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JP7050419B2 - 全固体型二次電池用負極及び全固体型二次電池 - Google Patents
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JP7050419B2 - 全固体型二次電池用負極及び全固体型二次電池 - Google Patents

全固体型二次電池用負極及び全固体型二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、全固体型二次電池用負極及び全固体型二次電池に関する。
金属リチウムは負極活物質として最大のエネルギー密度を有する。このため、金属リチウムを負極としたリチウム二次電池の実用化が古くから望まれている。
一方、リチウムイオン二次電池として、負極に炭素、正極にリチウム含有層状酸化物、そして電解質に非水系の液体を用いた二次電池が広く実用化されている。金属リチウムを非水系電解質二次電池の負極に用いた場合、充放電によって金属リチウムの析出および溶解が繰り返し行われる。このような繰り返し析出溶解過程によって、樹枝状結晶(デンドライト)が生成し、このデンドライトが負極から正極へと短絡を起こす場合がある。このため、非水電解質二次電池の安全性及びサイクル寿命が不十分となる。
さらに、非水系電解質二次電池の充電時に析出したリチウムが非水系電解質、すなわち有機電解液と反応し、負極金属リチウム上に還元分解された被膜が形成される。これにより、充放電効率が悪くなるという問題がある。つまり、充放電によって金属リチウムが消費されるため、非水系電解質二次電池の製造時(つまり初期)に多くの金属リチウムを負極に搭載する必要がある。したがって、電池のエネルギー密度が低下してしまう。以上の理由により、金属リチウムを負極とする非水系電解質二次電池は実用化に至っていない。
一方、リチウムイオン二次電池として、例えば特許文献1に開示されている全固体型二次電池が知られている。全固体型二次電池では、非水系電解質の代わりに無機系硫化物固体電解質を用いる。無機系硫化物固体電解質では、還元分解に伴う皮膜の生成は生じ得ない。したがって、充放電を繰り返しても、このような反応に起因したリチウムイオンの消費は発生しない。このため、充放電効率が高くなり、初期に負極に搭載する金属リチウムの量を極めて少なくすることができる。言い換えると、正極活物質中のリチウムだけを用いた電池構造を実現できる。したがって、全固体型二次電池では飛躍的にエネルギー密度を向上させることが可能となる。
国際公開第2013/141241号
このように、全固体型二次電池の負極に金属リチウムを用いた場合、非水系電解質二次電池で生じた問題は発生しない。しかしながら、正極活物質中のリチウムだけを用いた電池構造をもつ全固体型二次電池では、充電時に負極集電体と固体電解質との接触部分に金属リチウムが析出する。また、負極集電体上に金属リチウムが析出する際の過電圧は大きく、析出した金属リチウム上に析出成長する方が過電圧は低くなり、より局所的に粗大化してしまう。また、負極集電体は、金属リチウムと合金を形成しない金属、例えばNiなどで構成される。さらに、析出した金属リチウムは、負極集電体の面方向にはほとんど成長せず、全固体型二次電池の厚さ方向に成長する。この金属リチウムは、放電時にはリチウムイオンとなって溶解するが、この過程において電流密度が高い場合には、金属リチウムと固体電解質との導通が途切れてしまい、金属リチウムが孤立することがある。このような金属リチウムはもはや充放電には使用できないので、デッドリチウムと称される。このため、充放電の繰り返しにより容量が急激に低下するという問題があった。つまり、全固体型二次電池が、負極に金属リチウムを持たない正極活物質中のリチウムだけを用いた電池構造を有する場合、全固体型二次電池のサイクル特性が著しく悪化するという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、正極活物質中のリチウムだけを用いた電池構造を有する全固体型二次電池のサイクル特性を改善することが可能な、新規かつ改良された全固体型二次電池用負極及び全固体型二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、負極集電体と、負極集電体を被覆し、充電時にリチウムの拡散が早いリチウム合金層を介して金属リチウムが析出可能な被覆層と、を備えることを特徴とする、全固体型二次電池用負極が提供される。
本観点によれば、負極集電体上に上述した特性を有する被覆層が形成されている。このため、充電時には、被覆層はリチウムの自己拡散に比べて拡散の早い合金層を介して表面から金属リチウムが略均一に析出する。そして、放電時には、金属リチウムは、徐々にリチウムイオンとなって溶解する。この過程において、金属リチウム層の厚さが略均一に小さくなっていくので、金属リチウム層と固体電解質との接触を維持することができる。このため、デッドリチウムが生成しにくくなる。したがって、充放電の繰り返しても容量を維持することができる。すなわち、サイクル特性が向上する。
ここで、被覆層は、リチウムと合金を形成可能な金属を含んでいても良い。
この観点によれば、充放電に伴って金属リチウムが被覆層の表面に略均一に生成、消失するので、デッドリチウムが発生しにくい。したがって、充放電を繰り返しても容量を維持することができる。すなわち、サイクル特性が向上する。
また、被覆層は、亜鉛、ゲルマニウム、錫、アンチモン、白金、金、ビスマス、およびこれらの二種以上を含む合金からなる群から選択されるいずれか1種以上を含んでいてもよい。
この観点によれば、充放電に伴って金属リチウム層が被覆層の表面に略均一に生成、消失するので、デッドリチウムが発生しにくい。したがって、充放電の繰り返しても容量を維持することができる。すなわち、サイクル特性が向上する。
また、被覆層の厚みは1nm以上100nm未満であってもよい。
本発明の他の観点によれば、上記の全固体型二次電池用負極を含むことを特徴とする、全固体型二次電池が提供される。
以上説明したように本発明によれば、充放電に伴って金属リチウム層が被覆層の表面に略均一に生成、消失するので、デッドリチウムが発生しにくい。したがって、充放電の繰り返しても容量を維持することができる。すなわち、サイクル特性が向上する。
本発明の一実施形態に係る全固体型二次電池の層構成を模式的に示す断面図である。 被覆層を有しない全固体型二次電池を充電した際の負極の挙動を模式的に示す断面図である。 被覆層を有しない全固体型二次電池を放電した際の負極の挙動を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る全固体型二次電池を充電した際の負極の挙動を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る全固体型二次電池を放電した際の負極の挙動を模式的に示す断面図である。 実施例及び比較例に係る全固体型二次電池のサイクル特性を示すグラフである。 比較例に係る全固体型二次電池の負極の表面状態を示すSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例に係る全固体型二次電池の負極の表面状態を示すSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 負極活物質層の有無による電位プロファイルの変化を示すグラフである。 被覆層の種類及び有無による充放電プロファイルの変化を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.全固体型二次電池の構成>
まず、図1に基づいて、本実施形態に係る全固体型二次電池1の構成について説明する。全固体型二次電池1は、電解質として固体電解質を用いた二次電池である。また、全固体型二次電池1は、リチウムイオンが正極10、負極層30間を移動する所謂全固体型リチウムイオン二次電池である。
図1に示すように、全固体型二次電池1は、正極層10と、固体電解質層20と、負極層30とを備える。
(1-1.正極層)
正極層10は、正極活物質と、固体電解質とを含む。また、正極層10は、電子伝導性を補うために、導電助剤をさらに含んでもよい。なお、正極層10に含まれる固体電解質は、固体電解質層20に含まれる固体電解質と同種のものであっても、同種でなくてもよい。固体電解質の詳細は固体電解質層20の項にて詳細に説明する。
正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出することが可能な正極活物質であればよい。
例えば、正極活物質は、コバルト酸リチウム(以下、LCOと称する)、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(以下、NCAと称する)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(以下、NCMと称する)、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム等のリチウム塩、硫化ニッケル、硫化銅、硫黄、酸化鉄、または酸化バナジウム等を用いて形成することができる。これらの正極活物質は、それぞれ単独で用いられてもよく、また2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
また、正極活物質は、上述したリチウム塩のうち、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩を含んで形成されることが好ましい。ここで、「層状」とは、薄いシート状の形状を表す。また、「岩塩型構造」とは、結晶構造の1種である塩化ナトリウム型構造のことを表し、具体的には、陽イオンおよび陰イオンの各々が形成する面心立方格子が互いに単位格子の稜の1/2だけずれて配置された構造を表す。
このような層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩としては、例えば、LiNiCoAl(NCA)、またはLiNiCoMn(NCM)(ただし、0<x<1、0<y<1、0<z<1、かつx+y+z=1)などの三元系遷移金属酸化物のリチウム塩が挙げられる。
正極活物質が、上記の層状岩塩型構造を有する三元系遷移金属酸化物のリチウム塩を含む場合、全固体型二次電池1のエネルギー(energy)密度および熱安定性を向上させることができる。
正極活物質は、被覆層によって覆われていても良い。ここで、本実施形態の被覆層は、全固体型二次電池の正極活物質の被覆層として公知のものであればどのようなものであってもよい。被覆層の例としては、例えば、LiO-ZrO等が挙げられる。
また、正極活物質が、NCAまたはNCMなどの三元系遷移金属酸化物のリチウム塩にて形成されており、正極活物質としてニッケル(Ni)を含む場合、全固体型二次電池1の容量密度を上昇させ、充電状態での正極活物質からの金属溶出を少なくすることができる。これにより、本実施形態に係る全固体型二次電池1は、充電状態での長期信頼性およびサイクル(cycle)特性を向上させることができる。
ここで、正極活物質の形状としては、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状を挙げることができる。また、正極活物質の粒径は特に制限されず、従来の全固体型二次電池の正極活物質に適用可能な範囲であれば良い。なお、正極層10における正極活物質の含有量も特に制限されず、従来の全固体型二次電池の正極層に適用可能な範囲であれば良い。
また、正極層10には、上述した正極活物質および固体電解質に加えて、例えば、導電剤、結着材が適宜配合されていてもよい。
正極層10に配合可能な導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、金属粉等を挙げることができる。また、正極層10に配合可能な結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリエチレン(polyethylene)等を挙げることができる。
(1-2.固体電解質層)
固体電解質層20は、正極層10および負極層30の間に形成され、固体電解質を含む。
固体電解質は、例えば硫化物系固体電解質材料で構成される。硫化物系固体電解質材料としては、例えば、LiS-P、LiS-P-LiX(Xはハロゲン元素、例えばI、Cl)、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-SiS、Li2-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-Z(m、nは正の数、ZはGe、ZnまたはGaのいずれか)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiMO(p、qは正の数、MはP、Si、Ge、B、Al、GaまたはInのいずれか)等を挙げることができる。ここで、硫化物系固体電解質材料は、出発原料(例えば、LiS、P等)を溶融急冷法やメカニカルミリング(mechanical milling)法等によって処理することで作製される。また、これらの処理の後にさらに熱処理を行っても良い。
また、固体電解質では、上記の硫化物固体電解質材料のうち、少なくとも構成元素として硫黄(S)、リン(P)およびリチウム(Li)を含むものを用いることが好ましく、特にLiS-Pを含むものを用いることがより好ましい。
ここで、固体電解質を形成する硫化物系固体電解質材料としてLiS-Pを含むものを用いる場合、LiSとPとの混合モル比は、例えば、LiS:P=50:50~90:10の範囲で選択されてもよい。
また、固体電解質の形状としては、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状を挙げることができる。また、固体電解質の粒子径は、特に限定されず、従来の全固体型二次電池の固体電解質に適用可能な範囲であれば良い。
(1-3.負極層)
図1に示すように、負極層30は、負極集電体40と、被覆層50とを備える。負極集電体40は、導電性の材料からなる板状あるいは箔状の部材である。負極集電体40を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
被覆層50は、負極集電体40の表面(より具体的には、固体電解質に対向する表面)を被覆する。被覆層50は、充電時にリチウムの拡散が速い合金層を形成しその上に金属リチウムが析出する。本実施形態では、負極集電体40が被覆層50で被覆されているので、充電時には、被覆層50にリチウムの拡散が速い合金層を介して金属リチウムが生成するため、被覆層50の表面の広い領域に金属リチウムが略均一に析出する。
具体的には、被覆層50は、リチウムと合金を形成可能な金属を含む。このような金属としては、例えば、亜鉛、ゲルマニウム、錫、アンチモン、白金、金、ビスマス、およびこれらの二種以上を含む合金等が挙げられる。被覆層50は、これらの1種または2種以上で構成されていても良い。これにより、被覆層50の表面のより広い領域に金属リチウムが析出する。つまり、金属リチウムは、全固体型二次電池1の厚さ方向に成長しにくくなり、その代わりに、被覆層50の表面のより広い領域から略均一に析出する。この結果、被覆層50の面方向に金属リチウム層が連続して形成されるので、放電時にデッドリチウムが生成しにくくなる。
(1-4.充放電時の負極層の挙動)
ここで、本実施形態による効果を明確にするために、充放電時の負極層30の挙動について説明する。まず、比較のために、図2及び図3に基づいて、被覆層50を有していない負極層300の充放電時の挙動について説明する。まず、充電時には、図2に示すように、負極集電体40と固体電解質との接触部分にしか金属リチウム200が析出しない。また、接触していても析出の過電圧が大きいため局所的にしか金属リチウムが析出しない。そして、析出した金属リチウム200は、負極集電体40の面方向にはほとんど成長せず、全固体型二次電池の厚さ方向に成長する。矢印Aは金属リチウム200の成長方向を示す。このため、全固体型二次電池の厚さ方向に大きく成長した金属リチウム200が負極集電体40上に局所的に生成される。
そして、放電時には、図3に示すように、金属リチウム200は、徐々にリチウムイオンとなって溶解し、矢印B方向に小さくなる。この過程において一部の金属リチウム200と固体電解質との導通が途切れてしまうことがある。このような金属リチウム200はもはや充放電には使用できないので、デッドリチウムと称される。図3の例では、金属リチウム200aと固体電解質との導通が途切れている。したがって、金属リチウム200aがデッドリチウムとなる。そして、金属リチウム200は、負極集電体40上に局所的に生成されるので、デッドリチウムが発生しやすい。このため、充放電の繰り返しにより容量が急激に低下するという問題がある。
つぎに、図4及び図5に基づいて、本実施形態に係る負極層30の充放電時の挙動について説明する。まず、充電時には、図4に示すように、被覆層50と固体電解質との接触部分からリチウムイオンが被覆層50内に進入し、被覆層50を構成する金属と合金化する。合金中のリチウム拡散は速いため、被覆層50の面方向に合金化が進む。つまり、被覆層50がリチウム合金層となる。したがって、リチウムイオンは、リチウム合金層となった領域の全域から析出可能となる。この結果、被覆層50の表面から金属リチウム200が略均一に析出する。すなわち、被覆層50の表面には、金属リチウム200からなる層、すなわち金属リチウム層が面方向に連続して形成される。矢印Aは、金属リチウム200の析出方向を示す。
そして、放電時には、図5に示すように、金属リチウム200は、徐々にリチウムイオンとなって溶解し、矢印B方向に小さくなる。この過程において、金属リチウム200は、面方向に連続した金属リチウム層となっており、その厚さが略均一に小さくなっていくので、金属リチウムと固体電解質との接触を維持することができる。このため、デッドリチウムが生成しにくくなる。したがって、充放電の繰り返しても容量を維持することができる。すなわち、サイクル特性が向上する。
ここで、被覆層50の厚みは特に制限されないが、薄すぎると金属リチウムが析出しにくくなる可能性がある。一方、被覆層50が厚すぎると被覆層50そのものが負極活物質となりうる。この場合、金属リチウムの析出量が減少するので、金属リチウムの高いエネルギー密度という特性を利用しにくくなる。また、合金化に伴う体積膨張が大きいため電極の割れが発生し、逆に効率が低下するという問題がある。このため、被覆層50の厚みは1nm以上100nm未満であることが好ましい。厚みの上限値は95nm以下であることがより好ましく、90nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
このように、本実施形態では、被覆層50はあくまで金属リチウム200の析出領域を拡張するために使用されるのであって、負極活物質層として使用されるのではない。
以上、本実施形態に係る全固体型二次電池1の構成について詳細に説明した。
<2.リチウムイオン二次電池の製造方法>
続いて、本実施形態に係る全固体型二次電池1の製造方法について説明する。本実施形態に係る全固体型二次電池1は、正極層10、負極層30、および固体電解質層20をそれぞれ製造した後、上記の各層を積層することにより製造することができる。
(正極層の作製)
正極活物質は、公知の方法で作製することができる。
続いて、作製した正極活物質と、後述する方法で作製した固体電解質と、各種添加材とを混合し非極性溶媒に添加してスラリー(slurry)またはペースト(paste)を形成する。さらに、得られたスラリーまたはペーストを正極集電体上に塗布し、乾燥した後に、圧延することで、正極層10を得ることができる。
ここで、正極集電体を構成する材料はアルミニウム、ステンレス等が上げられる。正極集電体を用いずに、正極活物質と、各種添加剤との混合物をペレット(pellet)状に圧密化成形することで正極層10を作製してもよい。
(負極層の作製)
負極層30は、負極集電体40上に被覆層50を被覆することで作製される。ここで、負極集電体40上に被覆層50を被覆する方法は特に制限されないが、例えば、無電解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法等が挙げられる。このように、本実施形態では、負極活物質を用意する必要が無いので、負極層30を容易に作製することができる。さらには、金属リチウムを用いないことから露点管理や安全対策への製造設備にかかるコストを大幅に低減できる。
(固体電解質層の作製)
固体電解質層20は、硫化物系固体電解質材料にて形成された固体電解質により作製することができる。
まず、溶融急冷法やメカニカルミリング(mechanical milling)法により出発原料を処理する。
例えば、溶融急冷法を用いる場合、出発原料(例えば、LiS、P等)を所定量混合し、ペレット状にしたものを真空中で所定の反応温度で反応させた後、急冷することによって硫化物系固体電解質材料を作製することができる。なお、LiSおよびPの混合物の反応温度は、好ましくは400℃~1000℃であり、より好ましくは800℃~900℃である。また、反応時間は、好ましくは0.1時間~12時間であり、より好ましくは1時間~12時間である。さらに、反応物の急冷温度は、通常10℃以下であり、好ましくは0℃以下であり、急冷速度は、通常1℃/sec~10000℃/sec程度であり、好ましくは1℃/sec~1000℃/sec程度である。
また、メカニカルミリング法を用いる場合、ボールミルなどを用いて出発原料(例えば、LiS、P等)を撹拌させて反応させることで、硫化物系固体電解質材料を作製することができる。なお、メカニカルミリング法における撹拌速度および撹拌時間は特に限定されないが、撹拌速度が速いほど硫化物系固体電解質材料の生成速度を速くすることができ、撹拌時間が長いほど硫化物系固体電解質材料への原料の転化率を高くすることができる。
その後、溶融急冷法またはメカニカルミリング法により得られた混合原料を所定温度で熱処理した後、粉砕することにより粒子状の固体電解質を作製することができる。
続いて、上記の方法で得られた固体電解質を、例えば、エアロゾルデポジション(aerosol deposition)法、コールドスプレー(cold spray)法、スパッタ法等の公知の成膜法を用いて成膜することにより、固体電解質層20を作製することができる。なお、固体電解質層20は、固体電解質粒子単体を加圧することにより作製されてもよい。また、固体電解質層20は、固体電解質と、溶媒、バインダを混合し、塗布乾燥し加圧することにより固体電解質層20を作製してもよい。
(リチウムイオン二次電池の製造)
さらに、上記の方法で作製した正極層10、固体電解質層20、及び負極層30を、正極層10と負極層30とで固体電解質層20を挟持するように積層し、加圧することにより、本実施形態に係る全固体型二次電池1を製造することができる。
<1.サイクル特性評価>
まず、本実施形態による全固体型二次電池1のサイクル特性を評価するために、以下の試験を行った。
(1-1.実施例1)
実施例1では、まず、以下の工程により全固体型二次電池1を作製した。
(1-1-1.負極層の作製)
負極集電体40としてNi箔を用意し、無電解めっき法により錫を負極集電体40の表面に厚さ1nmでめっきした。これにより、錫からなる厚さ1nmの被覆層50を負極集電体40上に形成した。
(1-1-2.全固体型二次電池の作製)
上記で作製した負極層30をφ13(mm)で打ち抜き、セル容器にセットした。その上に、LiS-P(モル比80:20)をメカニカルミリング処理(MM処理)したものを固体電解質粒子として70mg積層し、成型機で軽く表面を整えた。これにより、固体電解質層20を負極層30上に形成した.ついで、正極活物質としてLi(Ni、Mn、Co)Oと固体電解質粒子と、導電剤である気相成長カーボンファイバ(VGCF)とを60/35/5質量%の比率で混合したものを、正極層10として固体電解質層20の上に積層した。ついで、積層体を3t/cmの圧力で加圧することで、実施例1に係る試験用セルを作製した。
(1-1-3.サイクル特性の評価)
試験用セルを25℃の恒温槽内に設置し、東洋システム製充放電評価装置TOSCAT-3100により、0.1C定電流充電、0.5C定電流放電、電圧範囲4.0V-3.0Vの条件下で充放電を行い、サイクル特性を評価した。結果を図6に示す。図6のグラフL1は実施例1のサイクル特性を示す。
(1-2.実施例2)
実施例2では、負極層30を以下の工程により作製した他は実施例1と同様の処理を行った。結果を図6に示す。図6のグラフL2は実施例2のサイクル特性を示す。
(1-2-1.負極層の作製)
負極集電体40としてNi箔を用意し、スパッタリング法により亜鉛を負極集電体40の表面に厚さ50nmで被覆した。これにより、亜鉛からなる厚さ50nmの被覆層50を負極集電体40上に形成した。
(1-3.実施例3)
実施例3では、負極層30を以下の工程により作製した他は実施例1と同様の処理を行った。結果を図6に示す。図6のグラフL3は実施例3のサイクル特性を示す。
(1-3-1.負極層の作製)
負極集電体40としてNi箔を用意し、スパッタリング法によりビスマスを負極集電体40の表面に厚さ50nmで被覆した。これにより、ビスマスからなる厚さ50nmの被覆層50を負極集電体40上に形成した。
(1-4.比較例1)
比較例1では、実施例1で使用したNi箔を負極層30とした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を図6に示す。図6のグラフL4は比較例1のサイクル特性を示す。
(1-5.サイクル特性の評価)
図6から明らかな通り、実施例1~3では、サイクル特性が良好であったのに対し、比較例1ではサイクル特性が初期の段階から急激に低下した。したがって、比較例1では、充放電にともなって大量のデッドリチウムが発生したと考えられる。これに対し、実施例1~3では、被覆層50の表面に略均一に金属リチウム層が形成、消失されるので、デッドリチウムがほとんど生じなかったと考えられる。
<2.析出形態の確認>
充放電に伴う金属リチウム200の析出状態を確認するために、実施例3、比較例1のサイクル特性の評価試験を終了した後、これらの試験用セルを分解した。そして、負極層30の表面をSEMで観察した。図7は、比較例1のSEM写真を示し、図8は実施例3のSEM写真を示す。図7では、負極集電体40の表面に局所的に金属リチウム200が析出しており、その領域の一部にのみ固体電解質20aが付着していることがわかる。つまり、金属リチウム200が局所的に析出していることがわかる。これに対し、実施例3では、金属リチウム200が負極集電体40のほぼ全面に析出しており、固体電解質20aも負極集電体40の全面に分散して付着していることがわかる。
<3.被覆層の電気容量の評価>
上述したように、被覆層50は、金属リチウム200の析出領域を拡張するために使用されるのであって、負極活物質層として使用されるのではない。つまり、本実施形態では、充放電に伴って負極層30に金属リチウムが析出、溶解する。したがって、被覆層50の電気容量は全固体型二次電池1全体の電気容量に対して非常に低くなるはずである。そこで、この事実を確認するために、以下の試験を行った。
すなわち、本試験では、負極集電体40として複数のNi箔を用意し、錫、亜鉛、ビスマス、及び金を負極集電体40の各々の表面に厚さ1nmで被覆した。錫、及び金は無電解めっき法により、ゲルマニウム、アンチモン、亜鉛、及びビスマスはスパッタリング法により被覆した。これにより、被覆層50の種類の異なる複数の負極層30を作製した。ついで、これらの負極層30を用いて実施例1と同様に試験用セルを作製した。ただし、正極層20として、Li箔(厚み0.03mm)をφ13(mm)で打ち抜いたものを使用した。
ついで、各試験用セルを,25℃の恒温槽にセットし、ソーラトロン製ポテンショ/ガルバノスタット装置1470Eにより0.25mA/cmの電流密度で10分間被覆層へリチウムを挿入し、金属リチウムが析出する電位まで電位を下げた。これにより、各試験用セル全体の電気容量を測定した。一方で、被覆層50を構成する金属種の単位質量あたりの理論容量に基づいて、触媒層50の電気容量を測定した。そして、試験用セル全体の電気容量に対する触媒層50の電気容量の比率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0007050419000001
表1によれば、被覆層50の電気容量は、試験用セル全体の電気容量に対して著しく低いので、被覆層50は負極活物質層としてではなく、金属リチウム200の析出領域を拡張するために使用されることが確認できた。言い換えれば、このように非常に薄い被覆層50によって非常に大きな電気容量の全固体型二次電池が実現できたことになる。
<3.負極活物質層の有無による負極の電位プロファイルの変化>
上述したように、被覆層50は、金属リチウム200の析出領域を拡張するために使用されるのであって、負極活物質層として使用されるのではない。つまり、本実施形態では、充放電に伴って負極層30に金属リチウムが析出、溶解する。したがって、例えば放電時の負極層30の電位は放電開始直後に0V(vs.Li/Li)に落ちるはずである。そこで、この事実を確認するために、以下の試験を行った。
負極層30としてNi箔を使用した他は「3.被覆層の電気容量の評価」と同様の方法により試験用セルを作製した。この試験用セルは、本実施形態の挙動を確認するための試験用セルである。また、負極集電体40として2枚のNi箔を用意し、無電解めっき法により錫、及び金を負極集電体40の各々の表面に厚さ100nmでめっきした。これにより、負極層30を作製した。この方法により負極集電体40上に作製された金属層は、厚みが大きいので、負極活物質層として機能する。ついで、これらの負極層30を用いて「3.被覆層の電気容量の評価」と同様の方法により試験用セルを作製した。
ついで、これらの試験用セルを25℃の恒温槽内にセットし、ソーラトロン製ポテンショ/ガルバノスタット装置1470Eにより0.05mA/cmの電流密度で試験用セルを60分間負極へリチウムを挿入した。これにより、負極層30の電位プロファイルを測定した。結果を図9に示す。図9のグラフL5は負極層30としてNi箔を使用した試験用セルの電位プロファイルを示す。グラフL6、L7はそれぞれ錫、金で負極活物質層を形成した試験用セルの電位プロファイルを示す。
図9によれば、負極層30としてNi箔を使用した試験用セルでは、放電開始直後に電位がほぼ0V(vs.Li/Li)に落ちた。したがって、負極層30には金属リチウムが析出していることがわかる。一方、錫、金で負極活物質層を形成した試験用セルでは、電位が比較的高い値を維持した。これらの値は、負極活物質層の電位に相当する。つまり、錫、金が負極活物質として使用されていることになる。したがって、この観点からも、被覆層50は、金属リチウム200の析出領域を拡張するために使用されることが確認できた。
<4.負極活物質層の有無による充放電プロファイル>
被覆層50が負極活物質層として使用されるものではないことを確認するために、さらに以下の試験を行った。すなわち、負極集電体40としてNi箔を用意し、スパッタリング法により金、亜鉛、またはビスマスを負極集電体40の表面に厚さ50nmで被覆した。これにより、金、亜鉛、またはビスマスビスマスからなる厚さ50nmの被覆層50を負極集電体40上に形成した。このように形成した負極30を用いて、実施例1と同様の試験用セルを作製した。また、比較のために、Ni箔のみからなる負極30を用いて、実施例1と同様の試験用セルを作製した。ついで、これらの試験用セルを25℃の恒温槽内にセットし、東洋システム製充放電評価装置TOSCAT-3100により、0.05mA/cmの電流密度、電圧範囲4.0V-3.0Vの条件下で1回充放電を行った。この時の充放電プロファイルを図10に示す。グラフL8は、負極30がNi箔で構成される試験用セルの充放電プロファイルを示す。グラフL9は被覆層50が金で構成される試験用セルの充放電プロファイルを示す。グラフL10は被覆層50が亜鉛で構成される試験用セルの充放電プロファイルを示す。グラフL11は被覆層50がビスマスで構成される試験用セルの充放電プロファイルを示す。仮に被覆層50が負極活物質層として機能している場合、領域Aで囲まれる充電プロファイルに、金属種によって電位の異なる容量成分が見受けられるはずであるが、このような容量成分はほとんど観測されなかった。したがって、この点からも、被覆層50が負極活物質層として使用されているものではないことがわかった。なお、Ni箔を負極30として使用した試験用セルでは、充電が進行しても他の試験用セルに比べて電位の上昇量が小さい。Ni箔を負極30として使用した試験用セルでは、途中短絡が発生しているために、このような現象が発生していると推察される。すなわち、Ni箔を負極30として使用した試験用セルでは、リチウム析出サイズが大きく、電流集中により微小短絡が発生していると推察される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 全固体型二次電池
10 正極層
20 固体電解質層
30 負極層
40 負極集電体
50 被覆層

Claims (2)

  1. 正極層と、
    前記正極層上に配置された固体電解質層と、
    前記固体電解質層上に配置された負極層と、を含み、
    前記負極層は、負極集電体と、前記負極集電体を被覆する被覆層と、を備え、
    前記被覆層は、リチウムと合金を形成する金属を含み、
    初回充電前には金属リチウム層が無く、
    充電時に、前記被覆層は、リチウムと合金化されてリチウム合金層となっており、前記リチウム合金層の表面には、該表面に沿って連続した金属リチウム層が形成されるものであり、
    前記被覆層の厚みが1nm以上100nm未満である全固体型二次電池。
  2. 前記被覆層は、亜鉛、ゲルマニウム、錫、アンチモン、白金、金、ビスマス、およびこれらの二種以上を含む合金からなる群から選択されるいずれか1種以上を含むことを特徴とする、請求項1記載の全固体型二次電池。
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