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JP7025841B2 - 塗料組成物及び複層塗膜 - Google Patents
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JP7025841B2 - 塗料組成物及び複層塗膜 - Google Patents

塗料組成物及び複層塗膜 Download PDF

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Description

本発明は、塗料組成物及び該塗料組成物から形成される塗膜を備える複層塗膜に関し、特には、断熱性に優れ且つ複層塗膜の光沢の低下を抑制できる塗膜を形成可能な塗料組成物に関するものである。
建築物の屋根や壁等に適用される塗膜には、断熱性等の特性が求められており、断熱効果を向上させる観点から、様々な塗料組成物や塗膜が提案されている。
特開2009-090527号公報(特許文献1)は、建築物外装面を構成する遮熱断熱積層体であって、外装面の屋内側から屋外側へ向かって、基材層(A)、結合材及び中空粒子を含有する下塗材により形成される断熱性下塗層(B)、有機質結合材及び粒子径0.01~5mmの有色粒子を含有する装飾性塗材により形成される装飾材層(C)を有し、前記装飾材層(C)における有色粒子として、赤外線反射性粉体により基体粒子が被覆された粒子及び/または赤外線反射性粉体の集合体からなる粒子を含むことを特徴とする遮熱断熱積層体を記載しており、これによって、建築物外装面の表面に対し、装飾性の高い仕上面を形成することができるとともに、建築物の温度上昇を抑制し、省エネルギーにも資する技術を提供することが可能であるとしている。
特開2014-233844号公報(特許文献2)は、建築物の外装面に形成される複層塗膜であって、ベース層(A)と、前記ベース層(A)上に形成される上塗層(B)と、を含み、前記ベース層(A)は、ベース塗料により形成され、前記ベース塗料は、中空部分を有する粒子と、樹脂と、を含み、前記中空部分を有する粒子は、赤外線反射性粉体で少なくとも表面の一部が被覆され、前記赤外線反射性粉体は、屈折率が1.7~3.0の金属酸化物を含有することを特徴とする複層塗膜を記載しており、これによって、建築物の外装面に形成され、従来よりも高い断熱性と遮熱性を兼ね備え、且つ、耐水付着性の良好な複層塗膜を提供できるとしている。
特開2009-090527号公報 特開2014-233844号公報
特許文献1及び2に記載されるように、塗膜に断熱性を付与するためには中空粒子を利用することが知られている。そして、断熱性塗膜を形成するための実際の塗料組成物においては、十分な断熱性を確保するため、通常、比較的粒子径の大きい中空粒子が配合されている。
しかしながら、粒子径の大きい中空粒子を配合することによって優れた断熱性を塗膜に付与できるものの、塗膜表面に凹凸が生じ、外観上好ましくないという課題がある。特に、断熱性塗膜は下塗り塗膜として形成され、該下塗り塗膜上に上塗り塗膜を形成させる場合が多いため、このような複層塗膜を形成させると、上塗り塗膜の光沢が低下してしまうという問題がある。
また、断熱性下塗り塗膜は、断熱性を向上させる観点から、粒子径の大きい中空粒子を配合することに加えて、その膜厚を大きくすることが一般的である。このため、下塗り塗り塗膜の断熱性を十分に確保した上で、その膜厚を小さくしようとすると、上述した下塗り塗膜の表面に凹凸が生じる問題やそれによる上塗り塗膜の光沢の低下の問題が顕著になる。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、断熱性に優れ且つ複層塗膜の光沢の低下を抑制できる塗膜を形成可能な塗料組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、断熱性に優れ且つ光沢の低下が抑制された複層塗膜を提供することにある。
そこで、本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、50%粒子径が特定の範囲内にある中空粒子を特定量配合させることによって、断熱性に優れ且つ複層塗膜の光沢の低下を抑制できる塗膜を形成可能な塗料組成物を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。また、本発明者は、更に検討したところ、上述の塗料組成物であれば熱伝導率の低い塗膜を形成することができ、十分な断熱性を確保したまま、膜厚を小さくできることも見出した。
即ち、本発明の塗料組成物は、50%粒子径が10~35μmである中空粒子を含む塗料組成物であって、該塗料組成物における不揮発分中の中空粒子の割合が45~70体積%であることを特徴とする。
本発明の塗料組成物の好適例においては、前記不揮発分の熱伝導率が0.22W/mK以下である。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、金属基材上に配置される下塗り塗膜を形成するために用いられる。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、防錆顔料を更に含む。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、樹脂を更に含み、該樹脂が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びアルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む。
本発明の複層塗膜は、50%粒子径が10~35μmである中空粒子を45~70体積%で含む下塗り塗膜と、該下塗り塗膜上に形成される上塗り塗膜とを備える複層塗膜であって、
前記下塗り塗膜は膜厚が50~200μmであり、前記上塗り塗膜は膜厚が20~100μmであり、前記下塗り塗膜が基材上に形成されていることを特徴とする。
本発明の複層塗膜の好適例において、前記下塗り塗膜は、熱伝導率が0.22W/mK以下である。
本発明の複層塗膜の他の好適例においては、前記下塗り塗膜及び前記上塗り塗膜が樹脂を含み、該樹脂が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びアルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む。
本発明の塗料組成物によれば、50%粒子径が10~35μmである中空粒子の割合を不揮発分中45~70体積%とすることで、断熱性に優れ且つ複層塗膜の光沢の低下を抑制できる塗膜を形成可能な塗料組成物を提供することができる。
また、本発明の複層塗膜によれば、50%粒子径が10~35μmである中空粒子の割合を下塗り塗膜中45~70体積%とすることで、断熱性に優れ且つ光沢の低下が抑制された複層塗膜を提供することができる。
<塗料組成物>
以下に、本発明の塗料組成物を詳細に説明する。本発明の塗料組成物は、50%粒子径が10~35μmである中空粒子を含む塗料組成物であって、該塗料組成物における不揮発分中の中空粒子の割合が45~70体積%であることを特徴とする。
本発明の塗料組成物は、中空粒子を含むが、本発明において、中空粒子とは、粒子中に1つ以上の空洞を有する粒子である。中空粒子としては、球状中空粒子、繊維状中空粒子、チューブ状中空粒子、シート状中空粒子等が挙げられる。また、中空粒子は、材質により区別することもでき、例えば、樹脂等からなる有機素材の中空粒子、ガラス、シリカ、アルミナ、ジルコニア、カーボン、セラミック、火山性ガラス質等の無機素材からなる中空粒子が挙げられるが、これらの中でも、樹脂、ガラス、アルミナ、ジルコニア、セラミック等の材料からなる中空粒子が好ましい。これら中空粒子は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物において、中空粒子の50%粒子径は、10~35μmであり、15~30μmであることが好ましい。本発明の塗料組成物から形成される塗膜に断熱性を付与する観点から、中空粒子の50%粒子径は10μm以上である。また、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の表面に凹凸が生じることを防ぎ、更にはこのような凹凸に起因する上塗り塗膜の光沢の低下を防ぐ観点から、中空粒子の50%粒子径は35μm以下である。また、上記中空粒子は、90%粒子径が60μm以下であることが好ましい。
本発明において、50%粒子径は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、90%粒子径は、体積基準粒度分布の90%粒子径(D90)を指し、粒度分布測定装置(例えばレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本発明における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
上記中空粒子は、真密度が0.1~1.2g/cmであることが好ましく、0.12~0.8g/cmであることが更に好ましい。なお、真密度は、ピクノメーター(気相置換式真密度計、例えば、Micromeritics社製のAccuPycII1340)を用いて測定できる。
上記中空粒子は、耐圧強度が2~200MPaであることが好ましい。耐圧強度は、ASTM D 3102-78で定義されており、グリセリンの中に中空粒子を適量入れ加圧し、10体積%破壊する時の圧力を指標として用いる。
本発明の塗料組成物において、不揮発分中の中空粒子の割合は、45~70体積%であり、50~68体積%であることが好ましい。本発明の塗料組成物に用いる中空粒子は粒子径が小さいため、本発明の塗料組成物から形成される塗膜に十分な断熱性を付与する観点から、塗料組成物における不揮発分中の中空粒子の割合は45体積%以上である。また、塗料組成物における不揮発分中の中空粒子の割合が70体積%を超えると、塗膜表面の凹凸が大きくなり、かつ、塗膜の耐食性や耐水性が低下するため好ましくない。
本発明の塗料組成物において、不揮発分とは、水や有機溶剤等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に塗膜を形成することになる成分である。また、本発明の塗料組成物における不揮発分中の中空粒子の割合は、各成分の組成及び比重から計算により求めることができる。
本発明の塗料組成物は、通常、樹脂を含む。本発明に使用できる樹脂としては、特に限定されるものではなく、塗料業界において通常使用されている樹脂を例示することができ、具体的には、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を一種単独で用いても良く、二種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、金属基材への優れた付着性、耐水性および耐食性の点から、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びアルキッド樹脂が好ましい。
本発明の塗料組成物中において、樹脂の含有量は、35~60質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、顔料を含むことができる。本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるものではなく、塗料業界において通常使用されている顔料を使用できる。具体例としては、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料、亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ハイドロカルマイト等の防錆顔料、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金、ステンレス、ガラスフレーク等の光輝顔料等が挙げられる。これら顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の塗料組成物が金属基材上に配置される下塗り塗膜を形成するために用いられる場合、本発明の塗料組成物は、防錆顔料を含むことが好ましい。
本発明の塗料組成物において、顔料の50%粒子径は、該塗料組成物から形成される塗膜の表面に凹凸が生じることを防ぎ、更にはこのような凹凸に起因する上塗り塗膜の光沢の低下を防ぐ観点から、1~35μmであることが好ましい。
本発明の塗料組成物中において、顔料の含有量は、例えば0質量%を超え62質量%以下であることが好ましく、2~60質量%であることが更に好ましい。
本発明の塗料組成物は、塗膜形成時に樹脂を反応により硬化させる反応型の塗料組成物である場合、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、特に制限されるものではなく、公知の樹脂用の硬化剤を使用できる。具体例としては、脂肪族ポリアミン類、脂環族ポリアミン類、芳香族ポリアミン類、ポリアミドアミン類、ジイソシアネート類、イソシアヌレート類、並びにこれらの変性物等が挙げられる。本発明の塗料組成物中において、硬化剤の含有量は、例えば1~30質量%である。
本発明の塗料組成物は、粘度を調整する等の目的で水や有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコール系溶剤等が挙げられる。また、本発明の塗料組成物は、常温乾燥型塗料組成物である場合、環境に対する負荷が比較的少ない有機溶剤を含むことが好ましく、具体的にはJIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12~70℃の範囲内にある弱溶剤、例えば、脂肪族系溶剤、ナフテン系溶剤、芳香族ナフサ等の炭化水素系有機溶剤が好適に挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、これらの溶媒を用いて、塗料組成物中における不揮発分の含有量が58~80質量%となるように、本発明の塗料組成物を調製できる。
本発明の塗料組成物には、上述した成分以外に、乾燥剤、酸化防止剤、反応触媒、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、シランカップリング剤、皮張り防止剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。
本発明の塗料組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製できる。また、本発明の塗料組成物が2液反応型塗料組成物である場合、通常、樹脂を含む主剤と、硬化剤とを、塗装直前に混合させて調製される。主剤には、樹脂の他、中空粒子や必要に応じて適宜選択される各種成分を配合することができる。また、硬化剤についても、必要に応じて適宜選択される各種成分との混合物の形態で使用できる。なお、本発明の塗料組成物の粘度を調整するため、主剤と、硬化剤とを混合した後に、有機溶剤を更に加えてもよい。
本発明の塗料組成物は、後述するような建築物やその部材に配置される下塗り塗膜の形成に用いる観点から、常温乾燥型塗料組成物や反応型塗料組成物であることが好ましい。ここで、反応型塗料組成物としては、エポキシ樹脂を含む主剤と硬化剤としてポリアミン化合物とを含む2液型塗料組成物、不飽和カルボン酸と反応させたエポキシ樹脂を含む1液型塗料組成物(空気中の酸素による酸化重合によって硬化を起こす)、酸化架橋(重合)するアルキッド樹脂を含む1液型塗料組成物、空気中の湿気に反応するウレタン樹脂(例えばイソシアネート末端ウレタンプレポリマー)を含む1液型塗料組成物(いわゆる湿気硬化型)等が挙げられる。
本発明の塗料組成物中において、不揮発分の熱伝導率は、0.22W/mK以下であることが好ましく、0.20W/mK以下であることが更に好ましい。不揮発分の熱伝導率が0.22W/mK以下であれば、断熱性を十分に確保した上で、膜厚を小さくすることができる。本発明の塗料組成物は、50%粒子径が10~35μmである中空粒子が不揮発分中45~70体積%で配合されており、上記特定した範囲の熱伝導率を容易に達成することができる。不揮発分の熱伝導率の下限について特に制限はないものの、0.05W/mK以上であることが好ましい。なお、不揮発分の熱伝導率の測定方法については、実施例において説明する。
本発明の塗料組成物は、せん断速度0.1s-1の粘度が0.1~10,000Pa・sであり、且つせん断速度1,000s-1の粘度が0.05~10Pa・sであることが好ましい。なお、本発明において、粘度はTAインスツルメンツ社製レオメーターARESを用い、液温を23℃に調整した後測定される。
塗装方法は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、スプレー塗装等が利用できるが、本発明の塗料組成物は、刷毛塗装やローラー塗装での使用に好適である。
また、本発明の塗料組成物により塗装できる基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄鋼、亜鉛めっき鋼(例えばトタン板)、錫めっき鋼(例えばブリキ板)、ステンレス鋼、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属基材、木材、石膏、珪酸カルシウム、ガラス、セラミック、コンクリート、セメント、モルタル、スレート等の無機系基材、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン等のプラスチック基材が挙げられる。これらの中でも、鋼材、アルミ材、木材、石膏ボード、モルタル、軽量気泡コンクリート、木繊維補強セメント板、繊維補強セメント板、繊維補強セメント・珪酸カルシウム板等の建築基材が好適に挙げられる。金属基材には、各種表面処理、例えば酸化処理が施された基材も含まれる。また、その表面が無機物で被覆されているようなプラスチック基材(例えば、ガラス質で被覆されたプラスチック基材)は、無機系基材に含まれる。なお、基材は、プライマー処理が施されていてもよいし、基材表面の少なくとも一部に旧塗膜(本発明の塗料組成物の塗装を行う前に既に形成されている塗膜)が存在していてもよい。
本発明の塗料組成物により塗装できる基材としては、上述したように各種材質の基材が挙げられるが、その具体例としては、建築物(例えば住宅やビル、工場)やその部材(例えば屋根や壁)等が好適に挙げられる。
本発明の塗料組成物は、断熱性に優れ且つ複層塗膜の光沢の低下を抑制できるため、基材(特に建築物やその部材)上に配置される下塗り塗膜の形成のために好適に使用でき、また、防錆顔料を配合することで、金属基材上に配置される下塗り塗膜の形成のために好適に使用できる。
<複層塗膜>
以下に、本発明の複層塗膜を詳細に説明する。本発明の複層塗膜は、50%粒子径が10~35μmである中空粒子を45~70体積%で含む下塗り塗膜と、該下塗り塗膜上に形成される上塗り塗膜とを備える複層塗膜であって、前記下塗り塗膜は膜厚が50~200μmであり、前記上塗り塗膜は膜厚が20~100μmであり、前記下塗り塗膜が基材上に形成されていることを特徴とする。本発明の複層塗膜は、50%粒子径が10~30μmである中空粒子を45~70体積%で含む下塗り塗膜を備えるため、断熱性に優れ且つ光沢の低下を抑制することができる。
本発明の複層塗膜は、上述した本発明の塗料組成物における不揮発分の熱伝導率と同様の理由から、下塗り塗膜の熱伝導率が、0.22W/mK以下であることが好ましく、0.20W/mK以下であることが更に好ましく、また、下限について特に制限はないものの、0.05W/mK以上であることが好ましい。なお、下塗り塗膜の熱伝導率の測定方法については、実施例において説明する。
本発明の複層塗膜において、下塗り塗膜は、上述した本発明の塗料組成物により形成できる塗膜であり、該下塗り塗膜中に含まれる中空粒子や、必要に応じて含まれる他の成分(樹脂、顔料等)は、上述した本発明の塗料組成物の説明において記載されたとおりである。
本発明の複層塗膜において、下塗り塗膜は、熱伝導性が低く、断熱性に優れるため、その膜厚を50~200μmの範囲、好ましくは70~150μmの範囲にすることが可能である。
本発明の複層塗膜において、下塗り塗膜は、基材上に形成されているが、該基材についても、上述した本発明の塗料組成物の説明において記載されたとおりである。
本発明の複層塗膜において、上塗り塗膜は、例えば下塗り塗膜を保護したり、美装仕上げを施したりするといった目的から形成されている塗膜であり、その膜厚は20~100μmの範囲に設定できる。
本発明の複層塗膜において、上塗り塗膜は、通常、樹脂を含み、その具体例として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を一種単独で用いても良く、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、本発明の複層塗膜においては、層間の付着性の観点から、下塗り塗膜及び上塗り塗膜が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びアルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。
上塗り塗膜の形成には、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料、主溶媒として水を用いる水系塗料、活性エネルギー線硬化型塗料等の従来から公知の各種塗料が利用可能である。上記塗料には、樹脂以外の成分として、硬化剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レオロジー調整剤、レベリング剤、表面張力調整剤、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、溶剤、充填剤、pH調整剤、消泡剤、荷電制御剤、光重合開始剤、光増感剤、重合禁止剤、応力緩和剤、浸透剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、ワックス等を必要に応じて配合してもよい。上記塗料は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、調製できる。
上塗り塗膜の形成に用いる塗料の塗装方法は、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、スプレー塗装等が利用できるが、本発明の塗料組成物は、刷毛塗装やローラー塗装での使用に好適である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
[下塗り塗料の調製]
表1~2に示す配合処方に従い、主剤を調製し、塗装時に硬化剤と混合して、下塗り塗料を調製した。なお、実施例14~17については、1液型の塗料組成物であるため、表1に示す配合処方に従い、下塗り塗料を調製した。
Figure 0007025841000001
Figure 0007025841000002
(注1)「JER 1001X70」:三菱化学社製、エポキシ樹脂のキシレン溶液、キシレンの混合アニリン点10℃、不揮発分70質量%
(注2)「エピクロン5920-70MS」:DIC社製、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液、ミネラルスピリットのアニリン点43℃、不揮発分70質量%
(注3)「アルキディア1334-EL」:DIC社製、アルキド樹脂のミネラルスピリット溶液、不揮発分50質量%
(注4)「スミジュールE21-1」:住化コベストロウレタン社製、湿気硬化ウレタン樹脂、不揮発分100質量%
(注5)「JR-806」:テイカ社製、酸化チタン
(注6)「K-WHITE#82」:テイカ社製、防錆顔料
(注7)「スーパーSS」:丸尾カルシウム社製、炭酸カルシウム
(注8)「タルクDN-2」:富士タルク社製、板状タルク
(注9)「ディスパロン4200-20」:楠本化成社製、ダレ止め剤
(注10)「ディスパロン6820-20M」:楠本化成社製、ダレ止め剤
(注11)「グラスバブルズ K20」:スリーエム社製、中空粒子(ガラス)、50%粒子径60μm、真密度0.2g/cm
(注12)「グラスバブルズ S38」:スリーエム社製、中空粒子(ガラス)、50%粒子径40μm、真密度0.38g/cm
(注13)「グラスバブルズ S22」:スリーエム社製、中空粒子(ガラス)、50%粒子径35μm、真密度0.22g/cm
(注14)「グラスバブルズ iM16K」:スリーエム社製、中空粒子(ガラス)、50%粒子径20μm、真密度0.46g/cm
(注15)「Sphericel 110P8」:ポッターズ・バロチーニ社製、中空粒子(ガラス)、50%粒子径10μm、真密度1.1g/cm
(注16)「MFL-HD60CA」:松本油脂製薬社製、中空粒子(樹脂ビーズ)、50%粒子径60μm、真密度0.15g/cm
(注17)「MFL-SEVEN」:松本油脂製薬社製、中空粒子(樹脂ビーズ)、50%粒子径25μm、真密度0.12g/cm
(注18)「フローレンAC-901」:共栄社化学社製、消泡剤
(注19)「KBM403」:信越化学工業社製、シランカップリング剤、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(注20)オクチル酸コバルトのミネラルスピリット溶液、Co量12%
(注21)メチルエチルケトンオキシム
(注22)「アディティブTI」:住化コベストロウレタン社製、脱水剤
(注23)「T-SOL 100」:エクソンモービル社製、混合アニリン点14℃
(注24)「トーマイド TXS-692」:T&K TOKA社製、ポリアミドアミンのキシレン溶液、不揮発分80質量%
(注25)「フジキュアー FXP-8088」:T&K TOKA社製、変性脂肪族ポリアミン、不揮発分100質量%
なお、表中、「中空粒子/不揮発分(体積%)」の項目は、不揮発分中における中空粒子の体積割合を示す。
[試験]
熱伝導率、断熱性、光沢、耐食性及び耐水性について評価した。結果を表3~4に示す。
<熱伝導率の測定方法>
テフロン製の型に下塗り塗料を流し込み、23℃50%相対湿度にて72時間乾燥させて、50mm四方、1.5~2.5mm厚みの試験片を作製した。次いで、該試験片に対して、ASTM E 1530に基づく方法にて、熱伝導率を測定した。熱伝導率計は、アルバック理工社製、GH-1Sを用い、温度差24℃、測定温度50℃にて測定を行った。本願においては、この試験片の熱伝導率の値を「不揮発分の熱伝導率」及び「下塗り塗膜の熱伝導率」として扱う。なお、熱伝導率については、下記基準に従い評価を行い、熱伝導率の値(単位:W/mK)と共に表中に示す。
熱伝導率の値が0.22W/mK以下であれば、断熱性に優れた塗膜を形成することが可能である。
◎:0.20W/mK以下
○:0.22W/mK以下、0.20W/mKより大きい
×:0.22W/mKより大きい
<断熱性の測定方法>
乾燥膜厚が200μmとなるようにエアスプレーにてアルミ板(150mm×150mm×0.8mm)に下塗り塗料を塗布し、23℃50%相対湿度にて7日間乾燥させ、塗膜を形成させた。この試験片を50℃に設定したホットプレート上に載せ、塗膜表面の温度を計測し、下記評価基準に従い評価した。なお、表中に記載の数値は、ブランク(未塗装片、即ちアルミ板そのもの)との温度差(ブランク-塗膜表面の温度)を示す。
エアコンの設定温度を1℃上げると、約10%の消費電力削減効果が得られることが知られているため、塗膜表面とブランクとの温度差が1.0℃以上である場合を良好な断熱性を有する塗膜として判断した。
○:1.0℃以上
×:1.0℃未満
<光沢度の測定方法>
隙間250μmのフィルムアプリケータを用いてガラス板(150mm×70mm×2mm)に下塗り塗料を塗布し、23℃50%相対湿度にて24時間乾燥させて、厚さ100±20μmの下塗り塗膜を形成させた。次いで、隙間150μmのフィルムアプリケータを用いて下塗り塗膜表面に弱溶剤形シリコーン樹脂系上塗り塗料(大日本塗料社製商品名「エコクールマイルドSi」)を塗布し、23℃50%相対湿度にて72時間乾燥させ、厚さ30±5μmの上塗り塗膜を形成させ、複層塗膜付き試験片を作製した。
上塗り塗膜の光沢度(20°及び60°)を光沢計を用いて測定し、下記評価基準に従い評価した。なお、表中、「上塗光沢A」の項目に20°光沢度の評価結果を示し、「上塗光沢B」の項目に60°光沢度の評価結果を示す。
(20°光沢度の評価基準)
◎:25以上
○:15以上、25未満
×:15未満
(60°光沢度の評価基準)
◎:72以上
○:62以上、72未満
×:62未満
<耐食性の評価方法>
乾燥膜厚が100μmとなるようにエアスプレーにて軟鋼板(150mm×70mm×0.8mm)に下塗り塗料を塗布し、23℃50%相対湿度にて7日間乾燥させ、塗膜を形成させた。次いで、軟鋼板に達するまで塗膜を線状に切削し、この切削した試験片をJIS K 5600-7-9に規定される「サイクル腐食性試験・Dサイクル」に36サイクル供試させ、塗膜の状態を観察し、下記評価基準に従い、下塗り塗膜の耐食性を評価した。
○:切削部から2mm以上離れた試験片表面に、錆や膨れなどの異常がない
△:切削部から5mm以上離れた試験片表面に、錆や膨れなどの異常がない
×:切削部から5mm以上離れた試験片表面に、錆や膨れなどの異常がある
<耐水性の評価方法>
乾燥膜厚が100μmとなるようにエアスプレーにて軟鋼板(150mm×70mm×0.8mm)に下塗り塗料を塗布し、23℃50%相対湿度にて7日間乾燥させ、塗膜を形成させた。この試験片を23℃の水道水に7日間浸漬させ、塗膜の状態を観察し、下記評価基準に従い、塗膜の耐水性を評価した。
○:異常なし
×:錆や膨れなどの異常がある
Figure 0007025841000003
Figure 0007025841000004

Claims (8)

  1. 50%粒子径が10~35μmであり且つ真密度が0.1~0.8g/cm ある中空粒子と、JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12~70℃の範囲内にある弱溶剤とを含む塗料組成物であって、該塗料組成物における不揮発分中の中空粒子の割合が45~70体積%であることを特徴とする塗料組成物。
  2. 前記不揮発分の熱伝導率が0.22W/mK以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 金属基材上に配置される下塗り塗膜を形成するために用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. 防錆顔料を更に含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  5. 樹脂を更に含み、該樹脂が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びアルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  6. 50%粒子径が10~35μmであり且つ真密度が0.1~0.8g/cm ある中空粒子を45~70体積%で含む下塗り塗膜と、該下塗り塗膜上に形成される上塗り塗膜とを備える複層塗膜であって、
    前記下塗り塗膜は膜厚が70~150μmであり、前記上塗り塗膜は膜厚が20~100μmであり、前記下塗り塗膜が基材上に形成されていることを特徴とする複層塗膜。
  7. 前記下塗り塗膜は、熱伝導率が0.22W/mK以下であることを特徴とする請求項6に記載の複層塗膜。
  8. 前記下塗り塗膜及び前記上塗り塗膜が樹脂を含み、該樹脂が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びアルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の複層塗膜。
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