本開示の熱中症リスク管理システムは、作業者の体に装着されて前記作業者の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記生体情報に基づいて当該作業者が熱中症を発症する発症リスクを判断する熱中症リスク判定部と、前記熱中症の発症リスクが高いことを前記作業者に報知する警告報知部とを備え、前記熱中症リスク判定部は、判定対象の作業者の安静時に取得された生体情報である安静時データと作業に従事している状態で取得された生体情報である作業時データとに基づいて、当該作業者の熱中症の発症リスクを判断する。
このようにすることで、本願で開示する熱中症リスク管理システムでは、判定対象となる作業者の作業時における生体情報の変化を把握することができ、個人個人の体質の違いや作業当日の体調の善し悪しを勘案した熱中症の発症リスクを判断して、作業者に警告情報を報知することができる。このため、正確な発症リスク判断に基づいて作業者の熱中症の発症リスクを好適に管理することができる。
本開示の熱中症リスク管理システムにおいて、判定対象の作業者の生体情報を記録するデータ記録部をさらに備え、前記熱中症リスク判定部は、前記データ記録部に記録された作業者の履歴情報に基づいて当該作業者の熱中症発症リスクの判断結果を修正することが好ましい。このようにすることで、判定対象である作業者の熱中症の発症傾向に基づいた、より正確な発症リスク判断を行うことができる。
また、前記熱中症リスク判定部は、判定対象の作業者が作業している地域の天候に関する気象情報を取得し、前記気象情報に基づいて当該作業者の熱中症発症リスクの判断結果を修正することが好ましい。このようにすることで、熱中症発症に関する環境要因として大きな影響を及ぼす気象情報を加味したより正確な熱中症発症リスクの判断を行うことができる。
さらに、前記熱中症リスク判定部は、ネットワーク上のサーバ内に設置されて同時に複数の作業者についての生体情報を取得するとともに、各作業者の熱中症発症リスクを判断するに当たって、他の作業者の生体情報に基づいて判定対象の作業者の熱中症発症リスクの判断結果を修正することが好ましい。このようにすることで、他の作業者の生体情報から判定対象の作業者の実際の周辺環境を把握して、より正確な熱中症発症リスクの判断を行うことができる。また、多人数の生体情報をいわゆるビッグデータとして取得することができるため、医療機関や行政機関における熱中症対策への貢献が期待できる。
さらにまた、前記生体情報取得部が作業者の着衣の胸部に配置され、前記作業者は、前記生体情報取得部が取得した前記生体情報を受領して前記熱中症リスク判定部に送信する生体情報送信部を備えた携帯端末を別途装備することが好ましい。このようにすることで、作業者は違和感なく生体情報取得部を装着できるとともに、取得された生体情報を確実に熱中症リスク判定部に伝達することができる。
この場合において、前記携帯端末が、前記警報報知部をさらに備えることが好ましい。このようにすることで、作業者は、生体情報取得部以外に一つの機器を装備するだけでよくなり、熱中症の発症リスクを管理する機器を装着することによる作業面での負担増を軽減することができる。
また、本開示の熱中症リスク管理システムにおいて、前記作業者が作業する作業現場の監督者が操作する情報機器内に、前記作業者の前記生体情報を含めた各種情報を管理する情報管理部が設置されていることが好ましい。このようにすることで、作業現場の監督者が、作業現場で作業する作業員の状況を確実に管理することができる。
さらに、前記警告報知部は、前記作業者が前記警告情報を確認した際に操作する入力手段をさらに備え、前記警告情報を前記作業者に報知した後、前記入力手段が操作されるまで繰り返し警告情報を報知することが好ましい。このようにすることで、熱中症の発症リスクが高い作業者を、より確実に保護することができる。
以下、本願で開示する熱中症リスク管理システムについて、具体的な実施形態を用いて説明する。
(実施の形態)
本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムは、熱中症発症リスクの判定対象となる作業者の作業時における生体情報をリアルタイムで把握し、当該作業者の安静時に得られた生体情報からの変化に基づいて、当該作業者が熱中症を発症するリスクを判定・管理するものである。特に、建築業や運送業など真夏の炎天下での肉体的な労働が要求される職場で作業する作業者に対して、熱中症を発症するリスクが一定以上となった場合に、その旨を伝えて休息をとるよう警告することができる。
図1は、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムの概略構成を説明するためのイメージ図である。
また、図2は、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムの各部の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、一例としての建築現場で作業する作業者10は、体温、心拍数、発汗量などの生体情報を取得する生体情報取得部であるデータチップ11を胸部に装着するとともに、データチップ11で得られた生体情報を外部に送信する生体情報送信部として機能する携帯端末としてのスマートフォン12を所持している。
データチップ11とスマートフォン12とは、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの短距離間通信によって常時接続されていて、データチップ11が取得する作業者10の生体情報は、随時スマートフォン12に送られている。
スマートフォン12は、自身が備えるデータ受信部15、データ送信部16によって、無線LANや携帯電話の情報キャリアを用いて常時ネットワーク環境としてのインターネット20に接続されている。そして、スマートフォン12は、インターネット20上に設置された熱中症リスク判定部を備えたサーバであるクラウドサーバ21に作業者10の生体情報を伝送する。
クラウドサーバ21は、内部にデータ受信部23とデータ送信部26を備えていて、インターネット20を介した情報の授受を行うことができるとともに、熱中症リスク判定部22を備えていて、複数の作業者の生体情報を受信して、それぞれの作業者についての熱中症発症リスクを判定し、熱中症の発症リスクが高まっている場合にはその旨を当該作業者に警告する警告情報を作成する。また、クラウドサーバ21は、データ記録部24を備えていて、作業者個人個人の生体情報、警告情報の作成履歴などを時系列に記録することができる。
また、クラウドサーバ21は、インターネット20を介して気象情報を提供する情報サイトから気象情報(25)を取得して、作業者10が作業している地域での気温や湿度、日照量などの現在時刻での気象条件や、今後数時間内における変化を見込んだ気象予報を取得することができる。
クラウドサーバ21は、インターネット20を介して、判定対象の作業者10の作業を現場で監督する監督者30が使用する情報端末としてのパソコン31と接続されている。このため、作業者10の作業現場にいる監督者30は、パソコン31のデータ受信部33によって、クラウドサーバ21から随時送信される作業者10の生体情報や、警告情報が生成されたか否かを把握することができる。
クラウドサーバ21の熱中症リスク判定部22は、生体情報の変化に基づいて作業者10が熱中症を発症するリスクを判断できる。具体的には、熱中症リスク判定部22は、作業者10の安静時に取得された生体情報である安静時データを基に、熱中症発症リスクが高まったかどうかを判定するための閾値を生成し、作業中の生体情報である作業時データと当該閾値を比較することで作業者10の熱中症発症リスクを判断する。
また、クラウドサーバ21は、データ記録部24に記録された判定対象の作業者10の過去の履歴情報や、気象情報取得部25で取得した作業地域の気象情報、さらには、判定対象の作業者以外の作業者の生体情報の変化などの環境情報に基づいて、作業者10の熱中症発症リスクの判断結果を補正して、より現実に即したものとすることができる。
監督者30のパソコン31は、作業者10を含めた当該監督者30が監督する作業現場に所属する作業者についての生体情報や警告情報が生成されたか否かを管理する情報管理部32を備えている。情報管理部32は、クラウドサーバ21から送信された情報に基づいて、それぞれの作業者の生体情報や警告情報が生成されたか否かをモニタ上に一覧表示するなどして、監督者30による作業現場で作業する作業者全体についての一元的な状況管理を可能とする。
監督者30のパソコン31では、警告情報を通知した後の作業者10の生体情報や、作業者10からの受領確認を受け取ることで、作業者10が熱中症の対策を行ったか否かを確認することができ、作業者10が対応をとっていない場合には、繰り返して警告情報を伝達するなど、作業者10の注意喚起を行うことができる。
また、監督者30は、作業現場の作業環境を改善する手段が執れる場合には、適宜実行して監督する作業現場での熱中症への対策ができる。
なお、上記説明では、作業者10に熱中症を発症するリスクが高くなっていることを報知する警告情報を、クラウドサーバ21の熱中症リスク判定部22で生成する例を説明したが、警告情報を、監督者30のパソコン31に設置された情報管理部32で生成することができる。また、熱中症リスク判定部22と、情報管理部32の双方で警告情報を生成するように設定することもできる。作業現場を実際に監督している監督者30のパソコン31から、熱中症リスク判定部22での判定結果に先んじて警告情報を生成し、作業者10に伝達することで、作業現場の実情に応じて熱中症発症リスクをより低減することができる場合がある。
クラウドサーバ21の熱中症リスク判定部22、または、監督者30のパソコン31で生成された警告情報は、監督者30のパソコン31のデータ送信部34から、無線LANなどのローカルネットワークや携帯電話の情報キャリアを含めたネットワークを介して作業者10が装備するスマートフォン12に送信される。警告情報を受け取ったスマートフォン12の警告報知部14は、音声、画面表示、ランプの点灯または点滅、振動などの各種の情報伝達手段を用いて、作業者10に自分が熱中症を発症するリスクが高まっていることを報知する。警告情報を確認した作業者10は、スマートフォン12のタッチパネルまたは操作ボタンなどを通じて警告情報を受け取った旨を報告するとともに、作業を中断して休息をとるなどの対策を実行する。
作業者10のスマートフォン12は、作業者10が警告情報を確認して作業を中断したことを監督者30のパソコン31に送信し、監督者30は、作業者10が熱中症への対策をとったことを確認できる。
なお、クラウドサーバ21は、インターネット20を通じて作業者10が所属する会社や事業所40内の管理コンピュータ41にも接続されていて、監督者30のパソコン31に送信された作業者10の生体情報や、クラウドサーバ21が熱中症の発症リスクを判断するために用いた各種の情報を、リアルタイムで、事業所40の管理コンピュータ41に対して送信する。事業所40の管理コンピュータ41は、自身のデータ受信部42とデータ送信部43とを備えているため、インターネットを介して監督者30の情報端末31とも接続されていて、監督者30から作業者10に対して警告情報が正しく伝達されたか、作業者10が熱中症への対策をとったか、などの情報を確認し、必要に応じて所定の指示を行うことができる。このようにすることで、作業者10が所属する事業所40においても、作業者10の状況や作業現場での対応を確認することができ、作業者10の熱中症発症リスクの回避をバックアップすることができる。
また、図1では明示していないが、クラウドサーバ21、監督者30のパソコン31、および、事業所40の管理コンピュータ40は、インターネット20で接続されているため、情報端末31や管理コンピュータ40の側からクラウドサーバ21にアクセスすることができ、クラウドサーバ21でのデータ処理内容を制御したり、熱中症リスク判定部22での判定プログラムを更新したり、クラウドサーバ21から熱中症のリスク管理に必要な情報を適宜取り出したりすることができる。
上記説明において、作業者が装備する携帯手端末としてスマートフォンを例示したが、作業者の携帯端末はスマートフォンには限られず、携帯電話機やタブレット機器、さらには、熱中症リスク管理システムに特化した、情報の送受信が可能な各種機器を用いることができる。
また、監督者が操作する情報機器としては、例示したパソコン、特に図1で図示したデスクトップパソコン以外にも、ノートパソコン、タブレット型パソコン、小型サーバ機器などの、ネットワークを通じた情報の送受信とデータ表示、データ記録などが可能な各種の情報機器を採用することができる。
さらに、上記説明では、監督者の情報機器から作業者の携帯端末に警告情報を送信する形態を説明したが、警告情報がクラウドサーバの熱中症リスク判定部で生成される場合には、クラウドサーバから直接作業者の携帯端末に警告情報を送信するようにシステムを構成することもできる。
次に、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムにおける、作業者の熱中症発症リスクを管理する動作を説明する。なお、動作の説明において、適宜図2に示した本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムの構成要素を示すブロックに付された符号を引用する。
図3は、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムにおける、作業者が装備している携帯端末の動作を説明するフローチャートである。
なお、上述のように本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムにおいて、作業者10が装備する携帯端末12(スマートフォン)は、作業者10が胸部に装着している生体情報取得部11(データチップ)が取得する生体情報をクラウドサーバ21へと送信する生体情報送信部13と、熱中症発症のリスクが高まった場合に作業者10に対して警告情報を伝達する警告報知部14とを備えていて、2つの機能を果たすものである。
図3に示すように、作業者10が装備時に操作して、または、所定の時間に設定されたタイマーによって、携帯端末12の電源がONとなり動作が開始される。なお、所定のアプリケーションをインストールすることによって、作業者10が所有するスマートフォンを携帯端末として機能させる場合には、通常、常に電源がON状態になっている。
携帯端末12は、生体情報取得部11から作業者10の安静時における体温、心拍数、発汗量などの生体情報である安静時データを取得する(ステップS101)。安静時データは、作業者が更衣室で作業着に着替えて携帯端末12を装備する際、または、作業現場などで行われる朝礼に臨んでいる際などの、作業者10が作業に従事する前の肉体的に大きな負荷が加わっていない状態に取得することができる。また、安静時データを、通常の作業時における作業者10の生体情報から推定することができる。さらに、本実施形態に示す熱中症リスク管理システムで熱中症の発症リスクを管理されたことがある作業者10の場合は、過去の履歴として記録されている安静時データを使用することができる。
携帯端末12は、生体情報取得部11から伝送された安静時データを、無線LANなどを介してインターネット20上のクラウドサーバ21へと送信する(ステップS102)。
続いて、携帯端末12は、生体情報取得部11から伝送される作業者10の作業時の生体情報を作業時データとして取得する(ステップS103)。また、携帯端末12は、作業者10の作業時データを、クラウドサーバ21へと送信する(ステップS104)。なお、実際には、生体情報取得部11は、数秒~数分程度の間隔で自動的に作業者10の生体情報を取得して取得したデータを順次携帯端末12に伝送していて、携帯端末12で受信する生体情報に「安静時データ」と「作業時データ」という区別が付されているわけではなく、携帯端末12が取得した生体情報が、作業者10の安静時に取得されたものか作業に従事している際に取得されたものかを、生体情報自体や取得時間などのデータ取得情報などを勘案して区別されることとなる。
なお、熱中症発症リスク判断の基準となる安静時データを確実に取得するために、作業の開始前に、作業者が携帯端末12を操作して、その時点で取得している生体情報が安静時データであることを明確化することができる。
このように、携帯端末12は、生体情報取得部11が取得する作業者10の生体情報を随時クラウドサーバ21へと送信する。これにより、クラウドサーバ21で、常に作業者10の生体情報を把握した熱中症発症リスクの判断を行うことができる。
なお、本発明の熱中症リスク管理システムは、複数の作業者の生体情報を管理するために、受信した生体情報がどの作業者の生体情報であるかを特定して記録・管理する必要がある。このため、作業者個人に付与したIDを基に生体情報を管理する仕組みを設けてもよい。例えば、QRコード(登録商標)やICチップを搭載したIDカードを作業者ごとに発行し、作業開始前に携帯端末12でIDカードを読み取るようにしてもよい。携帯端末12は読み取ったID情報をクラウドサーバ21に登録するか生体情報に付加して送信することで、クラウドサーバ21側では送られてくる生体情報が誰のものか特定して管理できる。この方法は、作業者に携帯端末を貸与する等、作業者が毎日同じ携帯端末を用いるとは限らない場合に有効である。建設現場等、人の入れ替わりが頻繁に発生するような場合は特に有効である。
携帯端末12は、警告報知部14を備えているが、警告情報を受け取っていない状態(ステップS105で「No」の場合)においては、作業者10の作業終了が検出されない状態(ステップS106で「No」の場合)では、上記の各ステップの動作を繰り返し、生体情報取得部11で取得した生体情報をクラウドサーバ21へと伝送する生体情報送信部13としての機能を実行する。
一方、作業者10自身の操作により、または、作業者10の現在位置情報や生体情報、あらかじめ把握されていた作業終了時間の経過などの各種情報から、作業者10が作業を終了したことを検出できた場合(ステップS106で「Yes」の場合)には、携帯端末12は、生体情報を転送する機能と警告報知部としての機能とを停止する。なお、携帯端末12が作業者10の所有するスマートフォン等である場合には、引き続きスマートフォンとしての機能を果たすこととなる。
図1、図2を用いて説明したように、本実施形態の熱中症リスク管理システムでは、作業者10の生体情報から作業者10が熱中症を発症するリスクが高まったと判断された場合には、警告情報が発せられ、携帯端末12はネットワークを介してこれを受信する。
携帯端末12が、警告情報を受信した場合には(ステップS105で「Yes」の場合)、携帯端末12は警告報知部としての機能を発揮して、音声、画面表示、ランプの点灯/点滅、振動などの手段を用いて、作業者10に熱中症発症リスクが高まっていることを報知する(ステップS107)。
作業者10が、警告情報を確認した場合には、携帯端末12のタッチパネルや各種操作ボタンなどの入力手段を操作して、その旨を意思表示する。作業者10からの警告情報を確認した旨の入力を受け付けた場合(ステップS108で「Yes」の場合)には、警告報知部としての携帯端末12の動作が終了される。このとき、作業者10は、熱中症発症のリスクを回避するために、休憩室などに移動して休息をとることになるため、携帯端末12の生体情報送信部としての機能も終了する。作業を中断して休息を取ることで作業者10の体調が回復し、再び作業に従事する場合には、図3のフローチャートに示した動作をスタートからやり直すこととなる。
なお、図示は省略するが、携帯端末12は作業者10が作業を中断した後も作業者10の生体情報をクラウドサーバ21へと送信して、作業者10が適切な休憩をとれているかのモニタリングを可能にすることができる。
また、図示は省略するが、作業者10が熱中症発症リスクを回避する対応を行った場合に、携帯端末12は、監督者30の情報機器31に直接その旨を通知するように設定することができる。このようにすることで、監督者30は、作業者10が熱中症発症を回避する正しい対策を執ったこと直ちに確認することができる。
一方、作業者10が警告情報を確認した旨の操作を行わなかった場合(ステップS108で「No」の場合)には、携帯端末12は、その旨を監督者30の情報機器31に通報する(ステップS109)。また、携帯端末12は、改めて作業者10に対して警告情報を報知する(ステップS107)。
このようにすることで、作業者10がすでに熱中症を発症してしまっていて所定の確認動作をできない場合などの深刻な事態を、監督者30が早期に確認することができる。なお、図示は省略するが、携帯端末12は、作業者10による警告情報に対する確認動作が行われなかった場合には、その旨をクラウドサーバ21にも伝達するような設定とすることで、クラウドサーバ21から、インターネット20を介して監督者30だけでなく、作業者10の事業所40の監視スタッフにも伝達することができ、携帯端末12と監督者30の情報機器31との間の通信が切断されているような非常事態や、監督者30が予期せぬトラブルに見舞われているなどしてすぐに対応できない場合にも、作業者10が警告情報を確認していないという不測の事態が生じていることを把握することができる。
次に、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムにおける、熱中症発症リスクの判定動作について説明する。
図4は、熱中症発症リスクの判定動作について、特にクラウドサーバと監督者の情報機器での動作を説明するフローチャートである。
なお、クラウドサーバ21は、インターネットの環境上で常に動作状態にあるが、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムとしての動作が始まってから終了するまでの動作を説明する。
図4に示すように、クラウドサーバ21は、作業者10が装備する携帯端末12から送信される作業者10の安静時の生体情報である安静時データを取得する(ステップS201)。クラウドサーバ21は、受信した安静時データをデータ記録部24に記録するとともに、インターネット20を通じて作業現場を監督する監督者30の情報機器31、事業所40の管理コンピュータ41へと送信する(ステップS202)。
引き続き、クラウドサーバ21は、作業者10の携帯端末12から、作業時の生体情報である作業時データを受信し(ステップS203)、これをデータ記録部24に記録し、監督者30の情報機器31、事業所40の管理コンピュータ41へと送信する(ステップS204)。
作業者10の安静時データと、作業時データとが得られたので、クラウドサーバ21の熱中症リスク判定部22は、2つの生体情報に基づいて作業者10の熱中症発生リスクを判断する。
本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムでは、同一作業者の作業時の体温、心拍数、発汗量などを作業時データとして随時把握するとともに、作業を開始する前の安静時における生体情報と比較してその変動値を算出し(ステップS205a)、たとえば、体温、心拍数、発汗量が急激に上昇しているなどの身体的な変化が生じている場合には、その変化量の大きさ、変化速度の増大/減少の傾向などに基づいて、熱中症の発症リスクを判断する。併せて、熱中症リスク判定部22は、熱中症を発症する危険性が高いと認識されている一般的な指標数値としての生体情報と、作業者10の実際の生体情報の数値を比較することによって、熱中症を発症するリスクを複合的に判断することができる。
また、上述のように、クラウドサーバ21は、作業者10の生体情報を受信するとその都度データ記録部24に得られた生体情報を記録しているため、当該作業者10の過去の生体情報を履歴情報として所有している。クラウドサーバ21は、熱中症発症リスクを判断するに当たって、判定対象の作業者10の過去の生体情報の変化である履歴情報を呼び出し(ステップS205b)、熱中症発症リスクの判断結果を補正することができる。より具体的には、クラウドサーバ21は、判定対象の作業者10の履歴情報に基づいて、当該作業者10が熱中症を発症しやすい体質であるか否かを発症リスク判断に加味することができる。また、判定当日の安静時データが履歴情報における安静時データと大きく異なっていないかなどを確認することで、判断時における作業者10の体調の好不調を推測することができるので、熱中症リスク判定部22は、作業者10の当日の体調を加味して熱中症発症のリスクを補正することができる。
さらに、インターネット20上に設置されていることで、クラウドサーバ21は、気象情報取得部25によって、気象庁や各気象情報提供会社のウェブサイトなどから、作業者10が作業している作業現場付近の気象情報を環境情報として入手することができる(ステップS205c)。作業現場が、特別に高い気温、湿度となっているか否か、風向や風速はどうかという気象環境によって熱中症の発症リスクが変化するため、気象情報を環境情報として入手し、熱中症の発症リスク判断に活用することは有用である。
また、本実施形態の熱中症リスク管理システムにおいては、作業者10の熱中症発症リスクをクラウドサーバ21によって判定していることから、同時に多人数の作業者の生体情報を入手し、熱中症の発症リスクを判断することができる。このため、クラウドサーバ21は、他の作業者の生体情報や熱中症発症リスク判断結果などを環境情報として入手して(ステップS205c)、判定対象の作業者10の熱中症発症リスクの判断における補正を行うことができる。特に、作業者個々人の履歴情報も合わせて保持していることで、判断時におる環境面での熱中症発症リスクの高低の傾向を勘案して、より正確な熱中症発症リスク判断を行うことができる。
クラウドサーバ21は、判定対象の作業者10の熱中症発症リスクが低く、現時点では対策を講じる必要がないと判断した場合には(ステップS206の「No」の場合)、作業者10が作業を終了したか否かを確認し(ステップS207)、作業終了の場合には(ステップS207で「Yes」の場合)、その日の作業者10の生体情報を整理して履歴データをまとめ(ステップS208)、動作を終了する。なお、図示していないが、この履歴データを監督者30の情報機器31や、事業所40の管理コンピュータ41に送信することで、作業者10の履歴データのバックアップが可能となる。
作業者10が作業を終了したことが確認できない場合(ステップS207で「No」の場合)には、ステップS203に戻って、引き続き作業者10の作業時データを受信して、以下上記の動作を繰り返す。
一方、ステップS206において、クラウドサーバ21が、判定対象の作業者10の熱中症発症リスクが高く対策を講じた方がいいことを警告すべきと判断した場合には(ステップS206の「Yes」の場合)、作業者に対して熱中症の発症リスクが高まっていることを報知する警告情報を生成して、監督者30の情報機器31に送信する(ステップS209)。
以下、ステップS209からステップS211までの動作ステップは、監督者30の情報機器31での動作となる。
監督者30の情報機器31は、クラウドサーバ21から警告情報を受信すると、作業者10の携帯端末12に警告情報を送信する(ステップS209)。
監督者30の情報機器31は、作業者10によって警告情報を確認した旨の操作が行われるか否かを判断し(ステップS210)、作業者10の確認操作が認められれば(ステップS210で「Yes」の場合)、一連の熱中症発症リスクの判断動作が終了する。
なお、図示は省略するが、クラウドサーバ21は、作業者10の携帯端末12、監督者30の情報機器31の少なくともいずれか一方から、作業者10が熱中症の対策を講じたことの通知を受けて、熱中症発症リスクの判断動作を終了することができる。また、クラウドサーバ21は、熱中症リスクを低減する対策を執るべきと判断した後に、作業者10の生体情報が安静時の状態に戻ったことを検出することによって、熱中症発症リスクの判断動作を終了することができる。
一方、監督者30の情報機器31は、作業者10が警報情報を確認した旨の操作を行っていない場合(ステップS210で「No」の場合)には、改めて携帯端末12に警報情報を報知するように指示する(ステップS211)。この動作は、作業者10が警報情報を確認したとの操作が行われる(ステップS210で「Yes」の場合)まで繰り返される。
なお、図示は省略するが、作業者10が警告情報を受領した確認操作が行われない場合には、監督者30の情報機器31は、画面上に大きく警告を表示するなどして作業現場の監督者30に報知するとともに、事業所40の管理コンピュータ41へとその状況を報知するように設定することができ、監督者30を含めて作業現場だけでは対応できない状況が生じている可能性を事業所40の管理者に知らせることができる。
また、上記説明においては、クラウドサーバ21が警告情報を作成する例に基づいて説明したが、前述のように、監督者30の情報機器31が警告情報を作成するようなシステムとすることができ、この場合には、ステップS209での動作は、いずれも監督者30の情報機器31での動作となる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる熱中症リスク管理システムでは、作業者の安静時と作業時の生体情報に基づいて、当該作業者の熱中症の発症リスクを判断する。このため、体温、心拍数、発汗量などの生体情報が所定の閾値を超えることを判断基準としていた従来の熱中症の発症リスク判断と比較して、判断対象者の体質や、判断当日の好不調など体調の変化をも勘案して、より高い精度で作業者の熱中症発症リスクを判断することができ、結果として、作業者が熱中症を発症することを効果的に防止することができる。
図5に、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムにおける作業者の生体情報を取得する生体情報取得部の構成例を示す。図5(a)が、生体情報取得部が装着されたアンダーシャツの表面を示し、図5(b)がアンダーシャツの裏面を示している。
図5に示すように、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムでの生体情報取得部として、作業者が着用するアンダーシャツ17の胸部にデータチップ11を配置することができる。より具体的には、データチップ11は、アンダーシャツ17の表面17aの胸部中央部分に配置された、データ取得送信ユニット11aと、データ取得送信ユニット11aに接続されて、アンダーシャツ17の裏面17bに左右方向に延在して配置された電極部11bとから構成されている。
なお、本実施形態の熱中症リスク管理システムにおいて、作業者10の生体情報を胸部に配置したデータチップ11で取得する方法としては、図5に示したアンダーシャツ17にデータチップ11を固着する方法には限られない。たとえば、データチップ11を接着性の高いシート状の装着カバー内に入れてこれを胸部に直接貼り付ける方法、データチップ11を体に密着保持することができる伸縮性のある装着ベルトを用いて作業者の胸部に配置する方法などを採用することができる。しかし、装着カバーや装着ベルトを用いる方法では、作業者10がデータチップ11を装着することによって感じる違和感を解消できず、また、長時間装着する場合に、汗などによって、データチップ11が作業者の体表面から外れたり装着位置がずれたりする恐れがある。
これに対して、図5に示したようにデータチップ11を作業者10が着用するアンダーシャツ17に固着する方法によれば、作業者10が、データチップ11を装着することに対する特別な意識を緩和して生体情報を取得することができる。また、仮に作業者10の発汗や作業中の体のひねりなどが生じた場合でも、アンダーシャツ17に固着されたデータチップ11が、作業者10の体表面から外れてしまうことはなく、その装着位置も実質的に変化しない状態を維持することができる。
なお、作業者10の生体情報を取得するデータチップ11に、2方向または3方向の加速度センサを配置することで、作業者の体の動きを3次元で検出することができる。この結果、たとえば、作業者10が転倒した場合など作業者10の姿勢が急激に変化した場合には、データチップ11によってその体の動きを検出することができる。
作業者10の生体情報を取得する生体情報取得部としてデータチップ11を用いる場合に、データチップ11の配置場所としては、上記した作業者の胸部以外にも、作業者の腰部、背中、上腕部や脚部などに配置される形態を採用することができる。これらの場合においても、データチップ11を作業者の体表面に密着固定する方法としては、アンダーウェアの内表面にデータチップを配置する方法のほか、装着カバーや装着ベルトを用いてデータチップを固定する方法が採用できる。
さらに、近年、ウェアラブル端末の代表例として各種の機能を備えたものが実用化されている、腕時計型のデータチップを生体情報取得部として採用することも可能である。腕時計型のデータチップの場合は、たとえば伸縮性の装着ベルトを胸部に巻いてデータチップを装着する方法と比較して、作業者に装着時の違和感を与えることが少ないという利点がある。しかし、腕時計型のデータチップの場合は、作業者の体表面と接触する電極の面積が小さくなるとともに、手首部分に常に密着しているとは限らないため、生体情報の取得精度が劣る恐れがある。また、腕時計型のデータチップを採用した場合には、休憩時などに作業者がデータチップを外したまま再装着を失念して作業に復帰する場合があり、常に作業者の生体情報を把握することができなくなるというリスクが生じる。
一方で、腕時計型のデータチップの利点としては、データチップ自体が露出していることと、データチップが一定の厚みを有しても作業者に与える違和感が小さいために、データチップの送信機能を向上させて、生体情報送信部を介することなく、直接インターネットに接続して生体情報をクラウドサーバに送信可能とする形態を採用することができる点が挙げられる。
本実施形態の熱中症リスク管理システムでは、アンダーシャツに装着されたデータチップをより小型軽量化して、作業者の違和感をなくすとともに、アンダーシャツとして伸縮性を備えた素材を用いることで、作業者が前屈みの姿勢になった場合にもデータチップの電極が作業者の体表面から離れないようにしている。一方、このようにデータチップ装着に対する作業者の違和感を低減することを優先したために、結果として、データチップはブルートゥースなどの短距離のデータ送信にとどめて、送信ユニットと動作電源を小型軽量化する一方、作業者は、データチップの他に生体情報送信部としての携帯端末を別途装着する必要が生じる。
なお、上述のように、本実施形態の熱中症リスク管理システムでは、作業者が装着する携帯端末がデータチップから得られた生体情報を送信する生体情報送信部としての機能に加えて、作業者が所持していることが必要な警告報知部の機能を兼ね備えることで、作業者が保持する機器の数を減らして、作業時の負担を軽減している。
上述のように、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムでは、生体情報取得部で取得された作業者の生体データをクラウドサーバに送信する生体情報送信部として、スマートフォンを利用することを説明した。スマートフォンは、アプリケーションをインストールすることで、一定以上の複雑な動作を実現させることができるとともに、スマートフォン自体が備えている、インターネットに接続してデータの送受信を行う機能を備え、また、画面、音声、振動などを通じて警告情報を容易に報知することができるからである。
さらに、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムにおいて作業者が装備する機器としてスマートフォンを用いるにあたって、作業者の生体情報を表示することで作業者が自身の健康状態を把握する手段としても利用することができる。
図6は、本実施の形態にかかる熱中症リスク管理システムにおける作業者が装備する携帯端末の表示画面の表示例を示す図である。
図6に示すように、携帯端末であるスマートフォン12に、作業者(AAAさん)のパーソナルデータとして、データチップで取得された心拍数、体温(体表温)、発汗量などをリアルタイムで表示するとともに、各数値が上昇しているか下降しているかを矢印で表すことができる。また、当日の安静時データに基づいて、基本的な体調が良いか悪いかや、データチップとスマートフォンの電池残量、さらに、生体情報の更新の周期などを表示することで、作業者は、自身の体調や、熱中症リスク管理システムの動作状況を随時把握することができる。
また、たとえば熱中症の発症リスクの判定結果を表示することで、作業者に自己の体調を積極的に管理することを促す効果も期待できる。
なお、図6に示したスマートフォンの表示画面例はあくまでも一例であって、たとえば発汗量を「多」「中」「少」等のランクではなく具体的な数値で示すなど、個々のデータの標記内容、さらに、標記項目自体も適宜変更することができることは言うまでもない。もちろん、図6に示した自身の生体情報を表示するのではなく、警告表示を行わない場合は通常の待ち受け画面が表示されるよう設定しても何ら問題はない。
次に、作業現場の監督者の情報機器の画面表示内容について説明する。
図7は、監督者が所有する情報端末としてのノートパソコンの表示画面例を示す図である。
上述のように、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムでは、作業現場にいる現場監督者のノートパソコンやタブレット端末などの情報端末が、作業者への警告情報を生成する情報管理部としての機能を果たす。
監督者の情報端末は、インターネットを介して熱中症リスク判定部を備えたクラウドサーバと接続されていて、リアルタイムで複数の作業者の生体情報を取得することができる。
このことを活用して、図7に示すように、監督する現場に配置されている作業者(AAAさん、BBBさん、CCCさん他)を一覧表示して、それぞれの作業者の性別、年齢などの基本情報とともに、体温(体表温)、心拍数、発汗量などの生体情報を表示する。さらに、個々の作業員の生体情報における特記事項や、熱中症発症リスクの高まりに連動して警告情報を出すべきか否かの判断の基礎となる警告要否情報を表示することで、作業者の安全管理に強い責任を有する監督者が、必要に応じて作業を中断させるなどの判断を行いやすくすることができる。
また、当日欠勤している作業者、または、熱中症の発症リスクが高くなって休憩を指示した作業者の情報を含めて表示することで、作業現場の人員管理を容易に行うことができる。
さらに、たとえば各作業員のデータチップやスマートフォンの電池容量、電波受信状況を一覧表示することで、電池交換の要否やスマートフォンのオンライン/オフライン表示など、熱中症リスク管理システムの正常な運用を行う上で必要な情報を把握することができる。
なお、図7に示した、監督者の情報端末の表示画面はあくまで例示に過ぎない。また、作業者の事業所で管理者が使用する管理コンピュータにも、たとえば、複数の作業現場ごとに切り替え可能な状態で同様の画面を表示することで、所属している作業者がどのような健康状態にあるかを容易に把握することができる。
以下、本実施形態の熱中症リスク管理システムの変形例について説明する。
上記実施形態では、本願で開示する熱中症リスク管理システムにおいて、作業者は、生体情報取得部と、生体情報送信部と警告報知部との両方を備える携帯端末とを装備する構成を例示した。しかし、このことは本願で開示する熱中症リスク管理システムにおいて、必須の要件ではない。
たとえば、上述の腕時計型のデータチップを用いた場合には、生体情報取得部と生体情報送信部とを腕時計型のデータチップに装備させ、警告報知部を別途作業服の襟元や作業服の胸ポケットなど、作業者の目にとまりやすい位置に配置可能な部材で構成することができる。また、生体情報取得部としてのデータチップをアンダーシャツに固着した形態の場合でも、たとえば、生体情報送信部を作業ズボンのベルトのバックル部に仕込むなどすることで、作業者に格別な負担を与えることなく生体情報を取得してサーバに送信することができる生体データ取得送信部を実現することができる。この場合には、アンダーシャツに装着されたデータチップと、ベルトのバックルに内蔵された生体情報送信部とを有線で接続することも可能となり、データチップをさらに薄型軽量化することができる。これらの場合には、警告報知部は、前述のように襟元や作業服の胸ポケット部分など作業服の表面の作業者の目に触れやすい位置に配置する形態が好ましい。
また、上記実施形態では、熱中症リスク判定部がネットワーク環境としてのインターネット上に配置されたサーバに備えられた例を示した。上述のように、熱中症リスク判定部をインターネットの環境に配置することで、同時に複数の作業者の生体情報を受信して、個々の作業者に対して熱中症の発症リスクを判断することができる。このようにすることで、上述したように、常に多人数の作業者の情報を取得することができ、各作業者の熱中症発症リスク判断における最新の環境データとして利用することができる。
また、インターネット上のサーバにデータを集約することで、インターネットにつながる環境であれば、作業者の実際の所在位置に関する問題がなくなる。このため、特に運送業のように作業者の作業位置が変化する場合や、いくつもの異なる作業現場の作業者を一括して管理する場合に好適である。
また、インターネット上のサーバに作業者の生体情報を一元的に集約することで、各作業者のデータをいわゆるビッグデータとして活用することが容易に行えることとなる。このため、得られた作業者個々のデータは、熱中症に関連する作業者情報として医療機関や行政機関における熱中症研究のための貴重なデータとすることができる。
しかし、本願で開示する熱中症リスク管理システムにおける熱中症リスク判定部は、作業者の安静時の生体情報と作業時の生体情報とに基づいて当該作業者の熱中症発症リスクを判断するものである限りにおいて、その配置位置の制約はなく、インターネット上に配置されたサーバ内に設置されることを必須の要件とするものではない。
このため、最も小さなシステム体系によれば、熱中症リスク判定部を作業者が所持する携帯端末内に配置することができる。この場合には、生体情報取得部と熱中症リスク判定部とを近接した位置に配置できるため、たとえば腕時計型の生体情報取得部内に微細なマイコンチップを配置することで、生体情報取得部と熱中症リスク判定部とを兼ね備えた一体型のウェアラブル機器を実現することができる。
なお、熱中症リスク判定部を作業者が装着するウェアラブル機器として実現した場合には、機器としての大きさの制約から、十分な容量のデータ記録部を配置することが困難な場合がある。この場合には、ウェアラブル機器をインターネットに接続可能とすることで、作業者の生体情報をデータ取得の都度インターネットを介して監督者の情報機器や事業所のデータサーバなどの他の情報機器に保管するとともに、熱中症の発症リスク判断に当たって参照する履歴情報や、気象情報、他の作業者の生体情報などはインターネットを介して取得可能とすることができる。このようにして、熱中症リスク判定部での判定精度を向上させることができる。
また、この場合に、警告情報を作業者に報知する警告報知部も、作業者に装着したウェアラブル機器内に配置することができる。このように、究極の場合には、本願で開示する熱中症リスク管理システム全体を、物理的に一つの機器内に配置形成することが可能である。
また、上記実施形態では、熱中症リスク判定部をサーバ内に設置し、情報管理部を作業現場を監督する監督者の情報機器内に配置する構成を例示したが、作業現場ごとに独立した熱中症リスク管理システムを構築することが可能である。
図8は、本実施形態にかかる熱中症リスク管理システムの第2の構成例として、インターネット上のサーバを用いずに、ローカルLANネットワーク内にシステム全体を配置した構成例を示す図である。
図8に示すように、作業者50が装着する生体情報取得部51、生体情報送信部52、警告報知部53に関しては、上述の実施形態で説明した第1の構成例の内容と同じであり、アンダーウェアに装着されたデータチップと携帯端末としてのスマートフォンとを用いた構成をはじめとする、各種の構成をそのまま採用することができる。
図8に示す第2の構成例では、現場監督者60のもとに、情報機器としての管理サーバ61が配置されていて、管理サーバ61内に、熱中症リスク判定部62、情報管理部63、データ記録部65が備えられている。これら、熱中症リスク判定部62、情報管理部63、データ記録部65の個々の動作は、第1の構成例で説明した、熱中症リスク判定部22、情報管理部32、データ記録部24の動作と同じであるため、詳細な説明は省略する。
なお、管理サーバ61は、自身がインターネット70に接続して必要な情報の送受信が可能なように、データ受信部64とデータ送信部66とを備えることで、インターネットを介して作業者50の生体情報の取得と、警告情報の送信、さらに、気象情報の取得や図示しない事業所の管理コンピュータとの接続を行うことができる。
このように、本願で開示する熱中症リスク管理システムは、作業者周辺の小さなシステムとして、作業現場ごとのローカルなシステムとして、また、広範な作業者を一括して対象とすることができる、インターネット上のサーバを中心とするシステムとして、様々な形態で実現することができる。
また、本願で開示する熱中症リスク管理システムにおいて、生体情報取得部で取得された作業者の生体情報に基づいて、作業者の体調管理や消費カロリー算出など、熱中症の発症リスク管理以外の管理を合わせて行うことを排除するものではない。