以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態)
<画像処理装置を含む印刷装置の具体例>
図1は、実施形態に係る印刷装置の構成例を模式的に示している。図1に示す印刷装置1は、画像処理装置3を備えている。図1に示す印刷装置1は、本技術の構成要素を含む印刷システム(広義の印刷装置)として表され、販売単位としての狭義のインクジェットプリンター2を少なくとも含み、ホスト装置100等を含む構成であってもよい。また、印刷装置1は、画像処理装置3がインクジェットプリンター2と独立した構成や、画像処理装置3の機能の一部又は全てを他の装置が有する構成であってもよい。図1には、インクジェットプリンター2としてラインプリンターの構成例を示している。本技術を適用可能な印刷装置は、複写機、ファクシミリ、これらの機能を備えた複合機、等を含んでもよい。カラー画像を形成するインクジェットプリンター2で使用されるインクには、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及び、ブラック(K)のインクが含まれる。むろん、インクには、さらに、ライトシアン(Lc)、ライトマゼンタ(Lm)、ダークイエロー(Dy)、ライトブラック(Lk)、レッド(R)、オレンジ(Or)、グリーン(G)、画質向上用の無着色インク、等が含まれてもよい。
図2は、インクジェットプリンター2の要部を模式的に例示している。図3は、ヘッドチップ61を模式的に例示している。図2及び図3では、印刷ヘッド60をノズル64の有るノズル面とは反対側から示しているが、便宜上、ノズル64の位置を示し、C、M、Y、又は、Kのインク滴67を吐出するノズル64をインク滴67の色別の模様で表している。
インクジェットプリンター2は、ヘッドチップ61を複数組み合わせた印刷ヘッド60であるラインヘッドを有し、インク滴67を吐出してドットDT0を形成するときに印刷ヘッド60が移動しないで長尺な被印刷物ME1が移動する。被印刷物(print substrate)は、印刷画像を保持する素材のことであり、少なくともJIS(日本工業規格)P0001:1998(紙・板紙及びパルプ用語)に記載の紙・板紙の品種及び加工製品の全てを含む。樹脂シート、金属板、立体物、等も被印刷物に含まれる。
図2中、符号D1はノズル64の並び方向、符号D2は印刷ヘッド60と被印刷物ME1との相対移動方向、符号D21は紙送り方向、符号D3は長尺な被印刷物ME1の幅方向、を示している。相対移動方向D2は、走査方向とも呼ばれる。インクジェットプリンター2は、ノズル列NL1~NL4のノズルの並び方向D1とは異なる相対移動方向D2へ印刷ヘッド60と被印刷物ME1とが相対移動する。ノズル列とは、同種のインク滴67を吐出する複数のノズルで構成される列であり、ノズルの並び方向D1とは、1つのノズル列を形成する複数のノズルが並ぶ方向である。固定された印刷ヘッド60に対して被印刷物ME1が搬送方向上流側から搬送方向下流側へ移動するとき、被印刷物ME1に対して搬送方向下流側から搬送方向上流側へ順に、ノズル64から吐出されるインク滴67によりドットDT0のラインDLが形成される。図2の例では並び方向D1と幅方向D3が一致しているが、並び方向D1と幅方向D3とは略45°ずれる等、ずれていてもよい。これらの方向D1,D3と紙送り方向D21(相対移動方向D2)は、異なる方向であればよく、互いに直交するのみならず、略45°で交差する等、直交しないで交差する場合も本発明に含まれる。むろん、二方向が交差することは、直交することを含めて二方向がずれていることを意味する。図2,3等に示す印刷ヘッド60やドットDT0はあくまでも説明のため模式的に示されたものであり、実際の大きさや形状や数等はこれらの図の通りになるとは限らない。例えば、印刷ヘッド60に含まれるヘッドチップ61の数は、図2に示す6個に限定されず、3個以上5個以下でもよいし、7個以上でもよい。ヘッドチップ61に含まれるノズル列68の数は、4列に限定されず、3列以下でもよいし、5列以上でもよい。ノズル列68に含まれるノズルの数は、一例であり、10個に限定されない。
図2及び図3に示すように、印刷ヘッド60は、第一ノズル列NL1、第二ノズル列NL2、第三ノズル列NL3、及び、第四ノズル列NL4を有する複数のヘッドチップ61を備えている。換言すると、印刷ヘッド60は、2以上の第一ノズル列NL1、2以上の第二ノズル列NL2、2以上の第三ノズル列NL3、及び、2以上の第四ノズル列NL4を有している。第一ノズル列NL1は第一インク滴を吐出し、第二ノズル列NL2は第二インク滴を吐出し、第三ノズル列NL3は第三インク滴を吐出し、第四ノズル列NL4は第四インク滴を吐出する。
第一インク滴、第二インク滴、及び、第三インク滴の色は異なり、シアン(C)、マゼンタ(M)、及び、イエロー(Y)の中から選ばれる。本実施形態では、第一インク滴がCインクに対応し、第二インク滴がMインクに対応し、第三インク滴がYインクに対応した構成を例示している。さらに、第四インク滴がKインクに対応する。以下、各ノズル列68を、吐出するインク色で区別する場合は、第一ノズル列NL1をノズル列68C、第二ノズル列NL2をノズル列68M、第三ノズル列NL3をノズル列68Y、第四ノズル列NL4をノズル列68Kという。また、Cインクを吐出するノズル64をノズル64C、Mインクを吐出するノズル64をノズル64M、Yインクを吐出するノズル64をノズル64Y、Kインクを吐出するノズル64をノズル64Kという。
各ヘッドチップ61において、第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とが相対移動方向D2に並べられている。第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とのいずれか一方と第三ノズル列NL3がノズル並び方向D1に並べられている。本実施形態では、第一ノズル列NL1と第三ノズル列NL3とが並び方向D1に並んでいる。この構成によれば、第一~第三ノズル列NL1~NL3を相対移動方向D2に並べた構成に比べ、相対移動方向D2における印刷ヘッド60の長さを短くすることができる。これにより、インク滴67の着弾位置にばらつきが生じ難く、被印刷物ME1が印刷ヘッド60に接触し難くなる。
本実施形態では、さらに、第三ノズル列NL3と第四ノズル列NL4とが相対移動方向D2に並べられている。この構成によれば、第一~第四ノズル列NL1~NL4を相対移動方向D2に並べた構成に比べ、相対移動方向における印刷ヘッド60の長さを短くすることができる。
印刷ヘッド60には、被印刷物ME1の幅方向D3の全体にわたってノズル64C,64M,64Y,64Kから吐出されるインク滴67により被印刷物ME1にドットDT0を形成することができるように複数のヘッドチップ61a,61b,61c,61a,61b,61cが配置されている。ここで、ヘッドチップ61a~61cをヘッドチップ61と総称し、ノズル列68C,68M,68Y,68Kをノズル列68と総称し、ノズル64C,64M,64Y,64Kをノズル64と総称する。
尚、同種のインク滴67を吐出するノズルが千鳥状に配置されたノズル列であった場合でも、複数のノズルが相対移動方向とは異なる所定の並び方向へ例えば2列に並んでいるので、本技術に含まれる。この場合の並び方向は、千鳥状配置における各列のノズルの並びの方向を意味する。
図3に示すように、各ノズル列68には並び方向D1においてノズルピッチNpの間隔で複数のノズル64が並べられている。高解像度の印刷画像IM1を実現するためノズルピッチNpは非常に小さい一方、ノズル64までのインク66の流路をヘッドチップ61に形成する必要がある。このため、並び方向D1におけるヘッドチップ61の両端部には、ノズルピッチNpの間隔でノズル64を形成するのは容易ではない。ヘッドチップ61の両端部にノズルピッチNpの間隔のノズル64を形成することができない場合、ヘッドチップ61の両端部に不吐出領域A1が生じる。また、並び方向D1において色別にインク66の流路を形成する必要があるため、ノズル列68C,68Mとノズル列68Y,68Kとの間にノズルピッチNpの間隔でノズル64を形成するのは容易ではない。ノズルピッチNpの間隔のノズル64をノズル列68C,68Mとノズル列68Y,68Kとの間に形成することができない場合、この間に不吐出領域A2が生じる。
並び方向D1においてノズル64の無い不吐出領域A1,A2がヘッドチップ61に生じる場合、図2に示すように、同じラインDLにCMYKのノズル64を配置するためには、ヘッドチップ61を相対移動方向D2へ最低3個並べる必要がある。本実施形態では、相対移動方向D2における印刷ヘッド60の長さLaは、相対移動方向D2におけるヘッドチップ61の長さLbの3倍にしている。これにより、相対移動方向D2における印刷ヘッド60の長さLaが最短となり、インク滴67の着弾位置にばらつきがさらに生じ難くなり、被印刷物ME1が印刷ヘッド60に接触し難くなる。
第一ノズル列NL1から吐出させる第一インク滴と、第三ノズル列NL3から吐出させる第三インク滴と、を相対移動方向D2に沿った同じラインDL上に着弾させることが可能なラインを、ノズルの並び方向D1に連続して並ばせることができる。
また、第二ノズル列NL2から吐出させる第二インク滴と、第三ノズル列NL3から吐出させる第三インク滴と、を相対移動方向D2に沿った同じラインDL上に着弾させることが可能なラインを、ノズルの並び方向D1に連続して並ばせることができる。
印刷ヘッド60は、不吐出領域A1,A2を有しているので、ノズル列68C,68M,68Y,68Kの組合せによっては相対移動方向D2におけるノズル間の距離が印刷領域AL1~AL6に応じて異なることがある。例えば、相対移動方向D2に沿った同じラインDLにおいてインク滴67を吐出する複数のノズル列68の内、相対移動方向D2におけるノズル列68C(第一ノズル列NL1)とノズル列68M(第二ノズル列NL2)とのノズル間の距離は、全てのラインDL1~DL6で一定の距離L0である。
相対移動方向D2におけるノズル列68C(第一ノズル列NL1)とノズル列68Y(第三ノズル列NL3)とのノズル間の距離は、複数の距離L1,L2がある。具体的には、ラインDL1,DL3におけるノズル列68C,68Yのノズル間の距離は距離L1であり、ラインDL2におけるノズル列68C,68Yのノズル間の距離は距離L2(L2>L1)である。また、ラインDL4,DL6におけるノズル列68C,68Yのノズル間の距離は距離L1であるがインク滴67の吐出順がラインDL1,DL3の場合と逆であり、ラインDL5におけるノズル列68C,68Yのノズル間の距離は距離L2であるがインク滴67の吐出順がラインDL2の場合と逆である。また、ノズル列68M(第二ノズル列NL2)とノズル列68Y(第三ノズル列NL3)とのノズル間の距離も、複数の距離L1,L2がある。尚、印刷領域AL1,AL2,AL3,AL4,AL5,AL6は、それぞれ、ラインDL1,DL2,DL3,DL4,DL5,DL6と同じインク滴吐出タイミングとなる印刷領域である。
次に、図1に示す印刷装置1の構成を説明する。図1に示すインクジェットプリンター2は、コントローラー10、RAM(Random Access Memory)20、不揮発性メモリー30、機構部50、カードインターフェイス(I/F)71、通信インターフェイス(I/F)72、操作パネル73、温度Tを検出する温度センサーSE1、湿度Hを検出する湿度センサーSE2、等を備える。コントローラー10、RAM20、不揮発性メモリー30、各I/F71,72、及び、操作パネル73は、互いに情報を入出力可能とされている。温度センサーSE1と湿度センサーSE2は、コントローラー10に接続されている。
コントローラー10は、CPU(Central Processing Unit)11、解像度変換部41、色変換部42、ハーフトーン処理部43、信号送信部44、等から構成される画像処理装置3の機能を有する。画像処理装置3は、インクジェットプリンター2の印刷データDA3を、画像データに基づいて生成する。尚、画像処理装置3の機能は、これらのうち少なくとも一部、又は全部をホスト装置100に実現させてもよい。コントローラー10は、SoC(System on a Chip)等により構成することができる。
CPU11は、インクジェットプリンター2における情報処理や制御を中心的に行う装置である。
解像度変換部41は、ホスト装置100やメモリーカード90等から入手した画像データの解像度を被印刷物ME1に印刷する際の印刷解像度(例えば720×720dpiや360×360dpi)に変換した入力色データDA1を生成する。入手した画像データは、例えば、各画素にRGB(レッド、グレーン、及び、ブルー)の256階調の整数値を有するRGBデータで表現される。入手した画像データがRGBデータでない場合、画像データをRGBデータに変換してもよい。
色変換部42は、例えば、印刷解像度とされたRGBデータである入力色データDA1を各画素にCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラック)の256階調の整数値を有するCMYKデータである出力色データDA2に色変換処理する。その際、色変換部42は、RGBデータの階調値とCMYK色系データの階調値とを対応づけた色変換ルックアップテーブルLUTに基づいて入力色データDA1を出力色データDA2に変換する。
ハーフトーン処理部43は、色変換された画像データとしての出力色データDA2に基づいてハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理部43は、出力色データDA2を構成する各画素の階調値(インク量データ)に対して例えばディザ法や誤差拡散法や濃度パターン法といった所定のハーフトーン処理を行って階調値の階調数を減らし、印刷データDA3を生成する。印刷データDA3は、印刷画像IM1に対応した各画素のドットの形成状況を表すデータであり、例えば、各画素のドットの形成有無を表す2値データとすることができる。また、印刷データDA3は、ドット無しに0、小ドット形成に1、中ドット形成に2、及び、大ドット形成に3を対応させた4値データといった、異なるサイズのドットに対応可能な3階調以上の多値データでもよい。
信号送信部44は、ヘッドチップ61の駆動素子63に印加する電圧信号に対応した駆動信号SGを印刷データDA3に基づいて生成して駆動回路62へ出力する。必要に応じて、印刷データDA3を機構部50でドットが形成される順番に並べ換えてもよい。
上記各部41~44は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されてもよく、RAM20から処理対象のデータを直接読み込んだりRAM20に処理後のデータを直接書き込んだりしてもよい。
機構部50は、コントローラー10によって制御される。機構部50は、紙送り機構53等を備える。紙送り機構53は、被印刷物ME1を紙送り方向D21へ搬送する。印刷ヘッド60には、例えばCMYKのインク滴67を吐出するヘッドチップ61が搭載されている。ヘッドチップ61は、駆動回路62、駆動素子63、等を備える。駆動回路62は、コントローラー10から入力される駆動信号SGに従って駆動素子63に電圧信号を印加する。駆動素子63には、ノズル64に連通する圧力室内のインク66に圧力を加える圧電素子、熱により圧力室内に気泡を発生させてノズル64からインク滴67を吐出させる気泡発生素子、等を用いることができる。ヘッドチップ61の圧力室には、インクカートリッジ65からインク66が供給される。インクカートリッジ65とヘッドチップ61の組合せは、例えば、CMYKのそれぞれに設けられる。圧力室内のインク66は、駆動素子63によってノズル64から被印刷物ME1に向かってインク滴67として吐出され、印刷用紙等といった被印刷物ME1にインク滴67のドットDT0が形成される。被印刷物ME1には、複数のドットDT0による印刷画像IM1が形成される。
RAM20には、選択印刷部U1や被印刷物種類選択部U2等の機能を印刷装置1に実現させるプログラムPRG2等が格納される。
不揮発性メモリー30には、RAM20に展開されるプログラムデータPRG1、色変換ルックアップテーブルLUT等が記憶されている。不揮発性メモリー30には、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、ハードディスクといった磁気記録媒体、等が用いられる。尚、プログラムデータPRG1を展開するとは、CPU11で解釈可能なプログラムPRG2としてRAM20に書き込むことを意味する。
カードI/F71は、メモリーカード90にデータを書き込んだりメモリーカード90からデータを読み出したりする回路である。
通信I/F72は、ホスト装置100の通信I/F172に接続され、ホスト装置100に対して情報を入出力する。ホスト装置100には、表示装置174等が接続されてもよい。ホスト装置100には、パーソナルコンピューター、タブレット型端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、スマートフォン等を用いることができる。
操作パネル73は、出力部74、入力部75、等を有し、ユーザーがインクジェットプリンター2に対して各種の指示を入力可能である。出力部74は、例えば、各種の指示に応じた情報やインクジェットプリンター2の状態を示す情報を表示する液晶パネル(表示部)で構成される。出力部74は、これらの情報を音声出力してもよい。入力部75は、例えば、カーソルキーや決定キーといった操作キー(操作入力部)で構成される。入力部75は、表示画面への操作を受け付けるタッチパネル等でもよい。
ここで、印刷ヘッド60で従来技術の印刷を行った時に生じる筋や色むらについて説明する。
図19は、ノズル間の距離が短いラインDL1にて、第一ノズル列と第三ノズル列とで二次色を印刷する時の様子を模式的に例示する図である。図20は、ノズル間の距離が長いラインDL2にて、第一ノズル列と第三ノズル列とで二次色を印刷する時の様子を模式的に例示する図である。図21は、従来技術において、ノズル間の距離が複数ある、第一ノズル列と第三ノズル列とで二次色を印刷した時に生じる筋、色むらを模式的に例示する図である。
図19に示すように、ノズル間の距離が短いラインDL1の場合、第三ノズル列NL3(ノズル列68Y)のノズル64Yからインク滴67Yが吐出され、所定の画素に着弾する。被印刷物ME1が紙送り方向D21へ距離L1分、搬送される。第一ノズル列NL1(ノズル列68C)のノズル64Cからインク滴67Cが吐出され、同じ画素に重複着弾する。ノズル間の距離が短い場合、先行のインク滴67Yが着弾してから、後行のインク滴67Cが着弾するまでの時間が短い。インク滴67Yの乾燥前にインク滴67Cが着弾するので、インク滴67Yとインク滴67Cとが重複するとインク同士が滲み易い。
図20に示すように、ノズル間の距離が長いラインDL2の場合、ノズル列68Yのノズル64Yからインク滴67Yが吐出され、所定の画素に着弾する。被印刷物ME1が紙送り方向D21へ距離L2分、搬送される。ノズル列68Cのノズル64Cからインク滴67Cが吐出され、同じ画素に重複着弾する。ノズル間の距離が長い場合、先行のインク滴67Yが着弾してから、後行のインク滴67Cが着弾するまでの時間が長い。インク滴67Cが着弾するまでに、インク滴67Yの乾燥が進むので、インク滴67Yとインク滴67Cとが重複しても、インク同士が滲み難い。これにより、ノズル間の距離が短い場合に対して相対的に発色が上がるため、二次色の発色に差異が生じ、図21に示すような相対移動方向D2に沿った筋や色ムラが視認されていた。
そこで、本実施形態の印刷装置1は、ノズル間の距離が複数ある、第一ノズル列NL1と第三ノズル列NL3とで二次色を印刷する場合、及び第二ノズル列NL2と第三ノズル列NL3とで二次色を印刷する場合に、ハーフトーン処理によってインク滴67が重複着弾するドットの重複の割合を少なくする第一の印刷を行う。これにより、印刷画像IM1に相対移動方向D2に沿った筋や色むらの発生を抑制する。
図4は、ディザマスクAの一例を説明する図である。図5は、色変換処理後の出力色データDA2の一例を説明する図である。図6は、ディザマスクAを用いたハーフトーン処理後の印刷データDA3の一例を説明する図である。図7は、ディザマスクBの一例を説明する図である。図8は、ディザマスクBを用いたハーフトーン処理後の印刷データDA3の一例を説明する図である。なお、ディザマスクA及びBは、説明の便宜上、4行4列の16格子を有するマスクで示している。また、図5に示す出力色データDA2は、ディザマスクAまたはディザマスクBと重なる画素のみ示している。
図4に示すディザマスクAは、第一ノズル列NL1(ノズル列68C)から吐出させる第一インク滴の印刷を決定するためのディザマスクである。図7に示すディザマスクBは、第三ノズル列NL3(ノズル列68Y)から吐出させる第三インク滴の印刷を決定するためのディザマスクである。
ディザマスクA及びBの4行4列の各格子には、0~15までの複数の閾値が設定されている。図7に示すディザマスクBの複数の閾値は、図4に示すディザマスクAの複数の閾値と相補関係を満たしている。例えば、ディザマスクAの1行目と1列目とが交差する格子には、最小の閾値である「0」が設定されるのに対し、ディザマスクBの当該格子には、最大の閾値である「15」が設定されている。また、ディザマスクAの4行目と1列目とが交差する格子には、最大の閾値である「15」が設定されるのに対し、ディザマスクBの当該格子には、最小の閾値である「0」が設定されている。
図5に示す出力色データDA2は、色変換部42の色変換処理によって形成されたインク量データである。インク量データは、単位面積あたりのドット個数に相当するデータである。図5の出力色データDA2は、説明の便宜上、4行4列の16画素に0~15の16階調のインク量データで表している。図5の出力色データDA2には、最大インク量の50%に相当する階調値「8」が全画素に設定されている。
図6に示す印刷データDA3は、ディザマスクAを用いてハーフトーン処理部43のハーフトーン処理によって形成されたドット形成データである。図8に示す印刷データDA3は、ディザマスクBを用いてハーフトーン処理部43のハーフトーン処理によって形成されたドット形成データである。図6及び図8は、各画素のドットの形成有無を表す2値データであり、ドット有りの画素を「黒」、ドット無しの画素を「白」で表している。ハーフトーン処理部43は、出力色データDA2の画素毎に、各画素に示された階調値(インク量データ)と当該画素に対応するディザマスクの格子に設定された閾値とを比較し、ドットの有無を決定する。ハーフトーン処理部43は、閾値<階調値の場合にドット有りとし、階調値≦閾値の場合にドット無しとする。図5に示す出力色データDA2では、全ての画素に階調値「8」が設定されているので、全画素のうち50%の画素にドットが形成される。以下、ドットの形成される比率を、例えば「Duty50%」と記す。図4に示すディザマスクAと図7に示すディザマスクBとは、相補関係の閾値を有しているので、図6に示す印刷データDA3と図8に示す印刷データDA3とでは、ドット有り画素とドット無し画素とが反転する。
図9は、ディザマスクAを用いたハーフトーン処理後の印刷データDA3の一例を説明する図である。図10は、ディザマスクA’を用いたハーフトーン処理後の印刷データDA3の一例を説明する図である。図11は、ディザマスクBを用いたハーフトーン処理後の印刷データDA3の一例を説明する図である。図9~図11に示す印刷データDA3の生成に用いたディザマスクは、16行16列の256格子を有するマスクである。「ディザマスクA’」とは、ディザマスクAを用いて、例えば、出力色データDA2の画素に対して相対移動方向D2へマスク全体を1/2移動した状態で使用することを意味する。したがって、同一の出力色データDA2をハーフトーン処理した場合、ディザマスクA’で生成する印刷データDA3(図10参照)は、ディザマスクAで生成する印刷データDA3(図9参照)に対してドット有り及びドット無しの位置が8列分シフトする。また、ディザマスクAとディザマスクBは、相補関係の閾値が設定されるので、Duty50%のドットを形成させる場合、図9及び図11に示すようにドット有り画素とドット無し画素とが反転する。
次に、第一の印刷において、異なる2つのノズル列68から吐出させるインク滴67によって二次色を印刷する場合のインク滴の重複の割合を説明する。なお、インク滴の重複とは、異なる2つのインク滴が同じ画素に着弾することを意味する。
第一ノズル列NL1から吐出させる第一インク滴と第三ノズル列NL3から吐出させる第三インク滴とによって二次色を印刷する時の第一インク滴及び第三インク滴の重複の割合をX%とし、第一ノズル列NL1から吐出させる第一インク滴と第二ノズル列NL2から吐出させる第二インク滴とによって二次色を印刷する時の第一インク滴及び第二インク滴の重複の割合をY%とした時、第一の印刷は、X<Yの条件を満たす印刷を行う。
図12は、第一の印刷を説明する図である。
図12に示すインク組合せの「C+M」は、CインクとMインクとによって二次色であるブルー(B)を印刷する場合を表す。Cインクは第一ノズル列NL1から吐出させる第一インク滴であり、Mインクは第二ノズル列NL2から吐出させる第二インク滴である。上述したように、第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とのノズル間の距離は、全ての印刷領域AL1~AL6において距離L0で一定である。マスク組合せの「A+A’」は、Cインクのハーフトーン処理にディザマスクAを使用し、Mインクのハーフトーン処理にディザマスクA’を使用することを表す。
CインクとMインクとのドットの重複の割合について説明する。
Duty50%のCインクの印刷に図9に示す印刷データDA3が生成された場合、Duty50%のMインクの印刷には、Cインクの印刷データDA3全体が8列分シフトした図10に示す印刷データDA3が生成される。
Duty50%のCインクとDuty50%のMインクとで、合計Duty100%の印刷を行った場合、同一画素に、CインクとMインクとが着弾、Cインクのみが着弾、Mインクのみが着弾、いずれのインクも着弾しない、の4パターンが生じる。このため、Cインクの第一インク滴とMインクの第二インク滴とが同じ画素に着弾する確率は25%であり、ドットの重複の割合はY=25%となる。同様に、Duty62.5%のCインクとDuty62.5%のMインクとで、合計Duty125%の印刷を行った場合のドットの重複の割合は、Y=37.5%となる。Duty75%のCインクとDuty75%のMインクとで、合計Duty150%の印刷を行った場合のドットの重複の割合は、Y=50%となる。
インク組合せ「Y+C」は、YインクとCインクとによって二次色であるグリーン(G)を印刷する場合を表す。Yインクは第三ノズル列NL3から吐出させる第三インク滴である。上述したように、第一ノズル列NL1と第三ノズル列NL3とのノズル間の距離は、印刷領域AL1~AL6によって距離L1と距離L2との2種類を採り得る。マスク組合せ「B+A」は、Yインクのハーフトーン処理にディザマスクBを使用し、Cインクのハーフトーン処理にディザマスクAを使用することを表す。
YインクとCインクとのドットの重複の割合について説明する。
Duty50%のCインクの印刷に図9に示す印刷データDA3が生成された場合、Duty50%のYインクの印刷には、ドット有り画素とドット無し画素とが反転した図11に示す印刷データDA3が生成される。
Duty50%のCインクとDuty50%のYインクとで、合計Duty100%の印刷を行った場合、CインクとYインクとが同一画素に着弾することはないので、ドットの重複の割合は、X=0%である。Duty62.5%のCインクとDuty62.5%のYインクとで、合計Duty125%の印刷を行った場合、互いにDuty50%から増えるDuty12.5%に相当するドットが同一画素に着弾するので、ドットの重複の割合は、X=12.5%となる。Duty75%のCインクとDuty75%のYインクとで、合計Duty150%の印刷を行った場合のドットの重複の割合は、同様にX=25%となる。
第三インク滴であるYインクの印刷を決定するためのディザマスクBの閾値と、第一インク滴であるCインクの印刷を決定するディザマスクAの閾値とを相補関係にすることで、YインクとCインクとの重複の割合を少なくすることができる。
インク組合せ「Y+M」は、YインクとMインクとによって二次色であるレッド(R)を印刷する場合を表す。第二ノズル列NL2と第三ノズル列NL3とのノズル間の距離は、印刷領域AL1~AL6によって距離L1と距離L2との2種類を採り得る。マスク組合せ「B+A」は、Yインクのハーフトーン処理にディザマスクBを使用し、Mインクのハーフトーン処理にディザマスクAを使用することを表す。
YインクとMインクとのドットの重複の割合は、YインクとCインクとのドットの重複の割合と同じである。
第三インク滴であるYインクの印刷を決定するためのディザマスクBの閾値と、第二インク滴であるMインクの印刷を決定するディザマスクAの閾値とを相補関係にすることで、YインクとMインクとの重複の割合を少なくすることができる。ここで相補関係にするとは、ディザマスクAの閾値及びディザマスクBの閾値の全てが相補であることに限定されず、一部の閾値が相補の関係でないものも含むものである。
以上により、ハーフトーン処理部43によって、X<Yの条件を満たす第一の印刷のハーフトーン処理が実行される。
次に、印刷装置1の印刷方法について説明する。
<第一の印刷の印刷方法>
図13は、第一の印刷の印刷方法を説明するフローチャート図である。
ステップS101は、画像データを取得する画像取得工程である。インクジェットプリンター2は、被印刷物ME1に印刷する画像データ(RGB色空間のデータ)を取得し、RAM20や不揮発性メモリー30に格納する。
ステップS102は、解像度変換処理工程である。コントローラー10は、解像度変換部41において、取得した画像データの解像度を、解像度変換処理工程で被印刷物ME1に印刷する際の印刷解像度に変換した入力色データDA1を生成する。
ステップS103は、色変換処理工程である。コントローラー10は、色変換部42において、RGB色空間データである入力色データDA1に対して色変換処理を行い、CMYK色空間の画像データである出力色データDA2を生成する。
ステップS104は、ハーフトーン処理工程である。コントローラー10は、ハーフトーン処理部43において、CMYKの色毎の出力色データDA2に対してハーフトーン処理を行い、各画素のドットの有無を表す印刷データDA3を生成する。ハーフトーン処理部43は、二次色を印刷する際にインク滴を吐出する、異なる2つのノズル列のノズル間の距離が一定である場合のドットの重複の割合をY%とし、異なる2つのノズル列のノズル間の距離が複数ある場合のドットの重複の割合をX%とした時に、X<Yの条件を満たすハーフトーン処理を行う。
ステップS105は、機構部駆動工程である。コントローラー10は、信号送信部44において、駆動信号SGを印刷データDA3に基づいて生成して駆動回路62へ出力し、機構部50を駆動させる。これにより、被印刷物ME1に対して第一の印刷が実行される。
印刷装置1及び第一の印刷の印刷方法は、ノズル間の距離が複数ある第一ノズル列NL1と第三ノズル列NL3とを使用した二次色の印刷、及び第二ノズル列NL2と第三ノズル列NL3とを使用した二次色の印刷をする場合、ノズル間の距離が一定である第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とを使用して二次色を印刷する場合よりもドットの重複の割合を少なくして、発色の差異を生じ難くする。これにより、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において生じる筋や色ムラが抑制される。
本実施形態では、第一ノズル列NL1から吐出される第一インク滴がCインク、第三ノズル列NL3から吐出される第三インク滴がYインクであるので、シアンのインク滴とイエローのインク滴とによってグリーンを印刷させる時に生じる筋や色ムラを抑制することができる。また、第二ノズル列NL2から吐出される第二インク滴がMインクであるので、マゼンタのインク滴とイエローのインク滴とによってレッドを印刷させる時に生じる筋や色ムラを抑制することができる。
なお、第一の印刷の印刷方法においては、インクジェットプリンター2は、選択印刷部U1、被印刷物種類選択部U2、温度センサーSE1及び湿度センサーSE2を備えない構成であってもよい。
<被印刷物の種類に基づいて第一の印刷と第二の印刷とを選択的に行う印刷方法>
図14は、第二の印刷を説明する図である。図15は、被印刷物の種類に基づいて第一の印刷と第二の印刷とを選択的に行う印刷方法を説明するフローチャートである。図1に示すように、インクジェットプリンター2は、第一の印刷と第二の印刷とを含む複数の印刷を選択的に行う選択印刷部U1と、印刷に使用する被印刷物ME1の種類の選択を受け付ける被印刷物種類選択部U2とを備えている。選択印刷部U1及び被印刷物種類選択部U2は、CPU11に含まれる。
第二の印刷は、従来技術による印刷方法である。図14に示す第二の印刷の「インク色組合せ」、「ノズル間の距離」、「マスク組合せ」の意味は、第一の印刷と同じであるので、その説明を省略する。第二の印刷は、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用する「Y+C」、「Y+M」のインク色組合せによる二次色の印刷においても、マスク組合せ「A+A’」を適用する。したがって、ノズル間の距離が一定であるノズル列68を使用した場合のドットの重複の割合Y%と、ノズル間の距離が複数あるノズル列を使用した場合のドットの重複の割合X%とは、等しくなる。
以上により、ハーフトーン処理部43によって、X=Yの条件を満たす第二の印刷のハーフトーン処理が実行される。
選択印刷部U1は、X<Yを満たす第一の印刷と、X=Yを満たす第二の印刷とを含む複数の印刷を選択的に行う。印刷に使用する被印刷物ME1や印刷時の環境が、筋や色ムラの発生し易い印刷条件の時に、選択印刷部U1が第一の印刷を選択することにより、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
次に、被印刷物ME1に基づいて第一の印刷と第二の印刷とを選択的に行う印刷方法について図15を参照して説明する。なお、図15に示すフローのうち、ステップS201、ステップS203及びステップS204は、それぞれ、上述したステップS101、ステップS102及びステップS103と同じであるので、その説明を省略する。
ステップS202は、選択された被印刷物ME1の種類を選択する被印刷物種類選択工程である。コントローラー10は、被印刷物種類選択部U2が受け付けた被印刷物ME1の種類を、例えば不揮発性メモリー30に記憶する。被印刷物種類選択部U2は、例えば、操作パネル73の出力部74に表示される被印刷物の種類から、ユーザーが入力部75で選択することで、印刷に使用する被印刷物ME1の種類を特定する。被印刷物ME1の種類としては、例えば、インク滴が乾燥し難く、ノズル間の距離が複数あることにより筋や色むらが生じ易い第一の種類である被印刷物「Media1」、インク滴が乾燥し易く、ノズル間の距離が複数あっても筋や色むらが生じ難い第二の種類である被印刷物「Media2」がある。
ステップS205は、被印刷物ME1の種類を判断する判断工程である。コントローラー10は、不揮発性メモリー30を参照し、選択された被印刷物ME1の種類を求める。被印刷物ME1の種類が「Media1」の場合には、ステップS206に進み、被印刷物ME1の種類が「Media2」の場合には、ステップS207に進む。
ステップS206は、第一の印刷のハーフトーン処理工程である。コントローラー10は、被印刷物ME1の種類が「Media1」の場合に、第一の印刷のハーフトーン処理を実行する。本工程で行うハーフトーン処理は、ステップS104で説明したハーフトーン処理と同じである。
ステップS207は、第二の印刷のハーフトーン処理工程である。コントローラー10は、ハーフトーン処理部43において、CMYKの色毎の出力色データDA2に対してハーフトーン処理を行い、各画素のドットの有無を表す印刷データDA3を生成する。ハーフトーン処理部43は、二次色を印刷する際にインク滴67を吐出する、異なる2つのノズル列68のノズル間の距離が一定である場合のドットの重複の割合をY%とし、異なる2つのノズル列のノズル間の距離が複数ある場合のドットの重複の割合をX%とした時に、X=Yの条件を満たすハーフトーン処理を行う。
ステップS208は、機構部駆動工程である。コントローラー10は、信号送信部44において、駆動信号SGを印刷データDA3に基づいて生成して駆動回路62へ出力し、機構部50を駆動させる。選択印刷部U1は、選択を受け付けた被印刷物ME1の種類が「Media1」の場合に、ステップS206にて第一の印刷のハーフトーン処理を行わせるので、被印刷物ME1に対して第一の印刷が実行される。また、選択印刷部U1は、選択を受け付けた被印刷物ME1の種類が「Media2」の場合に、ステップS207にて第二の印刷のハーフトーン処理を行わせるので、被印刷物ME1に対して第二の印刷が実行される。
選択印刷部U1は、インク滴が乾燥し難く、ノズル間の距離が複数あることにより筋や色むらが生じ易い「Media1」が被印刷物種類選択部U2で選択された場合に、第一の印刷のハーフトーン処理及び第一の印刷を実行する。これにより、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
なお、被印刷物種類選択工程は、画像取得工程の後に行うものと説明したが、被印刷物種類選択工程は、開始直後から判断工程までの間に行えばよい。
被印刷物ME1の種類は、「Media1」、「Media2」の2種類から選択するものと説明したが、3種類以上から選択させてもよい。
<温度に基づいて第一の印刷と第二の印刷とを選択的に行う印刷方法>
図16は、温度に基づいて第一の印刷と第二の印刷とを選択的に行う印刷方法を説明するフローチャートである。
次に、温度に基づいて第一の印刷と第二の印刷とを選択的に行う印刷方法について図16を参照して説明する。なお、図16に示すフローのうち、ステップS301、ステップS303及びステップS304は、それぞれ、上述したステップS101、ステップS102及びステップS103と同じであるので、その説明を省略する。
ステップS302は、環境温度を測定する温度測定工程である。温度センサーSE1は、インクジェットプリンター2の環境温度を検出する。コントローラー10は、温度センサーSE1により検出された検出温度Tを取得し、例えば不揮発性メモリー30に記憶する。
ステップS305は、温度条件を判断する判断工程である。コントローラー10は、不揮発性メモリー30を参照し、検出温度T<温度Ttを満たすか否かを判断する。印刷を実行する際の検出温度Tが第一の温度条件を満たす場合、すなわち、検出温度Tがインク滴の乾燥し難い低い温度条件の場合には複数のノズル間の距離があることにより筋や色むらが生じ易い。第一の温度条件よりも高い第二の温度条件を満たす場合、すなわち、検出温度Tがインク滴の乾燥し易い高い温度条件の場合には複数のノズル間の距離があっても筋や色むらが生じ難い。検出温度Tが、第一の温度条件である温度Tt未満の場合には、ステップS306に進み、検出温度Tが、第二の温度条件である温度Tt以上の場合には、ステップS307に進む。
ステップS306は、第一の印刷のハーフトーン処理工程である。コントローラー10は、検出された温度Tが温度Tt以上の場合に、第一の印刷のハーフトーン処理を実行する。本工程で行うハーフトーン処理は、ステップS104で説明したハーフトーン処理と同じである。
ステップS307は、第二の印刷のハーフトーン処理工程である。コントローラー10は、検出された温度Tが温度Tt未満の場合に、第二の印刷のハーフトーン処理を実行する。本工程で行うハーフトーン処理は、ステップS207で説明したハーフトーン処理と同じである。
ステップS308は、機構部駆動工程である。コントローラー10は、信号送信部44において、駆動信号SGを印刷データDA3に基づいて生成して駆動回路62へ出力し、機構部50を駆動させる。選択印刷部U1は、検出された温度Tが温度Tt未満の場合に、ステップS306にて第一の印刷のハーフトーン処理を行わせるので、被印刷物ME1に対して第一の印刷が実行される。また、選択印刷部U1は、検出された温度Tが温度Tt以上の場合に、ステップS307にて第二の印刷のハーフトーン処理を行わせるので、被印刷物ME1に対して第二の印刷が実行される。
選択印刷部U1は、ノズル間の距離が複数あることにより筋や色むらが生じ易い環境条件である、温度センサーSE1の温度Tが温度Tt未満の場合に、第一の印刷のハーフトーン処理及び第一の印刷を実行する。これにより、インク滴の乾燥し難い温度条件下でのノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
なお、温度センサーSE1は、インクジェットプリンター2の環境温度を検出するものと説明したが、印刷ヘッド60の温度を検出する温度センサー等でもよい。また、温度測定工程は、画像取得工程の後に行うものと説明したが、温度測定工程は、開始直後から判断工程までの間に行えばよい。
<湿度に基づいて第一の印刷と第二の印刷とを選択的に行う印刷方法>
図17は、湿度に基づいて第一の印刷と第二の印刷とを選択的に行う印刷方法を説明するフローチャートである。
次に、湿度に基づいて第一の印刷と第二の印刷とを選択的に行う印刷方法について図17を参照して説明する。なお、図17に示すフローのうち、ステップS401、ステップS403及びステップS404は、それぞれ、上述したステップS101、ステップS102及びステップS103と同じであるので、その説明を省略する。
ステップS402は、環境湿度を測定する湿度測定工程である。湿度センサーSE2は、インクジェットプリンター2の環境湿度を検出する。コントローラー10は、湿度センサーSE2により検出された検出湿度Hを取得し、例えば不揮発性メモリー30に記憶する。
ステップS405は、湿度条件を判断する判断工程である。コントローラー10は、不揮発性メモリー30を参照し、検出湿度H>湿度Htを満たすか否かを判断する。印刷を実行する際の環境湿度が第一の湿度条件を満たす場合、すなわち、検出湿度Hがインク滴の乾燥し難い高い湿度条件の場合には複数のノズル間の距離があることにより筋や色むらが生じ易い。第一の湿度条件よりも低い第二の温度条件を満たす場合、すなわち、検出湿度Hがインク滴の乾燥し易い低い湿度条件の場合には複数のノズル間の距離があっても筋や色むらが生じ難い。検出湿度Hが、第一の湿度条件である湿度Htを超える場合には、ステップS406に進み、検出湿度Hが、第二の湿度条件である温度Ht以下の場合には、ステップS407に進む。
ステップS406は、第一の印刷のハーフトーン処理工程である。コントローラー10は、検出湿度Hが湿度Htを超える場合に、第一の印刷のハーフトーン処理を実行する。本工程で行うハーフトーン処理は、ステップS104で説明したハーフトーン処理と同じである。
ステップS407は、第二の印刷のハーフトーン処理工程である。コントローラー10は、検出湿度Hが湿度Ht以下の場合に、第二の印刷のハーフトーン処理を実行する。本工程で行うハーフトーン処理は、ステップS207で説明したハーフトーン処理と同じである。
ステップS408は、機構部駆動工程である。コントローラー10は、信号送信部44において、駆動信号SGを印刷データDA3に基づいて生成して駆動回路62へ出力し、機構部50を駆動させる。選択印刷部U1は、検出湿度Hが湿度Htを超える場合に、ステップS406にて第一の印刷のハーフトーン処理を行わせるので、被印刷物ME1に対して第一の印刷が実行される。また、選択印刷部U1は、検出湿度Hが湿度Ht以下の場合に、ステップS407にて第二の印刷のハーフトーン処理を行わせるので、被印刷物ME1に対して第二の印刷が実行される。
選択印刷部U1は、ノズル間の距離が複数あることにより筋や色むらが生じ易い環境条件である、湿度センサーSE2の検出湿度Hが湿度Htを超える場合に、第一の印刷のハーフトーン処理及び第一の印刷を実行する。これにより、インク滴の乾燥し難い湿度条件下でのノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
なお、湿度測定工程は、画像取得工程の後に行うものと説明したが、湿度測定工程は、開始直後から判断工程までの間に行えばよい。
本実施形態では、インクジェットプリンター2としてライプリンターを例示したが、シリアルヘッド方式のインクジェットプリンターであってもよい。
インクジェットプリンター2は、温度センサーSE1及び湿度センサーSE2を備えるものと説明したが、温度センサーSE1、湿度センサーSE2の代わりに露点温度計を備え、選択印刷部U1が露点温度に応じて第一の印刷を実行する構成であってもよい。
選択印刷部U1は、被印刷物ME1、検出温度Tや検出湿度Hに基づいて第一の印刷を実行するものと説明したが、選択印刷部は被印刷物ME1と検出温度Tと検出湿度Hとの組合せに基づいて第一の印刷を実行させてもよい。
選択印刷部U1及び被印刷物種類選択部U2は、CPU11に含まれるものと説明したが、ホスト装置100に含まれる構成であってもよい。
本実施形態に係る各処理は、CPU11が実行する例に限定されず、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの他の電子部品によって実行されてもよい。また、本実施形態に係る処理は、複数のCPUにより分散処理されてもよいし、CPUと他の電子部品とが協働して動作することにより実行されてもよい。
以上述べたように、本実施形態に係る印刷装置1、印刷方法及び画像処理装置3によれば、以下の効果を得ることができる。
インクジェットプリンター2は、ノズル間の距離が複数ある第一ノズル列NL1と第三ノズル列NL3とを使用した二次色の印刷、及び第二ノズル列NL2と第三ノズル列NL3とを使用した二次色の印刷をする場合、ノズル間の距離が一定である第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とを使用して二次色を印刷する場合よりもドットの重複の割合を少なくして、発色の差異を生じ難くする。これにより、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において生じる筋や色ムラが抑制される。したがって、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラの発生を抑制可能な印刷装置1を提供することができる。
第三インク滴であるYインクの印刷を決定するためのディザマスクBの閾値は、第一インク滴であるCインクの印刷、及び第二インク滴であるMインクの印刷を決定するディザマスクAの閾値と相補関係にある。これにより、YインクとCインクとの重複の割合、及びYインクとMインクとの重複の割合を少なくすることができる。
ヘッドチップ61には、第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とが相対移動方向D2に並び、第一ノズル列NL1と第三ノズル列NL3とが並び方向D1に並んでいる。この構成によれば、第一~第三ノズル列NL1~NL3を相対移動方向D2に並べた構成に比べ、相対移動方向D2における印刷ヘッド60の長さを短くすることができる。これにより、インク滴67の着弾位置にばらつきが生じ難く、被印刷物ME1が印刷ヘッド60に接触し難くなる。
ヘッドチップ61には、第三ノズル列NL3と第四ノズル列NL4とが相対移動方向D2に並んでいる。この構成によれば、第一~第四ノズル列NL1~NL4を相対移動方向D2に並べた構成に比べ、相対移動方向における印刷ヘッド60の長さを短くすることができる。
相対移動方向D2における印刷ヘッド60の長さLaは、相対移動方向D2におけるヘッドチップ61の長さLbの3倍である。これにより、相対移動方向D2における印刷ヘッド60の長さLaが最短となり、インク滴67の着弾位置にばらつきが生じ難くなり、被印刷物ME1が印刷ヘッド60に接触し難くなる。
第一ノズル列NL1から吐出される第一インク滴にはCインクが、第二ノズル列NL2から吐出される第二インク滴にはMインクが、第三ノズル列NL3から吐出される第三インク滴にはYインクが選ばれている。これにより、シアンのインク滴とイエローのインク滴とによってグリーンを印刷させる時、及びマゼンタのインク滴とイエローのインク滴とによってレッドを印刷させる時に生じる筋や色ムラを抑制することができる。
インクジェットプリンター2は、X<Yを満たす第一の印刷と、X=Yを満たす第二の印刷とを含む複数の印刷を選択的に行う選択印刷部U1を備えている。筋や色ムラの発生し易い印刷条件の時に、選択印刷部U1が第一の印刷を選択することにより、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
インクジェットプリンター2は、印刷に使用する被印刷物ME1の種類の選択を受け付ける被印刷物種類選択部U2を備えている。選択印刷部U1は、インク滴が乾燥し難く、ノズル間の距離が複数あることにより筋や色むらが生じ易い「Media1」が被印刷物種類選択部U2で選択された場合に、第一の印刷のハーフトーン処理及び第一の印刷を実行する。これにより、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
インクジェットプリンター2は、環境温度を検出する温度センサーSE1を備えている。選択印刷部U1は、ノズル間の距離が複数あることにより筋や色むらが生じ易い環境条件である、温度センサーSE1の検出温度Tが温度Tt未満の場合に、第一の印刷のハーフトーン処理及び第一の印刷を実行する。これにより、インク滴の乾燥し難い温度条件下でのノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
インクジェットプリンター2は、環境湿度を検出する湿度センサーSE2を備えている。選択印刷部U1は、ノズル間の距離が複数あることにより筋や色むらが生じ易い環境条件である、湿度センサーSE2の検出湿度Hが湿度Htを超える場合に、第一の印刷のハーフトーン処理及び第一の印刷を実行する。これにより、インク滴の乾燥し難い湿度条件下でのノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
印刷装置1の印刷方法は、ノズル間の距離が複数ある第一ノズル列NL1と第三ノズル列NL3とを使用した二次色の印刷、及び第二ノズル列NL2と第三ノズル列NL3とを使用した二次色の印刷をする場合、ノズル間の距離が一定である第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とを使用して二次色を印刷する場合よりもドットの重複の割合を少なくして、発色の差異を生じ難くする。これにより、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において生じる筋や色ムラが抑制される。したがって、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラの発生を抑制可能な印刷方法を提供することができる。
画像処理装置3は、ノズル間の距離が複数ある第一ノズル列NL1と第三ノズル列NL3とを使用した二次色の印刷、及び第二ノズル列NL2と第三ノズル列NL3とを使用した二次色の印刷をする場合、ノズル間の距離が一定である第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とを使用して二次色を印刷する場合よりもドットの重複の割合を少なくして、発色の差異を生じ難くするハーフトーン処理を行う。これにより、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において生じる筋や色ムラが抑制される。したがって、ノズル間の距離が複数あるノズル列68を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラの発生を抑制可能な画像処理装置3を提供することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。以下に、変形例を述べる。
(変形例)
次に、印刷ヘッドの変形例について図18を参照して説明する。図18は、変形例に係る印刷ヘッドを模式的に例示する図である。図2では、印刷ヘッド160をノズル64の有るノズル面とは反対側から示しているが、便宜上、ノズル64の位置を示し、C、M、Y、又は、Kのインク滴67を吐出するノズル64をインク滴67の色別の模様で表している。なお、実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
印刷ヘッド160は、第一ヘッドチップ161a、第二ヘッドチップ161b、及び第三ヘッドチップ161cで構成されている。
第一ヘッドチップ161aは、第三ノズル列NL3(ノズル列68Y)、及び第四ノズル列NL4(ノズル列68K)を有している。第一ヘッドチップ161aにおいて、第三ノズル列NL3と第四ノズル列NL4とが相対移動方向D2に並べられている。
第二ヘッドチップ161bは、第一ノズル列NL1(ノズル列68C)、第二ノズル列NL2(ノズル列68M)、第三ノズル列NL3、及び、第四ノズル列NL4を有している。第二ヘッドチップ161bにおいて、第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とが相対移動方向D2に並べられている。第一ノズル列NL1と第三ノズル列NL3とがノズル並び方向D1に並べられている。第三ノズル列NL3と第四ノズル列NL4とが相対移動方向D2に並べられている。
第三ヘッドチップ161cは、第一ノズル列NL1、及び第二ノズル列NL2を有している。第三ヘッドチップ161cにおいて、第一ノズル列NL1と第二ノズル列NL2とが相対移動方向D2に並べられている。
すなわち、印刷ヘッド160は、各2つの第一~第四ノズル列NL1,NL2,NL3,NL4で構成されている。
第二ヘッドチップ161bにおいては、ノズル列68C,68Mとノズル列68Y,68Kとの間に不吐出領域A2が生じる。並び方向D1においてノズル64の無い不吐出領域A2がヘッドチップ61に生じる場合、図18に示すように、同じラインDLにCMYKのノズル64を配置するためには、ヘッドチップ61を相対移動方向D2へ最低3個並べる必要がある。
印刷ヘッド60は、不吐出領域A2を有しているので、ノズル列68C,68M,68Y,68Kの組合せによっては相対移動方向D2におけるノズル間の距離が印刷領域AL1~AL3に応じて異なることがある。例えば、相対移動方向D2に沿った同じラインDLにおいてインク滴67を吐出する複数のノズル列68の内、相対移動方向D2におけるノズル列68C(第一ノズル列NL1)とノズル列68M(第二ノズル列NL2)とのノズル間の距離は、全てのラインDL1~DL3で一定の距離L0である。
相対移動方向D2におけるノズル列68C(第一ノズル列NL1)とノズル列68Y(第三ノズル列NL3)とのノズル間の距離は、複数の距離L1,L2がある。例えば、ラインDL1,DL3におけるノズル列68C,68Yのノズル間の距離は距離L1であり、ラインDL2におけるノズル列68C,68Yのノズル間の距離は距離L2(L2>L1)である。
従来、ノズル間の距離が複数ある印刷ヘッド160を用いて二次色を印刷した場合、二次色の発色の差異により筋、色むら生じていたが、印刷ヘッド160を備える印刷装置に、第一の印刷を適用することで、筋、色むらの発生を抑制することができる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
本願の印刷装置は、ノズル列のノズルの並び方向とは異なる相対移動方向へ印刷ヘッドと被印刷物とが相対移動する印刷装置であって、前記印刷ヘッドは、第一ノズル列、第二ノズル列、及び、第三ノズル列を有し、前記第一ノズル列、前記第二ノズル列、前記第三ノズル列の数は、2以上であり、前記相対移動方向に沿った同じライン上においてインク滴を吐出する複数のノズル列の内、前記相対移動方向における前記第一ノズル列と前記第二ノズル列との距離が一定であり、前記相対移動方向における前記第一ノズル列と前記第三ノズル列との距離に複数の距離があり、前記第一ノズル列から吐出させる第一インク滴と前記第三ノズル列から吐出させる第三インク滴とによって二次色を印刷する時の前記第一インク滴及び前記第三インク滴の重複の割合をX%とし、前記第一ノズル列から吐出させる前記第一インク滴と前記第二ノズル列から吐出させる第二インク滴とによって二次色を印刷する時の前記第一インク滴及び前記第二インク滴の重複の割合をY%とした時、X<Yの条件を満たす第一の印刷を行うことを特徴とする。
この構成によれば、相対移動方向における第一ノズル列と第三ノズル列との距離(以下、「ノズル間の距離」ともいう)には、長い距離と短い距離とがある。相対移動方向に沿った同じライン上においてノズル間の距離が長い場合、第一ノズル列から吐出された第一インク滴が被印刷物に着弾してから、第三ノズル列から吐出された第三インク滴が被印刷物の第一インク滴上に重複着弾するまでの時間が長い。相対移動方向に沿った同じライン上においてノズル間の距離が短い場合、第一ノズル列から吐出された第一インク滴が被印刷物に着弾してから、第三ノズル列から吐出された第三インク滴が被印刷物の第一インク滴上に重複着弾するまでの時間が短い。ノズル間の距離が長い領域では、第三インク滴の着弾までに第一インク滴の乾燥が進むので、第一インク滴と第三インク滴とが重複しても、インク同士が滲み難い。ノズル間の距離が短い領域では、第一インク滴の乾燥前に第三インク滴が着弾するので、第一インク滴と第三インク滴とが重複すると、インク同士が滲み易い。これにより、二次色の発色に差異が生じることで、相対移動方向に沿った筋や色ムラが視認されていた。
印刷装置は、第一ノズル列から吐出させる第一インク滴と第三ノズル列から吐出させる第三インク滴とによって二次色を印刷する時の第一インク滴及び第三インク滴の重複の割合をX%とし、第一ノズル列から吐出させる第一インク滴と第二ノズル列から吐出させる第二インク滴とによって二次色を印刷する時の第一インク滴及び第二インク滴の重複の割合をY%とした時、X<Yの条件を満たす印刷を行う。すなわち、印刷装置は、ノズル間の距離が複数ある、第一ノズル列と第三ノズル列とを使用して二次色を印刷する場合、ノズル間の距離が一定である、第一ノズル列と第二ノズル列とを使用して二次色を印刷する場合よりもインク滴の重複の割合を少なくして、発色の差異を生じ難くする。これにより、第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷において生じる筋や色ムラが抑制される。したがって、ノズル間の距離が複数ある第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラの発生を抑制可能な印刷装置を提供することができる。
上記の印刷装置において、前記第三インク滴での印刷を決定するためのディザマスクの複数の閾値は、前記第一インク滴での印刷を決定するためのディザマスクの複数の閾値と相補関係を満たすことが好ましい。
この構成によれば、第三インク滴での印刷を決定するためのディザマスクの閾値と、第一インク滴での印刷を決定するためのディザマスクの閾値とは相補関係にある。これにより、第一インク滴と第三インク滴との重複の割合を少なくすることができる。
上記の印刷装置において、前記印刷ヘッドは、前記第一ノズル列、前記第二ノズル列、及び、前記第三ノズル列を有する複数のヘッドチップを備え、前記ヘッドチップにおいて、前記第一ノズル列と前記第二ノズル列とが前記相対移動方向へ並べられ、前記第一ノズル列と前記第二ノズル列とのいずれか一方と、前記第三ノズル列と、が前記ノズルの並び方向へ並べられていることが好ましい。
この構成によれば、ヘッドチップは、第一ノズル列と第二ノズル列とが相対移動方向に並べられ、第一ノズル列と第二ノズル列とのいずれか一方と、第三ノズル列と、がノズルの並び方向に並べられている。印刷ヘッドは、複数のヘッドチップを備える。この構成は、第一~第三ノズル列を相対移動方向に並べた構成に比べ、相対移動方向における印刷ヘッドの長さを短くすることができる。これにより、インク滴の着弾位置にばらつきが生じ難く、被印刷物が印刷ヘッドに接触し難くさせることができる。
上記の印刷装置において、前記ヘッドチップは、さらに第四ノズル列を有し、前記第三ノズル列と、前記第四ノズル列と、が前記相対移動方向へ並べられていることが好ましい。
この構成によれば、ヘッドチップは、第三ノズル列と第四ノズル列とが相対移動方向に並べられている。すなわち、ヘッドチップには、第一~第四ノズル列が、相対移動方向とノズルの並び方向とに2行2列で配置されている。これにより、第一~第四ノズル列を相対移動方向に並べた構成に比べ、相対移動方向における印刷ヘッドの長さを短くすることができる。
上記の印刷装置において、前記相対移動方向における前記印刷ヘッドの長さは、前記相対移動方向における前記ヘッドチップの長さの3倍であることが好ましい。
この構成によれば、相対移動方向における印刷ヘッドの長さは、相対移動方向におけるヘッドチップの長さの3倍である。これにより、相対移動方向における印刷ヘッドの長さを最短とする構成が可能となるので、インク滴の着弾位置にばらつきが生じ難くなり、被印刷物が印刷ヘッドに接触し難くなる。
上記の印刷装置において、前記第一インク滴、前記第二インク滴、及び、前記第三インク滴の色は異なり、シアン、マゼンタ、及び、イエローの中から選ばれることが好ましい。
この構成によれば、第一インク滴、第二インク滴、及び、第三インク滴は、シアン、マゼンタ、及び、イエローの中から選ばれる。例えば、第一インク滴がシアン、第二インク滴がマゼンタ、第三インク滴がイエローであった場合、シアンのインク滴とイエローのインク滴とによってグリーンを印刷させる時に生じる筋や色ムラを抑制することができる。
上記の印刷装置は、前記第一の印刷と、X=Yを満たす第二の印刷と、を含む複数の印刷を選択的に行う選択印刷部を備えることが好ましい。
この構成によれば、印刷装置は、X<Yを満たす第一の印刷と、X=Yを満たす第二の印刷とを含む複数の印刷を選択的に行う選択印刷部を備えている。選択印刷部が第一の印刷を選択することにより、ノズル間の距離が複数ある、第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
上記の印刷装置は、印刷に使用する前記被印刷物の種類の選択を受け付ける被印刷物種類選択部を備え、前記選択印刷部は、前記被印刷物種類選択部が受け付けた前記被印刷物の種類が第一の種類である場合に前記第一の印刷を行い、前記被印刷物種類選択部が受け付けた前記被印刷物の種類が前記第一の種類よりも乾燥し易い第二の種類である場合に前記第二の印刷を行うことが好ましい。
この構成によれば、印刷装置は、印刷に使用する被印刷物の種類の選択を受け付ける被印刷物種類選択部を備えている。選択印刷部は、被印刷物種類選択部が受け付けた被印刷物の種類が第一の種類である場合に第一の印刷を行い、被印刷物種類選択部が受け付けた被印刷物の種類が第二の種類である場合に第二の印刷を行う。例えば、受け付けた被印刷物がインク滴の乾燥し難い、すなわち筋や色ムラの発生し易い第一の種類であった場合、選択印刷部は、第一の印刷を行う。逆に、受け付けた被印刷物がインク滴の乾燥し易い、すなわち筋や色ムラの発生し難い第二の種類であった場合、選択印刷部は、第二の印刷を行う。これにより、第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
上記の印刷装置は、温度を検出する温度センサーを備え、前記選択印刷部は、前記温度センサーで検出された温度が第一の温度条件を満たす場合に前記第一の印刷を行い、前記第一の温度条件よりも高い第二の温度条件を満たす場合に前記第二の印刷を行うことが好ましい。
この構成によれば、印刷装置は、温度を検出する温度センサーを備えている。選択印刷部は、第一の温度条件を満たす場合に第一の印刷を行い、第一の温度条件よりも高い第二の温度条件を満たす場合に第二の印刷を行う。例えば、インク滴の乾燥し難い、すなわち筋や色ムラの発生し易い第一の温度条件を満たす場合、選択印刷部は、第一の印刷を行う。これにより、筋や色ムラの生じ易い温度条件における第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷にて、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
上記の印刷装置は、湿度を検出する湿度センサーを備え、前記選択印刷部は、前記湿度センサーで検出された湿度が第一の湿度条件を満たす場合に前記第一の印刷を行い、前記第一の湿度条件よりも低い第二の湿度条件を満たす場合に前記第二の印刷を行うことが好ましい。
この構成によれば、印刷装置は、湿度を検出する湿度センサーを備えている。選択印刷部は、第一の湿度条件を満たす場合に第一の印刷を行い、第一の湿度条件よりも低い第二の湿度条件を満たす場合に第二の印刷を行う。例えば、インク滴の乾燥し難い、すなわち筋や色ムラの発生し易い第一の湿度条件を満たす場合、選択印刷部は、第一の印刷を行う。これにより、第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラを抑制させた印刷を行うことができる。
本願の印刷方法は、ノズル列のノズルの並び方向とは異なる相対移動方向へ印刷ヘッドと被印刷物とが相対移動する印刷方法であって、前記印刷ヘッドは、第一ノズル列、第二ノズル列、及び、第三ノズル列を有し、前記第一ノズル列、前記第二ノズル列、前記第三ノズル列の数は、2以上であり、前記相対移動方向に沿った同じライン上においてインク滴を吐出する複数のノズル列の内、前記相対移動方向における前記第一ノズル列と前記第二ノズル列との距離が一定であり、前記相対移動方向における前記第一ノズル列と前記第三ノズル列との距離に複数の距離があり、前記第一ノズル列から吐出させる第一インク滴と前記第三ノズル列から吐出させる第三インク滴とによって二次色を印刷する時の前記第一インク滴及び前記第三インク滴の重複の割合をX%とし、前記第一ノズル列から吐出させる前記第一インク滴と前記第二ノズル列から吐出させる第二インク滴とによって二次色を印刷する時の前記第一インク滴及び前記第二インク滴の重複の割合をY%とした時、X<Yの条件を満たす第一の印刷を行うことを特徴とする。
この印刷方法を適用する印刷装置は、相対移動方向における第一ノズル列と第三ノズル列との距離(以下、「ノズル間の距離」ともいう)に、長い距離と短い距離とがある。相対移動方向に沿った同じライン上においてノズル間の距離が長い場合、第一ノズル列から吐出された第一インク滴が被印刷物に着弾してから、第三ノズル列から吐出された第三インク滴が被印刷物に重複着弾するまでの時間が長い。相対移動方向に沿った同じライン上においてノズル間の距離が短い場合、第一ノズル列から吐出された第一インク滴が被印刷物に着弾してから、第三ノズル列から吐出された第三インク滴が被印刷物に重複着弾するまでの時間が短い。ノズル間の距離が長い領域では、第三インク滴の着弾までに第一インク滴の乾燥が進むので、第一インク滴と第三インク滴とが重複しても、インク同士が滲み難い。ノズル間の距離が短い領域では、第一インク滴の乾燥前に第三インク滴が着弾するので、第一インク滴と第三インク滴とが重複すると、インク同士が滲み易い。これにより、二次色の発色に差異が生じることで、相対移動方向に沿った筋や色ムラが視認されていた。
この印刷方法は、第一ノズル列から吐出させる第一インク滴と第三ノズル列から吐出させる第三インク滴とによって二次色を印刷する時の第一インク滴及び第三インク滴の重複の割合をX%とし、第一ノズル列から吐出させる第一インク滴と第二ノズル列から吐出させる第二インク滴とによって二次色を印刷する時の第一インク滴及び第二インク滴の重複の割合をY%とした時、X<Yの条件を満たす第一の印刷を行う。すなわち、印刷方法は、ノズル間の距離が複数ある、第一ノズル列と第三ノズル列とを使用して二次色を印刷する場合、ノズル間の距離が一定である、第一ノズル列と第二ノズル列とを使用して二次色を印刷する場合よりもインク滴の重複の割合を少なくして、発色の差異を生じ難くする。これにより、ノズル間の距離が複数ある、第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷において生じる筋や色ムラが抑制される。したがって、ノズル間の距離が複数ある第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラの発生を抑制可能な印刷方法を提供することができる。
本願の画像処理装置は、第一ノズル列、第二ノズル列、及び、第三ノズル列を有し、前記第一ノズル列、前記第二ノズル列、前記第三ノズル列の数は、2以上であり、ノズル列のノズルの並び方向とは異なる相対移動方向に沿った同じライン上においてインク滴を吐出する複数のノズル列の内、前記相対移動方向における前記第一ノズル列と前記第二ノズル列との距離が一定であり、前記相対移動方向における前記第一ノズル列と前記第三ノズル列との距離に複数の距離がある印刷ヘッドを備えた印刷装置用の印刷データを、画像データに基づいて生成する画像処理装置であって、前記画像データに基づいて、ハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部を備え、前記ハーフトーン処理部は、前記第一ノズル列から吐出させる第一インク滴と前記第三ノズル列から吐出させる第三インク滴とによって二次色を印刷する時の前記第一インク滴及び前記第三インク滴の重複の割合をX%とし、前記第一ノズル列から吐出させる前記第一インク滴と前記第二ノズル列から吐出させる第二インク滴とによって二次色を印刷する時の前記第一インク滴及び前記第二インク滴の重複の割合をY%とした時、X<Yの条件を満たすハーフトーン処理を行うことを特徴とする。
この画像処理装置を有する印刷装置は、相対移動方向における第一ノズル列と第三ノズル列との距離(以下、「ノズル間の距離」ともいう)に、長い距離と短い距離とがある。相対移動方向に沿った同じライン上においてノズル間の距離が長い場合、第一ノズル列から吐出された第一インク滴が被印刷物に着弾してから、第三ノズル列から吐出された第三インク滴が被印刷物に重複着弾するまでの時間が長い。相対移動方向に沿った同じライン上においてノズル間の距離が短い場合、第一ノズル列から吐出された第一インク滴が被印刷物に着弾してから、第三ノズル列から吐出された第三インク滴が被印刷物に重複着弾するまでの時間が短い。ノズル間の距離が長い領域では、第三インク滴の着弾までに第一インク滴の乾燥が進むので、第一インク滴と第三インク滴とが重複しても、インク同士が滲み難い。ノズル間の距離が短い領域では、第一インク滴の乾燥前に第三インク滴が着弾するので、第一インク滴と第三インク滴とが重複すると、インク同士が滲み易い。これにより、二次色の発色に差異が生じることで、相対移動方向に沿った筋や色ムラが視認されていた。
この画像処理装置は、第一ノズル列から吐出させる第一インク滴と第三ノズル列から吐出させる第三インク滴とによって二次色を印刷する時の第一インク滴及び第三インク滴の重複の割合をX%とし、第一ノズル列から吐出させる第一インク滴と第二ノズル列から吐出させる第二インク滴とによって二次色を印刷する時の第一インク滴及び第二インク滴の重複の割合をY%とした時、X<Yの条件を満たす処理を行う。すなわち、画像処理装置は、ノズル間の距離が複数ある、第一ノズル列と第三ノズル列とを使用して二次色を印刷する場合、ノズル間の距離が一定である、第一ノズル列と第二ノズル列とを使用して二次色を印刷する場合よりもインク滴の重複の割合を少なくして、発色の差異を生じ難くするハーフトーン処理を行う。これにより、ノズル間の距離が複数ある、第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷において生じる筋や色ムラが抑制される。したがって、ノズル間の距離が複数ある第一、第三ノズル列を使用した二次色の印刷において、筋や色ムラの発生を抑制可能な画像処理装置を提供することができる。