JP7080920B2 - 難燃性放熱シート - Google Patents
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Description
温度上昇の抑制手段としては、放熱板を部品に接触させる技術が知られている。放熱板を部品に接触させることにより、部品に発生した熱が放熱板へと伝導し、その結果、部品の温度上昇を抑制できる。
放熱板には、金属、金属シートやグラファイトシートのような熱伝導率の高い材料が使用されている。また、酸化被膜(アルマイト処理、金属ヒートシンク)や樹脂コーティング(筐体への樹脂塗装)等の表面処理を行って、輻射性能を向上させる手法もある。
また、金属シートやグラファイトシートを用いた場合には、短絡事故を防ぐために、樹脂フィルムでのラミネート加工等が必要になり、コストの上昇を招来するとともに、薄型化された電子機器には使用できないという問題点がある。
さらに、酸化被膜等の形成は、電子部品や基材自身への加工となるため、設計段階からの考慮が必要となり、後付けが難しくなる。また、部分的な放熱処理が難しいため、製品設計自体が難しくなるおそれがある。
また、この難燃性放熱シートは難燃性を備えているため、従来のものでは対応できなかった電源装置の周囲にも使用することができるというメリットがある。
さらに、本発明に係る難燃性放熱シートでは、熱伝導粘着層を構成する難燃機能性材料に固形難燃剤と可溶性難燃剤とを併用しているため、難燃剤の使用量を低減させつつ、粘着力を確保することができる。すなわち、難燃剤として固形難燃剤だけを大量に使用すると、固形難燃剤が粉末タイプであるために添加された耐熱性粘着剤はパサパサとした乾燥状態になってしまい、結果として粘着力が低下してしまうが、固形難燃剤のみならず、粘着力の高い液体タイプの可溶性難燃剤をも併用することで、粘着力を確保している。
なお、図1では作画の都合上、各部の厚さ寸法は誇張されている。
10mm角の35μm厚のアルミニウム箔であると、アルミニウムの熱伝導率を200W/m.Kとすると、熱抵抗は以下のようになる。
アルミニウムの熱抵抗=1÷200×0.035÷(10×10)×1000
=0.00175K/W
これに対して、10mm角の35μm厚の銅箔であると、銅の熱伝導率を420W/m.Kとすると、熱抵抗は以下のようになる。
銅の熱抵抗=1÷420×0.035÷(10×10)×1000
=0.00083K/W
すなわち、熱伝導拡散層100にアルミニウム箔を使用すると、約2倍の熱抵抗が発生するため、放熱性能が低下するのである。
その組成配合比は、アクリルウレタン樹脂を10~40%(望ましくは32.8%)、放熱材を0.5~45%(望ましくは11.3%)、分散剤を0.2~1.5%(望ましくは0.5%)、沈殿防止剤を0.2~1.5%(望ましくは0.5%)、希釈溶剤を5~45%(望ましくは5.0%)、固形難燃剤を15~50%(望ましくは28.5%)、硬化剤を5~30%(望ましくは21.4%)とする。
なお、この放熱層200は絶縁性を有しているため、電子機器内部で使用しても短絡事故の原因となることはない。
上記放熱材の配合は塗布後の基材との密着性の維持のために0.5~45%(望ましくは11.3%)とした。
また、前記固体添加物(固形難燃剤、放熱材など)が多いことから、塗料液を保管した際の塗料液のアクリルウレタン樹脂と添加剤との分離を抑えるため、前記分散剤を0.2~1.5%(望ましくは0.5%)、前記沈殿防止剤を0.2~1.5%(望ましくは0.5%)加えることで塗料液の分離を抑えて品質安定性を確保した。
また、放熱材としては土状グラファイトであり、平均粒径が5μmのものを使用する。なお、この放熱材は単体では粒径が5μm以下であるが、凝集すると粒径は最大105μmになる。なお、放熱材としては土状グラファイト以外に、カーボン系、セラミック系のものを使用することができる。
さらに、希釈溶剤としては主剤としてのアクリルウレタン樹脂が溶けるもの、例えば酢酸n-ブチルを使用する。
さらに、固形難燃剤としては、メラミンがコーティングされたポリリン酸アンモニウムを使用する。その他に固形難燃剤としては、金属酸化物などの無機系難燃剤、リン系などの有機難燃剤でも使用することができる。この固形難燃剤は、平均粒径7~16μmのものを使用する。なぜなら、放熱層200の膜厚は20μmであるため、外観上や生産性向上のため、凹凸ができないように膜厚より小さな粒径のものを使用するのである。
分散剤、沈殿防止剤も塗料としての品質を安定させるために使用する。
難燃性についてはUL94V試験、密着性についてはJISのK5600-5-6試験にそれぞれ準拠して実験を行った。
その実験結果を下記表1に示す。
安全性を見込めば少なくとも40%以上の混合比率が望ましい。
塗料の主剤であるアクリルウレタン樹脂は、燃えやすい材料であるため、難燃剤を多く混合する必要がある。
しかしながら、難燃剤を入れすぎると、難燃剤が粉体のため、塗料が液体にならない。また、難燃剤を入れすぎると粘度が高くなりすぎ、製造時に摩擦熱が発生するため、量産に向かない。
一方、難燃剤が少なければ、難燃性が確保できず、燃焼してしまう問題がある。
希釈溶剤を10%追加で加えることで粘度を下げた。これにより、摩擦熱で量産できないという問題を解消した。
なお、上記配合は、稀釈溶剤を5~45%(望ましくは5.0%)加えることが最適である。この範囲を外れると、難燃性、放熱性、密着性、摩擦熱による量産性、品質安定性などを確保できないため、範囲内での配合量が重要となる。
また、難燃剤を少量ずつ加えることで粘度上昇を穏やかにし、摩擦熱を緩和した。
さらに、希釈しても塗膜が割れないように、高固形分かつ柔軟性のあるアクリルウレタン樹脂を採用した。
難燃剤を多量に添加できないという問題点解消のため、主剤であるアクリルウレタン樹脂に高粘度かつ高固形分のものを採用した。
かかる効果を確認するため、放熱層200があるものとないものとを以下の条件で比較した。なお、比較例として発熱体である抵抗器のみの表面温度も測定した。
試験試料に1Ωの抵抗器を熱伝導性両面粘着テープを用いて固定し、雰囲気温度25℃の恒温恒湿槽内に設置し、抵抗器に1.5Vの電圧を2000秒間印加して抵抗器の表面温度を計測した。
(1)難燃性放熱シート1000あるいはそれに類似したものを貼り付けない発熱体のみの場合と、(2)発熱体に放熱層200がある難燃性放熱シート1000を貼り付けた場合と、(3)発熱体に放熱層200がないシートを貼り付けた場合の2000秒経過後の温度を以下の表2に示す。
その結果を図2に示す。
一般的には銅箔等の金属箔への塗装は、転写からの張り合わせ工程で行うが、前記放熱層200を構成する難燃放熱塗料には難燃剤や放熱材が高充填されているので、熱伝導拡散層100と密着する主成分となるアクリルウレタン樹脂が少ないので、転写からの張り合わせ工程では密着性が確保できない。
このため、放熱層200の熱伝導拡散層100への塗布工程は、ダイレクト塗工方法とフローティング乾燥方法とを併用することで量産可能とした。
転写用フィルムに塗料を塗布し、それを乾燥炉に通し、ロール状に巻き取る。
塗料を塗布したい基材(この場合は熱伝導拡散層100)をセットし、塗料が塗布された転写用フィルムを基材に押し付けることで塗料を基材に転写する。
この方法は、転写用フィルムが柔軟性を有しているため、厚みがあり強度の高い基材である程度は対応可能となるメリットがある。
しかし、難燃放熱塗料は2液性であるため、転写用フィルムに塗布して乾燥炉を通すと、塗膜の表面が乾燥してしまい、基材には転写できないという問題がある。
しかしながら、このダイレクト塗工方法では、銅箔である熱伝導拡散層100はある程度の厚みがあり、かつ強度が高いので、各装置を磨耗させて傷めてしまう。また、磨耗の際に発生する金属粉が製品に混入するという問題がある。
このため、このダイレクト塗工方法のみで対応することはできない。
すなわち、塗布したい基材(この場合は熱伝導拡散層100)に難燃放熱塗料を直接塗布した後、基材を風で浮かせた状態で乾燥炉に導入する。基材が風で浮いているため、基材が硬くても各装置を傷めることがない。また、熱も均一に伝わるため、基材の表面には均一な高品質の乾燥膜が形成される。
その組成配合比は、耐熱性粘着剤を30~70%(望ましくは61.8%)、可溶性難燃剤を5~40%(望ましくは10.4%)、固形難燃剤を10~60%(望ましくは25.8%)、熱伝導フィラーを1~5%(望ましくは1.4%)、硬化剤を0.3~3%(望ましくは0.6%)である。
また、可溶性難燃剤としてはホスファゼン系であり、前記耐熱性粘着剤によく混じる親和性の高いものを選択する。
硬化剤としてはイソシアネート化合物であり、前記耐熱性粘着剤によく混じる親和性の高いものを選択する。
固形難燃剤としてはメラミンがコーティングされたポリリン酸アンモニウムなどであり、平均粒径が7~16μmのものを使用する。
熱伝導フィラーとしては鉄、珪素、マグネシウム、亜鉛、酸素などの化合物であり、分球を行って、粒径が35μm以下のものを使用する。
一般的に難燃性や熱伝導性を確保するためには、主剤である耐熱粘着剤に難燃機能性材料を混合することが重要である。がしかし、単に難燃機能性材料を混合するだけでは、粘着力が低下するという問題がある。
(2)耐熱性粘着剤に対する難燃機能性材料の分散を最適化する。
(3)難燃機能性材料の添加順を最適化する。
(4)難燃機能性材料性の難燃剤に固形タイプと液体タイプとを併用する。
まず、難燃機能性材料の粒径を熱伝導粘着層300の厚さ(35μm)よりも小さくするため、難燃機能材料の1つである固形難燃剤は、平均粒径が7~16μmの小さなものを選択し、また、熱伝導フィラーは分球を行って35μmより小さなものを選択した。
難燃機能性材料の粒径が熱伝導粘着層200の厚さ(35μm)よりも小さいと、熱伝導粘着層300の表面がより平らになるため、粘着力が向上すると考えられる。
また、主剤である高粘度の耐熱性粘着剤に対する難燃機能性材料の分散を最適化するために、攪拌槽内における流動を軸方向とは垂直の方向の流れを生み出す幅流(放射流)で行った。
幅流であると、上面から底面に混合する物質を引き込みことが可能であり、乱流と大きな剪断力を発生させることができる。この幅流は、溶解型攪拌羽根、ディゾルバー型攪拌羽根等で発生させることができる。
固形難燃剤の粒径は本来16μm程度であるが、実際にはそれが凝縮して50μm程度になったものが混在している。この大きな粒子が粘着力の低下の一要因となっていた。
攪拌を開始すると、耐熱性粘着剤に抵抗が加わって攪拌羽根の周囲の耐熱性粘着剤が硬くなる。この固くなった耐熱性粘着剤を固形難燃剤に直接的に衝突させることで、凝縮して大きくなっている固形難燃剤の粒子を物理的に破壊して小さくするのである。
さらに、難燃機能性材料の添加順を最適化した。
難燃機能性材料を大量に高粘度である耐熱性粘着剤に添加する際は、難燃機能性材料の表面積及び表面状態が粘着力に大きな影響を与えていることが判明した。
すなわち、難燃機能性材料を大量に添加すると、難燃機能性材料の表面積が増大し、難燃機能性材料の高粘度化を招くことなる。また、同時に難燃機能性材料の表面状態(材料間の親和力の差による表面張力)を原因として凝集反応が生じてしまう。これらの結果、粘着力が低下するのである。
しかしながら、この一般的な順序では高粘度である耐熱性粘着剤に最初に難燃機能性材料を添加するため、表面積の増大、高粘度化をもたらしてしまう。
そこで、本発明の実施の形態に係る難燃性放熱シートの熱伝導粘着層300を構成する熱伝導粘着剤は、以下の順序で各材料を混合する。
低粘度の希釈剤に難燃機能性材料、すなわち可溶性難燃剤、固形難燃剤及び熱伝導フィラーを添加する。それも難燃機能性材料は少量ずつ希釈剤に添加する。
次に、難燃機能性材料が添加された希釈剤を高粘度の主剤たる耐熱性粘着剤に添加する。このため、高粘度の液体である耐熱性粘着剤に大量の粉(固形難燃剤や熱伝導フィラー)を入れずにすむので、耐熱性粘着剤の表面張力を緩和した状態で粉を添加することになり、粘着力が低下することがない。
この後、主剤であるアクリル樹脂系の耐熱粘着剤及び可溶性難燃剤を加え、回転数500rpmで5分間攪拌する。
さらにこの後、硬化剤を加えて回転数500rpmで5分間攪拌する。
なお、一例として、酢酸エチルを34.5g、固形難燃剤を16.9g、熱伝導フィラーを0.9g、耐熱性粘着剤を40.4g、可溶性難燃剤を6.9g、硬化剤を0.4gとする。
難燃機能性材料を構成する難燃剤には、粉末タイプの固形難燃剤と、液体タイプの可溶性難燃剤とを併用した。
難燃剤として固形難燃剤だけを大量に使用すると、固形難燃剤が粉末タイプであるために添加された耐熱性粘着剤はパサパサとした乾燥状態になってしまい、結果として粘着力が低下してしまう。そこで、固形難燃剤のみならず、粘着力の高い液体タイプの可溶性難燃剤をも併用することで、粘着力を確保している。
比較例として、固形難燃剤及び可溶性難燃剤の添加量を10%、20%、30%としたシートをあげた。
その結果を下記の表3に示す。固形難燃剤及び可溶性難燃剤の添加量を36.3%としたものだけが難燃性を有していることが確認できた。
熱伝導粘着剤から構成される熱伝導粘着層は、主剤にアクリル系樹脂である耐熱性粘着剤を使用しているため、熱伝導率が悪い。
そこで、熱伝導粘着剤に熱伝導フィラーを混入して熱伝導率を高くして放熱効果を向上させている。
この熱伝導フィラーが混入された熱伝導粘着剤を熱伝導粘着層とした難燃性放熱シートと、熱伝導フィラーが混入されていない比較用粘着剤を用いた比較用シートとを用いて以下の実験を行い、それぞれ放熱効果を確認した。
なお、実験は実験装置全体を風防でカバーした状態で行った。
その実験結果を以下の表4に示す。
200 放熱層
300 熱伝導粘着層
1000 難燃性放熱シート
Claims (6)
- 熱伝導拡散層と、この熱伝導拡散層の一面に積層される放熱層と、前記熱伝導拡散層の他面に積層される熱伝導粘着層とを具備しており、前記熱伝導拡散層は銅箔であり、前記放熱層は難燃放熱塗料であり、前記熱伝導粘着層は耐熱粘着剤に難燃機能性材料を混合したものであり、かつ前記難燃機能性材料は、固形難燃剤、可溶性難燃剤及び熱伝導フィラーを含み、前記放熱層はアクリルウレタン樹脂を主剤とし、それに放熱材、分散剤、沈殿防止剤、稀釈溶剤、固形難燃剤、硬化剤を混合したものであり、前記アクリルウレタン樹脂は、透明度のあるものであり、前記硬化剤は、透明度のあるものであり、前記放熱材は土状グラファイトであることを特徴とする難燃性放熱シート。
- 前記土状グラファイトは、平均粒度が5μmであることを特徴とする請求項1記載の難燃性放熱シート。
- 前記アクリルウレタン樹脂は10~40%(望ましくは32.8%)、前記放熱材は0.5~45%(望ましくは11.3%)、前記分散剤は0.2~1.5%(望ましくは0.5%)、前記硬化剤は5~30%(望ましくは21.4%)であることを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性放熱シート。
- 前記固形難燃剤は、前記難燃放熱塗料を100%としたとき、30%以上かつ50%以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の難燃性放熱シート。
- 前記難燃機能性材料のうち、固形難燃剤及び熱伝導フィラーは、熱伝導粘着層の厚み寸法より小さな径を有するものであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の難燃性放熱シート。
- 前記熱伝導粘着層には、剥離紙が積層されていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の難燃性放熱シート。
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