JP7052552B2 - 風切音解析装置及び風切音解析方法 - Google Patents
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Description
この風切音解析装置は、
構造物をモデル化した構造物モデル(20)を移動させる非定常CFDシミュレーションを実行して、前記構造物モデル(20)の周囲の流れ場のうち所定領域(21)内の流れ場の所定時間における平均流速(U-)及び平均渦度(Ω-)を、当該所定領域(21)内の節点である空間節点(z)毎に算出するとともに、風切音の解析対象となる角周波数帯である着目角周波数帯([θl,θh])において、前記所定領域(21)内における乱れ流速の振幅(u~θ)に基づく値を、前記空間節点(z)毎に算出する非定常CFD計算手段(ステップ802、804、806)と、
前記構造物モデル(20)のガラス部(22)表面の風切音の解析対象点(x)における着目角周波数帯([θl,θh])の音圧変動の振幅である表面音圧変動(paθ)に対する前記所定領域(21)内の空間節点(z)における流れ場の寄与度を示す指標である音圧ソース密度(APDS)を、前記非定常CFD計算手段(ステップ802、804、806)によって算出された前記平均流速(U-)と、前記平均渦度(Ω-)と、前記乱れ流速の振幅(u~θ)に基づく値と、に基づいて算出する音圧ソース密度算出手段(ステップ808)と、
を備える。
前記構造物モデル(20)のガラス部(22)表面の前記解析対象点(x)についての着目角周波数帯([θl,θh])の前記音圧ソース密度(APDS)を前記所定領域(21)で空間積分した値は、前記解析対象点(x)における前記表面音圧変動の関数(paθ)とその複素共役関数(paθ *)との積を着目角周波数帯([θl,θh])で積分した値の近似値である。
更に、前記音圧ソース密度(APDS)を構成する複数のパラメータのうち、当該音圧ソース密度(APDS)への寄与が相対的に大きいパラメータである原因パラメータを特定する原因パラメータ特定手段を備える。
前記複数のパラメータは、前記平均流速(U-)、前記平均渦度(Ω-)及び前記乱れ流速(u~θ)である。
更に、前記音圧ソース密度(APDS)が算出された複数の空間節点(z)の中から、外部から入力される値を有する音圧ソース密度(APDS)に対応している複数の空間節点(z)を抽出し、当該抽出された複数の空間節点(z)を画像処理して等値面(28、30、32)を作成し、当該等値面(28、30、32)を可視化する画像処理手段(ステップ820)を備える。
更に、前記音圧ソース密度算出手段(ステップ808)によって算出された複数の音圧ソース密度(APDS)の最大値に対応している空間節点(z)を抽出する空間節点抽出手段を備える。
この風切音解析方法は、
前記計算装置が備える非定常CFD計算手段が、構造物をモデル化した構造物モデル(20)を移動させる非定常CFDシミュレーションを実行して、前記構造物モデル(20)の周囲の流れ場のうち所定領域(21)内の流れ場の流速の時刻歴データ(u(z,t))及び渦度の時刻歴データ(ω(z,t))を、当該所定領域(21)内の節点である空間節点(z)毎に所定時間に亘ってそれぞれ算出するステップ(ステップ802)と、
前記非定常CFD計算手段が、前記算出された流速の時刻歴データ(u(z,t))及び渦度の時刻歴データ(ω(z,t))をそれぞれ平均化処理して、平均流速(U-(z))及び平均渦度(Ω-(z))を前記空間節点(z)毎に算出するステップ(ステップ804)と、
前記非定常CFD計算手段が、前記算出された流速の時刻歴データ(u(z,t))を高速フーリエ変換処理して、乱れ流速(u~ θ (z))の振幅の関数とその複素共役関数との積を風切音の解析対象となる角周波数帯である着目角周波数帯([θl,θh])で積分した値である乱れ流速(u~ θ (z))の振幅の自己相関関数を前記空間節点(z)毎に算出するステップ(ステップ806)と、
前記計算装置が備える音圧ソース密度算出手段が、前記構造物モデル(20)のガラス部(22)表面の風切音の解析対象点(x)における着目角周波数帯([θl,θh])の音圧変動の振幅である表面音圧変動(paθ)に対する前記所定領域(21)内の空間節点(z)における流れ場の寄与度を示す指標である音圧ソース密度(APDS)を、予めROMに格納されている音圧ソース密度(APDS)の計算式であって、平均流速(U-(z))と、平均渦度(Ω-(z))と、乱れ流速(u~ θ (z))の振幅の自己相関関数と、をパラメータとして含む計算式、に、前記非定常CFD計算手段によって前記空間節点(z)毎に算出された前記平均流速(U-)と、前記平均渦度(Ω-)と、前記乱れ流速の振幅(u~θ)の自己相関関数と、のうち、対応する空間節点(z)における平均流速(U-(z))と、平均渦度(Ω-(z))と、乱れ流速(u~ θ (z))の振幅の自己相関関数と、を代入することにより算出するステップ(ステップ808)と、
を備える。
まず、実施形態に係る風切音解析装置(以下、「本実施装置」とも称する。)の概要を説明する。本実施装置は、様々な構造物の移動時に発生する風切音を解析するが、本実施形態では、構造物のうち車両を例に挙げて説明する。車両走行時に発生する風切音(車内の乗員に聞こえる騒音)は、車両表面の複数の位置における種々の周波数帯の圧力変動の振幅(即ち、表面圧力変動であり、別言すれば、表面音圧変動と表面流体流動圧力変動との和)に起因した複合的な騒音である。これらの複合的な風切音のうち、高周波領域の風切音は、車両のガラス製の部分(例えば、フロントサイドガラス、リアサイドガラス、フロントガラス及びリアガラス。以下では、「ガラス部」とも称する。)における高周波領域の表面音圧変動と強く相関している。
以下、図面を参照して本実施装置について具体的に説明する。図1に示すように、本実施装置は計算装置10を備える。計算装置10は、入力部12、演算部14及び出力部16を有する。出力部16は、作業者が視認可能な位置に表示画面18を有する。入力部12は、風切音の解析対象となる車両の三次元モデルのデータ、解析範囲を示すフロードメインのデータ、及び、非定常CFDシミュレーションに必要なデータ等を入力する。加えて、入力部12は、処理の途中で作業者により選択される座標のデータ、指標の参照値及び原因パラメータ等を入力する(後述)。
1.時刻歴データの算出処理
演算部14は、フロードメイン21内の各空間節点zについて、流れ場の流速の時刻歴データu(z,t)及び渦度の時刻歴データω(z,t)を所定時間に亘ってそれぞれ算出する。以下では、空間節点zを単に「節点z」と称する。なお、フロードメイン21内の節点zの位置は、節点zが車両モデル20の表面上に存在することがないように(即ち、節点zが車両モデル20の表面から離間するように)予め設定されている。演算部14は、流速及び渦度の時刻歴データu(z,t)及びω(z,t)を、節点zの座標及び時刻tに関連付けてそのRAMに格納する。
演算部14は、RAMに格納されている流速及び渦度の時刻歴データu(z,t)及びω(z,t)をそれぞれ平均化処理して、フロードメイン21内の各節点zについて、平均流速U-(z)及び平均渦度Ω-(z)を算出する。なお、U-(z)及びΩ-(z)の「-」は何れも平均を表す表記であり、後述する式中の文字U及びΩの上に付されたバーに替わるものである。演算部14は、平均流速U-(z)及び平均渦度Ω-(z)を、節点zの座標に関連付けてそのRAMに格納する。平均流速U-(z)及び平均渦度Ω-(z)は、指標を算出する際に用いられる(後述)。
演算部14は、RAMに格納されている流速の時刻歴データu(z,t)を高速フーリエ変換処理して、フロードメイン21内の各節点zについて、周波数(角周波数)毎に乱れ流速(厳密には、乱れ流速の振幅)u~θ(z)の自己相関関数(後述)を算出する(θ:角周波数。θ=2πf)。なお、u~θ(z)の「~」は、流速uを平均化処理したときの乱れ成分を表す表記であり、後述する式中の文字uの上に付されたチルダに替わるものである。なお、乱れ流速の振幅u~θ(z)の自己相関関数が「乱れ流速の振幅に基づく値」の一例に相当する。
車両モデル20の右側フロントサイドガラス22の表面を「解析表面」と規定すると、演算部14のROMには、フロードメイン21内の流れ場と、解析表面における着目周波数帯の表面音圧変動との関係を定量的に示す指標の計算式が予め格納されている。この指標は、別言すれば、「フロードメイン21内の任意の節点zにおける流れ場(の状態)」が「解析表面上の任意の表面節点x(以下、単に「節点x」と称する。)における着目周波数帯の表面音圧変動paθ(x)」にどれくらい寄与しているかを示す指標ということもできる。解析表面上の任意の基準節点から数えてi番目の節点xをxi(i:1~m)と規定し、フロードメイン21内の任意の基準節点から数えてj番目の節点zをzj(j:1~n)と規定すると、k番目の節点xk(k:1~m)についての指標は、フロードメイン21内の全節点zjにおいてそれぞれ算出される。
上述したように、「任意の節点xについてのAPDSをフロードメイン21で空間積分した値」は、「当該節点xにおける表面音圧変動paθ(x)の自己相関関数」の近似値である。このため、演算部14は、RAMに格納されているmn個のAPDS(x,z)のうち、節点xkについてのn個のAPDS(xk,zj)を抽出し、抽出されたAPDS(xk,zj)を足し合わせる(即ち、APDS(xk,zj)をフロードメイン21で空間積分する)ことにより、節点xkにおける表面音圧変動paθ(xk)の自己相関関数の近似値を算出する。そして、この近似値に基づいて、節点xkにおける表面音圧変動paθ(xk)を算出(予測)する。以下では、このようにして算出(予測)された表面音圧変動を、「予測表面音圧変動papθ」と称する。演算部14は、この処理を、解析表面上の全節点xiについて行う。即ち、演算部14は、m個(節点xの個数)の予測表面音圧変動papθ(x)を算出する。演算部14は、予測表面音圧変動papθ(x)の値を節点xの座標に関連付けてそのRAMに格納する。
演算部14は、観測点xが選択されると、RAMに格納されているmn個のAPDS(x,z)の中から、観測点xについてのn個のAPDS(x,z)を抽出する。そして、抽出されたAPDS(x,z)の中から、作業者により設定された任意の値(以下、「参照値」とも称する。後述。)を有するAPDS(x,z)に関連付けられた評価点zの座標を更に抽出する。そして、抽出された複数の評価点z同士を接続した等値面を表す等値面データを作成し、作成した等値面データを表示画面18に画像表示させる表示指令を出力部16に送信する。出力部16は、当該表示指令を受信すると、その表示画面18に「参照値を有するAPDSの等値面データ」を画像表示する。即ち、演算部14は、観測点xが選択されると、APDSの参照値の入力を促すメッセージを表示画面18に表示させる。これにより、作業者により任意の参照値が入力される。演算部14は、上記表示指令の送信処理を、作業者により参照値が入力される毎に繰り返し行う。
演算部14は、RAMに格納されている着目評価点zにおけるAPDS(x,z)を構成している複数のパラメータ(物理量)の中から平均流速U-(z)、乱れ流速u~θ(z)、及び、平均渦度Ω-(z)を選択し、これらの数値データを表示画面18に表示させる表示指令を出力部16に送信する。出力部16は、当該表示指令を受信すると、その表示画面18に選択されたパラメータの数値データを表示する。作業者は、表示された数値データに基づいて、これらのパラメータの中でAPDS値への寄与が相対的に大きいパラメータ(即ち、APDS値が大きい原因となっているパラメータ)を特定する。このとき、必要に応じて他の評価点zにおけるAPDSを構成するパラメータの数値データが表示されてもよい。作業者は、これらの数値データを比較しながらパラメータを特定してもよい。作業者によりパラメータが特定されると、入力部12は、当該パラメータを入力する。入力されたパラメータは演算部14のRAMに格納される。以下では、このパラメータを「原因パラメータ」とも称する。
演算部14は、RAMに格納されている評価点z群の座標データから、「着目評価点zを通りe1e2平面(図2A参照)に平行な平面(図5Aの破線L参照)」上に位置する評価点z群を抽出する。そして、抽出された評価点z群に関連付けられた原因パラメータの分布図を表す分布図データを作成し、作成した分布図データを表示画面18に画像表示させる表示指令を出力部16に送信する。出力部16は、当該表示指令を受信すると、その表示画面18に当該データを画像表示する。なお、以下では、「着目評価点zを通りe1e2平面に平行な平面」を「着目評価点通過断面」とも称する。
説明である。
続いて、上述したAPDSの計算式の導出方法を剛体モデルを用いて説明する。APDSは、公知のパウエル(Powell)式に基づいて算出される「剛体モデルにおける表面圧力変動(即ち、表面音圧変動と表面流体流動圧力変動との和)とその周囲の流れ場との関係式」を時間ドメインから周波数ドメインに変換した式に基づいて定義される。但し、上記パウエル式は、APDS計算式の導出に適した形式で表現される。このため、以下では、まず、図6を参照して剛体モデル及びフロードメインについて説明し、続いて、APDS計算式の導出に適した形式のパウエル式の導出について説明する。次いで、時間ドメインにおける表面圧力変動と流れ場との関係式の導出について説明し、その後、APDS計算式の導出について説明する。
図6は、剛体モデル36及びフロードメイン38の模式図を示す。剛体モデル36(以下、単に「剛体36」とも称する。)は、その表面S上に観測点xを有する。フロードメイン38は、剛体36の周囲の流れ場のうち、観測点xにおける表面圧力変動に影響を与える可能性のある部分の流れ場である。フロードメイン38は、その内部に複数の評価点zを有する。APDS(x,z)は、観測点xにおける表面音圧変動に対する評価点zにおける流れ場の寄与度を表す指標である。なお、図6中のその他の文字については後述する。
下記式(2)は、体積力がゼロの場合のナビエ-ストークス方程式(Navier-Stokes equation)を示す。
グリーン(Green)関数Gは、下記式(12)の関係式を満たす。
上記式(23)の関係式は、表面圧力変動pに基づく値(関数)p*(=p/ρ)をその両辺に含むため、観測点xにおける表面圧力変動pを流速u及び渦度ωから直接的に計算することができない。このため、以下では、式変形により右辺からp*を含む項を消去し、「観測点xにおける表面圧力変動p」と「流れ場の流速u及び渦度ω」との関係式を導出する。
続いて、走行中の車両モデル20の風切音解析方法について具体的に説明する。計算装置10の演算部14のCPUは、図8にフローチャートにより示したルーチンを実行するようになっている。CPUは、図8のステップ800から処理を開始して以下に述べるステップ802~ステップ812の処理を順に行う。
ステップ804:CPUは、ステップ802で算出された流速及び渦度の時刻歴データu(z,t)及びω(z,t)をそれぞれ平均化処理して、節点z毎に、平均流速U-(z)及び平均渦度Ω-(z)を算出する。
ステップ806:CPUは、ステップ802で算出された流速の時刻歴データu(z,t)を高速フーリエ変換処理して、着目角周波数帯における乱れ流速u~θ(z)の自己相関関数を算出する。この自己相関関数は節点z毎に算出される。ステップ802~ステップ806までの処理が非定常CFD計算処理に相当する。
ステップ810:CPUは、ステップ808で算出されたmn個のAPDSから、任意の節点xについてのn個のAPDSを抽出し、抽出されたAPDSをフロードメイン21で空間積分することにより当該節点xにおける着目角周波数帯の表面音圧変動paθ(x)の自己相関関数の近似値を算出する。そして、当該近似値に基づいて当該節点xにおける予測表面音圧変動papθ(x)を算出(予測)する。CPUは、この処理を解析表面上の全ての節点xについて行う。即ち、予測表面音圧変動papθ(x)は全部でm個算出される。
次に、本実施装置を用いて車両モデル20の解析範囲の形状を変更したときの着目周波数帯(本例では2kHz)の表面音圧変動paθ(x)の改善効果について図10A~図13を参照して具体的に説明する。図5A及び図5Bの例では、領域34における空気抵抗を増大できるような右側サイドミラー23の形状が検討される。図10Aは、車両モデル20の正面図の-e2方向側の一部を示し、図10Bは右側サイドミラー23の平面図の概形を示す。図10A及び図10Bに示すように、右側サイドミラー23の車体側(e2方向側)の面23aは、車両モデル20の前進方向(e1方向)と略平行となっている。本願発明者は、これにより面23a近傍の空気抵抗が小さくなっていると考え、面23a近傍の空気抵抗を増大できる形状を検討した。図11Aは、この検討に基づいて形状が変更された車両モデル120の正面図の-e2方向側の一部を示し、図11Bは車両モデル120の右側サイドミラー123の平面図の概形を示す。図11A及び図11Bに示すように、右側サイドミラー123の車体側(e2方向側)の面123aは、車両モデル120の前進方向(e1方向)に対して交差する向きとなっており、これにより、面123a近傍の空気抵抗を増大させている。
上述したように、「節点xについての着目周波数帯のAPDSをフロードメインで空間積分した値」は、「当該節点xにおける着目周波数帯の表面音圧変動paθ(x)の自己相関関数」の近似値である(式(47)参照)。本実施装置は、これを利用してAPDSに基づいて節点xにおける予測表面音圧変動papθ(x)を算出している。以下では、予測表面音圧変動papθの近似精度を検証してAPDSの指標としての信頼性について検討する。具体的には、予測表面音圧変動papθを、非定常CFD計算用のソフトウエアによって算出される表面音圧変動paθと比較することにより、予測表面音圧変動papθの近似精度を検証する。本実施形態では上記ソフトウエアとしてPowerFLOWが使用されるが、ソフトウエアの種類はこれに限られない。なお、本実施装置が表面音圧変動を非定常CFD計算により算出するのではなくAPDSに基づいて算出(予測)する(ステップ810参照)のは、非定常CFD計算による算出方法では多大な時間がかかるからである。例えば、車両モデル20の右側フロントサイドガラス22の表面音圧変動を節点x毎に算出する場合、非定常CFD計算では3ヶ月かかるのに対し、APDSに基づく計算では2日で済む。
次に、変形例1に係る風切音解析装置(以下、「第1変形装置」とも称する。)について説明する。第1変形装置は、原因パラメータの特定が作業者ではなく装置により行われる点で上記実施装置と異なっている。具体的には、第1変形装置は、図9のステップ824及び826の処理に代えて、以下の処理を実行する。即ち、第1変形装置の計算装置の演算部は、ステップ822で選択された着目評価点zにおけるAPDSを構成する3つのパラメータ(平均流速U-、平均渦度Ω-及び乱れ流速u~θ)の中からAPDS値への寄与が相対的に大きいパラメータを原因パラメータとして特定する。具体的には、演算部は、着目評価点zにおける3つのパラメータの数値を、「着目評価点zにおけるAPDS値よりも低いAPDS値に対応している評価点z」における3つのパラメータの数値と比較することにより原因パラメータを特定する。この構成によれば、原因パラメータを作業者が特定する必要がなくなるため、APDSが高い原因となっているパラメータを容易に把握でき、車両モデルの形状をより効率的に検討、変更することができる。
続いて、変形例2に係る風切音解析装置(以下、「第2変形装置」とも称する。)について説明する。第2変形装置は、着目評価点zの選択(抽出)が作業者ではなく装置により行われる点で上記実施装置と異なっている。具体的には、第2変形装置は、図8のステップ816~ステップ822の処理に代えて、以下の処理を実行する。即ち、第2変形装置の計算装置の演算部は、ステップ814にて「Yes」と判定した場合、任意の値を有するAPDSの等値面データを作成し、当該データにより示される等値面が数個になるまでAPDSの値を変更しながら等値面データを作成する(厳密には、数個になってからも各等値面の表面積ができるだけ小さくなるまでAPDSの値を増加する。)。そして、観測点xまでの距離が最も長い等値面上の任意の点を着目評価点zとして抽出する。この構成によれば、着目評価点zを作業者が選択する必要がなくなるため、車両モデルのガラス製の部分における高周波領域の表面音圧変動に大きく寄与している流れ場の位置をより効率的に特定することができる。なお、第2変形装置では最大(ほぼ最大)のAPDS値に対応している評価点zが着目評価点zとして抽出されるが、この構成に限られず、予め設定された条件を満たす着目評価点zが抽出される構成であっても良い。
Claims (8)
- 移動中の構造物のガラス製の部分であるガラス部の表面に発生する風切音を解析する風切音解析装置であって、
構造物をモデル化した構造物モデルを移動させる非定常CFDシミュレーションを実行して、前記構造物モデルの周囲の流れ場のうち所定領域内の流れ場の所定時間における平均流速及び平均渦度を、当該所定領域内の節点である空間節点毎に算出するとともに、風切音の解析対象となる角周波数帯である着目角周波数帯において、前記所定領域内における乱れ流速の振幅に基づく値を、前記空間節点毎に算出する非定常CFD計算手段と、
前記構造物モデルのガラス部表面の風切音の解析対象点における着目角周波数帯の音圧変動の振幅である表面音圧変動に対する前記所定領域内の空間節点における流れ場の寄与度を示す指標である音圧ソース密度を、前記非定常CFD計算手段によって算出された前記平均流速と、前記平均渦度と、前記乱れ流速の振幅に基づく値と、に基づいて算出する音圧ソース密度算出手段と、
を備える風切音解析装置。 - 請求項1に記載の風切音解析装置であって、
前記構造物モデルのガラス部表面の前記解析対象点についての着目角周波数帯の前記音圧ソース密度を前記所定領域で空間積分した値は、前記解析対象点における前記表面音圧変動の関数とその複素共役関数との積を着目角周波数帯で積分した値の近似値である、
風切音解析装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の風切音解析装置であって、
更に、前記音圧ソース密度を構成する複数のパラメータのうち、当該音圧ソース密度への寄与が相対的に大きいパラメータである原因パラメータを特定する原因パラメータ特定手段を備える、
風切音解析装置。 - 請求項3に記載の風切音解析装置であって、
前記複数のパラメータは、前記平均流速、前記平均渦度及び前記乱れ流速である、
風切音解析装置。 - 請求項1~4の何れか一項に記載の風切音解析装置であって、
更に、前記音圧ソース密度が算出された複数の空間節点の中から、外部から入力される値を有する音圧ソース密度に対応している複数の空間節点を抽出し、当該抽出された複数の空間節点を画像処理して等値面を作成し、当該等値面を可視化する画像処理手段を備える、
風切音解析装置。 - 請求項1~4の何れか一項に記載の風切音解析装置であって、
更に、前記音圧ソース密度算出手段によって算出された複数の音圧ソース密度の最大値に対応している空間節点を抽出する空間節点抽出手段を備える、
風切音解析装置。 - 計算装置を用いて移動中の構造物のガラス製の部分であるガラス部の表面に発生する風切音を解析する風切音解析方法であって、
前記計算装置が備える非定常CFD計算手段が、構造物をモデル化した構造物モデルを移動させる非定常CFDシミュレーションを実行して、前記構造物モデルの周囲の流れ場のうち所定領域内の流れ場の流速の時刻歴データ及び渦度の時刻歴データを、当該所定領域内の節点である空間節点毎に所定時間に亘ってそれぞれ算出するステップと、
前記非定常CFD計算手段が、前記算出された流速の時刻歴データ及び渦度の時刻歴データをそれぞれ平均化処理して、平均流速及び平均渦度を前記空間節点毎に算出するステップと、
前記非定常CFD計算手段が、前記算出された流速の時刻歴データを高速フーリエ変換処理して、乱れ流速の振幅の関数とその複素共役関数との積を風切音の解析対象となる角周波数帯である着目角周波数帯で積分した値である乱れ流速の振幅の自己相関関数を前記空間節点毎に算出するステップと、
前記計算装置が備える音圧ソース密度算出手段が、前記構造物モデルのガラス部表面の風切音の解析対象点における着目角周波数帯の音圧変動の振幅である表面音圧変動に対する前記所定領域内の空間節点における流れ場の寄与度を示す指標である音圧ソース密度を、予めROMに格納されている音圧ソース密度の計算式であって、平均流速と、平均渦度と、乱れ流速の振幅の自己相関関数と、をパラメータとして含む計算式、に、前記非定常CFD計算手段によって前記空間節点毎に算出された前記平均流速と、前記平均渦度と、前記乱れ流速の振幅の自己相関関数と、のうち、対応する空間節点における平均流速と、平均渦度と、乱れ流速の振幅の自己相関関数と、を代入することにより算出するステップと、
を備える風切音解析方法。
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