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JP7040609B2 - 印刷物の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は印刷物の製造方法に関する。
世界的な人口増加に伴い、食品、生活用品主体の包装に用いられる軟包装は、今後も需要の拡大が見込まれる。現在、軟包装印刷で主流となっているグラビア印刷では、見た目が鮮やかな印刷物が得られる。一方、グラビア印刷は、溶剤を大量に含むインキを使用することから、インキ溶剤の乾燥や排気処理に多量のエネルギーが必要となり、環境負荷が大きい。更に、従来の大量生産・大量消費から、小ロット・多品種・短納期へとマーケットのニーズが変化していることから、版代、製版代が高価で、大ロットを得意としていたグラビア印刷では生産コストアップにも繋がっている。そのため近年では、版代、製版代が安価で、小ロット・短納期の点からコスト面で優位な平版印刷を用いて、軟包装印刷を実施する試みが始まっている(特許文献1)。
平版印刷は、高速、大量、安価に印刷物を供給するシステムとして広く普及している印刷方式である。加えて近年では、環境問題への対応から平版印刷用インキに含まれる揮発成分を低減する要求がある。このため、揮発成分を含まず、活性エネルギー線の照射により瞬時に硬化する平版印刷用インキ(以下、「活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキ」という。)の利用が進められている。軟包装印刷ではロールトゥロールで印刷するため、インキの速乾性が重要である。活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを用いる活性エネルギー線硬化型平版印刷は、環境面での利点に加えて、熱エネルギーを使用せずに乾燥工程を短縮するため、省エネルギーかつ高い生産性を有するものである。
また、軟包装印刷物の主な用途は食品の包装であるため、内容物汚染防止の観点から、放射線硬化型平版印刷用インキは、重合開始剤を含まないことが望ましい。
日本国特開2004-358788号公報
しかしながら、一般に放射線硬化型平版印刷用インキは、基材への密着性が低く、グラビア印刷と比べて基材への密着性が不十分であった。
そこで、本発明では、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを用いても、該インキと基材の密着性を向上させることができる印刷物の製造方法を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討の結果、湿し水に含まれる溶存酸素濃度を低減することにより、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを基材上に転写し、放射線を照射する平版印刷版を用いた印刷物の製造方法であって、溶存酸素濃度が5ppm以下である湿し水を使用する、印刷物の製造方法。
本発明に係る印刷物の製造方法によれば、基材に対するインキの密着性を向上することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明において、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキは硬化前の状態のインキを指し、インキとは硬化後の状態のインキを指す。
本発明に係る印刷物の製造方法は、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを基材上に転写し、放射線を照射する工程を含む、平版印刷版を用いた印刷物の製造方法に関する。すなわち、平版印刷版の非画線部に湿し水を付着させ、平版印刷版の画線部に活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを付着させて、基材上に転写し、放射線を照射する、平版印刷版を用いた印刷物の製造方法に関する。
本発明に係る印刷物の製造方法は、湿し水中の溶存酸素濃度が5ppm以下である湿し水を使用することを特徴とする。印刷において、平版印刷版上で隣接配置された、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキおよび湿し水が接触すると、湿し水は、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキにより乳化され、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキ中に分散される。そのため、湿し水に含まれる溶存酸素濃度が多いほど、放射線照射により基材表面に生成されたラジカルが溶存酸素に捕捉され失活しやすくなる。通常の湿し水中の溶存酸素濃度は、水温を15℃前後の低温度に保つことから、10ppm前後である。一方、本発明に係る印刷物の製造方法では、1気圧15℃における湿し水中の溶存酸素濃度を5ppm以下とすることで、ラジカルの失活を低減することができ、結果として活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキと基材とのラジカル架橋が進み、インキの基材への密着性が向上する。溶存酸素濃度は1ppm以下がより好ましい。湿し水中の溶存酸素濃度を低減する方法としては、窒素やアルゴンなどの不活性ガスによるバブリング方式や、中空糸膜分離等を使用する脱気方式などや脱酸素装置を用いる方法が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせて湿し水中の溶存酸素濃度を低減させてもよい。バブリング方式は、簡易に湿し水中の溶存酸素濃度を5ppm以下に低減させる手法であるため好ましい。脱気方式は、湿し水中の溶存酸素濃度を1ppm以下に低減することが可能であるため、より好ましい。前記の理由から湿し水中の溶存酸素濃度は低いほど好ましいが、測定機器の検出感度の点から0.01ppm以上が好ましい。
さらに湿し水は、酸化防止剤を実質的に含まないことが好ましい。酸化防止剤を実質的に含まないとは、酸化防止剤の含有量が、0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。元来、湿し水には、印刷版の感脂化を抑制するために酸化防止剤が添加されている。ここでいう感脂化とは、印刷版における非画線部のアルミが酸化され、親水性が低下することを意味する。酸化は、化合物中に生成したラジカルに酸素が付加することで発生する。酸化防止剤は酸素よりも強力なラジカル捕捉能を有するため、湿し水に酸化防止剤が実質的に含まれないことが好ましい。湿し水に酸化防止剤が実質的に含まれない場合、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキ-基材間のラジカル架橋が進み、インキの基材への密着性を向上させることができる。
本発明において、酸化防止剤とは、フェノール系、アミン系、リン系の有機酸化防止剤、金属系酸化防止剤、天然物由来の酸化防止剤等が挙げられる。例えば、フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)チオグリコレート、ステアリル-β-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、トリエチレングリコールビス[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-(β-3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス[3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)ブチリックアシド]グルコールエステル、ビス[2-t-ブチル4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、2-t-ブチル4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェニルアクリレート、1,3,5-トリス[β-(3,5-ジ-t-ブチル4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、炭素数が1~10のアルキル基を有するモノアルキルジフェニルアミン類、ジアルキルジフェニルアミン類、ポリアルキルジフェニルアミン類、アルキル置換フェニル-α-ナフチルアミン等が挙げられ、具体的には、モノブチルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミン、4,4’-ジブチルジフェニルアミン、4,4’-ジペンチルジフェニルアミン、4,4’-ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’-ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’-ジオクチルジフェニルアミン、4,4’-ジノニルジフェニルアミン、4-ブチル-4’-オクチルジフェニルアミン、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミン、ジ(2,4-ジエチルフェニル)アミン、ジ(2-エチル-4-ノニルフェニル)アミン、メチルフェニル-α-ナフチルアミン、エチルフェニル-α-ナフチルアミン、ブチルフェニル-α-ナフチルアミン、ヘキシルフェニル-α-ナフチルアミン、ヘプチルフェニル-α-ナフチルアミン、オクチルフェニル-α-ナフチルアミン、ノニルフェニル-α-ナフチルアミン、ドデシルフェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジブチルフェニル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、テトラアルキルビスフェノールAジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタントリホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・ビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジt-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジt-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
金属系酸化防止剤としては、亜鉛系やモリブデン系の酸化防止剤が挙げられ、具体的には、ジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン等が挙げられる。
天然物由来の酸化防止剤としては、トコフェロール、L-アスコルビン酸ステアレート、L-アスコルビン酸パルミテート等が挙げられる。
本発明の印刷物の製造方法における放射線源としては、電子線、ガンマ線などが挙げられる。放射線は照射物質中で高エネルギーの二次電子を発生させ、周囲の分子を励起し、ラジカルに代表される反応活性種を生成する。被照射物質の化学構造によって、生成された反応活性種は架橋や分解など様々な反応を引き起こす。被照射物質が、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキであると、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキ中でラジカルが生成され、ラジカル重合が進み、硬化・インキ皮膜となる。また放射線は、転写された活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを透過して基材にも作用する。基材を構成する高分子でも同様にラジカルが生成し、分子間の架橋や分解などの反応を起こす。特に、ラジカル重合が活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキ-基材間で進行することで、インキ-基材間に共有結合が形成され、高い密着性を発現する。
湿し水は90質量%~99質量%が水であることが好ましい。
湿し水は、そのpHを酸性にするために酸を含むことが好ましい。酸の具体例としては、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸、マロン酸、スルファニル酸、p-トルエンスルホン酸、有機ホスホン酸、リン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸が挙げられる。更にこれらの酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等を含むことで、湿し水に緩衝能を付与することができる。
また湿し水は、動的表面張力を低減し、印刷版面に濡れ易くするため、アルコール類、およびグリコール類を含むことができる。具体例としては、3-メチル-1-ブチン-3-オール、2-ブチン-1,4-ジオール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、2,5,8,11-テトラメチル-6-ドデシン-5,8-ジオール、及びこれらのエチレンオキシド付加物及びプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
本発明に使用する放射線は、電子線であることが好ましい。特に、透過性が低く、対象物の表層に集中的にエネルギーを与えられ、また利用時の特別な資格が不要で取り扱いが容易なことから、低加速電圧による電子線を用いることが好ましい。電子線は加速電圧により、透過深度が決まるため、インキ膜を十分な線量が透過する、50kV以上が好ましく、90kV以上がより好ましく、110kV以上がさらに好ましい。また、透過深度が大きくなると、基材の内部に与える線量も増えるため、300kV以下が好ましく、200kV以下がより好ましく、150kV以下がさらに好ましい。また電子線の照射強度が高いほど、対象物質中でラジカル種の発生量が増える一方で、基材のダメージも大きくなるため、照射強度は10kGy以上100kGy以下が好ましく、20kGy以上50kGy以下がより好ましい。
本発明に使用する基材は、プラスチックフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリαメチルスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどのプラスチックフィルム、前記プラスチックフィルムが紙上にラミネートされたプラスチックフィルムラミネート紙、アルミニウム、亜鉛、銅などの金属がプラスチック上に蒸着された金属蒸着プラスチックフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムは、放射線架橋型高分子を含むものが好ましく、プラスチックフィルムの最表面に放射線架橋型高分子が存在しているものがより好ましい。ここで放射線架橋型高分子とは、放射線照射をした際に、分解せず、架橋反応が起こる高分子を指す。具体的には、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアルキルアクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられ、中でも、軟包装印刷での主要な基材である、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。
またこれらのプラスチックフィルムは易接着コートまたはコロナ処理により表面処理されたものであることが好ましい。プラスチックフィルムの最表面の材質が、放射線照射によりラジカルを発生しやすいほど、インキ-基材間でのラジカル重合による共有結合形成が進み、密着性が向上する。易接着コートとしては、アクリルコートまたはウレタンコートが好ましい。特に、電子線照射によりラジカルの発生しやすい官能基である、アクリル基を含有する、アクリルコートがより好ましい。
基材の厚みは、印刷に必要な基材の機械的強度から5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、基材のコストが安価となる50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。
本発明に使用する活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキは、フィルム表面に存在するラジカルとの反応性が向上し、密着性がより向上することから、エチレン性不飽和基を有する樹脂を含むことが好ましい。
エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂等の側鎖にエチレン性不飽和基を導入したものや、フタレート樹脂等が挙げられる。例えば、エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂は、次の方法により作製できる。すなわち、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルまたはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマー、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸-2-(メルカプトアセトキシ)エチルなどのメルカプト基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド-t-ブチルスルホン酸などのスルホ基含有モノマー、2-(メタ)アクロイロキシエチルアシッドホスフェートなどのリン酸基含有モノマー、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル等の中から選択された化合物を、ラジカル重合開始剤を用いて重合または共重合させることで親水性基を有する樹脂が得られる。さらに前記親水性基を有する樹脂中の活性水素含有基であるメルカプト基、アミノ基、ヒドロキシ基やカルボキシ基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させることにより、エチレン性不飽和基を有する樹脂が得られる。ただし、これらの方法に限定されるものではない。
また、グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル、イソクロトン酸グリシジルなどが挙げられる。
また、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物の具体例としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネートなどが挙げられる。
フタレート樹脂としては、ジアリルオルソフタレートおよびジアリルイソフタレートのいずれか一方、または2種混合して有機溶媒中、重合開始剤の存在下、重合反応を行うことにより得ることができる。このうち未反応部分がエチレン性不飽和基として樹脂中に残る。フタレート樹脂は、合成化合物以外にも市販品を用いることができ、具体例として、大阪ソーダ社製のダイソーダップ(登録商標)シリーズや、ダイソーイソダップ(登録商標)が挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する樹脂のアクリル当量は、感度が向上し、かつ良好な保存安定性が得られる、300g/eq以上2000g/eq以下であることが好ましい。本明細書において、樹脂のアクリル当量は、JIS K 2605に基づいて測定される、インキの臭素価(試料100g中の不飽和成分に付加する臭素のg数)を、アクリロイル基1モルあたりのインキのg数に換算した値(単位:g/eq)を表す。
エチレン性不飽和基を有する樹脂の重量平均分子量は、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキの印刷適性が良好に保たれる、5,000以上100,000以下が好ましい。なお、樹脂の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレン換算で測定を行い、得ることができる。
本発明の印刷物の製造方法において、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキ中、エチレン性不飽和基を有する樹脂を5質量%以上40質量%以下含むことで印刷適性を良好に保つことが出来るため好ましい。
活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキとして、市販品の具体例としては、Sun Chemical社製EC DEVELOPMENTや、Flint社製XCURA EVOなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを作製する場合、樹脂を多官能(メタ)アクリレートに溶解した樹脂ワニスに、顔料、助剤を加えて三本ロールミルで混練することで得られる。
多官能(メタ)アクリレートは、2官能では、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。3官能では、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートや、これらのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物前記等が挙げられる。4官能ではペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートや、これらのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物が挙げられる。5官能以上ではジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、これらのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物が挙げられる。またヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートの好ましい具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、イソシアヌル酸、およびジペンタエリスリトール等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、およびこれらのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。より具体的には、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、およびこれらのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体、テトラエチレンオキシド付加体等が挙げられる。また、これらを2種以上含んでもよい。
本発明に使用する活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキは、基材との密着性をより向上させることができる点から、ウレタン化合物を含むことが好ましい。ウレタン化合物としては、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させることにより合成できるものを指し、特に硬化性の観点から、(メタ)アクリル基を有するウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、ポリイソシアネート化合物、およびポリオール化合物を反応させることにより合成することができる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、イソシアヌル酸、およびジペンタエリスリトール等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。より具体的には、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、並びにこれらのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体、テトラエチレンオキシド付加体等が挙げられる。これらのうち、ペンタエリスリトールトリアクリレートが特に好ましく用いることができる。これらのアクリル基を2つ以上有する水酸基含有アクリル酸エステルを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリイソシアネート化合物は、ポリオール化合物の水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とが反応してなるウレタン化合物の粘度の抑制や、インキ中の樹脂やモノマーとの相溶性を保つため、ジイソシアネートを用いるのが好ましい。ジイソシアネートとしては、特に限定されるものではないが、芳香環構造をもつ化合物として、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが挙げられる。脂環構造をもつ化合物としてイソホロンジイソシアネート、4,4-メチレンビスシクロへキシルジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートがあげられる。また、脂肪族構造をもつ化合物としてヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネートは1種または2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
ポリオール化合物としては、エステル構造やカーボネート構造、ポリアルキレンオキシド構造を有するものが挙げられる。エステル構造を与えるジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸とジオールの反応物等が挙げられる。このうち、比較的安価であること、良好な耐熱性を持つこと、インキへの良好な相溶性を保つことから、イソフタル酸とアジピン酸が特に好ましい。またカーボネート構造として、具体的には、ペンタメチレンカーボネートジオール、ヘキサメチレンカーボネートジオール、ヘキサンカーボネートジオール、デカンカーボネートジオール等が挙げられる。
顔料は、フタロシアニン系顔料、溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、レーキ顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベンガラ、カドミウムレッド、黄鉛、亜鉛黄、紺青、群青、酸化物被覆ガラス粉末、酸化物被覆雲母、酸化物被覆金属粒子、アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、亜鉛粉、ステンレス粉、ニッケル粉、有機ベントナイト、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
その他に、光重合開始剤や、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤等の添加剤をインキに含んでいてもよい。また紫外線硬化型インキを用いることもできるが、放射線による硬化では光重合開始剤が不要となるため、こうした光重合開始剤を含まないインキを用いることが好ましい。光重合開始剤の分解物や未反応物は、臭気や内容物汚染の原因になるためである。
本発明に係る印刷物の製造方法において用いられる印刷機としては、基材が薄膜のプラスチックフィルムであっても、高い見当精度で多色印刷可能で、放射線源による一括硬化が可能になることから、センターインプレッション胴を備えた輪転印刷機を用いることが好ましい。具体的には、COMEXI社製CI-8が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<湿し水の作製>
湿し水1:純水90質量部、イソプロパノール5質量部、プロピレングリコールモノブチルエーテル4質量部、アラビアガム0.5質量部、リン酸0.2質量部、リン酸ナトリウム0.2質量部、t-ブチルヒドロキノン0.1質量部を混合することで、18Lの湿し水を作製した。
湿し水2:t-ブチルヒドロキノンを除いたこと以外は湿し水1と同様に作製した。
湿し水3:t-ブチルヒドロキノンを0.01質量部に変更したこと以外は湿し水1と同様に作製した。
溶存酸素濃度の調整は、1気圧15℃において、3ppmまでの低減は窒素バブリングにより行い、それ以下にする場合は、脱酸素装置(共和社製、溶存酸素除去装置)を用いて溶存酸素除去を行った。溶存酸素濃度の調整は、溶存酸素計(GS社製DOM2000)にて随時測定することで実施した。また、比較例2においては溶存酸素濃度の調整は行っておらず、比較例3においては、酸素バブリングをすることで、飽和酸素濃度に調節した。
<活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキの作製>
インキ1:エチレン性不飽和基を有する樹脂として大阪ソーダ社製ダイソーダップ(登録商標)Kが30質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてMiwon社製M600が25質量部、およびMiwon社製M3130が23質量部、墨顔料としてCabot社製MogulEが18質量部、体質顔料として日本タルク社製ミクロエースP-8が2質量部、分散剤としてBYK社製造Disper BYK2013が1質量部、ワックスとして喜多村社製KTL-4Nが1質量部からなる活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを三本ロールミルで混練することで作製した。
インキ2:エチレン性不飽和基を持たない樹脂として星光PMC社製ハイロスー(登録商標)VS-1259が24質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてMiwon社製M4004が34質量部、およびMiwon社製M262が20質量部、墨顔料としてCabot社製MogulEが18質量部、体質顔料として日本タルク社製ミクロエースP-8が2質量部、分散剤としてBYK社製造Disper BYK2013が1質量部、ワックスとして喜多村社製KTL-4Nが1質量部からなる活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを三本ロールミルで混練することで作製した。
インキ3:エチレン性不飽和基を有する樹脂として大阪ソーダ社製ダイソーダップ(登録商標)Kが28質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてMiwon社製M600が22質量部、およびMiwon社製M3130が21質量部、ウレタン化合物として東亞合成社製アロニックス(登録商標)M-1200が8質量部、墨顔料としてCabot社製MogulEが18質量部、体質顔料として日本タルク社製ミクロエースP-8が2質量部、分散剤としてBYK社製造Disper BYK2013が1質量部、ワックスとして喜多村社製KTL-4Nが1質量部からなる活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを三本ロールミルで混練することで作製した。
<使用基材>
基材1(PET):PTM(ユニチカ社製、厚み12μm)、表面をポリエステルコートしたフィルム
基材2(OPP):P2111(東洋紡社製、厚み20μm)、表面をコロナ処理したフィルム
基材3(ポリアミド):ONM(ユニチカ社製、厚み15μm)、表面をウレタンコートしたフィルム
基材4(PET):S-46(polyplex社製、厚み12μm)、表面をアクリルコートしたフィルム
基材5(OPP):P2002(東洋紡社製、厚み40μm)、未処理表面のフィルム
基材6(ポリビニルアルコール):エバールEF-XL(クラレ社製、厚み12μm)、未処理表面のフィルム
<印刷試験>
平版印刷版(XP-F、富士フィルム(株)社製)を軟包装平版印刷機(CI-8、Comexi社製)に装着し、湿し水を用い、各種原反に150m/分で活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを印刷した。その後、e-beam社製電子線照射装置を用いて、加速電圧110kV、照射線量30kGyで電子線照射し、活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを硬化させ、印刷物を得た。
<密着性の測定>
印刷試験にて得られた印刷物に、三井化学社製タケラックA969V/タケネートA-5(質量比5/1)混合ラミネート接着剤を、膜厚3.0g/m2で塗工し、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、東洋紡社製P1128 厚み30μm)でラミネートした。その後、40℃で3日間エージングすることで、ラミネートサンプルを得た。ラミネートサンプル中のインキ濃度100%のベタ部を15mm幅で短冊状にカットし、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製 RTG-1210)にて300mm/分90度角で剥離した際の、剥離強度を測定した。剥離強度が1N/15mm以上が良好な結果で、3N/15mm以上または基材破断が極めて良好な結果である。
[実施例1~5、および比較例1~3]
上記で作製したインキ1、および表1に示した溶存酸素濃度を有する湿し水1または湿し水2を用いて、基材1に平板印刷したところ、湿し水中の溶存酸素濃度の低下とともに、密着性が向上する傾向が見られた。溶存酸素濃度が5ppm以下でラミネート剥離強度も1N/15mmを越え、良好であった。結果を表1に示す。
Figure 0007040609000001
[実施例6~10]
実施例3の条件から基材1を、基材2~6のいずれかに変更して印刷を行った。最表面でラジカル生成しやすいフィルムほど密着性が高い傾向が見られた。結果を表2に示す。
Figure 0007040609000002
[実施例11]
実施例3の条件から湿し水1を、湿し水3に変更して印刷を行った。湿し水中の酸化防止剤の量を低減することで、若干の密着性向上が見られた。結果を表3に示す。
[実施例12および13]
実施例3の条件からインキ1を、インキ2またはインキ3に変更して印刷を行った。結果を表3に示す。
Figure 0007040609000003
本発明に係る印刷物の製造方法は、基材に対するインキの密着性を向上することができる。

Claims (10)

  1. 活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキを基材上に転写し、放射線を照射する平版印刷版を用いた印刷物の製造方法であって、溶存酸素濃度が5ppm以下である湿し水を使用する、印刷物の製造方法。
  2. 前記湿し水が、酸化防止剤を実質的に含まない、請求項1に記載の印刷物の製造方法。
  3. 前記放射線が、電子線である、請求項1または2に記載の印刷物の製造方法。
  4. 前記基材が、プラスチックフィルムである、請求項1~3のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  5. 前記プラスチックフィルムが、放射線架橋型高分子を含む、請求項4に記載の印刷物の製造方法。
  6. 前記プラスチックフィルムが、易接着コートまたはコロナ処理により表面処理がされたものである、請求項4または5に記載の印刷物の製造方法。
  7. 前記易接着コートが、ウレタンコートまたはアクリルコートである、請求項6に記載の印刷物の製造方法。
  8. 前記活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキが、エチレン性不飽和基を有する樹脂を含む、請求項1~7のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  9. 前記活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキが、ウレタン化合物を含む、請求項1~8のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  10. センターインプレッション胴を備えた輪転印刷機を用いる、請求項1~9のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
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