以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る面取り装置の主要部を示す正面図である。面取り装置10は、ウェーハ送りユニット20、砥石回転ユニット50、図示しないウェーハ供給/収納部、ウェーハ洗浄/乾燥部、ウェーハ搬送手段、及び面取り装置各部の動作を制御するコントローラ等から構成されている。
弾性表面波デバイス(SAWデバイス)は、難加工材料であるLT(タンタル酸リチウム)、LN(ニオブ酸リチウム)等の圧電材料ウェーハ上に櫛歯状の電極指(IDT電極)、反射器、接続パッド等のパターンを配置した構成を備えている。そして、例えばIDT電極に高周波電界を印加することによって弾性表面波を励起し、弾性表面波を圧電作用によって高周波電界に変換することによって急峻なフィルタ特性を得るものである。これらに必要とされる圧電材料ウェーハは、良好な圧電特性に有利な多結晶薄膜内部の結晶の向きが基板上でそろっている状態の度合いである結晶配向性を維持しないと、特性が大きく異なることになる。そのため、圧電材料ウェーハの表裏を間違えることなく、各工程を進めていく必要がある。
一方、ウェーハの品質向上の要求が強く、ウェーハ端面(エッジ部)の加工状態が重要視され、圧電材料ウェーハにおいても、シリコンウェーハ等の半導体ウェーハ等と同様に、ハンドリングによるチッピングを防止するため、縁部を研削することで面取り加工が行われ、研磨による鏡面面取り加工が行われている。つまり、製造工程において、ウェーハ製造からデバイス製造に至るまで、エッジ特性の品質改善は必要不可欠なプロセスとなっている。
この製造工程において、面取り装置でウェーハWは、ウェーハカセット70に入れられた状態から供給回収ロボット40により加工部へ搬送され、回収される。つまり、自動化が進んでいるが、搬送の前段階、ウェーハカセット70にウェーハWを入れる作業は人手によることが多く、表裏を間違える恐れがあり、生産性を損なう一因となっている。したがって、圧電材料ウェーハでは、結晶方位に依存する焦電効果を持つウェーハWの分極方向に応じて決まるウェーハWの表裏を面取り加工の事前に早い段階で判定することが望ましい。
圧電材料ウェーハは固くてもろく、ウェーハの端面がスライシング時の鋭利なままでは、続く処理工程での搬送や位置合わせなどの取り扱い時に容易に割れたり欠けたりして、断片がウェーハ表面を傷つけたり汚染したりする。これを防ぐため、切り出されたウェーハの端面をダイヤモンドでコートされた面取り砥石で面取りする。
さらに、通常の研削ではレジン砥石の回転軸に対してウェーハの主面が垂直となる状態で面取り部を研削するが、レジン砥石を傾けてウェーハの面取り部を研削する、いわゆるヘリカル研削を行うことが知られている。
図1において、ウェーハ送りユニット20は、本体ベース11上に載置されたX軸ベース21、2本のX軸ガイドレール22、22、4個のX軸リニアガイド23、23、… 、ボールスクリュー及びステッピングモータから成るX軸駆動機構25によって図のX方向に移動されるXテーブル24を有している。
Xテーブル24には、2本のY軸ガイドレール26、26、4個のY軸リニアガイド27、27、… 、図示しないボールスクリュー及びステッピングモータから成るY軸駆動機構によって図のY方向に移動されるYテーブル28が組み込まれている。
Yテーブル28には、2本のZ軸ガイドレール29、29と図示しない4個のZ軸リニアガイドによって案内され、ボールスクリュー及びステッピングモータから成るZ軸駆動機構30によって図のZ方向に移動されるZテーブル31が組み込まれている。
Zテーブル31には、モータ32、スピンドル33が組み込まれ、スピンドル33にはウェーハW(板状の被加工材)を吸着載置するウェーハテーブル34が取り付けられており、ウェーハテーブル34はウェーハテーブル回転軸心CWを中心として図のθ方向に回転される。
また、ウェーハテーブル34の下部には、ウェーハWの周縁を仕上げ面取りする砥石のツルーイングに用いるツルーイング砥石41(以下ツルアー41と称する)が、ウェーハテーブル回転軸心CWと同芯に取り付けられている。
このウェーハ送りユニット20によって、ウェーハW及びツルアー41は図のθ方向に回転されると共に、X、Y、及びZ方向に移動される。
砥石回転ユニット50は、外周粗研削砥石52が取り付けられ、図示しない外周砥石モータによって軸心を中心に回転駆動される外周砥石スピンドル51、上方に配置されたターンテーブル53に取り付けられた上外周精研スピンドル54及び上外周精研モータ56を有している。同じくターンテーブル53に下固定枠59(図1では、一部切り欠いて図示)を介して下外周精研スピンドル57及び下外周精研モータ(図示せず)が設けられている。
上外周精研スピンドル54及び下外周精研スピンドル57は、ウェーハWの回転軸に対して回転軸が3~15°、望ましくは6~10°傾斜させた状態でウェーハWの外周面取りの仕上げ加工を行う。これにより、ヘリカル研削が行われ、ウェーハWの面取り部には斜め方向に弱い研削痕が発生するものの、通常研削に比べ面取り部の表面粗さが改善される効果が得られる。
上外周精研スピンドル54にはウェーハWの外周を仕上げ研削する面取り用砥石である上外周精研削砥石(上研削砥石)が取り付けられ、同様に、下外周精研スピンドル57には下外周精研削砥石(下研削砥石)が上外周精研削砥石に対してウェーハWの厚さより小さい0.1~1mm程度の隙間を持って回転軸が略同芯となるように取り付けられる。
また、上外周精研削砥石と下外周精研削砥石とは回転方向が逆回転、つまり反対回転となるように上外周精研スピンドル54、下外周精研スピンドル57でそれぞれ駆動される。ウェーハWを加工するための研削溝は、上外周精研削砥石と下外周精研削砥石とで形成される。
ウェーハ加工プロセスは、ブロック切断→オリエンテーションフラット(OF)加工→スライス→面取り→ラップ→エッチング→ドナーキラー→精面取りの順で行われ、工程間には汚れを取り除くため、各種洗浄が用いられる。ブロック切断では、インゴットの両端部(トップとテール)を切断し外周を研削して、長いものは適切な長さで切断され所定の直径を持った円柱状の「ブロック」を作る。
オリエンテーションフラット(OF)加工では、結晶方位を測定し、後の工程で方位が判るように所定の位置にオリエンテーションフラット(OF)又は「ノッチ」を刻み込む。スライスでは、ブロックからダイシングソー、ワイヤーソー、又は内周刃ブレードでウェーハ状に切り出す。直径300mmのブロックは、通常、マルチ・ワイヤーソーによって1度に最大200枚の切断が行われる。
面取りでは、ウェーハの端面がスライシング時の鋭利なままでは、続く処理工程での搬送や位置合わせなどの取り扱い時に容易に割れたり欠けたりして、断片がウェーハ表面を傷つけたり汚染したりする。これを防ぐため、切り出されたウェーハの端面をダイヤモンドでコートされた研削砥石で面取りする。
面取り工程は、ラッピング工程の後に行われることもある。この時、バラツキのある外周の直径を合わせ、オリエンテーションフラット(OF)の幅の長さを合わせることや、ノッチと呼ばれる微少な切り欠きの寸法を合わせることも含まれる。
図2は、面取り装置10全体の主要部を示す平面図であり、供給回収部は、面取り加工するウェーハWをウェーハカセット70から供給すると共に、面取り加工されたウェーハをウェーハカセット70に回収する。この動作は供給回収ロボット40で行われる。ウェーハカセット70はカセットテーブル71にセットされ、面取り加工するウェーハWが多数枚収納されている。供給回収ロボット40はウェーハカセット70からウェーハWを1枚ずつ取り出したり、面取り加工されたウェーハWをウェーハカセット70に収納したりする。
供給回収ロボット40は3軸回転型の搬送アーム80を備えており、搬送アーム80は、その上面部に図示しない吸着パッドを備えている。搬送アーム80は、吸着パッドでウェーハの裏面を真空吸着してウェーハWを保持する。すなわち、この供給回収ロボット40の搬送アーム80は、ウェーハWを保持した状態で前後、昇降移動、及び旋回することができ、この動作を組み合わせることによりウェーハWの搬送を行う。
面取り装置10は正面部に配置されており、ウェーハWの外周面取りの全加工、すなわち、粗加工から仕上げ加工までを行う。この面取り装置10はウェーハ送りユニット20、砥石回転ユニット50から構成されている。
図3は、加工部の構成を示す平面図であり、加工開始前の待機状態では、ウェーハテーブル34に保持されるウェーハWは、その中心がウェーハテーブル34の回転軸と一致するように配置される。このとき、ウェーハWのOF部は所定方向を向くように配置される。
また、外周粗研削砥石52及び外周精研削砥石55は、ウェーハWからそれぞれ所定距離だけ離れた位置にある。具体的には、外周粗研削砥石52の回転中心はウェーハWの回転中心に対してY軸方向に所定距離だけ離れた位置に配置され、かつその回転中心はウェーハWに対してX軸方向に所定距離だけ離れた位置に配置される。
まず始めに、アライメント動作が行われる。このアライメント動作では、ウェーハテーブル34に保持されたウェーハWと外周粗研削砥石52及び外周精研削砥石55との上下方向(Z軸方向)について相対的な位置関係が調整される。
アライメント動作が完了したら、外周砥石スピンドル51が駆動される。次に、外周粗研削砥石52による研削(粗加工)を開始する。具体的には、外周粗研削装置62のY軸モータ(図示せず)が駆動され、外周砥石スピンドル51がY軸方向に沿ってウェーハテーブル34に向かって送られる。
ウェーハテーブル34に向かって外周砥石スピンドル51が送られると、ウェーハWの外周が外周粗研削砥石52に形成された外周粗研削用の研削溝に接触し、ウェーハWの外周部が外周粗研削砥石52により研削されて、ウェーハWの外周面取りの粗加工が開始される。
外周粗研削砥石52による粗加工が開始された後、ウェーハテーブル34に保持されたウェーハWが一定速度で矢印方向に回転を開始する。この回転角度、つまり加工点が直線部となるOF部に至ると、外周砥石スピンドル51をY方向、ウェーハテーブル34に向かう送り量を多くすると共に、外周砥石スピンドル51をX方向に直線移動させ直線部を加工する。その後、直線部の加工を終了すると、再び、ウェーハテーブル34に保持された板状のウェーハWを一定速度で矢印方向に回転させ、残りの円形部を研削して外周粗研削砥石52による粗加工を終了する。
次に、外周精研削砥石55による仕上げ加工が同様に行われる。さらに、外周精研削砥石55は、面取り用加工溝はツルアー41によって形成される。
供給回収ロボット40でウェーハWが面取り装置10へ搬送され、ウェーハテーブル34に載置されると、面取り加工が開始される。したがって、開始前にウェーハWの表裏を判定し、上面が表でない場合は、面取り加工せずに搬送アーム80で回収して表裏が違うことを表示する。あるいは、搬送アーム80で反転して、ウェーハテーブル34に載置し直すことが望ましい。
図4は表裏判定装置の構成図、図5は表裏判定装置のブロック図であり、1は電圧を検出するためにウェーハWに当接する金属製のプローブである。プローブ1の先端は、導電ゴムとしても良い。プローブ1は、プローブ押圧装置4と共にウェーハWの搬送を行う搬送アーム80あるいは上外周精研スピンドル54を取り付けているターンテーブル53に設置される。そして、プローブ1は、ウェーハWがウェーハテーブル34に載置された状態でプローブ押圧装置4によりウェーハWへ短時間だけ接触して押圧される。つまり、一度押圧して、その後開放する。
電圧検出部2はプローブ1とウェーハWのプローブ1が当接する面とは反対となる面へ電気的に向かい合うように配置されて接続され、押圧によって生じる圧電効果による電圧を検出する。生じた電圧の大きさ又は位相によって、表裏判定部3でウェーハテーブル34に載置されたウェーハWの上面が表か裏かを判定する。
制御装置5は、プローブ押圧装置4に対してプローブ1のウェーハWへの押圧、開放の機能を制御するプローブ押圧部7と、押圧及び開放に伴う電圧検出部2からの電圧を波形として検出して記録する電圧波形検出部8と、記録された波形によってウェーハWの表裏を判定する表裏判定部3と、を有している。
表裏判定部3による判定結果は出力装置6へ出力され、出力装置6は上面が表でない場合は、面取り加工せずに搬送アーム80で回収するように指示する。また、出力装置6は、各種情報を出力するための装置であれば良く、例えば、制御装置5によるウェーハWの表裏の判定結果を表示するためのディスプレイ、又は、その判定結果を音声出力するためのスピーカ等であって、表裏が違うことを表示しても良い。さらに、出力装置6から搬送アーム80でウェーハWを反転して、ウェーハテーブル34に載置し直すことが望ましい。
図6は、プローブ1の詳細を示す断面図であり、1-2はプローブロッドである。プローブロッド1-2は、外筒1-3に内挿され、上下に摺動可能となっている。下端はウェーハWとの接触部1-1が設けられ、導電性がよくなるように銅あるいは金メッキが施されている。もちろん、プローブロッド1-2を銅としても良い。
接触部1-1は直径がプローブロッド1-2よりもやや大きくされ、先端は平坦又はウェーハWとのコンタクトを安定にするため大きめの曲率を持った球面となっている。プローブロッド1-2は、ウェーハWに対して鉛直に押圧されることが望ましいが、やや斜めになって押圧されたときの片当たりを防ぐためには球面とすることも良い。
接触部1-1と外筒1-3の間にはバネ1-4が設けられ、ウェーハWに対する押圧力を調整できると共に、ウェーハWに割れを生じるような過大な力が加わるのを防ぐことができる。なお、図6はウェーハWにプローブ1を押圧する前の状態で、右図は押圧力が与えられた状態である。
図7は、プローブ1による測定が行われている状態を示している。ウェーハWの表裏の判定は、面取り加工が開始される前に行うことが望ましいが、安定した検出電圧を得ること、確実な判定を行うためには、ウェーハWがウェーハテーブル34に載置された状態でプローブ1を矢印で示したようにウェーハテーブル34の外形より内側の位置を押圧する。なお、ウェーハテーブル34はモータ32のスピンドル33の上にしっかり固定されているので、プローブ1の接触部1-1とウェーハWの上面は電気的にも安定したコンタクトとなる。
また、押圧の方法は、プローブ押圧装置4を図の矢印のように押し下げても良いし、逆にウェーハテーブル34をモータ32、スピンドル33と共にZ軸駆動機構30(図1)により上昇させても良い。ウェーハテーブル34、つまりウェーハWを上昇させて押圧した方がプローブ押圧装置4は固定で良いので、構造が簡単となる。また、制御装置5(図5)も容易となり、低コスト化に適している。
図8は、表裏判定装置による電圧波形の一例を示す。横軸が時間で縦軸は電圧であり、左図は上面が表となっている場合で、右図は逆に上面が裏となった場合である。上面が表の場合、始めにプラス側に大きなピーク電圧を生じる。
その後、プローブ1による押圧に対して歪みが開放された反動等の影響でマイナス側に小さなピーク電圧を生じる。逆に上面が裏となった場合は、始めにマイナス側に大きなピーク電圧を生じ、押圧が開放されてプラス側に小さなピーク電圧を生じる。
したがって、ウェーハWの表裏の判定は、プラス側に大きなピーク電圧を生じることを利用すれば良い。例えば、判定の基準としてプラス値の閾値を定め、この閾値を超えたかどうかで表裏の判定が行うことができる。もちろん、電気的にマイナス側に大きなピーク電圧を生じるように結線してマイナス値の閾値を定めても良い。
ただし、ピーク電圧は押圧力、ウェーハWの材質、ウェーハWと接触部1-1とのコンタクトの状態等によって変化する。例えば、ウェーハWがLN(ニオブ酸リチウム)の場合は他に比べて検出される電圧は大きくなる。また、押圧力を大きくすれば検出される電圧は大きくなるが、バラツキも生じる。そこで、押圧力は一定にする必要があり、材料のもろさ等を考慮すると30~70g、望ましくは50g程度が良い。
上記のことから、表裏の判定はプラス値の閾値によるだけでなく、マイナス側のピーク電圧に対するプラス側のピーク電圧の比率、例えば、プラス側のピーク電圧/マイナス側のピーク電圧が2~3以上となった場合、上面が表と判定する。又は、制御装置5の表裏判定部3でAD変換して、位相を確認する。つまり、時間軸で先にプラス電圧となり、後にマイナス電圧となる位相ならば上面が表、逆ならば上面が裏と判定する。
つまり、ウェーハWの表裏の判定は、プラス値の閾値と、プラス側のピーク電圧とマイナス側のピーク電圧の比、検出された電圧の位相のいずれかをそれぞれ予め定めた基準値と比較する、あるいは複数組み合わせて行うことが良い。また、その際、ウェーハWの材質データ、押圧力によって、判定の基準値を変えるようにデータベース化しておくことが望ましい。
なお、以上の説明ではウェーハWの上面を厚さ方向に押圧しているが、ウェーハWの側面を厚さ方向とは垂直となる方向より押圧することでも同様な位相の電圧を生じる。したがって、プローブ押圧装置4(図5)をウェーハWの側面をプローブ1で押圧する機構としても良い。
また、プローブ1をプローブ押圧装置4(図5)で押圧するとして説明したが、プローブ1を所定の高さからウェーハWの上面へ落下させて加圧することでも同様な電圧波形が得られる。したがって、ウェーハWの表裏の判定は、プローブ1を落下させることでも同様に行うことができる。
以上説明した表裏判定装置は、追加的なオリエンテーションフラット、又はレーザマークによる目印をウェーハWに形成することなく、ウェーハWの表裏を判定することができる。そのため、ウェーハWの表裏を判定するタイミングが特定の処理や加工が行われる前に制限されたり、特定の処理や加工が行われた後に制限されたりすることもない。