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JP7044233B2 - 除電方法及び除電装置 - Google Patents
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JP7044233B2 - 除電方法及び除電装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えばデジタル印刷を施されて帯電したシートなど、内部まで帯電した除電対象物を除電するための除電方法及びその装置に関する。
従来から、刷版をつくることなくデジタル技術を使用してシート状の印刷対象に印刷を行なう印刷システムがある(特許文献1参照)。この種の印刷機によって印刷されたシートは、帯電してしまう。
そして、帯電した印刷済みのシートは、1枚のときには、その両面の正、負の電荷が閉じた電界を形成するため、特に問題はない。ところが、印刷機から排出されてトレイTなどに積層されれば、図4に示すように、シート1の両面の電荷は、1枚のシート1の厚みを介して閉じるのではなく、積層された上下のシート1,1間で結合する。なぜなら、シート1の厚みよりも、接触した上下のシート1,1間の距離の方が小さいからである。
そのため、積層されたシート1,1間にクーロン力による強力な吸引力が発生して、シート1,1同士がくっついてしまう。
なお、図4では、説明のため、シート1の厚みを大きく示しているが、実際にはシート1の厚みは数十[μm]~1[mm]程度である。
その結果、シート1を1枚ずつ剥がすことが難しくなって、その後の工程、例えば折り加工、裁断加工、製本加工などの後加工工程がスムーズに進まないという問題が発生する。
そこで、デジタル印刷の後工程に除電工程を設ける必要がある。
その除電方法として、コロナ放電によって生成した正負のイオンをシート1の表面に照射して、表面電荷を中和する方法が多く用いられている。
国際公開第2016/013436号公報 特開2008-004397号公報
上記のように、デジタル印刷の後工程として除電工程を設けることは従来から知られているが、シート1の帯電量が高かったり、シート1の内部にまで電荷が溜まっていたりしたときには、上記のような既存の除電方法では、除電に時間がかかってしまったり、完全に除電できなかったりしていた。
特に、多層シートの場合には、異素材の境界に電荷が溜まりやすく、それを除電することは難しかった。
例えば、図5に示すように、シート1が紙層1aとアルミ蒸着層1bと樹脂層1cとからなる多層の場合、デジタル印刷機内で強い電界の影響を受けて内部まで帯電すると、アルミ蒸着層1bが分極し、上下の樹脂層1cや紙層1aの電荷を引き付けることになる。このような内部の電荷は、表面にイオンを照射しても除電することは難しかった。
そのため、シート1の帯電量を下げることができず、このような帯電状態のシート1を積層すれば、図4に示すようにシート1同士が静電吸着してしまうことになる。
このような除電しにくいシート1を除電するためには、イオン照射を何回も繰り返すなど、時間や手間を掛けなければならず、処理効率が悪くなってしまった。
また、繰り返しの除電プロセスを設けるため、除電装置が大型化するという問題もあった。
上記のように、イオン照射を繰り返しても、実際には完璧な除電はほとんどできなかった。
一方、上記のように内部に溜まって除電しにくい電荷を除去する方法として、放電しやすい真空下で、帯電したシート1に接地電極を接近させて、シート1の端面から内部の電荷を接地電極へ放電させる方法が考えられる。そして、この方法によれば、高電位に帯電したシート1の内部の電荷だけでなく、表面の電荷も除電することができる。
しかし、シート1の全体の帯電量が非常に高い場合には、接地電極との間で多くの電荷が一気に流れて放電が発生し、除電ができてもシート1に放電によるダメージを与えてしまうことがある。具体的には、シート1に孔や亀裂ができてしまったりする。
この発明の目的は、例えば多層シートのように内部に電荷が溜まりやすくて除電しにくい除電対象物に対しても、ダメージを与えずに短時間で完全に除電できる除電方法及び除電装置を提供することである。
第1の発明は真空チャンバーと、この真空チャンバー内で除電対象物を搬送する搬送手段と、上記除電対象物にイオンを照射するイオン照射手段と、上記イオン照射手段よりも除電対象物の搬送方向下流側に設けられた放電手段とが設けられ、上記イオン照射手段は、上記除電対象物の搬送路を挟んで対向配置され、逆極性の電圧が印加される一対の放電電極からなり、これら一対の放電電極は、互いに対向する部分以外が電気的絶縁材で覆われるとともに、上記放電手段は、上記除電対象物と接触もしくは近接させて設けられ、上記除電対象物の電荷を接地側へ流す構成にしている。
第2の発明は真空を実現するメインチャンバーと、除電対象物の搬送方向を基準にして上記メインチャンバーの上流側及び下流側のそれぞれに直列に配置された、少なくとも1のサブチャンバーと、最上流のサブチャンバーから最下流のサブチャンバーまで上記除電対象物を搬送する搬送手段とが設けられ、上記メインチャンバーには、このメインチャンバー内を搬送される上記除電対象物にイオンを照射するイオン照射手段と、上記イオン照射手段よりも除電対象物の搬送方向下流側に設けられた放電手段とが設けられ、上記放電手段と上記除電対象物とを接触もしくは近接させて除電対象物の電荷を接地側へ流す構成にし、上記各サブチャンバーには、真空実現手段が接続されるとともに、上記除電対象物の供給口及び排出口が設けられ、これら供給口及び排出口には外気の侵入を防止しながら上記除電対象物の移動を可能にするシール機構が設けられている
なお、上記真空チャンバーにおける真空とは、最も放電が起こりやすい真空度のことで、例えば1~5000[Pa]程度の圧力である。
第3の発明は、上記放電手段が、上記除電対象物の搬送路において上記除電対象物に接触もしくは近接する接地電極からなる。
第4の発明は、上記放電手段を構成する接地電極が、上記除電対象物を挟持する一対の接地ローラからなり、上記一対の接地ローラ間を通過する上記除電対象物から電荷を接地側へ流す構成にしている。
第5の発明は、上記一対の接地ローラが、上記除電対象物の幅と同一もしくはそれ以上の長さを有する。
第6の発明は、上記一対の接地ローラが、上記除電対象物の搬送路に接触する部分を除いた外周部分が電気的絶縁材で覆われている。
この発明によれば、真空チャンバー内で生成されたイオンを照射することによって、表面電荷を中和して除電対象物全体の帯電量をある程度下げてから、放電手段によって残った電荷を接地側へ流し、ほぼ完全に除電することができる。
しかも、放電手段で放電させる前に、イオンによる中和で除電対象物の全体の帯電量が低くなっているので、放電で一気に流れる電流量がそれほど多くなく、除電対象物が放電によってダメージを受けるようなことはない。
特に、真空チャンバー内は放電しやすいため、イオン照射工程では多くのイオンが生成され、イオン照射による中和が速やかに行なわれる。
また、除電対象物と放電手段との間の放電も起こりやすい環境なので、短時間で完璧な除電ができる。
特に、第1の発明によれば、対向する放電電極間の放電を除電対象に向かう方向に集中させて、イオンの生成領域を除電対象物の搬送路に対応させることができる。したがって、生成されたイオンが除電対象物に効率的に照射される。
また、第2の発明によれば、除電対象物がサブチャンバーを介してメインチャンバーへ供給され、サブチャンバーを介して外部へ排出されるため、最上流の供給口や最下流の排出口から外気が侵入しても、メインチャンバーの真空度にはほとんど影響しない。そのため、メインチャンバー内を放電に最適な真空度に維持することができる。
特に除電対象物の搬送速度が速くなればなるほど、供給口及び排出口からの外気の侵入量が多くなるが、サブチャンバーを設けることでメインチャンバーの真空度を保つことができるので、連続処理の速度を上げることができる。
第3の発明は、接地電極が真空下に設けられているため、除電対象物からの放電が起こりやすく、短時間での除電が可能になる。
第4の発明によれば、接地電極である接地ローラが回転するので、搬送される除電対象物を挟んで、除電対象物と接地電極との距離を最小にできる。除電対象物と接地電極との距離が最小になるため、除電効果が高くなる。
もし、真空下で、回転しない接地電極を除電対象物に接触させると、摩擦抵抗が大きすぎて除電対象物を搬送できない。一方で、搬送される除電対象物と接地電極との間にわずかなすき間を維持しようとすると、隙間管理が難しくなってしまう。
したがって、除電対象物を搬送しながら放電させる放電手段としては、回転する接地ローラが最適である。
このように、除電対象物を搬送しながら除電できるので、除電処理速度が上がる。
第5の発明によれば、除電対象物の幅全部が、接地ローラに接触するので、除電対象物の端面からの放電が起こりやすく、除電処理速度が上がる。
第6の発明によれば、イオン照射手段で生成されたイオンが接地ローラで吸収されることを防止できる。そのため、生成されたイオンが効率的に除電対象物に照射され、帯電電荷を中和できる。
また、除電対象物の搬送路で接地ローラがむき出しになっていると、帯電した除電対象物がその電荷によって接地ローラの表面に引き付けられて貼り付いてしまうことがある。除電対象物が、接地ローラ表面に貼り付いてしまうと、一対の接地ローラ間で挟持できず、搬送も、除電もできなってしまうことがある。しかし、この発明によれば、電荷が残った除電対象物が、接地ローラに挟まれる前に接地ローラに貼り付いてしまうことを防止できる。
この発明の実施形態の除電装置の構成図である。 実施形態の接地ローラ付近の拡大図である。 実施形態の接地ローラでシートが挟まれた状態を示した部分拡大図である。 帯電したシートがトレイに積載された状態を示す説明図である。 帯電した多層シートの端面図である。
図1~3に示すこの発明の一実施形態は、接地させた金属製のチャンバー本体2内に、デジタル印刷機で印刷された図5に示すような多層のシート1を矢印x方向に供給して連続的に処理する装置である。
金属製のチャンバー本体2内は、隔壁3,4で区切られ、その中央をこの発明の真空チャンバーであるメインチャンバー5とするとともに、隔壁3側を前チャンバー6、隔壁4側を後チャンバー7としている。上記前チャンバー6及び後チャンバー7がこの発明のサブチャンバーである。
そして、上記メインチャンバー5内は真空ポンプP1で排気され、数百[Pa]の真空度が保たれるようにしている。
また、前チャンバー6及び後チャンバー7内は真空ポンプP2で排気され、上記メインチャンバー5と同等もしくはそれよりも低い真空度が保たれるようにしている。
上記前チャンバー側6の外壁8の中央には、図1の紙面に直交する方向に伸びるフッ素系樹脂などの電気的絶縁材からなる絶縁性部材10がはめ込まれている。この絶縁性部材10には、印刷済みのシート1が通過可能なスリット状の開口10aが形成されている。この開口10aが前チャンバー6の供給口を構成する。
また、隔壁3,4、外壁9には、それぞれ、上記絶縁性部材10と同じ構成の絶縁性部材11,12,13がはめ込まれ、それぞれに開口11a,12a,13aが形成されている。
上記隔壁3に設けられた開口11aは、前チャンバー6の排出口とメインチャンバー5の供給口とを兼ね、隔壁4に設けられた開口12aは、メインチャンバー5の排出口と後チャンバー7の供給口とを兼ねている。また、外壁9の開口13aは後チャンバー7の排出口を構成している。
また、チャンバー本体2には、上記各開口10a~13aのそれぞれに隣接してシール機構14が設けられている。これらのシール機構14のうち、上記隔壁3,4に隣接して設けられたシール機構14は、排出口に設けられるシール機構と供給口に設けられるシール機構とを兼ねている。全てのシール機構14は同じ構成であるが、チャンバー本体2内に設けられたシール機構14の各部材の符号は省略している。
このシール機構14は、樹脂製のホルダー15とこれで保持された一対のシールローラ16,16で構成されている。
このホルダー15は、一対のホルダー部材15a,15bで構成され、これらのホルダー部材15a,15bが一対のシールローラ16,16を挟んで保持している。
上記一対のシールローラ16は、金属製の回転軸16aの外周にフッ素系ゴムなどの弾性部材16bを設けたもので、上記ホルダー15によって互いに圧着するように保持されている。
また、上記ホルダー15であって、上記一対のシールローラ16の圧着部分に対応する個所には、上記絶縁部材10~13に形成された開口10a~13aとほぼ等しい形状及び大きさのスリット状の開口15cが形成されている。この開口15cは、上記開口10a~13aに連続して除電対象物であるシート1の搬送路となる。
さらに、上記ホルダー15には、シールローラ16の外周に合わせた円弧状の凹部が形成されているが、ホルダー15側の円弧の曲率をシールローラ16の曲率よりも大きくして、シールローラ16の弾性部材16bがホルダー15に対して押圧力を作用させるように構成されている。そのため、弾性部材16bの外周がホルダー15に密着してシールローラ16の外周とホルダー15との間から外気がチャンバー内へ侵入することを防止するようにしている。
また、上記回転軸16aはその長さ方向端部には、モータなどの回転駆動機構が連結され、シールローラ16を回転可能にしている。したがって、上記シール機構14はシート1を矢印x方向に搬送する搬送手段としても機能する。
そして、このシールローラ16が回転する際には、弾性部材16bがホルダーを押圧した状態で摺動するので、ホルダー15は滑り性がよく耐摩耗性に優れた材質、例えばデルリン(登録商標)などで形成することが好ましい。
このようにこの実施形態では、除電対象物の搬送手段を兼ねたシール機構14によって、外気が前後チャンバー6,7及びメインチャンバー5内に侵入しないようにしている。
なお、シート1の搬送方向に沿って隣り合うシール機構14,14間の距離は、シート1の搬送方向の長さと同等あるいはそれ以下にしている。したがって、移動中のシート1は、少なくとも1個所が必ず搬送手段を兼ねるいずれかのシールローラ16,16で挟持されることになり、矢印x方向に搬送される。
次に、メインチャンバー5内の構成を説明する。
メインチャンバー5内では、矢印xで示すシート1の搬送方向上流側から、イオン照射手段を構成する一対の放電電極17,18が、対向して設けられている。各放電電極17,18は、シート1の幅方向に沿って伸びる棒状部材、あるいは上記幅方向に所定の間隔を保って配置された複数の電極部材で構成され、シート1の幅方向に長さを有する電気的絶縁材からなる電極ホルダー19,20で保持されている。
これら放電電極17,18は、互いに対向する部分のみを露出させ、他の部分は電極ホルダー19,20で覆われている。この電極ホルダー19,20がこの発明における放電電極を覆う電気的絶縁材である。
そして、上記電極ホルダー19,20の対向間隔を、上記隔壁3の開口11aと一致させてシート1の搬送路としている。
また、上記放電電極17,18には、それぞれ逆極性の電圧を印加し、その間で放電を発生させ、イオンが生成されるようにしている。放電電極17,18に印加する電圧は、互いに逆極性であれば直流でも交流でも構わないが、直流電圧を用いた方が放電を安定させることができる。
また、このメインチャンバー5内において、下流側の隔壁4の近傍には、一対の接地ローラ21,22を設けている。これらの接地ローラ21,22は、除電対象物であるシート1の幅と同等の長さを備えたステンレスなど金属製のローラであって、電気的絶縁材からなるローラホルダー23,24で、回転可能に保持されている。
そして、接地ローラ21,22は、通常は互いに接触しているが、その対向間にシート1が供給されたときには、接地ローラ21,22が離れてシート1の厚みに応じた対向間隔を保持するように構成されている。具体的には、両接地ローラ21,22の図示しない一対の回転軸に上記回転軸同士が近づく方向の軽いばね力を作用させるとともに、接地ローラ21,22間にシート1が進入したときには、両接地ローラ21,22がシート1の厚みに応じて移動可能に支持されている。
さらに、この接地ローラ21,22も、互いの接触部分を除いた外周部分がローラホルダー23,24で覆われている。このローラホルダー23,24が、この発明の接地ローラを覆う電気的絶縁性材である。
また、上記放電電極ホルダー19,20と、上記接地ローラ21,22との間には、内部にシート1の搬送路25aを形成した電気的絶縁材からなるガイド部材25が設けられている。この搬送路25aを通過したシート1を上記接地ローラ21,22間に導くようにしている。
以上のように構成されたこの実施形態の除電装置で、デジタル印刷によって高電位に帯電したシート1が除電される作用について説明する。なお、シート1はA4サイズの多層シートである。
図示しない印刷機で帯電し、排出されたシート1は、図1の左側からシール機構14のシールローラ16,16で搬送され、外壁8の開口10aから前チャンバー6内に供給され、次のシール機構14を介して隔壁3の開口11aからメインチャンバー5内へ供給される。
上記メインチャンバー5内は数百[Pa]に維持されているので、放電電極17,18間の電位差がそれほど大きくなくても放電が発生し、放電電極17,18間には常時多くのイオンが生成されている。特に、放電電極17,18はシート1の搬送路に対向する部分のみを露出させているので放電の方向が集中し、イオンをシート1の搬送路上で生成させることができる。
また、上記したように接地ローラ21,22も対向部分以外を電気的絶縁材からなるローラホルダー23,24で覆われているため、上記放電電極17,18で生成されたイオンが接地ローラ21,22に吸収されることを防止できる。
このよう上記搬送路上でイオンが生成され、そのイオンが接地ローラ21,22に吸収されることもないため、前チャンバー6から供給されたシート1はイオンが生成された領域に進入することになる。その結果、シート1の表面に集中的にイオンが照射され、表面電荷が効率よく中和される。
イオン照射工程において表面電荷が除電されたシート1は、ガイド部材25にガイドされながら搬送され、先端が接地ローラ21,22間に接近すると、その先端面から接地ローラ21,22に向かって図2に示す矢印のように放電が発生する。
さらに、シート1が移動して接地ローラ21,22に挟持されると、図3に示すようにシート1の幅方向端面からも接地ローラ21,22に向かう放電が発生して、シート1の内部に溜まっている電荷が接地側へ流れる。このように、放電しながら搬送されたシート1は、上記接地ローラ21,22間を通過すると、ほぼ完璧に除電された状態で隔壁4の開口12aから後チャンバー7へ供給され、さらに外壁9の開口13a及びシール機構14を介して外部へ排出される。
なお、上記したようにメインチャンバー5内の真空度は数百[Pa]に保たれているので、帯電したシート1からは容易に放電が起こり、内部の電荷を除電することができるのである。
しかも、この実施形態では、接地ローラ21,22からなる放電工程の上流側において、放電電極17,18によって生成されたイオンがシート1の表面に照射され、シート1の帯電量が下がっている。そのため、帯電量が高いシート1をいきなり接地ローラ21,22で挟持して除電する場合のように、接地ローラ21,22に向かう放電電流が大電流とならず、シート1に放電によるダメージを与えることはない。
つまり、この実施形態の除電装置を用いれば、シート1にダメージを与えずに完璧な除電が可能になる。
また、この実施形態では、前チャンバー6の供給口である開口10a、メインチャンバー5の供給口である開口11a、電極ホルダー19,20、ガイド部材25、及びローラホルダー23,24が電気的絶縁性材で形成されている。
つまり、帯電したシート1の搬送路のほとんどが電気的絶縁性で囲まれている。言い換えれば、接地されたチャンバー本体2の内壁などの接地体がシート1に対してむき出しになっていない。
もし、除電される前のシート1が接地体に近づくと、帯電電荷によってシート1が接地体に引き付けられ、貼り付いてしまうことがある。例えば、前チャンバー6に供給されたシート1の先端が金属製の外壁8に貼り付いてしまえば、シート1の移動がそこで止まってしまったり、くしゃくしゃにしわができた状態で送られたりしてしまう。このようなことは、メインチャンバー5内でも同様に起こる。
しかし、この実施形態では、シート1と接地体とが直接接触しないようにしているので、スムーズな搬送が実現できる。
なお、上記接地ローラ21,22間を通過して完璧に除電されたシート1は、上記のように接地体に貼り付いてしまうという問題はないが、この実施形態では、開口を形成する絶縁性部材10~13やシール機構14を共通化して、接地ローラ21,22の下流側においても、上流側と同様に電気的絶縁材でシート1の搬送路が囲われるようにしている。
ただし、シート1の搬送手段を工夫してスムーズな搬送が実現できれば、搬送路を電気的絶縁材で囲むことは必須の構成ではない。
また、メインチャンバー5内は非常に放電しやすい真空度に維持されているので、イオン照射工程を通過する前に、シート1が接地体である隔壁3などに接触すれば、シート1が放電によるダメージを受けてしまう。そのため、隔壁3に設けられた絶縁性部材10は、このような放電を防止し、イオン照射工程と放電工程との順序が保たれるようにするためにも機能している。
なお、この実施形態では、放電手段として上記接地ローラ21,22を用いているが、放電手段は接地ローラ21,22に限らない。
例えば、帯電したシート1との間に間隔を保って回転しない接地電極を設けてもよい。ただし、放電しやすい真空度であっても、完璧な除電をするためには、シート1との距離はできるだけ小さくする必要がある。搬送手段によって移動中のシートに対して、小さな間隔を保って接地電極を設けるのは、その寸法管理が難しいという問題がある。
また、真空下では摩擦抵抗が急激に大きくなるため、回転しない接地電極を接触させた場合には、シート1を移動させることができない。そのため、処理速度が遅くなってしまう可能性もある。
帯電したシート1を搬送しながら、接地電極との距離を最小に保つことができ、しかも間隔管理の煩雑さもない点で、この実施形態の接地ローラ21,22が最適である。
また、この実施形態では図3に示すように、上記接地ローラ21,22の長さをシート1の幅よりも大きくしているが、接地ローラ21,22の長さは除電対象物の幅より短くても長くてもよい。
ただし、接地ローラ21,22の長さを、除電体操物の幅と同等もしくはそれより長くした方が除電しやすい。なぜなら、ローラの長さが同等もしくは長ければ、内部の電荷が放電するシート1端部と接地ローラまでの距離が短くなるからである。
さらに、この実施形態では、除電のためのイオン照射工程及び放電工程を備えた真空チャンバーであるメインチャンバー5の前後に前チャンバー6及び後チャンバー7を設けることで、メインチャンバー5内の真空度を維持するようにしている。
各チャンバーの供給口や排出口にはシール機構14を設けているが、このシール機構14をシート1が通過する際にはどうしても外気が侵入してしまう。
特に、シート1の処理速度を上げた場合には、単位時間あたりにシールローラ16,16間を通過するシート1の枚数が多くなるため、シールローラ16,16間からの外気が侵入しやすくなる。しかし、メインチャンバー5の前後に真空度を管理した前後チャンバー6,7を設ければ、前後チャンバー6,7内に外気が侵入してもメインチャンバー5への影響を少なくすることができる。言い換えれば、前後チャンバー6,7を設けることで、除電の処理速度を上げることもできる。
また、前後チャンバー6,7は、メインチャンバー5の前後に1つとは限らない。複数の前チャンバーや後チャンバーを設け、メインチャンバー5に向かって段階的に真空度が高くなるようにしてもよい。
例えば、図1のように前後チャンバー6,7を設けて、メインチャンバー5内の真空度を約500[Pa]、前後チャンバー6,7内を約2000[Pa]に保って完璧な除電ができる処理量は毎分60枚であった。一方、外壁8,9に隣接したシール機構14を省略し、前後チャンバー6,7内を大気に解放した場合には、完璧な除電ができたのは毎分3枚であった。
このように、前後チャンバー6,7を設けることで、メインチャンバー5の真空度を維持すれば、高速での連続処理を可能にすることができる。
いずれにしてもシール機構の性能や真空ポンプの排気能力、目的の処理速度などに応じて、前後チャンバーを設けるか否かを設定すればよい。
デジタル印刷後のシートに対し、完璧な除電が必要な場合に有用である。
1 (除電対象物)シート
2 チャンバー本体
5 メインチャンバー
6 前チャンバー
7 後チャンバー
10a~13a 開口(供給口、排出口)
14 シール機構(搬送手段を兼ねる)
15 ホルダー
16 シールローラ
16a 回転軸
16b 弾性部材
17,18 放電電極
10,20 電極ホルダー
21,22 接地ローラ
23,24 ローラホルダー
25 ガイド部材
P1,P2 真空ポンプ

Claims (6)

  1. 真空チャンバーと、
    この真空チャンバー内で除電対象物を搬送する搬送手段と、
    上記除電対象物にイオンを照射するイオン照射手段と、
    上記イオン照射手段よりも除電対象物の搬送方向下流側に設けられた放電手段とが設けられ、
    上記イオン照射手段は、上記除電対象物の搬送路を挟んで対向配置され、逆極性の電圧が印加される一対の放電電極からなり、これら一対の放電電極は、互いに対向する部分以外が電気的絶縁材で覆われるとともに、
    上記放電手段は、上記除電対象物と接触もしくは近接させて設けられ、上記除電対象物の電荷を接地側へ流す構成にした除電装置。
  2. 真空を実現するメインチャンバーと、
    除電対象物の搬送方向を基準にして上記メインチャンバーの上流側及び下流側のそれぞれに直列に配置された、少なくとも1のサブチャンバーと、
    最上流のサブチャンバーから最下流のサブチャンバーまで上記除電対象物を搬送する搬送手段と
    が設けられ、
    上記メインチャンバーには
    このメインチャンバー内を搬送される上記除電対象物にイオンを照射するイオン照射手段と、
    上記イオン照射手段よりも除電対象物の搬送方向下流側に設けられた放電手段とが設けられ、
    上記放電手段と上記除電対象物とを接触もしくは近接させて除電対象物の電荷を接地側へ流す構成にし
    上記各サブチャンバーには、
    真空実現手段が接続されるとともに、
    上記除電対象物の供給口及び排出口が設けられ、
    これら供給口及び排出口には外気の侵入を防止しながら上記除電対象物の移動を可能にするシール機構が設けられた除電装置。
  3. 上記放電手段は、上記除電対象物の搬送路において上記除電対象物に接触もしくは近接する接地電極からなる請求項1または2に記載の除電装置。
  4. 上記放電手段を構成する接地電極は、上記除電対象物を挟持する一対の接地ローラからなり、
    上記一対の接地ローラ間を通過する上記除電対象物から電荷を接地側へ流す構成にした請求項3に記載の除電装置。
  5. 上記一対の接地ローラは、上記除電対象物の幅と同一もしくはそれ以上の長さを有する請求項4に記載の除電装置。
  6. 上記一対の接地ローラは、
    上記除電対象物の搬送路に接触する部分を除いた外周部分が電気的絶縁材で覆われた請求項4に記載の除電装置。
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