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JP7066261B2 - 変速機の制御装置 - Google Patents
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Description

本発明は、変速機の制御装置に関する。
車両に搭載される変速機として、CVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)が広く知られている。
CVTは、入力側のプライマリプーリと出力側のセカンダリプーリとに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有している。エンジンなどの駆動源からのトルクがプライマリプーリに入力されると、プライマリプーリとベルトとの間の摩擦力により、プライマリプーリからベルトにトルクが伝達され、セカンダリプーリとベルトとの間の摩擦力により、ベルトからセカンダリプーリにトルクが伝達される。
プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、いずれも、固定シーブと、固定シーブにベルトを挟んで対向配置され、その対向方向に移動可能に設けられた可動シーブと、可動シーブに対して固定シーブと反対側に設けられ、可動シーブとの間にピストン室(油室)を形成するピストンとを備えている。プライマリプーリおよびセカンダリプーリの各可動シーブに作用する油圧の制御により、固定シーブと可動シーブとの間隔が変更される。これに伴い、プライマリプーリに対するベルトの巻きかけ径が変化するとともに、セカンダリプーリの固定シーブと可動シーブとの間隔が変化し、セカンダリプーリに対するベルトの巻きかけ径が変化する。これにより、変速比(プーリ比)が無段階で連続的に変化する。
特開2004-176890号公報
CVTの変速制御では、変速比の目標が設定され、その変速比目標と実際の変速比である実変速比との偏差に応じた制御圧、つまりプライマリプーリおよびセカンダリプーリの各可動シーブに作用する油圧の指令値が設定される。そして、その制御圧がプライマリプーリおよびセカンダリプーリの各可動シーブに作用するように、油圧回路に含まれるバルブの動作が制御される。
しかしながら、従来の変速制御には、種々の改善の余地があり、追従性の向上が望まれている。
本発明の目的は、変速制御の追従性の向上を図ることができる、変速機の制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る変速機の制御装置は、固定シーブおよび油圧回路から供給される油圧により固定シーブとの間隔が変更される可動シーブを備えるプーリに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有する変速機の制御装置であって、可動シーブの位置を制御するための油圧であって、変速機の変速比の目標と実際の変速比との偏差に応じた制御圧を設定する制御圧設定手段と、オイルポンプの吐出圧により油圧回路に発生する元圧に基づいて、制御圧設定手段により設定される制御圧を制限する制御圧制限手段とを含む。
この構成によれば、変速機の変速比の目標と実際の変速比との偏差に応じた制御圧が設定される。この制御圧の油圧が可動シーブに供給されることにより、実際の変速比を変速比の目標に近づけることができる。
オイルポンプの吐出圧により油圧回路に発生する元圧に限界があるため、制御圧には上限がある。制御圧が上限を超えて設定されると、変速比の目標と実際の変速比との偏差が縮まらず、制御圧の設定に積分演算(積分制御)が含まれる場合、その偏差が累積して増大する。
そこで、油圧回路に発生する元圧に基づいて制御圧が制限される。これにより、制御圧の設定に制御の追従性を確保するための積分演算が含まれても、変速比の目標と実際の変速比との偏差の累積を抑制できる。よって、変速制御の追従性の向上を図ることができる。
変速機の制御装置は、可動シーブに供給される油圧を検出する油圧検出手段と、油圧検出手段により検出される油圧から元圧を推定する元圧推定手段とをさらに含む構成である場合、制御圧制限手段は、元圧推定手段により推定される元圧に基づいて、制御圧設定手段により設定される制御圧を制限してもよい。
外乱などによる元圧の低下により、可動シーブに供給される油圧(実圧)が制御圧に追従しない場合、油圧検出手段によって検出される油圧が低下する。したがって、油圧検出手段によって検出される油圧から元圧を推定することができる。
本発明によれば、変速制御の追従性の向上を図ることができる。
車両の駆動系の構成を示すスケルトン図である。 本発明の一実施形態に係る制御系の構成を示すブロック図である。 シーブ変速コントローラの構成を示すブロック図である。 上限ガード量設定部の構成を示すブロック図である。 シーブ変速コントローラにより実行される処理の流れを示すフローチャートである。 I制御値、制御圧および実変速比の時間変化の一例を示す図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<車両の駆動系>
図1は、車両1の駆動系の構成を示すスケルトン図である。
車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。
エンジン2には、エンジン2の燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータが付随して設けられている。エンジン2の動力は、トルクコンバータ3およびベルト式のCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)4を介して、デファレンシャルギヤ5に伝達され、デファレンシャルギヤ5から左右のドライブシャフト6L,6Rを介してそれぞれ左右の駆動輪7L,7Rに伝達される。
トルクコンバータ3は、ロックアップ機構付きのトルクコンバータであり、フロントカバー11、ポンプインペラ12、タービンランナ13およびロックアップクラッチ(ロックアップピストン)14を備えている。フロントカバー11には、エンジン2のクランクシャフトが接続され、フロントカバー11は、クランクシャフトと一体に回転する。ポンプインペラ12は、フロントカバー11に対するエンジン側と反対側に配置されている。ポンプインペラ12は、フロントカバー11と一体回転可能に設けられている。タービンランナ13は、フロントカバー11とポンプインペラ12との間に配置されて、フロントカバー11と共通の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。ロックアップクラッチ14は、フロントカバー11とタービンランナ13との間に配置されている。
ロックアップクラッチ14は、ロックアップクラッチ14とフロントカバー11との間の解放側油室15の油圧とロックアップクラッチ14とポンプインペラ12との間の係合側油室16の油圧との差圧により係合/解放される。すなわち、解放側油室15の油圧が係合側油室16の油圧よりも高い状態では、その差圧により、ロックアップクラッチ14がフロントカバー11から離間し、ロックアップクラッチ14が解放されたロックアップオフ状態(解放状態)になる。係合側油室16の油圧が解放側油室15の油圧よりも高い状態では、その差圧により、ロックアップクラッチ14がフロントカバー11に押し付けられて、ロックアップクラッチ14が係合されたロックアップオン状態(締結状態)になる。
ロックアップオフ状態において、E/G出力軸が回転されると、ポンプインペラ12が回転する。ポンプインペラ12が回転すると、ポンプインペラ12からタービンランナ13に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ13で受けられて、タービンランナ13が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ13には、E/G出力軸の動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。
ロックアップオン状態では、E/G出力軸が回転されると、E/G出力軸、ポンプインペラ12およびタービンランナ13が一体となって回転する。
トルクコンバータ3とCVT4との間には、オイルポンプ8が設けられている。オイルポンプ8は、機械式オイルポンプであり、ポンプ軸は、トルクコンバータ3のポンプインペラ12と一体回転するように設けられている。これにより、エンジン2の動力によりポンプインペラ12が回転すると、オイルポンプ8のポンプ軸が回転し、オイルポンプ8から油圧が発生する。
CVT4は、トルクコンバータ3から入力される動力をデファレンシャルギヤ5に伝達する。CVT4は、インプット軸(入力軸)21、アウトプット軸(出力軸)22、ベルト伝達機構23および前後進切替機構24を備えている。
インプット軸21は、トルクコンバータ3のタービンランナ13に連結され、タービンランナ13と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
アウトプット軸22は、インプット軸21と平行に配置されている。アウトプット軸22には、出力ギヤ25が相対回転不能に支持されている。
ベルト伝達機構23には、プライマリ軸31およびセカンダリ軸32が含まれる。プライマリ軸31およびセカンダリ軸32は、それぞれインプット軸21およびアウトプット軸22と同一軸線上に配置されている。
そして、ベルト伝達機構23は、プライマリ軸31に支持されたプライマリプーリ33とセカンダリ軸32に支持されたセカンダリプーリ34とに、無端状のベルト35が巻き掛けられた構成を有している。
プライマリプーリ33は、プライマリ軸31に固定された固定シーブ41と、固定シーブ41にベルト35を挟んで対向配置され、プライマリ軸31にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ42とを備えている。可動シーブ42に対して固定シーブ41と反対側には、プライマリ軸31に固定されたピストン43が設けられ、可動シーブ42とピストン43との間に、ピストン室(油室)44が形成されている。
セカンダリプーリ34は、セカンダリ軸32に対して固定された固定シーブ45と、固定シーブ45にベルト35を挟んで対向配置され、セカンダリ軸32にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ46とを備えている。可動シーブ46に対して固定シーブ45と反対側には、セカンダリ軸32に固定されたピストン47が設けられ、可動シーブ46とピストン47との間に、ピストン室48が形成されている。
プライマリプーリ33の可動シーブ42の移動により、固定シーブ41と可動シーブ42との間隔である溝幅が連続的に変化する。セカンダリプーリ34の可動シーブ46の移動により、固定シーブ45と可動シーブ46との間隔である溝幅が連続的に変化する。プライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34の各溝幅を連続的に変更することにより、プライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34に対するベルト35の巻きかけ径を変更することができ、変速比(プーリ比)を無段階で連続的に変更することができる。
なお、図示されていないが、可動シーブ46とピストン47との間には、ベルト35に初期挟圧(初期推力)を与えるためのバイアススプリングが介在されている。バイアススプリングの弾性力により、可動シーブ46およびピストン47は、互いに離間する方向に付勢されている。
前後進切替機構24は、インプット軸21とベルト伝達機構23のプライマリ軸31との間に介装されている。前後進切替機構24は、遊星歯車機構51、クラッチC1およびブレーキB1を備えている。
遊星歯車機構51には、キャリヤ52、サンギヤ53およびリングギヤ54が含まれる。
キャリヤ52は、インプット軸21に相対回転可能に外嵌されている。キャリヤ52は、複数のピニオンギヤ55を回転可能に支持している。複数のピニオンギヤ55は、円周上に配置されている。
サンギヤ53は、インプット軸21に相対回転不能に支持されて、複数のピニオンギヤ55により取り囲まれる空間に配置されている。サンギヤ53のギヤ歯は、各ピニオンギヤ55のギヤ歯と噛合している。
リングギヤ54は、その回転軸線がプライマリ軸31の軸心と一致するように設けられている。リングギヤ54には、ベルト伝達機構23のプライマリ軸31が連結されている。リングギヤ54のギヤ歯は、複数のピニオンギヤ55を一括して取り囲むように形成され、各ピニオンギヤ55のギヤ歯と噛合している。
クラッチC1は、油圧により、キャリヤ52とサンギヤ53とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態(オン)と、その直結を解除する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
ブレーキB1は、キャリヤ52とトルクコンバータ3およびCVT4を収容するトランスミッションケースとの間に設けられ、油圧により、キャリヤ52を制動する係合状態(オン)と、キャリヤ52の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
車両1の車室内には、運転者が操作可能な位置に、シフトレバー(セレクトレバー)が配設されている。シフトレバーの可動範囲には、たとえば、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジションおよびD(ドライブ)ポジションがこの順に一列に並べて設けられている。
シフトレバーがPポジションに位置する状態では、クラッチC1およびブレーキB1の両方が解放され、パーキングロックギヤ(図示せず)が固定されることにより、CVT4の変速レンジの1つであるPレンジが構成される。また、シフトレバーがNポジションに位置する状態では、クラッチC1およびブレーキB1の両方が解放されて、パーキングロックギヤが固定されないことにより、CVT4の変速レンジの1つであるNレンジが構成される。クラッチC1およびブレーキB1の両方が解放された状態では、インプット軸21およびサンギヤ53が空転し、エンジン2の動力は駆動輪7L,7Rに伝達されない。
シフトレバーがDポジションに位置する状態では、ブレーキB1が係合されて、クラッチC1が解放されることにより、CVT4の変速レンジの1つである前進レンジが構成される。前進レンジでは、エンジン2の動力がインプット軸21に入力されると、キャリヤ52が静止した状態で、サンギヤ53がインプット軸21と一体に回転する。そのため、サンギヤ53の回転は、リングギヤ54に逆転かつ減速されて伝達される。これにより、リングギヤ54が回転し、ベルト伝達機構23のプライマリ軸31およびプライマリプーリ33がリングギヤ54と一体に回転する。プライマリプーリ33の回転は、ベルト35を介して、セカンダリプーリ34に伝達され、セカンダリプーリ34およびセカンダリ軸32を回転させる。そして、セカンダリ軸32と一体に、アウトプット軸22および出力ギヤ25が回転する。出力ギヤ25は、デファレンシャルギヤ5(デファレンシャルギヤ5の入力ギヤ)と噛合している。出力ギヤ25が回転すると、デファレンシャルギヤ5から左右に延びるドライブシャフト6L,6Rが回転して、駆動輪7L,7Rが回転することにより、車両1が前進する。
シフトレバーがRポジションに位置する状態では、ブレーキB1が解放されて、クラッチC1が係合されることにより、CVT4の変速レンジの1つであるRレンジが構成される。Rレンジでは、エンジン2の動力がインプット軸21に入力されると、キャリヤ52およびサンギヤ53がインプット軸21と一体に回転する。そのため、サンギヤ53の回転は、リングギヤ54に回転方向が逆転されずに伝達される。これにより、リングギヤ54が回転し、ベルト伝達機構23のプライマリ軸31およびプライマリプーリ33がリングギヤ54と一体に回転する。プライマリプーリ33の回転は、ベルト35を介して、セカンダリプーリ34に伝達され、セカンダリプーリ34およびセカンダリ軸32を回転させる。そして、セカンダリ軸32と一体に、アウトプット軸22および出力ギヤ25が回転する。出力ギヤ25が回転すると、デファレンシャルギヤ5から左右に延びるドライブシャフト6L,6Rが回転して、駆動輪7L,7Rが回転することにより、車両1が後進する。
<車両の制御系>
図2は、車両1の制御系の構成を示すブロック図である。
車両1には、マイコン(マイクロコントローラユニット)を含む構成のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が備えられている。マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。図2には、トルクコンバータ3およびCVT4を制御するための1つのECU101のみが示されているが、車両1には、各部を制御するため、ECU101と同様の構成を有する複数のECUが搭載されている。ECU101を含む複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。また、ECU101には、制御に必要なセンサ、たとえば、プライマリプーリ33の可動シーブ42およびセカンダリプーリ34の可動シーブ47に供給される油圧(実圧)をそれぞれ検出する圧力センサ102が接続されている。
ECU101は、CVT4の変速比を制御する変速制御のため、シーブ変速コントローラとして機能する。言い換えれば、ECU101は、CVT4の変速比を制御するシーブ変速コントローラとしての機能を有している。
この機能による変速制御では、まず、変速線図に基づいて、アクセル開度および車速に応じた目標回転数が設定される。変速線図は、アクセル開度および車速と目標回転数との関係を定めたマップであり、たとえば、ECU101の不揮発性メモリに格納されている。アクセル開度および車速の情報は、たとえば、エンジン2を制御するエンジンECUからECU101に送信される。目標回転数が設定されると、インプット軸21に入力される回転数を目標回転数に一致させる変速比の目標が設定される。
次に、変速比目標と実際の変速比である実変速比との偏差Eが求められ、その偏差Eに応じたプライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34の各制御圧が設定される。そして、それらの制御圧がプライマリプーリ33の可動シーブ42およびセカンダリプーリ34の可動シーブ46に作用するように、トルクコンバータ3およびCVT4の各部に油圧を供給するための油圧回路111に含まれるバルブが制御される。
実変速比は、たとえば、プライマリプーリ33の回転数をセカンダリプーリ34の回転数で除することにより求められる。プライマリプーリ33の回転数は、プライマリ軸31の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力するプライマリ回転センサの検出信号から算出される。また、セカンダリプーリ34の回転数は、セカンダリ軸32の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力するセカンダリ回転センサの検出信号から算出される。
<シーブ変速コントローラ>
図3は、シーブ変速コントローラの構成を示すブロック図である。
シーブ変速コントローラは、変速比目標と実変速比との偏差(制御偏差)Eを求める偏差演算部121と、P(Proportional)ゲインKpでのP動作(比例動作)により偏差Eに応じたP制御値を出力するP制御部122と、I(Integral)ゲインKiでのI動作(積分動作)により偏差Eに応じたI制御値を出力するI制御部123と、D(differential)ゲインKdでのD動作(微分動作)により偏差Eに応じたD制御値を出力するD制御部124と、P制御値、I制御値およびD制御値の加算値を制御圧として出力する制御圧出力部125と、制御圧出力部125が出力する制御圧の上限を制限して、その上限が制限されたガード制御圧を出力する上限制限部126と、上限制限部126による制限に使用される制御圧上限ガード量を設定する上限ガード量設定部127とを実質的に備えている。
さらに、シーブ変速コントローラは、制御圧出力部125が出力する制御圧から上限制限部126が出力するガード制御圧を減算し、その減算値をワインドアップ量として出力するワインドアップ量演算部128と、ワインドアップ量演算部128が出力するワインドアップ量を所定のワインドアップゲインで増幅する増幅部129とを実質的に備えている。そして、I制御部123では、偏差EにIゲインKiを乗じた乗算値と増幅部129が出力するワインドアップ量の増幅値との偏差を積分演算することにより、I制御値が算出される。
<上限ガード量設定部>
図4は、上限ガード量設定部127の構成を示すブロック図である。
上限ガード量設定部127は、圧力センサ102によって検出される実圧から油圧回路111の元圧を推定してその推定値(元圧推定値)を出力する元圧推定部131と、実変速比の変化量からプライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34の各ピストン室(油室)44,48の容積変化量に応じた制限値を算出する制限値算出部132と、油圧回路111の元圧を発生させるオイルポンプ8のポンプ軸回転数から制限値算出部132が算出する制限値を減算して、その減算値を出力する減算部133と、プライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34(可動シーブ42,46)に供給される作動油の油温および減算部133が出力する減算値からオイルポンプ8の吐出可能圧を推定して出力するポンプ吐出可能圧推定部134と、元圧推定部131が出力する元圧推定値とポンプ吐出可能圧推定部134が推定する吐出可能圧との最小値を選択して出力する最小値選択部135と、ワインドアップ量演算部128(図3参照)が出力するワインドアップ量と0とを比較して、ワインドアップ量が0よりも大きい値であるか否かを判定するワインドアップ判定部136と、ワインドアップ判定部136の判定結果に応じて、ポンプ吐出可能圧推定部134が出力する吐出可能圧と最小値選択部135が出力する最小値との一方を選択して、上限ガード量として出力する選択出力部137とを実質的に備えている。
外乱などによる元圧の低下により、可動シーブ42,46に供給される油圧(実圧)が制御圧に追従しない場合、圧力センサ102によって検出される実圧が低下する。したがって、元圧推定部131では、圧力センサ102によって検出される油圧から元圧を推定することができる。
制限値算出部132では、プライマリプーリ33のピストン室44への作動油の流入量であるフルード流入量dQpri/dtが次式(1)に従って算出される。
Figure 0007066261000001
ただし、Apri:プライマリプーリ33の可動シーブ42の受圧面積
dPpri/dt:プライマリプーリ33の可動シーブ42の移動速度
可動シーブ42の位置は、プライマリプーリ33とセカンダリプーリ34との回転数比、つまり変速比に対応するので、可動シーブ42の移動速度dPpri/dtは、プライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34の各回転数から算出することができる。
そして、そのフルード流入量dQpri/dtを発生させるために必要なポンプ回転数dNpri/dtが次式(2)に従って算出される。
Figure 0007066261000002
ただし、Qpump:オイルポンプ8の単位回転数あたりの吐出能力
また、制限値算出部132では、セカンダリプーリ34のピストン室48への作動油の流入量であるフルード流入量dQsec/dtが次式(3)に従って算出される。
Figure 0007066261000003
ただし、Asec:セカンダリプーリ34の可動シーブ46の受圧面積
dPsec/dt:セカンダリプーリ34の可動シーブ46の移動速度
可動シーブ46の位置は、プライマリプーリ33とセカンダリプーリ34との回転数比、つまり変速比に対応するので、可動シーブ46の移動速度dPsec/dtは、プライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34の各回転数から算出することができる。
そして、そのフルード流入量dQsec/dtを発生させるために必要なポンプ回転数dNsec/dtが次式(2)に従って算出される。
Figure 0007066261000004
よって、次に説明する変速制御により可動シーブ42,46に供給される油圧が変更される際に必要となるポンプ軸回転数(ポンプ回転数)dN/dtは、次式(5)に示されるように、プライマリプーリ33の可動シーブ42の移動による容積変化に必要なポンプ回転数dNpri/dtと、セカンダリプーリ34の可動シーブ46の移動による容積変化に必要なポンプ回転数dNsec/dtとの加算値となる。
Figure 0007066261000005
そして、そのポンプ軸回転数dN/dtがプライマリプーリ33およびセカンダリプーリ34の容積変化分に応じた制限値とされて、ポンプ吐出可能圧推定部134では、オイルポンプ8のポンプ軸回転数から当該制限値を減算した値に基づいてオイルポンプ8の吐出可能圧が推定されることにより、オイルポンプ8の吐出可能圧を精度よく推定することができる。なお、上記式(1)および式(3)から理解されるように、作動油が流出する側の容積変化は、オイルポンプ8の能力に影響を与えないので、制限値(ポンプ軸回転数dN/dt)に考慮されない。
<変速制御>
図5は、シーブ変速コントローラにより実行される処理の流れを示すフローチャートである。
変速制御のため、シーブ変更コントローラとして機能するECU101により、所定の制御周期ごとに、図5に示される処理が実行される。
この処理では、まず、PゲインKpでのP動作によるP制御値、IゲインKiでのI動作によるI制御値およびDゲインKdでのD動作によるD制御値が設定されて、それらのP制御値、I制御値およびD制御値の加算により制御圧が算出される(ステップS1)。
次に、ワインドアップ判定部136による判定、つまり現在の制御周期の1周期前の制御時に算出されたワインドアップ量(前回ワインドアップ量)が0よりも大きい値であるか否かが判定される(ステップS2)。
前回ワインドアップ量が0よりも大きい場合には(ステップS2のYES)、上限ガード量設定部127により、上限ガード量が最小値選択部135が出力する最小値、すなわち、元圧推定部131により推定される元圧の値である元圧推定値とポンプ吐出可能圧推定部134により推定される吐出可能圧との小さい方の値に決定される(ステップS3)。前回ワインドアップ量が0よりも大きい場合は、現在の制御周期の1周期前の制御時に算出された制御圧が上限ガード量を超えている場合であり、制御圧が飽和している状態である。
一方、前回ワインドアップ量が0以下である場合は(ステップS2のNO)、現在の制御周期の1周期前の制御時に算出された制御圧が上限ガード量を超えていない場合であり、制御圧が飽和していない状態である。この場合、上限ガード量設定部127により、上限ガード量がポンプ吐出可能圧推定部134により推定される吐出可能圧に設定される(ステップS4)。
上限ガード量の設定後、上限制限部126により、その設定された上限ガード量と制御圧出力部125が出力する制御圧とが比較されて、それらのうちの小さい方の値がガード制御圧として出力される(ステップS5)。
その後は、次の制御周期における処理で使用するため、ワインドアップ量演算部128により、ワインドアップ量が算出される(ステップS6)。
そして、そのワインドアップ量演算部128が出力するワインドアップ量がI動作にフィードバックされて(ステップS7)、一連の処理が終了される。
<作用効果>
以上のように、CVT4の変速比の目標と実変速比との偏差Eに応じた制御圧が設定される。この制御圧の油圧がプライマリプーリ33の可動シーブ42およびセカンダリプーリ34の可動シーブ46に供給されることにより、実変速比を変速比の目標に近づけることができる。
油圧回路111の元圧を発生させるオイルポンプ8の能力に限界があるため、制御圧には上限がある。制御圧がその上限を超えて設定されると、変速比の目標と実変速比との偏差Eが縮まらず、偏差EにIゲインKiを乗じた乗算値がI動作によるI制御値の算出、つまり積分演算に用いられると、偏差Eが累積して増大する。
そこで、油圧回路111に発生する元圧および油圧回路111に元圧を発生させるオイルポンプ8の吐出可能圧が推定され、制御圧の上限が元圧推定値または吐出可能圧に制限される。そのため、元圧推定値または吐出可能圧が小さいほど、その元圧推定値または吐出可能圧による制限後の制御圧であるガード制御圧が小さい値に制限される。そして、制御圧とガード制御圧との差が大きいほど、制御圧からガード制御圧を減算して得られるワインドアップ量が大きな値となり、偏差EにIゲインKiを乗じた乗算値と増幅部129が出力するワインドアップ量の増幅値との偏差の積分演算により算出されるI制御値が小さな値となる。これにより、図6に示される実線と破線および二点鎖線とを比較して理解されるように、ワインドアップ量がI制御値を算出するI動作にフィードバックされない構成(アンチワインドアップなし)および制御圧から固定の上限量を減算して得られるワインドアップ量がI動作にフィードバックされる構成と比較して、前述のシーブ変速コントローラの構成では、I制御値を小さな値に抑えることができる。その結果、制御圧の制限を強めることができ、変速比の目標と実変速比との偏差Eの累積を抑制できる、よって、変速制御の追従性の向上を図ることができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、CVT4を制御するECU101を取り上げた。しかしながら、ECU101の制御の対象となる変速機は、CVT4に限らず、動力分割式無段変速機であってもよい。動力分割式無段変速機は、たとえば、変速比の変更により動力を無段階に変速するベルト式の無段変速機構を備え、インプット軸とアウトプット軸との間で動力を2つの経路に分岐して伝達可能な変速機である。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
4:CVT(変速機)
8:オイルポンプ
33:プライマリプーリ(プーリ)
35:ベルト
41:固定シーブ
42:可動シーブ
101:ECU(制御装置)
102:圧力センサ(油圧検出手段)
111:油圧回路
121:偏差演算部(制御圧設定手段)
122:P制御部(制御圧設定手段)
123:I制御部(制御圧設定手段)
124:D制御部(制御圧設定手段)
125:制御圧出力部(制御圧設定手段)
126:上限制限部(制御圧制限手段)
131:元圧推定部(元圧推定手段)

Claims (2)

  1. 固定シーブおよび油圧回路から供給される油圧により前記固定シーブとの間隔が変更される可動シーブを備えるプーリに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有する変速機の制御装置であって、
    前記可動シーブの位置を制御するための油圧であって、積分演算により前記変速機の変速比の目標と実際の変速比との偏差に応じたI制御値を含む制御圧を設定する制御圧設定手段と、
    オイルポンプの吐出圧により前記油圧回路に発生する元圧に基づいて、制御圧上限ガード量を設定し、前記制御圧上限ガード量で前記制御圧設定手段により設定される前記制御圧を制限する制御圧制限手段と、
    前記制御圧設定手段により設定される前記制御圧から前記制御圧制限手段により上限が制限された制御圧であるガード制御圧を減算し、その減算値をワインドアップ量として出力するワインドアップ量演算手段とを含み、
    前記制御圧設定手段は、前記偏差にIゲインを乗じた乗算値と前記ワインドアップ量演算手段が出力する前記ワインドアップ量の増幅値との偏差を積分演算することにより、前記I制御値を算出する、制御装置。
  2. 前記可動シーブに供給される油圧を検出する油圧検出手段と、
    前記油圧検出手段により検出される油圧から前記元圧を推定する元圧推定手段とをさらに含み、
    前記制御圧制限手段は、前記元圧推定手段により推定される前記元圧に基づいて、前記制御圧設定手段により設定される前記制御圧を制限する、請求項1に記載の制御装置。
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