JP7090485B2 - 難燃性樹脂組成物、これを用いた成形体、絶縁電線、ケーブル及び光ファイバケーブル - Google Patents
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(上記一般式(3)中、ALは炭素数1~5の分岐状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Arは、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基又はアントリル基であり、AL中の任意の炭素原子に結合する。nは1~3の整数を示す。)
本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)と、リン酸塩化合物(B)と、有機リン化合物(C)と、エステル化合物(D)とを含む。ここで、リン酸塩化合物(B)が、ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して70質量部以上の割合で配合されている。リン酸塩化合物(B)は、下記一般式(1)で表されるリン酸と、分子内に少なくとも1個のアミノ基を有するアミン化合物との塩を含み、有機リン化合物(C)は下記一般式(2)で表される。また、エステル化合物(D)は、モノエステル化合物及びジエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
ポリオレフィン樹脂は、オレフィン(不飽和脂肪族炭化水素)に由来する構造単位を分子中に有するものであり、ポリオレフィン樹脂には、オレフィンの単独重合体、互いに異なるオレフィン同士の共重合体のほか、オレフィンと非オレフィンとの共重合体も含まれる。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-プロピレン共重合体及びエラストマなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
リン酸塩化合物は、上述したように、上記一般式(1)で表されるリン酸と、分子内に少なくとも1個のアミノ基を有するアミン化合物との塩からなるリン酸アミン塩化合物を含有する。ここで、「アミノ基」には、-NH2だけでなく、-NH-も含まれるものとする。
有機リン化合物(C)は、上述したように、上記一般式(2)で表される。
エステル化合物(D)は、難燃性樹脂組成物の加工性を向上させるとともに難燃助剤として機能して難燃性樹脂組成物の難燃性を向上させるものである。エステル化合物(D)は、モノエステル化合物及びジエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
フッ素系ドリップ防止剤(E)は、フッ素を含有するフッ素含有化合物を含み、燃焼時の樹脂だれ又は溶融樹脂の滴り(ドリップ)を防止することが可能なものであればよく、このようなフッ素含有化合物としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と呼ぶ)、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素系樹脂が挙げられる。また、フッ素含有化合物は、変性されていなくても変性されていてもよいが、変性されていることが好ましい。この場合、フッ素含有化合物が変性されていない場合と比較して、フッ素含有化合物が効率よくフィブリル化し、難燃性樹脂組成物における分散性がより向上する。その結果、フッ素系ドリップ防止剤(E)のドリップ防止機能をより向上させることができる。また、難燃性樹脂組成物の溶融張力がより大きくなるため、難燃性樹脂組成物の加工性及び成形性をより向上させることができる。変性されているフッ素含有化合物としては、例えば、酸変性ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
次に、本発明の成形体について説明する。
次に、本発明のケーブルについて図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。導体1の材料としては、金属導体及び非金属導体が挙げられる。金属導体としては、例えば、銅、アルミニウム、又はそれらを含む合金が好ましい。非金属導体としては、例えばカーボン材料などの導電性物質を用いることができる。なお、導体1が金属導体で構成される場合には、ケーブル10はメタルケーブルとなる。
被覆層3は、いわゆるシースであり、絶縁層2を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
次に、本発明の光ファイバケーブルについて図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の光ファイバケーブルの一実施形態を示す断面図である。
ポリオレフィン樹脂(A)、リン酸塩化合物(B)、有機リン化合物(C)、エステル化合物(D)、非エステル化合物(D※)、フッ素系ドリップ防止剤(E)を、表1~11に示す配合量で配合し、オープンロールを使用して180℃にて混練し、難燃性樹脂組成物を得た。なお、表1~11において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。
(A1)エチレンとプロピレンとのブロック共重合体(b-EP-1、株式会社プライムポリマー製、MFR=3.5g/10min)
(A2)エチレンとプロピレンとのブロック共重合体(b-EP-2、株式会社プライムポリマー製、MFR=30g/10min)
(A3)ホモ-ポリプロピレン(h-PP、株式会社プライムポリマー製)
(A4)高密度ポリエチレン(HDPE、日本ポリエチレン株式会社製)
(A5)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、住友化学株式会社製)
(A6)改質ポリプロピレン樹脂(PPエラストマ、三井化学株式会社製)
(A7)水添スチレンブタジエンゴム(水添SBR、JSR株式会社製)
(A8)オレフィン結晶エチレンブチレンオレフィン結晶ブロック共重合体(CEBC、JSR株式会社製)
(B1)ピロリン酸ピペラジンとピロリン酸メラミンとで構成される難燃剤
(B2)ピロリン酸ピペラジンとピロリン酸メラミンと酸化亜鉛とで構成される難燃剤
(B3)ピロリン酸メラミンで構成される難燃剤
(B4)オルトリン酸メラミンで構成される難燃剤
(B5)ポリリン酸メラミンで構成される難燃剤
ポリリン酸メラミンはポリリン酸とメラミンとの塩であり、ポリリン酸は、一般式(1)中のmが3以上であるリン酸である。
(B6)ポリリン酸アンモニウムで構成される難燃剤
ポリリン酸アンモニウムはポリリン酸とアンモニアとの塩であり、ポリリン酸は、一般式(1)中のmが3以上であるリン酸である。
(B7)リン酸グアニル尿素で構成される難燃剤
リン酸グアニル尿素はリン酸とグアニル尿素との塩であり、リン酸は、一般式(1)中のmが1であるリン酸である。
(B8)ポリリン酸メラミン・メラム・メレムで構成される難燃剤
ポリリン酸メラミン・メラム・メレムは、ポリリン酸と、メラミン、メラム及びメレムとの塩(複塩)であり、ポリリン酸は、一般式(1)中のmが3以上であるリン酸である。
(C1)ホスホン酸-ペンタエリスリトールエステル系難燃剤(一般式(2)において、X1及びX2がベンジル基(フェニルメチル基)である難燃剤)
(C2)ホスホン酸-ペンタエリスリトールエステル系難燃剤(一般式(2)において、X1及びX2がフェニルエチル基である難燃剤)
(C3)ホスホン酸-ペンタエリスリトールエステル系難燃剤(一般式(2)において、X1及びX2がフェニルプロピル基である難燃剤)
(C4)ホスホン酸-ペンタエリスリトールエステル系難燃剤(一般式(2)において、X1及びX2がフェニルブチル基である難燃剤)
(C5)ホスホン酸-ペンタエリスリトールエステル系難燃剤(一般式(2)において、X1及びX2がフェニルペンチル基である難燃剤)
(C6)ホスホン酸-ペンタエリスリトールエステル系難燃剤(一般式(2)において、X1及びX2がフェニルイソプロピル基である難燃剤)
(C7)ホスホン酸-ペンタエリスリトールエステル系難燃剤(一般式(2)において、X1及びX2がナフチルメチル基である難燃剤)
(C8)ホスホン酸-ペンタエリスリトールエステル系難燃剤(一般式(2)において、X1及びX2がアントリルメチル基である難燃剤)
(C9)ホスホン酸-ペンタエリスリトールエステル系難燃剤(一般式(2)において、X1がフェニルメチル基、X2がナフチルメチル基である難燃剤)
(D1)ペンタエリスリトールモノステアレート(融点:52℃)
(D2)ソルビタンモノステアレート(融点:51.5℃)
(D3)グリセロールモノステアレート(融点:64℃)
(D4)ジペンタエリスリトールアジペート(融点:180℃)
(D5)ジペンタエリスリトールアジペートとペンタエリスリトールアジペートとの混合物(融点:180℃)
(D1※)ステアリン酸カルシウム
(D2※)ステアリン酸アミド
(D3※)ペンタエリスリトール
(D4※)ペンタエリスリトールテトラパルミテート
実施例1~52及び比較例1~7の難燃性樹脂組成物を180℃で熱プレスすることで得られた厚さ0.2mmのシートについて、UL94垂直燃焼試験(V-0試験)を行い、そのときのグレードによって難燃性を評価した。結果を表1~11に示す。なお、表1~11において、難燃性の合否基準は以下の通りとした。
(合否基準)
合格・・・V-0、V-1又はV-2
不合格・・・全焼
実施例1~52及び比較例1~7の難燃性樹脂組成物について、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfの条件下でMFRを測定した。そして、このMFR値と、MFRの増加率算出の基準となる比較例のMFRの値(基準比較例のMFR値)とから、下記式を用いてMFR増加率を算出し、このMFR増加率を加工性の指標とした。結果を表1~11に示す。
MFR増加率(%)
=100×(MFR値-基準比較例のMFR値)/基準比較例のMFR値
なお、基準比較例としては比較例3を用いた。比較例3を基準比較例としたのは、有機リン化合物の配合量が0質量部であり、特許文献1に対応するからである。なお、表1~11において、MFRの単位はg/10minである。また加工性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準) MFR増加率が10%以上であること
実施例1~52及び比較例1~7の難燃性樹脂組成物を190℃でプレス成型することで得られた厚さ1mmのシートについて、油脂状のテカリやべたつき、粉状のざらつきがあるかどうかを目視で調べた。そして、油脂状のテカリやべたつき、粉状のざらつきが見られた場合にはブルームが「あり」と判定し、見られなかった場合には「無」と判定した。結果を表1~11に示す。
実施例1~52及び比較例1~8の難燃性樹脂組成物について、電子比重計(アルファ・ミラージュ社製)を用いて比重を測定した。結果を表1~11に示す。
2…絶縁層
3…被覆層
4…絶縁電線
10…ケーブル
20…光ファイバケーブル
24…光ファイバ
25…被覆部(絶縁体)
Claims (15)
- ポリオレフィン樹脂(A)と、
リン酸塩化合物(B)と、
有機リン化合物(C)と、
エステル化合物(D)とを含み、
前記リン酸塩化合物(B)が、前記ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して70質量部以上の割合で配合され、
前記リン酸塩化合物(B)が、下記一般式(1)で表されるリン酸と、分子内に少なくとも1個のアミノ基を有するアミン化合物との塩を含み、
前記有機リン化合物(C)が下記一般式(2)で表され、
前記エステル化合物(D)が、モノエステル化合物及びジエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
前記モノエステル化合物及び前記ジエステル化合物が水酸基を有する、難燃性樹脂組成物。
(上記一般式(1)中、mは1~100の整数を表す。)
(上記一般式(2)中、X1及びX2は同一又は異なるものであり、下記一般式(3)で表される。)
(上記一般式(3)中、ALは炭素数1~5の分岐状又は直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Arは、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基又はアントリル基であり、AL中の任意の炭素原子に結合する。nは1~3の整数を示す。) - 前記有機リン化合物(C)が、前記ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0質量部より多く50質量部未満の割合で配合されている、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記エステル化合物(D)が、前記ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0質量部より多く5質量部未満の割合で配合されている、請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記一般式(2)中のX1及びX2がベンジル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)中のmが1~2であり、
前記アミン化合物が、トリアジン環を含むアミン化合物、ピペラジン環を含むアミン化合物とトリアジン環を含むアミン化合物との混合物、アンモニア、又は、グアニジル尿素で構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。 - 前記アミン化合物が、ピペラジン環を含むアミン化合物と、トリアジン環を含むアミン化合物との混合物で構成される請求項1~5のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記エステル化合物(D)の融点が50℃以上180℃以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- フッ素系ドリップ防止剤(E)が前記ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0質量部より多く10質量部未満の割合でさらに配合される請求項1~7のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン樹脂(A)がポリプロピレン樹脂を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン樹脂(A)がエラストマを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン樹脂(A)中の前記エラストマの含有率が60質量%以下である、請求項10に記載の難燃性樹脂組成物。
- 請求項1~11のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を含む成形体。
- 導体と、
前記導体を被覆する絶縁層とを備え、
前記絶縁層が、請求項1~11のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される絶縁電線。 - 導体、及び、前記導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、
前記絶縁電線を被覆する被覆層とを備え、
前記絶縁層及び前記被覆層の少なくとも一方が、請求項1~11のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成されるケーブル。 - 光ファイバと、
前記光ファイバを被覆する被覆部とを備え、
前記被覆部が、前記光ファイバを被覆する絶縁体を有し、
前記絶縁体が、請求項1~11のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される光ファイバケーブル。
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