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JP7088664B2 - 構造物床の振動防止架構 - Google Patents
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本発明は、コンサートホール、ライブハウス等の大規模施設において発生する低周波数の垂直方向振動を効果的に防止することができる構造物床の振動防止架構に関する。
コンサートホール、ライブハウス等の大規模施設において、ミュージシャンの演奏する音楽に合わせて、多数の視聴者が踊ったり、飛び跳ねたりすることによって、構造物床には低周波数の垂直方向振動(縦ノリ振動)が発生する。
近年、コンサートホール、ライブハウス等の大規模施設がさらに巨大化して、極めて多数の視聴者を収容するようになると、視聴者が踊ったり、飛び跳ねたりすることによって発生する低周波数の垂直方向振動のパワーも極めて大きなものとなる。
ここで、大パワーの垂直方向振動は、図1に示すように、大規模施設100の構造物床101を介して柱102、基礎103等に伝達され、大規模施設100の直下の地盤104も垂直方向に振動するようになる。
さらに、この垂直方向振動は、大規模施設100の周辺の地盤105へと伝達されていくが、周辺の地盤105に伝達されていくに従って、垂直方向振動は減衰され、水平方向振動の割合の方が増大するようになる。
そして、伝搬する地盤振動と同一の固有振動数を有する建築物106が周辺に存在すると、地盤振動と共にその建築物106が激しく揺れる(共振)という現象が発生する。
そこで、縦ノリ振動が発生する大規模施設の構造物床を防振し、振動伝達率を低減することによって、周辺の地盤へ振動が伝搬するのを低減し、周辺に存在する建築物が共振しないようにする工法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2006-057260号公報
特許文献1に開示された防振工法は、構造物床1を防振支持した防振エリア2と、防振支持しない非防振エリア3とによって構成し、床下構造4へ伝達される振動の位相を異ならせ、この位相差によって垂直方向振動を打ち消すものである。
しかし、特許文献1に開示された防振工法は、防振エリア2と非防振エリア3との位相差にあまり差異がないと、垂直方向振動を打ち消す効果が殆どない。
一方、防振エリア2の柔軟性が高すぎるため、視聴者等が通常に歩行する時にも揺動し易く、防振性能が高いとは言えない。
又、防振エリア2と非防振エリア3とを区分する必要があるため、防振エリア2と非防振エリア3との間に間隙が形成され、両者の床面間に段差が生じやすい。
さらには、防振エリア2と非防振エリア3とを区分する必要があるため、構造物床1の構造が複雑なものとなり、施工に多大な時間と費用を要するという問題がある。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたものであって、縦ノリ振動によって発生する垂直方向振動を減衰する効果が大きく、床面に不都合な間隙、段差を生じさせないと共に、構造物床の構造が複雑なものとならず、施工に多大な時間と費用を要しない構造物床の振動防止架構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の構造物床の振動防止架構は、多数収容する視聴者の挙動によって低周波数の垂直方向振動が発生する、大規模施設における構造物床の振動防止架構であって、
多数の視聴者を載置する上階床面を支持する、長さが20~60mとロングスパンであって、梁成が500~2,000mmと小さい、少なくとも80kg鋼以上の超高強度鋼から成る梁材と、
前記梁材の両端部において、前記梁材を単純支持するように設置した支持材と、
前記梁材の長さ方向中央部において、前記梁材と下階床面との間に配設した減衰ダンパーと、
前記梁材に係止自在とした吊材によって、前記梁材の適宜位置に、適宜個数だけ吊下させて配設することができる塊状体を呈する錘体と、
から構成したことを特徴とする。
ここで、前記梁材は、フルウェブのH型鋼を採用するのが好ましい。
さらに、前記支持材は、柱材に固定する底板部と、挿通孔を穿設した支持部と、から構成され、前記挿通孔に支軸を挿通させると共に、この支軸に前記梁材の一端部を枢支させることによって、前記梁材をピン支持するようにしてもよい。
本発明の構造物床の振動防止架構によれば、縦ノリ振動によって発生する垂直方向振動を減衰する効果が大きく、床面に不都合な間隙、段差を生じさせないと共に、構造物床の構造が複雑なものとならず、施工に多大な時間と費用を要しない。
縦ノリ振動の周辺地盤への伝達過程を示す説明図である。 本発明の構造物床の振動防止架構の断面図である。 図2に示す梁材の断面図である。 図2に示す梁材の一端部(単純支持端部)の一実施形態の要部拡大断面図である。 図2に示す梁材の一端部(単純支持端部)の他実施形態の要部拡大断面図である。 図2に示す梁材の一端部(単純支持端部)の他実施形態の要部拡大断面図である。 図2に示す振動防止架構による振動系の模式図である。 固有振動数1Hzの振動系に調和外力が作用した場合の応答倍率を示すグラフである。 1質点系のモデルに縦ノリ振動を模擬した2Hzの外力を付加させた場合の低減率と減衰比との関係を示すグラフである。 コンサートホールの平面図である。 図10のA-A断面図である。 図10のB-B断面図である。
本発明の構造物床の振動防止架構の好適な実施形態について、以下、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の構造物床の振動防止架構1は、図2に示すように、上階床面2を支持するロングスパンの梁成の小さい梁材3と、この梁材3を単純支持する支持材4と、前記梁材3と下階床面5との間に配設した減衰ダンパー6と、前記梁材3の下方に吊下する錘体7とから構成してある。
梁材3としては、80kg鋼、100kg鋼等の超高強度鋼であって、図3に示すように、梁巾Bが400~1,200mm、梁成(高さ)Hが500~2,000mm、長さ(スパン)Lが20~60mのH型鋼を採用するのが好ましい。
又、上記と同性能のものであれば、I型鋼、箱型鋼、矩形状断面を呈する鋼等を採用してもよく、梁端部で、応力の小さい部分に使用されるものにあっては、50kg鋼等を採用しても問題ない。
ここで、梁材3の長さ(スパン)Lを20~60mとロングスパンとし、梁材3の長さ(スパン)Lに対して梁成Hを大幅に小さくすることによって、例えば、H/Lを1/30~1/50とすることによって、小さい固有振動数を有する床を実現する。
又、高次モードが加振周波数の2~3Hzやその倍調波の4~6Hzと一致した場合に梁の応答が大きくなることがあるため、梁はフルウェブの単純梁として、1次モードが卓越し、2次モードが2~3Hzとならないような振動系を構成する。
支持材4は、梁材3を単純支持するため、例えば、図4に示すように、支持材4Aを無収縮モルタル44と、底板部41と支持部42とから構成し、底板部41をボルト,ナット等によって柱材8の上面部に固定し、支持部42に穿設した挿通孔42aに支軸43を挿通させると共に、この支軸43に梁材3,3の一端部を枢支させることによって、梁材3,3をピン支持するようにしてもよい。
又、図5に示すように、支持材4Bを無収縮モルタル44と、底板部41と、受座部45と、丸鋼棒46とから構成し、受座部45の上端面は曲面状とし、丸鋼棒46の下端面と当接させると共に、底板部41及び受座部45をボルト,ナット等によって柱材8の上面部に固定するようにしてもよい。
ここで、丸鋼棒46は、下端面に擦過傷が生じて転動を阻止しないように、少なくとも下端面近傍にはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等をコーティングしてあり、梁材3の下端面に溶接等によって固着してある。
尚、支持部における強度を確保するため、梁材3にはリブプレート31を溶接等によって固着してある。
又、図6に示すように、支持材4Cを無収縮モルタル44と、底板部41と、受座部47とから構成し、受座部47の上端面は曲面状とし、梁材3の下端面と当接させると共に、底板部41及び受座部47をボルト,ナット等によって柱材8の上面部に固定するようにしてもよい。
ここで、受座部47は、上端面に擦過傷が生じて転動を阻止しないように、少なくとも上端面近傍にはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等をコーティングしてある。
尚、支持部における強度を確保するため、梁材3にはリブプレート31を溶接等によって固着してある。
減衰ダンパー6は、梁材3の長さ方向中央部の下方への撓みに対して抗力を保有させると共に、振動を吸収するため、梁材3の長さ方向中央部に配置してある。
この減衰ダンパー6としては、オイルダンパーや粘性壁等の固有振動数に影響を与えないダンパーを採用することができる。
錘体7は、梁材3の固有振動数を目標値に合わせるため、及び床面の応答加速度を小さくするために設けるものとし、図2に示すように、梁材3に係止自在とした吊材71によって、梁材3の適宜位置に、適宜個数だけ吊下させて配設する。
この錘体7は、梁材3の曲げ剛性には何等寄与しないものであって、上階床面2と下階床面5との間の空間を効率的に利用すると共に、経済性をも配慮して、鉄を直方体状に成形したものを採用する。
錘体7の個数を追加、減少可能とすることによって、上階床面2の応答加速度の増減に対応可能とすることができる。
又、吊材71も、梁材3の曲げ剛性には何等寄与しないものであって、丸鋼棒、型鋼材等を採用することができる。
本発明の構造物床の振動防止架構1によれば、図7に示すような振動系が構成され、この振動系に外力f(t)が付加された場合の運動方程式は、

my″+cy′+ky=f(t)

と表すことができる。
ここで、mは質量、cは粘性係数、kは弾性係数、yは変位である。
又、地盤に伝わる力F(t)及び低減率Rは、それぞれ、

F(t)=cy′+ky
R=F(t)/f(t)

と表すことができる。
図7に示すような振動系において、固有振動数1Hzの振動系に調和外力が作用した場合の応答倍率を図8に示す。
図8において、2.0~3.0Hzの範囲が縦ノリ振動の固有振動数領域とされる。
又、図7に示すような振動系において、縦ノリ振動を模擬した2Hzの外力を付加させた場合の低減率Rと減衰比hとの関係を図9に示す。
図9に示すグラフによれば、減衰比hが0.2、固有振動数fが0.6の場合に、低減率Rが0.3程度となることがわかる。
このことは、例えば、10,000人が縦ノリした場合に、3,000人が縦ノリした場合と同等レベルまで、地盤に伝わる力を減少させることができることを示している。
次に、本発明の構造物床の振動防止架構1の全体及び要素設計について、手順を追って説明する。
先ず、上階床面2の平面寸法、その床面2に存在すると想定される視聴者の人数、すなわち、加振人数を設定する。
次に、視聴者が飛び跳ねたりして縦ノリ振動が発生した時、又は、歩行して垂直方向振動が発生した時の目標応答加速度を設定する。
次に、所望の減衰量を仮定して、目標応答加速度を達成するに必要な振動防止架構1の重量を算出する。
これによって、錘体7の重量及び個数が確定する。
次に、縦ノリ振動が発生した時の目標低減率Roを設定し、この目標低減率Roを達成する振動防止架構1の目標固有振動数を算出する。
ここで、縦ノリ振動を模擬した2~3Hzの外力を低減し得るものとして、振動防止架構1の目標固有振動数は1Hz以下、特には、0.5~1Hzとすることが望ましい。
これによって、梁材3の剛性が決定される。
次に、上記算出した目標固有振動数とした場合に、上下の応答変位が許容値以内にあるかを確認する。
もし許容値を超える場合には、梁材3の剛性、又は減衰量を見直す。
以上の手順を踏んで決定された剛性及び重量を満たす梁材3の強度設計を実行して、本発明の構造物床の振動防止架構1の全体及び要素設計を完了する。
以上に説明するように、本発明の構造物床の振動防止架構1は、外力に対して床面を応答させてからでは制御が困難なので、元から要因を絶つという技術思想に基づいて為されたものである。
すなわち、振動防止架構1によって超低周波バネを実現するという意味で、仕上げ材や防振ゴムを付設するものとは一線を画するものである。
上記のようにして設計、構成される本発明の構造物床の振動防止架構1を適用すれば、図10乃至12に示すようなコンサートホール200、ライブハウス等の大規模施設において発生する縦ノリ振動を効果的に防止することができる。
ここで、錘体7は、梁材3の適宜位置に、適宜個数だけ吊下、配設できるようになっているから、加振人数、設置設備等の変更によって、振動防止架構1の目標固有振動数が変更になった場合にも、柔軟に対処することができる。
又、本発明の構造物床の振動防止架構1は、垂直方向振動が発生し易い機械式駐車場、研究施設、実験施設、機械設備等においても適用することができる。
コンサートホール200では、図11及び12に示すように、ホール201の下層階に駐車場202を設置する場合が多いが、ホール201の床面2を支持する梁材3をロングスパンで配設すれば、下層階に設置する柱材の数が少なくなり、設計上の自由度が高くなると共に、より多数の車両を収容する空間を構成することができる。
尚、構造物床の振動防止架構1において、梁材3は、その自重によって数10cm程度下方に撓むことになるから、予め、梁材3を変形させておき、設置時に水平になるようにしてもよい。
又は、自重による撓みが完了した後、剛性や重量に変化を与えない仕上げ材によって、水平な床面を構成するようにしてもよい。
又、減衰ダンパー6にロック機構を設ければ、減衰性能を可変することができて、適用する施設に対応した減衰機構を実現することができる。
以上説明したように、本発明の構造物床の振動防止架構によれば、縦ノリ振動によって発生する垂直方向振動を減衰する効果が大きいと共に、構造物床の構造が複雑なものとはならず、施工にも多大な時間と費用を要することもないから、極めて有用なものである。
1 振動防止架構
2 上階床面
3 梁材
4 支持材
5 下階床面
6 減衰ダンパー
7 錘体
8 柱材

Claims (3)

  1. 多数収容する視聴者の挙動によって低周波数の垂直方向振動が発生する、大規模施設における構造物床の振動防止架構であって、
    多数の視聴者を載置する上階床面を支持する、長さが20~60mとロングスパンであって、梁成が500~2,000mmと小さい、少なくとも80kg鋼以上の超高強度鋼から成る梁材と、
    前記梁材の両端部において、前記梁材を単純支持するように設置した支持材と、
    前記梁材の長さ方向中央部において、前記梁材と下階床面との間に配設した減衰ダンパーと、
    前記梁材に係止自在とした吊材によって、前記梁材の適宜位置に、適宜個数だけ吊下させて配設することができる塊状体を呈する錘体と、
    から構成したことを特徴とする構造物床の振動防止架構。
  2. 前記梁材は、フルウェブのH型鋼であることを特徴とする請求項1に記載の構造物床の振動防止架構。
  3. 前記支持材は、柱材に固定する底板部と、挿通孔を穿設した支持部と、から構成され、前記挿通孔に支軸を挿通させると共に、この支軸に前記梁材の一端部を枢支させることによって、前記梁材をピン支持するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物床の振動防止架構。
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