JP7068613B2 - レドックスフロー電池セル及びレドックスフロー電池 - Google Patents
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Description
電解液が供給される電極と、前記電極が配置される双極板とを備えるレドックスフロー電池セルであって、
前記双極板は、前記電極側の面に電解液が流通する少なくとも1つの溝部を有し、
前記電極は、炭素繊維を含む炭素繊維集合体で形成され、前記双極板側に押圧されて前記溝部内に埋没する埋没部を有し、
前記埋没部の埋没量が0.2mm以上1.4mm以下である。
上記本開示のレドックスフロー電池セルを備える。
レドックスフロー電池の更なる電池性能の向上が望まれている。
本開示によれば、電解液の圧力損失を低減できながら、電極の反応抵抗を低減できるレドックスフロー電池セルを提供できる。また、本開示によれば、電池性能に優れるレドックスフロー電池を提供できる。
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
電解液が供給される電極と、前記電極が配置される双極板とを備えるレドックスフロー電池セルであって、
前記双極板は、前記電極側の面に電解液が流通する少なくとも1つの溝部を有し、
前記電極は、炭素繊維を含む炭素繊維集合体で形成され、前記双極板側に押圧されて前記溝部内に埋没する埋没部を有し、
前記埋没部の埋没量が0.2mm以上1.4mm以下である。
上記(1)から(8)のいずれか1つに記載のレドックスフロー電池セルを備える。
本開示の実施形態に係るレドックスフロー電池セル(以下、単に「セル」と呼ぶ場合がある)、及びレドックスフロー電池(RF電池)の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一又は相当部分を示す。なお、本願発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1~図5を参照して、実施形態に係るRF電池1、及びRF電池1に備えるセル10の一例を説明する。図1、図2に示すRF電池1は、正極電解液及び負極電解液として、酸化還元により価数が変化する金属イオンを活物質として含有する電解液を使用する。RF電池1は、正極電解液に含まれるイオンの酸化還元電位と、負極電解液に含まれるイオンの酸化還元電位との差を利用して充放電を行う。ここでは、RF電池1の一例として、正極電解液及び負極電解液にバナジウム(V)イオンを含有するバナジウム電解液を使用したバナジウム系RF電池を示す。図1中のセル10内の実線矢印は充電反応を、破線矢印は放電反応をそれぞれ示している。RF電池1は、交流/直流変換器80を介して電力系統90に接続されている。RF電池1は、例えば、負荷平準化用途、瞬低補償や非常用電源などの用途、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギー発電の出力平滑化用途に利用される。
セル10は、図1に示すように、正極電極14と、負極電極15と、両電極104、105間に介在される隔膜11とを有する。セル10の構造は、隔膜11を挟んで正極セル12と負極セル13とに分離され、正極セル12に正極電極14、負極セル13に負極電極15が内蔵されている。
セル10は、単数のセル10を備える単セルで構成されていてもよいし、複数のセル10を備える多セルで構成されていてもよい。セル10は通常、図2に示すような、セル10を複数積層して備えるセルスタック2と呼ばれる形態で利用される。セルスタック2は、図3Aに示すように、サブスタック200をその両側から2枚のエンドプレート220で挟み込み、両側のエンドプレート220を締付機構230で締め付けることで構成されている。図3Aでは、複数のサブスタック200を備えるセルスタック2を例示している。サブスタック200は、セルフレーム3、正極電極14、隔膜11、負極電極15の順に複数積層され(図3B参照)、その積層体の両端に給排板210(図3A参照、図2では図示略)が配置された構造である。給排板210には、各循環流路100P、100N(図1、図2参照)の往路配管108、109及び復路配管110、111が接続される。
セルフレーム3は、図3Bに示すように、正極電極14と負極電極15との間に配置される双極板31と、双極板31の周囲に設けられる枠体32とを有する(図4も参照)。双極板31の一面側には、正極電極14が接触するように配置される。双極板31の他面側には、負極電極15が接触するように配置される。枠体32の内側には、双極板31が設けられ、双極板31と枠体32により凹部32oが形成される。凹部32oは、双極板31の両側にそれぞれ形成され、各凹部32o内に正極電極14及び負極電極15が双極板31を挟んで収納される。各凹部32oは、正極セル12及び負極セル13(図1参照)の各セル空間を形成する。
双極板31は、図4に示すように、電極側の面に電解液が流通する複数の溝部400を有する流路40が形成された溝付き双極板である。図4では、分かり易くするため、流路40(溝部400)が形成されていない部分にハッチングを付している。図4に示す双極板31の一面側(紙面表側)は、正極電極14(図3B参照、図4では図示略)に対向する面である。双極板31の他面側(紙面裏側)は、負極電極15(図3B参照、図4では図示略)に対向する面である。また、図4に示す双極板31において、給液スリット33sにつながる下側の縁部が正極電解液の供給側である。双極板31において、排液スリット35sにつながる上側の縁部が正極電解液の排出側である。図4中、紙面左側の太線矢印は、電解液の全体的な電解液の流通方向を示す。
実施形態に係るセル10の特徴部分の1つである電極の埋没部について、主に図5を参照して説明する。図5は、双極板31の表面に直交する厚み方向断面であって、溝部400の長さ方向(電解液の流通方向)に直交する断面を示している。図5では、セル10を構成する正極電極14側の部分のみ図示し、負極電極15側は、正極電極14側と同様であるので図示を省略する。双極板31の電極側の面に溝部400を有する場合、セル10を構成したとき、セル10内で電極14が双極板31側に押圧されて圧縮変形する。そのため、図5に示すように、電極14の一部が溝部400内に埋没した状態になる。実施形態に係るセル10の特徴の一つは、電極14が双極板31の溝部400内に埋没する埋没部16を有し、埋没部16の埋没量(図5中、bで表される溝部400の開口から埋没部16の先端までの最大長さ)が0.2mm以上1.4mm以下である点にある。なお、図5では、説明の便宜上、埋没部16の状態を誇張して模式的に図示している。
埋没部16の埋没量を上記範囲内に制御することで、電極14の反応抵抗を低減できる。この理由は次のように推測される。埋没部16の埋没量が小さ過ぎる場合、溝部400上に位置する部分(埋没部16の上側の溝部400に埋没しない部位)の繊維密度が大きくなり過ぎ、この非埋没部(図5中、クロスハッチングで示す部分)を通る電解液の流れに乱流が生じ易くなる。そのため、電極14内を通る電解液の乱流を抑制する整流効果が損なわれ、電解液の流量に依存する反応抵抗(流量依存抵抗)が増大する虞がある。一方、埋没部16の埋没量が大き過ぎる場合は、溝部400上に位置する部分(非埋没部)の繊維密度が小さくなり過ぎ、電極14と隔膜11との界面における電荷移動がスムーズに行われ難くなる。これにより、電荷移動に起因する反応抵抗(電荷移動抵抗)が増大する虞がある。ここで、電極14のうち、溝部400上に位置せず、双極板31の表面に接する部分でも、乱流が生じる可能性があるが、溝部400上に位置する部分で生じる乱流の方が電極14の反応抵抗への影響が顕著である。
更に、溝部400の断面積に対する埋没部16の断面積の比率(埋没比)が0.4%以上75%以下であることが好ましい。これにより、電極の反応抵抗を効果的に低減できる上、セル10内を流れる電解液の温度変化のばらつきをより低減し易い。埋没比は、更に5%以上40%以下、10%以上30%以下であることが挙げられる。ここで、溝部400及び埋没部16の断面積は、双極板31の表面に直交する厚み方向断面であって、溝部400の長さ方向(電解液の流通方向)に直交する断面(図5に示す断面)における断面積をいう。
電極14は、炭素繊維集合体で形成されている。炭素繊維集合体の電極14は多孔質であり、電極14内に空隙を有している。そのため、電極14内に電解液が流通し、電解液を浸透・拡散させることができる。よって、電解液との反応面積が増え、反応場を確保し易い。炭素繊維集合体としては、代表的には、カーボンフェルト又はカーボンクロスが挙げられる。カーボンフェルト又はカーボンクロスは、適度な柔軟性を有しており、変形し易い。よって、カーボンフェルト又はカーボンクロスを電極材料に用いた場合、埋没部16が形成され易い。特に、カーボンフェルトは、炭素繊維がランダムに配向しているため、電極14内の隅々まで電解液を拡散させ易いなどの利点がある。炭素繊維としては、代表的には、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維が挙げられる。
電極14の厚みは、例えば0.3mm以上1.5mm以下である。これにより、埋没部16の埋没量を上記範囲内に制御し易い。また、電極14の厚みが0.3mm以上の場合、電解液との反応面積(反応場)を十分に確保し易い。電極14の厚みが1.5mm以下の場合、電極14内全体に電解液を十分に浸透・拡散させ易い。電極14の厚みが1.5mm以下であれば、セル10の厚みを薄くできる。電極14の厚みは、更に0.5mm以上1.3mm以下であることが挙げられる。
電極14の圧縮率は、例えば60%以上95%以下である。電極14の圧縮率が60%以上であることで、電極14が変形してその一部が溝部400内に埋没し、埋没部16が形成され易い。電極14の圧縮率が60%以上の場合、電極14の単位体積あたりの反応面積が増え、電解液との反応効率が高くなる。電極14の圧縮率が95%以下であることで、電極14内の空隙を確保して、電解液の流通性を十分に確保し易い。よって、電解液の流通抵抗に起因するセル抵抗を低減できる。電極14の圧縮率が95%以下の場合、過度の変形による電極14の損傷を抑制できる。電極14の圧縮率は、更に70%以上90%以下であることが挙げられる。電極14の圧縮率は、例えば、電極14の厚みや、電極14を収納するセル空間(図3Bに示すセルフレーム3の凹部32o)の深さにより調整可能である。
電極14の空隙率は、例えば70%以上である。電極14の空隙率が70%以上であることで、電極14が変形し易く、埋没部16が形成され易い。また、電極14の空隙率が70%以上の場合、電解液の流通性を十分に確保し易く、電極14内に電解液を十分に浸透・拡散させ易い。電極14の空隙率の上限は、例えば95%以下である。これにより、繊維密度の低下による反応面積の減少や電極14の強度低下を抑制できる。電極14の空隙率は、更に80%以上90%以下であることが挙げられる。電極14の空隙率は、カーボンフェルト又はカーボンクロスの場合、炭素繊維の目付量(繊維密度)により調整可能である。
炭素繊維の平均繊維径は、例えば20μm以下である。炭素繊維の平均繊維径が20μm以下であることで、繊維が細く、可撓性を有する。よって、電極14が変形し易く、埋没部16が形成され易い。更に、繊維が可撓性を有することにより、繊維が隔膜11に突き刺さり難い。また、炭素繊維の平均繊維径が20μm以下の場合、電極14の単位体積あたりの反応面積が増え、電解液との反応効率が高くなる。炭素繊維の平均繊維径の下限は、例えば5μm以上、更に10μm以上である。これにより、電極14の強度低下を抑制できる。
炭素繊維のヤング率は、例えば20GPa以上200GPa以下である。炭素繊維のヤング率が20GPa以上であることで、繊維の曲げ剛性が高い。そのため、電極14を圧縮変形させたときに、電極14の損傷を抑制できる。炭素繊維のヤング率が200GPa以下であることで、電極14が変形し易く、埋没部16が形成され易い。また、炭素繊維のヤング率が200GPa以下の場合、隔膜11への突き刺さりを抑制できる。炭素繊維のヤング率は、例えば、炭素繊維の種類や、原料となる有機繊維を炭素化する焼成条件(焼成温度など)により調整可能である。
実施形態に係るセル10は、双極板31の電極側の面に溝部400を有することで、セル10内を流れる電解液の流通抵抗を小さくして、セル10での電解液の圧力損失を低減できる。また、電極14が炭素繊維集合体で形成されていることで、電極14内に電解液が流通し、電解液を浸透・拡散させることができ、電極14と電解液との反応面積(反応場)を確保し易い。更に、双極板31の溝部400に埋没する電極14の埋没部16の埋没量が0.2mm以上1.4mm以下であることで、流量依存抵抗及び電荷移動抵抗の増加を抑制でき、電極14の反応抵抗を低減できる。したがって、セル10は、電解液の圧力損失を低減できながら、電極14の反応抵抗を低減できる。
上述した実施形態で説明したセルを作製し、これを用いてRF電池を組み立て、その評価を行った。
各試料の単セルを用いて単セルのRF電池を組み立て、各電池について常温(25℃)で充放電試験を行った。正負の各電解液には、硫酸バナジウム水溶液(バナジウム濃度:1.7mol/L)を用いた。充放電試験は、電流密度90mA/cm2の定電流で行い、予め設定した所定の切り替え電圧に達したら、充電と放電とを切り替え、複数サイクルの充放電を行った。そして、複数サイクルのうち、任意の1サイクルにおける平均電圧及び平均電流を求め、セル抵抗を求めた。セル抵抗は、平均電圧を平均電流で割った抵抗値に電極面積を掛けることにより算出するものとする。
各試料の単セル電池で求めたセル抵抗から電極の反応抵抗を求めた。反応抵抗は、セル抵抗から導電抵抗を差し引いた抵抗とし、下記の式により算出するものとする。導電抵抗はバッテリーハイテスタで測定して求めた。各試料における反応抵抗を表1に示す。
反応抵抗(Ω・cm2)=セル抵抗(Ω・cm2)-導電抵抗(Ω・cm2)
また、各電池のセルの入口側と出口側にそれぞれ温度計を取り付け、上記充放電試験において、セルに供給される電解液の温度とセルから排出される電解液の温度を測定した。そして、1サイクル目におけるセルに供給される電解液の最低温度とセルから排出される電解液の最高温度との差(以下、「液温差」という)を求めた。各試料における液温差を表1に示す。
充放電試験後、各試料の単セルを厚み方向に切断した断面を光学顕微鏡で観察し、各試料における埋没部の埋没量及び埋没比を測定した。ここでは、1試料につき、10箇所の埋没部の埋没量及び埋没比をそれぞれ測定し、それぞれの平均値を求めた。各試料における埋没部の埋没量及び埋没比を表1に示す。また、単セルを厚み方向に切断した断面から電極の圧縮状態の厚みを測定した。
充放電試験後、各試料の単セルから電極を取り出し、電極を洗浄した後、乾燥した。その後、各試料における電極の非圧縮状態(自然状態)の厚みを測定した。電極の圧縮状態の厚み及び非圧縮状態の厚みから電極の圧縮率を算出して求めた。また、電極の真の体積及び見かけの体積を計測し、電極の空隙率を算出して求めた。各試料における電極の厚み・圧縮率・空隙率を表1に示す。
充放電試験後、各試料の単セルから取り出した電極の断面をSEMで観察し、画像解析により10本の炭素繊維の繊維径(等面積円相当径)を計測して、その平均値を算出することで、炭素繊維の平均繊維径を求めた。また、電極から炭素繊維を抜き取り、引張試験を行うことで、炭素繊維のヤング率を測定した。各試料における電極を構成する炭素繊維の平均繊維径・ヤング率を表1に示す。
2 レドックスフロー電池セルスタック(セルスタック)
10 レドックスフロー電池セル(セル)
11 隔膜
12 正極セル 13 負極セル
14 正極電極 15 負極電極
16 埋没部
3 セルフレーム
31 双極板 32 枠体
32o 凹部
33、34 給液マニホールド 35、36 排液マニホールド
33s、34s 給液スリット 35s、36s 排液スリット
37 シール部材 38 シール溝
40 流路
41 導入路 42 排出路
400 溝部
410 導入側溝部 411 導入側整流溝部
420 排出側溝部 421 排出側整流溝部
100P 正極循環流路 100N 負極循環流路
106 正極電解液タンク 107 負極電解液タンク
108、109 往路配管 110、111 復路配管
112、113 ポンプ
200 サブスタック
210 給排板 220 エンドプレート 230 締付機構
80 交流/直流変換器 90 電力系統
Claims (9)
- 電解液が供給される電極と、前記電極が配置される双極板とを備えるレドックスフロー電池セルであって、
前記双極板は、前記電極側の面に電解液が流通する少なくとも1つの溝部を有し、
前記電極は、炭素繊維を含む炭素繊維集合体で形成され、前記双極板側に押圧されて前記溝部内に埋没する埋没部を有し、
前記埋没部の埋没量が0.2mm以上1.4mm以下であるレドックスフロー電池セル。 - 前記溝部の断面積に対する前記埋没部の断面積の比率が0.4%以上75%以下である請求項1に記載のレドックスフロー電池セル。
- 前記電極の厚みが0.3mm以上1.5mm以下である請求項1又は請求項2に記載のレドックスフロー電池セル。
- 前記電極の圧縮率が60%以上95%以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池セル。
- 前記電極の空隙率が70%以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池セル。
- 前記炭素繊維集合体がカーボンフェルト、カーボンクロス及びカーボンペーパーから選択される少なくとも一種である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池セル。
- 前記炭素繊維の平均繊維径が20μm以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池セル。
- 前記炭素繊維のヤング率が20GPa以上200GPa以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池セル。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池セルを備えるレドックスフロー電池。
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