JP7044233B2 - 除電方法及び除電装置 - Google Patents
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Description
そして、帯電した印刷済みのシートは、1枚のときには、その両面の正、負の電荷が閉じた電界を形成するため、特に問題はない。ところが、印刷機から排出されてトレイTなどに積層されれば、図4に示すように、シート1の両面の電荷は、1枚のシート1の厚みを介して閉じるのではなく、積層された上下のシート1,1間で結合する。なぜなら、シート1の厚みよりも、接触した上下のシート1,1間の距離の方が小さいからである。
なお、図4では、説明のため、シート1の厚みを大きく示しているが、実際にはシート1の厚みは数十[μm]~1[mm]程度である。
その結果、シート1を1枚ずつ剥がすことが難しくなって、その後の工程、例えば折り加工、裁断加工、製本加工などの後加工工程がスムーズに進まないという問題が発生する。
そこで、デジタル印刷の後工程に除電工程を設ける必要がある。
その除電方法として、コロナ放電によって生成した正負のイオンをシート1の表面に照射して、表面電荷を中和する方法が多く用いられている。
特に、多層シートの場合には、異素材の境界に電荷が溜まりやすく、それを除電することは難しかった。
そのため、シート1の帯電量を下げることができず、このような帯電状態のシート1を積層すれば、図4に示すようにシート1同士が静電吸着してしまうことになる。
また、繰り返しの除電プロセスを設けるため、除電装置が大型化するという問題もあった。
上記のように、イオン照射を繰り返しても、実際には完璧な除電はほとんどできなかった。
しかし、シート1の全体の帯電量が非常に高い場合には、接地電極との間で多くの電荷が一気に流れて放電が発生し、除電ができてもシート1に放電によるダメージを与えてしまうことがある。具体的には、シート1に孔や亀裂ができてしまったりする。
この発明の目的は、例えば多層シートのように内部に電荷が溜まりやすくて除電しにくい除電対象物に対しても、ダメージを与えずに短時間で完全に除電できる除電方法及び除電装置を提供することである。
なお、上記真空チャンバーにおける真空とは、最も放電が起こりやすい真空度のことで、例えば1~5000[Pa]程度の圧力である。
しかも、放電手段で放電させる前に、イオンによる中和で除電対象物の全体の帯電量が低くなっているので、放電で一気に流れる電流量がそれほど多くなく、除電対象物が放電によってダメージを受けるようなことはない。
特に、真空チャンバー内は放電しやすいため、イオン照射工程では多くのイオンが生成され、イオン照射による中和が速やかに行なわれる。
また、除電対象物と放電手段との間の放電も起こりやすい環境なので、短時間で完璧な除電ができる。
特に、第1の発明によれば、対向する放電電極間の放電を除電対象に向かう方向に集中させて、イオンの生成領域を除電対象物の搬送路に対応させることができる。したがって、生成されたイオンが除電対象物に効率的に照射される。
また、第2の発明によれば、除電対象物がサブチャンバーを介してメインチャンバーへ供給され、サブチャンバーを介して外部へ排出されるため、最上流の供給口や最下流の排出口から外気が侵入しても、メインチャンバーの真空度にはほとんど影響しない。そのため、メインチャンバー内を放電に最適な真空度に維持することができる。
特に除電対象物の搬送速度が速くなればなるほど、供給口及び排出口からの外気の侵入量が多くなるが、サブチャンバーを設けることでメインチャンバーの真空度を保つことができるので、連続処理の速度を上げることができる。
もし、真空下で、回転しない接地電極を除電対象物に接触させると、摩擦抵抗が大きすぎて除電対象物を搬送できない。一方で、搬送される除電対象物と接地電極との間にわずかなすき間を維持しようとすると、隙間管理が難しくなってしまう。
したがって、除電対象物を搬送しながら放電させる放電手段としては、回転する接地ローラが最適である。
このように、除電対象物を搬送しながら除電できるので、除電処理速度が上がる。
また、除電対象物の搬送路で接地ローラがむき出しになっていると、帯電した除電対象物がその電荷によって接地ローラの表面に引き付けられて貼り付いてしまうことがある。除電対象物が、接地ローラ表面に貼り付いてしまうと、一対の接地ローラ間で挟持できず、搬送も、除電もできなってしまうことがある。しかし、この発明によれば、電荷が残った除電対象物が、接地ローラに挟まれる前に接地ローラに貼り付いてしまうことを防止できる。
金属製のチャンバー本体2内は、隔壁3,4で区切られ、その中央をこの発明の真空チャンバーであるメインチャンバー5とするとともに、隔壁3側を前チャンバー6、隔壁4側を後チャンバー7としている。上記前チャンバー6及び後チャンバー7がこの発明のサブチャンバーである。
そして、上記メインチャンバー5内は真空ポンプP1で排気され、数百[Pa]の真空度が保たれるようにしている。
また、前チャンバー6及び後チャンバー7内は真空ポンプP2で排気され、上記メインチャンバー5と同等もしくはそれよりも低い真空度が保たれるようにしている。
また、隔壁3,4、外壁9には、それぞれ、上記絶縁性部材10と同じ構成の絶縁性部材11,12,13がはめ込まれ、それぞれに開口11a,12a,13aが形成されている。
上記隔壁3に設けられた開口11aは、前チャンバー6の排出口とメインチャンバー5の供給口とを兼ね、隔壁4に設けられた開口12aは、メインチャンバー5の排出口と後チャンバー7の供給口とを兼ねている。また、外壁9の開口13aは後チャンバー7の排出口を構成している。
このシール機構14は、樹脂製のホルダー15とこれで保持された一対のシールローラ16,16で構成されている。
このホルダー15は、一対のホルダー部材15a,15bで構成され、これらのホルダー部材15a,15bが一対のシールローラ16,16を挟んで保持している。
また、上記ホルダー15であって、上記一対のシールローラ16の圧着部分に対応する個所には、上記絶縁部材10~13に形成された開口10a~13aとほぼ等しい形状及び大きさのスリット状の開口15cが形成されている。この開口15cは、上記開口10a~13aに連続して除電対象物であるシート1の搬送路となる。
そして、このシールローラ16が回転する際には、弾性部材16bがホルダーを押圧した状態で摺動するので、ホルダー15は滑り性がよく耐摩耗性に優れた材質、例えばデルリン(登録商標)などで形成することが好ましい。
このようにこの実施形態では、除電対象物の搬送手段を兼ねたシール機構14によって、外気が前後チャンバー6,7及びメインチャンバー5内に侵入しないようにしている。
なお、シート1の搬送方向に沿って隣り合うシール機構14,14間の距離は、シート1の搬送方向の長さと同等あるいはそれ以下にしている。したがって、移動中のシート1は、少なくとも1個所が必ず搬送手段を兼ねるいずれかのシールローラ16,16で挟持されることになり、矢印x方向に搬送される。
メインチャンバー5内では、矢印xで示すシート1の搬送方向上流側から、イオン照射手段を構成する一対の放電電極17,18が、対向して設けられている。各放電電極17,18は、シート1の幅方向に沿って伸びる棒状部材、あるいは上記幅方向に所定の間隔を保って配置された複数の電極部材で構成され、シート1の幅方向に長さを有する電気的絶縁材からなる電極ホルダー19,20で保持されている。
これら放電電極17,18は、互いに対向する部分のみを露出させ、他の部分は電極ホルダー19,20で覆われている。この電極ホルダー19,20がこの発明における放電電極を覆う電気的絶縁材である。
また、上記放電電極17,18には、それぞれ逆極性の電圧を印加し、その間で放電を発生させ、イオンが生成されるようにしている。放電電極17,18に印加する電圧は、互いに逆極性であれば直流でも交流でも構わないが、直流電圧を用いた方が放電を安定させることができる。
そして、接地ローラ21,22は、通常は互いに接触しているが、その対向間にシート1が供給されたときには、接地ローラ21,22が離れてシート1の厚みに応じた対向間隔を保持するように構成されている。具体的には、両接地ローラ21,22の図示しない一対の回転軸に上記回転軸同士が近づく方向の軽いばね力を作用させるとともに、接地ローラ21,22間にシート1が進入したときには、両接地ローラ21,22がシート1の厚みに応じて移動可能に支持されている。
また、上記放電電極ホルダー19,20と、上記接地ローラ21,22との間には、内部にシート1の搬送路25aを形成した電気的絶縁材からなるガイド部材25が設けられている。この搬送路25aを通過したシート1を上記接地ローラ21,22間に導くようにしている。
図示しない印刷機で帯電し、排出されたシート1は、図1の左側からシール機構14のシールローラ16,16で搬送され、外壁8の開口10aから前チャンバー6内に供給され、次のシール機構14を介して隔壁3の開口11aからメインチャンバー5内へ供給される。
また、上記したように接地ローラ21,22も対向部分以外を電気的絶縁材からなるローラホルダー23,24で覆われているため、上記放電電極17,18で生成されたイオンが接地ローラ21,22に吸収されることを防止できる。
このよう上記搬送路上でイオンが生成され、そのイオンが接地ローラ21,22に吸収されることもないため、前チャンバー6から供給されたシート1はイオンが生成された領域に進入することになる。その結果、シート1の表面に集中的にイオンが照射され、表面電荷が効率よく中和される。
さらに、シート1が移動して接地ローラ21,22に挟持されると、図3に示すようにシート1の幅方向端面からも接地ローラ21,22に向かう放電が発生して、シート1の内部に溜まっている電荷が接地側へ流れる。このように、放電しながら搬送されたシート1は、上記接地ローラ21,22間を通過すると、ほぼ完璧に除電された状態で隔壁4の開口12aから後チャンバー7へ供給され、さらに外壁9の開口13a及びシール機構14を介して外部へ排出される。
しかも、この実施形態では、接地ローラ21,22からなる放電工程の上流側において、放電電極17,18によって生成されたイオンがシート1の表面に照射され、シート1の帯電量が下がっている。そのため、帯電量が高いシート1をいきなり接地ローラ21,22で挟持して除電する場合のように、接地ローラ21,22に向かう放電電流が大電流とならず、シート1に放電によるダメージを与えることはない。
つまり、この実施形態の除電装置を用いれば、シート1にダメージを与えずに完璧な除電が可能になる。
つまり、帯電したシート1の搬送路のほとんどが電気的絶縁性で囲まれている。言い換えれば、接地されたチャンバー本体2の内壁などの接地体がシート1に対してむき出しになっていない。
もし、除電される前のシート1が接地体に近づくと、帯電電荷によってシート1が接地体に引き付けられ、貼り付いてしまうことがある。例えば、前チャンバー6に供給されたシート1の先端が金属製の外壁8に貼り付いてしまえば、シート1の移動がそこで止まってしまったり、くしゃくしゃにしわができた状態で送られたりしてしまう。このようなことは、メインチャンバー5内でも同様に起こる。
しかし、この実施形態では、シート1と接地体とが直接接触しないようにしているので、スムーズな搬送が実現できる。
ただし、シート1の搬送手段を工夫してスムーズな搬送が実現できれば、搬送路を電気的絶縁材で囲むことは必須の構成ではない。
例えば、帯電したシート1との間に間隔を保って回転しない接地電極を設けてもよい。ただし、放電しやすい真空度であっても、完璧な除電をするためには、シート1との距離はできるだけ小さくする必要がある。搬送手段によって移動中のシートに対して、小さな間隔を保って接地電極を設けるのは、その寸法管理が難しいという問題がある。
また、真空下では摩擦抵抗が急激に大きくなるため、回転しない接地電極を接触させた場合には、シート1を移動させることができない。そのため、処理速度が遅くなってしまう可能性もある。
帯電したシート1を搬送しながら、接地電極との距離を最小に保つことができ、しかも間隔管理の煩雑さもない点で、この実施形態の接地ローラ21,22が最適である。
ただし、接地ローラ21,22の長さを、除電体操物の幅と同等もしくはそれより長くした方が除電しやすい。なぜなら、ローラの長さが同等もしくは長ければ、内部の電荷が放電するシート1端部と接地ローラまでの距離が短くなるからである。
各チャンバーの供給口や排出口にはシール機構14を設けているが、このシール機構14をシート1が通過する際にはどうしても外気が侵入してしまう。
また、前後チャンバー6,7は、メインチャンバー5の前後に1つとは限らない。複数の前チャンバーや後チャンバーを設け、メインチャンバー5に向かって段階的に真空度が高くなるようにしてもよい。
このように、前後チャンバー6,7を設けることで、メインチャンバー5の真空度を維持すれば、高速での連続処理を可能にすることができる。
いずれにしてもシール機構の性能や真空ポンプの排気能力、目的の処理速度などに応じて、前後チャンバーを設けるか否かを設定すればよい。
2 チャンバー本体
5 メインチャンバー
6 前チャンバー
7 後チャンバー
10a~13a 開口(供給口、排出口)
14 シール機構(搬送手段を兼ねる)
15 ホルダー
16 シールローラ
16a 回転軸
16b 弾性部材
17,18 放電電極
10,20 電極ホルダー
21,22 接地ローラ
23,24 ローラホルダー
25 ガイド部材
P1,P2 真空ポンプ
Claims (6)
- 真空チャンバーと、
この真空チャンバー内で除電対象物を搬送する搬送手段と、
上記除電対象物にイオンを照射するイオン照射手段と、
上記イオン照射手段よりも除電対象物の搬送方向下流側に設けられた放電手段とが設けられ、
上記イオン照射手段は、上記除電対象物の搬送路を挟んで対向配置され、逆極性の電圧が印加される一対の放電電極からなり、これら一対の放電電極は、互いに対向する部分以外が電気的絶縁材で覆われるとともに、
上記放電手段は、上記除電対象物と接触もしくは近接させて設けられ、上記除電対象物の電荷を接地側へ流す構成にした除電装置。 - 真空を実現するメインチャンバーと、
除電対象物の搬送方向を基準にして上記メインチャンバーの上流側及び下流側のそれぞれに直列に配置された、少なくとも1のサブチャンバーと、
最上流のサブチャンバーから最下流のサブチャンバーまで上記除電対象物を搬送する搬送手段と
が設けられ、
上記メインチャンバーには、
このメインチャンバー内を搬送される上記除電対象物にイオンを照射するイオン照射手段と、
上記イオン照射手段よりも除電対象物の搬送方向下流側に設けられた放電手段とが設けられ、
上記放電手段と上記除電対象物とを接触もしくは近接させて除電対象物の電荷を接地側へ流す構成にし、
上記各サブチャンバーには、
真空実現手段が接続されるとともに、
上記除電対象物の供給口及び排出口が設けられ、
これら供給口及び排出口には外気の侵入を防止しながら上記除電対象物の移動を可能にするシール機構が設けられた除電装置。 - 上記放電手段は、上記除電対象物の搬送路において上記除電対象物に接触もしくは近接する接地電極からなる請求項1または2に記載の除電装置。
- 上記放電手段を構成する接地電極は、上記除電対象物を挟持する一対の接地ローラからなり、
上記一対の接地ローラ間を通過する上記除電対象物から電荷を接地側へ流す構成にした請求項3に記載の除電装置。 - 上記一対の接地ローラは、上記除電対象物の幅と同一もしくはそれ以上の長さを有する請求項4に記載の除電装置。
- 上記一対の接地ローラは、
上記除電対象物の搬送路に接触する部分を除いた外周部分が電気的絶縁材で覆われた請求項4に記載の除電装置。
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