本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
以下では、蓄電システムがハイブリッド車に適用される例について説明する。しかし、蓄電システムの適用対象は、ハイブリッド車に限定されず、エンジンを搭載しない電気自動車であってもよい。また、蓄電システムの用途は車両用に限定されるものではなく、定置用であってもよい。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る蓄電システムが適用された車両1の全体構成を概略的に示すブロック図である。この実施の形態に係る車両1は、本開示に係る「蓄電システム」の一例に相当する。
図1を参照して、車両1は、バッテリパック2と、モータジェネレータ(以下、「MG」と称する)11,12と、エンジン20と、駆動輪30と、動力分割装置31と、駆動軸32と、電力制御ユニット(以下、「PCU」と称する)40と、電子制御ユニット(以下、「ECU」と称する)300と、報知装置400と、イグニッションスイッチ(以下、「IGSW」と称する)500とを備える。
バッテリパック2は、バッテリ100と、ジャンクションボックス(以下、「JB」と称する)50,60と、電圧センサ210と、電流センサ220と、温度センサ230と、冷却装置240とを備える。
バッテリ100は、再充電が可能に構成された直流電源である。バッテリ100は、複数の二次電池から構成される組電池を含んで構成される。二次電池としては、たとえばリチウムイオン電池を採用できる。ただしこれに限られず、他の二次電池(ニッケル水素電池等)を採用してもよい。また、二次電池は、全固体電池であってもよい。この実施の形態に係るバッテリ100は、本開示に係る「蓄電装置」の一例に相当する。
JB50は、バッテリ100の正極に電気的に接続されるシステムメインリレー(以下、「SMR-B」と称する)51と、SMR-B51の温度を検出する温度センサ52とを含む。JB60は、バッテリ100の負極に電気的に接続されるシステムメインリレー(以下、「SMR-G」と称する)61と、SMR-G61の温度を検出する温度センサ62とを含む。この実施の形態に係るSMR-B51、SMR-G61、温度センサ52、62はそれぞれ、本開示に係る「第1部品」、「第2部品」、「第1温度センサ」、「第2温度センサ」の一例に相当する。
JB50,60は、バッテリパック2に含まれる各種部品(リレー、ヒューズ等)を内蔵し、これら部品間を電気的に接続するように構成される。JB50,60によって、電気回路の集中接続が可能になる。図1には示していないが、JB50,60には、バッテリ100の充電経路に設けられた充電リレー(たとえば、後述する図2及び図3に示す充電リレー53,63)も内蔵されている。充電リレーは、ECU300によってON/OFF制御され、車両外部の電源による充電時にON状態(導通状態)になり、充電が終了すると、OFF状態(遮断状態)になる。また、JB50,60は、S/P(サービス/プラグ)、ヒューズボックス、PN(ポジティブ・ネガティブ)コネクタなどをさらに含んでいてもよい。PNコネクタは、バッテリ100の正負極をPCU40(たとえば、インバータ)へつなぐ2極のコネクタである。
図2は、JB50の内部構造を示す図である。図2を参照して、SMR-B51と充電リレー53とは、たとえば図2に示すようにJB50に内蔵されている。また、図2には示されていないが、SMR-B51の近傍には温度センサ52(図1)が設けられている。
図3は、JB60の内部構造を示す図である。図3を参照して、SMR-G61と充電リレー63とは、たとえば図3に示すようにJB60に内蔵されている。また、図3には示されていないが、SMR-G61の近傍には温度センサ62(図1)が設けられている。
JB50,60内に設けられる各リレー(SMR-B51、SMR-G61、及び充電リレー53,63)としては、たとえば電磁式のメカニカルリレーを採用できる。ただしこれに限られず、SSR(Solid State Relay)とも称される半導体リレーを採用してもよい。半導体リレーの例としては、サイリスタ、トライアック、又はトランジスタ(IGBT、MOSFET、バイポーラトランジスタ等)から構成されるリレーが挙げられる。
再び図1を参照して、SMR-B51及びSMR-G61は、バッテリ100の電力経路(より特定的には、バッテリ100とPCU40とを結ぶ電力線)に設けられ、ECU300によってON/OFF制御される。バッテリ100とPCU40とを結ぶ電力線は、バッテリ100の充電経路としても放電経路としても機能し得る。2つのシステムメインリレー(SMR-B51及びSMR-G61)は、互いに同じ状態(ON状態又はOFF状態)になるように同時に又は所定の順序で駆動され、たとえばIGSW500の操作に応じてON状態/OFF状態が切り替わる。IGSW500がオンされることによって各システムメインリレーがON状態になり、IGSW500がオフされることによって各システムメインリレーがOFF状態になる。以下、IGSW500がON状態であることを「READY-ON」、IGSW500がOFF状態であることを「READY-OFF」と称する場合がある。READY-ONのとき(すなわち、SMR-B51及びSMR-G61がON状態であるとき)には、バッテリ100の電力経路が接続され、バッテリ100の充電及び放電(ひいては、バッテリ100とPCU40との間で電力の授受)が可能になる。他方、READY-OFFのとき(すなわち、SMR-B51及びSMR-G61がOFF状態であるとき)には、バッテリ100の電力経路が遮断され、バッテリ100の充電及び放電ができなくなる。
PCU40は、ECU300からの制御信号に従って、バッテリ100とMG11,12との間で双方向の電力変換を実行する。PCU40は、MG11,12の状態をそれぞれ別々に制御可能に構成されており、たとえば、MG11を回生(発電)状態にしつつ、MG12を力行状態にすることができる。PCU40は、たとえば、MG11,12に対応して設けられる2つのインバータと、各インバータに供給される直流電圧をバッテリ100の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
MG11,12は、交流回転電機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。MG11は、主として、動力分割装置31を経由してエンジン20により駆動される発電機として用いられる。MG11が発電した電力は、PCU40を介してMG12又はバッテリ100に供給される。
MG12は、主として電動機として動作し、駆動輪30を駆動する。MG12は、バッテリ100からの電力及びMG11の発電電力の少なくとも一方を受けて駆動され、MG12の駆動力は駆動軸32に伝達される。一方、車両1の制動時や下り斜面での加速度低減時には、MG12は、発電機として動作して回生発電を行なう。MG12が発電した電力は、PCU40を介してバッテリ100に供給される。
エンジン20は、空気と燃料との混合気を燃焼させたときに生じる燃焼エネルギをピストンやロータなどの運動子の運動エネルギーに変換することによって動力を出力する内燃機関である。動力分割装置31は、たとえば、サンギヤ、キャリア、及びリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を含む。動力分割装置31は、エンジン20から出力される動力を、MG11を駆動する動力と、駆動輪30を駆動する動力とに分割する。
電圧センサ210は、バッテリ100の電圧を検出する。電流センサ220は、バッテリ100に入出力される電流を検出する。温度センサ230は、バッテリ100の温度を検出する。各センサは、その検出結果をECU300に出力する。電圧センサ210及び温度センサ230は、各々独立して、1つのセルにつき1つずつ設けられていてもよいし、複数個のセル毎に1つずつ設けられていてもよいし、1つの組電池に対して1つだけ設けられていてもよい。
冷却装置240は、主にバッテリ100を冷却するように構成される。ただし、冷却装置240が駆動されると、バッテリ100の周辺に存在するJB50,60なども冷却される。冷却装置240は、ECU300によって制御される。この実施の形態では、冷却装置240として送風装置を採用する。送風装置は、吸気口(図示せず)から取り込まれた外気をバッテリ100へ送風して、バッテリ100及びその周辺を冷却するように構成される。送風装置は、ファンであってもよいし、ブロワであってもよい。送風装置の駆動量を大きくすることによって、送風装置の羽根車の回転速度が大きくなる。そして、送風装置の羽根車の回転速度が大きくなると、送風量(空気の風量)が多くなり、バッテリ100等が冷却されやすくなる。
ECU300は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、図示しない入出力バッファとを含んで構成される。メモリ302は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。メモリ302(たとえば、ROM)に記憶されているプログラムをCPU301が実行することで、各種制御が実行される。ECU300には、各種センサ(温度センサ52,62等)の検出値が入力される。そして、ECU300は、各種センサから受ける信号と、メモリ302に記憶されたマップ及びプログラムとに基づいて、車両1が所望の状態となるように各種機器を制御する。ECU300は、たとえばエンジン20、PCU40、及びJB50,60内の各種部品(SMR-B51、SMR-G61等)を制御することにより、車両1の走行制御及びバッテリ100の充放電制御を実行する。ECU300が行なう各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。この実施の形態に係るECU300は、本開示に係る「センサ異常検出装置」の一例に相当する。
報知装置400は、ECU300から要求があったときに、ユーザへ所定の報知処理を行なうように構成される。報知装置400の例としては、表示装置、スピーカー、ランプが挙げられる。また、報知装置400として、携帯機器(スマートフォン等)を採用してもよい。
IGSW500は、ユーザ(たとえば、運転者)によってオン/オフ操作される。IGSW500が操作されると、IGSW500の状態(ON状態/OFF状態)を示す信号がIGSW500からECU300へ出力される。そして、IGSW500の操作に応じて、車両1の走行駆動部(たとえば、MG12及びエンジン20)の始動/停止が切り替わる。IGSW500がON状態であること(すなわち、READY-ON)を示す信号は、走行駆動部の始動要求に相当し、IGSW500がOFF状態であること(すなわち、READY-OFF)を示す信号は、走行駆動部の停止要求に相当する。IGSW500がオンされると、ECU300は走行駆動部の始動制御を実行し、IGSW500がオフされると、ECU300は走行駆動部の停止制御を実行する。走行駆動部の始動制御によってSMR-B51及びSMR-G61の各々がオンされ、走行駆動部の停止制御によってSMR-B51及びSMR-G61の各々がオフされる。
ところで、この実施の形態に係る車両1(蓄電システム)には、2つのシステムメインリレー(SMR-B51、SMR-G61)が搭載され、各システムメインリレーに対して温度センサ(温度センサ52、62)が設けられている。各システムメインリレーは、劣化度合いに応じて個別に交換又は修理される。SMR-B51とSMR-G61とが異なる速度で劣化する場合には、劣化速度の速い一方が先に交換又は修理され、劣化速度の遅い他方はそのまま使用されることがある。システムメインリレーは、劣化度合いが大きくなるほど抵抗が上昇して発熱しやすくなる。たとえば、SMR-B51及びSMR-G61のうちSMR-B51のみが新品に交換されると、SMR-B51よりもSMR-G61のほうが発熱しやすくなる。
バッテリ100の放電時及び充電時の各々においては、バッテリ100の電力経路に設けられたSMR-B51及びSMR-G61が通電状態になって発熱する。この際、各システムメインリレーの発熱量が異なると、リレー間の温度差が大きくなる。このため、SMR-B51及びSMR-G61が通電状態である状況において、各システムメインリレーに設けられた2つの温度センサ52,62の検出値の偏差が大きくなった場合、その原因が、温度センサ52,62の検出誤差によるものか、各システムメインリレーの発熱量の違いによるものかを、判別することは難しい。また、システムメインリレーの発熱の仕方は時間の経過とともに変化する傾向があるため、システムメインリレーの発熱量を正確に求めることも難しい。使用の仕方によってシステムメインリレーの劣化速度は変わる。
そこで、この実施の形態に係る車両1(蓄電システム)では、SMR-B51及びSMR-G61が通電状態から非通電状態になった後にSMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定したことを含む所定の条件(以下、「判定条件」とも称する)が成立する場合において、温度センサ52,62の検出値の偏差を用いて温度センサ52,62の異常の有無を判定するようにしている。SMR-B51及びSMR-G61が通電状態から非通電状態になった後にSMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定したことを、判定条件が成立するために必要な要件(必要条件)としているため、バッテリ100の電力経路に設けられたSMR-B51及びSMR-G61が通電状態になって発熱しても、温度センサ52,62の異常の有無の判定は、SMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定してから(すなわち、十分低温になってから)行なわれる。これにより、SMR-B51及びSMR-G61の発熱特性(発熱しやすさ)の違いに起因した温度偏差の変動が抑制され、温度センサ52,62の異常を高い精度で検出することが可能になる。
図4は、本開示の実施の形態1に係る蓄電システムのECU300により実行される温度センサの異常検出の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定条件の成立時にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。ただし、図4の処理が開始されるときには、車両1の状態がREADY-ONになっている。READY-ONでは、システムメインリレー(SMR-B51及びSMR-G61)がON状態になっている。制御周期は、たとえば約100msである。
図4を参照して、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)11では、車両1の状態がREADY-ONからREADY-OFFになったか否か(すなわち、ユーザの操作によってIGSW500がオフされたか否か)を、ECU300が判断する。そして、READY-ONが維持されている(S11にてNO)と判断されている間は、S11の処理が制御周期ごとに繰り返し行なわれる。
S11において車両1の状態がREADY-OFFになった(S11にてYES)と判断されると、ECU300は、S12においてSMR-B51及びSMR-G61の各々をオフする。これにより、バッテリ100の電力経路が遮断され、SMR-B51及びSMR-G61の各々は非通電状態になる。
続けて、ECU300は、S13においてカウンタC1に初期値として0を設定する。カウンタC1は、SMR-B51及びSMR-G61の両方が非通電状態になってからの経過時間を示すパラメータであり、たとえばメモリ302に予め用意されている。
続けて、ECU300は、S14において、車両1の状態がREADY-OFFからREADY-ONになったか否か(すなわち、ユーザの操作によってIGSW500がオンされたか否か)を判断する。そして、車両1の状態がREADY-OFFであると判断された場合(S14にてNO)には、S15において、メモリ302内のカウンタC1をカウントアップ(+1)することにより、カウンタC1の値を更新する。READY-OFFが維持されている間は、S14及びS15の処理が制御周期ごとに繰り返し行なわれる。
S14において車両1の状態がREADY-ONになった(S14にてYES)と判断されると、ECU300は、S161~S163において判定条件の成否を判断する。図4の例においては、S161~S163の全てにおいてYESと判断されることを、判定条件が成立するための必要十分条件としている。S17における異常の有無の判定は、S161~S163の全てにおいてYESと判断された場合にのみ実行される。
S161では、カウンタC1が所定値以上か否かが判断される。S161で用いられる所定値は、SMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定したときにカウンタC1が所定値以上になるように設定される。より具体的には、S161で用いられる所定値としては、通電状態においていったん発熱したSMR-B51及びSMR-G61が非通電状態になった後、SMR-B51及びSMR-G61を非通電状態に維持して冷却するときに、SMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定する(たとえば、外気温と同程度になる)までにかかる時間(カウント数)が設定される。こうした時間(ひいては、上記の所定値)は、たとえば予め実験等により求められてメモリ302に記憶されている。S161で用いられる所定値は、固定値であってもよいし、後述するセンサ最高温度等に応じて可変であってもよい。
S162では、温度センサ52,62の配線において断線及びショートが生じていないか否かが判断される。たとえば、温度センサ52,62の少なくとも一方の出力値が上限又は下限に固定されている場合には、断線又はショートが生じている(S162にてNO)と判断される。
S163では、温度センサ52,62の検出値が正常に出力されているか否かが判断される。より具体的には、各センサの出力値が正常に変動しているか否か、及び、各センサの出力値が正常な範囲内にあるか否かが判断される。たとえば、温度センサ52,62の少なくとも一方の出力値が異常に大きい場合や異常に小さい場合には、S163においてNOと判断される。また、温度センサ52,62の少なくとも一方の出力値が正常に変動していない場合(すなわち、出力固定異常が生じている場合)にも、S163においてNOと判断される。
S161~S163の全てにおいてYESと判断された場合には、ECU300は、判定条件が成立すると判断し、S17において、温度センサ52,62の各々の検出値を取得するとともに、それらの温度偏差を用いて温度センサ52,62の少なくとも一方において異常が生じているか否かを判定する。図4の例においては、温度偏差として、温度センサ52が検出したSMR-B51の温度(以下、「T1」とも称する)と、温度センサ62が検出したSMR-G61の温度(以下、「T2」とも称する)との差(絶対値)を採用する。S17では、温度差|T1-T2|が所定値(以下、「しきい値X」とも称する)以上か否かが判断される。この実施の形態に係るT1、T2はそれぞれ、本開示に係る「第1検出温度」、「第2検出温度」の一例に相当する。
S17で用いられるしきい値Xは、センサ異常検出のためのしきい値であり、たとえば予め実験等により求められてメモリ302に記憶されている。しきい値Xは、温度センサ52,62のうちの所定のセンサの所定期間(たとえば、車両1の状態がREADY-ONになってからS11でREADY-OFFになったと判断されるまでの期間)における検出温度の最高値(以下、「センサ最高温度」とも称する)に基づいて可変であってもよい。所定のセンサは、温度センサ52であってもよいし、温度センサ62であってもよいし、温度センサ52,62の両方であってもよい。温度センサ52,62の両方のセンサ最高温度の例としては、各センサの最高検出温度の平均値が挙げられる。各センサの最高検出温度が低い場合には冷却後におけるセンサ間の温度偏差が大きくなりやすいため、S17において、センサ最高温度が低い場合には、センサ最高温度が高い場合よりも、しきい値Xを大きくするようにしてもよい。たとえば、センサ最高温度としきい値Xとの関係を示す情報(数式又はマップ等)を予めメモリ302に格納しておくことで、S17において、ECU300が、こうした情報を参照して、センサ最高温度に対応するしきい値Xを設定することが可能になる。しきい値Xは、たとえば20℃~70℃の範囲で可変であってもよい。センサ最高温度が低いほど、しきい値Xが大きくなるようにしてもよい。ただし上記に限られず、S17で用いられるしきい値Xは、固定値であってもよい。
図5は、T1-T2の正常な範囲と異常な範囲とを示す図である。図5において、横軸はT1-T2を示しており、xは、センサ異常検出のためのしきい値(すなわち、S17で用いられるしきい値X)に相当する。図5を参照して、「-p~+p」は正常な範囲を、「-x以下」及び「+x以上」の各々は異常な範囲を示している。S17では、制御周期ごとにT1-T2を取得し、T1-T2が所定時間(たとえば、1秒間~10秒間)継続して「-p~+p」内に存在する場合にYESと判断され、T1-T2が所定時間(たとえば、1秒間~10秒間)継続して「-x以下」又は「+x以上」に存在する場合にNOと判断される。
なお、温度偏差(たとえば、温度差)における正常な範囲の中心位置が偏差なし(たとえば、温度差=0℃)になるとは限らない。たとえば、温度センサ52,62の搭載位置によっては、正常な範囲が+側及び-側のいずれかに偏ることがある。また、温度偏差は、上記の温度差に限られず、2つの検出値(第1検出温度、第2検出温度)のずれ(相違の度合い)を表すものであれば任意である。たとえば、T1とT2との比率(T1/T2、又はT2/T1)を、温度偏差として採用してもよい。
再び図4を参照して、S17でNOと判断された場合には、ECU300は、温度センサ52,62は正常であると判断し、S181においてSMR-B51及びSMR-G61の各々をオンする。これにより、バッテリ100の電力経路が接続され、SMR-B51及びSMR-G61の各々は通電状態になる。そして、このS181の処理が実行されると、図4の処理は終了し、処理がメインルーチンへと戻される。
また、S161でNOと判断された場合には、ECU300は、判定条件が成立しないと判断し、処理はS17を経ずに上記S181に進む。
S17でYESと判断された場合には、ECU300は、温度センサ52,62の少なくとも一方において異常が生じていると判断し、S182において所定のフェイルセーフ処理を実行する。図4の例では、温度センサ52,62のいずれで異常が生じているかは特定しない。しかしこれに限られず、ECU300は、温度センサ52,62の出力値などに基づいて、温度センサ52,62のいずれで異常が生じているかを特定するように構成されてもよい。
フェイルセーフ処理は、センサ異常が生じたことの報知と、センサ異常が生じたことの記録と、バッテリ100の電流制限と、冷却装置240の駆動量を増加させることとの少なくとも1つを含んでいてもよい。この実施の形態では、以下に説明するように、これらの全てが実行される。
S182では、ECU300が報知装置400を制御して、センサ異常が生じたことをユーザへ報知する。ユーザへの報知の方法は任意であり、表示装置に文字又は画像等を表示させてもよいし、スピーカーによって音(音声を含む)で知らせてもよいし、所定のランプ(たとえば、MIL(故障警告灯))を点灯(点滅を含む)させてもよい。
S182では、センサ異常が生じたことの記録が行なわれる。たとえば、ECU300は、メモリ302内のダイアグ(自己診断)のフラグをONする(フラグの値を0から1にする)ことにより、センサ異常が生じたことをメモリ302に記録する。
S182では、バッテリ100の電流制限が行なわれる。たとえば、ECU300は、バッテリ100の入力出電流が所定の制限値を超えないようにPCU40等を制御する。こうした電流制限が行なわれることで、SMR-B51及びSMR-G61の発熱が抑制される。また、センサ異常が生じていない状況においても電流制限を行なっている場合には、センサ異常が生じたとき(S17にてYES)にECU300が制限値を小さくすることによって、その電流制限を強めてもよい。
S182では、冷却装置240の駆動量が最大にされる。ECU300は、冷却装置240(たとえば、ファン又はブロワ)の羽根車の回転速度が大きくなる。これにより、バッテリ100に対する送風量が多くなり、バッテリ100及びその周辺のJB50,60などが冷却されやすくなる。
また、S162及びS163のいずれかでNOと判断された場合にも、ECU300は、温度センサ52,62の少なくとも一方において異常が生じていると判断し、S182において、上記フェイルセーフ処理を実行する。なお、S17でYESと判断された場合と、S162でNOと判断された場合と、S163でNOと判断された場合とで、異なるフェイルセーフ処理を実行してもよい。
ECU300は、S182で上記フェイルセーフ処理を実行した後、S181においてSMR-B51及びSMR-G61の各々をオンする。これにより、バッテリ100の電力経路が接続され、SMR-B51及びSMR-G61の各々は通電状態になる。そして、このS181の処理が実行されると、図4の処理は終了し、処理がメインルーチンへと戻される。
図6は、図4の処理におけるカウンタC1の値とIGSW500の状態とシステムメインリレーの状態との各々の推移の一例を示すタイミングチャートである。図6に示される各パラメータの推移は、判定条件が成立する場合の推移である。図6において、線L1はカウンタC1の値の推移を、線L2はIGSW500の状態の推移を、線L3はシステムメインリレー(SMR-B51、SMR-G61)の状態の推移を示している。
図4とともに図6を参照して、タイミングt11で、ユーザによってIGSW500がオフされる(線L2)と、S11でYESと判断され、S12においてシステムメインリレー(SMR-B51、SMR-G61)がオフされる(線L3)とともに、S13~S15によってカウンタC1によるカウントが開始される(線L1)。
その後、タイミングt12で、ユーザによってIGSW500がオンされる(線L2)と、S14でYESと判断され、S161~S163において判定条件の成否が判断される。そして、S161~S163において判定条件が成立する(S161~S163の全てにおいてYES)と判断されると、S17における異常の有無の判定が実行される。そして、この判定が終了すると、タイミングt13で、システムメインリレー(SMR-B51、SMR-G61)がオンされる(線L3)。より具体的には、S17でセンサ異常が生じていないと判断されると、S182を経ずにS181でシステムメインリレーがオンされる。他方、S17でセンサ異常が生じていると判断されると、S182でフェイルセーフ処理が実行された後、S181でシステムメインリレーがオンされる。S17における異常の有無の判定は、タイミングt12~t13の期間に実行される。
以上説明したように、この実施の形態に係る蓄電システムのECU300は、SMR-B51及びSMR-G61が通電状態から非通電状態になった後にSMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定したとき(たとえば、図4の処理においてS12の実行後にS161においてYESと判断されたとき)に、温度センサ52,62の各々の検出値(T1及びT2)を取得し、それらの温度偏差(より特定的には、温度差|T1-T2|)を用いてセンサの異常の有無を判定する(図4のS17)。バッテリ100の電力経路に設けられたSMR-B51及びSMR-G61が通電状態になって発熱しても、センサの異常の有無の判定(図4のS17)は、SMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定してから(すなわち、SMR-B51及びSMR-G61の各々が発熱前の状態になってから)行なわれる。このため、SMR-B51及びSMR-G61の発熱特性(発熱しやすさ)の違いに起因した温度偏差の変動が抑制され、温度センサ52,62の異常を高い精度で検出することが可能になる。
[実施の形態2]
実施の形態1における図4のS161では、温度センサを使用しない方法でSMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定したことを推定している。より具体的には、実施の形態1では、SMR-B51及びSMR-G61の両方が非通電状態になってから所定時間以上が経過したときにSMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定したと推定している。しかし、SMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定したか否かを判定する方法は、上記実施の形態1の方法に限られない。
以下、図7及び図8を用いて、本開示の実施の形態2に係る蓄電システムについて説明する。実施の形態2に係る蓄電システムは、基本的には、実施の形態1に係る蓄電システムに準ずる構成を有する。ただし、実施の形態2に係る蓄電システムでは、ECU300が、図4の処理に代えて、図7の処理を行なうように構成される。実施の形態2は実施の形態1と共通する部分が多いため、主に相違点について説明し、共通する部分についての説明は割愛する。
図7は、本開示の実施の形態2に係る蓄電システムのECU300により実行される温度センサの異常検出の処理手順を示すフローチャートである。以下では、主に図4の処理との相違点について説明する。
図7を参照して、ECU300は、S21において車両1の状態がREADY-OFFになったか否かを判断し、S21においてYESと判断されると、ECU300は、S22においてシステムメインリレー(SMR-B51、SMR-G61)をオフする。なお、図7におけるS21、S22については、それぞれ図4のS11、S12と同じであるため、説明を割愛する。
続けて、ECU300は、S231~S242において判定条件の成否を判断する。図7の例においては、S231、S232、及びS242の全てにおいてYESと判断されることを、判定条件が成立するための必要十分条件としている。なお、図7におけるS231、S232については、それぞれ図4のS162、S163と同じであるため、説明を割愛する。
S231及びS232の両方でYESと判断された場合には、ECU300は、S241において、温度センサ52,62の各々の検出値を取得してメモリ302に保存する。続けて、ECU300は、S242において、上記S241で保存したデータを用いてT1(すなわち、温度センサ52の検出値)の単位時間あたりの変化量(以下、「dT1/dt」とも称する)と、T2(すなわち、温度センサ62の検出値)の単位時間あたりの変化量(以下、「dT2/dt」とも称する)とを算出し、算出されたdT1/dt及びdT2/dtの各々が所定のしきい値以下か否かを判断する。dT1/dt及びdT2/dtの各々に対するしきい値は、たとえば予め実験等により求められてメモリ302に記憶されている。S242で用いられるしきい値は、固定値であってもよいし、車両1の状況等に応じて可変であってもよい。また、dT1/dtに対するしきい値と、dT2/dtに対するしきい値とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
図8は、T1及びT2の各々の推移の一例を示す図である。図8において、線S1はT1の推移を、線S2はT2の推移を示している。図8を参照して、タイミングt21で、ユーザによってIGSW500がオフされる(すなわち、車両1の状態がREADY-OFFになる)と、SMR-B51及びSMR-G61の各々が非通電状態になって冷却される。そして、SMR-B51及びSMR-G61の温度低下に伴ってT1(線S1)及びT2(線S2)が低下する。
タイミングt21から時間が経過するにつれてdT1/dt(線S1の傾き)及びdT2/dt(線S2の傾き)は小さくなる。dT1/dt、dT2/dtは、それぞれSMR-B51、SMR-G61の温度低下の度合いを示すため、dT1/dt、dT2/dtが小さいことは、それぞれSMR-B51、SMR-G61が冷却されにくくなっていることを意味する。そして、タイミングt22になると、dT1/dt及びdT2/dtが0に近い値になる。dT1/dt及びdT2/dtが0に近い値になることは、T1及びT2が安定していること(すなわち、T1及びT2がほとんど変化しないこと)を意味する。dT1/dt及びdT2/dtの各々が十分小さくなっていれば、SMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定していると考えられる(線S1及び線S2参照)。
再び図7を参照して、dT1/dt及びdT2/dtの少なくとも一方が所定のしきい値を超えている場合(S242にてNO)には、SMR-B51及びSMR-G61の少なくとも一方が十分低い温度になっていないと判断される。S242においてNOと判断されている間は、S241及びS242の処理が制御周期ごとに繰り返し行なわれる。ECU300は、S241及びS242の処理を繰り返し実行している間にIGSW500からREADY-ONを示す信号を受信した場合には、温度センサの異常検出(図7の処理)を中止してシステムメインリレーをオンしてもよい。
dT1/dt及びdT2/dtの各々が所定のしきい値以下であると判断された場合(S242にてYES)には、SMR-B51及びSMR-G61の両方が十分低い温度になった(ひいては、判定条件が成立する)と判断される。そして、S251において、ECU300の電源がオフされ、ECU300が停止状態になる。なお、停止状態には、省電力モード(スリープ等)の状態が含まれる。この実施の形態では、停止状態としてスリープ状態を採用する。
続けて、S26において、車両1の状態がREADY-ONになったか否かが判断される。より具体的には、ECU300は、IGSW500からREADY-ONを示す信号を受信しない間は、車両1の状態はREADY-OFFである(S26においてNO)と判断し、IGSW500からREADY-ONを示す信号を受信すると、車両1の状態がREADY-ONになった(S26においてYES)と判断する。
ECU300は、S26においてNOと判断されている間は、上記のスリープ状態を維持する。他方、S26においてYESと判断されると、S252においてECU300は起動(すなわち、スリープ状態から復帰)する。これにより、ECU300は、通常の作動状態になる。
S252の処理後、S27において異常の有無の判定が実行される。S27でセンサ異常が生じていないと判断される(S27にてNO)と、S282を経ずにS281でシステムメインリレーがオンされる。他方、S27でセンサ異常が生じている(S27にてYES)と判断されると、S282でフェイルセーフ処理が実行された後、S281でシステムメインリレーがオンされる。なお、図7におけるS27、S281、S282については、それぞれ図4のS17、S181、S182と同じであるため、説明を割愛する。
上記のように、実施の形態2に係る蓄電システムは、SMR-B51及びSMR-G61が通電状態から非通電状態になった後にSMR-B51及びSMR-G61の各々の温度が安定したとき(たとえば、図7の処理においてS22の実行後にS242においてYESと判断されたとき)に、温度センサ52,62の各々の検出値(T1及びT2)を取得し、それらの温度偏差(より特定的には、温度差|T1-T2|)を用いてセンサの異常の有無を判定する(図7のS27)。このため、実施の形態2に係る蓄電システムによっても、SMR-B51及びSMR-G61の発熱特性の違いに起因した温度偏差の変動が抑制され、温度センサ52,62の異常を高い精度で検出することが可能になる。
[実施の形態3]
以下、図9を用いて、本開示の実施の形態3に係る蓄電システムについて説明する。実施の形態3に係る蓄電システムは、基本的には、実施の形態2に係る蓄電システムに準ずる構成を有する。ただし、実施の形態3に係る蓄電システムでは、ECU300が、図7の処理に代えて、図9の処理を行なうように構成される。実施の形態3は実施の形態2と共通する部分が多いため、主に相違点について説明し、共通する部分についての説明は割愛する。
図9は、本開示の実施の形態3に係る蓄電システムのECU300により実行される温度センサの異常検出の処理手順を示すフローチャートである。以下では、主に図7の処理との相違点について説明する。
図9の処理においても、図7の処理と同様、S242においてNOと判断されている間に、S241及びS242の処理が繰り返し行なわれる。ただし、図9の処理では、制御周期ごとではなく、所定の起動条件が成立するごとにS241及びS242の処理が実行される。
図9を参照して、S242においてNOと判断されると、S243において、ECU300に所定の起動条件が設定された後、ECU300の電源がオフされる。これにより、ECU300が停止状態(たとえば、スリープ状態)になる。ECU300に起動条件が設定されることで、起動条件が成立したときにECU300が起動するようになる。起動条件は任意に設定できるが、この実施の形態では、現時点(起動条件の設定時)から所定時間が経過すると起動条件が成立するようにする。なお、所定時間は、固定値であってもよいし、可変であってもよい。たとえば、S242においてNOと判断される回数(ひいては、S243の処理回数)が増えるにしたがって所定時間が短くなるようにしてもよい。
S243の処理後、S244において、起動条件が成立したか否かが判断される。起動条件が不成立(S244にてNO)である間は、ECU300は上記の停止状態(たとえば、スリープ状態)を維持する。そして、起動条件が成立する(S244にてYES)と判断されると(すなわち、上記所定時間が経過すると)、S245においてECU300が起動し、S241及びS242の処理を実行する。
上記実施の形態3に係る蓄電システムによっても、SMR-B51及びSMR-G61の発熱特性の違いに起因した温度偏差の変動が抑制され、温度センサ52,62の異常を高い精度で検出することが可能になる。また、図9の処理では、ECU300の起動時間が短くなるため、消費電力を削減することができる。
[他の実施の形態]
図4の処理において、車両1の状態がREADY-ONになるまでの待機中(S14においてNOと判断されている期間)にECU300を停止状態(たとえば、スリープ状態)にしてもよい。
上記各実施の形態では、1回のトリップで温度偏差が大きい(S17又はS27にてYES)と判断されるだけでもセンサ異常が生じていると判定される。しかしこれに限られず、複数回のトリップで連続して温度偏差が大きいと判断されたときに、センサ異常が生じていると判定されるようにしてもよい。なお、READY-ONからREADY-OFFまでが、1回のトリップである。
上記各実施の形態では、ECU300がフェイルセーフ処理を実行している。しかしこれに限定されず、温度センサ52,62の異常検出までをECU300が行ない、その後の処理はユーザに委ねるようにしてもよい。
上記実施の形態では、冷却装置240として送風装置を採用している。しかしこれに限られず、送風装置に代えて、他の冷却装置(たとえば、水冷冷却方式又は冷媒冷却方式の冷却装置)を採用してもよい。
上記各実施の形態では、第1部品及び第2部品としてシステムメインリレー(SMR-B51及びSMR-G61)を採用している。しかし、第1部品及び第2部品は、システムメインリレーに限定されず、蓄電装置の電力経路に設けられた他の部品であってもよい。たとえば、第1部品及び第2部品の各々は、蓄電装置の充電経路に設けられた充電リレーであってもよい。また、第1部品及び第2部品の他の例としては、S/P、ヒューズボックス、PNコネクタが挙げられる。
上記各実施の形態において、判定条件は、第1部品及び第2部品が通電状態から非通電状態になった後に第1部品及び第2部品の各々の温度が安定したことを含む範囲で、適宜変更可能である。たとえば、図4の処理において、S162及びS163の少なくとも一方を割愛してもよい。また、図7及び図9の処理において、S231及びS232の少なくとも一方を割愛してもよい。
上記各実施の形態に係る蓄電システムが適用される車両1の構成は適宜変更可能である。また、バッテリ100の構成も適宜変更可能である。たとえば、組電池に代えて単電池を採用してもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。