ブロック352は、第1固定構造部357で支持部材400に固定されている。第1固定構造部357は、例えば、図5に示すように、第1ブロック352に設けられたねじ穴357aと、ねじ穴357aに挿入されたねじ357bと、によって構成されている。図示の例では、第1固定構造部357は、2つ設けられている。
第2ブロック354は、第2固定構造部358で支持部材400に固定されている。第2固定構造部358は、例えば、第2ブロック354に設けられたねじ穴358aと、ねじ穴358aに挿入されたねじ358bと、によって構成されている。図示の例では、第2固定構造部358は、2つ設けられている。
第1固定構造部357と第2固定構造部358との間の距離L1は、第1角部341と第2角部342との間の距離L2よりも大きい。これにより、仮に、第1固定構造部357に対して第2固定構造部358の位置が所望の位置よりずれたとしても、距離L1が距離L2以下の場合に比べて、第1位置決め部材350の角度ずれを小さくすることができる。例えば、第2固定構造部358の位置がY軸方向にずれたとしても、第1位置決め部材350のZ軸と平行な軸を回転軸とした回転角度を小さくすることができる。距離L1は、第1固定構造部357と第2固定構造部358との間の最短距離である。距離L2は、第1角部341の頂点と第2角部342の頂点との間の距離である。
接続部356は、例えば、ブロック基部352aと、ブロック基部354aと、を接続する梁状の部材である。図示の例では、接続部356は、X軸方向に延出している。接続部356は、第1原子セル容器340に接していてもよいし、第1原子セル容器340と離間してもよい。
第2位置決め部材360は、図5および図6に示すように、例えば、第1位置決め部材350と同じ形状を有している。第1原子セル容器340は、第3角部343と第4角部344とを有している。図示の例では、第3角部343は、第1原子セル容器340の-X軸方向側かつ-Y軸方向側の角部である。第4角部344は、第1原子セル容器340の+X軸方向側かつ-Y軸方向側の角部である。第2位置決め部材360は、第3角部343に接する第3ブロック362と、第4角部344に接する第4ブロック364と、第
3ブロック362と第4ブロック364とを接続する接続部366と、を有している。
第3ブロック362は、ブロック基部362aと、ブロック壁部362b,362cと、を有している。第4ブロック364は、ブロック基部364aと、ブロック壁部364b,364cと、を有している。ブロック壁部362bは、第1原子セル容器340の-X軸方向側の外表面34bに接している。ブロック壁部362c,364b,364cは、第1原子セル容器340に接していてもよいし、第1原子セル容器340と離間していてもよい。
第3ブロック362は、第1ブロック352と同様に、第3固定構造部367で支持部材400に固定されている。第4ブロック364は、第2ブロック354と同様に、第4固定構造部368で支持部材400に固定されている。
第1位置決め部材350および第2位置決め部材360は、断熱部材である。位置決め部材350,360の材質は、例えば、エンジニアリングプラスチック、液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂である。位置決め部材350,360が断熱部材であることにより、例えば、ヒーターユニット380の熱が支持部材400を介して光源120に伝わることを抑えることができる。ヒーターユニット380の熱が支持部材400を介して光源120に伝わると、光源120を所望の温度にすることができない場合がある。なお、「断熱部材」とは、熱伝導率が1W/mK以下の部材である。
スペーサー369は、第1原子セル容器340の+Z軸方向側の外表面34eと、第2原子セル容器370と、の間に配置されている。スペーサー369は、図6に示すように、例えば4つ配置されている。図示の例では、スペーサー369は、第1原子セル容器340の+Z軸方向側の角部に配置されている。スペーサー369の材質は、例えば、位置決め部材350,360と同じである。
ここで、図9は、本実施形態に係る原子発振器10を模式的に示す斜視図である。図10は、図9に示す領域αの拡大図である。なお、便宜上、図9では、原子発振器10の部材を、一部省略して図示している。
第2原子セル容器370は、第1原子セル容器340を収容している。図9に示す例では、第2原子セル容器370は、貫通孔が設けられた板状の固定部372を有し、固定部372は、ねじ374によって支持部材400に固定されている。第2原子セル容器370は、例えば、図4に示すように、3つの固定部372を有し、3箇所で支持部材400に固定されている。
第2原子セル容器370の材質は、例えば、第1原子セル容器340と同じである。第2原子セル容器370は、外部からの磁気を遮蔽することができる。第1原子セル容器340と第2原子セル容器370との間には、スペーサー369が配置されているため、第1原子セル容器340および第2原子セル容器370は、互いに離間している。そのため、例えば第1原子セル容器340と第2原子セル容器370とが接触している場合に比べて、外部からの磁気を遮蔽する機能を高めることができる。原子セル容器340,370は、切削加工で形成されてもよい。
第2原子セル容器370には、貫通孔370aが設けられている。光源120から出射された光LLは、貫通孔370aを通って原子セル310に入射する。貫通孔370aには、光LLを透過させる部材が設けられていてもよい。
第2原子セル容器370の固定部372と支持部材400との間には、図10に示すように、断熱部材376が配置されている。これにより、ヒーターユニット380の熱が、第2原子セル容器370および支持部材400を介して、光源120に伝わることを抑えることができる。断熱部材376は、ワッシャーであってもよい。断熱部材376の材質は、例えば、位置決め部材350,360と同じである。
ヒーターユニット380は、図4に示すように、伝熱部材346に接している。ヒーターユニット380は、加熱素子381と、ヒーター容器382と、断熱部材386,387と、断熱部材385と、ねじ389と、を有している。
加熱素子381は、第1原子セル容器340の外表面34fに配置されている。図示の例では、加熱素子381は、ヒーター容器382に収容された状態で、第1原子セル容器340の外表面34fに配置されている。加熱素子381は、原子セル310を加熱する素子である。具体的には、加熱素子381は、第1空間312のアルカリ金属原子を加熱するための素子である。加熱素子381は、例えば、発熱抵抗体などである。なお、加熱素子381として、発熱抵抗体に代えて、あるいは発熱抵抗体と併用して、ペルチェ素子を用いてもよい。
ヒーター容器382は、加熱素子381を収容している。ヒーター容器382は、ヒーター蓋部383と、ヒーター基部384と、を有している。
ヒーター蓋部383は、加熱素子381と原子セル310との間に配置されている。図示の例では、ヒーター蓋部383は、加熱素子381が配置された凹部を有する形状である。ヒーター蓋部383は、伝熱部材346に接している。ヒーター蓋部383は、ねじ389を通す貫通孔383aを有している。ヒーター基部384は、加熱素子381の原子セル310側とは反対側に配置されている。図示の例では、ヒーター基部384は、板状である。ヒーター基部384は、ねじ389を通す貫通孔384aを有している。
ヒーター蓋部383およびヒーター基部384は、ねじ389によって互い固定されている。さらに、ヒーター容器382は、ねじ389によって第2原子セル容器370に固定されている。図示の例では、ねじ389は2つ配置され、2つのねじ389の間に、加熱素子381が配置されている。ねじ389の材質は、例えば、金属である。
ヒーター蓋部383およびヒーター基部384の材質は、例えば、第1原子セル容器340と同じである。そのため、ヒーター蓋部383およびヒーター基部384は、磁気を遮蔽する。したがって、ヒーター容器382は、加熱素子381から生じる磁気を遮蔽することができる。これにより、加熱素子381からの磁気によって原子セル310内のアルカリ金属原子の影響を受けることを抑え、原子発振器10の発振特性の安定化を図ることができる。なお、ヒーター容器382は、加熱素子381から生じる磁気を遮蔽することができる限り、いくつの部材から構成されていてもよく、形状も任意である。
断熱部材385,386,387は、ヒーター蓋部383とヒーター基部384との間であって、かつ、加熱素子381よりもヒーター基部384側に配置されている。このように、原子発振器10では、ヒーター蓋部383とヒーター基部384との間であって、かつ、加熱素子381よりもヒーター基部384側には、複数の断熱部材385,386,387が配置されている。断熱部材385,386,387は、少なくとも一部が加熱素子381よりもヒーター基部384側に位置していればよい。断熱部材385,386,387の材質は、例えば、位置決め部材350,360と同じである。
断熱部材385は、ヒーター容器382に収容されている。断熱部材385は、加熱素
子381の原子セル310側とは反対側に配置されている。すなわち、断熱部材385は、加熱素子381とヒーター基部384との間に配置されている。これにより、加熱素子381の熱が原子セル310側とは反対側に伝わることを抑えることができ、加熱素子381の熱を、効率よく原子セル310に伝えることができる。なお、断熱部材385は、ヒーター基部384に、断熱性の材料を成膜して形成された膜であってもよい。
断熱部材386,387は、ヒーター蓋部383の貫通孔383aに配置されている。断熱部材386,387は、例えば、ヒーター蓋部383とヒーター基部384との間に配置されている第1部分388aと、ヒーター蓋部383の貫通孔383aに配置されている第2部分388bと、を有しているワッシャーである。なお、本実施形態の断熱部材386,387は、第1部分388aと第2部分388bとが一体となった構造であるが、第1部分388aと第2部分388bとは、別体であってもよい。すなわち、第1部分388aに相当する部材と、第2部分388bに相当する部材とを組み合わせてもよい。また、第1部分388aおよび第2部分388bの一方に相当する部材のみを用いてもよい。
第1部分388aの直径は、ヒーター蓋部383の貫通孔383aの直径よりも大きく、第2部分388bの直径は、ヒーター蓋部383の貫通孔383aの直径よりも小さい。すなわち、第1部分388aの直径は、第2部分388bよりも大きい。また、第1部分388aの直径は、ヒーター基部384の貫通孔384aよりも大きい。断熱部材386,387には、ねじ389を通す貫通孔が設けられている。第2部分388bの長さは、ヒーター蓋部383の厚さ、言い換えるとヒーター蓋部383の貫通孔383aの長さ、よりも大きい。また、第2原子セル容器370の、ねじ389を通すねじ穴の直径は、断熱部材386,387の第2部分388bの直径よりも小さい。
断熱部材386,387は、ヒーター蓋部383とヒーター基部384とが接触する可能性を、第1部分388aによって低減できるので、ヒーター蓋部383に伝わった加熱素子381の熱がヒーター基部384に伝わることを抑えることができる。また、ヒーター蓋部383に伝わった加熱素子381の熱がねじ389を介してヒーター基部384に伝わることを、第2部分388bによって抑えることができる。これにより、加熱素子381の熱を、効率よく原子セル310に伝えることができる。さらに、第2部分388bの長さがヒーター蓋部383の厚さよりも大きいので、ヒーター蓋部383と第2原子セル容器370とが接触することを防止できる。また、第2原子セル容器370の、ねじ389を通すねじ穴の直径は、断熱部材386,387の第2部分388bの直径よりも小さいので、これによっても、ヒーター蓋部383と第2原子セル容器370とが接触することを防止できる。したがって、ヒーター蓋部383に伝わった加熱素子381の熱が第2原子セル容器370に伝わることを抑えることができる。図示の例では、断熱部材386は、断熱部材385の+X軸方向側に配置され、断熱部材387は、断熱部材385の-X軸方向側に配置されている。
なお、温度センサー322は、図2~図4では図示していないが、原子セル310の近傍に配置されている。温度センサー322は、例えば、サーミスタ、熱電対等の各種温度センサーである。
また、コイル324は、図2~図4では図示していないが、例えば、原子セル310の外周に沿って巻回して設けられているソレノイド型のコイル、または、原子セル310を介して対向するヘルムホルツ型の1対のコイルである。コイル324は、原子セル310の内部に光LLの光軸Aに沿った方向の磁場を発生させる。これにより、原子セル310に収容されたアルカリ金属原子の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップをゼーマン分裂により拡げて、分解能を向上させ、EIT信号の線幅を小さくすることができる
。
また、図示はしないが、加熱素子381に電力を外部から供給するための配線を備えるフレキシブル基板が、断熱部材385の加熱素子381側とは反対側に配置されていてもよい。これにより、加熱素子381の熱がフレキシブル基板に伝わることを抑えることができ、加熱素子381の熱を、効率よく原子セル310に伝えることができる。
ペルチェ素子390は、図2に示すように、第2原子セル容器370に配置されている。図示の例では、ペルチェ素子390は、第2原子セル容器370の+Z軸方向側の外表面に配置されている。ペルチェ素子390は、例えば、第2原子セル容器370から外容器600の外蓋部620に熱を移動させるように、温度制御部510によって制御される。温度制御部510は、温度センサー(図示せず)の検出結果に基づいて、ペルチェ素子390を制御してもよい。
ペルチェ素子390と、外容器600の外蓋部620と、の間には伝熱部材392が配置されている。伝熱部材392の熱伝導率は、例えば、外蓋部620の熱伝導率よりも高い。伝熱部材392は、例えば、板状、シート状である。伝熱部材392の材質は、例えば、アルミニウム、チタン、銅、または、放熱性の高いシリコーンである。伝熱部材392は、ペルチェ素子390の放熱面から放出される熱を、外蓋部620に伝える。
支持部材400は、図2に示すように、外容器600の外基部610に片持ちで固定されている。支持部材400は、例えば、外基部610の台座部611に、図3に示すように、2つのねじ602によって固定されている。支持部材400は、固定端402と、自由端404と、を含む。図2に示す例では、支持部材400は、-X軸方向側が固定端402側であり、+X軸方向側が自由端404側である。支持部材400の固定された部分以外の部分、つまり本実施形態では固定端402以外の部分、と、外基部610との間には空隙6がある。すなわち、自由端404と外基部610との間には空隙6がある。支持部材400の材質は、例えば、アルミニウム、銅であってもよく、また、支持部材400は、例えば、炭素繊維を用いたカーボンシートであってもよい。なお、支持部材400は、接着剤によって、外基部610に固定されていてもよい。
ここで、図11は、支持部材400を模式的に示す斜視図である。支持部材400は、外基部610と対向する原子セル支持部410と、原子セル支持部410に対して+Z軸方向に位置する光源支持部420と、を有している。原子セル支持部410には、Z軸方向に貫通する貫通孔412が設けられ、原子セル支持部410は、Z軸方向からみて枠状である。光源支持部420には、X軸方向に貫通する貫通孔422が設けられている。光源支持部420は、支持部材400の固定端402側に配置されている。
支持部材400には、図2および図3に示すように、光源ユニット100と、光学系ユニット200と、原子セルユニット300とが配置されている。
支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、固定端402側に、光源ユニット100が配置されている。光源ユニット100は、光源容器140が貫通孔422に位置するように、例えば、ねじ(図示せず)によって、光源支持部420の-X軸方向側の面に固定されている。図示の例では、光源120は、光源容器140および光源基板150を介して、支持部材400の固定端402側に配置されている。光学系ユニット200は、例えば、ねじ(図示せず)によって、光源支持部420の+X軸方向側の面に固定されている。
支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、自由端404側に、原
子セルユニット300が配置されている。原子セルユニット300は、Z軸方向からみて、貫通孔412と重なるように、自由端404側に配置されている。図示の例では、原子セルユニット300は、ねじ374によって、原子セル支持部410に固定されている。図示の例では、原子セル310は、第1保持部材330、第1原子セル容器340、位置決め部材350,360、および第2原子セル容器370を介して、支持部材400の自由端404側に配置されている。
このように、支持部材400が外基部610に片持ちで固定されていることにより、例えば支持部材400の熱膨張率と外基部610の熱膨張率との差に起因する応力によって支持部材400が変形することを抑えることができる。仮に、支持部材400が外基部610に両持ちで固定されると、両者の熱膨張率の差に起因する応力によって、支持部材400が変形する場合がある。
原子発振器10は、支持部材400に配置された突起440を含む。ここで、図12は、支持部材400、突起440、ねじ442、および外基部610を模式的に示す断面図であって、図11のXII-XII線に相当する断面図である。
突起440は、図2および図12に示すように、支持部材400の自由端404側に配置されている。突起440は、支持部材400の外基部610と対向する面に配置され、該面から外基部610側に突出している。図12に示す例では、突起440は、ねじ442によって支持部材400に固定されている。突起440は、ワッシャーであってもよい。
突起440は、支持部材400が外基部610側に撓んで自由端404が外基部610に近づいた場合に、支持部材400よりも先に外基部610に接触する。これにより、例えば、外部からZ軸方向の力が加わっても、突起440によって支持部材400の変形を抑えることができる。したがって、突起440の位置は、固定端402よりも自由端404側であれば、突起440の高さを適切に設計することで、支持部材400の変形を抑えることができる。なお、突起440の形状は、特に限定されず、例えば、棒状であってもよい。
図示の例では、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、固定端402側に、光源ユニット100が配置され、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、自由端404側に、原子セルユニット300が配置さている。そのため、突起440によって、原子セル310が光源120に対してずれることを抑えることができる。
突起440と外基部610との間には、空隙2がある。突起440の少なくとも外基部610に対向する対向部分444の材質は、断熱材である。具体的には、突起440は、断熱部材であり、突起440の材質は、例えば、位置決め部材350,360と同じである。突起440の対向部分444の材質が断熱材であることにより、突起440が外基部610と接したとしても、ヒーターユニット380の熱が、第2原子セル容器370、支持部材400、および突起440を介して、外基部610に伝わることを抑えることができる。ヒーターユニット380の熱が、突起440を介して外基部610に伝わると、ヒーターユニット380の熱が光源120に伝わり、光源120を所望の温度にすることができない場合がある。なお、図示はしないが、対向部分444の材質は、断熱材であり、突起440の対向部分444以外の部分の材質は、熱伝導率の高い材料であってもよい。また、突起440の材質は、断熱材でなくてもよい。
制御ユニット500は、図2に示すように、回路基板502を有している。回路基板5
02は、複数のリードピン504を介して、外基部610に固定されている。回路基板502は、図示しないIC(Integrated Circuit)チップが配置されており、ICチップは、温度制御部510、光源制御部520、磁場制御部530、および温度制御部540として機能する。ICチップは、光源ユニット100および原子セルユニット300と電気的に接続されている。回路基板502には、支持部材400が挿通されている貫通孔503が設けられている。
外容器600は、光源ユニット100、光学系ユニット200、原子セルユニット300、支持部材400、突起440、および制御ユニット500を収容している。外容器600は、外基部(第1部材)610と、外基部610とは別体の外蓋部(第2部材)620と、を有している。外容器600の材質は、例えば、第1原子セル容器340と同じである。そのため、外容器600は、外部からの磁気を遮蔽することができ、外部からの磁気によって原子セル310内のアルカリ金属原子が影響を受けることを抑えることができる。
外容器600は、第1外容器面(第1面)612と、第1外容器面612とは異なる第2外容器面(第2面)622と、を有している。具体的には、外基部610は、第1外容器面612を有し、外蓋部620は、第2外容器面622を有している。
図示の例では、第1外容器面612は、外基部610の+Z軸方向を向く面であり、第1外容器面612の垂線P方向は、Z軸方向である。第1外容器面612は、台座部611の上面である第1領域612aと、Z軸方向からみて、第1領域612aを挟むように配置された第2領域612bおよび第3領域612cと、を有している。支持部材400は、第1外容器面612に配置されている。第2外容器面622は、第1外容器面612と対向する面である。図示の例では、第2外容器面622は、外蓋部620の-Z軸方向を向く面である。
光源ユニット100と第1外容器面612とは、接続されている。図示の例では、光源ユニット100と第1外容器面612とは、支持部材400および伝熱部材614を介して、接続されている。このように「接続」とは、A部材とB部材(またはB面)とが直接的に接続されている場合と、A部材とB部材とがC部材を介して間接的に接続されている場合と、を含む。伝熱部材614は、支持部材400と第1外容器面612との間に設けられている。伝熱部材614は、例えば、板状、シート状である。伝熱部材614の熱伝導率は、支持部材400の熱伝導率および外基部610の熱伝導率よりも高い。伝熱部材614の材質は、例えば、アルミニウム、チタン、銅、または、放熱性の高いシリコーンである。
光源ユニット100と第2外容器面622との間には、空隙4がある。すなわち、光源ユニット100は、第2外容器面622と離間して配置されている。換言すると、光源ユニット100と第2外容器面622とは、接続されていない。
原子セルユニット300と第2外容器面622とは、接続されている。図示の例では、原子セルユニット300と第2外容器面622とは、伝熱部材392を介して、接続されている。原子セル310と外蓋部620とは、接続されている。図示の例では、原子セル310と外蓋部620とは、保持部材330,332、第1原子セル容器340、スペーサー369、ペルチェ素子390、伝熱部材392を介して、接続されている。
原子セルユニット300と第1外容器面612との間には、空隙6がある。すなわち、原子セルユニット300は、第1外容器面612と離間して配置されている。
図示の例では、光源ユニット100と外容器600とは、第1外容器面612のみで接続され、原子セルユニット300と外容器600とは、第2外容器面622のみで接続されている。なお、光源ユニット100と原子セルユニット300とが同一の面に接続されていなければ、光源ユニット100と外容器600とは第1外容器面612のみで接続されていなくてもよいし、原子セルユニット300と外容器600とは第2外容器面622のみで接続されていなくてもよい。例えば、光源ユニット100と外容器600とは、第1外容器面612に加えて、第1外容器面612および第2外容器面622とは異なる面でさらに接続されていてもよい。また、原子セルユニット300と外容器600とは、第2外容器面622に加えて、第1外容器面612および第2外容器面622とは異なる面でさらに接続されていてもよい。
上記のように、光源ユニット100が第2外容器面622と離間して第1外容器面612に接続され、かつ原子セルユニット300が第1外容器面612と離間して第2外容器面622に接続されていることにより、光源ユニット100の熱(具体的にはペルチェ素子110の熱)を、第1外容器面612を有する外基部610から外部に放出し、かつ原子セルユニット300の熱(具体的にはヒーターユニット380の熱)を、第2外容器面622を有する外蓋部620から外部に放出することができる。そのため、例えば外基部610を介して、光源ユニット100の熱が原子セル310に伝わったり、原子セルユニット300の熱が光源120に伝わったりすることを抑えることができる。
光源ユニット100と原子セルユニット300との間の、支持部材400を介する経路の第1熱抵抗は、光源ユニット100と第1外容器面612との間の第2熱抵抗、および原子セルユニット300と第2外容器面622との間の第3熱抵抗よりも高い。第2熱抵抗は、例えば、光源ユニット100と第1外容器面612との間の、支持部材400を介する経路の熱抵抗である。第3熱抵抗は、例えば、原子セルユニット300と第2外容器面622との間の、伝熱部材392を介する経路の熱抵抗である。
熱抵抗は、温度の伝わりにくさを表すものである。ある部材の熱抵抗R[K/W]は、一般に、部材の熱伝導率をλ[W/m・K]、部材の断面積をS[m2]、部材の長さをL[m]として、温度差ΔTが部材の長さ方向に生じる場合に、R[K/W]=L/(λ・S)として計算される。また、形状が複雑な場合や部品点数が多い場合には、熱シミュレーションによって、複合的な熱抵抗を大よそ計算することができる。例えば、光源ユニット100、原子セルユニット300、支持部材400、および外容器面612,622をモデル化させたシミュレーションにおいて、光源ユニット100および原子セルユニット300を発熱させ、支持部材400、および外容器面612,622の温度を求めることにより、第1抵抗、第2熱抵抗、および第3熱抵抗の大小関係を知ることができる。
上記のように、支持部材400には、貫通孔412が設けられている。原子セル支持部410の、原子セルユニット300が配置される部分と、光源支持部420と、の間の部分は、貫通孔412によって細く、すなわち、断面積が小さくなる。これにより、第1熱抵抗を高くすることができる。また、Z軸方向からみて、原子セルユニット300は、貫通孔412と重なるように配置されている。つまり、原子セルユニット300と第1外容器面612との間には、貫通孔412がない場合よりも大きな空隙がある。これにより、貫通孔412がない場合よりも、原子セルユニット300と第1外容器面612との間の熱の移動を抑えことができる。
ここで、図13は、支持部材400に対する、原子セル310の位置決めについて説明するための図である。
原子セル310は、加熱素子381に向かって第1原子セル容器340に押圧されてい
る(図13の矢印F1参照)。図示の例では、原子セル310は、-Y軸方向に向かって第1原子セル容器340の壁部345に押圧されている。原子セル310は、第1保持部材330に保持されており、第1保持部材330が加熱素子381に向かって第1原子セル容器340に押圧されている。このように、図示の例では、原子セル310を保持する第1保持部材330が押圧されることで、原子セル310が押圧されている。
原子セル310は、第1原子セル容器340にねじ331によって固定されている。図示の例では、原子セル310を保持する第1保持部材330が第1原子セル容器340にねじ331によって固定されている。これにより、原子セル310が第1原子セル容器340に固定される。
ねじ331で原子セル310が第1原子セル容器340に固定されることによって、原子セル310が加熱素子381に向かって第1原子セル容器340に押圧される。図示の例では、ねじ331で第1保持部材330が第1原子セル容器340に固定されることによって、第1保持部材330が加熱素子381に向かって第1原子セル容器340に押圧される。
具体的には、第1原子セル容器340の貫通孔を通したねじ331を第1保持部材330のねじ穴にねじ込み締め付けを行うことによって、第1原子セル容器340と第1保持部材330とを締結する力(締結力)が働き、第1原子セル容器340と第1保持部材330とが締結される。この締結力によって、第1保持部材330、すなわち原子セル310が加熱素子381に向かって第1原子セル容器340に押圧される。
加熱素子381は、原子セル310に向かって第1原子セル容器340に押圧されている(図13の矢印F2参照)。図示の例では、加熱素子381は、+Y軸方向に向かって第1原子セル容器340の壁部345に押圧されている。加熱素子381は、ヒーター容器382に保持されており、ヒーター容器382が原子セル310に向かって第1原子セル容器340に押圧されている。このように、図示の例では、加熱素子381を保持するヒーター容器382が押圧されることで、加熱素子381が押圧されている。
加熱素子381は、第1原子セル容器340を収容する第2原子セル容器370にねじ389によって固定されている。図示の例では、加熱素子381を保持するヒーター容器382が第2原子セル容器370にねじ389によって固定されている。これにより、加熱素子381が第2原子セル容器370に固定される。
ねじ389で加熱素子381が第2原子セル容器370に固定されることによって、加熱素子381が原子セル310に向かって第1原子セル容器340に押圧される。図示の例では、ねじ389でヒーター容器382が第2原子セル容器370に固定されることによって、ヒーター容器382が原子セル310に向かって第1原子セル容器340に押圧される。
具体的には、ヒーター容器382の貫通孔383a,384aを通したねじ389を第2原子セル容器370のねじ穴にねじ込み締め付けを行うことによって、ヒーター容器382と第2原子セル容器370とを締結する力(締結力)が働き、ヒーター容器382と第2原子セル容器370とが締結される。この締結力によって、ヒーター容器382、すなわち加熱素子381が原子セル310に向かって第1原子セル容器340に押圧される。
第1原子セル容器340は、加熱素子381が原子セル310に向かって第1原子セル容器340に押圧されることによって、第1位置決め部材350に押し当てられている。
図示の例では、第1原子セル容器340は、加熱素子381が配置される外表面34fと、原子セル310に対して外表面34fとは反対側に位置する外表面34cと、を有し、第1位置決め部材350のブロック壁部352c,354c(図5および図7参照)に、外表面34cが押し当てられている。第1原子セル容器340が第1位置決め部材350に押し当てられることにより、ブロック壁部352c,354cの外表面34cが押し当てられる面を基準面として、第1保持部材330、すなわち原子セル310が位置決めされる。そのため、支持部材400に対して、原子セル310を位置精度よく配置することができる。
さらに、上記のように、原子セル310は加熱素子381に向かって第1原子セル容器340に押圧され(図13の矢印F1参照)、加熱素子381は原子セル310に向かって第1原子セル容器340に押圧されている(図13の矢印F2参照)。そのため、原子セル310を効率よく加熱することができる。
原子発振器10は、例えば、以下の特徴を有する。
原子発振器10では、光源ユニット100と第1外容器面612とは、接続され、光源ユニット100と第2外容器面622との間には、空隙4があり、原子セルユニット300と第2外容器面622とは、接続され、原子セルユニット300と第1外容器面612との間には、空隙6がある。そのため、原子発振器10では、光源ユニット100および原子セルユニット300が外容器600の同じ面に接続されている場合に比べて、外容器600を介して、光源ユニット100の熱(具体的にはペルチェ素子110の熱)が原子セル310に伝わったり、原子セルユニット300の熱(具体的にはヒーターユニット380の熱)が光源120に伝わったりすることを抑えることができる。このように、原子発振器10では、光源ユニット100と原子セルユニット300との間の熱の干渉を抑えることができる。したがって、原子発振器10では、光源120の温度および原子セル310の温度が不安定になることを抑えることができ、例えば光源120および原子セル310を所望の温度にすることができる。その結果、原子発振器10は、高い周波数安定度を有することができる。さらに、光源120と原子セル310と温度制御を容易にすることができる。
原子発振器10では、第1外容器面612と第2外容器面622とは、対向している。そのため、原子発振器10では、光源ユニット100の熱および原子セルユニット300の熱を、互いに反対方向に伝えることができ、光源ユニット100の熱が原子セル310に伝わったり、原子セルユニット300の熱が光源120に伝わったりすることを、より確実に抑えることができる。
原子発振器10では、外容器600は、第1外容器面612を有する外基部610と、第2外容器面622を有する、外基部610とは別体の外蓋部620と、を有している。そのため、原子発振器10では、例えば第1外容器面612および第2外容器面622を1つの部材が有している場合に比べて、第1外容器面612と第2外容器面622との間で熱を伝わり難くすることができる。これにより、原子発振器10では、外容器600を介して、光源ユニット100の熱が原子セル310に伝わったり、原子セルユニット300の熱が光源120に伝わったりすることを、より確実に抑えることができる。
原子発振器10では、光源ユニット100と原子セルユニット300との間の、支持部材400を介する経路の第1熱抵抗は、光源ユニット100と第1外容器面612との間の第2熱抵抗、および原子セルユニット300と第2外容器面622との間の第3熱抵抗よりも高い。そのため、原子発振器10では、例えば第1熱抵抗が第2熱抵抗および第3熱抵抗よりも低い場合に比べて、支持部材400を介して、光源ユニット100の熱が原
子セル310に伝わったり、原子セルユニット300の熱が光源120に伝わったりすることを抑えることができる。
原子発振器10では、支持部材400と第1外容器面612との間には、伝熱部材614が配置されている。そのため、原子発振器10では、支持部材400と、第1外容器面612を有する外容器600と、の間で、熱を伝え易くすることができる。
原子発振器10では、第2原子セル容器370は、原子セル310を収容し、第2原子セル容器370と支持部材400との間には、断熱部材376が配置されている。そのため、原子発振器10では、第2原子セル容器370と支持部材400との間で、熱を伝え難くすることができる。これにより、原子発振器10では、外容器600を介して、光源ユニット100の熱が原子セル310に伝わったり、原子セルユニット300の熱が光源120に伝わったりすることを、より確実に抑えることができる。
原子発振器10では、光源ユニット100と外容器600とは、第1外容器面612のみで接続され、原子セルユニット300と外容器600とは、第2外容器面622のみで接続されている。そのため、原子発振器10では、光源ユニット100または原子セルユニット300と外容器600とが他の面でも接続される場合と比較して、外容器600を介して、光源ユニット100の熱が原子セル310に伝わったり、原子セルユニット300の熱が光源120に伝わったりすることを、より確実に抑えることができる。
2. 原子発振器の変形例
2.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図14は、本実施形態の第1変形例に係る原子発振器11を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図14では、外容器600および低熱伝導率部材630以外の部材の図示を省略している。
以下、本実施形態の第1変形例に係る原子発振器11において、上述した本実施形態に係る原子発振器10の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。このことは、後述する本実施形態の第2,第3,第4,第5,第6,第7変形例に係る原子発振器において、同様である。
原子発振器11では、図14に示すように、外容器600の外基部610と外蓋部620との間に、外基部610の熱伝導率および外蓋部620の熱伝導率よりも熱伝導率が低い低熱伝導率部材(第3部材)630を含む点において、上述した原子発振器10と異なる。
外基部610と外蓋部620とは、低熱伝導率部材630によって接合されていてもよい。低熱伝導率部材630としては、例えば、樹脂フィルム、溶剤に樹脂を溶かした樹脂系接着剤、はんだなどが挙げられる。
原子発振器11では、上記のように、外基部610と外蓋部620との間に、外基部610の熱伝導率および外蓋部620の熱伝導率よりも熱伝導率が低い低熱伝導率部材630を含む。そのため、原子発振器11では、外基部610と外蓋部620との間で熱を伝わり難くすることができる。これにより、原子発振器11では、外容器600を介して、光源ユニット100の熱が原子セル310に伝わったり、原子セルユニット300の熱が光源120に伝わったりすることを、より確実に抑えることができる。
2.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図15は、本実施形態の第2変形例に係る原子発振器12を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図15では、支持部材400、突起440、ねじ442、および外基部610以外の部材の図示を省略している。
原子発振器12では、図15に示すように、外基部610の少なくとも突起440に対向する対向部分616の材質は、断熱材である。具体的には、対向部分616の材質は、位置決め部材350,360と同じである。
原子発振器12では、外基部610の少なくとも突起440に対向する対向部分616の材質は、断熱材であるため、突起440が外基部610に接触したとしても、例えば、ヒーターユニット380の熱が、突起440を介して外基部610に伝わることを、より確実に抑えることができる。なお、図示はしないが、対向部分616の材質、および外基部610の対向部分616以外の部分の材質が、断熱材であってもよい。また、突起440の対向部分444の材質および外基部610の対向部分616の材質が断熱材であってもよく、いずれか一方のみが断熱材であってもよい。
2.3. 第3変形例
次に、本実施形態の第3変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図16は、本実施形態の第3変形例に係る原子発振器13を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図16では、光源ユニット100、原子セルユニット300、支持部材400、突起440、および外容器600以外の部材の図示を省略し、かつ各部材を簡略化して図示している。
上述した原子発振器10では、図2に示すように、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、固定端402側に光源ユニット100が配置され、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、自由端404側に原子セルユニット300が配置されていた。
これに対し、原子発振器13では、図16に示すように、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、固定端402側に原子セルユニット300が配置され、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、自由端404側に光源ユニット100が配置されている。すなわち、原子発振器13では、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、固定端402側に原子セル310が配置され、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、自由端404側に光源120が配置されている。また、原子セルユニット300は台座部611を介して第1外容器面612に接続され、光源ユニット100は、直接、または伝熱部材を介して第2外容器面622に接続されている。台座部611、または台座部611の近傍に伝熱部材、およびペルチェ素子の少なくとも一方が配置されていてもよい。
原子発振器13では、上記のように、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、固定端402側に原子セル310が配置され、支持部材400の固定端402側および自由端404側のうち、自由端404側に光源120が配置されている。そのため、原子発振器13では、突起440によって、光源120が原子セル310に対してずれることを抑えることができる。
また、図示はしないが、支持部材400は外基部610に固定された部分が1つあればよく、固定端402(固定された部分)の位置は支持部材400の端部でなくてもよい。例えば、固定された部分が支持部材の中央付近にあり、支持部材の両端が自由端であってもよい。この場合、固定された部分に対して一方の自由端側に原子セル310が配置され
、固定された部分に対して他方の自由端側に光源120が配置されていてもよい。また、2つの自由端の両方に突起440が配置されていてもよいし、固定された部分から端までの長さが相対的に長い方の自由端に突起440が配置されていてもよい。
2.4. 第4変形例
次に、本実施形態の第4変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図17は、本実施形態の第4変形例に係る原子発振器14を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図17では、光源ユニット100、原子セルユニット300、および外容器600以外の部材の図示を省略し、かつ各部材を簡略化して図示している。
上述した原子発振器10では、図2に示すように、光源ユニット100および原子セルユニット300は、共通の支持部材400に配置されていた。また、光源ユニット100は、支持部材400を介して第1外容器面612に接続され、原子セルユニット300は、伝熱部材392を介して第2外容器面622に接続されていた。
これに対し、原子発振器14では、図17に示すように、支持部材400を含んでいない。例えば、光源ユニット100は、直接、第1外容器面612に接続され、原子セルユニット300は、直接、第2外容器面622に接続されていてもよい。また、図示はしないが、光源ユニット100は、第1外容器面612に配置された支持部材によって第1外容器面612に接続され、原子セルユニット300は、第2外容器面622に配置された別の支持部材によって、第2外容器面622に接続されていてもよい。いずれの場合も、光源ユニット100から出射された光が、原子セル310の第1空間312を通過するように、光源ユニット100と原子セル310とが配置されている。本変形例の構成によっても、光源ユニット100と原子セルユニット300との間での熱の移動を抑えることができる。
2.5. 第5変形例
次に、本実施形態の第5変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図18は、本実施形態の第5変形例に係る原子発振器15を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図18では、光源ユニット100、原子セルユニット300、支持部材400a,400b、および外容器600以外の部材の図示を省略し、かつ各部材を簡略化して図示している。
原子発振器15では、図18に示すように、光源ユニット100および原子セルユニット300が積層されている点において、上述した原子発振器10と異なる。図示の例では、支持部材400a、光源ユニット100、支持部材400b、および原子セルユニット300の順で積層されている。支持部材400aは、第1外容器面612と第2外容器面622とを接続する第3外容器面632に配置されている。図示の例では、光源ユニット100は、第1外容器面612と直接接続され、原子セルユニット300は、第2外容器面622と直接接続されている。本変形例においては、支持部材400bは断熱材である。具体的には、支持部材400bの材質は、第1実施形態の位置決め部材350,360と同じである。なお、光源ユニット100は、第1外容器面612と他の部材、例えば伝熱部材を介して接続されていてもよい。原子セルユニット300は、第2外容器面622と他の部材、例えば伝熱部材を介して接続されていてもよい。いずれの場合も、光源ユニット100から出射された光が、原子セル310の第1空間312を通過するように、光源ユニット100と原子セル310とが配置されている。本変形例の構成によっても、光源ユニット100と原子セルユニット300との間での熱の移動を抑えることができる。
2.6. 第6変形例
次に、本実施形態の第6変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明す
る。図19は、本実施形態の第6変形例に係る原子発振器16を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図19では、原子セルユニット300の一部を図示している。
上述した原子発振器10では、図4に示すように、ねじ389によってヒーター容器382が第2原子セル容器370に固定され、ねじ331によって第1保持部材330が第1原子セル容器340に固定されていた。
これに対して、原子発振器16は、図19に示すように、ヒーター容器382を第2原子セル容器370に固定し、かつ、第1保持部材330を第1原子セル容器340に固定するねじ389を含む。すなわち、原子発振器16では、第1保持部材330、第1原子セル容器340、ヒーター容器382、第2原子セル容器370が、ねじ389で共締めされている。
ねじ389でヒーター容器382が第2原子セル容器370に固定され、かつ、第1保持部材330が第1原子セル容器340に固定されることによって、加熱素子381が原子セル310に向かって第1原子セル容器340に押圧され、かつ、原子セル310が加熱素子381に向かって第1原子セル容器340に押圧される。これにより、上述した原子発振器10と同様に、原子セル310を効率よく加熱することができ、かつ、原子セル310を位置精度よく配置することができる。
原子発振器16では、ヒーター容器382を第2原子セル容器370に固定し、かつ、第1保持部材330を第1原子セル容器340に固定するねじ389を含むため、例えば、図4に示すようにヒーター容器382を第2原子セル容器370に固定するねじ389および第1保持部材330を第1原子セル容器340に固定するねじ331を含む場合と比べて、装置の小型化を図ることができる。
2.7. 第7変形例
次に、本実施形態の第7変形例に係る原子発振器について、図面を参照しながら説明する。図20は、本実施形態の第7変形例に係る原子発振器17を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図20では、原子セル310、受光素子320、伝熱部材346、第1原子セル容器340、第1位置決め部材350、およびヒーターユニット380以外の部材の図示を省略している。
上述した原子発振器10では、図13に示すように、第1原子セル容器340は、加熱素子381が+Y軸方向に向かって第1原子セル容器340に押圧されることによって(図13の矢印F2参照)、第1位置決め部材350に押し当てられていた。これにより、原子セル310をY軸方向に対して位置決めしていた。
これに対して原子発振器17では、図20に示すように、第1原子セル容器340は、加熱素子381がY軸から傾いた方向、すなわち+X軸方向および+Y軸方向の両方に向かって(図20の矢印F3参照)第1原子セル容器340に押圧されることによって、第1位置決め部材350に押し当てられる。これにより、原子セル310をX軸方向およびY軸方向の両方に対して位置決めできる。
図示の例では、第1原子セル容器340は、外表面34gを有している。外表面34gは、外表面34bと外表面34fとを接続する面であり、垂線がX軸およびY軸に対して傾いた面である。外表面34gは、例えば、外表面34bと外表面34fからなる角部を切欠いて形成された面である。外表面34gは、垂線がY軸に対して傾いており、図示の例では、外表面34gの垂線は、X軸およびY軸の間を通る。
原子発振器17では、ヒーター容器382は、第1原子セル容器340の外表面34gに配置されている。そのため、加熱素子381(ヒーター容器382)が押圧されることによって、第1原子セル容器340は、+Y軸方向を向く外表面34cがブロック壁部354c,352cに押し当てられるだけでなく、+X軸方向を向く外表面34dがブロック壁部354bに押し当てられる。そのため、原子セル310を、X軸方向およびY軸方向に対して位置決めできる。したがって、原子発振器17では、支持部材400に対して、原子セル310をより位置精度よく配置することができる。
3. 周波数信号生成システム
次に、本実施形態に係る周波数信号生成システムについて、図面を参照しながら説明する。以下のクロック伝送システム(タイミングサーバー)は、周波数信号生成システムの一例である。図21は、クロック伝送システム90を示す概略構成図である。
本発明に係るクロック伝送システムは、本発明に係る原子発振器を含む。以下では、一例として、原子発振器10を含むクロック伝送システム90について説明する。
クロック伝送システム90は、時分割多重方式のネットワーク内の各装置のクロックを一致させるものであって、N(Normal)系およびE(Emergency)系の冗長構成を有するシステムである。
クロック伝送システム90は、図21に示すように、A局(上位(N系))のクロック供給装置901およびSDH(Synchronous Digital Hierarchy)装置902と、B局(上位(E系))のクロック供給装置903およびSDH装置904と、C局(下位)のクロック供給装置905およびSDH装置906,907と、を備える。クロック供給装置901は、原子発振器10を有し、N系のクロック信号を生成する。クロック供給装置901内の原子発振器10は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック908,909からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置902は、クロック供給装置901からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、N系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置905に伝送する。クロック供給装置903は、原子発振器10を有し、E系のクロック信号を生成する。クロック供給装置903内の原子発振器10は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック908,909からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置904は、クロック供給装置903からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、E系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置905に伝送する。クロック供給装置905は、クロック供給装置901,903からのクロック信号を受信し、その受信したクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。
クロック供給装置905は、通常、クロック供給装置901からのN系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。そして、N系に異常が発生した場合、クロック供給装置905は、クロック供給装置903からのE系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。このようにN系からE系に切り換えることにより、安定したクロック供給を担保し、クロックパス網の信頼性を高めることができる。SDH装置906は、クロック供給装置905からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。同様に、SDH装置907は、クロック供給装置905からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。これにより、C局の装置をA局またはB局の装置と同期させることができる。
本実施形態に係る周波数信号生成システムは、クロック伝送システムに限定されない。周波数信号生成システムは、原子発振器が搭載され、原子発振器の周波数信号を利用する各種の装置および複数の装置から構成されるシステムを含む。
本実施形態に係る周波数信号生成システムは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、携帯電話機、デジタルスチルカメラ、液体吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS(point of sales)端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡、心磁計)、魚群探知機、GNSS(Global Navigation Satellite System)周波数標準器、各種測定機器、計器類(例えば、自動車、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送システム、携帯電話基地局、移動体(自動車、航空機、船舶等)であってもよい。
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。