JP7039285B2 - 光電変換素子、及びこれを用いた光エリアセンサ、撮像素子、撮像装置 - Google Patents
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Description
上記有機光電変換層の一般的な構造としては、p型有機半導体とn型有機半導体の二つの有機化合物を混合する事で形成されるバルクヘテロ構造が挙げられ、そこに第三の有機半導体を加える事で、より高い性能を発現する光電変換素子の開発が行われている。
特許文献1には、温度上昇に伴う暗電流の上昇を抑制した耐熱性に優れた光電変換層として、p型有機半導体とn型有機半導体のバルクヘテロ構造に加えて、少量の低分子有機化合物を含有する構造が開示されている。また、特許文献2には、電子受容性材料に加えて、2種以上の電子供与性の高分子有機材料を含有する構造とすることで、入射光の吸収効率を向上した光電変換層が開示されている。
本発明の課題は、p型有機半導体とn型有機半導体のバルクヘテロ構造からなる光電変換層を有する光電変換素子において、暗電流の低減を図り、該光電変換素子を用いて、低ノイズの光エリアセンサ、撮像素子、撮像装置を提供することにある。
前記第一の有機半導体と前記第二の有機半導体と前記第三の有機半導体はいずれも低分子有機半導体であり、
前記第一の有機半導体と前記第二の有機半導体のうち、一方がp型半導体であり、他方がn型半導体であり、
前記第一の有機半導体と前記第二の有機半導体と前記第三の有機半導体の質量比が、
第一の有機半導体≧第二の有機半導体≧第三の有機半導体
であり、
前記第一の有機半導体と前記第二の有機半導体と前記第三の有機半導体の合計を100質量%とした時、前記第二の有機半導体の含有量が6質量%以上であり、前記第三の有機半導体の含有量が3質量%以上であり、
前記第一の有機半導体の溶解度パラメータをSP1とし、前記第二の有機半導体の溶解度パラメータをSP2とし、前記第三の有機半導体の溶解度パラメータをSP3とする場合、前記SP1、前記SP2、前記SP3が、下記式(2)および(3)を満たすことを特徴とする。
|SP1-SP2|>|SP2-SP3| ・・・(2)
|SP1-SP3|>|SP2-SP3| ・・・(3)
本発明の第二は、光電変換素子を備えた複数の画素を有し、前記複数の画素が二次元に配置されている光エリアセンサであって、
前記光電変換素子は本発明第一の光電変換素子であることを特徴とする。
本発明の第三は、光電変換素子と前記光電変換素子に接続されている読み出し回路とを備えた複数の画素、及び、前記画素に接続されている信号処理回路、を有する撮像素子であって、
前記光電変換素子は本発明第一の光電変換素子であることを特徴とする。
本発明の第四は、複数のレンズを有する撮像光学部と、前記撮像光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有し、前記撮像素子が本発明第三の撮像素子であることを特徴とする。
先ず、本発明の特徴である光電変換層について説明する。
光電変換層は、光を吸収することでその光量に応じた電荷を発生する。本発明に係る光電変換層は、少なくとも、第一の有機半導体と、第二の有機半導体と、第三の有機半導体と、を含有し、これらの有機半導体はいずれも低分子有機半導体である。また、第一の有機半導体と第二の有機半導体とは、一方がp型有機半導体(以下、「p型半導体」と記す)であり、他方がn型有機半導体(以下、「n型半導体」と記す)である。具体的には、第一の有機半導体と第二の有機半導体のうち酸化電位が小さい方がp型半導体である。光電変換層中に、p型半導体とn型半導体を混合することにより、外部量子効率(感度)を向上させることができる。
尚、第一の有機半導体と第二の有機半導体と第三の有機半導体において、光電変換層における含有量(質量%)が等しい場合には、分子量が大きい有機半導体から順に第一、第二、第三とする。即ち、3種類の有機半導体が等しく含有されている場合には、最も分子量が大きい有機半導体が第一の有機半導体であり、最も分子量が小さい有機半導体が第三の有機半導体である。また、3種類の有機半導体のうち、2種類の含有量が等しく、残りの1種類の含有量が先の2種類よりも多い場合、上記2種類の有機半導体のうち、分子量が大きい方が第二の有機半導体で、小さい方が第三の有機半導体である。また、3種類の有機半導体のうち、2種類の含有量が等しく、残りの1種類の含有量が先の2種類よりも少ない場合、上記2種類の有機半導体のうち、分子量が大きい方が第一の有機半導体で、小さい方が第二の有機半導体である。
図1は光電変換層における、基本的な暗電流の生成メカニズムを示す模式図であり、p型半導体とn型半導体の単分子における、HOMO(最高被占軌道)準位、LUMO(最低空軌道)準位の関係を図示している。暗電流はp型半導体のHOMO準位に存在する電子が、熱エネルギーによってn型半導体のLUMO準位へ移動することにより、発生すると考えられる。その際の電子移動のエネルギー障壁がΔE1である。
ところが、第一の有機半導体と第二の有機半導体との混合膜中では、それぞれが、例えば二量体を形成するなどして、同一化合物同士で会合している。その結果、HOMO準位、LUMO準位の状態密度がエネルギー的な広がりを形成する。
二元構成の、状態密度のエネルギー的な広がりを考慮した電子移動のエネルギー障壁ΔE2は、単分子のエネルギー準位で考える際のΔE1よりも小さい。電子移動のエネルギー障壁ΔE2が小さいほど、暗電流は大きい。すなわち、状態密度のエネルギー的な広がりが広いほど、ΔE2が小さくなり、暗電流が発生し易くなる。光電変換層中での第二の有機半導体の含有量が多くなるほど、第二の有機半導体同士で会合しやすくなると考えられ、HOMO準位、LUMO準位の状態密度のエネルギー的な広がりも広がり易いと考えられる。そのため、第二の有機半導体の含有量が多くなるに従い暗電流が増大すると考えられる。
破線で表された状態密度エネルギーは、実線で表された状態密度エネルギーに比べて、エネルギーの広がりが抑えられている。これは、第三の有機半導体をさらに有することで、第二の有機半導体同士の会合を抑制していると考えられる。その結果、各準位の状態密度のエネルギーの広がりを抑える事ができる。有機化合物の会合、二量体の形成、スタッキング等による相互作用は、特に同一の化合物同士で起こり易いため、異なる化合物が混在する場合はそれが阻害されるのである。また、第三の有機半導体による状態密度のエネルギーの広がりを抑える効果は第一の有機半導体に対してももたらされる。しかしながら、第一の有機半導体よりも含有量の少ない第二の有機半導体の方が、第三の有機半導体を混合する事により、分子同士が会合せずに、分散性の高い状態を実現し易い。その結果、第二の有機半導体の方が、各準位の状態密度のエネルギーの広がりを抑制しやすいと考えられる。
低分子有機化合物の三次元的な形状は、有機化合物を形成する各原子の位置を三次元座標にプロットした際に、X、Y、Zの各座標軸の最大値と最小値の差が長さとなる辺を一辺とする直方体に近似することができる。同じ大きさの直方体を三次元空間に充填した場合、図3に示すように、ある直方体Aの各面に対して、X軸方向に2個、Y軸方向に2個、Z軸方向に2個、合計6個の直方体Bが面で隣接する。図3には、直方体Aとその重心に加え、直方体Aに対して面で隣接する6個の直方体Bとその重心が示されている。ここで、混合膜中の含有量(質量%)が少ない第二の有機半導体が直方体Aであるとする。6個の直方体Bが全て第一の有機半導体である場合、第二の有機半導体同士が面で接することはない。一方、直方体Aが第二の有機半導体であり、6個の直方体Bのうち、少なくとも一つが第二の有機半導体である場合、第二の有機半導体同士が面で接することになる。つまり、第一の有機半導体と第二の有機半導体の混合膜において、第二の有機半導体の含有量が1/6、即ちおおよそ17質量%以上の場合、該混合膜中で第二の有機半導体同士が面で接触し、強いスタッキングによる相互作用を起こし得ることが分かる。
第一の有機半導体≧第二の有機半導体≧第三の有機半導体
となる。
非特許文献2に基づいた計算値と実験値を表1に示す。表1中、[1]は非特許文献1からの引用値であることを示し、[2]は非特許文献2からの引用値であることを示す。
|SP1-SP2|>|SP2-SP3| ・・・(2)
|SP1-SP3|>|SP2-SP3| ・・・(3)
|SP1-SP2|≧2.5 ・・・(4)
|SP1-SP3|≧2.5 ・・・(5)
|SP2-SP3|≦2.5 ・・・(6)
|SP2-SP3|≦1.0 ・・・(7)
変換効率(η)=EQE/光電変換層の吸収率 ・・・(8)
よって、変換効率(η)とは、光電変換層において吸収された光子より電子に変換される割合である。
変換効率(η)は、例えば次のようにして求めることができる。透明基板上の有機光電変換素子であってアノード、カソードとも例えばIZOのような透明電極を用いることにより透過する画素部を形成することで、吸収率測定が可能になる。測定装置としては(株)島津製作所製「Solidspec3700」などを用いて可能である。この光電変換素子の光照射時に流れる光電流から暗電流を差し引くことで、光電変換電流が求められ、ここから電子数に換算し、照射光子数で除することでEQEを求めることができる。そして、このEQEと光電変換層の吸収率から前述の通り、変換効率(η)を求めることができる。
高分子、ポリマー分子(macromolecule,polymer molecule):分子質量の大きい分子で、相対分子質量の小さい分子から実質的又は概念的に得られる単位の多数回の繰返しで構成された構造をもつものをいう。
オリゴマー分子(oligomer molecule):中程度の大きさの相対分子質量をもつ分子で、相対分子質量の小さい分子から実質的或いは概念的に得られる単位の少数回の繰返しで構成された構造を持つものをいう。
例えば、後述するフラーレンは閉殻空洞状の化合物であるが、1つの閉殻構造を1つの繰り返し単位と見なし、例えばフラーレンC60は、繰り返し数が1であるため、低分子である。
また、高分子には主に化学合成して得られる合成高分子と、自然界に存在する天然高分子とがある。天然高分子には分子量が単分散の高分子が存在するが、合成高分子は、一般的に繰り返し単位の違いによる分子量の分散性を有する。一方、本発明に用いられる有機半導体は天然に存在せず、合成して得られる分子であるが、繰り返し単位の違いによる分子量の分散性は有さない。
Ered1≧Ered3 ・・・(10)
Eox2:第二の有機半導体の酸化電位
Eox3:第三の有機半導体の酸化電位
Ered1:第一の有機半導体の還元電位
Ered3:第三の有機半導体の還元電位
Ered2≧Ered3 ・・・(12)
Eox1:第一の有機半導体の酸化電位
Eox3:第三の有機半導体の酸化電位
Ered2:第一の有機半導体の還元電位
Ered3:第三の有機半導体の還元電位
本発明において用いられるp型半導体とは、電子ドナー性有機半導体であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物である。p型半導体は、パンクロマティック吸収帯を得るために吸収波長が450nm乃至700nmの可視域にあることが好ましい。特にパンクロマティックな吸収帯を得るためには500nm乃至650nmにあることが好ましい。これにより、緑色領域以外にも450nm乃至470nm付近の青領域や600nm乃至630nm付近の赤領域の感度も一緒に向上させることができ、パンクロマティック性が向上する。
n1、n2、n3はそれぞれ独立に0乃至4の整数を表す。
X1乃至X3は窒素原子、硫黄原子、酸素原子、置換基を有してもよい炭素原子のいずれかを表す。
Ar1及びAr2は置換或いは無置換のアリーレン基、又は置換或いは無置換の二価の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。Ar1及びAr2が複数ある場合はそれぞれ同じでも異なってもよく、Ar1及びAr2はX2或いはX3が炭素原子の場合、互いに結合して環を形成してもよい。
Z1はハロゲン原子、シアノ基、置換或いは無置換のビニル基、置換或いは無置換のヘテロアリール基又は以下の一般式[1-1]乃至[1-9]で表される置換基のいずれかを表す。置換或いは無置換のビニル基は、シアノ基を有するビニル基、シアノ基を2つ有するビニル基であってよい。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
配位子L1乃至L9は置換或いは無置換のアリール基と置換或いは無置換の複素環基から選ばれる置換基を複数結合させた配位子である。
配位子を構成するアリール基として、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基などが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
配位子は、ヒドロキシ基やカルボキシル基等を置換基として有し、ヒドロキシ基やカルボキシル基を介して金属原子結合してもよい。
本発明において用いられるn型半導体とは、電子アクセプタ性有機半導体材料であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物である。n型半導体としては、フラーレン系化合物、金属錯体系化合物、フタロシアニン系化合物、カルボン酸ジイミド系化合物等が挙げられるが、フラーレン又はフラーレン誘導体を第一又は第二の有機半導体としてのn型半導体として含むことが好ましい。フラーレン分子又はフラーレン誘導体分子が光電変換層において連なることで、電子の輸送経路が形成されるため、電子輸送性が向上し、光電変換素子の高速応答性が向上する。フラーレン分子又はフラーレン誘導体分子の中でも、フラーレンC60が、電子の輸送経路を形成し易いので、特に好ましい。フラーレン又はフラーレン誘導体の含有量は、光電変換層の全量を100質量%とした場合、光電変換特性の良好さから40質量%以上85質量%以下が好ましい。
フラーレン誘導体は、フラーレンに置換基を有するものである。この置換基は、アルキル基、アリール基、複素環基等が挙げられる。
三元構成の光電変換素子においては近赤外域に吸収帯を有する化合物を用いることで感度領域を近赤外化することが可能である。その場合、第一、第二、第三のいずれかの有機半導体として、近赤外領域に吸収帯を有する化合物が含まれてもよい。近赤外域とは一般には800~2500nmの波長帯を指すが、有機材料を使った吸収材料としては下記のような化合物が知られている。
図7は、本発明の光電変換素子の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。本発明の光電変換素子は、少なくともアノード5と、カソード4と、アノード5とカソード4との間に配置される第1の有機化合物層としての光電変換層1を有し、該光電変換層1が、上記した特定の有機半導体組成を有している。本実施形態の光電変換素子10は、光電変換層1を挟んで、第2の有機化合物層2と第3の有機化合物層3とを備えた例である。
本実施形態の光電変換素子は、カソードとアノードとの間に電圧を印加して用いる素子であってよい。
アノード5の構成材料として、具体的には、ITO、インジウム亜鉛酸化物、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)等が挙げられる。
電極がITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、ITOの分散物の塗布などの方法で形成することができる。更に、形成されたITOに、UV-オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。電極がTiNの場合、反応性スパッタリング法をはじめとする各種の方法が用いられ、更にアニール処理、UV-オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。
また、図7においては図示されていないが、本発明の光電変換素子は、基板を有していてもよい。基板として、例えば、シリコン基板、ガラス基板、フレキシブル基板等が挙げられる。基板側にアノード5及びカソード4のいずれを配置するかは限定されず、基板上にアノード5/光電変換層1/カソード4の順でもよいし、カソード4/光電変換層1/アノード5でもよい。
以上が光電変換素子における主な構成である。実際には該光電変換素子は作製後にアニールされることが好ましいが、そのアニール条件によって本発明は特に限定されるものではない。
また、それぞれ異なる色に対応する複数の光電変換素子を積層することで、カラーフィルタが必要ない光電変換装置とすることもできる。
図9は、本発明の光電変換素子を用いた光電変換装置の一実施形態の構成を模式的に示す平面図である。本実施形態の光電変換装置は、撮像領域31と、垂直走査回路32と、2つの読み出し回路33と、2つの水平走査回路34と、2つの出力アンプ35を備えている。撮像領域31以外の領域が回路領域36である。
本発明の光電変換素子を、面内方向に二次元に配置させることで光エリアセンサの構成部材として用いることができる。光エリアセンサは、面内方向に二次元に配置された複数の光電変換素子を有している。このような構成において、複数の光電変換素子で生じた電荷に基づく信号を個別に出力することで、所定の受光エリアにおける光強度の分布を表わす情報を得ることができる。尚、この光エリアセンサに含まれる光電変換素子を、上述した光電変換装置に換えてもよい。
さらに、本発明の光電変換素子は、撮像素子の構成部材として用いることができる。撮像素子は、複数の画素(受光画素)を含む。複数の画素は、複数の行及び複数の列を含む行列に配置されている。このような構成において、各画素からの信号を1つの画素信号として出力することで、画像信号を得ることができる。撮像素子において、複数の受光画素はそれぞれ少なくとも1つの光電変換素子と、該光電変換素子に接続されている読み出し回路を有している。読み出し回路は、例えば、光電変換素子において生じた電荷に基づく信号を出力するトランジスタを含む。読み出された電荷に基づく情報が撮像素子に接続されているセンサ部に伝えられる。センサ部としては、CMOSセンサやCCDセンサが挙げられる。撮像素子では、それぞれの画素で取得した情報が、センサ部に集められることで画像を得ることができる。
本発明に係る光電変換素子は、撮像装置に用いることができる。撮像装置は、複数のレンズを有する撮像光学部と、該撮像光学部を通過した光を受光する撮像素子と、を有し、該撮像素子として本発明の光電変換素子を用いる。また、撮像装置は、撮像光学部と接合可能な接合部と、撮像素子とを有する撮像装置であってもよい。ここでいう撮像装置とは、より具体的には、デジタルカメラやデジタルスチルカメラ等をいう。撮像装置は、携帯端末に付加されていてよい。携帯端末は、特に限定されないが、スマートフォン、タブレット端末等であってよい。
以下に、実施例で用いた化合物を示す。
CV測定サンプルは、0.1Mテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩のオルトジクロロベンゼン溶液10mLに各化合物を1mg程度溶解させ、窒素による脱気処理を行うことにより調製した。測定には三電極法を用い、各電極には、非水溶媒系Ag/Ag+参照電極、直径0.5mm、長さ5cmの白金カウンター電極、内径3mmのガラス状カーボン作用電極(いずれもビー・エー・エス(株)製)を用いた。装置にはALS社製のモデル660C、電気化学アナライザーを用い、測定の挿引速度は、0.1V/sとした。このときの波形の例を図10に示す。バイアス極性を変えることで同様な方法で酸化電位(Eox)と還元電位(Ered)を測定することができる。表2に各材料の酸化電位、還元電位を示す。
ΔEox=(Eox3)-(Eox2) ・・・(13)
ΔEred=(Ered1)-(Ered3) ・・・(14)
Eox2≦Eox3 ・・・(9)
Ered1≧Ered3 ・・・(10)
これによって、ΔEoxが負である実施例11、12は、第三の有機半導体を混合する事による暗電流低減効果は認められるが、ΔEoxが0以上である、実施例3、8乃至10よりも、暗電流低減効果が小さいことが分かる。
これによって、第一の有機半導体がp型半導体、第二の有機半導体がn型半導体である場合でも、第三の有機半導体を含有することによる暗電流低減効果が示された。
表8中の実施例3、14乃至20における相対暗電流は、それぞれ、比較例1、13乃至18に対する暗電流の比である。実施例14乃至20の素子構成は、実施例3の素子構成に対して、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、第一の有機半導体、第二の有機半導体、第三の有機半導体のいずれか1つ乃至2つを、異なる化合物に変更した素子構成である。表8より、実施例14乃至20は、第三の有機半導体を混合することによる暗電流低減効果が確認できた。
暗電流の発生原因を解析するために、比較例1の光電変換素子の暗電流の温度依存性を測定してアレニウスプロットを行い、下記式(13)に従い活性化エネルギーを求めた。その結果を図11に示す。60℃(T/1000=3.0)くらいから高温側に向かって傾きが大きくなる。この傾きから次式(13)に従い活性化エネルギーを求めた。
比較例1に対する暗電流の比である相対暗電流は、実施例23よりも実施例3の方が小さかった。ここから、第一の有機半導体がn型半導体、第二の有機半導体がp型半導体である場合は、第三の有機半導体がp型半導体であることが好ましいことが分かる。
比較例10に対する暗電流の比である相対暗電流は、実施例13よりも実施例24の方が小さかった。ここから、第一の有機半導体がp型半導体、第二の有機半導体がn型半導体である場合は、第三の有機半導体がn型半導体であることが好ましいことが分かる。
高S/N比を得る第一、第二、第三の有機半導体の組合せについて検証した。先ず、一対のp型-n型半導体の組み合わせ毎の変換効率(η)を事前に評価しておくために、各p型半導体を25質量%含んだ光電変換層を有する光電変換素子を、上記実施例と同様な方法で作製して評価を行った。下記表11には一対のp型-n型半導体の組み合わせによる光電変換素子のEQEピークと変換効率について示した。変換効率(η)は、
変換効率(η)=EQE/光電変換層の吸収率 ・・・(8)
の関係より、EQE及び光電変換層の吸収率を別途求めてから計算した値である。EQEピーク波長は、暗所に置いた光電変換素子に対して、分光感度光源と半導体パラメータアナライザー(Agilent社「4155C」)を用いて、各波長の光を照射時と非照射時の電流を測定して光電流を求めた。その光電流を電子数に換算し、入射光子数で除してEQEとした。それにより各波長のEQEを測定して分光感度特性を取得し、最も長波長側の感度ピーク波長を求めた。また、各材料の励起エネルギーの指標としてバンドギャップも示した。このバンドギャップはそれぞれの100%膜を100nm程度の膜厚で真空蒸着により成膜した薄膜の吸収スペクトル測定から算出した。
光電変換層の変換効率は、当該光電変換層を有する光電変換素子の変換効率(η)から見積もることができる。
A:η≧80
B:80>η≧60
C:η<60
また、上記の結果から化合物2のフラーレンC60をn型半導体として用いても変換効率(η)には影響がないことがわかる。これはC60の可視部における吸収遷移が禁制遷移でありモル吸光係数が1000molL-1cm-1未満でありエネルギー受容体として有効に機能しないことを示している。
上記を踏まえて、表2に記載の第一の有機半導体層を形成する第一、第二、第三の有機半導体を下記表12に示す構成のようにした光電変換素子を作製し、その光電変換素子の変換効率(η)を評価した。
表12には、よりS/N比の優れた光電変換素子を得るために、表11の結果をもとに、本発明の光電変換素子の光電変換層の構成と変換効率(η)との関係について示す。尚、下記表12中の実施例の光電変換素子は、光電変換層以外の部分は上記した実施例と同様の方法で作製したものである。また変換効率(η)は表11における感度ピークに近い500nmの値を採用し本発明の効果を検証した。
一方で化合物2と、化合物4、5、14の中で組み合わせたp型-n型半導体の組み合わせを有する光電変換素子は実施例48乃至52に示すように、変換効率(η)が低かった。これは、実施例48乃至52の素子は、化合物2と14のみの光電変換素子に対して、より長波長側にEQEピークを有し、変換効率(η)の低い化合物2と4または化合物2と5の組み合わせを含む素子だからである。
第二、第三の有機半導体同士が選択的に混和しやすくなることで、第二の有機半導体同士の会合による、HOMO、LUMO準位の状態密度のエネルギー的な広がりを形成する現象が抑制される。実施例中のいくつかの有機半導体について計算を行い、SP値が前述した式(2)乃至(7)で示される関係になっているかを検証した。以下に各有機半導体のSP値の関係をまとめた表13を示す。なお、SP値において、第一の有機半導体である化合物2はC60であることから非特許文献3に記載の値を用いた。第二と第三の有機半導体のSP値については、非特許文献2に基づき計算により求めた。
Claims (18)
- 少なくとも、アノードと、光電変換層と、カソードと、をこの順で有し、前記光電変換層が少なくとも第一の有機半導体と第二の有機半導体と第三の有機半導体とからなる光電変換素子において、
前記第一の有機半導体と前記第二の有機半導体と前記第三の有機半導体はいずれも低分子有機半導体であり、
前記第一の有機半導体と前記第二の有機半導体のうち、一方がp型半導体であり、他方がn型半導体であり、
前記第一の有機半導体と前記第二の有機半導体と前記第三の有機半導体の質量比が、
第一の有機半導体≧第二の有機半導体≧第三の有機半導体
であり、
前記第一の有機半導体と前記第二の有機半導体と前記第三の有機半導体の合計を100質量%とした時、前記第二の有機半導体の含有量が6質量%以上であり、前記第三の有機半導体の含有量が3質量%以上であり、
前記第一の有機半導体の溶解度パラメータをSP1とし、前記第二の有機半導体の溶解度パラメータをSP2とし、前記第三の有機半導体の溶解度パラメータをSP3とする場合、前記SP1、前記SP2、前記SP3が、下記式(2)および(3)を満たすことを特徴とする光電変換素子。
|SP1-SP2|>|SP2-SP3| ・・・(2)
|SP1-SP3|>|SP2-SP3| ・・・(3) - 前記第二の有機半導体に対する、前記第三の有機半導体の質量比が、0.12以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記第一の有機半導体と前記第二の有機半導体と前記第三の有機半導体の合計を100質量%とした時、前記第二の有機半導体の含有量が10質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
- 前記第一の有機半導体がn型半導体であり、前記第二の有機半導体がp型半導体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
- 前記第三の有機半導体がp型半導体であることを特徴とする請求項4に記載の光電変換素子。
- 前記第二の有機半導体の酸化電位をEox2、前記第三の有機半導体の酸化電位をEox3、前記第一の有機半導体の還元電位をEred1、前記第三の有機半導体の還元電位をEred3とした時、各電位の関係が、
Eox2≦Eox3
Ered1≧Ered3
を満たすことを特徴とする請求項4又は5に記載の光電変換素子。 - 前記SP1、前記SP2、前記SP3が下記式を満たすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光電変換素子。
|SP1-SP2|≧2.5 ・・・(4)
|SP1-SP3|≧2.5 ・・・(5)
|SP2-SP3|≦2.5 ・・・(6) - 前記SP2および前記SP3が下記式を満たすことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光電変換素子。
|SP2-SP3|≦1 ・・・(7) - 前記第一の有機半導体、前記第二の有機半導体、前記第三の有機半導体のうち、p型半導体である有機半導体が、下記一般式[1]乃至[5]で示される化合物、キナクリドン誘導体、3H-フェノキサジン-3-オン誘導体のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光電変換素子。
(一般式[1]において、
R1は水素原子、ハロゲン原子、置換或いは無置換のアルキル基、置換或いは無置換のアルコキシ基、置換或いは無置換のアリール基、置換或いは無置換の複素環基、置換或いは無置換のビニル基、置換或いは無置換のアミノ基、シアノ基を表す。
n1、n2、n3はそれぞれ独立に0乃至4の整数を表す。
X1乃至X3は窒素原子、硫黄原子、酸素原子、置換基を有してもよい炭素原子のいずれかを表す。
Ar1及びAr2は置換或いは無置換のアリーレン基、又は置換或いは無置換の二価の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。Ar1及びAr2が複数ある場合はそれぞれ同じでも異なってもよく、Ar1及びAr2はX2或いはX3が炭素原子の場合、互いに結合して環を形成してもよい。
Z1はハロゲン原子、シアノ基、置換或いは無置換のビニル基、置換或いは無置換のヘテロアリール基又は以下の一般式[1-1]乃至[1-9]で表される置換基のいずれかを表す。
(一般式[1-1]乃至[1-9]において、R521乃至R588は水素原子、ハロゲン原子、置換或いは無置換のアルキル基、置換或いは無置換のアルコキシ基、置換或いは無置換のアリール基、置換或いは無置換の複素環基、置換或いは無置換のビニル基、置換或いは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。*は炭素原子との結合位置を表す。))
(一般式[2]において、
R20乃至R29は水素原子、ハロゲン原子、置換或いは無置換のアルキル基、置換或いは無置換のアルコキシ基、置換或いは無置換のアリール基、置換或いは無置換の複素環基、置換或いは無置換のビニル基、置換或いは無置換のアミノ基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。R20乃至R29のうちの隣り合う2つは互いに結合して環を形成してもよい。)
(一般式[3]乃至[5]において、
Mは金属原子であり、前記金属原子は酸素原子又はハロゲン原子を置換基として有してもよい。
L1乃至L9は金属Mに配位する配位子であって、置換或いは無置換のアリール基、置換或いは無置換の複素環基からなり、それぞれL1乃至L9のうちの隣り合う2つは互いに結合して環を形成してもよい配位子を表す。) - 前記第一の有機半導体及び前記第二の有機半導体のうち、n型半導体である有機半導体は、フラーレン又はフラーレン誘導体であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光電変換素子。
- 前記フラーレン又はフラーレン誘導体は、フラーレンC60であることを特徴とする請求項11に記載の光電変換素子。
- 前記第一の有機半導体、前記第二の有機半導体及び前記第三の有機半導体から選択される、一種のp型半導体と一種のn型半導体から構成される、互いに異なる光電変換層を備えた2つの光電変換素子を構成した場合に、入射光に対する外部量子効率の分光感度スペクトルにおけるピークがより長波長側に存在する光電変換素子が、前記ピークがより短波長側に存在する光電変換素子よりも、(外部量子効率/光電変換層の吸収率)で示される変換効率が高いことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光電変換素子。
- 光電変換素子を備えた複数の画素を有し、前記複数の画素が二次元に配置されている光エリアセンサであって、
前記光電変換素子は請求項1乃至13のいずれか一項に記載の光電変換素子であることを特徴とする光エリアセンサ。 - 光電変換素子と前記光電変換素子に接続されている読み出し回路とを備えた複数の画素、及び、前記画素に接続されている信号処理回路、を有する撮像素子であって、
前記光電変換素子は請求項1乃至13のいずれか一項に記載の光電変換素子であることを特徴とする撮像素子。 - 複数のレンズを有する撮像光学部と、前記撮像光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有し、前記撮像素子が請求項15に記載の撮像素子であることを特徴とする撮像装置。
- 前記撮像装置は、外部からの信号を受信する受信部をさらに有し、前記信号は、前記撮像装置の撮像範囲、撮像の開始、撮像の終了の少なくともいずれかを制御する信号であることを特徴とする請求項16に記載の撮像装置。
- 前記撮像装置は、取得した画像を外部に送信する送信部をさらに有することを特徴とする請求項16又は17に記載の撮像装置。
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