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JP7060945B2 - 軟式野球用バット - Google Patents
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特許法第30条第2項適用 平成29年5月30日~平成29年7月14日開催の2018 SPRING & SUMMER COLLECTIONにて発表 (刊行物等) 平成29年10月27日~平成29年11月28日に添付資料の「出荷日および出荷(販売)した場所などの一覧表」に記載した各出荷先(販売店)に卸した
本発明は、複数層に積層された筒状の打球部を備えた軟式野球用バットに関する。
上記のような軟式野球用バットとしては、打球部における繊維強化プラスチック素材の層間に接着阻害層であるウィークバウンダリーレアー層を設けることにより、打球部における扁平強度の低下を抑制しながら扁平剛性の低下によるトランポリン効果の向上を図れるようにすることで、耐久性の低下を抑制しつつ反発性能を向上させるようにしたFRP製バットがある(例えば特許文献1参照)。
また、貯蔵弾性率が0.01MPa~6MPaの弾性体を、従来のバットと同様の剛性のある素材で形成されたバット本体の芯部分に被覆して、少なくとも打球部の一部を弾性体で形成することにより、打球時に生じる弾性体の弾性変形でボールの変形を抑制し、打球後のボールにかかる空気抵抗を減らすことで、打球の飛距離を伸ばすようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。
特開2000-202080号公報 特開2004-275742号公報
特許文献1に記載の構成では、打球時に生じるボールの変形を抑制することは考慮されていないことから、打球時にボールが扁平状に大きく変形することになる。そのため、打球後のボールにかかる空気抵抗が大きくなり、打球の失速による飛距離の低下を招くことになる。
特許文献2に記載の構成では、使用球が重い場合や硬い場合に、打球時に弾性体が大きく弾性変形してボールがバット本体の芯部分に達してしまうことがある。この場合、バット本体の芯部分は、従来のバットと同様に剛性の高い素材で形成されていることから、ボールが扁平状に大きく変形することになる。そのため、打球後のボールにかかる空気抵抗が大きくなり、打球の失速による飛距離の低下を招くことになる。また、ボールが径の小さいバット本体の芯部分に達して変形することにより、打球時にバットの軸心がボールの重心から少しでも外れた場合には、このときのボールの変形によってバットの軸心に対するボール重心のズレ量が増大して打球方向が後方側にズレ易くなる。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、使用球が重い場合や硬い場合であっても、打球の飛距離を伸ばすことができる軟式野球用バットを提供する点にある。
本発明の第1特徴構成は、
軟式野球用バットにおいて、
複数層に積層された筒状の打球部を備え、
前記打球部は、グリップ側筒状体と打球部側筒状体とを有するバット本体の前記打球部側筒状体と、前記打球部側筒状体の外周に積層された筒状の発泡体を含む弾性体とを有し
前記打球部側筒状体は、そのバット長手方向の中間部が非接着状態で複数層に積層された高反発領域に成形され、前記バット長手方向の両端部の積層部位が接着されている点にある。
本構成によれば、打球時にボールが打球部で捉えられた場合は、先ず、ボールとの接触で弾性体が弾性変形しながらボールを保持することにより、ボールの変形が抑制されながらボールが筒状体の高反発領域に達することになる。そして、高反発領域は、複数層が非接着状態で積層されたことにより、扁平強度の低下を抑制しながら、扁平剛性の低下によるトランポリン効果の向上が図られて反発性能が高められたものであることから、ボールが高反発領域に達したときには、高反発領域がボールを受け止めるように撓み変形してボールの変形を抑制した後、その反発性能によってボールを撥ね返すようになる。また、この撥ね返しに伴って弾性体がその弾性でボールを弾き返すようになる。
これにより、打球時にボールの重心が打球部の軸心で捉えられた場合は、打球時に生じるボールの変形が抑制されることにより、その変形に起因したボールにかかる空気抵抗の増加を抑制することができる上に、高反発領域でのトランポリン効果と弾性体の弾性との相乗効果が得られることにより、打球の飛距離を大幅に伸ばすことができる。
また、打球時にボールの重心が打球部の軸心から少し外れた場合は、打球時に生じるボールの変形が抑制されることにより、その変形に起因したボールにかかる空気抵抗の増加とバットの軸心に対するボール重心のズレ量の増大とを抑制することができる上に、高反発領域でのトランポリン効果と弾性体の弾性との相乗効果が得られることにより、打球方向が後方側にズレ易くなることを抑制しながら、打球の飛距離を伸ばすことができる。
その結果、使用球が重い場合や硬い場合であっても、打球時にボールが打球部で捉えられた場合に打球の前方への飛距離を伸ばすことができる軟式野球用バットを提供することができる。
本発明の第2特徴構成は、
前記弾性体は、厚みが3~10mmの弾性層を有している点にある。
本構成によれば、筒状体の外径が小さくなることに起因して、高反発領域でのトランポリン効果が低下することを抑制しながら、弾性体の弾性変形によるボールの変形抑制を良好に行うことができる。
これに対し、弾性体における弾性層の厚みが3mm未満であると、筒状体の外径が大きくなることで高反発領域でのトランポリン効果が得られ易くなるが、弾性体の弾性変形によるボールの変形抑制が低下する。
また、弾性体における弾性層の厚みが10mmを超えると、弾性体の弾性変形によるボールの変形抑制は向上するが、筒状体の外径が小さくなることで、高反発領域でのトランポリン効果が得られ難くなるとともに、バットとしての強度が低下してバットにおける耐久性の低下を招き易くなる。
つまり、本構成によれば、バットにおける耐久性の低下を防止しながら、高反発領域でのトランポリン効果と弾性体の弾性との双方を良好に得ることができ、それらの相乗効果によって打球の飛距離を伸ばすことができる。
本発明の第3特徴構成は、
前記弾性体は、C硬度が55~83の弾性層を有している点にある。
本構成によれば、ボールが打球部で捉えられた場合に、ボールとの接触で弾性体が弾性変形しながらボールを保持する状態が良好に得られるようになる。
これに対し、弾性体における弾性層のC硬度が55未満であると、弾性体が軟質になり過ぎて、弾性体によるボールの保持作用が低下してボールが変形し易くなる。
また、弾性体における弾性層のC硬度が83を超えると、弾性体が硬質になり過ぎて、弾性体との接触によるボールの変形が生じ易くなる。
つまり、本構成によれば、ボールが打球部で捉えられた場合に生じるボールの変形をより効果的に抑制することができ、その変形に起因してボールにかかる空気抵抗が増加して打球が失速することによる飛距離の低下を、より効果的に抑制することができる。
本発明の第4特徴構成は、
前記打球部側筒状体の厚みが1.8~4.5mmである点にある。
本構成によれば、高反発領域を含む筒状体の内径を極力大きくすることができ、これにより、高反発領域における扁平強度の低下を抑制しながら、扁平剛性の低下によるトランポリン効果の向上を図ることができ、高反発領域での反発性能を高めることができる。
軟式野球用バットの全体図 軟式野球用バットの分解斜視図 軟式野球用バットにおける打球部側の縦断面図 打球部における要部の拡大縦断面図 打球時における打球部形状の経時変化を示す説明図 弾性体の成形状態を示す横断平面図
以下、本発明が適用された軟式野球用バットの実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、FRP(繊維強化プラスチック)が主材に採用された軟式野球用バットを例示するが、軟式野球用バットは、例えば、チタニウム、チタニウム合金、アルミニウム合金、などの金属が主材に採用され、FRPまたは前述した金属などが筒状の補強材として主材に嵌合されたものであってもよい。また、軟式野球用バットは、グリップ側と打球部側とに異素材の主材が採用されて組み合わされたものであってもよい。
図1~3に示すように、本実施形態で例示する軟式野球用バット(以下、バットと称する)1は、FRP製のバット本体2と、バット本体2のグリップ側端部に取り付けられたグリップエンド3と、バット本体2の先端部に取り付けられたエンドキャップ4と、バット本体2の打球部側に積層された筒状の弾性体5と、バット本体2のグリップ側と打球部側との間の段差を埋めるテーパ状のスリーブ6とを備えている。
バット本体2は、先広がり形状の拡径部7Aを有する径の小さいグリップ側筒状体7と、先窄み形状の縮径部8Aを有する径の大きい打球部側筒状体8とが独立成形された2分割構造である。そして、グリップ側筒状体7の拡径部7Aと打球部側筒状体8の縮径部8Aとが、拡径部7Aの外周面が縮径部8Aの内周面に面接触した状態で接着されている。
バット長手方向での拡径部7Aと縮径部8Aとの接着長さWは、30~120mmが好適であり、本実施形態では、接着長さWとして最適な60mmに設定したものが例示されている。
なお、バット本体2は、グリップ側筒状体7と打球部側筒状体8とが一体形成されたものであってもよい。
図示は省略するが、グリップ側筒状体7の成形は、マンドレルに、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が含浸されたカーボン繊維とガラス繊維とからなるシート状のプリプレグを、所定の積層方法で全体的に均一な層厚に巻き付けた後、加圧用チューブをマンドレルに代えて円筒状のプリプレグに挿入し、2分割の合せ金型に設置して加熱硬化させる、などの工程を経て行われる。これにより、グリップ側筒状体7は、打球部側筒状体8よりも高い剛性および強度を有するように成形されている。
図4に示すように、打球部側筒状体8の成形は、先ず、マンドレル(図示せず)に、前述したシート状のプリプレグを第1層8aとして所定の積層方法で全体的に均一な層厚に巻き付けた後、第1層8aの表面に、第1層8aにおけるバット長手方向の両端部を残した状態で、OPPフィルム(2軸延伸ポリプロピレンフィルム)を第1接着阻害層8bとして巻き付ける。次に、第1層8aの両端部と第1接着阻害層8bとの表面に、前述したシート状のプリプレグを第2層8cとして所定の積層方法で全体的に均一な層厚に巻き付けた後、第2層8cの表面に、第2層8cにおけるバット長手方向の両端部を残した状態で、OPPフィルムを第2接着阻害層8dとして巻き付ける。その後、第2層8cの両端部と第2接着阻害層8dとの表面に、前述したシート状のプリプレグを第3層8eとして所定の積層方法で全体的に均一な層厚に巻き付けた後、加圧用チューブをマンドレルに代えて円筒状の第1層8aに挿入し、2分割の合せ金型に設置して加熱硬化させる、などの工程を経て行われる。
なお、打球部側筒状体8の最内層となる第1層8aの層厚は、1.0~2.5mmが好適であり、特に、1.6~2.1mmがより好適であり、本実施形態では、第1層8aの層厚として最適な1.9mmに設定したものが例示されている。打球部側筒状体8の中間層となる第2層8cの層厚は、0.6~1.2mmが好適であり、本実施形態では、第2層8cの層厚として最適な0.9mmに設定したものが例示されている。打球部側筒状体8の最外層となる第3層8eの層厚は、0.2~0.8mmが好適であり、本実施形態では、第3層8eの層厚として最適な0.5mmに設定したものが例示されている。
これにより、打球部側筒状体8は、その層厚が3.3mm程度の薄い円筒状で、かつ、そのバット長手方向の中間部に、非接着状態で3層に積層されることで扁平強度の低下を抑制しながら扁平剛性の低下が図られた3重管構造の高反発領域8fを有している。
ちなみに、打球部側筒状体8の層厚は、1.8~4.5mmであることが好ましく、特に、2.4~4.1mmであることがより好ましい。
なお、打球部側筒状体8は、そのバット長手方向の中間部に、非接着状態で2層に積層された2重管構造、または、非接着状態で4層に積層された4重管構造などの高反発領域8fを有するように成形されていてもよい。
つまり、このバット1は、図2~3に示すように、バット本体2が打球部側筒状体8よりも高い剛性および強度を有するグリップ側筒状体7と打球部側筒状体8とに分割して成形された2分割構造で、グリップ側筒状体7の拡径部7Aと打球部側筒状体8の縮径部8Aとが適切に接着されることにより、打球時におけるバット1の逆反りによるパワーロスを抑制することができ、スイングパワーを効率よくバット1に伝えることができる。また、打球時にバット1の軸心がボール10(図5参照)の重心から外れた場合の衝撃が打球部側筒状体8からグリップ側筒状体7に伝わり難くなっており、これにより、その衝撃がグリップ側筒状体7を把持した手に伝わることによる手の痺れが生じ難くなる。
そして、図3~5に示すように、打球部側筒状体8が、その層厚が3.3mmの薄い円筒状で、扁平剛性の低い高反発領域8fを有することにより、打球時に生じる高反発領域8fでのトランポリン効果(図5参照)によって打球の飛距離を伸ばすことができる。
なお、グリップ側筒状体7、および、打球部側筒状体8の第1層8aと第2層8cと第3層8eとのそれぞれにおいては、それらのいずれかまたは全てが、シート状のプリプレグに代えてテープ状のプリプレグをマンドレルに全体的に均一な層厚に巻き付けて成形されたものであってもよい。また、打球部側筒状体8の各接着阻害層6b,6dには、OPPフィルム以外に、例えば、ポリ塩化ビニリデン製の市販の食品包装用ラップフィルムやシリコンゴムシートなどのように、金型に設置した加熱硬化時に溶融しない性状を有するものであれば、種々のものを採用することができる。
図2、図4~6に示すように、打球部側筒状体8は、その外周に弾性体5が積層されることにより、複数層に積層された筒状の打球部9が形成されている。弾性体5は、高い打球反発性を備えたゴム系または合成樹脂系素材としてPU(ポリウレタン)を発泡させたウレタンフォームからなる弾性層5aと、この弾性層5aと同系統のTPUシート(熱可塑性ポリウレタンシート)からなる被覆層5bとを有している。
なお、弾性層5aには、例えば、EVA、EEA、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソプレン、EPDM、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS、アイオノマー、ブタジエン系ラバーなどを発泡させた発泡体を採用し、被覆層5bには、弾性層5aと同系統のゴム系または合成樹脂系シートを採用するようにしてもよい。
図6に示すように、弾性体5の成形は、先ず、厚さが0.5~1.0mmで透明な2枚のTPUシートを用意し、これらのTPUシートに裏から品名や模様などを印刷した後、2枚のTPUシートの両端部同士を融着して裏返すことで被覆層5bを形成する。次に、この被覆層5bを2分割の合せ金型11に中芯12とともに設置し、被覆層5bと中芯12との間にPUを流し込み、PUを発泡させて弾性層5aを成形する、などの工程を経て行われる。
なお、弾性層5aの層厚は、打球部側筒状体8の高反発領域8fに積層される弾性体5の打球領域5c(図4参照)において3.0~10.0mmであることが好ましく、特に、3.0~7.0mmであることがより好ましいことから、本実施形態では、5.0mmに設定したものが例示されている。
図示は省略するが、打球部側筒状体8に対する弾性体5の取り付けは、打球部側筒状体8の表面に両面テープを巻き付けた後、ベンジンやホワイトガソリンなどの有機溶剤を使用して両面テープの接着面を一時的に無効にして、弾性体5をバット本体2のグリップ側から打球部側筒状体8に嵌め合わせることにより、弾性体5を打球部側筒状体8に積層した状態に取り付けることができる。そして、このように弾性体5を打球部側筒状体8に取り付けた後、スリーブ6を、グリップ側筒状体7と打球部側筒状体8との段差を埋めるようにバット本体2に接着して取り付け、グリップエンド3をバット本体2のグリップ側端部に取り付け、エンドキャップ4をバット本体2の先端部に取り付けるなどの各種の取り付け工程が行われる。
図6に示すように、弾性体5の被覆層5bには、バット1の長手方向に沿って延びる一対の溝部5dが、被覆層5bの拡径を許容する融通部として機能するように形成されており、これにより、弾性体5を、バット本体2のグリップ側から打球部側筒状体8に嵌め合わせて積層する、といったバット本体2の打球部側筒状体8に対する弾性体5の取り付けを容易にすることができる。
弾性体5のC硬度を測定した結果、弾性体5におけるバット長手方向の中央側部位においては、弾性層5aを直に測定した場合のC硬度が55~83であることが好ましく、特に、55~63であることがより好ましく、これに加えて、バット1の先端から150mmの位置でのC硬度が58~60であり、バット1の先端から200mmの位置でのC硬度が59~61であることがより好ましい。
また、被覆層(TPUシート)5bの上から測定した場合のC硬度が67~85であることが好ましく、特に、67~75であることがより好ましく、これに加えて、バット1の先端から150mmの位置でのC硬度と、バット1の先端から200mmの位置でのC硬度とのそれぞれが70~72であることがより好ましい。
弾性体5の弾性率測定を行った結果、弾性体5における試験片数n1の動的損失弾性率は0.331MPaであり、試験片数n2の動的損失弾性率は0.361MPaであり、試験片数n3の動的損失弾性率は0.358MPaであり、それらの平均値は0.350MPaである。つまり、弾性体5の動的損失弾性率は、0.3~0.4MPaであることが好ましく、特に、0.33~0.37MPaであることがより好ましい。
また、弾性体5における試験片数n1の動的貯蔵弾性率は1.99MPaであり、試験片数n2の動的貯蔵弾性率は2.15MPaであり、試験片数n3の動的貯蔵弾性率は2.21MPaであり、それらの平均値は2.12MPaである。つまり、弾性体5の動的貯蔵弾性率は、1.7~2.5MPaであることが好ましく、特に、1.9~2.3MPaであることがより好ましい。
ここで、試験調整方法として、製品よりウレタン部(厚さ約4mm)を採取し、スライサーで厚さ2mmに調整した。その後、切削により幅3mmの短冊状試験片を作製した。
試験片形状は、長さ30mm×幅3mm×厚さ2mmとし、試験変数は3とし、測定モードは引張モードとし、治具間距離は20mmとし、周波数は100Hzとし、測定温度は20℃とし、荷重は9.8×10^(-2)Nとし、振動変位は20μmとした。
使用試験機は、METRAVIB社製の動的粘弾性測定装置(DMA+1000)とした。
以上の構成により、本発明にかかるバット1は、打球時にボール10が打球部9で捉えられた場合は、先ず、図5の(a)~(b)に示すように、ボール10との接触で弾性体5が弾性変形しながらボール10を保持することにより、ボール10の変形が抑制されながらボール10が打球部側筒状体8の高反発領域8fに達することになる。そして、ボール10が高反発領域8fに達したときには、図5の(b)~(c)に示すように、高反発領域8fがボール10を受け止めるように撓み変形してボール10の変形を抑制した後、その反発性能によってボール10を撥ね返すようになる。また、この撥ね返しに伴って弾性体5がその弾性でボール10を弾き返すようになる。
これにより、打球時にボール10の重心が打球部9の軸心で捉えられた場合は、打球時に生じるボール10の変形が抑制されることにより、その変形に起因したボール10にかかる空気抵抗の増加を抑制することができる上に、高反発領域8fでのトランポリン効果と弾性体5の弾性との相乗効果が得られることにより、打球の飛距離を大幅に伸ばすことができる。
また、打球時にボール10の重心が打球部9の軸心から少し外れた場合は、打球時に生じるボール10の変形が抑制されることにより、その変形に起因したボール10にかかる空気抵抗の増加とバット1の軸心に対するボール重心のズレ量の増大とを抑制することができる上に、高反発領域8fでのトランポリン効果と弾性体5の弾性との相乗効果が得られることにより、打球方向が後方側にズレ易くなることを抑制しながら、打球の飛距離を伸ばすことができる。
その結果、公認球の変更によって軟式ボール10が重く硬くなった場合であっても、打球時にボール10が打球部9で捉えられた場合には打球の前方への飛距離を伸ばすことができる。
そして、弾性体5における弾性層5aの厚みが3~10mmであることにより、打球部側筒状体8の外径が小さくなることを抑制することができ、これにより、打球部側筒状体8の外径が小さくなることに起因して、バット1の強度や高反発領域8fでのトランポリン効果が低下することを抑制しながら、弾性体5の弾性変形によるボール10の変形抑制を良好に行うことができる。
その結果、バット1における耐久性の低下を防止しながら、高反発領域8fでのトランポリン効果と弾性体5の弾性との双方を良好に得ることができ、それらの相乗効果によって打球の飛距離を伸ばすことができる。
また、弾性体5における弾性層5aのC硬度が55~83であることにより、ボール10が打球部9で捉えられた場合には、図5の(a)~(b)に示すように、ボール10との接触で弾性体5が弾性変形しながらボール10を保持する状態が良好に得られるようになる。
その結果、ボール10が打球部9で捉えられた場合に生じるボール10の変形をより効果的に抑制することができ、その変形に起因してボール10にかかる空気抵抗が増加して打球が失速することによる飛距離の低下を、より効果的に抑制することができる。
しかも、打球部側筒状体8の厚みが1.8~4.5mmであることにより、高反発領域8fを含む打球部側筒状体8の内径を極力大きくすることができ、これにより、高反発領域8fにおける扁平強度の低下を抑制しながら、扁平剛性の低下によるトランポリン効果の向上を図ることができ、高反発領域8fでの反発性能を高めることができる。
〔別実施形態〕
上記の実施形態においては、筒状体(打球部側筒状体)8として、FRPが非接着状態で複数層に積層された多重管構造の高反発領域8fを有するFRP製のものを例示したが、これに限定されるものではなく、筒状体8は、例えば、チタニウム、チタニウム合金、アルミニウム合金、などの金属が非接着状態で複数層に積層された多重管構造の高反発領域8fを有する金属製のものであってもよく、また、FRPや前述した金属などの異素材が非接着状態で複数層に積層された多重管構造の高反発領域8fを有するものであってもよい。
5 弾性体
5a 弾性層
8 筒状体
8f 高反発領域
9 打球部

Claims (4)

  1. 複数層に積層された筒状の打球部を備え、
    前記打球部は、グリップ側筒状体と打球部側筒状体とを有するバット本体の前記打球部側筒状体と、前記打球部側筒状体の外周に積層された筒状の発泡体を含む弾性体とを有し、
    前記打球部側筒状体は、そのバット長手方向の中間部が非接着状態で複数層に積層された高反発領域に成形され、前記バット長手方向の両端部の積層部位が接着されている軟式野球用バット。
  2. 前記弾性体は、厚みが3~10mmの弾性層を有している請求項1に記載の軟式野球用バット。
  3. 前記弾性体は、C硬度が55~83の弾性層を有している請求項1又は2に記載の軟式野球用バット。
  4. 前記打球部側筒状体の厚みが1.8~4.5mmである請求項1~3のいずれか一項に記載の軟式野球用バット。
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