JP7081282B2 - トーションビーム製造方法及びトーションビーム製造装置 - Google Patents
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Description
トーションビーム式サスペンション装置は、トーションビームアッセンブリと、スプリングと、アブソーバとを備える。トーションビームアッセンブリは、左右の車輪を回転自在に支持する左右一対のトレーリングアームがトーションビームによって連結され、さらに、左右一対のスプリング受部がトーションビームの左右端近傍に接合された構造を有している。スプリング及びアブソーバは、トーションビームと車体との間を連結する。トーションビームは、車体の左右から中央側に向かって伸びるピボット軸を介して、車体に対して揺動可能に接続されている。
トーションビームは、略V字形状又は略U字形状の略一定閉断面を有する一定形状閉断面部と、左右のトレーリングアームに接続される取付部と、一定形状閉断面部及び取付部間に位置する形状変化部(徐変部)とを有しており、車体が路面から外力を受けた場合に、主としてトーションビームの捻れ剛性により車体のロール剛性を確保している。
そのため、路面から種々の外力を受けた場合でも、金属疲労の進展を抑制する必要があり、このような金属疲労を抑制するために種々の技術が開発されている(例えば、特許文献2~5参照)。
特許文献3に記載の技術は、熱処理後に表面硬度が高くなる鋼管を用いることにより、トーションビームの表面硬度を向上させて、トーションビームの疲労特性を向上させる。
特許文献4に記載の技術は、ハイドロフォームによって鋼管の内方から外方に向かう圧力を加えることで引張応力を付与し、その結果として、トーションビームの残留応力を低減させて疲労特性を向上させる。
特許文献5に記載の技術は、管体を成形加工してトーションビームとするにあたり、前記管体の一部を径方向に押し潰して断面略U字状に成形した後、ボトムラインを腹側とする曲げにより、耳部に2~6%の引張側の曲げ歪みを付与する。これにより、トーションビームの疲労危険部位である耳部の疲労強度を向上させる。
また、特許文献5に記載の技術では、耳部に対して引張側の曲げ歪みを付与することから、耳部の減肉が避けられない。この分の減肉量を見越して全体の板厚を増すと、今度は重量増の問題を招くことになる。
このように、軽量で疲労特性に優れたトーションビームを効率的に製造することが可能な製造技術が望まれている。
トーションビーム式リアサスペンション装置1は、図1に示すように、トーションビームアッセンブリ2と、トーションビームアッセンブリ2及び車体(不図示)間を連結するスプリング3及びアブソーバと4と、を備えている。
トーションビームアッセンブリ2は、図2に示すように、例えば、左右一対のトレーリングアーム(アーム)5と、これらトレーリングアーム5間を連結するトーションビーム10と、スプリング3を支持する左右一対のスプリング受部3Aとを備えている。また、緩衝装置であるアブソーバ4の一端側が、図示しない緩衝受部に接続されている。
なお、本実施形態において、トーションビーム10は、図1、図2に示すように、上側に凸とされた略V字形状の閉断面形状を有している。
スプリング受部3Aは、トーションビーム10を間に挟んでピボット取付部材5Fの反対側に配置されており、スプリング3の一端側が取付けられる。路面から受けた荷重は、車輪WL、WR、トレーリングアーム5、及びスプリング3を介して前記車両に伝達する。
図3は、本実施形態に係るトーションビーム10の概略構成を説明する斜視図である。図4は、トーションビーム10の形状変化部近傍の概略構成を説明する斜視図である。図5A、図5B、図5Cは、トーションビーム10を示す断面図であり、図5Aが図4における矢視VA-VAでの断面図を示し、図5Bが図4における矢視VB-VBでの断面図を示し、図5Cが図4における矢視VC-VCにおける断面図を示している。
形状変化部12は、略V字形状又は略U字形状の凹側を構成する壁部の谷部(底部)の深さが、長手方向外方(車両幅方向外方)に向かって漸次浅くなる部分である。なお、形状変化部12の途中に、谷部(底部)が一段と浅くなる箇所が部分的に形成されていてもよい。
取付閉断面部13は、形状変化部12の長手方向外方(車両幅方向外方)に配置され、略V字形状又は略U字形状をなす凹部が形成されていない部分を言う。
一定形状閉断面部11は、トーションビーム10の長手方向と直交する断面が略V字形状の一定形状に形成されるとともに、この実施形態では、例えば、車体前後方向で対称となる形状を有している。
そして、第1壁部S110Aと第2壁部S120Aとは、密着部S150Aを介して互いに接している。
各折返し壁部S130Aが耳部eをなし、また、第2壁部S120Aの折り返し点である最下端縁が、ボトムラインbtをなしている。一対の耳部eは、トーションビーム10の長手方向に沿ってそれぞれ延在している。同様に、ボトムラインbtも、トーションビーム10の長手方向に沿って延在している。
第1壁部側折返し点aは、第1壁部S110Aの端縁と折返し壁部S130Aの端縁との接続点である。また、第2壁部側折返し点bは、第2壁部S120Aの端縁と折返し壁部S130Aの端縁との接続点である。
そして、第1壁部S110B及び第2壁部S120B間には、中空部S150Bが形成されている。
各折返し壁部S130Bが耳部eをなし、また、第2壁部S120Bの折り返し点である最下端縁が、ボトムラインbtをなしている。一対の耳部eは、トーションビーム10の長手方向に沿ってそれぞれ延在し、一定形状閉断面部11の一対の耳部eに連なっている。同様に、ボトムラインbtも、トーションビーム10の長手方向に沿って延在し、一定形状閉断面部11のボトムラインbtに連なっている。
第1壁部側折返し点a1は、第1壁部S110Bの端縁と折返し壁部S130Bの端縁との接続点である。また、第2壁部側折返し点b1は、第2壁部S120Bの端縁と折返し壁部S130Bの端縁との接続点である。
また、形状変化部12は、トーションビーム10の長手方向と直交する閉断面の形状が、一定形状閉断面部11から取付閉断面部13に向かって次第に移行するようになっている。
そして、第1壁部S110C及び第2壁部S120C間には、中空部S150Cが形成されている。
各折返し壁部S130Cが耳部eをなし、また、第2壁部S120Cの折り返し点である最下端縁が、ボトムラインbtをなしている。一対の耳部eは、トーションビーム10の長手方向に沿ってそれぞれ延在し、形状変化部12の一対の耳部eに連なっている。同様に、ボトムラインbtも、トーションビーム10の長手方向に沿って延在し、形状変化部12のボトムラインbtに連なっている。
第1壁部側折返し点a2は、第1壁部S110Cの端縁と折返し壁部S130Cの端縁との接続点である。また、第2壁部側折返し点b2は、第2壁部S120Cの端縁と折返し壁部S130Cの端縁との接続点である。
まず、図6を参照して、トーションビーム10の製造工程の大まかな流れについて説明する。図6は、トーションビーム10の製造工程の一例を示すフローチャートであり、下記に示すようにステップS101~S105の各工程を経て製造される。
(2)次に、金属材料管のプレス加工工程を行う(ステップS102)。すなわち、金属材料管をプレス加工することによりトーションビーム素材M10を成形する。プレス加工は、周知のプレス加工機を使用することが可能である。
(3)ステップS102におけるプレス加工によって、前記トーションビーム素材M10が形成される(ステップS103)。このトーションビーム素材M10は、一定形状閉断面部11と、形状変化部12と、取付閉断面部13とを有し、一定形状閉断面部11と形状変化部12とを接続する接続部12A(接続領域)が形成されている。
(a)長手方向に沿って真っ直ぐなトーションビーム素材M10。
(b)長手方向の全長に渡ってボトムラインbt側が凹となるように弓なりに反ったトーションビーム素材M10。
(c)長手方向において、形状変化部12の位置のみボトムラインbt側が凹となるように部分的に反っており、その他の部分は真っ直ぐであるトーションビーム素材M10。
すなわち、耳部eでの塑性変形が始まる圧縮歪みが0.5%であるため、耳部eに付与する圧縮歪みの下限値としては、0.5%以上を用いることができる。また、後述の実施例に示す検討結果より、圧縮歪みを1%以上にすることで十分な圧縮歪みを耳部eに付与することができる。
一方、圧縮歪みが10%を超えるとトーションビーム素材M10に座屈が生じる虞があることから、圧縮歪みの上限値設定としては、10%未満を用いることができる。また、一定形状閉断面部11及び形状変化部12のV字状またはU字状が開いて寸法精度が悪化することを防ぐ観点からは、圧縮歪みを2%未満に抑えることが好ましい。
なお、耳部eへの圧縮力は、トーションビーム素材M10の長手方向で、特に残留応力を低減させたい範囲のみに加えてもよいが、耳部eの全長にわたって加えた場合には、残留応力を全体的に漏れなく低減できる点でより好ましい。
なお、このステップS105で得られるトーションビーム10の形状としては、側面視した場合に、その用途や適用した耳部圧縮曲げ加工の内容によって、下記(d)~(f)の何れであってもよい。
(d)長手方向に沿って真っ直ぐなトーションビーム10。
(e)長手方向の全長に渡ってボトムラインbt側が凸となるように弓なりに反ったトーションビーム10。
(f)長手方向において、形状変化部12の位置のみボトムラインbt側が凸となるように局部的に反っており、その他の部分は真っ直ぐであるトーションビーム10。
本発明の第1実施形態及びその変形例について、図面を用いて以下に説明する。
図7は、本実施形態に係るトーションビーム製造装置50の縦断面図である。また、図8は、同トーションビーム製造装置50に備わる固定型51及び可動型52の閉じた状態を示す図であって、図7のA-A位置における縦断面図である。
なお、このトーションビーム製造装置50は、主に耳部圧縮曲げ加工を行うものであるが、その前工程として、ステップS102に示したプレス加工も行えるように構成されていてもよい。ただし、トーションビーム素材M10の耳部eに生じる残留応力は、金属材料管をプレス加工によってV字またはU字に形成した後に生じるものであるから、プレス加工(ステップS102)と耳部圧縮曲げ加工(ステップS104)とを同時に行う構成は除く。
固定型51は、図8に示すように、トーションビーム素材M10のボトムラインbt側、すなわち閉断面が凸となる下面側を支持する凹溝51aが形成された金型であり、定位置に固定されている。凹溝51aは、トーションビーム素材M10が配置される、一方向に沿って縦断面が直線的に長い凹溝である。一方、この凹溝51aをその長手方向に垂直な断面で見た場合の断面形状は、一定形状閉断面部11、形状変化部12、取付閉断面部13、の各部におけるボトムラインbt側の外形に合致した形状となっている。
よって、耳部圧縮曲げ加工前における一定形状閉断面部11の凹溝51aに対する浮き上がりの寸法が、耳部圧縮曲げ加工を行う際の加工代となる。この加工代は、本実施形態の場合、トーションビーム素材M10の反り具合により定まるため、ステップS102後におけるトーションビーム素材M10の反り具合(曲率)を調整することによって、耳部eに加える圧縮歪みを制御することが可能である。
可動型52の下面形状は、図7に示す側面視した場合、長手方向に沿った中央部52aが直線形状をなしており、そしてこの中央部52aの両隣に連なる一対の両側部52bにおいては固定型51から離れる方向に反った傾斜形状をなしている。中央部52aは、一定形状閉断面部11を直線状にした際の凹溝の長さに対応した長さ寸法となっている。また、両側部52bは、形状変化部12を直線状にした際の凹溝の長さ及び傾斜角度に対応した形状寸法となっている。
また、図8に示すように、可動型52の下面には、中央部52aの両側に連なってかつトーションビーム素材M10の耳部に対応する断面形状をなす一対の凹溝52cが形成されている。これら凹溝52cは、中央部52aと共にトーションビーム素材M10の耳部e側を押圧可能な断面形状を有している。
耳部圧縮曲げ加工では、まず、図7及び図9(A)に示すように、固定型51内に配置されたトーションビーム素材M10に向かって、可動型52を駆動部53の駆動力により接近させる。すると、可動型52の中央部52aが一定形状閉断面部11の長手方向の一点(白抜き矢印の位置)において当接する。この状態よりさらに可動型52を押し付けていくと、トーションビーム素材M10は、反りが減って真っ直ぐに矯正されていく。この際、可動型52の中央部52aとトーションビーム素材M10の一定形状閉断面部11との間における当接部分の範囲も徐々に広がっていき、ついには両側部52bが形状変化部12の凹溝内に合致する。この時点が可動型52の下死点となり、図9(B)に示すように、トーションビーム素材M10が真っ直ぐに矯正され、ボトムラインbtがその全長に渡って固定型51の凹溝51aに合致する。
以上説明のように、本実施形態のトーションビーム製造装置を用いたトーションビーム製造方法によれば、金属材料管自体の肉厚を増すことなく簡単な加工で耳部の強度を高めることができるので、軽量で疲労特性に優れたトーションビームを効率的に製造することが可能となる。
本実施形態のトーションビーム製造方法は、長手方向に直交する断面が長手方向の任意位置において、耳部eを有する略V字形状または略U字形状の閉断面である一定形状閉断面部11(中央部)と、一定形状閉断面部11に連なり、耳部eを有してかつ、閉断面が長手方向に沿って漸次変化する形状変化部12と、を備えたトーションビーム10を製造する方法である。そして、このトーションビーム製造方法は、一定形状閉断面部11及び形状変化部12を有するトーションビーム素材M10を用意する準備工程と;トーションビーム素材M10の全長に対して、形状変化部12の耳部eが曲げの内側となるように曲げを加える耳部圧縮曲げ工程と;を有する。
上記トーションビーム製造方法によれば、トーションビーム素材M10に対し、形状変化部12の耳部eが曲げの内側となるように曲げを加えることで、トーションビーム素材M10の耳部eに、長手方向に沿った圧縮力が加えられる。この圧縮力により、耳部eの残留応力を低減または除去することができる。さらに、圧縮力により耳部eを増肉することもできる。したがって、軽量で疲労特性に優れたトーションビーム10を効率的に製造することができる。
その結果、耳部eの残留応力をより確実に低減または除去することが可能になる。
その結果、直線状のトーションビーム10を得ることが出来る。
上記トーションビーム製造装置50によれば、駆動部53によって可動型52を固定型51に対して接近させることにより、トーションビーム素材M10の耳部eに、長手方向に沿った圧縮力が加えられる。この圧縮力により、耳部eの残留応力を低減または除去することができる。さらに、圧縮力により耳部eを増肉することもできる。したがって、軽量で疲労特性に優れたトーションビーム10を効率的に製造することができる。
この場合も、耳部eの残留応力を確実に低減または除去することが可能になる。
本発明の第2実施形態及びその変形例について、図10及び図11を用いて以下に説明する。なお、図10は、本実施形態に係るトーションビーム製造方法の一工程である耳部圧縮曲げ加工を示す縦断面図であって、(A)が耳部圧縮曲げ加工前を示し、(B)が耳部圧縮曲げ加工後を示す。なお、図10の(A)及び(B)は、図9の(A)及び(B)に相当する図面であり、トーションビーム製造装置50の図示を省略している。
図10(A)に示すように、耳部圧縮曲げ加工前におけるトーションビーム素材M10を側面視した際の中心軸線CLは、一定形状閉断面部11においては直線をなし、形状変化部12においてはボトムラインbt側が凹形状をなすように反った曲線をなし、取付閉断面部13においては直線をなしている。
なお、トーションビーム素材M10を支持する位置としては、トーションビーム素材M10の長手方向に沿って見た場合に、取付閉断面部13が存在する範囲内でかつ形状変化部12に近い位置の2つの支持点S1,S2であることが好ましい。この2点支持を固定型51で行うためには、図7に示した凹溝51a内に、支持点S1,S2に対応する位置に突起を設けてトーションビーム素材M10をその下方より支持する形態が考えられる。
この変形例では、前記固定型51の代わりに分割型51Aを採用している。分割型51Aは、トーションビーム素材M10における一定形状閉断面部11のボトムラインbt側を支える中央型51A1と、この中央型51A1の両隣に隣接配置され、支持ピン51A3回りに回動する端部型51A2とを備えている。
続いて、図11(B)に示すように、両方の端部型51A2を支持ピン51A3回りの上方に向けて回動させる。すると、各端部型51A2が取付閉断面部13のボトムラインbt側を上方に向かって押し上げるので、各形状変化部12の耳部eに対し、軸線CLに沿った方向の圧縮力が加えられる。この圧縮力により、耳部eの残留応力が低減または除去される。
本発明の第3実施形態及びその変形例について、図12及び図13を用いて以下に説明する。なお、図12は、本実施形態に係るトーションビーム製造方法の一工程である耳部圧縮曲げ加工を示す縦断面図であって、(A)が耳部圧縮曲げ加工前を示し、(B)が耳部圧縮曲げ加工後を示す。なお、図12の(A)及び(B)は、図9の(A)及び(B)に相当する図面であり、トーションビーム製造装置50の図示を省略している。
図12(A)に示すように、耳部圧縮曲げ加工前におけるトーションビーム素材M10を側面視した際の中心軸線CLは、一定形状閉断面部11、形状変化部12、そして取付閉断面部13の全てにおいて直線をなしている。
なお、トーションビーム素材M10を支持する位置としては、トーションビーム素材M10の長手方向に沿って見た場合に、取付閉断面部13が存在する範囲内でかつ形状変化部12に近い位置にある2つの支持点S1,S2であることが好ましい。この2点支持を固定型51で行うためには、図7に示した凹溝51a内に、支持点S1,S2に対応する位置に突起を設けてトーションビーム素材M10をその下方より支持する形態が考えられる。
可動型52によって加圧されたトーションビーム素材M10は、そのボトムラインbt側が凸となるように弓なりに湾曲し、図12(B)に示すトーションビーム10が得られる。その際、形状変化部12の耳部eに対し、軸線CLに沿った方向の圧縮力が加えられる。この圧縮力により、耳部eの残留応力が低減または除去される。
この変形例では、前記固定型51の代わりに分割型51Bを採用している。分割型51Bは、トーションビーム素材M10における一定形状閉断面部11のボトムラインbt側を支える中央型51B1と、この中央型51B1の両隣に隣接配置され、上下動する端部型51B2とを備えている。なお、図13では可動型52の図示を省略しているが、上記第3実施形態と同様に、その長手方向中央位置がトーションビーム素材M10に向かって最も近付くように弓なりに凸となる形状を採用することが好ましい。
続いて、分割型51上のトーションビーム素材M10の長手方向中央位置を、その上方より可動型52によって押さえ込む。すなわち、中央型51B1と可動型52との間にトーションビーム素材M10の中央位置を挟み込む。その結果、図13(A)に示す状態となる。
続いて、図13(B)に示すように、両方の端部型51B2を、中央型51B1に対して相対的に上昇させる。すると、各端部型51B2が取付閉断面部13のボトムラインbtを上方に向かって押し上げるので、各形状変化部12の耳部eに対し、軸線CLに沿った方向の圧縮力が加えられる。この圧縮力により、耳部eの残留応力が低減または除去される。
この変形例では、前記固定型51の代わりに分割型51Cを採用している。分割型51Cは、トーションビーム素材M10における一定形状閉断面部11のボトムラインbt側を支える中央型51C1と、この中央型51C1の両隣に隣接配置され、支持ピン51C3回りに回動する端部型51C2とを備えている。なお、図14では可動型52の図示を省略しているが、上記第3実施形態と同様に、その長手方向中央位置がトーションビーム素材M10に向かって最も近付くように弓なりに凸となる形状を採用することが好ましい。
続いて、分割型51C上のトーションビーム素材M10の長手方向中央位置を、その上方より可動型52によって押さえ込む。すなわち、中央型51C1と可動型52との間に、トーションビーム素材M10の中央位置を挟み込む。その結果、図14(A)に示す状態となる。
続いて、図14(B)に示すように、両方の端部型51C2を支持ピン51C3回りの上方に向けて回動させる。すると、各端部型51C2が取付閉断面部13のボトムラインbt側を上方に向かって押し上げるので、各形状変化部12の耳部に対し、軸線CLに沿った方向の圧縮力が加えられる。この圧縮力により、耳部eの残留応力が低減または除去される。
本発明の第4実施形態及びその変形例について、図15及び図16を用いて以下に説明する。なお、図15は、本実施形態に係るトーションビーム製造方法の一工程である耳部圧縮曲げ加工を示す縦断面図であって、(A)が耳部圧縮曲げ加工前を示し、(B)が耳部圧縮曲げ加工後を示す。なお、図15の(A)及び(B)は、図9の(A)及び(B)に相当する図面であり、トーションビーム製造装置50の図示を省略している。
図15(A)に示すように、耳部圧縮曲げ加工前におけるトーションビーム素材M10は、側面視した際の中心軸線CLが、一定形状閉断面部11、形状変化部12、そして取付閉断面部13の全てにおいて直線をなしている。
このトーションビーム素材M10を支持する位置としては、トーションビーム素材M10の長手方向に沿って見た場合、取付閉断面部13が存在する範囲内でかつ形状変化部12に近い位置の2つの支持点S1,S2であることが好ましい。この2点支持を固定型51で行うためには、図7に示した凹溝51a内に、支持点S1,S2に対応する位置に突起を設けてトーションビーム素材M10をその下方より支持する形態が考えられる。
可動型52によって加圧されたトーションビーム素材M10は、各形状変化部12のそれぞれにおいてボトムラインbt側が凸となるように弓なりに湾曲するが、一定形状閉断面部11は直線形状に保たれる。このようにして図15(B)に示すトーションビーム10が得られるが、その際、形状変化部12の耳部eに対し、軸線CLに沿った方向の圧縮力が加えられる。この圧縮力により、耳部eの残留応力が低減または除去される。
この変形例による耳部圧縮曲げ工程では、まず、図16(A)に示すように、トーションビーム素材M10の一定形状閉断面部11の部分のみをその全長にわたり、上下より金型(不図示)で挟持する。
続いて、図16(B)に示すように、各取付閉断面部13のボトムラインbt側を上方に向かって押し上げることで、各形状変化部12をボトムラインbt側が凸となるように弓なりに反らせる曲げ加工を加える。その結果、各形状変化部12の耳部eに対し、軸線CLに沿った方向の圧縮力が加えられる。この圧縮力により、耳部eの残留応力が低減または除去される。
本発明の第5実施形態について、図17を用いて以下に説明する。なお、図17は、本実施形態に係るトーションビーム製造方法の一工程である耳部圧縮曲げ加工を示す縦断面図であって、(A)が耳部圧縮曲げ加工前を示し、(B)が耳部圧縮曲げ加工後を示す。なお、図17の(A)及び(B)は、図9の(A)及び(B)に相当する図面であり、トーションビーム製造装置50の図示を省略している。
本実施形態の耳部圧縮曲げ加工では、長手方向の全長に渡ってボトムラインbt側が凹となるように弓なりに反ったトーションビーム素材M10を用意し、このトーションビーム素材M10を、その長手方向の全長に渡ってボトムラインbt側が凸となるように、耳部圧縮曲げ加工前とは逆向きに、弓なりに反らせる曲げ加工を行う。
図17(A)に示すように、耳部圧縮曲げ加工前におけるトーションビーム素材M10を側面視した際の中心軸線CLは、その全長にわたってボトムラインbt側が凹形状をなすように反った曲線をなしている。
なお、このトーションビーム素材M10を支持する位置としては、トーションビーム素材M10の長手方向に沿って見た場合に、取付閉断面部13が存在する範囲内でかつ形状変化部12に近い位置の2つの支持点S1,S2であることが好ましい。また、図17(B)に示すように、支持点S1,S2間の範囲を、これら支持点S1,S2の支持高さよりも下方に一定形状閉断面部11を押し下げる曲げ加工を行うため、固定型51の凹溝51a内の、支持点S1,S2間に対応する範囲を、その他の範囲よりも深くした形状を採用することが考えられる。
なお、本実施形態では、トーションビーム素材M10をその下方より支持して上方から押し下げる場合について説明したが、この形態のみに限らない。例えば、トーションビーム素材M10の一定形状閉断面部11の中央位置を上方から押さえ込んだ状態で支持点S1,S2において取付閉断面部13を上方に押し上げたり、または、前記中央位置を上方から押し下げると同時に支持点S1,S2の位置において取付閉断面部13を上方に押し上げたりする、曲げ加工も採用可能である。
本発明の第6実施形態について、図18を用いて以下に説明する。なお、図18は、本実施形態に係るトーションビーム製造方法の一工程である耳部圧縮曲げ加工を示す縦断面図であって、(A)が耳部圧縮曲げ加工前を示し、(B)が耳部圧縮曲げ加工後を示す。なお、図18の(A)及び(B)は、図9の(A)及び(B)に相当する図面であり、トーションビーム製造装置50の図示を省略している。
本実施形態の耳部圧縮曲げ工程では、長手方向において、形状変化部12の位置のみボトムラインbt側が凹となるように部分的に反っており、その他の部分が真っ直ぐであるトーションビーム素材M10を、形状変化部12の位置のみボトムラインbt側が凸となるように部分的に反ったトーションビーム10に曲げ加工する。
図18(A)に示すように、耳部圧縮曲げ加工前におけるトーションビーム素材M10を側面視した際の中心軸線CLは、一定形状閉断面部11においては直線をなし、形状変化部12においてはボトムラインbt側が凹形状をなすように反った曲線をなし、取付閉断面部13においては直線をなしている。
なお、このトーションビーム素材M10を支持する位置としては、トーションビーム素材M10の長手方向に沿って見た場合に、取付閉断面部13が存在する範囲内でかつ形状変化部12に近い位置の2点S1,S2であることが好ましい。また、図18(B)に示すように、2点S1,S2間の部分を、これら2点S1,S2の支持高さよりも下方に押し下げる曲げ加工を行うため、固定型51の凹溝51aのうち、2点S1,S2間に対応する範囲を、その他の範囲よりも深く掘り下げるような形態の採用が考えられる。
なお、本実施形態では、トーションビーム素材M10をその下方より支持した上で一定形状閉断面部11の部分を上方から加圧する場合について説明したが、この形態のみに限らない。例えば、トーションビーム素材M10の一定形状閉断面部11を上方から押さえ込んだ状態で支持点S1,S2において取付閉断面部13を上方に押し上げる曲げ加工や、一定形状閉断面部11を上方から押し下げると同時に支持点S1,S2の位置で取付閉断面部13を上方に押し上げる曲げ加工なども、採用可能である。
すなわち、図6のフォローチャートに示した工程の代わりに、図19のフローチャートに示す工程を採用してもよい。図19のフローチャートが図6のフローチャートと異なる点は、耳部圧縮曲げ加工を行うステップS104に続いて、曲げ戻し加工を行うS104aを行うことにある。その他工程は同じであるため、同一符号を用いて重複説明を省略する。
この曲げを加える際、形状変化部12の耳部eに付与する引っ張り量を、耳部圧縮曲げ工程で形状変化部12の耳部eに付与する圧縮量より小さくしてもよい。この場合、耳部圧縮曲げ工程で得た耳部eでの増肉量を曲げ戻し加工によって大きく損なわずに済むため、形状変化部12での機械的強度を高いまま維持することが可能になる。
まず、圧縮歪みについての基本的な考えとしては、まず、耳部圧縮曲げ加工によって耳部eが加工前に比べてどの程度縮んだかを示す差分を求める。そして、この差分を、トーションビーム素材M10の中心軸線CLの位置における全長で除算する。中心軸線CLの位置における全長は、耳部圧縮曲げ加工の前後で変わらないので、これを基準とする。
ここで、耳部eでは長手方向に沿った圧縮が加わって差分D(mm)だけ短くなるため、L2<L1となる。また、中心軸線CLの位置では、長手方向に沿って圧縮も引っ張りも作用しないので、長さ寸法L3は耳部圧縮曲げ加工前後で変わらない。また、ボトムラインbtにおいては、長手方向に沿った引っ張りが加わるため、耳部圧縮曲げ加工後は耳部圧縮曲げ加工前よりも長くなる。
なお、図20(A)に示す曲げの曲率がトーションビーム素材M10の長手方向の各位置で一様であってかつL3=L2である場合、前記長さL1,L2の代わりに、曲率半径Re,Rcを用いて圧縮歪み(%)を求めることもできる。ここで、曲率半径Rcは、耳部圧縮曲げ加工前の中心軸線CLにおける曲線のものであり、また、曲率半径Reは、耳部圧縮曲げ加工前の耳部eにおける曲線のものである。上記前提の元、耳部eにおける圧縮歪み(%)は、100×(Rc-Re)/Rcで求められる。
図21(B)に示す曲率半径Rc,Reで圧縮歪み(%)を求める場合、図21(B)に示す曲げの曲率がトーションビーム10の長手方向の各位置で一様であってかつ、取付部14が中心軸線CLに対して直交する場合、前記長さL1a,L1bの代わりに、曲率半径Re,Rcを用いて圧縮歪み(%)を求めることもできる。ここで、曲率半径Rcは、耳部圧縮曲げ加工前の中心軸線CLにおける曲線のものであり、また、曲率半径Reは、耳部圧縮曲げ加工前の耳部eにおける曲線のものである。上記設定の元、耳部eにおける圧縮歪み(%)は、100×(Re-Rc)/Reで求められる。
図22(B)に示す曲率半径Rc,Reを用いて形状変化部12における耳部eの圧縮歪み(%)を求める場合、前記長さL2a,L2bの代わりに、曲率半径Re,Rcを用いて圧縮歪み(%)を求めることもできる。ここで、曲率半径Rcは、耳部圧縮曲げ加工前の中心軸線CLにおける曲線のものであり、また、曲率半径Reは、耳部圧縮曲げ加工前の耳部eにおける曲線のものである。形状変化部12の耳部eにおける圧縮歪み(%)は、100×(Re-Rc)/Reで求められる。
また、図19で説明した曲げ戻しを行う場合には、曲げ戻しを行う前の耳部圧縮曲げ加工完了の時点で、上記圧縮歪みを満足できるようにすることが好ましい。
図23より明らかであるように、耳部圧縮曲げ加工を行わない場合(圧縮歪み0%)に比べて、耳部圧縮曲げ加工を加えることにより残留応力を低減出来ることが確認された。特に、圧縮歪みを1%以上とした場合に、残留応力を大幅に低減できることが確認された。一方、圧縮歪みが1.3%以上では、残留応力を低く抑えられているものの、さらなる低減効果は見られないことも確認された。
以上説明の実施例より、本発明の耳部圧縮曲げ加工による圧縮歪み低減効果を確認することができた。
11 一定形状閉断面部(中央部)
12 形状変化部
14 取付部(端部)
50 トーションビーム製造装置
51 固定型(第2の金型)
52 可動型(第1の金型)
53 駆動部(駆動機構)
54 伸び規制機構(第1の規制手段、第2の規制手段)
bt ボトムライン
e 耳部
M10 トーションビーム素材
Claims (6)
- 長手方向に直交する断面が前記長手方向の任意位置において、耳部を有する略V字形状または略U字形状の閉断面である中央部と、前記中央部に連なり、耳部を有してかつ、前記閉断面が前記長手方向に沿って漸次変化する形状変化部と、を備えたトーションビームを製造する方法であって、
前記中央部及び前記形状変化部を有するトーションビーム素材を用意する準備工程と;
前記トーションビーム素材の前記耳部が曲げ変形加工の曲げの内側となるように曲げ、前記耳部に圧縮塑性変形を加えて前記耳部を増肉させる耳部圧縮曲げ工程と;
を有することを特徴とするトーションビーム製造方法。 - 前記耳部圧縮曲げ工程で、前記長手方向で0.5%以上10%以下の圧縮歪みを付与することを特徴とする請求項1に記載のトーションビーム製造方法。
- 前記準備工程で、ボトムラインが凹状に反った前記トーションビーム素材を用意し;
前記耳部圧縮曲げ工程で、前記ボトムラインの前記凹状の曲がりを減じる曲げを前記トーションビーム素材に加えることにより、前記ボトムラインを直線状にする;
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のトーションビーム製造方法。 - 前記耳部圧縮曲げ工程後に、ボトムラインを直線状にする曲げを加える曲げ戻し工程を更に有し;
前記曲げ戻し工程で付与する引っ張り歪みを、前記耳部圧縮曲げ工程で付与する圧縮歪みよりも小さくする;
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のトーションビーム製造方法。 - 請求項1に記載のトーションビーム製造方法を実施する装置であって、
前記中央部及び前記形状変化部が形成された前記トーションビーム素材の、前記中央部の位置における前記耳部側に当接する第1の金型と;
前記形状変化部よりも前記中央部から遠い位置のボトムライン側に当接する第2の金型と;
前記第1の金型及び前記第2の金型間を相対的に接近させる駆動機構と;
を備えることを特徴とするトーションビーム製造装置。 - 前記駆動機構による前記第1の金型及び前記第2の金型間の相対接近量を制御して、前記長手方向に沿った圧縮歪みを0.5%以上10%以下にする制御機構をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のトーションビーム製造装置。
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