JP7070182B2 - 水性再剥離粘着剤および粘着シート - Google Patents
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Description
このように、本発明の再剥離粘着剤は、粘着剤との反応に寄与しない親水性の原料である粒子型硬化剤の含有比率が低いため、貼り合わせ後の粘着力上昇を抑制でき、良好な再剥離性を得ることができた。さらに、硬化剤混合後の粘着剤の粘度変化を抑制でき、一液型でも安定に使用可能な粘着剤を得ることができた。
本発明の水性再剥離粘着剤は、アクリル系ポリマー粒子と、粒子型硬化剤とを含有し、前記アクリル系ポリマー粒子は、モノマー混合物および粘着付与樹脂の乳化重合物であり、前記モノマー混合物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびカルボキシル基含有モノマーを含有し、多官能モノマーを含有しない。
モノマー混合物と粘着付与樹脂を含有する混合物の乳化重合物であるアクリル系ポリマー粒子に、粒子型硬化剤と、必要に応じてアミノ基含有化合物、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、増粘剤等のその他添加剤を加えることで、水性再剥離粘着剤を得ることができる。
アクリル系ポリマー粒子と粒子型硬化剤を含む乳化重合物に、必要に応じてアミノ基含有化合物、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、増粘剤等のその他添加剤を加えることで、水性再剥離粘着剤を得ることができる。
水性再剥離粘着剤の40℃で90日間経過後の粘度変化率は、0%以上10%未満であることが好ましく、より好ましくは、0%以上5%未満である。粘度変化率が0%以上10%未満であることで保存安定性が良好となり、二液型粘着剤のように硬化剤混合後の粘着剤をその日に使い切る工程が不要となる。さらに、二液型粘着剤で通常行なっている、粘着剤の塗工前に硬化剤を混合する配合工程が不要となり、塗工時の作業性が良好となる。
粘度変化率(%)=[(40℃90日間後の粘度)/(初期粘度)-1]×100の絶対値
本発明におけるアクリル系ポリマー粒子は、少なくとも、アクリル系モノマーの混合物および粘着付与樹脂を乳化重合して得ることができる乳化重合物である。アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびカルボキシル基含有モノマーを含有し、多官能モノマーを含有しないモノマー混合物を用いる。
このモノマー混合物を、粘着付与樹脂の存在下で乳化重合することで、本発明のアクリル系ポリマー粒子が得られる。
また、アクリル系ポリマー粒子は、乳化重合後に、アミノ基含有化合物を加えることが好ましい。アミノ基含有化合物を加えることで、硬化剤混合後の粘着剤の保存安定性がより良好で、貼り合せ経時後の粘着力上昇抑制、再剥離性がより良好な粘着シートが得られるために好ましい。
乳化重合する際において、その他に消泡剤、レベリング剤、溶剤、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の各種樹脂を用いてもよい。
本発明のモノマー混合物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有モノマーを含有し、多官能モノマーを含有しない。
多官能モノマーは、重合可能な二重結合を2個以上有しているため重合時に架橋反応を起こす。そのため得られるアクリル系ポリマー粒子の架橋度が高くなり、得られる粘着シートの金属板等の被着体に貼り合わせ後の粘着力上昇を抑制できる一方、基材に対する密着性は低下する。そのため、粘着シートを金属板等の被着体に貼り合わせ後、被着体から引きはがした際に糊残りが発生する問題点が生じるためである。
ここで平均粒子径とは、動的光散乱型装置「Nanоtrack Wave(マイクロトラック・ベル(株)社製)」で測定した際の、累積50%粒子径の体積平均径である。
粘着付与樹脂は、アクリル樹脂に添加することで粘着性を発現させたり、粘着力性能を向上できる樹脂である。さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有モノマーを含有するモノマー混合物に添加して乳化重合を行なうと連鎖移動反応を引き起こすことができる。
分子量を調節するために、チオール基や水酸基を有する化合物のような連鎖移動剤を用いる場合では、アクリル系ポリマー粒子の凝集力が低くなり、被着体に貼り合わせた後の粘着力が上昇してしまう場合があるが、粘着付与樹脂を用いた場合には、連鎖移動効果が穏やかに進行するため、アクリル系ポリマー粒子の凝集力を低下させることなく、再剥離性に優れた粘着剤とすることができる。
粘着付与樹脂は、単独または2種類以上併用できる
乳化剤は、単独または2種類以上使用できる。
水溶性重合開始剤は、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2’-アゾビス(2-メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-〔1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル〕-プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド〕等が挙げられる。これらの中でも過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウムが好ましい。
数式1 ゲル分率(%)=(浸漬前の乾燥被膜重量-PETフィルムの重量)/(浸漬後の乾燥被膜重量-PETフィルムの重量)×100
本発明の水性再剥離粘着剤は、粒子型硬化剤を含む。粒子型硬化剤とは、形態が水分散型のエマルションであり、硬化剤の外観が不透明で硬化剤が平均粒子径を有するものである。
粒子型硬化剤を用いることにより、粒子型硬化剤の親水基部分が疎水性の硬化剤を保護することで乳化重合物中での粒子型硬化剤とアクリル系ポリマーのカルボキシル基の反応を抑制することができる。そのため、本発明の粘着剤は、エマルションを塗工、乾燥することで、粒子型硬化剤の粒子構造が崩壊して速やかに反応が進行する。粒子型硬化剤は架橋反応に関与しない親水性成分が少ないため架橋密度が高くなり、得られる粘着シートの経時後の粘着力上昇が低い、優れた再剥離粘着剤が得られる。
本発明の水性再剥離粘着剤は、さらにアミノ基含有化合物を含むことができる。アミノ基含有化合物を用いることで、得られた粘着シートの平滑性が向上するため、貼り合わせ経過後の粘着力を抑制でき、再剥離性に優れたものとすることができる。さらに、水性再剥離粘着剤を配合する際、粒子型硬化剤と、アクリル系ポリマー粒子のカルボキシル基との硬化反応を抑制でき、水性再剥離粘着剤の粘度上昇を抑制し、粘度の変化を抑えることができるために好ましい。
これらの中でも、2級アミン、または3級アミンが、立体的な傘高い構造のため、アクリル系ポリマー粒子のカルボキシル基との硬化反応の抑制効果がより大きいことから好ましい。
本発明のアクリル系ポリマー粒子は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有モノマーを含有するモノマー混合物、粘着付与樹脂、水、乳化剤からなる乳化物の存在下に開始剤を用いて乳化重合させ、アクリル系ポリマー粒子とすることができる。ここでの乳化物は、乳化重合前のモノマー混合物、粘着付与樹脂、水、乳化剤のことであり、乳化物を乳化重合することで、乳化重合物が得られる。
粘着付与樹脂はモノマー混合物に溶解させて使用するため、乳化重合後、粘着付与樹脂からなる粒子とアクリル系ポリマー粒子が分離して存在せずに、粘着付与樹脂がアクリル系ポリマー粒子内に一体となって組み込むことができる。
得られたアクリル系ポリマー粒子にアミノ基含有化合物、粒子型硬化剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、増粘剤等のその他添加剤を加えることで、水性再剥離粘着剤を得ることができる。
本発明の再剥離粘着剤は、硬化剤混合後の保存安定性が良好であるため、一液型で用いられる水性再剥離粘着剤として、好適に使用することができる。
本発明の粘着シートは、基材と、水性再剥離粘着剤の硬化物である粘着剤層とを備える。
製造方法を例示すると(1)剥離性シートに水性再剥離粘着剤を塗工、乾燥することで粘着剤層を形成し、次いで基材上に粘着剤層を転写する方法。および(2)基材に水性再剥離粘着剤を塗工、乾燥することで粘着剤層を形成し、次いで剥離性シートを貼り合わせる方法。等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして2-エチルヘキシルアクリレート98.5部、カルボキシ基含有モノマーとしてアクリル酸1.5部に、粘着付与樹脂としてピコラスチックA-5(スチレン系樹脂、イーストマンケミカル社製)1.0部を添加し溶解した。さらにアニオン系反応性乳化剤として「アクアロンKH-10」(ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩 第一工業製薬社製)1.0部、および脱イオン水25.1部を加えて攪拌し乳化物を得た。得られた乳化物を滴下ロートに入れた。
別途、撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、脱イオン水を45.6部、上記乳化物のうちの1.0部を仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を70℃まで加熱した。その後濃度10%過硫酸アンモニウムを添加して、反応を開始した。内温を70℃に保持したまま、上記乳化物を180分かけて滴下した後に、さらに撹拌しながら内温を70℃に保持したまま1時間反応を継続した。その後内温を65℃に冷却し、酸化剤の「パーブチルH-69」(日本油脂社製)の濃度10%水溶液1.0部、還元剤の「エルビットN」(扶桑化学工業社製)の濃度10%水溶液1.0部をそれぞれ10分おきに3回添加し、さらに1時間反応を継続した。
その後、冷却し、不揮発分濃度50%、平均粒子径300nmのアクリル系ポリマー粒子である乳化重合物を得た。尚、このアクリル系ポリマー粒子のゲル分率は40%であった。
得られた水性再剥離粘着剤を乾燥後の厚さが20μmになるようにコンマコーターを使用して剥離性シート上に塗工し、100℃の乾燥オーブンで75秒間乾燥した後、市販のPETフィルムを貼り合わせて粘着シートを得た。
後述する試験方法で性能を評価し、その結果を表1に示した。
実施例1の配合を表1の原料および配合量(重量部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、水性再剥離粘着剤および粘着シートを得た。
また、乳化重合時の内温、滴下速度、反応時間等を適宜調整することにより、それぞれ表に示す平均粒子径のアクリル系粒子ポリマー粒子を得た。
・EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
・BA:アクリル酸ブチル
・MMA:メタクリル酸メチル
・AA:アクリル酸
・MAA:メタクリル酸
・TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
・A-5:「ピコラスチックA-5」(スチレン系樹脂、イーストマンケミカル社製)
・KE364C:「KE364C」(ロジン系樹脂、荒川化学社製)
・OTG:チオグリコール酸オクチル
・KH-10:「アクアロンKH-10」(アニオン系反応性乳化剤、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩 不揮発分100%、第一工業製薬社製)
・RA9612:「ニューコールRA9612」(アニオン系非反応性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩 不揮発分25% 日本乳化剤社製)
・E-05:「カルボジライトE-05(カルボジイミド系粒子型硬化剤、粒子径45nm、不揮発分40%、日清紡ケミカル社製)」
・K-2010E:「エポクロスK-2010E」(オキサゾリン系粒子型硬化剤、粒子径208nm、不揮発分100%、日本触媒社製)
・DZ-22E:「ケミタイトDZ-22E」(アジリジン系粒子型硬化剤、粒子径700nm、揮発分100%、日本触媒社製)
・SV-02:「カルボジライトSV-02(カルボジイミド系溶液型硬化剤、不揮発分40%、日清紡ケミカル社製)」
・EX-313:「デナコールEX-313」(エポキシ系溶液型硬化剤、不揮発分100%、ナガセケムテックス社製)
・PZ-33:「ケミタイトPZ-33」(アジリジン系溶液型硬化剤、揮発分100%、日本触媒社製)
・TEN:トリエチルアミン
・TEA:トリエタノールアミン
・DEA:ジエチルアミン
・PA:モノプロピルアミン
(1)常温粘着力
得られた粘着シートを23℃50%RH環境下にて長さ100mm×幅25mmの大きさに準備し試料とした。次いで、JIS Z 0237に準拠して、試料から剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層を表面を研磨したステンレス鋼板(以下、SUSという)に貼付け、2kgロールを1往復して、24時間直後の粘着力を測定した。なお粘着力の測定は引張試験機を用いて、剥離速度:300mm/分、剥離角180゜で行った。
得られた粘着シートを23℃50%RH環境下にて長さ100mm×幅25mmの大きさに準備し試料とした。次いで、試料から剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層を表面を研磨したステンレス鋼板(以下、SUSという)に貼付け、2kgロールを1往復して、圧着後に試料を40℃雰囲気下のオーブンで7日間放置後、オーブンから取り出して2時間後、23℃50%RH雰囲気下で粘着力を測定した。なお粘着力の測定は引張試験機を用いて、剥離速度:300mm/分、剥離角180゜で行った。また、下記の式より粘着力の上昇率を算出した。
粘着力維持率(%)=[(高温粘着力)/(常温粘着力)-1]×100
粘着力維持率の判定は、下記の基準で評価した。
◎:粘着力維持率50%以下。非常に良好。
○:粘着力維持率50%以上100%未満。良好。
△:粘着力維持率100%以上、200%未満。実用可。
×:粘着力維持率200%%以上。実用不可。
得られた粘着シートを23℃50%RH環境下にて長さ100mm×幅25mmの大きさに準備し試料とした。次いで、試料の剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層をSUSに貼付け、2kgロールで1往復して圧着した。圧着後の試料を40℃雰囲気下のオーブンで7日間放置後、オーブンから取り出して2時間後、23℃50%RH雰囲気下で、引張試験機を用いて、試料をSUSから300mm/分の速さで180゜方向に剥離して、SUS表面に粘着剤層に由来する汚染が付着しているか否かを目視により下記の基準で評価した。
◎:SUS表面がきれいだった。非常に良好。
○:SUS表面にわずかに汚染が付着していたが、良好。
△:SUS表面に汚染の付着がやや多かったが、実用上問題ない。
×:SUS表面に汚染の付着が非常に多かった。実用不可。
得られた粘着シートから剥離性シートを剥がし、PETフィルムを貼り合せ、40℃のイオン交換水に24時間浸漬した。浸漬前後の濁度をヘイズメーター(NDH5000W、日本電色工業社製)で測定した。
◎:浸漬前後の濁度変化が0.5未満。非常に良好。
○:浸漬前後の濁度変化が0.5以上1.0未満。良好。
△:浸漬前後の濁度変化が1.0以上1.5未満。実用上問題ない。
×:浸漬前後の濁度変化が1.5以上。実用不可。
得られた水性再剥離粘着剤を40℃で90日間放置させ、放置前後の粘度をB型粘度計で測定した。また、下記の式より粘度変化率を算出した。
粘度変化率(%)=[(40℃90日間後の粘度)/(初期粘度)-1]×100の絶対値
粘度変化率の判定は、下記の基準で評価した。
◎:粘度上昇率0%以上5%未満。非常に良好。
○:粘度上昇率5%以上10%未満。良好。
△:粘度上昇率10%以上20%未満。実用可。
×:粘度上昇率20%以上。実用不可。
Claims (8)
- アクリル系ポリマー粒子と、粒子型硬化剤とを含有する水性再剥離粘着剤であって、前記アクリル系ポリマー粒子は、モノマー混合物および粘着付与樹脂の乳化重合物であり、前記粒子型硬化剤の平均粒子径は1~100nmであり、前記モノマー混合物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびカルボキシル基含有モノマーを含有し、多官能モノマーを含有しない、水性再剥離粘着剤。
- 前記アクリル系ポリマー粒子の平均粒子径は100~500nmである、請求項1記載の水性再剥離粘着剤。
- さらに、アミノ基含有化合物を有する、請求項1または2記載の水性再剥離粘着剤。
- 前記アミノ基含有化合物が、第2級アミンまたは第3級アミンである、請求項3記載の水性再剥離粘着剤。
- アミノ基含有化合物のアミノ基とアクリル系ポリマー粒子のカルボキシル基のモル比が0.1/1~5/1である、請求項3または4記載の水性再剥離粘着剤。
- 一液型で用いられる請求項1~5いずれか1項記載の水性再剥離粘着剤。
- 40℃で90日間経過後の粘度変化率が0%以上10%未満である、請求項1~6いずれか1項記載の水性再剥離粘着剤。
- 基材、および請求項1~7いずれか1項記載の水性再剥離粘着剤の硬化物である粘着剤層を備える、粘着シート。
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