しかし、特許文献1に記載の電動工具では、ファンからの冷却風が通過する風路を先端工具保持部を覆うカバーの内部に形成しているため、カバーの容積が風路の空間の分だけ大きくなる。カバーが大型化すると、狭い空間で作業する際に、カバーが作業箇所周囲の壁等に当接してしまい、作業性が損なわれる。またカバーが大型化するに伴い、ドライバ全体の重量が大きくなり、ユーザが電動工具を使用する際の操作性が低下する。
また、特許文献2に記載の電動工具では、排気口がギヤカバーの外壁に形成されているが、排気口はスピンドルの周囲の冷却ファンとは反対側の狭い領域に形成されているため、十分な冷却風をギヤカバーに対して吹き付けることができない。
そこで本発明は、先端工具保持部の大型化を回避しつつ冷却風を先端工具保持部に向けて排出できる電気機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、吸気孔が形成されたハウジングと、前記ハウジングに支持され、回転軸を有するモータと、前記モータより前方に位置し、前記回転軸の半径方向に関し前記回転軸から離間して延出し、前記モータの駆動力を受けて回転し、先端工具を取付け可能な出力軸を有する先端工具保持部と、前記モータの駆動力を受けて回転するファンと、を備え、前記ハウジングには、前記回転軸の周囲の位置で、かつ前記ハウジングの端部から前記回転軸の軸方向前方に突出する突出部の半径方向外側の位置に前記ハウジングの内外を連通する複数の排気孔が形成されている電気機器を提供する。
このような構成によれば、モータの駆動力を受けて回転するファンの回転によって吸気孔からハウジングの内部に外気を取り込み、ハウジングに形成された複数の排気孔から先端工具保持部の外側面に沿って、冷却風を排出することができる。また、排気孔はハウジングの内部と先端工具保持部の内部とを連通しておらず、先端工具保持部の外側面に冷却風を吹き付けて先端工具保持部を冷却するので、先端工具保持部の内部に冷却風通路を形成する必要がなく、先端工具保持部の大型化を回避しつつ先端工具保持部を冷却することができる。また、排気孔から排出された冷却風により先端工具周囲の粉塵を吹き飛ばすことができる。
上記課題を解決するために本発明は、吸気孔が形成されたハウジングと、前記ハウジングに支持され、回転軸を有するモータと、前記モータより前方に位置し、前記回転軸の半径方向に関し前記回転軸から離間して延出し、前記モータの駆動力を受けて回転し、先端工具を取付け可能な出力軸を有する先端工具保持部と、前記モータの駆動力を受けて回転するファンと、を備え、前記ハウジングは、前記回転軸の周囲の位置で、かつ前記ハウジングの端部から前記回転軸の軸方向前方に突出する突出部の半径方向外側の位置で前記ファンからの冷却風を前記先端工具保持部側に向くように排出する排気孔を有することを特徴とする電気機器を提供する。
このような構成によれば、先端工具保持部の外周面側に冷却風を吹き付けて先端工具保持部を冷却するので、先端工具保持部の内部に冷却風通路を形成する必要がなく、電気機器の大型化を回避しつつ先端工具保持部を冷却することができる。また、排気孔から排出された冷却風により先端工具周囲の粉塵を吹き飛ばすことができる。
上記構成の電気機器において、前記ハウジングは、前記排気孔が形成され、前記ファンからの冷却風を前記先端工具保持部の外周面に沿わせるように案内するように構成されているガイド部を有することが好ましい。
このような構成によれば、モータの駆動力を受けて回転するファンの回転によって吸気孔からハウジングの内部に外気を取り込み、ガイド部によってファンからの冷却風を先端工具保持部の外周面に沿わせることができる。よって、先端工具保持部の内部に冷却風通路を形成する必要がなく、電気機器の大型化を回避しつつ先端工具保持部を冷却することができる。また、排気孔から排出された冷却風により先端工具周囲の粉塵を吹き飛ばすことができる。
上記構成の電気機器において、前記ハウジングの前記端部の前記回転軸に直交する断面積は、前記突出部の前記出力軸に直交する断面積よりも大きいことが好ましい。
このような構成によれば、冷却風を確実に先端工具保持部の外周側に吹き付けることができる。
上記構成の電気機器では、前記複数の排気孔は、前記出力軸の軸方向に対して前記先端工具保持部に向かうようにそれぞれ傾斜して形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、冷却風をより確実に先端工具保持部の外周側に吹き付けることができる。
上記構成の電気機器では、前記複数の排気孔は、前記出力軸からの前記出力軸の半径方向の距離に応じて傾斜の角度が互いに異なっていることが好ましい。
このような構成によれば、冷却風を更に確実に先端工具保持部の外周側に吹き付けることができる。
上記構成の電気機器では、前記先端工具保持部は、前記出力軸の外周を覆い前記先端工具保持部の外周面を成すカバー部を有し、前記カバー部には、前記排気孔から排出された冷却風を前記カバー部の内部に取り入れる第2吸気孔と、前記出力軸の軸方向において前記第2吸気孔よりも前記排気孔から離間している第2排気孔とが形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、排気孔から排出された冷却風は、先端工具保持部のカバー部に形成された第2吸気孔からカバー部の内部に取り込まれ、先端工具保持部の内部を通過して第2排気孔から排出されることにより、先端工具保持部をより確実に冷却することができる。また、第2排気孔から排出された冷却風により先端工具周囲の粉塵をより確実に吹き飛ばすことができる。
上記構成の電気機器では、前記第2吸気孔は、前記出力軸の軸方向に対して前記第2排気孔に向かうように傾斜して形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、排気孔から排出された冷却風を、より確実に先端工具保持部のカバー部の内部に取り込み、第2排気孔に向かわせることができる。
上記構成の電気機器において、前記カバー部は、前記排気孔から排出された冷却風が前記第2吸気孔から前記カバー部の内部空間に取り込まれるように案内するカバーガイド部を有することが好ましい。
このような構成によれば、ハウジングから排出された冷却風をより確実に第2吸気孔に取り込むことができる。
上記構成の電気機器では、前記ハウジングは、前記回転軸の軸方向において前記ファンと前記排気孔の間に位置し前記回転軸に対して平行に延びる平板状の複数の整流板を有し、隣合う二つの前記整流板の間には整流風路が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、旋回成分を含むファンからの冷却風を隣合う二つの整流板の間の整流風路を通過させることによって、整流風路を通って排気孔に向かう冷却風を回転軸の軸線と平行な方向に向けることができる。これにより、排気孔から排出される冷却風を確実に先端工具保持部に向かわせることができる。
上記構成の電気機器において、前記ハウジングには、前記回転軸の軸方向において前記吸気孔と前記ファンの間の位置で、かつ前記回転軸の半径方向において前記モータの外周面と前記ハウジングの間の位置で冷却風が通過する風路が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、ハウジングの吸気孔から取り込まれた外気がモータの内部を通らないでファンに向かうような構成となるため、冷却風の温度の上昇を抑制できる。
上記構成の電気機器において、前記モータはブラシレスモータであることが好ましい。
このような構成によれば、従来のブラシ付きモータよりも小型化されたブラシレスモータを採用することで電気機器のサイズを小さくすることができる。
上記構成の電気機器において、前記排気孔は、前記突出部の周囲の位置で略U字状に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、冷却風による粉塵等の飛散を抑制することができる。
本発明の電気機器によれば、先端工具保持部の大型化を回避しつつ冷却風を先端工具保持部に向けて排出させることができる。
以下、本発明の実施の形態にかかる電気機器の一例であるねじ締機1について図1乃至図6を参照しながら説明する。図1はねじ締機1の内部構造を示す断面側面図であり、図2はねじ締機1の外観を示す図である。
図1に示されているように、ねじ締機1は、ハウジング2と、モータ3と、動力伝達部4と、ビットBを取付け可能なビット装着部6を有する先端工具保持部5と、冷却ファン7とを備えている。図1に示されている「上」を上方向、「下」を下方向、「前」を前方向、「後」を後方向と定義する。また、ねじ締機1を後から見た場合の「右」を右方向、「左」を左方向と定義する。ビットBは、本発明における「先端工具」の一例である。
ハウジング2は、ねじ締機1の外殻を成しており、ハンドルハウジング21と、モータハウジング22と、円筒部23と、ギヤハウジング24とを有している。
ハンドルハウジング21は、側面視略コ字形状に形成されており、作業時に作業者によって把持される上下方向に延びる把持部211と、把持部211の上部とモータハウジング22の後端部上部とを接続する第1接続部212と、把持部211の下部とモータハウジング22の後部下部とを接続する第2接続部213とを有している。また、ハンドルハウジング21は、トリガ21Aとを有している。トリガ21Aは、把持部211の前部上部に設けられている。また、ハンドルハウジング21の下部からは図示せぬ外部電源に接続される図示せぬ電源コードが延出している。
モータハウジング22は、前後方向に延びる略円筒形状を成しており、内部にモータ3と、冷却ファン7と、基板10とを収容している。また、モータハウジング22の後部には、複数の吸気孔8aが形成され、モータハウジング22の外壁とモータ3の外周面との間には、モータ外側通路11が形成されている。基板10には、FET等のモータ3を制御するための半導体素子が搭載されている。モータ外側通路11は本発明における「風路」の一例である。
円筒部23は前後方向に延びる略円筒形状を成しており、モータハウジング22の前端に接続されている。
ギヤハウジング24は、前後方向に延びる略円筒形状を成しており、円筒部23の前端に接続されている。ギヤハウジング24は前壁部241を有し、ギヤハウジング24の内部には、モータ3の回転軸31の前部と、動力伝達部4と、スプラインシャフト41の後部とが収容されている。ギヤハウジング24の外壁には、複数の排気孔8bが形成されている。前壁部241は、本発明における「端部」の一例である。
モータ3は、ブラシレスモータであり、前後方向に延びる回転軸31と、ロータ32と、ステータ33と、ピニオン34とを有している。回転軸31は、軸方向が前後方向に一致するようにモータハウジング22の内部に配置され、ロータ32の前後に突出しており、図示せぬベアリングを介してモータハウジング22に軸心X1に回転可能に支承されており、その前端部にはピニオン34が設けられている。ロータ32は、回転軸31に固定され、図示せぬ複数の永久磁石を有する。ステータ33は、図示せぬ複数のコイルを備え、ロータ32を囲むように配置されている。図1に示されている軸心X1は、モータ3の回転軸31の中心を通り前後方向に延びる仮想回転軸心である。
トリガ21Aは、モータ3の始動及び停止を制御するための手動操作可能なスイッチであり、トリガ21Aに対して引操作が行われることで、図示せぬ電源コードを介して、図示せぬ外部電源からのモータ3への電力が供給されるように構成されている。
動力伝達部4は、スプラインシャフト41と、クラッチドラム42とメタル軸受43と、多板摩擦クラッチ44とを有している。動力伝達部4は、先端工具保持部5の後部に位置し、モータ3からビット装着部6への動力伝達経路上に設けられ、回転軸31(モータ3)の回転力をビット装着部6に対して伝達するように構成されている。
スプラインシャフト41は、略円柱形状を成し前後方向に延びている。スプラインシャフト41の後端はギヤハウジング24によって前後方向に移動可能に支持されており、スプラインシャフト41の前端は、先端工具保持部5の後端と接続されている。スプラインシャフト41の外周面には、前後方向に延びる図示せぬギヤ歯が周方向全域に所定の間隔で設けられている。
クラッチドラム42は、メタル軸受43を介してギヤハウジング24に軸心X2を回転軸心として回転可能に支承されている。クラッチドラム42は、クラッチドラム円筒部421と、ギヤ部422とを有している。
クラッチドラム円筒部421の内周面には、図示せぬ複数のギヤ溝が形成されている。複数のギヤ溝は、クラッチドラム円筒部421の内周面からクラッチドラム円筒部421の半径方向外方に窪むとともに前後方向に延びる溝であり、クラッチドラム円筒部421の円周方向において所定の間隔で形成されている。
ギヤ部422は、クラッチドラム円筒部421の後部外周面に設けられており、複数のギヤ歯を有している。複数のギヤ歯は、クラッチドラム円筒部421の後部外周面において周方向全域に所定の間隔で形成されており、モータ3のピニオン34と噛合している。
多板摩擦クラッチ44は、前後方向において押圧されることによって、モータ3の回転力を受けて回転するクラッチドラム42の回転力をビット装着部6に伝達するように構成されている。多板摩擦クラッチ44は、図示せぬ複数のアウタープレートと、図示せぬ複数のインナープレートとを有する。多板摩擦クラッチ44のアウタープレート及びインナープレートは、前面視略環形状をなす金属製の薄板であり、クラッチドラム円筒部421内部において、前後方向に交互に並んだ状態で収容されている。
多板摩擦クラッチ44のアウタープレートは、モータ3によって回転駆動され、多板摩擦クラッチ44のインナープレートは、スプラインシャフト41と共に回転駆動される。インナープレートは、動力伝達経路において多板摩擦クラッチ44のアウタープレートとビット装着部6との間に介在し、押圧力がかかっている状態(先端工具となるビットBを作業対象物に押し当てている状態)になると、多板摩擦クラッチ44のアウタープレートとインナープレートが前後方向に互いに接触し、アウタープレートが回転駆動することによって多板摩擦クラッチ44のアウタープレートとインナープレートとの間に摩擦力が発生し、アウタープレートの回転力がインナープレートを介してインナープレートと一体に回転するスプラインシャフト41に伝達され、摩擦力によってビット装着部6に回転力を伝達する。
多板摩擦クラッチ44のアウタープレートとインナープレートのそれぞれの貫通孔には、スプラインシャフト41が挿通されている。
先端工具保持部5は、ギヤハウジング24の前方に位置し、前方先細りの略円筒形状を成す外周カバー51と、ビット装着部6とを有する。
先端工具保持部5の外周カバー51は、先端工具保持部5の外側面を成し、ビット装着部6と動力伝達部4の外周の一部を覆う。図2に示されるように、外周カバー51には、複数の第2吸気孔9aと、第2排気孔9bとが形成されている。外周カバー51は本発明における「カバー部」の一例である。
図1に示されるビット装着部6は、前後方向に延びる略円筒形状を成しており、モータ3の回転軸31の軸心X1に対して上方の位置にある。言い換えると、ビット装着部6は、回転軸31の半径方向に関し回転軸31から離間して延出している。図1に示されている軸心X2は、ビット装着部6の中心を通り前後方向に延びる仮想回転軸心である。ビット装着部6の前部はギヤハウジング24の前部から前方に延出している。ビット装着部6は、本発明における「出力軸」の一例である。
ビット装着部6は、外周カバー51に対して、軸心X2を回転軸心として回転可能且つ前後方向に移動可能に支持されている。また、ビット装着部6の前端に形成された装着孔にはビットBを着脱可能である。
ビット装着部6の後端に形成された貫通孔には、スプラインシャフト41の前端が圧入されている。これにより、スプラインシャフト41は、ビット装着部6と一体に軸心X2を回転軸心として回転可能且つ前後方向に移動可能である。スプラインシャフト41の図示せぬギヤ歯は、多板摩擦クラッチ44のインナープレートのギヤ溝と噛合しており、多板摩擦クラッチ44のインナープレートが回転した場合、多板摩擦クラッチ44のインナープレートとビット装着部6とスプラインシャフト41とは一体となって回転する。
次に、ギヤハウジング24の詳細について図2、図3、図5に基づき説明する。ギヤハウジング24は、前述した前壁部241と前壁部241から前方に突出したカバー取付部242を有する。前壁部241は、モータ3の回転軸31の前方の位置で且つ冷却ファン7の前方の位置で、壁面が前方を向くように構成されている。言い換えると、前壁部241は、モータ3の回転軸31の軸方向において冷却ファン7と先端工具保持部5の間に位置し、かつその前面が回転軸31の軸線と交差(例えば直交)するように構成されている。前壁部241内には、モータ3の回転軸31の前端部を収容する空間が形成されている。また、前壁部241の前壁には、ギヤハウジング24の内外を連通する複数の排気孔8bが形成されている。前壁部241であって複数の排気孔が形成されている前壁が本発明における「ガイド部」の一例である。また、カバー取付部242が本発明における「突出部」の一例である。
カバー取付部242は、円筒形状を成し、動力伝達部4とビット装着部6の後部を収容している。カバー取付部242の前端部には外周カバー51と螺合するねじ部242aが形成されている。
図5に示されるように、前壁部241の回転軸31に直交する断面積は、カバー取付部242のビット装着部6の軸心X2に直交する断面積よりも大きく、その結果、前壁部241とカバー取付部242とで段部が形成される。図2、図3に示されるように、複数の排気孔8bは前壁部241に、正面視で外周カバー51を取囲むように、略U字状又は略V字状に配置されている。言い換えると、複数の排気孔8bは、前壁部241のビット装着部6の周囲の位置でかつ先端工具保持部5の半径方向外側の位置にも配置されている。排気孔8bの正面視の外観は略矩形で、貫通孔が前方を向くように形成されている。回転軸31と軸心X2とが径方向にオフセットして(ずれて)配置されているため、そのずれた領域及び外周カバー51の左右両側に略U字状又は略V字状に複数の排気孔8bを配置することができる。
次に、冷却ファン7と、ギヤハウジング24の前壁部241と、先端工具保持部5との互いの位置関係について、図4を用いて説明する。
冷却ファン7は、ピニオン34の後方に位置し、モータ3の回転軸31と同軸一体回転できるように回転軸31に固定されている。冷却ファン7の後部はモータハウジング22に収容されており、冷却ファン7の前部は円筒部23に収容されている。冷却ファン7は、冷却ファン7の回転力によって、吸気孔8aから取り入れられた空気が前壁部241に形成された排気孔8bに向かうように構成されている。冷却ファン7は、本発明における「ファン」の一例である。
前壁部241は、冷却ファン7の前方に位置する。図4に示すように、前壁部241において、それぞれの排気孔8bは先端工具保持部5に向かうように傾斜して前後方向に貫通して形成されており、排気孔8bから排出される冷却風は指向性を有している。詳細には、前壁部241に形成された複数の排気孔8bは、排気孔8bとビット装着部6(軸心X2)との上下方向の距離が長い位置にある排気孔8bLはその傾斜角が大きく、排気孔8bとビット装着部6との上下方向の距離が短い排気孔8bSはその傾斜角が小さい。詳しくは、ビット装着部6の軸心X2からの半径方向の距離が所定長より長い位置にある複数の排気孔8bLについてはそれらの傾斜の角度を同一の第1の角度とし、ビット装着部6の軸心X2からの半径方向の距離が所定長より短い位置にある複数の排気孔8bSについては第1の角度より小さい同一の第2の角度(水平)としている。
上述した円筒部23内には、冷却ファン7の前方の位置で且つ前壁部241の後方の位置に整流部231が設けられている。整流部231は、筒部232と、平板状の複数の整流板233を有する。筒部232にはモータ3の回転軸31が挿通されている。複数の整流板233は、筒部232から放射状にかつモータ3の回転軸31に対して平行に延びており、円筒部23の内周面に接続されている。隣合う整流板233と筒部232の外周面と円筒部23の内周面とにより冷却ファン7からの冷却風が通過する整流通路が形成されている。
先端工具保持部5は前壁部241の前方に位置する。図4に示すように、先端工具保持部5の外周カバー51の前端部よりも後方の位置に、複数の第2吸気孔9aが外周カバー51の周方向に所定の間隔をおいて形成されている。また、外周カバー51の前端部には、複数の第2排気孔9bが形成されている。複数の第2吸気孔9aは、外周カバー51の肉厚を削取り前方に向かって内側に窪むようにテーパ等の加工処理が施されており、複数の第2吸気孔9aがビット装着部6の軸方向に対して第2排気孔9bに向かうように傾斜して形成されている。
次に、本実施の形態におけるねじ締機1の締付作業時の動作、及び締付作業時の冷却風の流れについて説明する。なお、以下の説明においては、ビットBをねじに押し付ける方向(すなわち、ねじ締機1をねじに向けて押し込む方向)と前方向とが一致しているものとする。
作業者は、ビット装着部6に装着されたビットBの先端をねじ頭に形成された溝(例えば、十字溝)に係合させる。作業者がトリガ21Aに対して引操作を行うと、図示せぬ電源コードを介して、図示せぬ外部電源からモータ3へ電力が供給され、モータ3が駆動を開始する。モータ3が駆動を開始すると、回転軸31及びピニオン34が回転し、ピニオン34と噛合しているギヤ部422を介してクラッチドラム42が軸心X2を回転軸心として回転する。クラッチドラム42の回転に伴い、クラッチドラム42のクラッチドラム円筒部421のギヤ溝と噛合している多板摩擦クラッチ44のアウタープレートが軸心X2を回転軸心として回転する。これに伴い、多板摩擦クラッチ44の隣合うアウタープレートとインナープレートとの接触面に僅かに摩擦が発生する。作業者がビットBの先端をねじ頭の溝に合わせた状態で、ねじ締機1を前方に押し込むと、ビット装着部6及びスプラインシャフト41が後方へと移動し、多板摩擦クラッチ44の前後方向に隣合うアウタープレート及びインナープレートの接触面における面圧がさらに上昇する。これにより、多板摩擦クラッチ44のアウタープレートの回転力が多板摩擦クラッチ44のインナープレートに伝達され、多板摩擦クラッチ44のインナープレートと一体となって回転するスプラインシャフト41とビット装着部6とが回転する。
この時、多板摩擦クラッチ44の隣合うアウタープレートとインナープレートとの間の摩擦力によって、モータ3の駆動力がビットBに伝達される構成になっているため、動力伝達部4全体が発熱し、動力伝達部4の熱は先端工具保持部5を介してビットBに伝わる。
本実施の形態においては、モータ3が駆動すると、モータ3の回転軸31に固定された冷却ファン7が回転し、冷却ファン7の回転力によってモータハウジング22に形成された複数の吸気孔8aから空気が取り込まれる。モータハウジング22の内部に取り込まれた空気は、図1に示されるように、モータ3のステータ33の外周面とモータハウジング22の外壁の間に形成されたモータ外側通路11を通過する。複数の吸気孔8aから取り込んだ空気はモータ3のステータ33の内部も通過するが、全ての空気がモータ3(ステータ33)の内部を通過する構成と比較して、冷却ファン7を通過する空気の温度の上昇を抑制できる。そのため、先端工具保持部5等を効率よく冷却することができる。
図1に示すように、冷却ファン7を通過した冷却風は、円筒部23の整流部231の整流風路を通過する。冷却ファン7を通過した冷却風には冷却ファン7の回転方向の旋回成分が含まれるが、整流部231の複数の整流板233はモータ3の回転軸31に対して平行に延びているため、整流部231の整流風路を通過した冷却風を回転軸31の軸線と平行な方向に向かわせることができる。
整流部231の整流風路を通過した冷却風は、ギヤハウジング24に形成された複数の排気孔8bを通過して外気に排出される。ここで、複数の排気孔8bは図3に示されるように軸心Xの径方向において外周カバー51の周囲に配置されており、それぞれの排気孔8bは図4に示されるように外周カバー51に向かって傾斜しているので、複数の排気孔8bから排出された冷却風は、図4に示すようにギヤハウジング24のカバー取付部242の外周面と先端工具保持部5の外周カバー51の外側面に吹き付けられる。複数の排気孔8bは、ギヤハウジング24の内部と先端工具保持部5の内部とを連通しておらず、先端工具保持部5の内部に冷却風通路を形成する必要がないため、先端工具保持部5の大型化を回避しつつ先端工具保持部5を冷却することができる。また、複数の排気孔8bから排出された冷却風により、ビットB周囲の粉塵を吹き飛ばすことができる。また、かかる構成によってカバー取付部242も外側から冷却することができる。
また、図4に示すように、ギヤハウジング24の前壁部241に形成された複数の排気孔8bはその位置に応じて傾斜角が異なっているので、冷却風をより確実に先端工具保持部5や複数の吸気孔9aに向かわせることができる。
ギヤハウジング24の前壁部241の回転軸31に直交する断面積は、先端工具保持部5の外周カバー51の後端部のビット装着部6の軸心に直交する断面積よりも大きいため、前壁部241の下部に形成された排気孔8bから排出された冷却風は先端工具保持部5の下面に向けて吹き付けられる。これにより、先端工具保持部5の左右面だけでなく下面に対しても冷却風を吹き付けることができる。
図6に示されるように、先端工具保持部5の外周カバー51に吹き付けられた冷却風は、外周カバー51の周囲を周方向に囲むように形成された複数の第2吸気孔9aから先端工具保持部5(外周カバー51)の内部に取り込まれ、外周カバー51の前端部に形成された第2排気孔9bから前方に向けて排出される。排出された冷却風がビットBに吹き付けられることにより、ビットBを冷却することができる。また、第2排気孔9bから排出された冷却風によりビットB周囲の粉塵をより確実に吹き飛ばすことができる。また、第2吸気孔9aに取り込まれなかった冷却風は直接作業個所に排出されるため、ビットBの周囲の粉塵を広範囲にわたって吹き飛ばすことができる。そして、外周カバー51の上側には排気孔8bが形成されていないため、図4の矢印で示すように、外周カバー51の下側から上側に向かう方向に冷却風が排出されるため、粉塵が一方向に吹き飛ばされる。そのため、外周カバー51の上側に排気孔8bを形成した場合と比較し、粉塵が四方八方に飛散することを抑制することができる。
複数の第2吸気孔9aは、ビット装着部6の軸方向に対して複数の第2排気孔9bに向かうように傾斜して形成されているので、複数の排気孔8bから排出された冷却風を、より確実に先端工具保持部5の内部に取り込み、複数の第2排気孔9bに向かわせることができる。
本発明の実施の形態にかかる電気機器の一例であるねじ締機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、上述した実施の形態では、ビット装着部6の軸心X2からの半径方向の距離が所定長より長い位置にある複数の排気孔8bLについてはそれらの傾斜の角度を第1の角度とし、ビット装着部6の軸心X2からの半径方向の距離が所定長より短い位置にある複数の排気孔8bSについては第1の角度より小さい第2の角度(水平)としているが、ビット装着部6の軸心X2からの半径方向の距離に応じて個々の排気孔8bの傾斜角を互いに異なるように構成されていてもよい。また、上述した実施の形態では、複数の排気孔8bは、ギヤハウジング24の段部となる前壁に形成されて、前壁がガイド部として機能しているが、ギヤハウジング24を段部のない構成とし、カバー取付部242に向かって徐々に断面積が減少していくような前壁部241としてもよい。このような前壁部241に複数の排気孔8bが形成されて、冷却ファン7からの冷却風を先端工具保持部5の外周面に沿わせるように案内するようにしてもよい。このような複数の排気孔8bが形成された前壁部241も、ガイド部の一例である。また、上述した実施の形態では、複数の第2吸気孔9aがビット装着部6の軸方向に対して第2排気孔9bに向かうように傾斜して形成されているが、外周カバー51は複数の排気孔8bから排出された冷却風が複数の第2吸気孔9aから外周カバー51の内部空間に取り込まれるように案内するカバーガイド部を有していてもよい。更に、円筒部23を設けずにモータハウジング22とギヤハウジング24を直接接続してもよいし、円筒部23とモータハウジング22を一体部材としてもよい。これらの場合、円筒部23に設けられた整流部231、筒部232、整流板233はモータハウジング22又はギヤハウジング24のいずれか又は両方に設ければよい。また、電気機器としてねじ締機を説明したが、電気ドリルやハンマドリル等、モータの回転軸(軸心X1)と出力軸(軸心X2)が回転軸の径方向にオフセットしている(ずれている)構成に適用することが可能である。