以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、チャネル領域を介して、ソース-ドレイン間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10-9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10-13Aであり、Vgsが-0.5Vにおけるドレイン電流が1×10-19Aであり、Vgsが-0.8Vにおけるドレイン電流が1×10-22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが-0.5Vにおいて、または、Vgsが-0.5V乃至-0.8Vの範囲において、1×10-19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10-19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10-22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10-22A以下である、と言う場合がある。
また、本明細書等では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
また、本明細書等では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。また、本明細書等において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
また、本明細書等において、トランジスタのしきい値電圧とは、トランジスタにチャネルが形成されたときのゲート電圧(Vg)を指す。具体的には、トランジスタのしきい値電圧とは、ゲート電圧(Vg)を横軸に、ドレイン電流(Id)の平方根を縦軸にプロットした曲線(Vg-√Id特性)において、最大傾きである接線を外挿したときの直線と、ドレイン電流(Id)の平方根が0(Idが0A)との交点におけるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。あるいは、トランジスタのしきい値電圧とは、チャネル長をL、チャネル幅をWとし、Id[A]×L[μm]/W[μm]の値が1×10-9[A]となるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に低い場合は、「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」は、「絶縁体」に言い換えることが可能な場合がある。同様に、本明細書等に記載の「絶縁体」は、「半導体」に言い換えることが可能な場合がある。または、本明細書等に記載の「絶縁体」を「半絶縁体」に言い換えることが可能な場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に高い場合は、「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」は、「導電体」に言い換えることが可能な場合がある。同様に、本明細書等に記載の「導電体」は、「半導体」に言い換えることが可能な場合がある。
また、本明細書等において、半導体の不純物とは、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、半導体にDOS(Density of States)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体を有する場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンを有する場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
(実施の形態1)
本実施の形態においては、本発明の一態様の複合酸化物半導体が含まれる酸化物半導体膜、及びこれを用いた半導体装置について説明を行う。
<1-1.酸化物半導体膜>
酸化物半導体膜は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここで、酸化物半導体膜が、インジウム、元素M及び亜鉛を有する場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせることもできる。なお、酸化物半導体膜が有するインジウム、元素M、及び亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[M]、および[Zn]とする。
<1-2.酸化物半導体膜の構造>
本発明の一態様における複合酸化物半導体を含む酸化物半導体膜の概念図を図1に示す。
図1(A)は、酸化物半導体膜の上面(ここでは、a-b面方向と呼ぶ)の概念図であり、図1(B)は、基板Sub.上に酸化物半導体膜が形成された断面(ここでは、c軸方向と呼ぶ)の概念図である。
なお、図1においては、基板上に酸化物半導体膜が形成される場合について例示したが、これに限定されず、基板と酸化物半導体膜との間に下地膜または層間膜などの絶縁膜、あるいは酸化物半導体膜などの他の半導体膜が形成されていてもよい。
本発明の一態様の酸化物半導体膜は、図1(A)、及び図1(B)に示すように、領域A1と、領域B1とが、混合している構造を有する複合酸化物半導体である。したがって、以下の説明においては、酸化物半導体膜を複合酸化物半導体として記載する場合がある。
図1(A)(B)に示す領域A1は、[In]:[M]:[Zn]=x:y:z(x>0、y≧0、z≧0)となるInが多い領域である。一方、領域B1は、[In]:[M]:[Zn]=a:b:c(a>0、b>0、c>0)となるInが少ない領域である。
なお、本明細書において、領域A1の元素Mに対するInの原子数比が、領域B1の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、領域A1は、領域B1と比較して、Inの濃度が高いとする。従って、本明細書において、領域A1をIn-richな領域、また、領域B1をIn-poorな領域、ともいう。
例えば、領域A1は、領域B1よりも、Inの濃度が1.1倍以上、好ましくは2倍以上10倍以下であるとよい。また、領域A1は、少なくともInを有する酸化物であればよく、元素M、およびZnは、必ずしも含まれなくともよい。
ここで、本発明の一態様の複合酸化物半導体が有する元素の原子数比について説明する。
複合酸化物半導体において、例えば、領域A1が、In、元素M、およびZnを有する場合に、各元素の原子数比は図2に示す相図を用いて示すことができる。In、元素M、およびZnの原子数比を、x、y、およびzを用いて、x:y:zと表す。ここで原子数比は座標(x:y:z)として図中に表すことができる。なお、図2には、酸素の原子数比については記載しない。
図2において、破線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1-α):1の原子数比(-1≦α≦1)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1-α):2の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1-α):3の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1-α):4の原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1-α):5の原子数比となるラインを表す。
また、一点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=1:1:βの原子数比(β≧0)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:3:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:4:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:7:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=2:1:βの原子数比となるライン、及び[In]:[M]:[Zn]=5:1:βの原子数比となるラインを表す。
また、図2に示す、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比またはその近傍値の酸化物半導体は、スピネル型の結晶構造となる傾向がある。
図2で示す領域A2は、領域A1が有するインジウム、元素M、及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。なお、領域A2は、[In]:[M]:[Zn]=(1+γ):0:(1-γ)の原子数比(-1≦γ≦1)となるライン上も含むものとする。
図2で示す領域B2は、領域B1が有するインジウム、元素M、及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。なお、領域B2は、[In]:[M]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値を含む。近傍値には、例えば、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=5:3:4が含まれる。また、領域B2は、[In]:[M]:[Zn]=5:1:6、およびその近傍値を含む。
領域A2はInの濃度が高いため、領域B2よりも導電性が高くなり、酸化物半導体膜のキャリア移動度(または、トランジスタの電界効果移動度)を高める機能を有する。したがって、領域A1を有する酸化物半導体膜を用いたトランジスタのオン電流及びキャリア移動度を高めることができる。
一方、領域B2はInの濃度が低いため、領域A2よりも導電性が低く、酸化物半導体膜又はトランジスタのリーク電流を低減する機能を有する。したがって、領域B1を有する酸化物半導体膜を用いたトランジスタのオフ電流を低くすることができる。
本発明の一態様の酸化物半導体膜において、領域A1と、領域B1とが、複合体を形成している。つまり、領域A1では、キャリア移動が生じやすく、領域B1では、キャリア移動が生じにくい。そのため、本発明の一態様の酸化物半導体は、キャリア移動度が高く、かつ、スイッチング特性が高い、半導体特性が良好な材料として用いることができる。
言い換えると、領域A1は、領域B1よりも半導体性が低く、且つ導電性が高い領域であると言うこともできる。一方、領域B1は、領域A1よりも半導体性が高く、且つ導電性が低い領域であるということもできる。ここで、半導体性が高いとは、バンドギャップが広い、スイッチング特性が良好、i型半導体に近い、などと言い換えることができる。
一例として、図1(A)、図1(B)に示すように、領域A1は、a-b面方向、およびc軸方向において、粒状(クラスタともいう)に複数存在する。なお、クラスタは、不規則に偏在していてもよい。また、複数のクラスタは、重畳した、または連なった状態となる場合がある。例えば、一つのクラスタが、他のクラスタと、重畳した形状が連なり、領域A1がクラウド状に広がって観察される場合がある。
言い換えると、領域A1に含まれるクラスタは、領域B1に含まれるクラスタよりも半導体性が低く、且つ導電性が高い、と言うこともできる。一方、領域B1に含まれるクラスタは、領域A1に含まれるクラスタよりも半導体性が高く、且つ導電性が低い領域であるということもできる。
別言すると、本発明の一態様の複合酸化物半導体は、Inが高濃度の第1の領域と、Inが低濃度の第2の領域と、を有し、第1の領域と、第2の領域とがクラウド状に繋がっている。あるいは、本発明の一態様の複合酸化物半導体は、Inが高濃度に広がっている第1の領域と、Inが高濃度に広がっていない第2の領域と、を有し、第1の領域と、第2の領域とがクラウド状に繋がっている。
図1(A)(B)に示すように、領域A1がa-b面方向に互いに連結することで、領域A1が電流の経路となりうる。これにより、酸化物半導体膜の導電性を高めることができ、これを用いたトランジスタの電界効果移動度を高めることができる。
また、図1(A)(B)に示す領域B1は、領域A1内に、点在しているとも言える。従って、領域B1は、領域A1に立体的にはさまれている状態で存在しうる。換言すると、領域B1は、領域A1に取り囲まれた状態で存在しうる。つまり、領域B1は、領域A1に内包されている構造である。
また、領域B1は、領域A1が有するクラスタ(第1のクラスタともいう)と異なるクラスタ(第2のクラスタともいう)を有する構成とみることもできる。この構成の場合、領域B1は、第2のクラスタを複数有し、複数の第2のクラスタが、それぞれ互いに繋がる部分を有する。別言すると、領域A1が有する第1のクラスタは、他の第1のクラスタとクラウド状に互いに繋がる部分を有し、領域B1が有する第2のクラスタは、他の第2のクラスタとクラウド状に互いに繋がる部分を有する。
なお、領域A1が点在する割合は、複合酸化物半導体の作製条件、または組成により、調節することができる。例えば、領域A1の割合が少ない複合酸化物半導体、または、領域A1の割合が多い複合酸化物半導体を形成することができる。また、本発明の一態様の複合酸化物半導体は、領域B1に対し、領域A1の割合が小さいとは限らない。領域A1の割合が非常に大きい複合酸化物半導体では、観察する範囲により、領域A1内に領域B1が形成されている場合もある。また、例えば、領域A1が形成する粒状の領域のサイズは、複合酸化物半導体の作製条件、または組成により、適宜調節することができる。
図3(A)(B)には、図1(A)(B)と比較して領域A1の割合が少なく、領域B1の割合が多い複合酸化物半導体を示している。
また、図4(A)(B)には、図3(A)(B)よりも領域A1の割合が少なく、領域B1の割合が多い複合酸化物半導体を示している。領域A1の割合が少ないため、図4に示すように、重畳することなく点在している第1のクラスタが含まれうる。
なお、複合酸化物半導体の作製条件または組成により、図1(A)(B)よりも領域A1の割合が多く、領域B1の割合が少ない複合酸化物半導体を形成することもできる。
ここで、全ての領域A1がa-b面方向に連結した場合、トランジスタのスイッチング特性が悪化する場合がある。例えばトランジスタのオフ電流が上昇してしまう恐れがある。そのため、図3(A)(B)及び図4(A)(B)に示すように、領域A1は領域B1内に点在している方が好ましい。従って、領域A1は、領域B1に立体的にはさまれている状態で存在しうる。換言すると、領域A1は、領域B1に取り囲まれた状態で存在しうる。つまり、領域A1は、領域B1に内包されている構造である。これにより、トランジスタのスイッチング特性が向上する。特にオフ電流を低減できる。
また、領域A1と領域B1とは、明確な領界が観察できない場合がある。なお、領域A1及び領域B1のサイズは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いた、EDXマッピングにて評価することができる。例えば、領域A1のクラスタは、断面写真、または平面写真のEDXマッピングにおいて、クラスタの径が、0.1nm以上2.5nm以下で観察される場合がある。なお、好ましくはクラスタの径が、0.5nm以上1.5nm以下とする。
このように、本発明の一態様の酸化物半導体は、領域A1と領域B1とが混合している複合酸化物半導体であり、かつ領域A1の機能と、領域B1の機能とがそれぞれ異なり、領域A1と領域B1とが相補的に機能している。例えば、元素MをGaとしたIn-Ga-Zn酸化物(以下、IGZOとする)の場合、本発明の一態様の酸化物半導体を、Complementary IGZO(略称:C/IGZO)と呼称することができる。
一方で、例えば、領域A1と領域B1とが層状に積層された構成の場合、領域A1と領域B1との間には相互作用がない、または相互作用が起きにくいため、領域A1の機能と領域B1の機能とが、それぞれ独立に機能する場合がある。この場合、領域A1によって、キャリア移動度を高くすることが出来たとしても、トランジスタのオフ電流が高くなる場合がある。したがって、上述した複合酸化物半導体、またはC/IGZOとすることで、キャリア移動度が高い機能と、スイッチング特性が良好である機能と、を同時に兼ね備えることが出来る。これは、本発明の一態様の複合酸化物半導体で得られる優れた効果である。
なお、酸化物半導体をスパッタリング装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される。特に、成膜時の基板温度によっては、[Zn]において、ターゲットの原子数比よりも膜の原子数比が小さくなる場合がある。
また、本発明の一態様である複合酸化物半導体の特性は、原子数比によって一義的に定まらない。従って、図示する領域は、複合酸化物半導体が有する領域A1、および領域B1が有する好ましい原子数比を示す領域であり、境界は厳密ではない。
ここで、領域B1は結晶性を有する領域であってもよい。より好ましくは、後述するCAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)が含まれていてもよい。CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造を有する。なお、歪みとは、CAAC-OSは格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
図5(A)には、領域B1に含まれる複数のナノ結晶を、破線で模式的に示している。ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪み部分において、五角形および七角形などの多角形のナノ結晶を有する場合がある。
なお、CAAC-OSにおいて、歪み部分の近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
また、図5(B)は、ナノ結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることを模式的に示している。CAAC-OSは、c軸に配向性を有する層状の結晶構造(層状構造ともいう)をとり、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した構造を有する。
なお、インジウムと元素Mは、互いに置換する場合がある。そのため、(M,Zn)層の元素Mの一部がインジウムと置換し、(In,M,Zn)層と表すこともできる。その場合、In層と、(In,M,Zn)層と、が積層した層状構造となる。
また、図6(A)、(B)には、図5(A)、(B)と比較して、領域A1の割合が少なく、領域B1の割合が多い場合の例を示している。
酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、後述するa-like OS、後述するnc-OS、後述するCAAC-OSのうち、二種以上を有する複合酸化物半導体であってもよい。また、領域A1と、領域B1とが異なる結晶性を有していてもよい。
例えば、領域A1は非単結晶であることが好ましい。なお、領域A1が結晶性を有する場合、領域A1がインジウムの場合では、正方晶系となる傾向がある。また、領域A1が酸化インジウム([In]:[M]:[Zn]=x:0:0(x>0))の場合では、ビックスバイト型の結晶構造となる傾向がある。また、領域A1がIn-Zn酸化物([In]:[M]:[Zn]=x:0:z(x>0、z>0))の場合では、層状の結晶構造となる傾向がある。
また例えば、領域B1は、非単結晶であることが好ましい。また領域B1はCAAC-OSを有することが好ましい。ただし、領域B1はCAAC-OSのみからなる必要はなく、多結晶酸化物半導体、およびnc-OS等の領域を有していてもよい。
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有することで、複合酸化物半導体としての物理的性質が安定するため、熱に強く、信頼性が高い複合酸化物半導体を提供することができる。
<1-3.酸化物半導体膜を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体膜をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記複合酸化物半導体をトランジスタに用いることで、キャリア移動度が高く、かつ、スイッチング特性が高いトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体膜は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上とすればよい。
酸化物半導体膜のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
ここで、酸化物半導体膜中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体膜において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体膜にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体膜中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体膜中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体膜において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損(Vo)を形成する場合がある。該酸素欠損(Vo)に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
なお、酸化物半導体膜中の酸素欠損(Vo)は、酸素を酸化物半導体膜に導入することで、低減することができる。つまり、酸化物半導体膜中の酸素欠損(Vo)に、酸素が補填されることで、酸素欠損(Vo)は消失する。従って、酸化物半導体膜中に、酸素を拡散させることで、トランジスタの酸素欠損(Vo)を低減し、信頼性を向上させることができる。
なお、酸素を酸化物半導体膜に導入する方法として、例えば、酸化物半導体に接して、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物を設けることができる。つまり、酸化物には、化学量論的組成よりも酸素が過剰に存在する領域(以下、過剰酸素領域ともいう)が形成されていることが好ましい。特に、トランジスタに酸化物半導体膜を用いる場合、トランジスタ近傍の下地膜や、層間膜などに、過剰酸素領域を有する酸化物を設けることで、トランジスタの酸素欠損を低減し、信頼性を向上させることができる。
不純物が十分に低減された酸化物半導体膜をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
本発明の一態様は、トランジスタを有する半導体装置であって、トランジスタは、第1のゲート電極と、第1のゲート電極上の第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上の酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜上の第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜上の第2のゲート電極と、酸化物半導体膜、及び第2のゲート電極上の第3の絶縁膜と、を有し、酸化物半導体膜は、第1または第2のゲート電極と重なるチャネル領域と、第3の絶縁膜と接するソース領域と、第3の絶縁膜と接するドレイン領域と、を有し、第1のゲート電極と第2のゲート電極とは、電気的に接続される。
また、上記トランジスタは、その電気特性において、トランジスタのゲート電圧が0Vより大きく10V以下の範囲での電界効果移動度の最大値が10cm2/Vs以上200cm2/Vs未満である第1の領域と、しきい値電圧が-1V以上1V以下である第2の領域と、S値が0.3V/decade未満である第3の領域と、オフ電流が1×10-12A/cm2未満である第4の領域と、を有する。さらに、トランジスタの電界効果移動度の最大値をμFE(max)として表し、トランジスタのゲート電圧が2Vの電界効果移動度の値をμFE(Vg=2V)として表した場合、μFE(max)/μFE(Vg=2V)が1以上10未満となる。
より好適には、上記トランジスタは、その電気特性に置いて、トランジスタのゲート電圧が0Vより大きく10V以下の範囲での電界効果移動度の最大値が60cm2/Vs以上200cm2/Vs未満である第1の領域と、しきい値電圧が-1V以上1V以下である第2の領域と、S値が0.3V/decade未満である第3の領域と、オフ電流が1×10-12A/cm2未満である第4の領域と、を有する。さらに、トランジスタの電界効果移動度の最大値をμFE(max)として表し、トランジスタのゲート電圧が2Vの電界効果移動度の値をμFE(Vg=2V)として表した場合、μFE(max)/μFE(Vg=2V)が1以上2未満となる。
上記の構成を別言すると、本発明の一態様の半導体装置は、チャネル領域に酸化物半導体膜を有するトランジスタであって、当該トランジスタの電界効果移動度、しきい値電圧、オフ電流、及びS値が非常に優れたトランジスタである。このような半導体装置を、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの画素のトランジスタ、または液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの駆動回路のトランジスタ等に好適に用いることができる。
<1-4.複合酸化物半導体の作製方法>
ここで、図1(A)(B)等に示す複合酸化物半導体の作製方法の一例について説明する。本発明の一態様の複合酸化物半導体は、スパッタリング装置を用いて形成することができる。
[スパッタリング装置]
図7(A)は、スパッタリング装置が有する成膜室2501を説明する断面図であり、図7(B)は、スパッタリング装置が有するマグネットユニット2530a、及びマグネットユニット2530bの平面図である。
図7(A)に示す成膜室2501は、ターゲットホルダ2520aと、ターゲットホルダ2520bと、バッキングプレート2510aと、バッキングプレート2510bと、ターゲット2502aと、ターゲット2502bと、部材2542と、基板ホルダ2570と、を有する。なお、ターゲット2502aは、バッキングプレート2510a上に配置される。また、バッキングプレート2510aは、ターゲットホルダ2520a上に配置される。また、マグネットユニット2530aは、バッキングプレート2510aを介してターゲット2502a下に配置される。また、ターゲット2502bは、バッキングプレート2510b上に配置される。また、バッキングプレート2510bは、ターゲットホルダ2520b上に配置される。また、マグネットユニット2530bは、バッキングプレート2510bを介してターゲット2502b下に配置される。
図7(A)、および図7(B)に示すように、マグネットユニット2530aは、マグネット2530N1と、マグネット2530N2と、マグネット2530Sと、マグネットホルダ2532と、を有する。なお、マグネットユニット2530aにおいて、マグネット2530N1、マグネット2530N2及びマグネット2530Sは、マグネットホルダ2532上に配置される。また、マグネット2530N1及びマグネット2530N2は、マグネット2530Sと間隔を空けて配置される。なお、マグネットユニット2530bは、マグネットユニット2530aと同様の構造を有する。なお、成膜室2501に基板2560を搬入する場合、基板2560は基板ホルダ2570に接して配置される。
ターゲット2502a、バッキングプレート2510a及びターゲットホルダ2520aと、ターゲット2502b、バッキングプレート2510b及びターゲットホルダ2520bと、は部材2542によって離間されている。なお、部材2542は絶縁体であることが好ましい。ただし、部材2542が導電体または半導体であっても構わない。また、部材2542が、導電体または半導体の表面を絶縁体で覆ったものであっても構わない。
ターゲットホルダ2520aとバッキングプレート2510aとは、ネジ(ボルトなど)を用いて固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ2520aは、バッキングプレート2510aを介してターゲット2502aを支持する機能を有する。また、ターゲットホルダ2520bとバッキングプレート2510bとは、ネジ(ボルトなど)を用いて固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ2520bは、バッキングプレート2510bを介してターゲット2502bを支持する機能を有する。
バッキングプレート2510aは、ターゲット2502aを固定する機能を有する。また、バッキングプレート2510bは、ターゲット2502bを固定する機能を有する。
なお、図7(A)には、マグネットユニット2530aによって形成される磁力線2580a、2580bが明示されている。
また、図7(B)に示すように、マグネットユニット2530aは、長方形または略長方形のマグネット2530N1と、長方形または略長方形のマグネット2530N2と、長方形または略長方形のマグネット2530Sと、がマグネットホルダ2532に固定されている構成を有する。そして、マグネットユニット2530aを、図7(B)に示す矢印のように左右に揺動させることができる。例えば、マグネットユニット2530aを、0.1Hz以上1kHz以下のビートで揺動させればよい。
ターゲット2502a上の磁場は、マグネットユニット2530aの揺動とともに変化する。磁場の強い領域は高密度プラズマ領域となるため、その近傍においてターゲット2502aのスパッタリング現象が起こりやすい。これは、マグネットユニット2530bについても同様である。
<1-5.複合酸化物半導体の作製フロー>
図8は、複合酸化物半導体の作製方法を説明する工程フロー図である。
図1(A)(B)に示す複合酸化物半導体は、少なくとも図8に示す第1乃至第4の工程を経て作製される。
[第1の工程:成膜室に基板を配置する工程]
第1の工程は、成膜室に基板を配置する工程を有する(図8ステップS101参照)。
第1の工程としては、例えば、図7に示す成膜室2501が有する基板ホルダ2570に基板2560を配置する。
成膜時の基板2560の温度は、複合酸化物半導体の電気的な性質に影響する。基板温度が高いほど、複合酸化物半導体の結晶性を高め、信頼性を高めることができる。一方、基板温度が低いほど、複合酸化物半導体の結晶性を低くし、キャリア移動度を高めることができる。特に、成膜時の基板温度が低いほど、複合酸化物半導体を有するトランジスタにおいて、低いゲート電圧(例えば0Vより大きく2V以下)における電界効果移動度の向上が顕著となる。
基板2560の温度としては、室温(25℃)以上200℃以下、好ましくは室温以上170℃以下、より好ましくは室温以上130℃以下とすればよい。基板温度を上記範囲とすることで、大面積のガラス基板(例えば、後に記載の第8世代または第10世代のガラス基板)を用いる場合に好適である。特に、複合酸化物半導体の成膜時における基板温度を室温、別言すると意図的に加熱されない状態とすることで、基板の撓みまたは歪みを抑制することができるため好適である。
また、基板ホルダ2570に冷却機構等を設け、基板2560を冷却する構成としてもよい。
また、基板2560の温度を100℃以上130℃以下とすることにより、複合酸化物半導体中の水を除去することができる。このように不純物である水を除去することで、電界効果移動度の向上を図りながら、信頼性の向上を図ることができる。
また、基板2560の温度を100℃以上130℃以下とすることにより、スパッタリング装置に、過剰な熱による歪みが生じることを防ぐことができる。これにより、半導体装置の生産性向上を図ることができる。よって、生産性が安定するため、大規模な生産装置を導入しやすいので、大面積の基板を用いた大型の表示装置を容易に製造することができる。
また、基板2560の温度を高くすることで、複合酸化物半導体中の水をより効果的に除去することができるだけでなく、複合酸化物半導体の結晶性を高めることができる。例えば基板2560の温度を80℃以上大きく200℃以下、好ましくは100℃以上170℃以下の温度とすることで、結晶性の高い複合酸化物半導体を成膜できる。
[第2の工程:成膜室にガスを導入する工程]
第2の工程は、成膜室にガスを導入する工程を有する(図8ステップS201参照)。
第2の工程としては、例えば、図7に示す成膜室2501にガスを導入する。当該ガスとしては、アルゴンガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を導入すればよい。なお、アルゴンガスに代えてヘリウム、キセノン、クリプトン等の不活性ガスを用いてもよい。
酸素ガスを用いて複合酸化物半導体を成膜する際に、成膜ガス全体に占める酸素の割合から、「酸素流量比」と記載する場合がある。
酸素流量比が大きいほど、複合酸化物半導体の結晶性を高め、信頼性を高めることができる。一方、酸素流量比が小さいほど、複合酸化物半導体の結晶性を低くし、キャリア移動度を高めることができる。特に、酸素流量比が小さいほど、複合酸化物半導体を有するトランジスタにおいて、低いゲート電圧(例えば0Vより大きく2V以下の範囲)における電界効果移動度の向上が顕著となる。
酸素流量比は、複合酸化物半導体の用途に応じた好ましい特性を得るために、0%以上100%以下の範囲で適宜設定することができる。
例えば、電界効果移動度の高いトランジスタの半導体層に用いる場合には、複合酸化物半導体の成膜時における酸素流量比として、0%より大きく30%以下、好ましくは5%以上30%以下、さらに好ましくは7%以上15%以下とする。または、複合酸化物半導体を成膜する際に、酸素ガスを用いずに成膜してもよく、このときの酸素流量比は0%である。
また、比較的高い電界効果移動度と、比較的高い信頼性が両立したトランジスタを得るためには、複合酸化物半導体の成膜時における酸素流量比を30%より大きく70%未満、好ましくは30%より大きく50%以下とする。または、複合酸化物半導体の成膜時における酸素流量比を10%以上50%以下、好ましくは30%以上50%以下とする。
また、高い信頼性を有するトランジスタを得るためには、複合酸化物半導体の成膜時における酸素流量比を70%以上100%以下とする。
このように、成膜時の基板温度と酸素流量比を制御することにより、所望の電気特性を実現する複合酸化物半導体を成膜することができる。例えば、基板温度を下げる(上げる)ことと、酸素流量比を下げる(上げる)ことは、それぞれ電界効果移動度に対する寄与が同等である場合がある。したがって、例えば装置上の制約から、基板温度を十分に上げることができない場合であっても、酸素流量比を高めることで、基板温度を上げて成膜した場合と同等の電界効果移動度を有するトランジスタを実現することもできる。
なお、成膜時の基板温度と酸素流量比を制御することでキャリア移動度が高められた複合酸化物半導体を用いた場合であっても、後述する方法により酸素欠損や不純物の低減を図ることにより、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、上記ガスの高純度化も必要である。例えば、ガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が-40℃以下、好ましくは-80℃以下、より好ましくは-100℃以下、より好ましくは-120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで複合酸化物半導体に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、成膜室2501は、複合酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて、高真空(5×10-7Paから1×10-4Pa程度まで)に排気されることが好ましい。特に、スパッタリング装置の待機時における、成膜室2501内のH2Oに相当するガス分子(m/z=18に相当するガス分子)の分圧を1×10-4Pa以下、好ましく5×10-5Pa以下とすることが好ましい。
[第3の工程:ターゲットに電圧を印加する工程]
第3の工程は、ターゲットに電圧を印加する工程を有する(図8ステップS301参照)。
第3の工程としては、例えば、図7に示すターゲットホルダ2520a及びターゲットホルダ2520bに電圧を印加する。一例としては、ターゲットホルダ2520aに接続する端子V1に印加される電位を、基板ホルダ2570に接続する端子V2に印加される電位よりも低い電位とする。また、ターゲットホルダ2520bに接続する端子V4に印加される電位を、基板ホルダ2570に接続する端子V2よりも低い電位とする。また、基板ホルダ2570に接続する端子V2に印加される電位を、接地電位とする。また、マグネットホルダ2532に接続する端子V3に印加される電位を、接地電位とする。
なお、端子V1、端子V2、端子V3、及び端子V4に印加される電位は上記の電位に限定されない。また、ターゲットホルダ2520、基板ホルダ2570、マグネットホルダ2532の全てに電位が印加されなくても構わない。例えば、基板ホルダ2570が電気的にフローティング状態であってもよい。なお、端子V1には、印加する電位の制御が可能な電源が電気的に接続されているものとする。電源には、DC電源、AC電源、またはRF電源を用いればよい。
また、ターゲット2502a、及びターゲット2502bとしては、インジウム、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)、亜鉛、及び酸素を有するターゲットを用いると好ましい。ターゲット2502a、及びターゲット2502bの一例としては、In-Ga-Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])、In-Ga-Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=5:1:7[原子数比])などを用いることができる。以下では、In-Ga-Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いる場合について説明する。
[第4の工程:基板上に複合酸化物半導体を堆積する工程]
第4の工程は、ターゲットからスパッタ粒子が弾き出され、基板上に複合酸化物半導体を堆積する工程を有する(図8ステップS401参照)。
第4の工程としては、例えば、図7に示す成膜室2501中で、アルゴンガスまたは酸素ガスが電離し、陽イオンと電子とに分かれてプラズマを形成する。その後、プラズマ中の陽イオンは、ターゲットホルダ2520a、2520bに印加された電位によって、ターゲット2502a、2502bに向けて加速される。陽イオンがIn-Ga-Zn金属酸化物ターゲットに衝突することで、スパッタ粒子が生成され、基板2560にスパッタ粒子が堆積する。
なお、ターゲット2502a、2502bとして、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:4.1または原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:7のIn-Ga-Zn金属酸化物ターゲットを用いると、ターゲット中に組成の異なる複数の結晶粒を有している場合がある。例えば、当該複数の結晶粒は、径が10μm以下である場合が多い。また、例えば、In-Ga-Zn金属酸化物ターゲット中に、Inの割合が多い結晶粒を含む場合に、先に説明の領域A1が形成される割合が増える場合がある。
<1-6.成膜モデル>
次に、第4の工程において、図9(A)(B)(C)に示す成膜モデルを考えることができる。
図9(A)(B)(C)は、図7に示すターゲット2502a近傍の断面模式図である。なお、図9(A)は使用前のターゲットの状態を表し、図9(B)は成膜前のターゲットの状態を表し、図9(C)は、成膜中のターゲットの状態を表す。また、図9(A)(B)(C)には、ターゲット2502a、プラズマ2190、陽イオン2192、スパッタ粒子2504a、2506a等が明示されている。
図9(A)においては、ターゲット2502aの表面が比較的平坦であり、且つ組成(例えば、In、Ga及びZnの組成)が一様である。一方、図9(B)においては、事前に行うスパッタリング処理等によって、ターゲット2502aの表面に凹凸が形成され、且つ組成に偏析が生じている。当該凹凸及び当該偏析としては、事前に行うスパッタリング処理でのプラズマ(例えばArプラズマなど)によって生じうる。なお、図9(B)には、偏析領域2504、及び偏析領域2506を示している。ここでは、偏析領域2504がGa及びZnを多く含む領域(Ga,Zn-Rich領域)とし、偏析領域2506がInを多く含む領域(In-Rich領域)とする。なお、Gaが多く含まれる偏析領域2504が形成される理由としては、GaはInよりも融点の低い材料であるため、プラズマ処理中にターゲット2502aが受ける熱により、その一部が溶解し、凝集することで偏析領域2504が形成されるためと考えられる。
[第1のステップ]
図9(C)では、アルゴンガスまたは酸素ガスが電離し、陽イオン2192と電子(図示しない)とに分かれてプラズマ2190を形成する。その後、プラズマ2190中の陽イオン2192は、ターゲット2502a(ここではIn-Ga-Zn酸化物ターゲット)に向けて加速する。陽イオン2192がIn-Ga-Zn酸化物ターゲットに衝突することで、スパッタ粒子2504a、2506aが生成され、In-Ga-Zn酸化物ターゲットから、スパッタ粒子2504a、2506aが弾き出される。なお、スパッタ粒子2504aは、偏析領域2504から弾き出されるため、Ga,Zn-Richなクラスタを形成している場合がある。また、スパッタ粒子2506aは、偏析領域2506から弾き出されるため、In-Richなクラスタを形成している場合がある。
また、In-Ga-Zn酸化物ターゲットにおいては、最初に偏析領域2504からスパッタ粒子2504aが優先的にスパッタリングされると考えられる。これは、陽イオン2192がIn-Ga-Zn酸化物ターゲットに衝突することで、相対原子質量が、InよりもGa及びZnの方が軽いため、In-Ga-Zn酸化物ターゲットから優先的に弾き出されるためである。弾き出されたスパッタ粒子2504aが基板上に堆積することで、図1(A)(B)等に示す領域B1が形成される。
[第2のステップ]
続いて、図9(C)に示すように、偏析領域2506からスパッタ粒子2506aがスパッタリングされる。基板上に先に成膜された領域B1上にスパッタ粒子2506aが衝突し、図1(A)(B)等に示す領域A1が形成される。
また、図9(C)に示すように、ターゲット2502aは、成膜中にはスパッタされ続けるため、偏析領域2504の生成と、偏析領域2504の消滅とが、断続的に発生する。
上記第1のステップと、第2のステップとの成膜モデルを繰り返すことで、図1(A)(B)等に示す本発明の一態様の複合酸化物半導体を得ることができる。
すなわち、In-Richな偏析領域2506と、Ga,Zn-Richな偏析領域2504から、個別にスパッタ粒子(2504a及び2506a)が、それぞれ飛び出して基板上に堆積する。基板上では、In-Richな領域同士がクラウド状に繋がることで図1(A)(B)に示すような、本発明の一態様の複合酸化物半導体が形成されうる。複合酸化物半導体の膜中で、In-Richな領域同士がクラウド状に繋がることで、当該複合酸化物半導体を用いたトランジスタは、高いオン電流(Ion)、及び高い電界効果移動度(μFE)を有する。
このように、高いオン電流(Ion)及び高い電界効果移動度(μFE)を満たすトランジスタにおいては、Inが重要であり、その他の金属(例えば、Gaなど)は必ずしも必要ない。
なお、上記においては、アルゴンガスを用いて、本発明の複合酸化物半導体を成膜するモデルについて例示している。この場合、複合酸化物半導体中に酸素欠損が多く含まれうる。複合酸化物半導体中に酸素欠損が多く含まれると、当該複合酸化物半導体中に浅い欠陥準位(sDOSともいう)が形成される場合がある。複合酸化物半導体中にsDOSが形成されると、当該sDOSがキャリアトラップとなり、オン電流及び電界効果移動度が低下してしまう。
したがって、アルゴンガスを用いて複合酸化物半導体を形成した場合においては、複合酸化物半導体の形成後に、複合酸化物半導体中に酸素を供給することによって、複合酸化物半導体中の酸素欠損を補填しsDOSを低減すると好ましい。
上記酸素の供給方法としては、例えば、複合酸化物半導体の形成後に、酸素を含む雰囲気下で熱処理を行う方法、または酸素を含む雰囲気下でプラズマ処理を行う方法などが挙げられる。あるいは、本発明の一態様の複合酸化物半導体に接する絶縁膜、または複合酸化物半導体の近傍の絶縁膜に過剰酸素を有する構成とすればよい。絶縁膜が過剰酸素を有する構成については、実施の形態2に詳細を説明する。
なお、ここではスパッタリング法による作製方法について説明したが、これに限定されず、パルスレーザー堆積(PLD)法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、真空蒸着法などを用いてもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。
<1-7.成膜モデルの検証>
次に、上記成膜モデルを検証するために、スパッタリングターゲット表面の形状及び組成分布を調査した。ここでは、スパッタリング処理を行う前後における、スパッタリングターゲットの変化を調査した。
図10は、試料の作製、及び分析方法を説明する図である。
試料には、金属酸化物ターゲットの一部を切り出したものを用いた。ここでは、金属元素の原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3ある金属酸化物ターゲット、In:Ga:Zn=1:1:1である金属酸化物ターゲット、In:Ga:Zn=5:1:6である金属酸化物ターゲット、In:Ga:Zn=5:1:8である金属酸化物ターゲットの4種類を用いた。
続いて、試料の表面を研磨した。その後、研磨した表面について、SEM(Scanning Electron Microscope)による観察、及びSEM-EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)による組成分析を行った。SEM像の観察、及びEDX測定には、堀場製作所製EX-370を用い、加速電圧を15kVとした。
次に、試料表面に対して、スパッタリング処理を行った。スパッタリング処理は、成膜ガスとしてアルゴンガスを用い、圧力0.4Pa、直流電力200Wの条件で1時間の処理を行った。
その後、スパッタリングされた表面について、上記と同様にSEMによる観察と、SEM-EDXによる組成分析を行った。
EDX分析では、試料の分析対象領域の各点に電子線照射を行い、これにより発生する試料の特性X線のエネルギーと発生回数を測定し、各点に対応するEDXスペクトルを得る。ここでは、各点のEDXスペクトルのピークを、In原子のL殻への電子遷移、Ga原子のL殻への電子遷移、Zn原子のL殻への電子遷移及びO原子のK殻への電子遷移に帰属させ、各点におけるそれぞれの原子の比率を算出した。これを試料の分析対象領域について行うことにより、各原子の比率の分布が示されたEDXマッピングを得ることができる。
まず、In:Ga:Zn=4:2:3である金属酸化物ターゲットについて測定したSEM像とEDXマッピングを図11及び図12に示す。図11は、スパッタリング処理前の試料表面のSEM像及びEDXマッピングであり、図12は、スパッタリング処理後の試料表面のSEM像及びEDXマッピングである。各図において、SEM像と同じ位置におけるO原子、Zn原子、Ga原子、及びIn原子のEDXマッピングを示している。
図11に示すように、SEM像ではボイド(孔)が見られるものの、試料表面は比較的平坦であることが分かる。また、SEM像では複数のグレインが観察され、試料は多結晶であることが確認できる。また、EDXマッピングから、一部にZnリッチな領域が確認されるものの、それぞれの元素は概ね均一に分布していることが確認できた。
一方、図12に示すように、スパッタリング処理を行うと、試料表面に凹凸形状が形成されていることが確認できた。より具体的には、試料表面に直径約0.1μm以上5μm以下程度の粒状の析出物が確認できた。なお、図12に示すEDXマッピングにおいて、表面の凹凸の影響によりEDXスペクトルが取得できていない点が存在する。
また、図12におけるEDXマッピングを見ると、O原子、Zn原子、及びGa原子は、試料表面の形状を反映した分布を有し、場所によりその存在割合が大きく異なることが確認できる。また、析出物表面は、Ga原子及びZn原子の組成が高い傾向があることが分かる。一方、In原子については、試料表面の形状が反映されず、他の原子と比較して、均一に分布していることが確認できる。
図13には、いくつかの位置のIn、Ga、及びZnの存在割合を円グラフで示した図である。また、図14は、図13に示す結果を棒グラフで示した図である。図13及び図14に示すように、スパッタリング処理前では組成は概ね均一であり、ターゲットの組成に近い値を取るのに対し、スパッタリング処理後では、位置によって組成にばらつきが生じることが確認された。特にスパッタリング処理後でみられる析出物には、Inが少なく、GaやZnが偏析している領域が存在することが確認できた。
図15及び図16には、In:Ga:Zn=1:1:1である金属酸化物ターゲットについて測定したSEM像とEDXマッピングを示す。また図17及び図18には、In:Ga:Zn=5:1:6である金属酸化物ターゲットについて測定したSEM像とEDXマッピングを示す。また図19及び図20には、In:Ga:Zn=5:1:8である金属酸化物ターゲットについて測定したSEM像とEDXマッピングを示す。
このように、異なる組成の金属酸化物ターゲットのいずれについても、スパッタリング処理後にはInの割合が低く、且つGa及びZnの割合が多い析出物が表面に存在することが確認できた。また、InはO、Ga、及びZnと比較して、均一に分布していることが確認できた。
以上の結果から、スパッタリング処理により、金属酸化物ターゲットの表面には、Ga及びZnを多く含む偏析領域が形成されていることが確認できる。また、Inは均一に分布していることが分かる。したがって、先に説明した成膜モデルが十分に妥当なものであることが分かる。
<1-8.酸化物半導体の区分>
次に、酸化物半導体の区分について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(c-axis-aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体、及びnc-OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
すなわち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a-like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a-like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
[CAAC-OS]
まずは、CAAC-OSについて説明する。
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
[nc-OS]
次に、nc-OSについて説明する。
nc-OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc-OSに対し、out-of-plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc-OSの結晶は配向性を有さない。
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる場合がある。
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。a-like OSは、鬆を有するため、不安定な構造である。
また、a-like OSは、鬆を有するため、nc-OS及びCAAC-OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc-OSの密度及びCAAC-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a-like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc-OSの密度及びCAAC-OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満である。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、本発明の一態様の酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上が混在していてもよい。
なお、先に説明した領域A1は、非単結晶であることが好ましい。また、領域B1は、非単結晶であることが好ましい。また、領域A1と、領域B1とが異なる結晶を有していてもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1に示すトランジスタと異なる態様のトランジスタについて、図21乃至図38を用いて説明する。
<2-1.トランジスタの構成例>
本発明の一態様のトランジスタの構造について説明を行う。
[トランジスタの構成例1]
図21(A)は、トランジスタ100Aの上面図であり、図21(B)は図21(A)の一点鎖線X1-X2間の断面図であり、図21(C)は図21(A)の一点鎖線Y1-Y2間の断面図である。なお、図21(A)では、明瞭化のため、絶縁膜110などの構成要素を省略して図示している。なお、トランジスタの上面図においては、以降の図面においても図21(A)と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。また、一点鎖線X1-X2方向をチャネル長(L)方向、一点鎖線Y1-Y2方向をチャネル幅(W)方向と呼称する場合がある。
図21(A)(B)(C)に示すトランジスタ100Aは、基板102上の導電膜106と、導電膜106上の絶縁膜104と、絶縁膜104上の酸化物半導体膜108と、酸化物半導体膜108上の絶縁膜110と、絶縁膜110上の導電膜112と、絶縁膜104、酸化物半導体膜108、及び導電膜112上の絶縁膜116と、を有する。なお、酸化物半導体膜108は、導電膜112と重なるチャネル領域108iと、絶縁膜116と接するソース領域108sと、絶縁膜116と接するドレイン領域108dと、を有する。
また、絶縁膜116は、窒素または水素を有する。絶縁膜116と、ソース領域108s及びドレイン領域108dと、が接することで、絶縁膜116中の窒素または水素がソース領域108s及びドレイン領域108d中に添加される。ソース領域108s及びドレイン領域108dは、窒素または水素が添加されることで、キャリア密度が高くなる。
また、トランジスタ100Aは、絶縁膜116上の絶縁膜118と、絶縁膜116、118に設けられた開口部141aを介して、ソース領域108sに電気的に接続される導電膜120aと、絶縁膜116、118に設けられた開口部141bを介して、ドレイン領域108dに電気的に接続される導電膜120bと、を有していてもよい。また、絶縁膜118、導電膜120a、及び導電膜120b上に絶縁膜122を有していてもよい。なお、図21(B)(C)においては、絶縁膜122を設ける構成を例示したが、これに限定されず、絶縁膜122を設けない構成としてもよい。
なお、本明細書等において、絶縁膜104を第1の絶縁膜と、絶縁膜110を第2の絶縁膜と、絶縁膜116を第3の絶縁膜と、絶縁膜118を第4の絶縁膜と、絶縁膜122を第5の絶縁膜と、それぞれ呼称する場合がある。また、絶縁膜104は、第1のゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜110は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。また、絶縁膜116、118は保護絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜122は平坦化絶縁膜としての機能を有する。
また、絶縁膜110は、過剰酸素領域を有する。絶縁膜110が過剰酸素領域を有することで、酸化物半導体膜108が有するチャネル領域108i中に過剰酸素を供給することができる。よって、チャネル領域108iに形成されうる酸素欠損を過剰酸素により補填することができるため、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
なお、酸化物半導体膜108中に過剰酸素を供給させるためには、酸化物半導体膜108の下方に形成される絶縁膜104に過剰酸素を供給してもよい。この場合、絶縁膜104中に含まれる過剰酸素は、酸化物半導体膜108が有するソース領域108s、及びドレイン領域108dにも供給されうる。ソース領域108s、及びドレイン領域108d中に過剰酸素が供給されると、ソース領域108s、及びドレイン領域108dの抵抗が高くなる場合がある。
一方で、酸化物半導体膜108の上方に形成される絶縁膜110に過剰酸素を有する構成とすることで、チャネル領域108iにのみ選択的に過剰酸素を供給させることが可能となる。あるいは、チャネル領域108i、ソース領域108s、及びドレイン領域108dに過剰酸素を供給させたのち、ソース領域108s及びドレイン領域108dのキャリア密度を選択的に高めることで、ソース領域108s、及びドレイン領域108dの抵抗が高くなることを抑制することができる。
また、酸化物半導体膜108が有するソース領域108s及びドレイン領域108dは、それぞれ、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損と結合する元素を有すると好ましい。当該酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損と結合する元素としては、代表的には水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある。上記酸素欠損を形成する元素が、絶縁膜116中に1つまたは複数含まれる場合、絶縁膜116からソース領域108s、及びドレイン領域108dに拡散する。上記酸素欠損を形成する元素は、不純物添加処理によりソース領域108s、及びドレイン領域108d中に添加されてもよい。
不純物元素が酸化物半導体膜に添加されると、酸化物半導体膜中の金属元素と酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。または、不純物元素が酸化物半導体膜に添加されると、酸化物半導体膜中の金属元素と結合していた酸素が不純物元素と結合し、金属元素から酸素が脱離され、酸素欠損が形成される。これらの結果、酸化物半導体膜においてキャリア密度が増加し、導電性が高くなる。
図22に、図21(B)の酸化物半導体膜108の近傍の拡大図を示す。図22に示すように、チャネル領域108iには、加熱処理等により絶縁膜110から放出された酸素(O)が供給され、酸素欠損が低減される。これによりチャネル領域108iをi型化させることができる。一方、ソース領域108s及びドレイン領域108dには、水素(H)が供給され、この水素と酸素欠損とが結合する。これにより、ソース領域108s及びドレイン領域108dをn型化させることができる。当該水素としては、絶縁膜116の成膜時に成膜ガスに含まれる水素や、加熱処理等により絶縁膜116から放出される水素などがある。
また、図21(B)(C)に示す導電膜106は、第1のゲート電極としての機能を有し、導電膜112は、第2のゲート電極としての機能を有し、導電膜120aは、ソース電極としての機能を有し、導電膜120bは、ドレイン電極としての機能を有する。
また、図21(C)に示すように、絶縁膜104、110には開口部143が設けられる。また、導電膜106は、開口部143を介して、導電膜112と、電気的に接続される。よって、導電膜106と導電膜112には、同じ電位が与えられる。なお、開口部143を設けずに、導電膜106と、導電膜112と、に異なる電位を与えてもよい。または、開口部143を設けずに、導電膜106を遮光膜として用いてもよい。例えば、導電膜106を遮光性の材料により形成することで、チャネル領域108iに照射される下方からの光を抑制することができる。
また、図21(B)(C)に示すように、酸化物半導体膜108は、第1のゲート電極として機能する導電膜106と、第2のゲート電極として機能する導電膜112のそれぞれと対向するように位置し、2つのゲート電極として機能する導電膜に挟まれている。
また、導電膜112のチャネル幅方向の長さは、酸化物半導体膜108のチャネル幅方向の長さよりも長く、酸化物半導体膜108のチャネル幅方向全体は、絶縁膜110を間に挟んで導電膜112に覆われている。また、導電膜112と導電膜106とは、絶縁膜104、及び絶縁膜110に設けられる開口部143において接続されるため、酸化物半導体膜108のチャネル幅方向の側面の一方は、絶縁膜110を間に挟んで導電膜112と対向している。
別言すると、トランジスタ100Aのチャネル幅方向において、導電膜106及び導電膜112は、絶縁膜104、及び絶縁膜110に設けられる開口部143において接続すると共に、絶縁膜104、及び絶縁膜110を間に挟んで酸化物半導体膜108を取り囲む構成である。
このような構成を有することで、トランジスタ100Aに含まれる酸化物半導体膜108を、第1のゲート電極として機能する導電膜106及び第2のゲート電極として機能する導電膜112の電界によって電気的に取り囲むことができる。トランジスタ100Aのように、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜108を電気的に取り囲むトランジスタのデバイス構造をSurrounded channel(S-channel)構造と呼ぶことができる。なお、トランジスタ100Aをゲート電極の数から、Dual Gate構造と呼ぶこともできる。
トランジスタ100Aは、S-channel構造を有するため、導電膜106または導電膜112によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に酸化物半導体膜108に印加することができるため、トランジスタ100Aの電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能であるため、トランジスタ100Aを微細化することが可能となる。また、トランジスタ100Aは、酸化物半導体膜108が導電膜106、及び導電膜112によって取り囲まれた構造を有するため、トランジスタ100Aの機械的強度を高めることができる。
なお、トランジスタ100Aのチャネル幅方向において、酸化物半導体膜108の開口部143が形成されていない側に、開口部143と異なる開口部を形成してもよい。
なお、トランジスタ100Aを、導電膜112の酸化物半導体膜108に対する位置、または導電膜112の形成方法から、TGSA(Top Gate Self Align)型のFETと呼称してもよい。ただし、本発明の一態様の半導体装置は、これに限定されず、BGTC(Bottom Gate Top Contact)型のFETとしてもよい。
<2-2.トランジスタの構成要素>
次に、図21(A)(B)(C)に示すトランジスタの構成要素の詳細について説明する。
[基板]
基板102としては、作製工程中の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する材料を用いることができる。
具体的には、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、アルカリガラス、クリスタルガラス、石英またはサファイア等を用いることができる。また、無機絶縁膜を用いてもよい。当該無機絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等が挙げられる。
また、上記無アルカリガラスとしては、例えば、0.2mm以上0.7mm以下の厚さとすればよい。または、無アルカリガラスを研磨することで、上記の厚さとしてもよい。
また、無アルカリガラスとして、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の面積が大きなガラス基板を用いることができる。これにより、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板102として、シリコンや炭化シリコンからなる単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を用いてもよい。
また、基板102として、金属等の無機材料を用いてもよい。金属等の無機材料としては、ステンレススチールまたはアルミニウム等が挙げられる。
また、基板102として、樹脂、樹脂フィルムまたはプラスチック等の有機材料を用いてもよい。当該樹脂フィルムとしては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、またはシロキサン結合を有する樹脂等が挙げられる。
また、基板102として、無機材料と有機材料とを組み合わせた複合材料を用いてもよい。当該複合材料としては、金属板または薄板状のガラス板と、樹脂フィルムとを貼り合わせた材料、繊維状の金属、粒子状の金属、繊維状のガラス、または粒子状のガラスを樹脂フィルムに分散した材料、もしくは繊維状の樹脂、粒子状の樹脂を無機材料に分散した材料等が挙げられる。
なお、基板102としては、少なくとも上または下に形成される膜または層を支持できるものであればよく、絶縁膜、半導体膜、導電膜のいずれか一つまたは複数であってもよい。
[第1の絶縁膜]
絶縁膜104としては、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法、印刷法、塗布法等を適宜用いて形成することができる。また、絶縁膜104としては、例えば、酸化物絶縁膜または窒化物絶縁膜を単層または積層して形成することができる。なお、酸化物半導体膜108との界面特性を向上させるため、絶縁膜104において少なくとも酸化物半導体膜108と接する領域は酸化物絶縁膜で形成することが好ましい。また、絶縁膜104として加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることで、加熱処理により絶縁膜104に含まれる酸素を、酸化物半導体膜108に移動させることが可能である。
絶縁膜104の厚さは、50nm以上、または100nm以上3000nm以下、または200nm以上1000nm以下とすることができる。絶縁膜104を厚くすることで、絶縁膜104の酸素放出量を増加させることができると共に、絶縁膜104と酸化物半導体膜108との界面における界面準位、並びに酸化物半導体膜108のチャネル領域108iに含まれる酸素欠損を低減することが可能である。
絶縁膜104として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn酸化物などを用いればよく、単層または積層で設けることができる。本実施の形態では、絶縁膜104として、窒化シリコン膜と、酸化窒化シリコン膜との積層構造を用いる。このように、絶縁膜104を積層構造として、下層側に窒化シリコン膜を用い、上層側に酸化窒化シリコン膜を用いることで、酸化物半導体膜108中に効率よく酸素を導入することができる。
[酸化物半導体膜]
酸化物半導体膜108としては、先に説明した複合酸化物半導体、またはC/IGZOを用いると好適である。
[第2の絶縁膜]
絶縁膜110は、酸化物半導体膜108、特にチャネル領域108iに酸素を供給する機能を有する。例えば、絶縁膜110としては、酸化物絶縁膜または窒化物絶縁膜を単層または積層して形成することができる。なお、酸化物半導体膜108との界面特性を向上させるため、絶縁膜110において、酸化物半導体膜108と接する領域は、少なくとも酸化物絶縁膜を用いて形成することが好ましい。絶縁膜110として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いればよい。
また、絶縁膜110の厚さは、5nm以上400nm以下、または5nm以上300nm以下、または10nm以上250nm以下とすることができる。
また、絶縁膜110は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、電子スピン共鳴法(ESR:Electron Spin Resonance)で観察されるシグナルが少ない方が好ましい。例えば、上述のシグナルとしては、g値が2.001に観察されるE’センターが挙げられる。なお、E’センターは、シリコンのダングリングボンドに起因する。絶縁膜110としては、E’センター起因のスピン密度が、3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜を用いればよい。
また、絶縁膜110には、上述のシグナル以外に二酸化窒素(NO2)に起因するシグナルが観察される場合がある。当該シグナルは、Nの核スピンにより3つのシグナルに分裂しており、それぞれのg値が2.037以上2.039以下(第1のシグナルとする)、g値が2.001以上2.003以下(第2のシグナルとする)、及びg値が1.964以上1.966以下(第3のシグナルとする)に観察される。
例えば、絶縁膜110として、二酸化窒素(NO2)起因のスピン密度が、1×1017spins/cm3以上1×1018spins/cm3未満である絶縁膜を用いると好適である。
なお、二酸化窒素(NO2)を含む窒素酸化物(NOx)は、絶縁膜110中に準位を形成する。当該準位は、酸化物半導体膜108のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物(NOx)が、絶縁膜110及び酸化物半導体膜108の界面に拡散すると、当該準位が絶縁膜110側において電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁膜110及び酸化物半導体膜108界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。したがって、絶縁膜110としては、窒素酸化物の含有量が少ない膜を用いると、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することができる。
窒素酸化物(NOx)の放出量が少ない絶縁膜としては、例えば、酸化窒化シリコン膜を用いることができる。当該酸化窒化シリコン膜は、昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)において、窒素酸化物(NOx)の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018/cm3以上5×1019/cm3以下である。なお、上記のアンモニアの放出量は、TDSにおける加熱処理の温度が50℃以上650℃以下、または50℃以上550℃以下の範囲での総量である。
窒素酸化物(NOx)は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応するため、アンモニアの放出量が多い絶縁膜を用いることで窒素酸化物(NOx)が低減される。
なお、絶縁膜110をSIMSで分析した場合、膜中の窒素濃度が6×1020atoms/cm3以下であると好ましい。
また、絶縁膜110として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウムなどのhigh-k材料を用いてもよい。当該high-k材料を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
[第3の絶縁膜]
絶縁膜116は、窒素または水素を有する。また、絶縁膜116は、フッ素を有していてもよい。絶縁膜116としては、例えば、窒化物絶縁膜が挙げられる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化フッ化シリコン、フッ化窒化シリコン等を用いて形成することができる。絶縁膜116に含まれる水素濃度は、1×1022atoms/cm3以上であると好ましい。また、絶縁膜116は、酸化物半導体膜108のソース領域108s、及びドレイン領域108dと接する。したがって、絶縁膜116と接するソース領域108s、及びドレイン領域108d中の不純物(窒素または水素)濃度が高くなり、ソース領域108s、及びドレイン領域108dのキャリア密度を高めることができる。
[第4の絶縁膜]
絶縁膜118としては、酸化物絶縁膜を用いることができる。また、絶縁膜118としては、酸化物絶縁膜と、窒化物絶縁膜との積層膜を用いることができる。絶縁膜118として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn酸化物などを用いればよい。
また、絶縁膜118としては、外部からの水素、水等のバリア膜として機能する膜であることが好ましい。
絶縁膜118の厚さは、30nm以上500nm以下、または100nm以上400nm以下とすることができる。
[第5の絶縁膜]
絶縁膜122としては、絶縁性であればよく、無機材料または有機材料を用いて形成される。該無機材料としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜等が挙げられる。該有機材料としては、例えば、アクリル樹脂、またはポリイミド樹脂等の感光性の樹脂材料が挙げられる。
[導電膜]
導電膜106、112、120a、120bとしては、スパッタリング法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法、熱CVD法等を用いて形成することができる。また、導電膜106、112、120a、120bとしては、導電性を有する金属膜、可視光を反射する機能を有する導電膜、または可視光を透過する機能を有する導電膜を用いればよい。
導電性を有する金属膜として、アルミニウム、金、白金、銀、銅、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、パラジウムまたはマンガンから選ばれた金属元素を含む材料を用いることができる。または、上述した金属元素を含む合金を用いてもよい。
上述の導電性を有する金属膜として、具体的には、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等を用いればよい。特に、銅元素を含む導電膜を用いることで、抵抗を低くすることが出来るため好適である。また、銅元素を含む導電膜としては、または、銅とマンガンとを含む合金膜が挙げられる。当該合金膜は、ウエットエッチング法を用いて加工できるため好適である。
なお、導電膜106、112、120a、120bとしては、窒化タンタル膜を用いると好適である。当該窒化タンタル膜は、導電性を有し、且つ、銅または水素に対して、高いバリア性を有する。また、窒化タンタル膜は、さらに自身からの水素の放出が少ないため、酸化物半導体膜108と接する金属膜、または酸化物半導体膜108の近傍の金属膜として、最も好適に用いることができる。
また、上述の導電性を有する金属膜に代えて、導電性高分子または導電性ポリマーを用いてもよい。
また、上述の可視光を反射する機能を有する導電膜としては、金、銀、銅、またはパラジウムから選ばれた金属元素を含む材料を用いることができる。特に、銀元素を含む導電膜を用いることで、可視光における反射率を高めることができるため好適である。
また、上述の可視光を透過する機能を有する導電膜としては、インジウム、錫、亜鉛、ガリウム、またはシリコンから選ばれた元素を含む材料を用いることができる。具体的には、In酸化物、Zn酸化物、In-Sn酸化物(ITOともいう)、In-Sn-Si酸化物(ITSOともいう)、In-Zn酸化物、In-Ga-Zn酸化物等が挙げられる。
また、上述の可視光を透過する機能を有する導電膜としては、グラフェンまたはグラファイトを含む膜を用いてもよい。グラフェンを含む膜としては、酸化グラフェンを含む膜を形成し、酸化グラフェンを含む膜を還元することにより、グラフェンを含む膜を形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法や還元剤を用いる方法等が挙げられる。
また、導電膜112、120a、120bを、無電解めっき法により形成することができる。当該無電解めっき法により形成できる材料としては、例えば、Cu、Ni、Al、Au、Sn、Co、Ag、及びPdの中から選ばれるいずれか一つまたは複数を用いることが可能である。特に、CuまたはAgを用いると、導電膜の抵抗を低くすることができるため、好適である。
また、無電解めっき法により導電膜を形成した場合、当該導電膜の構成元素が外部に拡散しないように、当該導電膜の下に、拡散防止膜を形成してもよい。また、当該拡散防止膜と、当該導電膜との間に、導電膜を成長させることが出来るシード層を形成してもよい。上記拡散防止膜としては、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。また、当該拡散防止膜としては、例えば、窒化タンタル膜または窒化チタン膜を用いることができる。また、上記シード層としては、無電解めっき法により形成することができる。また、当該シード層としては、無電解めっき法により形成することができる導電膜の材料と同様の材料を用いることができる。
なお、導電膜112として、In-Ga-Zn酸化物に代表される酸化物半導体を用いてよい。当該酸化物半導体は、絶縁膜116から窒素または水素が供給されることで、キャリア密度が高くなる。別言すると、酸化物半導体は、酸化物導電体(OC:Oxide Conductor)として機能する。したがって、酸化物半導体は、ゲート電極として用いることができる。
例えば、導電膜112としては、酸化物導電体(OC)の単層構造、金属膜の単層構造、または酸化物導電体(OC)と、金属膜との積層構造等が挙げられる。
なお、導電膜112として、遮光性を有する金属膜の単層構造、または酸化物導電体(OC)と遮光性を有する金属膜との積層構造を用いる場合、導電膜112の下方に形成されるチャネル領域108iを遮光することができるため、好適である。また、導電膜112として、酸化物半導体または酸化物導電体(OC)と、遮光性を有する金属膜との積層構造を用いる場合、酸化物半導体または酸化物導電体(OC)上に、金属膜(例えば、チタン膜、タングステン膜など)を形成することで、金属膜中の構成元素が酸化物半導体または酸化物導電体(OC)側に拡散し低抵抗化する、金属膜の成膜時のダメージ(例えば、スパッタリングダメージなど)により低抵抗化する、あるいは金属膜中に酸化物半導体または酸化物導電体(OC)中の酸素が拡散することで、酸素欠損が形成され低抵抗化する。
導電膜106、112、120a、120bの厚さとしては、30nm以上500nm以下、または100nm以上400nm以下とすることができる。
<2-3.トランジスタの構成例2>
図23(A)(B)は、トランジスタ100Bの断面図であり、図24(A)(B)は、トランジスタ100Cの断面図であり、図25(A)(B)は、トランジスタ100Dの断面図である。なお、トランジスタ100B、トランジスタ100C、及びトランジスタ100Dの上面図としては、図21(A)に示すトランジスタ100Aと同様であるため、ここでの説明は省略する。
図23(A)(B)に示すトランジスタ100Bは、導電膜112の積層構造、導電膜112の形状、及び絶縁膜110の形状がトランジスタ100Aと異なる。
トランジスタ100Bの導電膜112は、絶縁膜110上の導電膜112_1と、導電膜112_1上の導電膜112_2と、を有する。例えば、導電膜112_1として、酸化物導電膜を用いることにより、絶縁膜110に過剰酸素を添加することができる。上記酸化物導電膜としては、スパッタリング法を用い、酸素ガスを含む雰囲気にて形成することができる。また、上記酸化物導電膜としては、例えば、インジウムと錫とを有する酸化物、タングステンとインジウムとを有する酸化物、タングステンとインジウムと亜鉛とを有する酸化物、チタンとインジウムとを有する酸化物、チタンとインジウムと錫とを有する酸化物、インジウムと亜鉛とを有する酸化物、シリコンとインジウムと錫とを有する酸化物、インジウムとガリウムと亜鉛とを有する酸化物等が挙げられる。
また、図23(B)に示すように、開口部143において、導電膜112_2と、導電膜106とが接続される。開口部143を形成する際に、導電膜112_1となる導電膜を形成した後、開口部143を形成することで、図23(B)に示す形状とすることができる。導電膜112_1に酸化物導電膜を適用した場合、導電膜112_2と、導電膜106とが接続される構成とすることで、導電膜112と導電膜106との接触抵抗を低くすることができる。
また、トランジスタ100Bの導電膜112及び絶縁膜110は、テーパー形状である。より具体的には、導電膜112の下端部は、導電膜112の上端部よりも外側に形成される。また、絶縁膜110の下端部は、絶縁膜110の上端部よりも外側に形成される。また、導電膜112の下端部は、絶縁膜110の上端部と概略同じ位置に形成される。
トランジスタ100Bの導電膜112及び絶縁膜110をテーパー形状とすることで、トランジスタ100Aの導電膜112及び絶縁膜110が矩形の場合と比較し、絶縁膜116の被覆性を高めることができるため好適である。
なお、トランジスタ100Bのその他の構成は、先に示すトランジスタ100Aと同様であり、同様の効果を奏する。
図24(A)(B)に示すトランジスタ100Cは、導電膜112の積層構造、導電膜112の形状、及び絶縁膜110の形状がトランジスタ100Aと異なる。
トランジスタ100Cの導電膜112は、絶縁膜110上の導電膜112_1と、導電膜112_1上の導電膜112_2と、を有する。また、導電膜112_1の下端部は、導電膜112_2の上端部よりも外側に形成される。例えば、導電膜112_1と、導電膜112_2と、絶縁膜110と、を同じマスクで加工し、導電膜112_2をウエットエッチング法で、導電膜112_1及び絶縁膜110をドライエッチング法で、それぞれ加工することで、上記の構造とすることができる。
また、トランジスタ100Cの構造とすることで、酸化物半導体膜108中に、領域108fが形成される場合がある。領域108fは、チャネル領域108iとソース領域108sとの間、及びチャネル領域108iとドレイン領域108dとの間に形成される。
領域108fは、高抵抗領域あるいは低抵抗領域のいずれか一方として機能する。高抵抗領域とは、チャネル領域108iと同等の抵抗を有し、ゲート電極として機能する導電膜112が重畳しない領域である。領域108fが高抵抗領域の場合、領域108fは、所謂オフセット領域として機能する。領域108fがオフセット領域として機能する場合においては、トランジスタ100Cのオン電流の低下を抑制するために、チャネル長(L)方向において、領域108fを1μm以下とすればよい。
また、低抵抗領域とは、チャネル領域108iよりも抵抗が低く、且つソース領域108s及びドレイン領域108dよりも抵抗が高い領域である。領域108fが低抵抗領域の場合、領域108fは、所謂、LDD(Lightly Doped Drain)領域として機能する。領域108fがLDD領域として機能する場合においては、ドレイン領域の電界緩和が可能となるため、ドレイン領域の電界に起因したトランジスタのしきい値電圧の変動を低減することができる。
なお、領域108fをLDD領域とする場合には、例えば、絶縁膜116から領域108fに窒素、水素、フッ素の1以上を供給する、あるいは、絶縁膜110及び導電膜112_1をマスクとして、導電膜112_1の上方から不純物元素を添加することで、当該不純物が導電膜112_1及び絶縁膜110を通過して酸化物半導体膜108に添加されることで形成することができる。
また、図24(B)に示すように、開口部143において、導電膜112_2と、導電膜106とが接続される。
なお、トランジスタ100Cのその他の構成は、先に示すトランジスタ100Aと同様であり、同様の効果を奏する。
図25(A)(B)に示すトランジスタ100Dは、導電膜112の積層構造、導電膜112の形状、及び絶縁膜110の形状がトランジスタ100Aと異なる。
トランジスタ100Dの導電膜112は、絶縁膜110上の導電膜112_1と、導電膜112_1上の導電膜112_2と、を有する。また、導電膜112_1の下端部は、導電膜112_2の下端部よりも外側に形成される。また、絶縁膜110の下端部は、導電膜112_1の下端部よりも外側に形成される。例えば、導電膜112_1と、導電膜112_2と、絶縁膜110と、を同じマスクで加工し、導電膜112_2及び導電膜112_1をウエットエッチング法で、絶縁膜110をドライエッチング法で、それぞれ加工することで、上記の構造とすることができる。
また、トランジスタ100Cと同様に、トランジスタ100Dには、酸化物半導体膜108中に領域108fが形成される場合がある。領域108fは、チャネル領域108iとソース領域108sとの間、及びチャネル領域108iとドレイン領域108dとの間に形成される。
また、図25(B)に示すように、開口部143において、導電膜112_2と、導電膜106とが接続される。
なお、トランジスタ100Dのその他の構成は、先に示すトランジスタ100Aと同様であり、同様の効果を奏する。
<2-4.トランジスタの構成例3>
図26(A)(B)は、トランジスタ100Eの断面図であり、図27(A)(B)は、トランジスタ100Fの断面図であり、図28(A)(B)は、トランジスタ100Gの断面図であり、図29(A)(B)は、トランジスタ100Hの断面図であり、図30(A)(B)は、トランジスタ100Jの断面図である。なお、トランジスタ100E、トランジスタ100F、トランジスタ100G、トランジスタ100H、及びトランジスタ100Jの上面図としては、図21(A)に示すトランジスタ100Aと同様であるため、ここでの説明は省略する。
トランジスタ100E、トランジスタ100F、トランジスタ100G、トランジスタ100H、及びトランジスタ100Jは、先に示すトランジスタ100Aと酸化物半導体膜108の構造が異なる。それ以外の構成については、先に示すトランジスタ100Aと同様の構成であり、同様の効果を奏する。
図26(A)(B)に示すトランジスタ100Eが有する酸化物半導体膜108は、絶縁膜104上の酸化物半導体膜108_1と、酸化物半導体膜108_1上の酸化物半導体膜108_2と、酸化物半導体膜108_2上の酸化物半導体膜108_3と、を有する。また、チャネル領域108i、ソース領域108s、及びドレイン領域108dは、それぞれ、酸化物半導体膜108_1、酸化物半導体膜108_2、及び酸化物半導体膜108_3の3層の積層構造である。
図27(A)(B)に示すトランジスタ100Fが有する酸化物半導体膜108は、絶縁膜104上の酸化物半導体膜108_2と、酸化物半導体膜108_2上の酸化物半導体膜108_3と、を有する。また、チャネル領域108i、ソース領域108s、及びドレイン領域108dは、それぞれ、酸化物半導体膜108_2、及び酸化物半導体膜108_3の2層の積層構造である。
図28(A)(B)に示すトランジスタ100Gが有する酸化物半導体膜108は、絶縁膜104上の酸化物半導体膜108_1と、酸化物半導体膜108_1上の酸化物半導体膜108_2と、を有する。また、チャネル領域108i、ソース領域108s、及びドレイン領域108dは、それぞれ、酸化物半導体膜108_1、及び酸化物半導体膜108_2の2層の積層構造である。
図29(A)(B)に示すトランジスタ100Hが有する酸化物半導体膜108は、絶縁膜104上の酸化物半導体膜108_1と、酸化物半導体膜108_1上の酸化物半導体膜108_2と、酸化物半導体膜108_2上の酸化物半導体膜108_3と、を有する。また、チャネル領域108iは、酸化物半導体膜108_1、酸化物半導体膜108_2、及び酸化物半導体膜108_3の3層の積層構造であり、ソース領域108s、及びドレイン領域108dは、それぞれ、酸化物半導体膜108_1、及び酸化物半導体膜108_2の2層の積層構造である。なお、トランジスタ100Hのチャネル幅(W)方向の断面において、酸化物半導体膜108_3が、酸化物半導体膜108_1及び酸化物半導体膜108_2の側面を覆う。
図30(A)(B)に示すトランジスタ100Jが有する酸化物半導体膜108は、絶縁膜104上の酸化物半導体膜108_2と、酸化物半導体膜108_2上の酸化物半導体膜108_3と、を有する。また、チャネル領域108iは、酸化物半導体膜108_2、及び酸化物半導体膜108_3の2層の積層構造であり、ソース領域108s、及びドレイン領域108dは、それぞれ、酸化物半導体膜108_2の単層構造である。なお、トランジスタ100Jのチャネル幅(W)方向の断面において、酸化物半導体膜108_3が、酸化物半導体膜108_2の側面を覆う。
チャネル領域108iのチャネル幅(W)方向の側面またはその近傍においては、加工におけるダメージにより欠陥(例えば、酸素欠損)が形成されやすい、あるいは不純物の付着により汚染されやすい。そのため、チャネル領域108iが実質的に真性であっても、電界などのストレスが印加されることによって、チャネル領域108iのチャネル幅(W)方向の側面またはその近傍が活性化され、低抵抗(n型)領域となりやすい。また、チャネル領域108iのチャネル幅(W)方向の側面またはその近傍がn型領域の場合、当該n型領域がキャリアのパスとなるため、寄生チャネルが形成される場合がある。
そこで、トランジスタ100H、及びトランジスタ100Jにおいては、チャネル領域108iを積層構造とし、チャネル領域108iのチャネル幅(W)方向の側面を、積層構造の一方の層で覆う構成とする。当該構成とすることで、チャネル領域108iの側面またはその近傍の欠陥を抑制する、あるいはチャネル領域108iの側面またはその近傍への不純物の付着を低減することが可能となる。
[バンド構造]
ここで、絶縁膜104、酸化物半導体膜108_1、108_2、108_3、及び絶縁膜110のバンド構造、絶縁膜104、酸化物半導体膜108_2、108_3、及び絶縁膜110のバンド構造、並びに絶縁膜104、酸化物半導体膜108_1、108_2、及び絶縁層110のバンド構造について、図31(A)(B)(C)を用いて説明する。なお、図31(A)(B)(C)は、チャネル領域108iにおけるバンド構造である。
図31(A)は、絶縁膜104、酸化物半導体膜108_1、108_2、108_3、及び絶縁膜110を有する積層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。また、図31(B)は、絶縁膜104、酸化物半導体膜108_2、108_3、及び絶縁膜110を有する積層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。また、図31(C)は、絶縁膜104、酸化物半導体膜108_1、108_2、及び絶縁膜110を有する積層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。なお、バンド構造は、理解を容易にするため絶縁膜104、酸化物半導体膜108_1、108_2、108_3、及び絶縁膜110の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
また、図31(A)は、絶縁膜104、110として酸化シリコン膜を用い、酸化物半導体膜108_1として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜108_2として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=4:2:4.1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜108_3として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いる構成のバンド図である。
また、図31(B)は、絶縁膜104、110として酸化シリコン膜を用い、酸化物半導体膜108_2として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=4:2:4.1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜108_3として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いる構成のバンド図である。
また、図31(C)は、絶縁膜104、110として酸化シリコン膜を用い、酸化物半導体膜108_1として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜108_2として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=4:2:4.1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いる構成のバンド図である。
図31(A)に示すように、酸化物半導体膜108_1、108_2、108_3において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。また、図31(B)に示すように、酸化物半導体膜108_2、108_3において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。また、図31(C)に示すように、酸化物半導体膜108_1、108_2において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド構造を有するためには、酸化物半導体膜108_1と酸化物半導体膜108_2との界面、または酸化物半導体膜108_2と酸化物半導体膜108_3との界面において、トラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないとする。
酸化物半導体膜108_1、108_2、108_3に連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。
図31(A)(B)(C)に示す構成とすることで酸化物半導体膜108_2がウェル(井戸)となり、上記積層構造を用いたトランジスタにおいて、チャネル領域が酸化物半導体膜108_2に形成されることがわかる。
なお、酸化物半導体膜108_1、108_3を設けることにより、欠陥準位を酸化物半導体膜108_2より遠ざけることができる。
また、欠陥準位がチャネル領域として機能する酸化物半導体膜108_2の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)より真空準位から遠くなることがあり、欠陥準位に電子が蓄積しやすくなってしまう。欠陥準位に電子が蓄積されることで、マイナスの固定電荷となり、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。したがって、欠陥準位が酸化物半導体膜108_2の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)より真空準位に近くなるような構成にすると好ましい。このようにすることで、欠陥準位に電子が蓄積しにくくなり、トランジスタのオン電流を増大させることが可能であると共に、電界効果移動度を高めることができる。
また、酸化物半導体膜108_1、108_3は、酸化物半導体膜108_2よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体膜108_2の伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物半導体膜108_1、108_3の伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下である。すなわち、酸化物半導体膜108_1、108_3の電子親和力よりも、酸化物半導体膜108_2の電子親和力が大きく、酸化物半導体膜108_1及び酸化物半導体膜108_3の電子親和力と、酸化物半導体膜108_2の電子親和力との差は、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下である。
このような構成を有することで、酸化物半導体膜108_2が主な電流経路となる。すなわち、酸化物半導体膜108_2は、チャネル領域としての機能を有し、酸化物半導体膜108_1、108_3は、酸化物絶縁膜としての機能を有する。また、酸化物半導体膜108_1、108_3は、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜108_2を構成する金属元素の一種以上から構成される酸化物半導体膜を用いると好ましい。このような構成とすることで、酸化物半導体膜108_1と酸化物半導体膜108_2との界面、または酸化物半導体膜108_2と酸化物半導体膜108_3との界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
また、酸化物半導体膜108_1、108_3は、チャネル領域の一部として機能することを防止するため、導電率が十分に低い材料を用いるものとする。そのため、酸化物半導体膜108_1、108_3を、その物性及び/または機能から、それぞれ酸化物絶縁膜とも呼べる。または、酸化物半導体膜108_1、108_3には、電子親和力(真空準位と伝導帯下端のエネルギー準位との差)が酸化物半導体膜108_2よりも小さく、伝導帯下端のエネルギー準位が酸化物半導体膜108_2の伝導帯下端エネルギー準位と差分(バンドオフセット)を有する材料を用いるものとする。また、ドレイン電圧の大きさに依存したしきい値電圧の差が生じることを抑制するためには、酸化物半導体膜108_1、108_3の伝導帯下端のエネルギー準位が、酸化物半導体膜108_2の伝導帯下端のエネルギー準位よりも真空準位に近い材料を用いると好適である。例えば、酸化物半導体膜108_2の伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物半導体膜108_1、108_3の伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.2eV以上、好ましくは0.5eV以上とすることが好ましい。
また、酸化物半導体膜108_1、108_3は、膜中にスピネル型の結晶構造が含まれないことが好ましい。酸化物半導体膜108_1、108_3の膜中にスピネル型の結晶構造を含む場合、該スピネル型の結晶構造と他の領域との界面において、導電膜120a、120bの構成元素が酸化物半導体膜108_2へ拡散してしまう場合がある。なお、酸化物半導体膜108_1、108_3が後述するCAAC-OSである場合、導電膜120a、120bの構成元素、例えば、銅元素のブロッキング性が高くなり好ましい。
また、本実施の形態においては、酸化物半導体膜108_1、108_3として、金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いる構成について例示したが、これに限定されない。例えば、酸化物半導体膜108_1、108_3として、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]、In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比]、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、In:Ga:Zn=1:3:6[原子数比]、In:Ga:Zn=1:4:5[原子数比]、In:Ga:Zn=1:5:6[原子数比]、またはIn:Ga:Zn=1:10:1[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いてもよい。あるいは、酸化物半導体膜108_1、108_3として、金属元素の原子数比をGa:Zn=10:1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いてもよい。この場合、酸化物半導体膜108_2として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜108_1、108_3として金属元素の原子数比をGa:Zn=10:1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いると、酸化物半導体膜108_2の伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物半導体膜108_1、108_3の伝導帯下端のエネルギー準位との差を0.6eV以上とすることができるため好適である。
なお、酸化物半導体膜108_1、108_3として、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜108_1、108_3は、In:Ga:Zn=1:β1(0<β1≦2):β2(0<β2≦2)となる場合がある。また、酸化物半導体膜108_1、108_3として、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜108_1、108_3は、In:Ga:Zn=1:β3(1≦β3≦5):β4(2≦β4≦6)となる場合がある。また、酸化物半導体膜108_1、108_3として、In:Ga:Zn=1:3:6[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜108_1、108_3は、In:Ga:Zn=1:β5(1≦β5≦5):β6(4≦β6≦8)となる場合がある。
<2-5.トランジスタの構成例4>
図32(A)は、トランジスタ300Aの上面図であり、図32(B)は、図32(A)に示す一点鎖線X1-X2間における切断面の断面図に相当し、図32(C)は、図32(A)に示す一点鎖線Y1-Y2間における切断面の断面図に相当する。なお、図32(A)において、煩雑になることを避けるため、トランジスタ300Aの構成要素の一部(ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜等)を省略して図示している。また、一点鎖線X1-X2方向をチャネル長方向、一点鎖線Y1-Y2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。なお、トランジスタの上面図においては、以降の図面においても図32(A)と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。
図32に示すトランジスタ300Aは、基板302上の導電膜304と、基板302及び導電膜304上の絶縁膜306と、絶縁膜306上の絶縁膜307と、絶縁膜307上の酸化物半導体膜308と、酸化物半導体膜308上の導電膜312aと、酸化物半導体膜308上の導電膜312bと、を有する。また、トランジスタ300A上、より詳しくは、導電膜312a、312b及び酸化物半導体膜308上には絶縁膜314、316、及び絶縁膜318が設けられる。
なお、トランジスタ300Aにおいて、絶縁膜306、307は、トランジスタ300Aのゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜314、316、318は、トランジスタ300Aの保護絶縁膜としての機能を有する。また、トランジスタ300Aにおいて、導電膜304は、ゲート電極としての機能を有し、導電膜312aは、ソース電極としての機能を有し、導電膜312bは、ドレイン電極としての機能を有する。
なお、本明細書等において、絶縁膜306、307を第1の絶縁膜と、絶縁膜314、316を第2の絶縁膜と、絶縁膜318を第3の絶縁膜と、それぞれ呼称する場合がある。
図32に示すトランジスタ300Aは、チャネルエッチ型のトランジスタ構造である。本発明の一態様の酸化物半導体膜は、チャネルエッチ型のトランジスタに好適に用いることができる。
<2-6.トランジスタの構成例5>
図33(A)は、トランジスタ300Bの上面図であり、図33(B)は、図33(A)に示す一点鎖線X1-X2間における切断面の断面図に相当し、図33(C)は、図33(A)に示す一点鎖線Y1-Y2間における切断面の断面図に相当する。
図33に示すトランジスタ300Bは、基板302上の導電膜304と、基板302及び導電膜304上の絶縁膜306と、絶縁膜306上の絶縁膜307と、絶縁膜307上の酸化物半導体膜308と、酸化物半導体膜308上の絶縁膜314と、絶縁膜314上の絶縁膜316と、絶縁膜314及び絶縁膜316に設けられる開口部341aを介して酸化物半導体膜308に電気的に接続される導電膜312aと、絶縁膜314及び絶縁膜316に設けられる開口部341bを介して酸化物半導体膜308に電気的に接続される導電膜312bとを有する。また、トランジスタ300B上、より詳しくは、導電膜312a、312b、及び絶縁膜316上には絶縁膜318が設けられる。
なお、トランジスタ300Bにおいて、絶縁膜306、307は、トランジスタ300Bのゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜314、316は、酸化物半導体膜308の保護絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜318は、トランジスタ300Bの保護絶縁膜としての機能を有する。また、トランジスタ300Bにおいて、導電膜304は、ゲート電極としての機能を有し、導電膜312aは、ソース電極としての機能を有し、導電膜312bは、ドレイン電極としての機能を有する。
図32に示すトランジスタ300Aにおいては、チャネルエッチ型の構造であったのに対し、図33(A)(B)(C)に示すトランジスタ300Bは、チャネル保護型の構造である。本発明の一態様の酸化物半導体膜は、チャネル保護型のトランジスタにも好適に用いることができる。
<2-7.トランジスタの構成例6>
図34(A)は、トランジスタ300Cの上面図であり、図34(B)は、図34(A)に示す一点鎖線X1-X2間における切断面の断面図に相当し、図34(C)は、図34(A)に示す一点鎖線Y1-Y2間における切断面の断面図に相当する。
図34に示すトランジスタ300Cは、図33(A)(B)(C)に示すトランジスタ300Bと絶縁膜314、316の形状が相違する。具体的には、トランジスタ300Cの絶縁膜314、316は、酸化物半導体膜308のチャネル領域上に島状に設けられる。その他の構成は、トランジスタ300Bと同様である。
<2-8.トランジスタの構成例7>
図35(A)は、トランジスタ300Dの上面図であり、図35(B)は、図35(A)に示す一点鎖線X1-X2間における切断面の断面図に相当し、図35(C)は、図35(A)に示す一点鎖線Y1-Y2間における切断面の断面図に相当する。
図35に示すトランジスタ300Dは、基板302上の導電膜304と、基板302及び導電膜304上の絶縁膜306と、絶縁膜306上の絶縁膜307と、絶縁膜307上の酸化物半導体膜308と、酸化物半導体膜308上の導電膜312aと、酸化物半導体膜308上の導電膜312bと、酸化物半導体膜308、及び導電膜312a、312b上の絶縁膜314と、絶縁膜314上の絶縁膜316と、絶縁膜316上の絶縁膜318と、絶縁膜318上の導電膜320a、320bと、を有する。
なお、トランジスタ300Dにおいて、絶縁膜306、307は、トランジスタ300Dの第1のゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜314、316、318は、トランジスタ300Dの第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。また、トランジスタ300Dにおいて、導電膜304は、第1のゲート電極としての機能を有し、導電膜320aは、第2のゲート電極としての機能を有し、導電膜320bは、表示装置に用いる画素電極としての機能を有する。また、導電膜312aは、ソース電極としての機能を有し、導電膜312bは、ドレイン電極としての機能を有する。
また、図35(C)に示すように導電膜320aは、絶縁膜306、307、314、316、318に設けられる開口部342b、342cにおいて、導電膜304に接続される。よって、導電膜320aと導電膜304とは、同じ電位が与えられる。
なお、トランジスタ300Dにおいては、開口部342b、342cを設け、導電膜320aと導電膜304を接続する構成について例示したが、これに限定されない。例えば、開口部342bまたは開口部342cのいずれか一方の開口部のみを形成し、導電膜320aと導電膜304を接続する構成、または開口部342b及び開口部342cを設けずに、導電膜320aと導電膜304を接続しない構成としてもよい。なお、導電膜320aと導電膜304とを接続しない構成の場合、導電膜320aと導電膜304には、それぞれ異なる電位を与えることができる。
また、導電膜320bは、絶縁膜314、316、318に設けられる開口部342aを介して、導電膜312bと接続される。
なお、トランジスタ300Dは、先に説明のS-channel構造を有する。
<2-9.トランジスタの構成例8>
また、図32(A)(B)(C)に示すトランジスタ300Aが有する酸化物半導体膜308を複数の積層構造としてもよい。その場合の一例を図36(A)(B)及び図37(A)(B)に示す。
図36(A)(B)は、トランジスタ300Eの断面図であり、図37(A)(B)は、トランジスタ300Fの断面図である。なお、トランジスタ300E、300Fの上面図としては、図32(A)に示すトランジスタ300Aと同様である。
図36(A)(B)に示すトランジスタ300Eが有する酸化物半導体膜308は、酸化物半導体膜308_1と、酸化物半導体膜308_2と、酸化物半導体膜308_3と、を有する。また、図37(A)(B)に示すトランジスタ300Fが有する酸化物半導体膜308は、酸化物半導体膜308_2と、酸化物半導体膜308_3と、を有する。
なお、導電膜304、絶縁膜306、絶縁膜307、酸化物半導体膜308、酸化物半導体膜308_1、酸化物半導体膜308_2、酸化物半導体膜308_3、導電膜312a、312b、絶縁膜314、絶縁膜316、絶縁膜318、及び導電膜320a、320bとしては、それぞれ先に記載の導電膜106、絶縁膜116、酸化物半導体膜108、酸化物半導体膜108_1、酸化物半導体膜108_2、酸化物半導体膜108_3、導電膜120a、120b、絶縁膜104、絶縁膜118、絶縁膜116、及び導電膜112と同様な材料を用いることができる。
<2-10.トランジスタの構成例9>
図38(A)は、トランジスタ300Gの上面図であり、図38(B)は、図38(A)に示す一点鎖線X1-X2間における切断面の断面図に相当し、図38(C)は、図38(A)に示す一点鎖線Y1-Y2間における切断面の断面図に相当する。
図38に示すトランジスタ300Gは、基板302上の導電膜304と、基板302及び導電膜304上の絶縁膜306と、絶縁膜306上の絶縁膜307と、絶縁膜307上の酸化物半導体膜308と、酸化物半導体膜308上の導電膜312aと、酸化物半導体膜308上の導電膜312bと、酸化物半導体膜308、導電膜312a、及び導電膜312b上の絶縁膜314と、絶縁膜314上の絶縁膜316と、絶縁膜316上の導電膜320aと、絶縁膜316上の導電膜320bと、を有する。
また、絶縁膜306及び絶縁膜307は、開口部351を有し、絶縁膜306及び絶縁膜307上には、開口部351を介して導電膜304と電気的に接続される導電膜312cが形成される。また、絶縁膜314及び絶縁膜316は、導電膜312bに達する開口部352aと、導電膜312cに達する開口部352bとを有する。
また、酸化物半導体膜308は、導電膜304側の酸化物半導体膜308_2と、酸化物半導体膜308_2上の酸化物半導体膜308_3と、を有する。
また、トランジスタ300Gの上には、絶縁膜318が設けられる。絶縁膜318は、絶縁膜316、導電膜320a、及び導電膜320bを覆うように形成される。
なお、トランジスタ300Gにおいて、絶縁膜306、307は、トランジスタ300Gの第1のゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜314、316は、トランジスタ300Gの第2のゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜318は、トランジスタ300Gの保護絶縁膜としての機能を有する。また、トランジスタ300Gにおいて、導電膜304は、第1のゲート電極としての機能を有し、導電膜320aは、第2のゲート電極としての機能を有し、導電膜320bは、表示装置に用いる画素電極としての機能を有する。また、トランジスタ300Gにおいて、導電膜312aは、ソース電極としての機能を有し、導電膜312bは、ドレイン電極としての機能を有する。また、トランジスタ300Gにおいて、導電膜312cは接続電極としての機能を有する。
なお、トランジスタ300Gは、先に説明のS-channel構造を有する。
また、トランジスタ300A乃至トランジスタ300Gの構造を、それぞれ自由に組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、先の実施の形態で例示した半導体装置を有する表示装置の一例について、図39乃至図46を用いて以下説明を行う。
図39は、表示装置の一例を示す上面図である。図39に示す表示装置700は、第1の基板701上に設けられた画素部702と、第1の基板701に設けられたソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706と、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を囲むように配置されるシール材712と、第1の基板701に対向するように設けられる第2の基板705と、を有する。なお、第1の基板701と第2の基板705は、シール材712によって封止されている。すなわち、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706は、第1の基板701とシール材712と第2の基板705によって封止されている。なお、図39には図示しないが、第1の基板701と第2の基板705の間には表示素子が設けられる。
また、表示装置700は、第1の基板701上のシール材712によって囲まれている領域とは異なる領域に、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706と、それぞれ電気的に接続されるFPC端子部708(FPC:Flexible printed circuit)が設けられる。また、FPC端子部708には、FPC716が接続され、FPC716によって画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706に各種信号等が供給される。また、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708には、信号線710が各々接続されている。FPC716により供給される各種信号等は、信号線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708に与えられる。
また、表示装置700にゲートドライバ回路部706を複数設けてもよい。また、表示装置700としては、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を画素部702と同じ第1の基板701に形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ回路部706のみを第1の基板701に形成しても良い、またはソースドライバ回路部704のみを第1の基板701に形成しても良い。この場合、ソースドライバ回路またはゲートドライバ回路等が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を、第1の基板701に形成する構成としても良い。なお、別途形成した駆動回路基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法などを用いることができる。
また、表示装置700が有する画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706は、複数のトランジスタを有している。
また、表示装置700は、様々な素子を有することが出来る。該素子の一例としては、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子、LEDなど)、発光トランジスタ素子(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク素子、電気泳動素子、エレクトロウェッティング素子、プラズマディスプレイパネル(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)ディスプレイ(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、デジタル・マイクロ・シャッター(DMS)素子、インターフェロメトリック・モジュレーション(IMOD)素子など)、圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。
また、EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction Electron-emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク素子又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
なお、表示装置700における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、Rの画素とGの画素とBの画素とW(白)の画素の四画素から構成されてもよい。または、ペンタイル配列のように、RGBのうちの2色分で一つの色要素を構成し、色要素によって、異なる2色を選択して構成してもよい。またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加してもよい。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
また、バックライト(有機EL素子、無機EL素子、LED、蛍光灯など)に白色発光(W)を用いて表示装置をフルカラー表示させるために、着色層(カラーフィルタともいう。)を用いてもよい。着色層は、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、イエロー(Y)などを適宜組み合わせて用いることができる。着色層を用いることで、着色層を用いない場合と比べて色の再現性を高くすることができる。このとき、着色層を有する領域と、着色層を有さない領域と、を配置することによって、着色層を有さない領域における白色光を直接表示に利用しても構わない。一部に着色層を有さない領域を配置することで、明るい表示の際に、着色層による輝度の低下を少なくでき、消費電力を2割から3割程度低減できる場合がある。ただし、有機EL素子や無機EL素子などの自発光素子を用いてフルカラー表示する場合、R、G、B、Y、Wを、それぞれの発光色を有する素子から発光させても構わない。自発光素子を用いることで、着色層を用いた場合よりも、さらに消費電力を低減できる場合がある。
また、カラー化方式としては、上述の白色発光からの発光の一部をカラーフィルタを通すことで赤色、緑色、青色に変換する方式(カラーフィルタ方式)の他、赤色、緑色、青色の発光をそれぞれ用いる方式(3色方式)、または青色発光からの発光の一部を赤色や緑色に変換する方式(色変換方式、量子ドット方式)を適用してもよい。
本実施の形態においては、表示素子として液晶素子及びEL素子を用いる構成について、図40乃至図42を用いて説明する。なお、図40及び図41は、図39に示す一点鎖線Q-Rにおける断面図であり、表示素子として液晶素子を用いた構成である。また、図42は、図39に示す一点鎖線Q-Rにおける断面図であり、表示素子としてEL素子を用いた構成である。
まず、図40乃至図42に示す共通部分について最初に説明し、次に異なる部分について以下説明する。
<3-1.表示装置の共通部分に関する説明>
図40乃至図42に示す表示装置700は、引き回し配線部711と、画素部702と、ソースドライバ回路部704と、FPC端子部708と、を有する。また、引き回し配線部711は、信号線710を有する。また、画素部702は、トランジスタ750及び容量素子790を有する。また、ソースドライバ回路部704は、トランジスタ752を有する。
トランジスタ750及びトランジスタ752は、先に示すトランジスタ100Aと同様の構成である。なお、トランジスタ750及びトランジスタ752の構成については、先の実施の形態に示す、その他のトランジスタを用いてもよい。
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを液晶表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
容量素子790は、トランジスタ750が有する第1のゲート電極として機能する導電膜と同一の導電膜を加工する工程を経て形成される下部電極と、トランジスタ750が有するソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜、または第2のゲート電極として機能する導電膜と同一の導電膜を加工する工程を経て形成される上部電極と、を有する。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750が有する第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜と同一の絶縁膜を形成する工程を経て形成される絶縁膜、及びトランジスタ750上の保護絶縁膜として機能する絶縁膜と同一の絶縁膜を形成する工程を経て形成される絶縁膜が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造である。
また、図40乃至図42において、トランジスタ750、トランジスタ752、及び容量素子790上に平坦化絶縁膜770が設けられている。
また、図40乃至図42においては、画素部702が有するトランジスタ750と、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタ752と、を同じ構造のトランジスタを用いる構成について例示したが、これに限定されない。例えば、画素部702と、ソースドライバ回路部704とは、異なるトランジスタを用いてもよい。具体的には、画素部702にトップゲート型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704にボトムゲート型のトランジスタを用いる構成、あるいは画素部702にボトムゲート型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704にトップゲート型のトランジスタを用いる構成などが挙げられる。なお、上記のソースドライバ回路部704を、ゲートドライバ回路部と読み替えてもよい。
また、信号線710は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と同じ工程を経て形成される。信号線710として、例えば、銅元素を含む材料を用いた場合、配線抵抗に起因する信号遅延等が少なく、大画面での表示が可能となる。
また、FPC端子部708は、接続電極760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。なお、接続電極760は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と同じ工程を経て形成される。また、接続電極760は、FPC716が有する端子と異方性導電膜780を介して、電気的に接続される。
また、第1の基板701及び第2の基板705としては、例えばガラス基板を用いることができる。また、第1の基板701及び第2の基板705として、可撓性を有する基板を用いてもよい。該可撓性を有する基板としては、例えばプラスチック基板等が挙げられる。
また、第1の基板701と第2の基板705の間には、構造体778が設けられる。構造体778は、絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、第1の基板701と第2の基板705の間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、構造体778として、球状のスペーサを用いていても良い。
また、第2の基板705側には、ブラックマトリクスとして機能する遮光膜738と、カラーフィルタとして機能する着色膜736と、遮光膜738及び着色膜736に接する絶縁膜734が設けられる。
<3-2.液晶素子を用いる表示装置の構成例>
図40に示す表示装置700は、液晶素子775を有する。液晶素子775は、導電膜772、導電膜774、及び液晶層776を有する。導電膜774は、第2の基板705側に設けられ、対向電極としての機能を有する。図40に示す表示装置700は、導電膜772と導電膜774に印加される電圧によって、液晶層776の配向状態が変わることによって光の透過、非透過が制御され画像を表示することができる。
また、導電膜772は、トランジスタ750が有するソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と電気的に接続される。導電膜772は、平坦化絶縁膜770上に形成され画素電極、すなわち表示素子の一方の電極として機能する。
導電膜772としては、可視光において透光性のある導電膜、または可視光において反射性のある導電膜を用いることができる。可視光において透光性のある導電膜としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。可視光において反射性のある導電膜としては、例えば、アルミニウム、または銀を含む材料を用いるとよい。
導電膜772に可視光において反射性のある導電膜を用いる場合、表示装置700は、反射型の液晶表示装置となる。また、導電膜772に可視光において透光性のある導電膜を用いる場合、表示装置700は、透過型の液晶表示装置となる。
また、導電膜772上の構成を変えることで、液晶素子の駆動方式を変えることができる。この場合の一例を図41に示す。また、図41に示す表示装置700は、液晶素子の駆動方式として横電界方式(例えば、FFSモード)を用いる構成の一例である。図41に示す構成の場合、導電膜772上に絶縁膜773が設けられ、絶縁膜773上に導電膜774が設けられる。この場合、導電膜774は、共通電極(コモン電極ともいう)としての機能を有し、絶縁膜773を介して、導電膜772と導電膜774との間に生じる電界によって、液晶層776の配向状態を制御することができる。
また、図40及び図41において図示しないが、導電膜772または導電膜774のいずれか一方または双方に、液晶層776と接する側に、それぞれ配向膜を設ける構成としてもよい。また、図40及び図41において図示しないが、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設けてもよい。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
表示素子として液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性であるため配向処理が不要である。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。また、ブルー相を示す液晶材料は、視野角依存性が小さい。
また、表示素子として液晶素子を用いる場合、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
また、ノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASVモードなどを用いることができる。
<3-3.発光素子を用いる表示装置>
図42に示す表示装置700は、発光素子782を有する。発光素子782は、導電膜772、EL層786、及び導電膜788を有する。図42に示す表示装置700は、発光素子782が有するEL層786が発光することによって、画像を表示することができる。なお、EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料または燐光性材料などが挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。また、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用いてもよい。または、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)、硫黄(S)、リン(P)、インジウム(In)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、等の元素を有する量子ドット材料を用いてもよい。
また、上述の有機化合物、及び無機化合物としては、例えば、蒸着法(真空蒸着法を含む)、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)、塗布法、グラビア印刷法等の方法を用いて形成することができる。また、EL層786としては、低分子材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子材料を含んでも良い。
ここで、液滴吐出法を用いてEL層786を形成する方法について、図45を用いて説明する。図45(A)乃至図45(D)は、EL層786の作製方法を説明する断面図である。
まず、平坦化絶縁膜770上に導電膜772が形成され、導電膜772の一部を覆うように絶縁膜730が形成される(図45(A)参照)。
次に、絶縁膜730の開口である導電膜772の露出部に、液滴吐出装置783より液滴784を吐出し、組成物を含む層785を形成する。液滴784は、溶媒を含む組成物であり、導電膜772上に付着する(図45(B)参照)。
なお、液滴784を吐出する工程を減圧下で行ってもよい。
次に、組成物を含む層785より溶媒を除去し、固化することによってEL層786を形成する(図45(C)参照)。
なお、溶媒の除去方法としては、乾燥工程または加熱工程を行えばよい。
次に、EL層786上に導電膜788を形成し、発光素子782を形成する(図45(D)参照)。
このようにEL層786を液滴吐出法で行うと、選択的に組成物を吐出することができるため、材料のロスを削減することができる。また、形状を加工するためのリソグラフィ工程なども必要ないために工程も簡略化することができ、低コスト化が達成できる。
なお、上記説明した液滴吐出法とは、組成物の吐出口を有するノズル、あるいは1つ又は複数のノズルを有するヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。
次に、液滴吐出法に用いる液滴吐出装置について、図46を用いて説明する。図46は、液滴吐出装置1400を説明する概念図である。
液滴吐出装置1400は、液滴吐出手段1403を有する。また、液滴吐出手段1403は、ヘッド1405と、ヘッド1412とを有する。
ヘッド1405、及びヘッド1412は制御手段1407に接続され、それがコンピュータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンに描画することができる。
また、描画するタイミングとしては、例えば、基板1402上に形成されたマーカー1411を基準に行えば良い。あるいは、基板1402の外縁を基準にして基準点を確定させても良い。ここでは、マーカー1411を撮像手段1404で検出し、画像処理手段1409にてデジタル信号に変換したものをコンピュータ1410で認識して制御信号を発生させて制御手段1407に送る。
撮像手段1404としては、電荷結合素子(CCD)や相補型金属-酸化物-半導体(CMOS)を利用したイメージセンサなどを用いることができる。なお、基板1402上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体1408に格納されたものであり、この情報を基にして制御手段1407に制御信号を送り、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412を個別に制御することができる。吐出する材料は、材料供給源1413、材料供給源1414より配管を通してヘッド1405、ヘッド1412にそれぞれ供給される。
ヘッド1405の内部は、点線1406が示すように液状の材料を充填する空間と、吐出口であるノズルを有する構造となっている。図示しないが、ヘッド1412もヘッド1405と同様な内部構造を有する。ヘッド1405とヘッド1412のノズルを異なるサイズで設けると、異なる材料を異なる幅で同時に描画することができる。一つのヘッドで、複数種の発光材料などをそれぞれ吐出し、描画することができ、広領域に描画する場合は、スループットを向上させるため複数のノズルより同材料を同時に吐出し、描画することができる。大型基板を用いる場合、ヘッド1405、ヘッド1412は基板上を、図46中に示すX、Y、Zの矢印の方向に自在に走査し、描画する領域を自由に設定することができ、同じパターンを一枚の基板に複数描画することができる。
また、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。吐出時に基板を加熱しておいてもよい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。なお、この加熱処理を行うタイミング、加熱処理の回数は特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、そのときの温度は、基板の材質及び組成物の性質に依存する。
以上のように、液滴吐出装置を用いてEL層786を作製することができる。
再び、図42に示す表示装置700の説明に戻る。
図42に示す表示装置700には、平坦化絶縁膜770及び導電膜772上に絶縁膜730が設けられる。絶縁膜730は、導電膜772の一部を覆う。なお、発光素子782はトップエミッション構造である。したがって、導電膜788は透光性を有し、EL層786が発する光を透過する。なお、本実施の形態においては、トップエミッション構造について、例示するが、これに限定されない。例えば、導電膜772側に光を射出するボトムエミッション構造や、導電膜772及び導電膜788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造にも適用することができる。
また、発光素子782と重なる位置に、着色膜736が設けられ、絶縁膜730と重なる位置、引き回し配線部711、及びソースドライバ回路部704に遮光膜738が設けられている。また、着色膜736及び遮光膜738は、絶縁膜734で覆われている。また、発光素子782と絶縁膜734の間は封止膜732で充填されている。なお、図42に示す表示装置700においては、着色膜736を設ける構成について例示したが、これに限定されない。例えば、EL層786を塗り分けにより形成する場合においては、着色膜736を設けない構成としてもよい。
<3-4.表示装置に入出力装置を設ける構成例>
また、図41及び図42に示す表示装置700に入出力装置を設けてもよい。当該入出力装置としては、例えば、タッチパネル等が挙げられる。
図41に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図43に、図42に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図44に、それぞれ示す。
図43は図41に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図であり、図44は図42に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図である。
まず、図43及び図44に示すタッチパネル791について、以下説明を行う。
図43及び図44に示すタッチパネル791は、第2の基板705と着色膜736との間に設けられる、所謂インセル型のタッチパネルである。タッチパネル791は、着色膜736を形成する前に、第2の基板705側に形成すればよい。
なお、タッチパネル791は、遮光膜738と、絶縁膜792と、電極793と、電極794と、絶縁膜795と、電極796と、絶縁膜797と、を有する。例えば、指やスタイラスなどの被検知体が近接することで、電極793と、電極794との間の容量の変化を検知することができる。
また、図43及び図44に示すトランジスタ750の上方においては、電極793と、電極794との交差部を明示している。電極796は、絶縁膜795に設けられた開口部を介して、電極794を挟む2つの電極793と電気的に接続されている。なお、図43及び図44においては、電極796が設けられる領域を画素部702に設ける構成を例示したが、これに限定されず、例えば、ソースドライバ回路部704に形成してもよい。
電極793及び電極794は、遮光膜738と重なる領域に設けられる。また、図43に示すように、電極793は、発光素子782と重ならないように設けられると好ましい。また、図44に示すように、電極793は、液晶素子775と重ならないように設けられると好ましい。別言すると、電極793は、発光素子782及び液晶素子775と重なる領域に開口部を有する。すなわち、電極793はメッシュ形状を有する。このような構成とすることで、電極793は、発光素子782が射出する光を遮らない構成とすることができる。または、電極793は、液晶素子775を透過する光を遮らない構成とすることができる。したがって、タッチパネル791を配置することによる輝度の低下が極めて少ないため、視認性が高く、且つ消費電力が低減された表示装置を実現できる。なお、電極794も同様の構成とすればよい。
また、電極793及び電極794が発光素子782と重ならないため、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。または、電極793及び電極794が液晶素子775と重ならないため、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。
そのため、可視光の透過率が高い酸化物材料を用いた電極と比較して、電極793及び電極794の抵抗を低くすることが可能となり、タッチパネルのセンサ感度を向上させることができる。
例えば、電極793、794、796には、導電性のナノワイヤを用いてもよい。当該ナノワイヤは、直径の平均値が1nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは5nm以上25nm以下の大きさとすればよい。また、上記ナノワイヤとしては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、またはAlナノワイヤ等の金属ナノワイヤ、あるいは、カーボンナノチューブなどを用いればよい。例えば、電極793、794、796のいずれか一つあるいは全部にAgナノワイヤを用いる場合、可視光における光透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/□以上100Ω/□以下とすることができる。
また、図43及び図44においては、インセル型のタッチパネルの構成について例示したが、これに限定されない。例えば、表示装置700上に形成する、所謂オンセル型のタッチパネルや、表示装置700に貼り合わせて用いる、所謂アウトセル型のタッチパネルとしてもよい。
このように、本発明の一態様の表示装置は、様々な形態のタッチパネルと組み合わせて用いることができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置について、図47を用いて説明を行う。
<4.表示装置の回路構成>
図47(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部502という)と、画素部502の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部504という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路506という)と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部504の一部、または全部は、画素部502と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部504の一部、または全部が、画素部502と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部504の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部502は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路501という)を有し、駆動回路部504は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、ゲートドライバ504aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、ソースドライバ504b)などの駆動回路を有する。
ゲートドライバ504aは、シフトレジスタ等を有する。ゲートドライバ504aは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、ゲートドライバ504aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。ゲートドライバ504aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、ゲートドライバ504aを複数設け、複数のゲートドライバ504aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、ゲートドライバ504aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ゲートドライバ504aは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、シフトレジスタ等を有する。ソースドライバ504bは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。ソースドライバ504bは、画像信号を元に画素回路501に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、ソースドライバ504bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ソースドライバ504bは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。ソースドライバ504bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
複数の画素回路501のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また、複数の画素回路501のそれぞれは、ゲートドライバ504aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路501は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介してゲートドライバ504aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介してソースドライバ504bからデータ信号が入力される。
図47(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路506は、ゲートドライバ504aと端子部507との間の配線に接続することができる。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと端子部507との間の配線に接続することができる。なお、端子部507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図47(A)に示すように、画素部502と駆動回路部504にそれぞれ保護回路506を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路506の構成はこれに限定されず、例えば、ゲートドライバ504aに保護回路506を接続した構成、またはソースドライバ504bに保護回路506を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部507に保護回路506を接続した構成とすることもできる。
また、図47(A)においては、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bによって駆動回路部504を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ504aのみを形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
また、図47(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図47(B)に示す構成とすることができる。
図47(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。トランジスタ550に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
例えば、液晶素子570を備える表示装置の駆動方法としては、TNモード、STNモード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、MVAモード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、又はTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
m行n列目の画素回路501において、トランジスタ550のソース電極またはドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ550のゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。トランジスタ550は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子560の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、電位供給線VL)に電気的に接続され、他方は、液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、電位供給線VLの電位の値は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。容量素子560は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図47(B)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図47(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ550をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ550がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図47(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図47(C)に示す構成とすることができる。
また、図47(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。トランジスタ552及びトランジスタ554のいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(以下、信データ線DL_nという)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ552のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(以下、走査線GL_mという)に電気的に接続される。
トランジスタ552は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子562の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子562は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ554のゲート電極は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子572としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図47(C)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図47(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ552をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ552がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ554のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子572は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示モジュール及び電子機器について、図48乃至図51を用いて説明を行う。
<5-1.表示モジュール>
図48に示す表示モジュール7000は、上部カバー7001と下部カバー7002との間に、FPC7003に接続されたタッチパネル7004、FPC7005に接続された表示パネル7006、バックライト7007、フレーム7009、プリント基板7010、バッテリ7011を有する。
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示パネル7006に用いることができる。
上部カバー7001及び下部カバー7002は、タッチパネル7004及び表示パネル7006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチパネル7004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル7006に重畳して用いることができる。また、表示パネル7006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル7006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
バックライト7007は、光源7008を有する。なお、図48において、バックライト7007上に光源7008を配置する構成について例示したが、これに限定さない。例えば、バックライト7007の端部に光源7008を配置し、さらに光拡散板を用いる構成としてもよい。なお、有機EL素子等の自発光型の発光素子を用いる場合、または反射型パネル等の場合においては、バックライト7007を設けない構成としてもよい。
フレーム7009は、表示パネル7006の保護機能の他、プリント基板7010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム7009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板7010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ7011による電源であってもよい。バッテリ7011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール7000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
<5-2.電子機器1>
次に、図49(A)乃至図49(E)に電子機器の一例を示す。
図49(A)は、ファインダー8100を取り付けた状態のカメラ8000の外観を示す図である。
カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004等を有する。またカメラ8000には、着脱可能なレンズ8006が取り付けられている。
ここではカメラ8000として、レンズ8006を筐体8001から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ8006と筐体が一体となっていてもよい。
カメラ8000は、シャッターボタン8004を押すことにより、撮像することができる。また、表示部8002はタッチパネルとしての機能を有し、表示部8002をタッチすることにより撮像することも可能である。
カメラ8000の筐体8001は、電極を有するマウントを有し、ファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。
筐体8101は、カメラ8000のマウントと係合するマウントを有しており、ファインダー8100をカメラ8000に取り付けることができる。また当該マウントには電極を有し、当該電極を介してカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示させることができる。
ボタン8103は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン8103により、表示部8102の表示のオン・オフを切り替えることができる。
カメラ8000の表示部8002、及びファインダー8100の表示部8102に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
なお、図49(A)では、カメラ8000とファインダー8100とを別の電子機器とし、これらを脱着可能な構成としたが、カメラ8000の筐体8001に、表示装置を備えるファインダーが内蔵されていてもよい。
図49(B)は、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示す図である。
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリ8206が内蔵されている。
ケーブル8205は、バッテリ8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した画像データ等の映像情報を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動きを捉え、その情報をもとに使用者の視点の座標を算出することにより、使用者の視点を入力手段として用いることができる。
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい。本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、使用者の視点を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知することにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭部の動きなどを検出し、表示部8204に表示する映像をその動きに合わせて変化させてもよい。
表示部8204に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図49(C)(D)(E)は、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
使用者は、レンズ8305を通して、表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させる好適である。表示部8302を湾曲して配置することで、使用者が高い臨場感を感じることができる。なお、本実施の形態においては、表示部8302を1つ設ける構成について例示したが、これに限定されず、例えば、表示部8302を2つ設ける構成としてもよい。この場合、使用者の片方の目に1つの表示部が配置されるような構成とすると、視差を用いた3次元表示等を行うことも可能となる。
なお、表示部8302に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置は、極めて精細度が高いため、図49(E)のようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い映像を表示することができる。
<5-3.電子機器2>
次に、図49(A)乃至図49(E)に示す電子機器と、異なる電子機器の一例を図50(A)乃至図50(G)に示す。
図50(A)乃至図50(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
図50(A)乃至図50(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図50(A)乃至図50(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図50(A)乃至図50(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図50(A)乃至図50(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図50(A)は、テレビジョン装置9100を示す斜視図である。テレビジョン装置9100は、例えば、50インチ以上、または100インチ以上の大画面の表示部9001を組み込むことが可能である。
図50(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ、接続端子、センサ等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコンまたは単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
図50(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
図50(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
図50(E)(F)(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図50(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、図50(F)が携帯情報端末9201を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図50(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
次に、図49(A)乃至図49(E)に示す電子機器、及び図50(A)乃至図50(G)に示す電子機器と異なる電子機器の一例を図51(A)(B)に示す。図51(A)(B)は、複数の表示パネルを有する表示装置の斜視図である。なお、図51(A)は、複数の表示パネルが巻き取られた形態の斜視図であり、図51(B)は、複数の表示パネルが展開された状態の斜視図である。
図51(A)(B)に示す表示装置9500は、複数の表示パネル9501と、軸部9511と、軸受部9512と、を有する。また、複数の表示パネル9501は、表示領域9502と、透光性を有する領域9503と、を有する。
また、複数の表示パネル9501は、可撓性を有する。また、隣接する2つの表示パネル9501は、それらの一部が互いに重なるように設けられる。例えば、隣接する2つの表示パネル9501の透光性を有する領域9503を重ね合わせることができる。複数の表示パネル9501を用いることで、大画面の表示装置とすることができる。また、使用状況に応じて、表示パネル9501を巻き取ることが可能であるため、汎用性に優れた表示装置とすることができる。
また、図51(A)(B)においては、表示領域9502が隣接する表示パネル9501で離間する状態を図示しているが、これに限定されず、例えば、隣接する表示パネル9501の表示領域9502を隙間なく重ねあわせることで、連続した表示領域9502としてもよい。
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有することを特徴とする。ただし、本発明の一態様の半導体装置は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、上記実施の形態に示す方法を用いて成膜したIn-Ga-Zn酸化物膜(以下、IGZO膜と呼ぶ。)の観察と元素分析を行った結果について説明する。
本実施例に係る試料では、In-Ga-Zn酸化物(原子数比In:Ga:Zn=5:1:7)ターゲットを用いたスパッタリング法により、膜厚100nmを狙ってガラス基板上にIGZO膜を成膜した。IGZO膜の成膜は、アルゴンガス200sccmを含む雰囲気で圧力を0.6Paに制御し、基板温度を室温とし、2.5kWの交流電力を印加して行った。
作製した試料のIGZO膜について、HAADF-STEM像の観察と、EDXを用いた測定を行った。HAADF-STEM像の撮影とEDX測定は、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fを用いて、加速電圧200kV、ビーム径約0.1nmφの電子線を照射して行った。
また、EDX測定では、元素分析装置としてエネルギー分散型X線分析装置JED-2300Tを用いた。なお、試料から放出されたX線の検出にはSiドリフト検出器を用いた。
EDX測定では、試料の分析対象領域の各点に電子線照射を行い、これにより発生する試料の特性X線のエネルギーと発生回数を測定し、各点に対応するEDXスペクトルを得る。本実施例では、各点のEDXスペクトルのピークを、In原子のL殻への電子遷移、Ga原子のK殻への電子遷移、Zn原子のK殻への電子遷移及びO原子のK殻への電子遷移に帰属させ、各点におけるそれぞれの原子の比率を算出した。これを試料の分析対象領域について行うことにより、各原子の比率の分布が示されたEDXマッピングを得ることができる。
試料のIGZO膜における、HAADF-STEM像とEDXマッピングを図52及び図53に示す。図52は、IGZO膜の平面のHAADF-STEM像及びEDXマッピングであり、図53は、IGZO膜の断面のHAADF-STEM像及びEDXマッピングである。図52(A)及び図53(A)は、試料のHAADF-STEM像である。また、図52(B)及び図53(B)はO原子のEDXマッピングであり、図52(C)及び図53(C)はZn原子のEDXマッピングであり、図52(D)及び図53(D)はGa原子のEDXマッピングであり、図52(E)及び図53(E)はIn原子のEDXマッピングである。なお、図52及び図53のHAADF-STEM像とEDXマッピングの倍率は720万倍である。
また、図52(B)乃至図52(E)、及び図53(B)乃至図53(E)に示すEDXマッピングの上側に位置するバーは、IGZO膜の各点における各原子の比率[atomic%]を示している。
図52及び図53に示すEDXマッピングでは、画像に相対的な明暗の分布が見られ、IGZO膜において各原子が分布を持って存在している様子が見て取れる。ここで、図52(B)乃至図52(E)に示す枠1Aと枠1B、及び図53(B)乃至図53(E)に示す枠2Aと枠2Bに注目する。
図52(E)及び図53(E)では枠1A及び枠2Aは相対的に明るい領域を多く含み、枠1B及び枠2Bは相対的に暗い領域を多く含む。つまり、枠1A及び枠2AはIn原子が相対的に多い領域であり、枠1B及び枠2BはIn原子が相対的に少ない領域である。図52(E)及び図53(E)で、相対的に明るい領域は上記実施の形態に示す領域A1に相当し、相対的に暗い領域は上記実施の形態に示す領域B1に相当する。
図52(D)及び図53(D)では、図52(E)及び図53(E)と対照的に、枠1A及び枠2Aは相対的に暗い領域を多く含み、枠1B及び枠2Bは相対的に明るい領域を多く含む。つまり、枠1A及び枠2AはGa原子が相対的に少ない領域であり、枠1B及び枠2BはGa原子が相対的に多い領域である。このように、In原子が相対的に多い領域ではGa原子が相対的に少なく、In原子が相対的に少ない領域ではGa原子が相対的に多い傾向が見られる。よって、図52(D)及び図53(D)で相対的に明るい領域は上記実施の形態に示す領域B1に概略対応し、相対的に暗い領域は上記実施の形態に示す領域A1に概略対応する。
図52(C)及び図53(C)では、枠1B及び枠2Bは相対的に明るい領域を多く含み、枠1A及び枠2Aは、枠1B及び枠2Bほどではないが明るい領域を含む。つまり、枠1B及び枠2Bは相対的にZn原子が多い領域であり、枠1A及び枠2Aは、枠1B及び枠2BほどではないがZn原子が含まれる領域である。
また、同様に図52(B)及び図53(B)について見ると、枠1A、枠1B、枠2A及び枠2Bは、相対的に酸素原子が多い領域であることが分かる。
このように、IGZO膜の領域A1は、In原子、O原子を多く含み、領域B1ほどではないが、Zn原子を含む領域である。このことから、領域A1は、例えば、インジウム、インジウム酸化物、In-Zn酸化物などを多く含むことが示唆される。よって、領域A1は、領域B1より導電性が高い領域として機能するので、トランジスタの電界効果移動度の増大及びオン電流の増加に寄与する。
ここで、図52(E)及び図53(E)に示す領域A1に対応する領域(例えば枠1A及び枠2A)に注目すると、領域A1に複数の粒状の部分が見られる。当該粒状の部分は、径の大きさが0.5nm以上1.5nm以下のサイズで観察される。領域A1は、複数の粒状の部分がそれぞれ互いに繋がって形成されているように見える。このように、領域A1は、クラウド状に広がって形成されている。領域A1に含まれる粒状の部分が上記実施の形態に示す領域A1のクラスタに対応する。
また、IGZO膜の領域B1は、Ga原子、Zn原子、及びO原子を多く含み、領域A1ほどではないが、In原子を含む領域である。このことから、領域B1は、例えば、In-Ga-Zn酸化物などを多く含むことが示唆される。よって、領域B1は、領域A1より半導体性が高い領域として機能するので、トランジスタのスイッチング特性に寄与する。
ここで、図52(D)及び図53(D)に示す領域B1に対応する領域(例えば枠1B及び枠2B)に注目すると、領域B1に複数の粒状の部分が見られる。領域B1も、複数の粒状の部分がそれぞれ互いに繋がって形成されているように見える。このように、領域B1も、クラウド状に広がって形成されている。領域B1に含まれる粒状の部分が上記実施の形態に示す領域B1のクラスタに対応する。
このように、本実施例で作製した試料のIGZO膜は、In-richな領域A1とIn-poorな領域B1が形成された、複合酸化物半導体である。領域A1がトランジスタのオン電流及び電界効果移動度に寄与し、領域B1がトランジスタのスイッチング特性に寄与するため、当該複合酸化物半導体を用いることで、オン電流が大きく、高移動度であり、S値が小さい、電気特性を有するトランジスタを作製することができる。
本実施例は、少なくともその一部を本明細書中に記載する実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、複合酸化物半導体を成膜し、XRDによりその結晶性を調べた結果について説明する。
[試料の作製]
本実施例では、酸素流量比と、成膜時の基板温度をそれぞれ条件振りし、酸化物半導体膜を有する試料を作製した。
各試料は、600mm×720mmのガラス基板上に酸化物半導体膜を成膜することにより得た。
酸化物半導体膜の成膜条件としては、流量200sccmの成膜ガスをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=5:1:7[原子数比])に、2.5kWの交流電力を印加することで形成した。
ここでは、基板温度を3条件、酸素流量比を6条件とし、計18種類の試料を作製した。成膜時の基板温度は、室温、130℃、170℃の3条件とした。酸素流量比は、0%、10%、30%、50%、70%、及び100%の計6条件とした。成膜ガスは、酸素ガスの流量とアルゴンガスの流量の和が200sccmとなるように、それぞれの比率を変えた条件を用いた。
[XRD分析結果]
XRD分析は、out-of-plane法の一種である粉末法(θ-2θ法ともいう。)を用いて行った。θー2θ法は、X線の入射角を変化させるとともに、X線源に対向して設けられる検出器の角度を入射角と同じにしてX線回折強度を測定する方法である。なお、X線を膜表面から約0.40°の角度から入射し、検出器の角度を変化させてX線回折強度を測定するout-of-plane法の一種であるGIXRD(Grazing-Incidence XRD)法(薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。)を用いてもよい。
図54に、各試料についてXRD測定を行った結果を示す。図54における横軸は角度2θであり、縦軸は回折強度を任意単位で示している。また、図54では、それぞれ測定箇所の異なる3つの回折プロファイルを示している。それぞれのグラフのプロファイルは、上側が基板中央(A)、下側が基板外周(C)、真ん中がAとCの中間のおける測定結果である。
回折強度のピークがみられた回折角(2θ=31°付近)は、単結晶InGaZnO4の構造モデルにおける(009)面の回折角と一致する。したがってこの回折強度のピークが確認された試料では、c軸が膜厚方向に配向する結晶部(以下、配向性を有する結晶部ともいう)が含まれていることが確認できる。
図54に示すように、室温成膜、酸素流量比が0%の条件では、明確なピークが確認できない。このことは、膜中の配向性を有する結晶部の存在割合が極めて低いことを示唆している。
一方、室温成膜条件であっても、成膜ガスに酸素を含ませることで、明確なピークが確認されている。室温成膜条件において、酸素流量比を70%以上とすると、ピーク強度が低下する傾向も見られている。
また、基板温度を高くすると、酸素流量比が0%であっても、明確なピークが確認される。また、基板温度130℃及び170℃の条件において、成膜ガスに酸素を含ませることで、より明確なピークが得られている。また、室温成膜条件と同様に、酸素流量比が高い(70%以上)条件では、ピーク強度が低下する傾向も見られている。
以上のことから、成膜される酸化物半導体膜の結晶性は、成膜時の酸素流量比と、基板温度の2つの条件により制御できることが確認できた。また、酸素流量比が0%の条件であっても、基板温度を高くすることにより結晶性を高めることができることが分かった。また、基板温度が室温の条件であっても、酸素流量比を高めることで結晶性を高めることができることが分かった。
本実施例は、少なくともその一部を本明細書中に記載する実施の形態または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、実施の形態2に示すトランジスタ100Aに相当するトランジスタを作製し、当該トランジスタの電気特性を評価した。本実施例においては、以下に示す試料S1を作製した。なお、試料S1は、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが50μmのトランジスタが形成された試料である。
[試料S1の作製方法]
まず、ガラス基板上に厚さ10nmのチタン膜と、厚さ100nmの銅膜とを、スパッタリング装置を用いて形成した。続いて当該導電膜をフォトリソグラフィ法により加工した。
次に、基板及び導電膜上に絶縁膜を4層積層して形成した。絶縁膜は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、真空中で連続して形成した。絶縁膜は、下から厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ300nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
次に、絶縁膜上に酸化物半導体膜を形成し、当該酸化物半導体膜を島状に加工することで、半導体層を形成した。酸化物半導体膜108としては、厚さ40nmの酸化物半導体膜を形成した。なお、当該酸化物半導体膜は、先に説明の複合酸化物半導体、またはC/IGZOである。
酸化物半導体膜の成膜条件としては、基板温度を室温(25℃)として、流量200sccmのアルゴンガスをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=5:1:7[原子数比])に、2.5kWの交流電力を印加することで形成した。本実施例では、酸化物半導体膜の成膜時における酸素流量比は0%である。
次に、絶縁膜及び半導体層上に、絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ150nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
次に、熱処理を行った。当該熱処理としては、窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で、350℃ 1時間の熱処理とした。
次に、絶縁膜の所望の領域に開口部を形成した。開口部の形成方法としては、ドライエッチング法を用いた。
次に、開口部を覆うように絶縁膜上に導電膜を形成し、当該導電膜を島状に加工した。また、導電膜を形成後、続けて、導電膜の下側に接する絶縁膜を加工することで、絶縁膜を形成した。
導電膜としては、厚さ10nmの酸化物半導体膜と、厚さ50nmの窒化チタン膜と、厚さ100nmの銅膜とを順に形成した。なお、酸化物半導体膜の成膜条件としては、基板温度を170℃として、流量200sccmの酸素ガスをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kWの交流電力を印加することで形成した。また、窒化チタン膜及び銅膜としては、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、半導体層、絶縁膜、及び導電膜上からプラズマ処理を行った。当該プラズマ処理としては、PECVD装置を用い、基板温度を220℃とし、アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下で行った。
次に、半導体層、絶縁膜、及び導電膜上に絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ100nmの窒化シリコン膜及び厚さ300nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて積層して形成した。
次に、形成した絶縁膜上にマスクを形成し、当該マスクを用いて絶縁膜に開口部を形成した。
次に、開口部を充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜を島状に加工することで、ソース電極及びドレイン電極となる導電膜を形成した。当該導電膜としては、厚さ10nmのチタン膜と、厚さ100nmの銅膜とを、スパッタリング装置を用いて、それぞれ形成した。
次に、絶縁膜、及び導電膜上に絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ1.5μmのアクリル系の感光性樹脂を用いた。
以上のようにして、試料S1を作製した。
[トランジスタのId-Vg特性]
次に、上記作製した試料S1のトランジスタのId-Vg特性を測定した。なお、トランジスタのId-Vg特性の測定条件としては、第1のゲート電極として機能する導電膜に印加する電圧(以下、ゲート電圧(Vg)ともいう)、及び第2のゲート電極として機能する導電膜に印加する電圧(以下、バックゲート電圧(Vbg)ともいう)を、-10Vから+10Vまで0.25Vのステップで印加した。また、ソース電極として機能する導電膜に印加する電圧(以下、ソース電圧(Vs)ともいう)を0V(comm)とし、ドレイン電極として機能する導電膜に印加する電圧(以下、ドレイン電圧(Vd)ともいう)を、0.1V及び20Vとした。
図55に、試料S1のId-Vg特性結果を示す。なお、図55において、第1縦軸がId[A]を、第2縦軸が電界効果移動度(μFE[cm2/Vs])を、横軸がVg[V]を、それぞれ表す。なお、電界効果移動度については、Vd=20Vで測定した際の値である。
なお、図55において、測定時のIdの上限値を1mAとして測定している。図55におけるVd=20Vの条件では、Vg=7.5VでIdがこの上限値を超える値となっている。そのため図55では、このId-Vg特性から見積もられる電界効果移動度として、Vg=7.5V以下の範囲を明示している。
図55に示すように、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタは、良好な電気特性を有する。ここで、図55に示すトランジスタの特性を表1に示す。
このように、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタは、電界効果移動度が100cm2/Vsを超えている。これは、低温ポリシリコンを用いたトランジスタに匹敵するほどの高い値であり、酸化物半導体を用いたトランジスタでは、驚異的な特性であるといえる。
表1に示すように、試料S1は、トランジスタのゲート電圧が0Vより大きく10V以下の範囲での電界効果移動度の最大値が、60cm2/Vs以上150cm2/Vs未満である第1の領域と、しきい値電圧が、-1V以上1V以下である第2の領域と、S値が、0.3V/decade未満である第3の領域と、オフ電流が、1×10-12A/cm2未満である第4の領域と、を有し、トランジスタの電界効果移動度の最大値をμFE(max)として表し、トランジスタのゲート電圧が2Vの電界効果移動度の値をμFE(Vg=2V)として表した場合、μFE(max)/μFE(Vg=2V)が1以上2未満となる。
上記のトランジスタの特性としては、先に説明の複合酸化物半導体、またはC/IGZOを用いることで得られる。複合酸化物半導体、またはC/IGZOをトランジスタの半導体層に用いることで、キャリア移動度が高い機能と、スイッチング特性が良好である機能と、を同時に兼ね備えることが実現できる。
本実施例は、少なくともその一部を本明細書中に記載する実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、実施の形態2に示すトランジスタ100Aに相当するトランジスタを作製し、当該トランジスタの電気特性及び当該トランジスタの断面形状を評価した。本実施例においては、以下に示す試料S2を作製した。なお、試料S2は、チャネル長Lが2μm、チャネル幅Wが3μmのトランジスタが形成された試料である。
[試料S2の作製方法]
まず、ガラス基板上に厚さ10nmのチタン膜と、厚さ100nmの銅膜とを、スパッタリング装置を用いて形成した。続いて当該導電膜をフォトリソグラフィ法により加工した。
次に、基板及び導電膜上に絶縁膜を4層積層して形成した。絶縁膜は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、真空中で連続して形成した。絶縁膜は、下から厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ100nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
次に、絶縁膜上に酸化物半導体膜を形成し、当該酸化物半導体膜を島状に加工することで、半導体層を形成した。酸化物半導体膜108としては、厚さ40nmの酸化物半導体膜を形成した。なお、当該酸化物半導体膜は、先に説明の複合酸化物半導体、またはC/IGZOである。
酸化物半導体膜の成膜条件としては、基板温度を70℃として、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガスと、をスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kWの交流電力を印加することで形成した。本実施例では、酸化物半導体膜の成膜時における酸素流量比は10%である。
次に、絶縁膜及び半導体層上に、絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ150nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
次に、熱処理を行った。当該熱処理としては、窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で、350℃ 1時間の熱処理とした。
次に、絶縁膜の所望の領域に開口部を形成した。開口部の形成方法としては、ドライエッチング法を用いた。
次に、開口部を覆うように絶縁膜上に導電膜を形成し、当該導電膜を島状に加工した。また、導電膜を形成後、続けて、導電膜の下側に接する絶縁膜を加工することで、絶縁膜を形成した。
導電膜としては、厚さ10nmの第1の酸化物半導体膜と、厚さ90nmの第2の酸化物半導体膜と、を順に形成した。なお、第1酸化物半導体膜の成膜条件としては、基板温度を170℃として、流量200sccmの酸素ガスをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kWの交流電力を印加することで形成した。また、第2酸化物半導体膜の成膜条件としては、基板温度を170℃として、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガスと、をスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kWの交流電力を印加すること形成した。
次に、半導体層、絶縁膜、及び導電膜上からプラズマ処理を行った。当該プラズマ処理としては、PECVD装置を用い、基板温度を220℃とし、アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下で行った。
次に、半導体層、絶縁膜、及び導電膜上に絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ100nmの窒化シリコン膜及び厚さ300nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて積層して形成した。
次に、形成した絶縁膜上にマスクを形成し、当該マスクを用いて絶縁膜に開口部を形成した。
次に、開口部を充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜を島状に加工することで、ソース電極及びドレイン電極となる導電膜を形成した。当該導電膜としては、厚さ50nmのチタン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜とを、スパッタリング装置を用いて、順に形成した。
次に、絶縁膜、及び導電膜上に絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ1.5μmのアクリル系の感光性樹脂を用いた。
以上のようにして、試料S2を作製した。
[トランジスタのId-Vg特性]
次に、上記作製した試料S2のトランジスタのId-Vg特性を測定した。なお、トランジスタのId-Vg特性の測定条件としては、先に示す実施例3と同じとした。
図56に、試料S2のId-Vg特性結果を示す。
図56に示すように、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタは、良好な電気特性を有する。ここで、図56に示すトランジスタの特性を表2に示す。
表2に示すように、試料S2は、トランジスタのゲート電圧が0Vより大きく10V以下の範囲での電界効果移動度の最大値が、60cm2/Vs以上150cm2/Vs未満である第1の領域と、しきい値電圧が、-1V以上1V以下である第2の領域と、S値が、0.3V/decade未満である第3の領域と、オフ電流が、1×10-12A/cm2未満である第4の領域と、を有し、トランジスタの電界効果移動度の最大値をμFE(max)として表し、トランジスタのゲート電圧が2Vの電界効果移動度の値をμFE(Vg=2V)として表した場合、μFE(max)/μFE(Vg=2V)が1以上2未満となる。
上記のトランジスタの特性としては、先に説明の複合酸化物半導体、またはC/IGZOを用いることで得られる。複合酸化物半導体、またはC/IGZOをトランジスタの半導体層に用いることで、キャリア移動度が高い機能と、スイッチング特性が良好である機能と、を同時に兼ね備えることが実現できる。
[トランジスタの断面形状]
次に、上記作製した試料S2のトランジスタの断面形状を評価した。なお、トランジスタの断面形状の評価としては、断面STEM観察を行った。図57に試料S2のトランジスタの断面STEM像を示す。
図57に示す通り、本実施例で作製した試料S2は良好な断面形状であることが確認された。また、チャネル長Lとしては、2μmの設計に対し、出来上がりの寸法が1.78μmであることが確認された。
本実施例は、少なくともその一部を本明細書中に記載する実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。