JP7040924B2 - 耐火部の検査方法、耐火部の補修方法及び耐火部の検査装置 - Google Patents
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Description
具体的には、火炉壁は、少なくとも1つの管を含む熱交換部と、熱交換部の表面に溶接によって取り付けられたアンカ部材と、熱交換部の表面を覆う耐火部とを含む熱交換ユニットを有する。
この検査方法では、耐火部に加えた衝撃により発生する振動の固有振動数と減衰率を、それらについての判定基準の値と比較することで耐火部が剥離しているか否かを判定する(特許文献1参照)。
検査対象ボイラの火炉壁における耐火部の検査方法であって、
前記耐火部に衝撃を加える振動励起工程と、
前記衝撃によって前記耐火部の検査対象領域で発生した振動を測定する振動測定工程と、
前記振動測定工程の測定結果に基づいて、前記検査対象領域の固有振動数を求める固有振動数解析工程と、
前記振動測定工程の測定結果に基づいて、前記検査対象領域で発生した振動の減衰に関するパラメータを求める減衰パラメータ解析工程と、
前記固有振動数解析工程で求められた前記固有振動数と過去の検査結果に基づいて、所定期間経過後の前記固有振動数の推定値である振動数推定値を算出する振動数推定工程と、
前記減衰パラメータ解析工程で求められた前記減衰に関するパラメータと過去の検査結果に基づいて、前記所定期間経過後の前記減衰に関するパラメータの推定値である減衰パラメータ推定値を算出する減衰推定工程と、
前記固有振動数、前記減衰に関するパラメータ、及び、前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の少なくとも何れか一方に基づいて、前記検査対象領域における前記耐火部の剥離を判定する剥離判定工程と、
を備える。
これにより、固有振動数解析工程で求められた固有振動数が許容値の下限値近傍であっても検査対象領域に剥離があるか否かを精度よく判定できる。
これにより、減衰パラメータ解析工程で求められた減衰に関するパラメータが許容範囲の境界値近傍であっても検査対象領域に剥離があるか否かを精度よく判定できる。
これにより、固有振動数解析工程で求められた固有振動数が許容値の下限値近傍であったり、減衰パラメータ解析工程で求められた減衰に関するパラメータが許容範囲の境界値近傍であったりしても、検査対象領域に剥離があるか否かを精度よく判定できる。
これにより、固有振動数解析工程で求められた固有振動数が許容値の下限値近傍であり、且つ、減衰パラメータ解析工程で求められた減衰に関するパラメータが許容範囲の境界値近傍であっても、検査対象領域に剥離があるか否かを精度よく判定できる。
前記耐火部の検査方法は、前記剥離判定工程における判定結果に基づいて前記耐火部の補修の必要性を判定する補修判定工程をさらに備え、
前記補修判定工程は、前記剥離判定工程で前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の少なくとも何れか一方に基づいて前記検査対象領域における前記耐火部に剥離がないと判定されている場合であっても、前記検査対象領域の周囲において、前記耐火部に剥離があると判定されている領域の割合が所定割合を超えている場合に、
前記検査対象領域における前記耐火部の補修の必要があると判定する。
前記検査対象ボイラのボイラ形式は、気泡流動層ボイラ又は循環流動層ボイラであり、
前記類似ボイラのボイラ形式は、前記検査対象ボイラと同じボイラ形式である。
前記検査対象ボイラの火炉壁は、前壁、後壁、左壁、右壁を含み、
前記類似ボイラの火炉壁は、前壁、後壁、左壁、右壁を含み、
前記類似ボイラにおける前記対応領域は、前記検査対象領域が存在する壁に対応する壁に存在し、
前記検査対象ボイラの火炉壁を、高さ方向に等間隔に、N個の高さ領域に区分し、
前記類似ボイラの火炉壁を、高さ方向に等間隔に、前記N個の高さ領域に区分した場合に、
前記類似ボイラにおける前記対応領域は、前記検査対象領域が存在する高さ領域に対応する高さ領域に存在する。
前記検査対象ボイラの火炉壁は、前記耐火部を支持する複数のアンカ部材を有し、
前記類似ボイラの火炉壁は、前記類似ボイラの耐火部を支持する複数のアンカ部材を有し、
前記類似ボイラにおける前記対応領域が存在する壁の耐火部を支持するアンカ部材の密度は、前記検査対象ボイラにおける前記検査対象領域が存在する壁の耐火部を支持するアンカ部材の密度に対して±10%の範囲にある。
検査対象ボイラの火炉壁における耐火部に加えられた衝撃によって前記耐火部の検査対象領域で発生した振動を測定する振動測定部と、
前記振動測定部の測定結果に基づいて、前記検査対象領域の固有振動数を求める固有振動数解析部と、
前記振動測定部の測定結果に基づいて、前記検査対象領域で発生した振動の減衰に関するパラメータを求める減衰パラメータ解析部と、
前記固有振動数解析部で求められた前記固有振動数と過去の検査結果に基づいて、所定期間経過後の前記固有振動数の推定値である振動数推定値を算出する振動数推定部と、
前記減衰パラメータ解析部で求められた前記減衰に関するパラメータと過去の検査結果に基づいて、前記所定期間経過後の前記減衰に関するパラメータの推定値である減衰パラメータ推定値を算出する減衰推定部と、
前記固有振動数、前記減衰に関するパラメータ、前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の少なくとも何れか一方に基づいて、前記検査対象領域における前記耐火部の剥離の程度を判定する剥離判定部と、
を有する。
前記固有振動数、前記減衰に関するパラメータ、及び、前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の少なくとも何れか一方に基づいて、複数の前記検査対象領域における前記耐火部の剥離の程度を表す指標値を算出する算出部と、
前記算出部で算出した複数の前記指標値についてのコンタ図を生成するコンタ図生成部と、
をさらに有する。
前記算出部は、前記固有振動数に第1重み付け係数を乗じた値、前記減衰に関するパラメータに第2重み付け係数を乗じた値、及び、前記振動数推定値に第3重み付け係数を乗じた値及び前記減衰パラメータ推定値に第4重み付け係数を乗じた値の少なくとも何れか一方に基づいて前記指標値を算出し、
前記固有振動数に前記第1重み付け係数を乗じた値が前記指標値に及ぼす影響は、前記振動数推定値に前記第3重み付け係数を乗じた値が前記指標値に及ぼす影響よりも大きく、
前記減衰に関するパラメータに前記第2重み付け係数を乗じた値が前記指標値に及ぼす影響は、前記減衰パラメータ推定値に前記第4重み付け係数を乗じた値が前記指標値に及ぼす影響よりも大きい。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
熱交換ユニット10は、循環型流動床ボイラ(循環流動層ボイラ)やバブリング型流動床ボイラ(気泡流動層ボイラ)等の産業用ボイラに適用される。具体的には、熱交換ユニット10は、少なくとも1つの管12を含む熱交換部14と、熱交換部14の表面に溶接によりそれぞれ固定された複数の突起部16と、複数の突起部16間に設けられ、熱交換部14の表面を覆う耐火部18とを有する。
図3に示したように、検査方法は、振動励起工程S10と、振動測定工程S12と、固有振動数解析工程S14と、減衰パラメータ解析工程S16と、判定工程S18と、出力工程S20とを有する。
振動励起工程S10では、耐火部18に衝撃が加えられる。例えば図4に示したように、ハンマーを用いて耐火部18の検査対象領域近傍に衝撃が加えられる。
出力工程S20では、得られた判定結果が、検査担当者が認識できるような態様で出力される。
検査器32は、CPU33と、出力部45とを備えている。CPU33は、振動測定部34、固有振動数解析部35、減衰パラメータ解析部36、振動数推定部37、減衰推定部38、及び判定部40の各機能ブロックを仮想的に有している。
固有振動数解析部35は、振動測定部34の測定結果に基づいて、耐火部18の検査対象領域の固有振動数を求めるように構成されている。
判定部40は、固有振動数解析部35で求められた固有振動数及び減衰パラメータ解析部36で求められた減衰に関するパラメータに基づいて、耐火部18の検査対象領域における熱交換部14からの耐火部18の剥離の状態を判定する剥離判定部41と、剥離判定部41の判定結果に基づいて耐火部18の補修が必要であるか否かを判定する補修判定部42を有する。
出力部45は、例えばモニタによって構成されている。なお、出力部45は、検査器32の外部に設けられていてもよい。
図8は、熱交換部14から耐火部18が剥離している面積(剥離面積)の大きさと固有振動数との関係を示すグラフであり、プロットは試験体の実験値を示し、曲線は理論値を示している。
理論値は、剥離している部分が円板形状であって、且つ、剥離している部分の周囲が拘束されているとの仮定のもとで、次式(1)及び(2)により求められる。
また、検査対象領域における固有振動数や減衰率は、経時的に低下していくことが分かっている。しかし、その低下度合いは、検査対象領域の検査対象ボイラにおける位置や検査対象ボイラの運転状況などによって異なる。また、上記の熱交換ユニット10を有するボイラ(検査対象ボイラ)では、所定の期間ごとに定期的に検査や補修が行われるが、その間隔(期間)はボイラごとに異なる。そのため、今回の検査の時点では検査対象領域における固有振動数や減衰率が判定基準値を下回っていなくても、今回の検査後の短期間のうちに固有振動数や減衰率が判定基準値を下回ることも考えられる。
したがって、検査対象領域における固有振動数や減衰率が判定基準値を下回らないからといって、剥離が発生していないと一律に判定することや、補修が不要であると一律に判定することが好ましくない場合も考えられ得る。
そして、所定の期間の経過後の当該検査対象領域の固有振動数や減衰率が判定基準値よりもある程度以上(例えば10%)下回るなど、許容範囲を逸脱すると推定される場合には、剥離が発生していると判定して、補修が必要であると判断するようにした。以下、具体的に説明する。
図10(a)の表における「検査結果」の各年の欄には、各検査対象領域50におけるそれぞれの年の固有振動数の値の情報が入力されている。同様に、図10(b)の表における「検査結果」の各年の欄には、各検査対象領域50におけるそれぞれの年の減衰率の値の情報が入力されている。図10(a),(b)に示した例では、検査対象ボイラの定期検査は1年ごとに行われている。
なお、幾つかの実施形態に係る以下の説明では、今回の検査が10年目の検査であることとして説明する。
ステップS81において、判定部40は、耐火部18の剥離の有無及び補修が必要であるか否かを判定する検査対象領域50について、固有振動数解析工程S14で求められた固有振動数f及び減衰パラメータ解析工程S16で求められた減衰率dを読み込んでステップS82に進む。
幾つかの実施形態では、固有振動数についての判定基準値fsの90%を振動数に関する許容値としている。また、幾つかの実施形態では、減衰率についての判定基準値dsの90%を減衰に関する許容値、すなわち許容範囲の下限としている。
すなわち、振動数推定部37は、図10に示すような検査対象領域50についての過去から現在までの検査結果の表から、当該検査対象領域50の検査結果の情報を読み込む。そして、振動数推定部37は、例えば図12に示すように、当該検査対象領域50の過去及び今回の検査結果の推移から、振動数推定値faftを算出する。以下の説明では、振動数推定値faftを算出する工程を振動数推定工程S831と呼ぶ。
同様に、減衰推定部38は、図10に示すような検査対象領域50についての過去から現在までの検査結果の表から、当該検査対象領域50の検査結果の情報を読み込む。そして、減衰推定部38は、当該検査対象領域50の過去及び今回の検査結果の推移から、減衰率推定値daftを算出する。以下の説明では、減衰率推定値daftを算出する工程を減衰推定工程S832と呼ぶ。
図12(a),(b)は、それぞれ、振動数推定工程S831における振動数推定値faftの算出について説明するためのグラフである。なお、減衰推定工程S832における減衰率推定値daftの算出についても同様であるので、図を用いた説明は省略する。また、図13は、図11のステップS83のサブルーチンを示す図である。
同様に、幾つかの実施形態では、検査対象ボイラにおける検査対象領域50での減衰率dについての過去の検査結果に基づいて、減衰率推定値daftを算出する。これにより、減衰率推定値daftの精度が向上するので、耐火部18の剥離の判定精度が向上する。
なお、図12(a),(b)は、例えば今回の検査が10年目の検査であり、所定期間Tを次回の検査時期である11年目までの1年間とし、今回の検査の1年後である11年目における振動数推定値faftを推定する場合について表したグラフである。図12(a)は、11年目の振動数推定値faftが固有振動数についての判定基準値fsの値の90%を下回らなかった場合の例を示すグラフである。また、図12(b)は、11年目の振動数推定値faftが固有振動数についての判定基準値fsの値の90%を下回った場合の例を示すグラフである。
すなわち、幾つかの実施形態では、減衰率dが許容範囲内であっても、固有振動数fが許容値を下回わっており、且つ、減衰率推定値daftが許容範囲を逸脱する場合には、剥離があると判定される。これにより、減衰パラメータ解析工程S16で求められた減衰率dが許容範囲の境界値近傍であっても検査対象領域50に剥離があるか否かを精度よく判定できる。
すなわち、幾つかの実施形態では、固有振動数fが許容値以上であり、又は、減衰率dが許容範囲内であっても、振動数推定値faftが許容値を下回り、且つ、減衰率推定値daftが許容範囲を逸脱する場合には、剥離があると判定される。これにより、固有振動数解析工程S14で求められた固有振動数fが許容値の下限値近傍であったり、減衰パラメータ解析工程S16で求められた減衰率dが許容範囲の境界値近傍であったりしても、検査対象領域50に剥離があるか否かを精度よく判定できる。
ステップS88が否定判断されるとステップS81へ戻り、ステップS88が肯定判断されると、本プログラムを終了する。
(a)固有振動数fが判定基準値fsの90%を下回り(f<0.9fs)、且つ、減衰率dが判定基準値dsの90%を下回る(d<0.9ds)場合(第2ケース)。
(b)振動数推定値faftが判定基準値fsの値の90%を下回り(faft<0.9fs)、且つ、減衰率dが判定基準値dsの値の90%を下回る(d<0.9ds)場合(ステップS85肯定判断)。
(c)固有振動数fが判定基準値fsの値の90%を下回り(f<0.9fs)、且つ、減衰率推定値daftが判定基準値dsの値の90%を下回る(daft<0.9ds)場合(ステップS86肯定判断)。
(d)振動数推定値faftが判定基準値fsの値の90%を下回り(faft<0.9fs)、且つ、減衰率推定値daftが判定基準値dsの値の90%を下回る(daft<0.9ds)場合(ステップS87肯定判断)。
すなわち、幾つかの実施形態では、固有振動数fや減衰率dに基づくだけでなく、さらに振動数推定値faft及び減衰率推定値daftの少なくとも何れか一方に基づいて、耐火部18の剥離を判定するので、耐火部18の剥離を精度よく判定できる。
このように、幾つかの実施形態では、剥離判定の結果に基づいて補修が必要な対象範囲を設定し、該対象範囲に対して補修を行う。これにより、補修が必要な対象範囲を適切に設定できるので、耐火部18を適切に補修できる。
したがって、気泡流動層ボイラ及び循環流動層ボイラの耐火部の検査に際して、耐火部18の剥離を精度よく判定できる。
次に、他の実施形態に係る耐火部の検査方法について説明する。他の実施形態では、検査対象領域50の耐火部18の補修が必要であるか否かを判定するにあたり、当該検査対象領域50の周囲の検査対象領域50についての判定状況を加味する。
図14は、他の実施形態に係る耐火部の検査方法について説明するための図である。他の実施形態に係る耐火部の検査方法では、例えば、図14に示した第4行第C列の検査対象領域51の耐火部18の補修が必要であるか否かを判定するにあたり、第4行第C列の検査対象領域51の周囲の検査対象領域52についての耐火部18の剥離の判定状況を加味する。なお、図14では、第4行第C列の検査対象領域51の周囲の8カ所の検査対象領域52のうち、OKと記載された検査対象領域52aは、耐火部18に剥離が生じていないと判定された検査対象領域52を示し、NGと記載された検査対象領域52bは、耐火部18に剥離が生じていると判定された検査対象領域52を示す。
そこで、他の実施形態に係る耐火部の検査方法では、振動数推定値faft及び減衰率推定値daftの少なくとも何れか一方に基づいて検査対象領域50における耐火部18に剥離がないと判定されている場合であっても、当該検査対象領域50の周囲において、耐火部18に剥離があると判定されている領域の割合が所定割合を超えている場合に、当該検査対象領域50における前記耐火部の補修の必要があると判定する。
なお、上記所定割合については、適宜決定すればよいが、例えば、周囲の検査対象領域52のうちの半数である。
なお、周囲の検査対象領域52についての耐火部18に剥離が生じているか否かの判定は、例えば、上述した幾つかの実施形態における検査方法によって判定されている。
ステップS81からステップS87までの処理、及び、ステップS88、ステップS91、ステップS92における処理は、図11に示すフローチャートと同じであるので、説明を省略する。
他の実施形態に係る判定工程は、上述したステップS85からステップS87までの処理に加えて、以下に述べるステップS89及びステップS93の処理を含む。
上述した幾つかの実施形態において、出力工程S20では、得られた判定結果が、検査担当者が認識できるような態様で出力され、例えばモニタによって構成される検査器32の出力部45に表示される。その際、例えば、耐火部の剥離の程度を表すコンタ図を出力部45に表示させるようにしてもよい。以下、耐火部の剥離の程度を表すコンタ図を出力部45に表示させる実施形態について説明する。
P=f(C1×f,C2×d,C3×faft ,C4×daft) ・・・(3)
ここで、C1は、固有振動数fについての第1重み付け係数であり、C2は、減衰率dについての第2重み付け係数であり、C3は、振動数推定値faftについての第3重み付け係数であり、C4は、減衰率推定値daftについての第4重み付け係数である。
図17に示すように、指標値算出部43は、各検査対象領域50についての指標値Pをそれぞれ算出する。
コンタ図生成部44で生成されたコンタ図は、出力部45で表示される。図18は、出力部45で表示されるコンタ図70の一例を示す図である。
このように、耐火部18の剥離の程度を表すコンタ図70を生成することで、耐火部18の剥離の程度が可視化されるので、耐火部18の補修の要否の判定に資する。
上述した幾つかの実施形態では、検査対象領域50における固有振動数fが固有振動数に関する判定基準値fsの近傍であったり、減衰率dが減衰率に関する判定基準値dsの近傍であったりした場合、上述した(a)~(d)の条件の何れかに該当すると当該検査対象領域50の耐火部18に剥離が生じていると判定され、補修が必要であると判定された。
しかし、例えば、検査対象領域50における固有振動数fが固有振動数に関する判定基準値fsの近傍であったり、減衰率dが減衰率に関する判定基準値dsの近傍であったりした場合、次の条件に該当すると当該検査対象領域50の耐火部18に剥離が生じていると判定され、補修が必要であると判定するようにしてもよい。
(e)振動数推定値faftが判定基準値fsの値の90%を下回り(faft<0.9fs)、又は、減衰率推定値daftが判定基準値dsの値の90%を下回る(daft<0.9ds)場合。
ステップS81、ステップS83、ステップS84、ステップS88、ステップS91、ステップS92における処理は、図11に示すフローチャートと同じであるので、説明を省略する。
すなわち、幾つかの実施形態では、固有振動数fが許容値以上であり、且つ、減衰率dが許容範囲内であっても、振動数推定値faftが許容値を下回るか、又は、減衰率推定値daftが許容範囲を逸脱する場合には、剥離があると判定される。これにより、固有振動数解析工程S14で求められた固有振動数が許容値の下限値近傍であり、且つ、減衰パラメータ解析工程S16で求められた減衰に関するパラメータが許容範囲の境界値近傍であっても、検査対象領域に剥離があるか否かを精度よく判定できる。
次に、さらに他の実施形態に係る耐火部の検査方法について説明する。さらに他の実施形態に係る耐火部の検査方法では、検査対象領域50の耐火部18に剥離が生じているか否かを判定するにあたり、検査対象ボイラとは異なる他のボイラについての過去の検査結果を参照する。
そこで、このような場合には、検査対象ボイラと類似する類似ボイラにおける過去の検査結果を参照する。すなわち、振動数推定部37及び減衰推定部38は、検査対象ボイラの検査対象領域50に対応する、類似ボイラにおける対応領域での過去の検査結果と、検査対象ボイラの検査対象領域50についての今回の検査結果とに基づいて、上述した図12(a),(b)に示すような固有振動数fの推移の予測線や減衰率dの推移の予測線をそれぞれ算出する。そして、振動数推定部37及び減衰推定部38は、振動数推定値faftの値、及び、減衰率推定値daftの値を予測線からそれぞれ得る。
判定部40は、このようにして得られた振動数推定値faftの値、及び、減衰率推定値daftの値に基づいて、上述した幾つかの実施形態と同様にして検査対象領域50の耐火部18の剥離の有無を判定し、耐火部18の補修の要否を判定する。
同様に、さらに他の実施形態では、検査対象ボイラにおける検査対象領域50での減衰率dについての過去の検査結果を取得できない場合や、取得できても不十分な場合であっても、減衰率推定値daftの精度を向上できるので、耐火部18の剥離の判定精度が向上する。
例えば、過去の検査結果を参照する類似ボイラとは、例えば循環型流動床ボイラであるかバブリング型流動床ボイラであるか等のボイラの型式や処理量等が検査対象ボイラに類似しているボイラである。
例えば、類似ボイラの候補となる複数のボイラについて、初めに、循環型流動床ボイラであるかバブリング型流動床ボイラであるか等のボイラの型式が検査対象ボイラと同じボイラを選定する(ステップS30)。
検査対象ボイラのボイラ形式と類似ボイラのボイラ形式とが同じであれば、類似ボイラの過去の検査結果を参照して算出する振動数推定値faftや減衰率推定値daftの精度が向上し、耐火部の剥離の判定精度が向上する。
この段階で類似ボイラになり得るボイラが1つだけとなれば(ステップS36否定判断)、そのボイラを類似ボイラとして選定する(ステップS38)。
しかし、類似ボイラになり得るボイラが複数存在する場合(ステップS36肯定判断)には、例えば、検査対象領域50の耐火部18の厚さと、候補のボイラにおける検査対象領域50に対応する領域(以下、単に、候補のボイラにおける対応領域と呼ぶ)の耐火材の厚さを比較して、類似ボイラになり得るボイラを絞り込む(ステップS40)。
しかし、類似ボイラになり得るボイラが複数存在する場合(ステップS42肯定判断)には、例えば、検査対象領域50におけるアンカ部材の形状と、候補のボイラにおける対応領域におけるアンカ形状とを比較して、類似ボイラになり得るボイラを絞り込む(ステップS44)。
しかし、類似ボイラになり得るボイラが複数存在する場合(ステップS46肯定判断)には、例えば、検査対象領域50におけるアンカ部材の単位面積当たりの本数(以下、アンカ部材の密度と呼ぶ)と、候補のボイラにおける対応領域におけるアンカ部材の密度とを比較する(ステップS48)。そして、候補のボイラにおける対応領域におけるアンカ部材の密度が、検査対象領域50におけるアンカ部材の密度の例えば±10%の範囲内であれば、その候補のボイラを類似ボイラになり得るボイラとする。
しかし、類似ボイラになり得るボイラが複数存在する場合(ステップS50肯定判断)には、例えば、上述した耐火部の厚さ、アンカ部材の形状、アンカ部材の密度の各項目を参照して、検査対象ボイラとの類似点が最も多い部位を有するボイラを類似ボイラとして選定する(ステップS52)。
これにより、検査対象ボイラにおける検査対象領域50と類似ボイラにおける対応領域との類似性が高まるので、類似ボイラの過去の検査結果を参照して算出する振動数推定値faftや減衰率推定値daftの精度が向上し、耐火部18の剥離の判定精度が向上する。
例えば、上述した幾つかの実施形態では、減衰パラメータとして減衰率を用いたが、減衰率以外のパラメータを用いてもよい。例えば、減衰パラメータとして、振動の振幅が一定の比率まで減衰するまでにかかる減衰時間を用いてもよい。図6及び図7に示すように、剥離している部分での振動の減衰時間は、剥離していない部分での振動の減衰時間よりも長くなる傾向がある。そこで、減衰時間についての判定基準値を適宜設定することで、減衰率に代えて減衰時間を減衰パラメータとして用いることができる。
図21は、ピークツーピーク比を説明するための図である。図21の場合、最初の下向きの振動の振幅(ピーク値)はaであり、一定時間経過後の振動のピークツーピーク値はbである。従って、ピークツーピーク比は、b/aである。なお、本変形例では、最初の下向きの振動が開始する時間を基準時として、基準時から1.2ms(ミリ秒)以上1.7ms以下の範囲でのピークツーピーク値bが測定されている。
上述した幾つかの実施形態では、検査対象ボイラや類似ボイラは循環型流動床ボイラやバブリング型流動床ボイラであったが、ストーカ燃焼ボイラ等、他の形式のボイラであってもよい。
12 管
14 熱交換部
18 耐火部
30 振動センサ
32 検査器
34 振動測定部
36 固有振動数解析部
38 減衰パラメータ解析部
40 判定部
42 出力部
50,51,52 検査対象領域
Claims (19)
- 検査対象ボイラの火炉壁における耐火部の検査方法であって、
前記耐火部に衝撃を加える振動励起工程と、
前記衝撃によって前記耐火部の検査対象領域で発生した振動を測定する振動測定工程と、
前記振動測定工程の測定結果に基づいて、前記検査対象領域の固有振動数を求める固有振動数解析工程と、
前記振動測定工程の測定結果に基づいて、前記検査対象領域で発生した振動の減衰に関するパラメータを求める減衰パラメータ解析工程と、
前記固有振動数解析工程で求められた前記固有振動数と過去の検査結果に基づいて、所定期間経過後の前記固有振動数の推定値である振動数推定値を算出する振動数推定工程と、
前記減衰パラメータ解析工程で求められた前記減衰に関するパラメータと過去の検査結果に基づいて、前記所定期間経過後の前記減衰に関するパラメータの推定値である減衰パラメータ推定値を算出する減衰推定工程と、
前記固有振動数、前記減衰に関するパラメータ、及び、前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の両方に基づいて、前記検査対象領域における前記耐火部の剥離を判定する剥離判定工程と、
を備える、耐火部の検査方法。 - 前記振動数推定工程は、前記検査対象ボイラにおける前記検査対象領域での前記固有振動数についての過去の検査結果に基づいて、前記振動数推定値を算出する請求項1に記載の耐火部の検査方法。
- 前記減衰推定工程は、前記検査対象ボイラにおける前記検査対象領域での前記減衰に関するパラメータについての過去の検査結果に基づいて、前記減衰パラメータ推定値を算出する請求項1又は2に記載の耐火部の検査方法。
- 前記振動数推定工程は、前記検査対象ボイラと類似する類似ボイラにおける前記検査対象領域に対応する対応領域での前記固有振動数についての過去の検査結果に基づいて、前記振動数推定値を算出する請求項1乃至3の何れか1項に記載の耐火部の検査方法。
- 前記減衰推定工程は、前記検査対象ボイラと類似する類似ボイラにおける前記検査対象領域に対応する対応領域での前記減衰に関するパラメータについての過去の検査結果に基づいて、前記減衰パラメータ推定値を算出する請求項1乃至4の何れか1項に記載の耐火部の検査方法。
- 前記剥離判定工程は、前記固有振動数が前記固有振動数に対し予め設定されている許容値以上であっても、前記振動数推定値が前記許容値を下回り、且つ、前記減衰に関するパラメータが前記減衰に関するパラメータに対し予め設定されている許容範囲を逸脱する場合に、剥離があると判定する請求項1乃至5の何れか1項に記載の耐火部の検査方法。
- 前記剥離判定工程は、前記減衰に関するパラメータが前記減衰に関するパラメータに対し予め設定されている許容範囲内であっても、前記固有振動数が前記固有振動数に対し予め設定されている許容値を下回わっており、且つ、前記減衰パラメータ推定値が前記許容範囲を逸脱する場合に、剥離があると判定する請求項1乃至6の何れか1項に記載の耐火部の検査方法。
- 前記剥離判定工程は、前記固有振動数が前記固有振動数に対し予め設定されている許容値以上であり、又は、前記減衰に関するパラメータが前記減衰に関するパラメータに対し予め設定されている許容範囲内であっても、前記振動数推定値が前記許容値を下回り、且つ、前記減衰パラメータ推定値が前記許容範囲を逸脱する場合に、剥離があると判定する請求項1乃至7の何れか1項に記載の耐火部の検査方法。
- 前記剥離判定工程は、前記固有振動数が前記固有振動数に対し予め設定されている許容値以上であり、且つ、前記減衰に関するパラメータが前記減衰に関するパラメータに対し予め設定されている許容範囲内であっても、前記振動数推定値が前記許容値を下回るか、又は、前記減衰パラメータ推定値が前記許容範囲を逸脱する場合に、剥離があると判定する請求項1乃至5の何れか1項に記載の耐火部の検査方法。
- 前記耐火部の検査方法は、前記剥離判定工程における判定結果に基づいて前記耐火部の補修の必要性を判定する補修判定工程をさらに備え、
前記補修判定工程は、前記剥離判定工程で前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の少なくとも何れか一方に基づいて前記検査対象領域における前記耐火部に剥離がないと判定されている場合であっても、前記検査対象領域の周囲において、前記耐火部に剥離があると判定されている領域の割合が所定割合を超えている場合に、
前記検査対象領域における前記耐火部の補修の必要があると判定する、請求項1乃至9の何れか1項に記載の耐火部の検査方法。 - 前記検査対象ボイラは、気泡流動層ボイラ又は循環流動層ボイラである、請求項1乃至10の何れか1項に記載の耐火部の検査方法。
- 前記検査対象ボイラのボイラ形式は、気泡流動層ボイラ又は循環流動層ボイラであり、
前記類似ボイラのボイラ形式は、前記検査対象ボイラと同じボイラ形式である、請求項4又は5に記載の耐火部の検査方法。 - 前記検査対象ボイラの火炉壁は、前壁、後壁、左壁、右壁を含み、
前記類似ボイラの火炉壁は、前壁、後壁、左壁、右壁を含み、
前記類似ボイラにおける前記対応領域は、前記検査対象領域が存在する壁に対応する壁に存在し、
前記検査対象ボイラの火炉壁を、高さ方向に等間隔に、N個の高さ領域に区分し、
前記類似ボイラの火炉壁を、高さ方向に等間隔に、前記N個の高さ領域に区分した場合に、
前記類似ボイラにおける前記対応領域は、前記検査対象領域が存在する高さ領域に対応する高さ領域に存在する、請求項12に記載の耐火部の検査方法。 - 前記検査対象ボイラの火炉壁は、前記耐火部を支持する複数のアンカ部材を有し、
前記類似ボイラの火炉壁は、前記類似ボイラの耐火部を支持する複数のアンカ部材を有し、
前記類似ボイラにおける前記対応領域が存在する壁の耐火部を支持するアンカ部材の密度は、前記検査対象ボイラにおける前記検査対象領域が存在する壁の耐火部を支持するアンカ部材の密度に対して±10%の範囲にある、請求項13に記載の耐火部の検査方法。 - 前記所定期間は、前記検査対象ボイラにおける次回点検までの期間に相当する、請求項1乃至14の何れか1項に記載の耐火部の検査方法。
- 請求項1乃至15の何れか1項に記載の耐火部の検査方法における前記剥離判定工程での前記判定の結果に基づいて補修が必要な対象範囲を設定し、該対象範囲に対して補修を行う、耐火部の補修方法。
- 検査対象ボイラの火炉壁における耐火部に加えられた衝撃によって前記耐火部の検査対象領域で発生した振動を測定する振動測定部と、
前記振動測定部の測定結果に基づいて、前記検査対象領域の固有振動数を求める固有振動数解析部と、
前記振動測定部の測定結果に基づいて、前記検査対象領域で発生した振動の減衰に関するパラメータを求める減衰パラメータ解析部と、
前記固有振動数解析部で求められた前記固有振動数と過去の検査結果に基づいて、所定期間経過後の前記固有振動数の推定値である振動数推定値を算出する振動数推定部と、
前記減衰パラメータ解析部で求められた前記減衰に関するパラメータと過去の検査結果に基づいて、前記所定期間経過後の前記減衰に関するパラメータの推定値である減衰パラメータ推定値を算出する減衰推定部と、
前記固有振動数、前記減衰に関するパラメータ、前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の両方に基づいて、前記検査対象領域における前記耐火部の剥離の程度を判定する剥離判定部と、
を有する、耐火部の検査装置。 - 前記固有振動数、前記減衰に関するパラメータ、及び、前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の少なくとも何れか一方に基づいて、複数の前記検査対象領域における前記耐火部の剥離の程度を表す指標値を算出する算出部と、
前記算出部で算出した複数の前記指標値についてのコンタ図を生成するコンタ図生成部と、
をさらに有する、
請求項17に記載の耐火部の検査装置。 - 検査対象ボイラの火炉壁における耐火部に加えられた衝撃によって前記耐火部の検査対象領域で発生した振動を測定する振動測定部と、
前記振動測定部の測定結果に基づいて、前記検査対象領域の固有振動数を求める固有振動数解析部と、
前記振動測定部の測定結果に基づいて、前記検査対象領域で発生した振動の減衰に関するパラメータを求める減衰パラメータ解析部と、
前記固有振動数解析部で求められた前記固有振動数と過去の検査結果に基づいて、所定期間経過後の前記固有振動数の推定値である振動数推定値を算出する振動数推定部と、
前記減衰パラメータ解析部で求められた前記減衰に関するパラメータと過去の検査結果に基づいて、前記所定期間経過後の前記減衰に関するパラメータの推定値である減衰パラメータ推定値を算出する減衰推定部と、
前記固有振動数、前記減衰に関するパラメータ、前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の少なくとも何れか一方に基づいて、前記検査対象領域における前記耐火部の剥離の程度を判定する剥離判定部と、
を有し、
前記固有振動数、前記減衰に関するパラメータ、及び、前記振動数推定値及び前記減衰パラメータ推定値の少なくとも何れか一方に基づいて、複数の前記検査対象領域における前記耐火部の剥離の程度を表す指標値を算出する算出部と、を有し、
前記算出部は、前記固有振動数に第1重み付け係数を乗じた値、前記減衰に関するパラメータに第2重み付け係数を乗じた値、及び、前記振動数推定値に第3重み付け係数を乗じた値及び前記減衰パラメータ推定値に第4重み付け係数を乗じた値の少なくとも何れか一方に基づいて前記指標値を算出し、
前記固有振動数に前記第1重み付け係数を乗じた値が前記指標値に及ぼす影響は、前記振動数推定値に前記第3重み付け係数を乗じた値が前記指標値に及ぼす影響よりも大きく、
前記減衰に関するパラメータに前記第2重み付け係数を乗じた値が前記指標値に及ぼす影響は、前記減衰パラメータ推定値に前記第4重み付け係数を乗じた値が前記指標値に及ぼす影響よりも大きい、
耐火部の検査装置。
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