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JP7066161B2 - 高圧化学反応装置 - Google Patents
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Description

本明細書の技術分野は、高圧条件下でガスを反応させる高圧化学反応装置に関する。
一般に、原料ガスの濃度が高いほど、化学反応の反応速度は速い。濃度が高いほど、原料ガスの粒子同士の衝突回数が増加するためである。そのため、高圧条件下での化学反応技術に期待が高まっている。常圧では生じなかった化学反応を生じさせることにより、新しい化学物質の発見や、既知の化学物質の未知の合成方法が期待されるからである。
例えば、特許文献1には、高圧発生が可能なプランジャーポンプ等により昇圧した水またはスラリーを反応容器に送り出し(特許文献1の段落[0029]参照)、予熱器により水またはスラリーを予熱する装置が開示されている(特許文献1の段落[0031]参照)。そして、反応容器の内部でシリコンと水とを反応させて水素を製造する旨が記載されている(特許文献1の請求項1)。
特開2007-099535号公報
特許文献1に記載の技術は、水とシリコンとを反応させて水素を発生させるための装置である。この装置の原料は、水またはシリコンである。これらは気体ではない。そのため、反応に用いられる原料がガスの場合には、特許文献1に記載の技術を用いることは困難である。
一方、ガスを反応させる反応装置としてオートクレーブ装置が用いられることがある。この場合には、高圧のガスボンベからオートクレーブ装置にガスを供給する。高圧ガス保安法等により、ガスボンベの圧力ゲージは1MPa程度に制限されている。ただし、この数値はガスの種類による。この場合には、レギュレーター等により、オートクレーブに供給されるガスの圧力は制限される。このような制限の下では、ガスボンベの圧力ゲージよりも高い圧力下での化学反応を研究することは決して容易ではない。また、オートクレーブ内の圧力を高める場合であっても、所望の圧力に達する前に反応が開始され、完了してしまうおそれがある。さらには、従来の装置においては、高圧状態の反応容器内に反応開始剤を供給することは容易ではない。
本明細書の技術は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、少なくとも気体を反応物(リアクタント)とする化学反応を反応容器内を所望の高圧力にした状態で開始させることのできる高圧化学反応装置を提供することである。
第1の態様における高圧化学反応装置は、耐圧反応容器と、耐圧反応容器に気体または液体を供給する第1の供給管と、第1の供給管に気体を供給する気体供給部と、第1の供給管に液体を供給する液体供給部と、第1の供給管に供給する気体または液体を切り替える気体液体切替部と、第1の供給管に反応を開始させるための開始剤を供給する開始剤供給部と、を有する。耐圧反応容器は、少なくとも気体を反応させるものである。第1の供給管の内径は、2mm以下である。液体供給部は、第1の供給管に液体を供給する送液ポンプであるとともに、耐圧反応容器に液体を注入することにより耐圧反応容器の内圧を高めるものである。開始剤供給部は、耐圧反応容器の内圧が1MPa以上30MPa以下の予め定めた圧力に達した場合に、開始剤を第1の供給管に供給する。開始剤は、1MPa以上30MPa以下の条件下で化学反応を生じさせるものである。
この高圧化学反応装置は、第1の供給管を介して耐圧反応容器の内部に気体または液体を注入することができる。そして、耐圧反応容器の内部に気体を注入した後で液体を注入することにより、耐圧反応容器の内圧を上昇させることができる。そのため、耐圧反応容器の内圧が予め定められた閾値以上であり、耐圧反応容器の内部で圧力平衡が実現されたと思われるタイミングで、反応を開始させる開始剤を耐圧反応容器の内部に投入することができる。すなわち、この高圧化学反応装置は、狙った高圧条件の下で化学反応を発生させることができる。
本明細書では、少なくとも気体を反応物とする化学反応を反応容器内を所望の高圧力にした状態で開始させることのできる高圧化学反応装置が提供されている。
第1の実施形態の高圧化学反応装置の構成を示す概略構成図である。 第1の供給管の内部に液体および気体を流しているところを示す図である。 第1の実施形態の高圧化学反応装置における耐圧反応容器の圧力調整のメカニズムを説明するための図(その1)である。 第1の実施形態の高圧化学反応装置における耐圧反応容器の圧力調整のメカニズムを説明するための図(その2)である。 第1の実施形態の高圧化学反応装置における耐圧反応容器の圧力調整のメカニズムを説明するための図(その3)である。 第1の実施形態の高圧化学反応装置における液体供給部の圧力と耐圧反応容器の圧力との関係を示すグラフである。 第1の実施形態の高圧化学反応装置における送液時間と圧力との関係を示すグラフである 第2の実施形態の高圧化学反応装置の構成を示す概略構成図である。
以下、具体的な実施形態について、高圧化学反応装置を例に挙げて図を参照しつつ説明する。実施形態は、例示に過ぎない。例えば、配管の材質等については記載されたもの以外であってもよい。
(第1の実施形態)
1.高圧化学反応装置
図1は、第1の実施形態の高圧化学反応装置100の構成を示す概略構成図である。図1に示すように、高圧化学反応装置100は、耐圧反応容器110と、第1の供給管120と、第1の気体供給部130と、液体供給部140と、気体液体切替部150と、開始剤供給部160と、第2の気体供給部170と、気体切替部180と、制御部190と、を有する。
耐圧反応容器110は、高圧条件下で少なくとも気体を反応させる反応容器である。そのため、耐圧反応容器110は、耐圧性を有する。耐圧反応容器110は、例えば、カラムである。耐圧反応容器110は、例えば、30MPa程度まで耐えられる。耐圧反応容器110の材質は、例えば、樹脂、ガラス、金属等である。耐圧反応容器110は、透明または半透明であるとよい。外部から液体もしくは気体を視認することができるからである。耐圧反応容器110は、第1の供給管120を挿入するための開口部を有している。また、耐圧反応容器110は、第1の供給管120を挿入する箇所の反対側に耐圧栓111を有する。また、耐圧栓111の代わりに圧力計を配置してもよい。
第1の供給管120は、耐圧反応容器110の内部に気体または液体を供給するための管である。第1の供給管120は、例えば、樹脂製の管である。または、ガラスや金属等であってもよい。第1の供給管120は、可撓性を備えていると配管しやすい。第1の供給管120は、透明または半透明であるとよい。外部から液体もしくは気体を視認することができるからである。第1の供給管120は、耐圧性の管である。第1の供給管120は、第1の端部121と第2の端部122とを有する。第1の端部121は、第1の供給管120における一方の端部である。第2の端部122は、第1の供給管120における第1の端部121の反対側の端部である。第1の端部121は、耐圧反応容器110の内部に挿入されている。第2の端部122は、6方バルブ163に挿入されている。
また、第1の供給管120の経路の途中には、3方バルブ124があってもよい。3方バルブ124は、第1の供給管120を耐圧反応容器110への接続と排気との間で切り替える。
第1の気体供給部130は、第1の供給管120に気体を供給するためのものである。第1の供給管120は耐圧反応容器110に接続されているため、第1の気体供給部130は、第1の供給管120を介して耐圧反応容器110の内部に原料ガスを供給することとなる。第1の気体供給部130は、原料ガスとして基質ガスを供給する。
液体供給部140は、第1の供給管120に液体を供給するためのものである。第1の供給管120は耐圧反応容器110に接続されているため、液体供給部140は、第1の供給管120を介して耐圧反応容器110の内部に液体を供給することとなる。また、液体供給部140は、耐圧反応容器110に液体を注入することにより耐圧反応容器110の内圧を高める役割も担っている。液体供給部140は、例えば、送液ポンプである。特に、高速液体クロマトグラフィーの送液ポンプであるとよい。液体は、例えば、純水である。液体は、それ以外の水系溶媒もしくは有機溶媒であってもよい。
気体液体切替部150は、第1の供給管120に供給する気体または液体を切り替えるためのものである。気体液体切替部150は、気体または液体のいずれかを第1の供給管120に供給する。気体液体切替部150は、例えば、4方バルブである。2種類の流体を切り替えることが出来れば、その他の装置であってもよい。
開始剤供給部160は、第1の供給管120に開始剤を供給するためのものである。開始剤供給部160は、耐圧反応容器110の内圧が予め定めた第1の圧力(閾値)に達した場合に、開始剤を第1の供給管120に供給する。開始剤供給部160は、耐圧反応容器110の内圧が予め定めた第1の圧力以上であって、耐圧反応容器110の内部が圧力平衡に達しているときに開始剤を第1の供給管120に供給するとよい。この開始剤は、耐圧反応容器110の内部で生じる化学反応を開始させるための反応開始剤である。
開始剤供給部160は、開始剤収容部161と、配管162と、6方バルブ163と、を有する。開始剤収容部161は、開始剤を収容している。配管162は、開始剤収容部161と6方バルブ163とをつないでいる。6方バルブ163は、開始剤収容部161を第1の供給管120に連結した状態と切断した状態とを切り替えるための開始剤切替部である。
通常、開始剤収容部161および配管162は、第1の供給管120から切り離された状態にある。そして、6方バルブ163が、第1の供給管120と配管162とを接続状態にすると、開始剤収容部161の開始剤が第1の供給管120に投入されることとなる。そのため、6方バルブ163は、耐圧反応容器110に開始剤を投入するタイミングを制御するための操作部である。
第2の気体供給部170は、第1の供給管120にパージガスを供給するためのものである。
気体切替部180は、第1の供給管120に原料ガスまたはパージガスのいずれを供給するか切り替えるためのものである。
制御部190は、液体供給部140による液体の送液を制御する。また、制御部190は、開始剤供給部160を制御してもよい。また、制御部190は、各バルブによる気体または液体の送出の切り替えを制御してもよい。もちろん、各バルブの制御については、手動で行ってもよい。
また、高圧化学反応装置100は、配管131、141、151、171、181を有する。配管131は、第1の気体供給部130と気体切替部180とを連結している。配管141は、液体供給部140と気体液体切替部150とを連結している。配管151は、気体液体切替部150と開始剤供給部160とを連結している。配管171は、第2の気体供給部170と気体切替部180とを連結している。配管181は、気体切替部180と気体液体切替部150とを連結している。
このように、第1の気体供給部130と、第2の気体供給部170と、液体供給部140とは、開始剤供給部160を介して第1の供給管120に連結されている。これらの配管131、141、151、171、181の材質は、樹脂、ガラス、金属であるとよい。ただし、配管131、141、151、171、181は可撓性を備えていると配管しやすい。
2.配管およびループ
2-1.第1の供給管
図2は、第1の供給管120の内部に液体および気体を流しているところを示す図である。第1の供給管120の内径は、0.01mm以上2mm以下である。好ましくは、1mm以下である。そのため、高圧状態であっても、第1の供給管120の内部では、図2に示すように、空気の層Gs1と液体の層Lq1とが別々になった状態で移動することができる。
2-2.ループ
第1の供給管120は、第1のループ123を有する。第1のループ123は、らせん状に巻きつけられた第1の供給管120の一部である。第1のループ123は、第1の供給管120が十分に長いために巻きつけられている。第1の供給管120の長さは、第1の供給管120の内径の1000倍以上である。第1の供給管120の長さは、実際には、第1の供給管120の内径の10000000倍以下である。前述のように、第1の供給管120の内径は、0.01mm以上2mm以下である。好ましくは、1mm以下である。
配管141は、液体を流すための液体供給管である。配管141は、液体供給部140と気体液体切替部150との間に配置されている。配管141は、第2のループ142を有する。第2のループ142は、らせん状に巻きつけられた配管141の一部である。第2のループ142は、配管141が十分に長いために巻きつけられている。配管141の長さは、配管141の内径の1000倍以上である。配管141の長さは、実際には、配管141の内径の10000000倍以下である。ここで、配管141の内径は、0.01mm以上2mm以下である。好ましくは、1mm以下である。
液体供給部140は、背圧を担うためのものである。そして、第2のループ142は、気体液体切替部150のバルブにより気体または液体が切り替わったときに、気体もしくは液体が逆流することを防止する。そして、液体供給部140が担う背圧値は、例えば、初期ガスレギュレーター圧の2倍以上30倍以下であるとよい。好ましくは、7倍以上20倍以下である。もちろん、これらの数値範囲に限らない。
3.高圧化学反応装置の圧力調整のメカニズム
図3は、耐圧反応容器110の内部を例示する断面図である。なお、圧力調整のメカニズムの理解を容易にするために、耐圧反応容器110の形状等については簡略化してある。図3では、耐圧反応容器110は、気体を収容している。その気体の圧力をIP1とする。
本実施形態の高圧化学反応装置100では、耐圧反応容器110の内部に気体または液体を供給する。ここでは、図3の状態から耐圧反応容器110の内部に液体を供給する。そのために、液体供給部140が、第1の供給管120に液体を供給する。その結果、耐圧反応容器110は、液体および気体の両方を収容することとなる。
図4においては、耐圧反応容器110は、耐圧反応容器110の容積の1/2の体積を有する液体VL1と、耐圧反応容器110の容積の1/2の体積を有する気体VG1と、を収容している。つまり、図3の状態から液体が耐圧反応容器110の容積の半分の量だけ供給された状態である。
図4の状態では、耐圧反応容器110の内圧は2・IP1である。図4における耐圧反応容器110の内圧は、図3における耐圧反応容器110の内圧の2倍である。耐圧反応容器110の容積の半分を液体が占めているためである。
図5は、図4の状態からさらに液体を耐圧反応容器110に供給した状態を示す断面図である。耐圧反応容器110は、耐圧反応容器110の容積の9/10の体積を有する液体VL2と、耐圧反応容器110の容積の1/10の体積を有する気体VG2と、を収容している。図5の状態では、耐圧反応容器110の内圧は10・IP1である。図5における耐圧反応容器110の内圧は、図3における耐圧反応容器110の内圧の10倍である。
このように、本実施形態の高圧化学反応装置100は、耐圧反応容器110の内部に液体を流し込んで耐圧反応容器110の内圧を上昇させる。そして、高圧化学反応装置100は、耐圧反応容器110の内部の気体が好適な状態、すなわち圧力平衡に達していると思われるタイミングで開始剤を耐圧反応容器110の内部に投入することができる。
なお、図3から図5に至るまで、耐圧反応容器110の内圧は上昇し続ける。このように液体を注入している期間内には、第1の気体供給部130は、第1の供給管120および耐圧反応容器110とは接続されていない。そのため、第1の気体供給部130の圧力ゲージは初期状態から変化しない。したがって、第1の気体供給部130が、高圧ガス保安法等により定められた許容圧力を超えることは無い。このように、本実施形態の高圧化学反応装置100は、高圧ガス保安法等により定められた範囲内で問題無く高圧条件下での化学反応を開始させることができる。
4.高圧化学反応装置の動作
まず、耐圧反応容器110の内部に化学反応に用いられる溶液を導入する。この溶液として、例えば、水が挙げられる。次に、気体切替部180を切り替える。第1の気体供給部130が、原料ガスを耐圧反応容器110の内部に供給する。このとき、気体の流路は、気体の流れの上流から、第1の気体供給部130、配管131、気体切替部180、配管181、気体液体切替部150、配管151、第1の供給管120、耐圧反応容器110の順で形成されている。そして、第1の気体供給部130は、そのレギュレーターで調整できる範囲で耐圧反応容器110を加圧する。
次に、気体液体切替部150が、第1の供給管120に供給する流体を気体から液体に切り替える。このとき、液体の流路は、液体の流れの上流から、液体供給部140、配管141、気体液体切替部150、配管151、第1の供給管120、耐圧反応容器110の順で形成されている。これにより、液体供給部140が、第1の供給管120を介して耐圧反応容器110の内部に液体を注入する。このため、耐圧反応容器110の内圧は、時間の経過とともに上昇する。
耐圧反応容器110の内圧については、耐圧栓111の代わりに取り付けた圧力計により測定してもよい。また、後述するように、液体供給部140の送液ポンプに内蔵された圧力計に基づいて算出してもよい。そして、耐圧反応容器110の内圧が予め定められた閾値以上になったところで溶液の供給を停止する。そして、その状態を保持したまましばらく待つ。耐圧反応容器110の内部が圧力平衡に達するようにするためである。
そして、耐圧反応容器110の内圧が予め定められた閾値以上であり、耐圧反応容器110の内部が圧力平衡に達している状態になったときに、6方バルブ163を操作する。このとき、液体の流路は、液体の流れの上流から、液体供給部140、配管141、気体液体切替部150、配管151、開始剤供給部160、第1の供給管120、耐圧反応容器110の順で形成される。これにより、液体供給部140から供給される液体は、開始剤供給部160および配管161を経由して第1の供給管120に流れる。このときに、開始剤供給部160の開始剤が一緒に搬送される。
そして、開始剤が耐圧反応容器110の内部に投入される。このとき、耐圧反応容器110の内圧は所望の値以上であり、耐圧反応容器110の内部は圧力平衡に達している。そのため、狙った高圧条件下で化学反応を開始させることができる。
5.耐圧反応容器の圧力特性
図6は、高圧化学反応装置100における液体供給部140の圧力と耐圧反応容器110の圧力との関係を示すグラフである。図6の横軸は、液体供給部140の圧力(MPa)である。図6の縦軸は、耐圧反応容器110の圧力(MPa)である。ここで、液体供給部140の圧力および耐圧反応容器110の圧力は、実際の測定値である。液体供給部140は、実際には、高速液体クロマトグラフィーの送液ポンプである。このシステムにおいては、送液ポンプの圧力が5MPa当たりから耐圧反応容器110の圧力が上昇し始める。そして、その後は送液ポンプの圧力の上昇に伴って、耐圧反応容器110の内圧が上昇する。
図7は、高圧化学反応装置100における送液時間と圧力との関係を示すグラフである。図7の横軸は、液体の送液時間(秒)である。図7の縦軸は、耐圧反応容器110の圧力(MPa)または送液ポンプの圧力(MPa)である。ここで、液体供給部140の圧力および耐圧反応容器110の圧力は、実際の測定値である。図7に示すように、耐圧反応容器110の内部に液体を供給し始めてから、送液ポンプおよび耐圧反応容器110の圧力は徐々に上昇する。
図7では、液体の送液時間が100秒を超えたところで圧力が比較的大きく上昇している。その理由は以下のようである。例えば、図3と図5とを比較して考える。図3の状態に一定量の液体VLtを入れても、気体が占める体積はそれほど変わらない。一方、図5の状態に同じ液体VLtを入れたとすると、気体が占める体積は大きく変化する。このように、液体が占める体積が大きい場合に、液体の注入により気体の圧力はより急激に変化する。
6.本実施形態の効果
本実施形態の高圧化学反応装置100は、第1の気体供給部130の圧力ゲージを上げることなく、非常に容易に耐圧反応容器110の内圧を上昇させることができる。耐圧反応容器110は、例えば、手のひらサイズのカラムである。このように、小型で簡易な装置を用いて、高圧条件下のガスを用いた化学反応実験を実施することができる。高圧ガス保安法等により定められた1MPa以上の高圧実験を実施する上で問題が生じない。
例えば、耐圧反応容器110の内圧を1MPa以上30MPa以下として、化学反応を生じさせることができる。図6では、耐圧反応容器110の内部で11MPaまで実現されている。前述のとおり、送液ポンプの圧力を上げることにより、耐圧反応容器110の圧力を上昇させることができる。
7.従来技術との比較
従来のオートクレーブでは、高圧ガスの入ったガスボンベの圧力ゲージより高い圧力の下での実験が困難であった。また、オートクレーブは、通常ステンレス製の反応容器である。その容積は、例えば、100ml程度である。そのため、装置が大掛かりになってしまう。
本実施形態の高圧化学反応装置100では、高圧ガスの入ったガスボンベの圧力ゲージよりはるかに高い圧力の下での実験が容易である。また、耐圧反応容器110の容積は、例えば、1ml程度である。特に、液体が注がれた後には、非常に小さい体積の中で化学反応を発生させることができる。したがって、非常に簡便に実験を行うことができる。
8.変形例
8-1.第1の気体供給部
本実施形態では、耐圧反応容器110の内部には、第1の気体供給部130から原料ガスを供給する。図1では第1の気体供給部130は1個しかないが、高圧化学反応装置100は、複数の第1の気体供給部を有していてもよい。その場合には、複数の第1の気体供給部が、複数種類の原料ガスを別々に耐圧反応容器110の内部に供給する。
8-2.真空ポンプ
高圧化学反応装置100は、第1の供給管120を介して耐圧反応容器110を真空引きするための真空ポンプを有していてもよい。この場合には、耐圧反応容器110の内部の大気を十分に除去した後に、原料ガスを耐圧反応容器110の内部に供給することができる。
8-3.加熱部
高圧化学反応装置100は、耐圧反応容器110を加熱する加熱部を有していてもよい。高温高圧下におけるガスの化学反応を発生させることができるためである。
8-4.撹拌
適宜、耐圧反応容器110の内部の液体を撹拌してもよい。そのために、マグネット撹拌子等を予め耐圧反応容器110の内部に格納してから送液を開始してもよい。
8-5.溶液の導入
本実施形態では、原料ガスを耐圧反応容器110の内部に導入する前に溶液を耐圧反応容器110の内部に導入する。しかし、原料ガスを耐圧反応容器110の内部に導入した後に溶液を耐圧反応容器110の内部に導入してもよい。
8-6.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
9.本実施形態のまとめ
以上説明したように、本実施形態の高圧化学反応装置100は、第1の供給管120を介して耐圧反応容器110の内部に液体を注入する。これにより、耐圧反応容器110の内部の圧力を上昇させる。そして、耐圧反応容器110の内圧が所望の値に達し、耐圧反応容器110の内部で圧力平衡が達したと思われるタイミングで、反応を開始させる開始剤を耐圧反応容器110の内部に投入する。これにより、高圧条件下で狙った反応を効率的に発生させることのできる高圧化学反応装置100が実現されている。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。
1.高圧化学反応装置
図8は、第2の実施形態の高圧化学反応装置200の構成を示す概略構成図である。図8に示すように、高圧化学反応装置200は、複数の耐圧反応容器210a、210b、210c、210d、210eと、複数の第1の供給管220a、220b、220c、220d、220eと、容器切替部230と、を有している。
第1の供給管220a、220b、220c、220d、220eは、それぞれ、第1の端部221a、221b、221c、221d、221eで耐圧反応容器210a、210b、210c、210d、210eに接続されている。第1の供給管220a、220b、220c、220d、220eは、それぞれ、第2の端部222a、222b、222c、222d、222eで容器切替部230に接続されている。
第1の供給管220a、220b、220c、220d、220eは、それぞれ、第1のループ223a、223b、223c、223d、223eを有する。
耐圧反応容器210a、210b、210c、210d、210eは、それぞれ、耐圧栓211a、211b、211c、211d、211eにより封止されている。
容器切替部230は、第1の気体供給部130と、第2の気体供給部170と、液体供給部140とから供給される気体または液体を複数の耐圧反応容器210a、210b、210c、210d、210eのうちのいずれの容器に供給するかを切り替える。容器切替部230は、例えば、ロータリーバルブである。
2.本実施形態の効果
高圧化学反応装置200は、圧力条件の異なるそれぞれの耐圧反応容器210a、210b、210c、210d、210eの内部で化学反応を起こさせることができる。
3.変形例
第1の実施形態の変形例と自由に組み合わせてよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。
1.メタンの反応
本実施形態では、具体的なガスによる反応について例示する。例えば、第1の実施形態の高圧化学反応装置100を用いて次の反応を生じさせる。
CH4 + 0.5O2 → CH3 OH
そのために、第1の気体供給部130は、メタンガスおよび酸素を耐圧反応容器110の内部に供給する。そして、液体供給部140は、例えば、水を耐圧反応容器110の内部に供給する。
または、次の反応を生じさせる。
CH4 + H2 O → CH3 OH + H2
そのために、第1の気体供給部130は、メタンガスを耐圧反応容器110の内部に供給する。そして、液体供給部140は、水を耐圧反応容器110の内部に供給する。
このように本実施形態では、液体供給部140が供給する液体が、耐圧反応容器110の内部で第1の気体供給部130が供給する気体との反応に用いられることもある。
2.変形例
2-1.ガスの種類
また、上記以外のその他のガスを反応物として用いてももちろん構わない。
2-2.反応物としての液体
液体供給部140が供給する液体が、反応物であってもよいし、反応物でなくともよい。液体が反応物である場合には、耐圧反応容器110の内部で第1の気体供給部130が供給する気体と、液体供給部140が供給する気体とが、反応する。
3.本実施形態のまとめ
このように、第1の実施形態および第2の実施形態の高圧化学反応装置100、200を用いることにより、高圧条件下で化学反応を開始させることができる。そのため、常圧条件より効率よく化学反応を起こすことができる。また、常圧条件では生じにくい化学反応を、高圧条件下で効率よく発生させることができる。
A.付記
第1の態様における高圧化学反応装置は、耐圧反応容器と、耐圧反応容器に気体または液体を供給する第1の供給管と、第1の供給管に気体を供給する気体供給部と、第1の供給管に液体を供給する液体供給部と、第1の供給管に供給する気体または液体を切り替える気体液体切替部と、第1の供給管に反応を開始させるための開始剤を供給する開始剤供給部と、を有する。耐圧反応容器は、少なくとも気体を反応させるものである。第1の供給管の内径は、2mm以下である。液体供給部は、第1の供給管に液体を供給する送液ポンプである。
第2の態様における高圧化学反応装置においては、液体供給部は、耐圧反応容器に液体を注入することにより耐圧反応容器の内圧を高めるものである。開始剤供給部は、耐圧反応容器の内圧が予め定めた第1の圧力に達した場合に、開始剤を第1の供給管に供給する。
第3の態様における高圧化学反応装置においては、第1の供給管の長さが、第1の供給管の内径の5000倍以上である。
第4の態様における高圧化学反応装置は、液体供給部と気体液体切替部との間に配置された液体供給管を有する。液体供給管の長さが、液体供給管の内径の1000倍以上である。
第5の態様における高圧化学反応装置は、耐圧反応容器を加熱する加熱器を有する。
第6の態様における高圧化学反応装置においては、液体供給部が供給する液体が、耐圧反応容器の内部で気体供給部が供給する気体との反応に用いられる。
第7の態様における高圧化学反応装置においては、液体供給部は、気体供給部の初期ガスレギュレーター圧の2倍以上30倍以下の背圧値を担う。
100…高圧化学反応装置
110…耐圧反応容器
120…第1の供給管
130…第1の気体供給部
140…液体供給部
150…気体液体切替部
160…開始剤供給部
170…第2の気体供給部
180…気体切替部
190…制御部

Claims (6)

  1. 耐圧反応容器と、
    前記耐圧反応容器に気体または液体を供給する第1の供給管と、
    前記第1の供給管に気体を供給する気体供給部と、
    前記第1の供給管に液体を供給する液体供給部と、
    前記第1の供給管に供給する気体または液体を切り替える気体液体切替部と、
    前記第1の供給管に反応を開始させるための開始剤を供給する開始剤供給部と、
    を有し、
    前記耐圧反応容器は、
    少なくとも気体を反応させるものであり、
    第1の供給管の内径は、
    2mm以下であり、
    前記液体供給部は、
    前記第1の供給管に液体を供給する送液ポンプであるとともに、
    前記耐圧反応容器に液体を注入することにより前記耐圧反応容器の内圧を高めるものであり、
    前記開始剤供給部は、
    前記耐圧反応容器の内圧が1MPa以上30MPa以下の予め定めた圧力に達した場合に、
    前記開始剤を前記第1の供給管に供給し、
    前記開始剤は、
    1MPa以上30MPa以下の条件下で化学反応を生じさせるものであること
    を特徴とする高圧化学反応装置。
  2. 請求項1に記載の高圧化学反応装置において、
    前記第1の供給管の長さが、
    前記第1の供給管の内径の1000倍以上であること
    を特徴とする高圧化学反応装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の高圧化学反応装置において、
    前記液体供給部と前記気体液体切替部との間に配置された液体供給管を有し、
    前記液体供給管の長さが、
    前記液体供給管の内径の1000倍以上であること
    を特徴とする高圧化学反応装置。
  4. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の高圧化学反応装置において、
    前記耐圧反応容器を加熱する加熱器を有すること
    を特徴とする高圧化学反応装置。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の高圧化学反応装置において、
    前記液体供給部が供給する液体が、
    前記耐圧反応容器の内部で前記気体供給部が供給する気体との反応に用いられること
    を特徴とする高圧化学反応装置。
  6. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の高圧化学反応装置において、
    前記液体供給部は、
    前記気体供給部の初期ガスレギュレーター圧の2倍以上30倍以下の背圧値を担うこと
    を特徴とする高圧化学反応装置。
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