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JP7026510B2 - 印刷物、読取装置、読取方法、印刷方法、および印刷装置 - Google Patents
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JP7026510B2 - 印刷物、読取装置、読取方法、印刷方法、および印刷装置 - Google Patents

印刷物、読取装置、読取方法、印刷方法、および印刷装置 Download PDF

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Description

本発明は、印刷物、読取装置、読取方法、印刷方法、および印刷装置に関する。
従来、不可視光を照射することにより色相変化する隠し用途のインキを用いて、印刷物に潜像を印刷する技術が知られている。この種の印刷物に用いられるインキは、例えば特許文献1に開示されている。
特開2011-241312号公報
この特許文献1に記載のインキは、紫外線の照射により色相変化して顕色し、識別可能となる色素として、リボフラビン類を含有している。そして、この特許文献1に記載のインキを用いた印刷物では、紫外線照射において、印字面が鮮やかな黄白色の蛍光を示すので、印字基材との発光の差異によって識別が可能である、としている。
このような、特定の環境光下においてのみ印刷された内容を識別可能な印刷物、およびそれを読み取る読取装置等の技術は、近年、様々な用途で必要とされている。具体例を1つ挙げると、医療分野において、消費者が服用する錠剤の表面に錠剤固有の情報を印刷する技術が注目されている。錠剤の表面に印刷する情報としては、例えば、薬品名や有効成分の含有量等の消費者に対して表示したい情報と、錠剤の製造者または薬剤師のみが確認したい管理情報といった消費者に対して表示したくない情報と、が含まれる。そのため、消費者に対して表示したくない情報は潜像画像として印刷することが考えられる。なお、上記の管理情報としては、例えば、錠剤のロット番号や消費期限、偽薬防止のためのセキュリティコードなどが挙げられる。
しかしながら、医薬品である錠剤の中でも、とりわけ表面にコーティングが施されたフィルムコーティング(FC)錠や糖衣錠では、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する物質(例えば、アナターゼ型酸化チタン)が、当該コーティングの表層に含まれる場合が多い。このため、この種の錠剤では、上述のような特殊なインキを用いて錠剤の表面に潜像画像を形成した場合、特定波長の不可視光が、潜像画像およびその背景の錠剤表層の両方で吸収されてしまうため、潜像画像の情報を読み取ることが困難であった。
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その潜在的な目的は、潜像画像が形成された印刷物において、潜像画像を良好に読み取れるようにすることにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
本願の第1の観点においては、被印刷対象物と下地層と潜像画像層とを備える印刷物が提供される。前記下地層は、前記被印刷対象物の表面に形成され、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質を含んでなる。前記潜像画像層は、前記下地層の上に印刷され、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなる。前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である。
本願の第の観点では、第の観点に係る印刷物において、前記第1物質はアナターゼ型酸化チタンであり、前記第2物質はルチル型酸化チタンである。
本願の第の観点では、第の観点または第の観点に係る印刷物において、前記被印刷対象物は、消費者に錠剤として服用される粒状物である。
本願の第の観点では、第1の観点から第の観点までのいずれか1つに係る印刷物において、前記潜像画像層はインクジェット方式で印刷される。
本願の第の観点においては、以下の構成の印刷物を読み取る読取装置が提供される。即ち、この印刷物は、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質が表面に含まれる下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなる潜像画像層が印刷されることにより構成される。前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である。前記読取装置は、照射部と、撮影部と、を備える。前記照射部は、前記第1物質および前記第2物質のいずれか一方には吸収され、かつ、前記第1物質および前記第2物質のいずれか他方には吸収されない波長の不可視光を、前記印刷物の表面に照射する。前記撮影部は、可視光および不可視光のうちの不可視光のみを受光して形成される画像である不可視光画像を撮影する。
本願の第の観点では、第の観点に係る読取装置において、前記撮影部の撮影結果から前記潜像画像層に含まれる情報を読み取る画像読取部をさらに備える。
本願の第の観点では、第5の観点または第6の観点に係る読取装置において、前記照射部は、360nmから400nmまでの波長範囲の不可視光を、前記印刷物の表面に照射する。
本願の第の観点においては、以下の構成の印刷物を読み取る読取方法が提供される。即ち、この印刷物は、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質が表面に含まれる下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなる潜像画像層が印刷されることにより構成される。当該読取方法は、次のa)およびb)の工程を含む。前記a)では、前記第1物質および前記第2物質のうちのいずれか一方には吸収され、かつ、前記第1物質および前記第2物質のうちのいずれか他方には吸収されない波長の不可視光を、前記印刷物の表面に照射する。前記b)では、可視光および不可視光のうちの不可視光のみを受光して形成される画像である不可視光画像を撮影する。前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である。
本願の第の観点においては、以下の構成の印刷方法が提供される。即ち、この印刷方法は、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質が表面に含まれる下地層の上に、潜像画像層を印刷する。当該印刷方法は、次のc)およびd)の工程を含む。前記c)では、前記下地層を有する印刷対象物を、当該下地層を表面に向けて搬送する。前記d)では、前記印刷対象物の前記下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなるインクにより、前記潜像画像層を形成する。前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である。
本願の第10の観点では、第の観点に係る印刷方法において、前記印刷対象物は、消費者に錠剤として服用される粒状物である。
本願の第11の観点においては、以下の構成の印刷方法が提供される。即ち、この印刷方法は、印刷対象物の表面に印刷する印刷方法である。当該印刷方法は、次のe),f)およびg)の工程を含む。前記e)では、前記印刷対象物を、その印刷する側を表面に向けて搬送する。前記f)では、前記印刷対象物の前記表面に、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質を含んでなるインクにより、下地層を形成する。前記g)では、前記印刷対象物の前記下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなるインクにより、潜像画像層を形成する。前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である。
本願の第12の観点では、第11の観点に係る印刷方法において、前記印刷対象物は長尺帯状または枚葉状の基材である。
本願の第13の観点においては、以下の構成の印刷装置が提供される。即ち、この印刷装置は、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質が表面に含まれる下地層の上に、潜像画像層を印刷する。この印刷装置は、搬送機構と、印刷部と、を備える。前記搬送機構は、前記下地層を有する印刷対象物を、当該下地層を表面に向けて搬送する。前記印刷部は、前記印刷対象物の前記下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなるインクにより、前記潜像画像層を形成する。前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である。
本願の第14の観点では、第13の観点に係る印刷装置において、前記印刷対象物は、消費者により錠剤として服用される粒状物である。この粒状物は、その表面に前記下地層を有する。
本願の第15の観点では、第14の観点に係る印刷装置において、前記印刷部は、インクジェット方式で前記潜像画像層を形成する。
本願の第16の観点においては、以下の構成の印刷装置が提供される。即ち、この印刷装置は、印刷対象物の表面に印刷する。この印刷装置は、搬送機構と、第1印刷部と、第2印刷部と、を備える。前記搬送機構は、前記印刷対象物を、その印刷する側を表面に向けて搬送する。前記第1印刷部は、前記印刷対象物の表面に、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質を含んでなるインクにより、下地層を形成する。前記第2印刷部は、前記印刷対象物の前記下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなるインクにより、潜像画像層を形成する。前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である。
本願の第17の観点では、第16の観点に係る印刷装置において、前記印刷対象物は、長尺帯状または枚葉状の基材である。
本願の第1の観点~第17の観点によれば、潜像画像層が形成された印刷物において、潜像画像層を良好に読み取ることができる。
特に、本願の第1の観点によれば、第1物質には吸収されないが第2物質には吸収される波長の不可視光を照射した状態で、あるいは、第2物質には吸収されないが第1物質には吸収される波長の不可視光を照射した状態で、印刷物の不可視光画像を確認することにより、潜像画像層の情報を読み取ることができる。
特に、本願の第の観点によれば、アナターゼ型酸化チタンと、ルチル型酸化チタンと、の吸収波長の差異を利用して、潜像画像層として印刷した情報を読み取ることができる。
特に、本願の第の観点によれば、アナターゼ型酸化チタンでは吸収されないがルチル型酸化チタンでは吸収される特定の波長の不可視光を照射した状態で、印刷物の不可視光映像を確認することにより、潜像画像層が下地層よりも濃い色で明瞭に見えることとなる。これにより、潜像画像層の情報を容易に読み取ることが可能となる。
特に、本願の第の観点、第10の観点、または第14の観点によれば、例えば、消費者以外の、特定の関係者のみが確認できれば足りる情報は、潜像画像層として、錠剤の表層に印刷することができる。これにより、錠剤を見た消費者の目に必要以上の情報が入り混乱してしまうことを避けることができる。
本願の第の観点によれば、インクジェット方式により、繊細な潜像画像層を形成することができる。
また、本願の第の観点によれば、不可視光画像を確認することにより、下地層を背景にしてその上に重ねられた潜像画像層を読み取ることができる。
特に、本願の第の観点によれば、潜像画像層の情報を自動で読み取ることができる。
特に、本願の第の観点、第8の観点、第9の観点、第11の観点、第13の観点、または第16の観点によれば、アナターゼ型酸化チタンと、ルチル型酸化チタンと、の吸収波長の差異を利用して、潜像画像層の情報を読み取ることができる。
特に、本願の第の観点によれば、アナターゼ型酸化チタンではあまり吸収されないがルチル型酸化チタンでは吸収される360nmから400nmまでの波長範囲の不可視光を照射して、印刷物の不可視光画像を確認することにより、潜像画像層と下地層とのコントラストで、印刷物の情報を読み取ることが可能となる。
また、本願の第の観点によれば、不可視光画像を確認することにより、下地層を背景にしてその上に印刷された潜像画像層の情報を読み取ることができる。
また、本願の第の観点によれば、例えば、印刷物の消費者以外の、特定の関係者のみが確認できれば足りる情報は、特定の環境光下においてのみ視認可能なように印刷することができる。
また、本願の第11の観点によれば、印刷により、印刷対象物の表面に下地層が形成され、さらにその上に潜像画像層が形成される。これにより、特定の環境光下においてのみ視認可能なように、下地層と潜像画像層とのコントラストで表現される情報を印刷することができる。
特に、本願の第12の観点によれば、例えば、消費者以外の、特定の関係者のみが確認できれば足りる情報を、特定の環境光下においてのみ視認可能なように、長尺帯状または枚葉状の基材の表面に印刷することができる。これにより、長尺帯状または枚葉状の基材の表面をみた消費者の目に必要以上の情報が入り混乱してしまうことを避けることができる。
また、本願の第13の観点によれば、下地層の上に潜像画像層が印刷される。これにより、特定の環境光下においてのみ視認可能なように、下地層と潜像画像層とのコントラストで表現される情報を印刷することができる。
また、本願の第15の観点によれば、インクジェット方式により、粒状物の表面に繊細な潜像画像層を形成することができる。
また、本願の第16の観点によれば、印刷対象物の表面に下地層が印刷され、さらにその上に潜像画像層が印刷される。これにより、特定の環境光下においてのみ視認可能なように、下地層と潜像画像層とのコントラストで表現される情報を印刷することができる。
特に、本願の第17の観点によれば、特定の環境光下においてのみ視認可能なように、特定の情報を長尺帯状または枚葉状の基材に印刷することができる。
第1実施形態に係る印刷装置の全体的な構成を示した図である。 印刷装置に備えられる搬送機構の部分斜視図である。 印刷装置に備えられるヘッドの下面図である。 制御部と印刷装置内の各部との接続を示したブロック図である。 有色画像層、および潜像画像層が印刷された錠剤の例を示した図である。 図5に示した錠剤を特定の環境光下において見たときの様子を示した図である。 第1実施形態に係る読取装置の構成を示した図である。 上段は、実施例の実験結果として得られた、錠剤の表面を撮影した不可視光画像を示す写真である。下段は、比較例の実験結果として得られた、錠剤の表面を撮影した不可視光画像を示す写真である。 第2実施形態に係る印刷装置の全体的な構成を示した図である。 白色の下地層、および潜像画像層が印刷された長尺帯状の基材の例を示した図である。 図10に示した長尺帯状の基材を特定の環境光下において見たときの様子を示した図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、複数の錠剤が搬送される方向を「搬送方向」と称し、搬送方向に対して垂直かつ水平な方向を「幅方向」と称する場合がある。
<1.第1実施形態>
<1-1.印刷装置について>
以下では、本発明の第1実施形態に係る印刷装置1について、図1から図4までを参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る印刷装置1の全体的な構成を模式的に示した図である。この印刷装置1は、消費者により服用される粒子状の複数の錠剤(粒状物)9を搬送しながら、各錠剤9の表面に、インクジェット方式で画像を印刷する装置である。錠剤9は、本実施形態に係る印刷対象物(被印刷対象物)である。図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、搬送機構10、有色印刷部20、潜像印刷部(印刷部)30、乾燥機構40、および制御部50を主として備えている。
搬送機構10は、複数の錠剤9を保持しつつ搬送する機構である。搬送機構10は、一対のプーリ11と、一対のプーリ11の間に掛け渡された環状の搬送ベルト12とを有する。印刷装置1に投入された複数の錠剤9は、振動フィーダや搬送ドラム等により構成される搬入機構101によって、等間隔に整列されるとともに、搬送ベルト12の外周面に供給される。一対のプーリ11の一方は、搬送用モータ13から得られる動力により回転する。これにより、搬送ベルト12が、図1中の矢印の方向に回動する。このとき、一対のプーリ11の他方は、搬送ベルト12の回動に伴い従動回転する。
図2は、搬送機構10の部分斜視図である。図2に示すように、搬送ベルト12には、複数の吸着孔14が設けられている。複数の吸着孔14は、搬送方向および幅方向に、等間隔に配置されている。また、図1に示すように、搬送機構10は、搬送ベルト12の内側の空間から気体を吸い出す吸引機構15を有する。吸引機構15を動作させると、搬送ベルト12の内側の空間が、大気圧よりも低い負圧となる。複数の錠剤9は、当該負圧によって、吸着孔14に吸着保持される。
このように、搬送機構10は、複数の錠剤9を、複数の吸着孔14に一定の間隔で保持しつつ、搬送ベルト12の回動によって、複数の錠剤9を搬送する。有色印刷部20および潜像印刷部30の下方では、複数の錠剤9は、水平方向に搬送される。
また、図1に示すように、搬送機構10は、搬送ベルト12の内側に、ブロー機構16を有する。ブロー機構16を動作させると、搬送ベルト12の複数の吸着孔14のうち、搬出機構102に対向する吸着孔14のみが、大気圧よりも高い陽圧となる。これにより、当該吸着孔14における錠剤9の吸着が解除され、搬送ベルト12から搬出機構102へ、錠剤9が受け渡される。搬出機構102は、搬送ベルト12から受け渡された錠剤9を、例えば他の搬送ベルトによって、印刷装置1の外部へ搬出する。
図1に示す有色印刷部20は、搬送ベルト12により搬送される錠剤9の表面に、有色画像層を記録する部位である。この有色画像層は、通常の環境光下で消費者が目視することのできる画像層であり、例えば、錠剤9の製品名、会社名、ロゴマーク、有効成分の含有量等の、消費者に対して表示すべき情報が含まれる。なお、ここで言う通常の環境光下とは、日常生活における環境光下であり、例えば白色光下を指す。図1に示すように、本実施形態の有色印刷部20は、3つのヘッド21を有する。3つのヘッドは、搬送ベルト12の上方に位置し、錠剤9の搬送方向に沿って、一列に配置されている。各ヘッド21は、通常の環境光下において視認可能な有色のインクを、錠剤9の表面に向けて吐出する。例えば、3つのヘッド21は、シアン、マゼンダ、およびブラックのインク滴を、それぞれ吐出する。その結果、錠剤9の表面に、有色画像層である多色画像層が印刷される。ただし、複数のヘッド21が吐出するインクの色はこれに限られるものではない。また、各ヘッド21が吐出するインクの色が全て異なる色である必要はなく、一部のヘッドが吐出するインクの色が同じであってもよい。
なお、各ヘッド21から吐出されるインクには、食品衛生法または薬事法で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。
図3は、1つのヘッド21の下面図である。図3には、搬送ベルト12と、搬送ベルト12に保持された複数の錠剤9とが、二点鎖線で示されている。図3中に拡大して示したように、ヘッド21の下面である吐出面210には、インク滴を吐出可能な複数のノズル211が設けられている。本実施形態では、ヘッド21の下面に、複数のノズル211が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。各ノズル211を二次元的に配置すれば、各ノズル211の幅方向の位置を、互いに近接させることができる。ただし、複数のノズル211は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
ノズル211からのインク滴の吐出方式には、例えば圧電素子であるピエゾ素子に電圧を加えて変形させることにより、ノズル211内のインクを加圧して吐出する、いわゆるピエゾ方式が用いられる。ただし、インク滴の吐出方法は、ヒータに通電してノズル211内のインクを加圧膨張させることにより吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
図1に示す潜像印刷部30は、搬送ベルト12により搬送される錠剤9の表面に、通常の環境光下では消費者が視認困難な画像を記録する部位である。潜像印刷部30で記録される画像の色は、錠剤9の表面の色に対して視認困難な色であればよいが、例えば無色透明とすることができる。この潜像印刷部30で印刷される潜像画像には、製造者または薬剤師等の特定の関係者のみが確認すれば足りる管理情報が含まれる。この管理情報には種々の情報を含み得るが、例えば、錠剤9のロット番号や消費期限、製造工場、含有成分、偽薬防止のためのセキュリティコード等を含ませることができる。本実施形態の潜像印刷部30は、1つのヘッド31を有する。ヘッド31は、搬送ベルト12の上方、かつ、有色印刷部20の3つのヘッド21よりも搬送方向の下流側に、配置されている。本実施形態では、潜像印刷部30のヘッド31は、錠剤9の表面に向けて、消費者によって視認され難い色のインクを吐出する。これにより、錠剤9の表面に、通常の環境光下においては消費者によって視認され難い、隠し目的の潜像画像層が印刷される。なお、以下の説明においては、潜像画像層を印刷するために用いる、消費者によって視認され難い色のインクを、「潜像用インク」と称する場合がある。
なお、ヘッド31から吐出されるインクには、食品衛生法または薬事法で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。なお、このインクの成分については、後に説明する。また、ヘッド31の構造は、図3に示したヘッド21の構造と同等である。すなわち、ヘッド31は、下面に設けられた複数のノズル211から、インク滴を吐出する。
乾燥機構40は、錠剤9の表面に付着したインクを乾燥させる機構である。乾燥機構40は、搬送ベルト12の周囲の、潜像印刷部30よりも搬送方向下流側の位置に設けられている。乾燥機構40には、例えば、搬送ベルト12により搬送される錠剤9へ向けて、加熱された気体(熱風)を吹き付ける、熱風供給機構が用いられる。有色印刷部20および潜像印刷部30から吐出されたインクは、熱風により乾燥して、錠剤9の表面に定着する。
なお、この乾燥機構40とは別に、有色印刷部20と潜像印刷部30との間に、さらに乾燥機構(中間乾燥機構)が設けられていてもよい。そして、潜像画像層が印刷される前に、有色画像層を構成する有色インクのみを、中間乾燥機構において乾燥させてもよい。
図1および図4に示す制御部50は、印刷装置1内の各部を動作制御するための手段である。図4は、制御部50と、印刷装置1内の各部との接続を示したブロック図である。図4中に概念的に示したように、制御部50は、CPU等のプロセッサ51、RAM等のメモリ52、およびハードディスクドライブ等の記憶部53を有するコンピュータにより構成される。記憶部53内には、印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムPがインストールされている。
また、図4に示すように制御部50は、上述した搬送用モータ13、吸引機構15、ブロー機構16、有色印刷部20の3つのヘッド21、潜像印刷部30のヘッド31、乾燥機構40、搬入機構101、および搬出機構102と、それぞれ通信可能に接続されている。制御部50は、記憶部53に記憶されたコンピュータプログラムPやデータをメモリ52に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPに基づいて、プロセッサ51が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。このように、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、複数の錠剤9に対する印刷処理が進行する。
<1-2.印刷物としての錠剤について>
続いて、本実施形態に係る印刷装置1を用いて表面に印刷を施した、印刷物としての錠剤9について、図5および図6を参照して、より詳細に説明する。図5は、通常の環境光下で見たときの、錠剤9の表面の様子を示した図である。
錠剤9は、常温下において固体状であり、例えば、有効成分を含む錠剤材料を一定の形状に圧縮・成形することにより製造される。
また、図5に示す錠剤9は、フィルムコーティング(FC)錠であり、その表層に下地層93が形成されている。この下地層93の少なくとも表面には、特定波長(388nm以下)の不可視光を吸収する性質を有するアナターゼ型酸化チタン(第1物質)が含まれている。この下地層93の上には、上述の有色インクが吐出されることにより形成された有色画像層91と、上述の潜像用インクが吐出されることにより形成された潜像画像層92とが、備えられている。なお、潜像画像層92は、通常の環境光下では、例えば無色透明であるため、ほとんど視認できないが、図5では二点鎖線で仮想的に示してある。
ここで、有色のインクがヘッド21から吐出されることにより形成される有色画像層91は、通常の環境光下において、消費者により容易に視認されるように、鮮明に印刷される。図5に示した例では、錠剤9の表面に、有色画像層91として、製品名である「TABLET A」の文字列と、有効成分の含有量を示す「200mg」の文字列と、が印刷されている。
潜像用インクがヘッド31から吐出されることにより形成される潜像画像層92は、錠剤9の下地層93の表層側の一部に重ねられて形成される。潜像画像層92は、通常の環境光下において、消費者によりほとんど視認されないように、例えば無色透明の態様で印刷される(図5を参照)。別の言い方をすれば、潜像画像層92は、下地層93の上に、隠し目的の潜像として印刷される。
潜像画像層92を構成する潜像用インクは、前述の特定波長(388nm以下)とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有するルチル型酸化チタン(第2物質)を含んで構成されている。具体的には、このルチル型酸化チタンが吸収することのできる不可視光の波長範囲は、413nm以下であり、前述の特定波長(388nm以下)には含まれない波長範囲が一部に含まれている。
潜像用インクに含まれるルチル型酸化チタンは、例えば市販品のルチル型酸化チタンとすることができる。そのような市販品としては、例えば、STR-100N(商品名、堺化学工業(株)製、ルチル型)、TTO-51A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、TTO-55A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、TTO-80A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、MPT-140(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、MPT-141(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、MKR-1(商品名、堺化学工業(株)、ルチル型)等が挙げられる。
また、潜像用インクに含まれるルチル型酸化チタン粒子の平均一次粒径(体積平均粒子径)としては、20nm~400nm、より好ましくは30nm~200nm、特に好ましくは40nm~100nmとすることができる。これにより、このルチル型酸化チタン粒子を含む上記潜像用インクの通常の環境光下での不可視性を向上できる。
上述したように、錠剤9の消費者は、通常の環境光下においては、潜像画像層92を認識することがほとんどできない。ただし、錠剤9の製造者または薬剤師等の特定の関係者は、後述する読取装置2を用いて、潜像画像層92に含まれる情報を確認することが可能である(図6を参照)。図6は、潜像画像層92として二次元コードを印刷した錠剤9を特定の環境光下において見たときの様子を示す画像である。以下では、このような特定の環境光下において見たときの様子を示す画像を「不可視光画像」と称する場合がある。
このように、本実施形態では、消費者以外の、特定の関係者のみが確認できれば足りる情報は、潜像画像層92として、例えば無色透明等の視認性の低い潜像用インクを用いて錠剤9の表層に印刷する。これにより、消費者の目に入る情報量を減らして、消費者の混乱を防止できるとともに、特定の関係者には、より多くの情報を示すことができる。
なお、この印刷装置1の印刷方式は、インクジェット方式であるため、ヘッド21およびヘッド31から吐出されるインク滴によって、繊細な画像層を錠剤9の下地層93の表面に印刷することができる。
<1-3.読取装置について>
続いて、錠剤9に印刷された画像に含まれる情報を読み取る読取装置2について、説明する。図7は、読取装置2の構成を模式的に示した図である。錠剤9の製造者または薬剤師等の特定の関係者は、読取装置2を用いて、潜像画像層92に含まれる情報を確認することができる。図7に示すように、読取装置2は、撮影装置60、情報取得部(画像読取部)70、および表示部80を主として有する。
撮影装置60は、錠剤9の表面のうち、少なくとも潜像画像層92とその周辺部を、特定の環境光下で撮影することが可能な装置である。図7に示すように、撮影装置60は、光照射部(照射部)61と、カメラ62と、フィルタ63とを有する。なお、カメラ62とフィルタ63とを合わせたものが、本実施形態の「撮影部」に相当する。
光照射部61は、撮影対象の印刷物である錠剤9の表面に所定の撮影波長(本実施形態では、360nm~400nm)の不可視光を照射する光源である。別の言い方をすれば、本実施形態の光照射部61は、360nm~400nmの波長範囲の紫外線を、錠剤9の潜像画像層92が形成されている領域とその周辺部に照射する。ここで、360nm~400nmの波長範囲の不可視光は、アナターゼ型酸化チタンにはあまり吸収されないが、ルチル型チタンには良好に吸収される。したがって、光照射部61から錠剤9に向けてこの所定の撮影波長の不可視光を照射した場合、潜像画像層92が印刷されている部位においては、表面にルチル型酸化チタンが存在するため、この不可視光が当該潜像画像層92に吸収される。一方、潜像画像層92の周辺の下地層93が露出している部位においては、表面にアナターゼ型酸化チタンが存在するため、照射された不可視光の大部分が当該下地層93で反射または透過される。このように不可視光を照射した状態の錠剤9を、後述するようにカメラ62で撮影する。
カメラ62は、錠剤9を撮影する装置である。カメラの撮影レンズのすぐ外側には、可視光をカットし、不可視光(紫外線)のみを透過するフィルタ63が備えられている。このような構成により、カメラ62は不可視光のみを受光し、不可視光画像Iが撮影される。別の言い方をすれば、カメラ62は、その前方にフィルタ63を備えていることにより、紫外線カメラとして機能する。カメラ62で錠剤9を撮影した不可視光画像Iにおいては、潜像画像層92が印刷されている部位では、不可視光が当該潜像画像層92に吸収されるため、不可視光があまり反射されず、相対的に濃い(暗い)色に写る。一方、潜像画像層92の周辺の下地層93が露出している部位においては、照射された不可視光の大部分が当該下地層93で反射または透過されるため、相対的に薄い(明るい)色に写る。
情報取得部(画像読取部)70は、カメラ62の撮影結果から情報を取得する処理部である。情報取得部70には、例えば、プロセッサおよびメモリを有するコンピュータが用いられる。情報取得部70は、カメラ62の撮影結果である不可視光画像Iを画像処理することにより、下地層93と潜像画像層92とのコントラスト(濃淡)で表現される情報を自動で抽出する。そして、抽出された情報を、そのまま例えば二次元コード等の情報を含んだ画像として、あるいはヒューマンリーダブルな他の情報に変換して、表示部80に表示する。表示部80には、例えば液晶ディスプレイが用いられる。なお、図6には、潜像画像層92の二次元コードが、文字列「20170404」に変換されて表示部80に表示された例を示している。
このような読取装置2を用いれば、通常の環境光下では視認が困難な潜像画像層92を、不可視光画像I上において可視化することができる。したがって、錠剤9の製造者または薬剤師等の特定の関係者は、潜像画像層92に含まれる情報を、容易に読み取ることができる。
以上に説明したように、本実施形態に係る印刷物である錠剤9は、特定波長の紫外線を吸収する性質を有するアナターゼ型酸化チタンが表面に含まれる下地層93を備える。また、下地層93の上に、アナターゼ型酸化チタンの吸収波長とは異なる波長の紫外線を吸収する性質を有するルチル型酸化チタンを含んでなる潜像用インクが吐出されることにより、潜像画像層92が形成される。
これにより、アナターゼ型酸化チタンにはあまり吸収されないがルチル型酸化チタンには良好に吸収される360nm~400nmの波長の紫外線を照射した状態で、錠剤9の不可視光画像I(図6を参照)を確認することにより、潜像画像層92の情報を読み取ることができる。
また、本実施形態に係る印刷装置1を用いて印刷対象物である錠剤9に印刷する印刷方法においては、以下のc)およびd)の工程が含まれる。なお、この印刷方法は、特定波長(388nm以下)の紫外線を吸収する性質を有するアナターゼ型酸化チタンが表面に含まれる下地層93の上に、潜像画像層92を重ねるように印刷するための方法である。c)の工程では、下地層93を有する錠剤9を、当該下地層93を表面に向けて搬送する(図1を参照)。d)の工程では、錠剤9の下地層93に向けて、特定波長(388nm以下)とは異なる波長の紫外線を吸収する性質を有するルチル型酸化チタンを含んでなる潜像用インクをヘッド31から吐出して潜像画像層92を形成する。
これにより、例えば、錠剤9の消費者以外の、特定の関係者のみが確認できれば足りる情報は、特定の環境光下においてのみ視認可能なように印刷することができる。
<1-4.実験例>
次に、本実施形態に係る印刷方法により錠剤の表面に印刷した場合(実施例)と、本実施形態とは異なるインクを用いた印刷方法により錠剤の表面に印刷した場合(比較例)と、を比べた実験について、図8を参照して説明する。
(実施例)
まず、実験の内容について説明する。本実験において、印刷対象の錠剤としては、表面にアナターゼ型酸化チタンが含まれるFC錠を使用した。潜像用インクとしては、ルチル型酸化チタンを含んでなるものを使用した。本実施例で使用した潜像画像層を印刷するための潜像用インクAの詳細な組成については、以下に示すとおりとした。
・ルチル型酸化チタン: 10wt%
・ポリアクリル酸ナトリウム: 1wt%
・ポリグリセリン脂肪酸エステル: 2wt%
・プロピレングリコール 30wt%
・水 57wt%
なお、ルチル型酸化チタンは、インクの顔料として用いた。ポリアクリル酸ナトリウムは、分散剤として用いた。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、表面張力調整剤として用いた。プロピレングリコールは、湿潤剤として用いた。水は、溶媒として加えた。
錠剤の表面に、上記組成の無色透明の潜像用インクAをインクジェット方式で吐出して、二次元コードを表す潜像画像層を印刷した。
(比較例)
上記の実験と比較するために、本実施形態とは異なるインクを用いた印刷方法および読取方法を行った。具体的には、印刷対象の錠剤としては、表面にアナターゼ型酸化チタンが含まれるFC錠を使用した。潜像画像層を構成する潜像用インクとしては、アナターゼ型酸化チタンを含んでなるものを使用した。本比較例で使用した潜像画像層を印刷するための潜像用インクBの詳細な組成については、以下に示すとおりとした。
・アナターゼ型酸化チタン: 10wt%
・ポリアクリル酸ナトリウム: 1wt%
・ポリグリセリン脂肪酸エステル: 2wt%
・プロピレングリコール 30wt%
・水 57wt%
なお、各組成物の役割については、実施例の場合と同様である。
実施例および比較例で得られた印刷物(錠剤)の表面に、300nm、320nm、340nm、360nm、380nm、および400nmの波長の不可視光を照射して、それぞれの場合について、不可視光画像を撮影したところ、図8に示すような写真が得られた。図8の上段は、実施例に係る印刷物である錠剤を、照射する不可視光の波長を20nmおきに変更しながら撮影した複数の不可視光画像を示す写真である。図8の下段は、比較例に係る印刷物である錠剤を、照射する不可視光の波長を20nmおきに変更ながら撮影した複数の不可視光画像を示す写真である。
実施例の実験結果では、図8の上段に示すように、不可視光の波長を360nm以上とした場合に、潜像画像層の二次元コードが読み取り可能となったことを確認できた。この結果から、アナターゼ型酸化チタンにはあまり吸収されないが、ルチル型酸化チタンには良好に吸収される波長範囲の不可視光を照射したときに、潜像画像層および下地層の吸収率・反射率の差異により、潜像画像層と下地層とのコントラストが明瞭に表れ、潜像画像層の情報が読み取り可能になったことがうかがえる。
一方、比較例の実験結果では、図8の下段に示すように、不可視光の波長を360nm以上とした場合も含め、300nm~400nmの全ての波長範囲で、潜像画像層の二次元コードが読み取り不能であったことを確認できた。アナターゼ型酸化チタンに吸収されやすい波長範囲(300nm~340nm)の不可視光を照射したときには、潜像画像層においても、当該潜像画像層の周辺の下地層においても、同様に、不可視光の大部分が錠剤の表面のアナターゼ型酸化チタンに吸収され、相対的に濃い色の写真になったことがうかがえる。一方、アナターゼ型酸化チタンには吸収されにくい波長範囲(360nm~400nm)の不可視光を照射したときには、潜像画像層においても、当該潜像画像層の周辺の下地層においても、同様に、不可視光の大部分が、錠剤の表面のアナターゼ型酸化チタンにより反射され、相対的に薄い色の写真になったことがうかがえる。別の言い方をすれば、潜像画像層と、その周辺に露出している下地層とで、表面に存在する顔料(物質)が同じであるため、潜像画像層と下地層とのコントラストが明瞭に表れなかったと考えられる。
<2.第2実施形態>
以下では、本発明の第2実施形態について、図9から図11までを参照しつつ説明する。以下の説明においては、第1実施形態で示したのと同様の構成の部材・機構については、第1実施形態と同様の符号を付し、詳細な説明は省略する場合がある。
図9は、本発明の第2実施形態に係る印刷装置110の構成を示した図である。本実施形態の印刷装置110は、印刷対象物(被印刷対象物)としての長尺帯状の基材99を搬送機構10により搬送しながら、当該基材99の表面に、インクジェット方式で画像を印刷する装置である。図9に示すように、本実施形態の印刷装置110は、搬送機構10、下地印刷部(第1印刷部)130、有色印刷部20、潜像印刷部(第2印刷部)30、および制御部50を主として備えている。
なお、長尺帯状の基材99の具体例としては、薬品の包装材としての紙やフィルムやアルミニウムシートが挙げられる。また、長尺帯状の基材99は、上記のように薬品の包装材であってもよいし、あるいは薬品とは無関係な紙またはフィルムであってもよい。さらに言えば、印刷対象物としての基材は、必ずしも一連の基材でなくてもよく、例えば個別に搬送される複数の基材であってもよい。
搬送機構10は、基材99を、その印刷する側を表面に向けて、搬送方向に送る機構である。本実施形態の搬送機構10は、巻き出しローラ14、複数の搬送ローラ15、および巻き取りローラ16を有する。基材99は、巻き出しローラ14から繰り出され、複数の搬送ローラ15により構成される搬送経路に沿って搬送される。各搬送ローラ15は、水平軸を中心として回転することによって、基材99を搬送経路の下流側へ案内する。また、搬送後の基材99は、巻き取りローラ16へ回収される。
巻き出しローラ14、複数の搬送ローラ15、および巻き取りローラ16のうちの一部のローラは、モータの駆動力により能動回転する。また、巻き出しローラ14、複数の搬送ローラ15、および巻き取りローラ16のうちの残りのローラは、基材99の搬送に伴い従動回転する。搬送経路上の基材99には、複数のローラの間の回転速度の差によって、搬送方向の張力が付与される。これにより、搬送中における基材99の弛みや皺が抑制される。
下地印刷部130は、搬送機構10により搬送される基材99の表面に下地層を印刷する部位である。下地層の色は、例えば白色とされる。ただし、下地層の色はこれに限るものではなく、基材の色や素材に合わせて適宜変更することが可能である。下地印刷部130は、搬送方向において有色印刷部20よりも上流側に配置される。本実施形態では、下地印刷部130のヘッド131は、基材99の表面に向けて、下地層を形成するためのインクを吐出する。なお、以下の説明においては、下地層を形成するために用いるインクを、「下地用インク」と称する場合がある。この下地用インクには、粒径の比較的大きいアナターゼ型酸化チタンが含まれている。これにより、基材99の表面に、下地層94が形成される(図10を参照)。
なお、基材99を、人が服用する薬品の包装に用いる場合、ヘッド131から吐出されるインクの組成物は、食品衛生法または薬事法で認可された物質により構成されていることが好ましい。ヘッド131の構造は、第1実施形態のヘッド21の構造と同等である。すなわち、ヘッド131は、下面に設けられた複数のノズル211から、アナターゼ型酸化チタンを含む下地用インクを吐出することにより、基材99の表面に下地層94を形成する。
また、本実施形態の印刷装置110は、第1実施形態と概ね同様の構成の有色印刷部20を有する。本実施形態の有色印刷部20は、4つのヘッド21を有する。この4つのヘッド21は、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、およびブラックのインク滴を、それぞれ吐出する。その結果、基材99の表面に、有色画像層である多色画像層が印刷される。
潜像印刷部30は、搬送機構10により搬送される、下地層94が印刷された基材99の表面において、下地層94に対して潜像画像層92を重ねて印刷する部位である。潜像印刷部30は、搬送方向において有色印刷部20よりも下流側に配置される。本実施形態の潜像印刷部30のヘッド31は、下地層94に向けて、例えば無色透明の潜像用インクを吐出する。この潜像印刷部30から吐出される潜像用インクは、粒径の比較的小さいルチル型酸化チタンを含んで構成されている。これにより、基材99の表面に印刷された下地層94に、潜像画像層92が重ねて印刷される。ただし、潜像用インクの色は、無色透明に限るものではなく、例えば下地層94の色と近い他の色としてもよい。
以上のようにして表面に印刷がされた長尺帯状の基材99について、第1実施形態と同様の読取装置2を用いれば、通常の環境光下では視認し難い潜像画像層92(図10を参照)を、不可視光画像上において可視化することができる(図11を参照)。なお、図10は、通常の環境光下における下地層94および潜像画像層92が印刷された基材99の表面の様子を示している。図11は、特定の環境光下における基材99の表面の様子を示している。より詳細には、アナターゼ型酸化チタンにはあまり吸収されないがルチル型酸化チタンには良好に吸収される所定波長(360nm~400nm)の不可視光を、基材99の表面に照射することにより、アナターゼ型の結晶構造およびルチル型の結晶構造の両者の間の吸収率・反射率の差異に応じて、潜像画像層92が下地層94よりも濃い色で明瞭に見えることとなる(図11を参照)。
このように、本実施形態に係る印刷装置110を用いて行われる印刷方法によれば、印刷対象物としての基材99の表面に下地層94が印刷され、さらにその上に潜像画像層92が重ねて印刷される。これにより、特定の環境光下においてのみ視認可能なように、下地層94と潜像画像層92とのコントラストで表現される情報を印刷することができる。
<3.変形例について>
以上、本発明の主たる実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
上記の第1実施形態では、通常の環境光下では消費者が視認し難い潜像画像層92の他に、有色画像層91も、印刷対象物である錠剤9の表面に印刷していた。しかしながら、有色画像層91は省略してもよい。
上記の実施形態では、下地層93は主としてアナターゼ型酸化チタンが含まれて構成され、潜像画像層92は主としてルチル型酸化チタンが含まれて構成されるものとしたが、必ずしもこれに限るものではない。例えばこれに代えて、下地層に主としてルチル型酸化チタンが含まれ、潜像画像層に主としてアナターゼ型酸化チタンが含まれるものとしてもよい。その場合、所定の撮影波長(360nm~400nm)の不可視光を照射して不可視光画像を撮影すると、潜像画像層が下地層よりも淡い色で当該下地層とのコントラストが明瞭になって見えることとなる。即ち、アナターゼ型酸化チタンと、ルチル型酸化チタンと、の吸収波長の差異を利用して、潜像画像層と下地層との間で濃淡の差が明瞭に表れるようにすればよく、濃淡(明暗)が逆転してもよい。
上記の第1実施形態では、有色印刷部20に、3つのヘッド21が設けられていた。しかしながら、有色印刷部20に含まれるヘッドの数は、1~2つであってもよく、4つ以上であってもよい。また、上記の実施形態では、潜像印刷部(印刷部、第2印刷部)30に、1つのヘッド31が設けられていた。しかしながら、潜像印刷部30に含まれるヘッド31の数は、2つ以上であってもよい。
上記の第1実施形態においては、アナターゼ型酸化チタンが表面に含まれる下地層93は、FC錠の表層であるものとしたが、必ずしもこれに限るものではない。例えばこれに代えて、アナターゼ型酸化チタンが表面に含まれる下地層93を、糖衣錠の表層であるものとしてもよい。
上記の実施形態では、アナターゼ型酸化チタンにはあまり吸収されないがルチル型酸化チタンには良好に吸収される特定波長として、360nm~400nmの波長範囲を開示した。しかしながら、印刷物に照射する不可視光の波長範囲は必ずしもこれに厳密に限られるものではない。一般的には、アナターゼ型酸化チタンのバンドギャップは3.2eV(388nm)であり、ルチル型酸化チタンのバンドギャップは3.0eV(413nm)であることが知られている。そのため、理論的には、388nm~413nmの波長範囲を採用しても、上述したのと同様の読取方法で、潜像画像層を読み取ることが可能である。
上記の実施例においては、潜像画像層は、二次元コードを表す二次元の画像としたが、これに限るものではない。例えば、文字列としたり、二次元コード以外の何等かの情報を含む二次元の画像としたり、点字としたりすることも可能である。
上記の実施形態においては、有色画像層、潜像画像層、および下地層はインクジェット方式で印刷されるもものとしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えばスタンプ印刷やグラビア印刷等のその他の方式で印刷されるものとしてもよい。
また、本発明における「粒状物」は、上記実施形態で示したようなコーティングされた錠剤であってもよく、あるいは、素錠、口腔内崩壊錠(OD錠)、カプセル錠等であってもよい。また、本発明における「粒状物」は、医薬品としての錠剤に限らず、サプリメント等の健康食品としての錠剤や、ラムネ等の錠菓であってもよい。
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 印刷装置(第1実施形態)
2 読取装置
9 錠剤(印刷物、印刷対象物)
10 搬送機構
30 潜像印刷部(印刷部、第2印刷部)
60 カメラ(撮影部)
61 光照射部(照射部)
70 情報取得部(情報読取部)
92 潜像画像層
93 下地層
99 基材(印刷物、印刷対象物)
119 印刷装置(第2実施形態)
130 下地印刷部(第1印刷部)

Claims (17)

  1. 被印刷対象物と、
    前記被印刷対象物の表面に形成され、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質を含んでなる下地層と、
    前記下地層の上に印刷され、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなる潜像画像層と、
    を備え、
    前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、
    前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である、印刷物。
  2. 請求項に記載の印刷物であって、
    前記第1物質はアナターゼ型酸化チタンであり、前記第2物質はルチル型酸化チタンである、印刷物。
  3. 請求項または請求項に記載の印刷物であって、
    前記被印刷対象物は、消費者に錠剤として服用される粒状物である、印刷物。
  4. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の印刷物であって、
    前記潜像画像層はインクジェット方式で印刷される、印刷物。
  5. 印刷物を読み取る読取装置であって、
    前記印刷物は、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質が表面に含まれる下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなる潜像画像層が印刷されることにより構成され、
    前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、
    前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方であり、
    前記読取装置は、
    前記第1物質および前記第2物質のいずれか一方には吸収され、かつ、前記第1物質および前記第2物質のいずれか他方には吸収されない波長の不可視光を、前記印刷物の表面に照射する照射部と、
    可視光および不可視光のうちの不可視光のみを受光して形成される画像である不可視光画像を撮影する撮影部と、
    を備える読取装置。
  6. 請求項に記載の読取装置であって、
    前記撮影部の撮影結果から前記潜像画像層に含まれる情報を読み取る画像読取部をさらに備える読取装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の読取装置であって、
    前記照射部は、360nmから400nmまでの波長範囲の不可視光を、前記印刷物の表面に照射する、読取装置。
  8. 印刷物を読み取る読取方法であって、
    前記印刷物は、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質が表面に含まれる下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなる潜像画像層が印刷されることにより構成され、
    a)前記第1物質および前記第2物質のうちのいずれか一方には吸収され、かつ、前記第1物質および前記第2物質のうちのいずれか他方には吸収されない波長の不可視光を、前記印刷物の表面に照射し、
    b)可視光および不可視光のうちの不可視光のみを受光して形成される画像である不可視光画像を撮影し、
    前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、
    前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である、読取方法。
  9. 特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質が表面に含まれる下地層の上に、潜像画像層を印刷する、印刷方法であって、
    c)前記下地層を有する印刷対象物を、当該下地層を表面に向けて搬送し、
    d)前記印刷対象物の前記下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなるインクにより、前記潜像画像層を形成し、
    前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、
    前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である、印刷方法。
  10. 請求項に記載の印刷方法であって、
    前記印刷対象物は、消費者に錠剤として服用される粒状物である、印刷方法。
  11. 印刷対象物の表面に印刷する印刷方法であって、
    e)前記印刷対象物を、その印刷する側を表面に向けて搬送し、
    f)前記印刷対象物の前記表面に、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質を含んでなるインクにより、下地層を形成し、
    g)前記印刷対象物の前記下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなるインクにより、潜像画像層を形成する、
    印刷方法であって、
    前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、
    前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である、印刷方法。
  12. 請求項11に記載の印刷方法であって、前記印刷対象物は長尺帯状または枚葉状の基材である、印刷方法。
  13. 特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質が表面に含まれる下地層の上に、潜像画像層を印刷する印刷装置であって、
    前記下地層を有する印刷対象物を、当該下地層を表面に向けて搬送する搬送機構と、
    前記印刷対象物の前記下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなるインクにより、前記潜像画像層を形成する印刷部と、
    を備え
    前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、
    前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である、印刷装置。
  14. 請求項13に記載の印刷装置であって、
    前記印刷対象物は、消費者により錠剤として服用される粒状物であり、
    前記粒状物は、その表面に前記下地層を有する、印刷装置。
  15. 請求項14に記載の印刷装置であって、
    前記印刷部は、インクジェット方式で前記潜像画像層を形成する、印刷装置。
  16. 印刷対象物の表面に印刷する印刷装置であって、
    前記印刷対象物を、その印刷する側を表面に向けて搬送する搬送機構と、
    前記印刷対象物の前記表面に、特定波長の不可視光を吸収する性質を有する第1物質を含んでなるインクにより、下地層を形成する第1印刷部と、
    前記印刷対象物の前記下地層の上に、前記特定波長とは異なる波長の不可視光を吸収する性質を有する第2物質を含んでなるインクにより、潜像画像層を形成する第2印刷部と、
    を備え
    前記第1物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか一方であり、
    前記第2物質は、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのいずれか他方である、印刷装置。
  17. 請求項16に記載の印刷装置であって、
    前記印刷対象物は、長尺帯状または枚葉状の基材である、印刷装置。
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