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JP7052282B2 - ポリイミドフィルムとゴム組成物の層の積層体およびそれを含む空気入りタイヤ - Google Patents
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ポリイミドフィルムとゴム組成物の層の積層体およびそれを含む空気入りタイヤ Download PDF

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本発明は、ポリイミドフィルムとゴム組成物の層の積層体およびそれを含む空気入りタイヤに関する。
ポリイミドは、剛性が高く、耐熱性に優れ、反応性に乏しいという利点を有する。そこで、ポリイミド成形品を異種材料に接合させることができれば、ポリイミドの優れた特性を備えた複合体を得ることができ、ポリイミドの用途を広げることができる。たとえば、ポリイミドが空気入りタイヤ用の補強材として機能するためには、タイヤを構成するゴム部材にポリイミドを接着させる必要がある。特許文献1には、フィルム等の形態をとるポリイミド成形品に対して接着する樹脂組成物であって、ポリアミドポリエーテルエラストマーを80~100重量%含む樹脂組成物が開示されている。
特許第5835231号公報
しかしながら、接着剤を使用せずにポリイミドフィルムとゴム組成物の層とを接合する技術はこれまで提案されていない。また、特許文献1に開示された樹脂組成物は、ポリアミドポリエーテルエラストマーを80~100重量%という高い割合で含む樹脂組成物は、被着対象のゴム成分の種類によっては接着性を示さない。
本発明は、ポリイミドフィルムと接合することのできるゴム組成物を用いたポリイミドフィルムとゴム組成物の層の積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、ゴム成分としてイソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体を含み、フェノール樹脂およびメチレンドナーを配合したゴム組成物が、ポリイミドに対して優れた接着性を示すことを見出し、本発明を完成した。
本発明は、ポリイミドフィルムとゴム組成物の層の積層体であって、
ゴム組成物が、ゴム成分(A)、式(1)
Figure 0007052282000001
(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、炭素原子数が1~8個のアルキル基、または炭素原子数が1~8個のアルコキシ基である。)
で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(B)およびメチレンドナー(C)を含み、
ゴム成分(A)がイソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体を含み、
縮合物(B)に対するメチレンドナー(C)の質量比(C/B)が1.0~3.0であることを特徴とする。
本発明は、次の態様を含む。
[1]ポリイミドフィルムとゴム組成物の層の積層体であって、
ゴム組成物が、ゴム成分(A)、式(1)
Figure 0007052282000002
(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、炭素原子数が1~8個のアルキル基、または炭素原子数が1~8個のアルコキシ基である。)
で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(B)およびメチレンドナー(C)を含み、
ゴム成分(A)がイソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体を含み、
縮合物(B)に対するメチレンドナー(C)の質量比(C/B)が1.0~3.0である、積層体。
[2]イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体の量がゴム成分(A)100質量部を基準として10~100質量部である、[1]に記載の積層体。
[3]ゴム成分(A)が、さらに、イソブチレン-イソプレン共重合体を含む、[1]または[2]に記載の積層体。
[4]イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体およびイソブチレン-イソプレン共重合体の合計量がゴム成分(A)100質量部を基準として40~100質量部である、[3]に記載の積層体。
[5]縮合物(B)の量がゴム成分(A)100質量部を基準として2~8質量部である、[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]メチレンドナー(C)が、変性エーテル化メチロールメラミン、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、ペンタメチレンテトラミンおよびヘキサメトキシメチルメラミンからなる群から選ばれた少なくとも1種である、[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]縮合物(B)が、式(2)
Figure 0007052282000003
(式中、nは1~20の整数である。)
または式(3)
Figure 0007052282000004
(式中、mは1~20の整数である)
で表される、[1]~[6]のいずれかに記載の積層体。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の積層体を含む空気入りタイヤ。
本発明の積層体は、ポリイミドフィルムとゴム組成物の層との間の接着力に優れる。
本発明は、ポリイミドフィルムとゴム組成物の層の積層体に関する。
ポリイミドフィルムとは、ポリイミドのフィルムをいう。
ポリイミドとは、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子という。ポリイミドは式(6)で表される構造単位を有する。
Figure 0007052282000005
式(6)中、Rは4価の有機基であり、R′は2価の有機基である。
ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを等モルで重合させて、ポリイミド前駆体であるポリアミドカルボン酸を調製し、そのポリアミドカルボン酸を熱処理してまたは触媒を用いてイミド化することにより製造することができる。
ポリイミドフィルムは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを等モルで重合させて、ポリイミド前駆体であるポリアミドカルボン酸を調製し、そのポリアミドカルボン酸を有機溶媒に溶解して、ポリアミドカルボン酸の溶液を流延し、乾燥して、ポリアミドカルボン酸のフィルムを形成し、ポリアミドカルボン酸のフィルムを熱処理してまたは触媒を用いてイミド化することにより製造することができる。
テトラカルボン酸二無水物の例としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物成分の具体例としては、3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′-オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,4,3′,4′-テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせで使用してもよい。
ジアミンの例としては、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン等が挙げられる。ジアミンの具体例としては、p-フェニレンジアミン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、m-トリジン、p-トリジン、5-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、4,4′-ジアミノベンズアニリド、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3′-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。ジアミンは、単独で使用しても、2種以上を組み合わせで使用してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは、特に限定するものではないが、好ましくは10~400μmであり、より好ましくは10~300μmであり、さらに好ましくは10~200μmである。
ポリイミドフィルムは市販されており、本発明においては市販品を使用することができる。ポリイミドフィルムの市販品としては、宇部興産株式会社製のユーピレックス(登録商標)SシリーズおよびRシリーズ、東レ・デュポン株式会社製のカプトン(登録商標)シリーズ等を挙げることができる。ユーピレックス(登録商標)Sは、テトラカルボン酸二無水物成分としての3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン成分としてのp-フェニレンジアミンとを主成分とするポリイミドのフィルムである。ユーピレックス(登録商標)Rは、テトラカルボン酸二無水物成分としての3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン成分としての4,4′-ジアミノジフェニルエーテルとを主成分とするポリイミドのフィルムである。カプトン(登録商標)Hは、テトラカルボン酸二無水物成分としてのピロメリット酸二無水物と、ジアミン成分としての4,4′-ジアミノジフェニルエーテルとを主成分とするポリイミドのフィルムである。
ゴム組成物は、ゴム成分(A)、式(1)
Figure 0007052282000006
(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、炭素原子数が1~8個のアルキル基または炭素原子数が1~8個のアルコキシ基である。)
で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(B)、およびメチレンドナー(C)を含む。
ゴム成分(A)はイソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体を含む。
イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体は、イソブチレンとp-アルキルスチレンの共重合体である。イソブチレンとp-アルキルスチレンの混合比、重合率、平均分子量、重合形態(ブロック共重合体、ランダム共重合体等)、粘度等は、特に限定されず、ゴム組成物に要求される物性等に応じて任意に選択することができる。p-アルキルスチレンとしては、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、p-プロピルスチレン、p-ブチルスチレン等が挙げられるが、好ましくはp-メチルスチレンである。イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体は、ハロゲン化されていてもよく、ハロゲン化されていることが好ましい。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられるが、好ましくは臭素である。特に好ましいイソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体は、臭素化イソブチレン-p-メチルスチレン共重合体である。
臭素化イソブチレン-p-メチルスチレン共重合体は、式(4)
Figure 0007052282000007
で表される繰り返し単位を有するイソブチレン-p-メチルスチレン共重合体を臭素化したものであり、典型的には式(5)
Figure 0007052282000008
で表される繰り返し単位を有するものである。臭素化イソブチレン-p-メチルスチレン共重合体は、エクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)から、EXXPRO(登録商標)の商品名で入手することができる。
ゴム成分(A)は、好ましくは、さらに、イソブチレン-イソプレン共重合体を含む。
イソブチレン-イソプレン共重合体は、イソブチレンとイソプレンの共重合体である。イソブチレンとイソプレンの混合比、重合率、平均分子量、重合形態(ブロック共重合体、ランダム共重合体等)、粘度等は、特に限定されず、ゴム組成物に要求される物性等に応じて任意に選択することができる。イソブチレン-イソプレン共重合体は、ハロゲン化されていてもよく、ハロゲン化されていることが好ましい。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられるが、好ましくは臭素である。イソブチレン-イソプレン共重合体は、いわゆるブチルゴム(IIR)やハロゲン化ブチルゴムとして市販されているものを使用することができる。イソブチレン-イソプレン共重合体の市販品としては、エクソンモービル・ケミカル社製のEXXON BROMOBUTYL 2255、ランクセス株式会社製のX_BUTYL BB X2等が挙げられる。
イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体の量は、好ましくは、ゴム成分(A)100質量部を基準として10~100質量部であり、より好ましくは30~90質量部であり、さらに好ましくは50~80質量部である。イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体の量が少なすぎるとフィルムと所望の接着性が得られず、イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体の量が多すぎると隣接する他ゴム部材との接着性が乏しくなる。
イソブチレン-イソプレン共重合体を併用する場合、イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体およびイソブチレン-イソプレン共重合体の合計量は、好ましくは、ゴム成分(A)100質量部を基準として40~100質量部であり、より好ましくは50~90質量部であり、さらに好ましくは60~80質量部である。イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体およびイソブチレン-イソプレン共重合体の合計量が少なすぎるとフィルムと所望の接着性が得られず、イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体およびイソブチレン-イソプレン共重合体の合計量が多すぎると隣接する他ゴム部材との接着性が乏しくなる。
本発明は、イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体と、式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(B)およびメチレンドナー(C)とを併用することにより、ポリイミドフィルムとゴム組成物の層との界面の接着強度を効果的に向上することができるという顕著な効果を奏する。さらにイソプレン-イソブチレン共重合体を併用すると、ポリイミドフィルムとゴム組成物の層との界面の接着強度をさらに向上することができる。
ゴム組成物を構成するゴム成分(A)のうち、イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体および以外のゴム成分としては、特に限定されないが、ジエン系ゴムおよびその水添物、オレフィン系ゴム、含ハロゲンゴム、シリコーンゴム、含イオウゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。
ジエン系ゴムおよびその水添物としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)(高シスBRおよび低シスBR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR等が挙げられる。
オレフィン系ゴムとしては、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M-EPM)、無水マレイン酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性エチレン-エチルアクリレート共重合体(変性EEA)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー等が挙げられる。
含ハロゲンゴムとしては、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M-CM)等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム等が挙げられる。含イオウゴムとしては、ポリスルフィドゴム等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン-プロピレン系ゴム、含フッ素シリコーン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム等が挙げられる。
なかでも、隣接ゴム材料との共架橋性の観点から、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、含ハロゲンゴムが好ましく、より好ましくは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、それらの混合物であり、さらに好ましくは、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムの組み合わせ、天然ゴムとブタジエンゴムの組み合わせなどである。
ゴム組成物は、式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(B)を含む。
Figure 0007052282000009
式(1)中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、炭素原子数が1~8個のアルキル基、または炭素原子数が1~8個のアルコキシ基である。
式(1)で表される化合物の1つの好ましい例は、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つが炭素原子数が1~8個のアルキル基で、残りが水素または炭素原子数が1~8個のアルキル基であるものである。式(1)で表される化合物の好ましい具体例はクレゾールである。
式(1)で表される化合物のもう1つの好ましい例は、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つが水酸基で、残りが水素または炭素原子数が1~8個のアルキル基であるものである。式(1)で表される化合物の好ましい具体例のもう1つはレソルシノール(「レゾルシン」ともいう。)である。
式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(B)としては、クレゾール・ホルムアルデヒド縮合体、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体等が挙げられる。また、これらの縮合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、変性されていてもよい。たとえば、エポキシ化合物で変性された変性レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体も本発明に使用することができる。これらの縮合物は、市販されており、本発明に市販品を使用することができる。
式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(B)は、好ましくは、式(2)または式(3)で表される化合物である。
Figure 0007052282000010
式(2)中、nは1~20の整数であり、好ましくは1~10の整数であり、より好ましくは1~5の整数である。
Figure 0007052282000011
式(3)中、mは1~20の整数であり、好ましくは1~10の整数であり、より好ましくは1~3の整数である。
式(1)で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(B)(以下、単に「縮合物」ともいう。)の配合量は、ゴム成分(A)100質量部を基準として2~8質量部であり、好ましくは2.5~7質量部であり、さらに好ましくは3~6質量部である。縮合物(B)の配合量が少なすぎると、良好な接着を得るのに必要な熱量、時間が増大するため加硫効率が悪化し、逆に多すぎると、得られるゴム組成物の加硫伸びが損なわれ、破断しやすくなる。
ゴム組成物はメチレンドナー(C)を含む。
メチレンドナーとは、加熱等によりホルムアルデヒドを発生する塩基化合物をいい、たとえば、ヘキサメチレンテトラミン、ペンタメチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、メチロールメラミン、エーテル化メチロールメラミン、変性エーテル化メチロールメラミン、エステル化メチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサキス(エトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、N,N′,N″-トリメチル-N,N′,N″-トリメチロールメラミン、N,N′,N″-トリメチロールメラミン、N-メチロールメラミン、N,N′-ビス(メトキシメチル)メラミン、N,N′,N″-トリブチル-N,N′,N″-トリメチロールメラミン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。なかでも、ホルムアルデヒドの放出温度の観点から、変性エーテル化メチロールメラミンが好ましい。
縮合物(B)に対するメチレンドナー(C)の質量比(C/B)は、好ましくは1.0~3.0であり、より好ましくは1.25~2.75であり、好ましくは1.5~2.5である。この比が小さすぎると、ゴム組成物系内における樹脂反応にドナーが消費されて界面反応での反応が進まなくなり接着が悪化する。逆に大きすぎると、ゴム組成物系内での反応が促進されすぎたり、被着対象樹脂系内での架橋反応を誘発して接着が悪化する。
ゴム組成物は、好ましくは、加硫剤を含む。
加硫剤としては、無機系加硫剤と有機系加硫剤があり、無機系加硫剤としては、硫黄、一塩化硫黄、セレン、テルル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛等が挙げられ、有機系加硫剤としては、含硫黄有機化合物、ジチオカルバミン酸塩、オキシム類、テトラクロロ-p-ベンゾキノン、ジニトロソ化合物、変性フェノール樹脂、ポリアミン、有機過酸化物等が挙げられる。なかでも、硫黄、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンのような有機過酸化物、臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体のような変性フェノール樹脂、酸化亜鉛、含硫黄有機化合物が好ましい。
加硫剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部であり、より好ましくは0.5~8質量部であり、さらに好ましくは0.5~5質量部である。加硫剤の配合量が少なすぎると、ゴムの強度が低減し、結果として良好な接着性を示さない。加硫剤の配合量が多すぎると、ゴムとフィルムの接着反応を阻害する。
ゴム組成物はさらに加硫促進剤を含んでもよい。
加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、アルデヒド・アミン系、チオウレア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系が挙げられ、好ましくはチアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系である。
チアゾール系加硫促進剤は、チアゾール構造を有する化合物であり、たとえば、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾチアジルジスルフィド、メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、(ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、(N,N-ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられるが、なかでもジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤は、スルフェンアミド構造を有する化合物であり、たとえば、N-シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレンベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド、(モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられるが、なかでもN-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドが好ましい。
チウラム系加硫促進剤は、チウラム構造を有する化合物であり、たとえば、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等が挙げられるが、なかでもテトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィドが好ましい。
加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部であり、より好ましくは0.5~8質量部であり、さらに好ましくは0.5~5質量部である。加硫促進剤の配合量が少なすぎると、所望の加硫時間以内に加硫反応が完了しないためゴム強度が低減し、結果として良好な接着性を示さない。加硫促進剤の配合量が多すぎると、ゴムとフィルムの接着反応を阻害する。
本発明の積層体は、ポリイミドフィルムにゴム組成物を積層することによって製造することができる。限定するものではないが、より具体的には、ゴム組成物を、Tダイ押出機等で、ポリイミドフィルムの上に押出すと同時に積層して、製造することができる。
本発明の空気入りタイヤは、常法により製造することができる。たとえば、タイヤ成形用ドラム上に、インナーライナー材として本発明の積層体を、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物のフィルム側がタイヤ成形用ドラムの方を向くように置き、その上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常のタイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、成形後、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとし、次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
本発明の積層体は、ポリイミドフィルムとゴム組成物の層との間に接着剤が塗布されていないにもかかわらず、好ましくは150~200℃、より好ましくは160~180℃の温度で加熱することによって、ポリイミドフィルムとゴム組成物の層との間で高い接着強度を発現することができる。本発明の積層体は、接着剤を含まないため、接着剤の塗布に必要な設備や作業をなくすことができ、接着剤を用いる従来技術と比べて簡易に製造することができる。さらに、本発明の積層体は、接着性向上のためにポリイミドフィルムを予め表面処理にかける必要がない。ポリイミドは、強靱性、耐熱性、気体遮断性および化学的安定性等の特性に優れているため、本発明の積層体を使用することによって、ポリイミドフィルムに由来する強靱性、耐熱性、気体遮断性および化学的安定性等の優れた特性が付与された空気入りタイヤを製造することができる。さらに、本発明の積層体を構成する未加硫ゴム組成物の層を、シートまたはフィルム状等の任意の形状を有する他の未加硫ゴム成形品と積層または隣接させた状態で加硫した場合に、未加硫ゴム組成物の層と未加硫ゴム成形品との間でも加硫反応が起こることによりゴム組成物の層と未加硫ゴム成形品との間でも強固な接着が発現される。したがって、本発明によれば、ポリイミドフィルムを、ゴム組成物層を介して、他のゴム成形品、たとえば空気入りタイヤを構成する他のゴム部材に強固に接着させることができ、その結果、強靱性、耐熱性、気体遮断性および化学的安定性等の特性に優れた複合体を簡易に得ることができる。
(1)ゴム組成物の調製
下記の原料を表1および表2に示す配合比率で配合し、ゴム組成物を調製した。
臭素化イソブチレン-p-メチルスチレン共重合体(以下「IPMS」と略す。): エクソンモービル・ケミカル社製EXXPRO(登録商標)3745
イソブチレン-イソプレン共重合体(以下「IIR」と略す。): エクソンモービル・ケミカル社製EXXON BROMOBUTYL 2255
天然ゴム: SIR-20
変性レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体(以下「レゾルシン縮合体」と略す。): 田岡化学工業株式会社製「スミカノール620」
メチレンドナー: 変性エーテル化メチロールメラミン(田岡化学工業株式会社製「スミカノール507AP」)
カーボンブラック: 東海カーボン株式会社製「シーストV」
ステアリン酸: 工業用ステアリン酸
アロマオイル: 昭和シェル石油株式会社製「デソレックス3号」
酸化亜鉛: 正同化学工業株式会社製「亜鉛華3号」
硫黄: 5%油展処理硫黄
加硫促進剤: ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーDM」)
(2)積層体の作製
ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製ユーピレックスVT、厚さ50μm)の上に、Tダイ押出機を用いて、前記(1)で調製したゴム組成物を1.2mmの厚さで押出積層し、積層体を作製した。
(3)積層体の評価
作製した積層体について、剥離強度を評価した。熱可塑性エラストマー組成物フィルムとゴム組成物の積層体の評価結果を表1に、熱可塑性樹脂フィルムとゴム組成物の積層体の評価結果を表1および表2に示す。なお、剥離強度の評価方法は次のとおりである。
[剥離強度]
積層体の試料を、加硫後、幅25mmに切断し、その短冊状試験片のフィルムとゴムの界面の剥離強度をJIS-K6256に従い測定した。剥離強度が100N/25mm以上のときは◎、50N/25mm以上100N/25mm未満のときは○、50N/25mm以上100N/25mm未満のときは×とした。
Figure 0007052282000012
Figure 0007052282000013
本発明の積層体は、空気入りタイヤのインナーライナー材として好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. ポリイミドフィルムとゴム組成物の層の積層体であって、
    ゴム組成物が、ゴム成分(A)、式(1)
    Figure 0007052282000014
    (式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、炭素原子数が1~8個のアルキル基、または炭素原子数が1~8個のアルコキシ基である。)
    で表される化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(B)およびメチレンドナー(C)を含み、
    ゴム成分(A)がイソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体およびイソブチレン-イソプレン共重合体を含み、イソブチレン-p-アルキルスチレン共重合体およびイソブチレン-イソプレン共重合体の合計量がゴム成分(A)100質量部を基準として50~100質量部であり、
    縮合物(B)に対するメチレンドナー(C)の質量比(C/B)が1.0~3.0である、積層体。
  2. 縮合物(B)の量がゴム成分(A)100質量部を基準として2~8質量部である、請求項に記載の積層体。
  3. メチレンドナー(C)が、変性エーテル化メチロールメラミン、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、ペンタメチレンテトラミンおよびヘキサメトキシメチルメラミンからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 縮合物(B)が、式(2)
    Figure 0007052282000015
    (式中、nは1~20の整数である。)
    または式(3)
    Figure 0007052282000016
    (式中、mは1~20の整数である)
    で表される、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の積層体を含む空気入りタイヤ。
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