JP7090712B2 - 区画部材、乗物、及び電子機器 - Google Patents
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Description
また、重量による質量則に従う遮音においては、周波数全体にわたって高周波であるほど音を遮る効果が得られる。ただし、特定の周波数の音、又は狭い帯域の周波数の音が騒音である場合に、その騒音を質量則に従って遮ろうとすると、その騒音が周辺の周波数の音と比べて卓越している状態が元の状態と変わらないままで音圧を全体的に小さくすることになる。このため、耳触りとなる特定周波数が周りと比べて強く出ている状態は、変化しないままとなる。
すなわち、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、軽量な構成にて効率よく騒音を遮音することが可能な防音構造体を備えた区画部材、並びに、この区画部材を用いた電子機器及び乗物を提供することを目的とする。
さらに、膜状部材の硬さE×t3(Pa・m3)が2.49×10-7以下であると、より好適である。
また、上記の区画部材において、膜状部材は、開口面に固定される固定部と、固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を膜型共鳴器別に備えており、膜型共鳴器別に備えられた固定部及び振動可能な部分は、同一の膜状部材中に配置されており、種類が異なる少なくとも二つの膜型共鳴器の間では、背面空間の体積が互いに異なっていると、より好適である。
また、上記の区画部材において、区画部材の表面の少なくとも一部分に防音構造体が配置されていると、好適である。
また、上記の区画部材において、背面空間の厚みが0.5mm~10mmであると、好適である。
また、上記の区画部材において、fn/frが1.10~1.35となると、好適である。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の区画部材は、二つの空間を区画する部材であって、二つの空間の一方側にある音源から発せられた騒音を低減する防音構造体を備える。防音構造体は、開口部を有する支持体と、支持体の開口部が形成された開口面に固定される膜状部材と、膜状部材とは反対側で前記支持体に固定された背面板と、有する。防音構造体は、膜状部材に騒音が入射されることで膜状部材が振動することで防音する。より詳しく説明すると、防音構造体は、背面板と膜状部材と支持体とに囲まれた背面空間、及び、膜状部材によって構成された共鳴構造によって吸音する。また、防音構造体は、共鳴構造の共鳴周波数のうち、吸音率が極大となる極大共鳴周波数よりも高い周波数の音を遮音する。ここで、極大共鳴周波数は、騒音に対して設定された遮音対象周波数よりも低くなるように設定されている。さらに、遮音対象周波数をfnとし、極大共鳴周波数をfrとしたときには、fn/frは、1.05~1.50となる。
以上のように構成された本発明の区画部材では、その区画部材に備えられた防音構造体が、軽量な構成にて効率よく騒音を遮音することができる。この結果、防音効果として特に遮音性が求められる環境等において好適に防音することが可能である。
また、「遮音対象周波数」とは、例えば、騒音の音圧が周波数幅の狭いピーク音となる周波数帯域が該当し、より具体的には、騒音の特定周波数が該当する。
音源を無響室内、半無響室内、若しくはウレタン等の吸音体で囲まれた空間内に配置する。このように音源周辺に吸音体を配置することで、部屋及び測定系の反射干渉による影響を排除することができる。その上で、音源から音を発生させ、音源から離れた位置から上記の音をマイクで集音して測定し、その周波数情報を取得する。音源とマイクとの距離については、音源及び測定系のサイズに応じて適宜選択できるが、約30cm以上離れていることが望ましい。
なお、防音構造体20が区画部材10の表面の少なくとも一部分を構成しており、図1に図示の構成では、縁部を除き、区画部材10の表面の略全面を構成している。ただし、これに限定されるものではなく、区画部材10の表面の一部分(例えば、中央部分)が防音構造体20によって構成されてもよい。また、区画部材10の外表面に防音構造体20が取り付けられてもよく、あるいは、区画部材10の内部に防音構造体20が配置されてもよい。
なお、建物用の間仕切りとしては、壁、ドア、パーテーション及び衝立、シャッター、床、並びに天井等が挙げられる。
なお、電子機器としては、空調機(エアコン)、エアコン室外機、給湯器、換気扇、冷蔵庫、掃除機、空気清浄機、扇風機、食洗機、電子レンジ、洗濯機、テレビ、携帯電話、スマートフォン、及びプリンター等の家庭用電気機器;複写機、プロジェクター、デスクトップPC(パーソナルコンピューター)、ノートPC、モニター、及びシュレッダー等のオフィス機器;サーバー及びスーパーコンピューター等の大電力を使用するコンピューター機器;恒温槽、環境試験機、乾燥機、超音波洗浄機、遠心分離機、洗浄機、スピンコーター、バーコーター、及び搬送機等の科学実験機器が挙げられる。
なお、乗物としては、電動の自動車(バス又はタクシー等を含む)、電車、航空機器(飛行機、戦闘機又はヘリコプター等)、船舶、航空宇宙機器(ロケット等)、及びパーソナルモビリティー等が挙げられる。特に、ハイブリッド自動車、電気自動車及びPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)においては、内部に搭載されるモータ及びパワーコントロールユニット(インバータ及びバッテリ電圧昇圧ユニット等を含む)などに起因する特有の騒音が車室内で聞こえることが問題となる。
本発明の区画部材10が有する防音構造体(以下、防音構造体20)について、図2及び図3を参照しながら説明する。図3は、防音構造体20の分解機器図である。なお、図3には、支持体24の構成をする枠26、膜状部材30を構成する膜32、及び、背面板40を構成する板体44を、それぞれ一つ分だけ破線にて図示している。
支持体24は、開口部28を有する部材であり、膜状部材30を振動可能な状態で支持する。膜状部材30は、シート、フィルム又は薄板により構成されており、支持体24の開口部28が形成された開口面24sに、開口部28を塞ぐ位置にて固定されている。膜状部材30は、その表面のうち、開口部28に面している部分に騒音が入射されることで振動する。つまり、膜状部材30は、支持体24の開口面24xを覆った状態で支持体24に固定されることにより、支持体24に振動可能に支持されている。
各枠26は、膜型共鳴体22を構成する。また、各枠26の一端面(枠26の厚み方向における端面)には、膜状部材30中、対応する膜32が開口部28を塞ぐように固定される。これにより、各枠26は、対応する膜32を振動可能な状態で支持する。また、膜32の背側には、枠26のサイズ及び形状に応じた背面空間42が形成される。
図4に図示の構成において、枠26のサイズ及び形状が異なると、膜32の振動部分の面積と背面空間42の体積が異なることになる。また、これらの条件が異なることは、その膜32の振動部分及び背面空間42が形成された膜型共鳴体22の種類が異なることを意味する。つまり、複数の膜型共鳴体22は、すべて同じ種類であってもよく、あるいは、少なくとも二つの膜型共鳴体22の種類が互いに異なっていてもよい。換言すると、少なくとも二つの膜型共鳴体22の間で背面空間42の体積が互いに異なっていてもよい。
また、支持体24の材料としては、ハニカムコア材料を用いることもできる。ハニカムコア材料は、軽量で高剛性材料として用いられているため、既製品の入手が容易である。一例を挙げると、アルミハニカムコア、FRPハニカムコア、ペーパーハニカムコア(新日本フエザーコア株式会社製、昭和飛行機工業株式会社製など)、及び、熱可塑性樹脂(具体的には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)など)からなるハニカムコア(岐阜プラスチック工業株式会社製 TECCELLなど)等、様々な素材で形成されたハニカムコア材料を支持体24として使用することが可能である。
また、支持体24の材料としては、発泡材料、中空材料及び多孔質材料を用いることもできる。多数の膜型の防音構造体を用いる場合において、各セル間で通気しない構成とするためには、例えば独立気泡の発泡材料などを用いて枠を形成することができる。具体的には、例えば、独立気泡ポリウレタン、独立気泡ポリスチレン、独立気泡ポリプロピレン、独立気泡ポリエチレン、及び独立気泡ゴムスポンジなど様々な素材を選ぶことができる。独立気泡体は、連続気泡体と比較すると、音、水及び気体を通さず、また構造強度が大きいため、支持体24の材料として用いるのに適している。また、後述の多孔質吸音体50が十分な支持性を有する場合は、支持体24を多孔質吸音体のみで形成してもよく、多孔質吸音体50及び支持体24の材料として挙げたものを、例えば混合又は混錬等により組み合わせて用いてもよい。このように内部に空気を含む材料系を用いることでデバイスを軽量化することができ、さらに、断熱性を付与することができる。
また、金属材料を用いる場合には、錆びの抑制等の観点から、表面に金属めっきを施してもよい。
ただし、これに限定されるものではなく、各膜32が分離している(つまり、膜型共鳴体22別に膜状部材30が分かれている)構成であってもよい。かかる構成では、膜型共鳴体22別の膜状部材30を、それぞれ個別に枠26(支持体24)に固定することになる。あるいは、これらの中間として、帯状の膜状部材30(複数の膜32を連ねた分のサイズに成形された膜状部材30)を複数の枠26のうち、連続した二つ以上の枠26に固定し、単票状の膜状部材30(単一の膜32のサイズに成形された膜状部材30)を残りの枠26の各々に個別に固定してもよい。
また、膜状部材30の厚み(図2中、記号tにて示す)は、10μm~200μmが好ましく、20μm~150μm以下がより好ましく、30μm~100μmがさらに好ましい。なお、膜状部材30の厚みが一様でない場合には、平均値が上記範囲であればよい。
また、膜状部材30の硬さを示すヤング率は、1000Pa~1000GPaであることが好ましく、10000Pa~500GPaであることがより好ましく、1MPa~300GPaであることが特に好ましい。なお、膜状部材30のヤング率が一様でない場合には、平均値が上記範囲であればよい。
膜状部材30の密度は、10kg/m3~30000kg/m3であることが好ましく、100kg/m3~20000kg/m3であることがより好ましく、500kg/m3~10000kg/m3であることが特に好ましい。なお、膜状部材30の密度が一様でない場合には、平均値が上記範囲であればよい。
膜状部材30の大きさ、より詳しくは、膜32の振動可能な部分36の直径又は円相当直径(図2中、記号Laにて示す)は、1mm~100mmが好ましく、3mm~70mmがより好ましく、5mm~50mmが特に好ましい。
また、膜状部材30の硬さの条件に関して係数aを用いてa×d-1.25×Φ4.15と表すと、係数aが、11.1以下、8.4以下、7.4以下、6.3以下、5.0以下、4.2以下、3.2以下と係数aが小さくなるほど好ましいことが分かった。
また、膜状部材30の硬さE×t3(Pa・m3)は、2.49×10-7以上であることが好ましく、7.03×10-7以上であることがより好ましく、4.98×10-6以上であることがさらに好ましく、1.11×10-5以上であることがよりさらに好ましく、3.52×10-5以上であることが特に好ましく、1.40×10-4以上であることが最も好ましいことが分かった。
また、貫通孔38を設ける位置については、特に限定されるものではなく、膜状部材30の振動可能な部分36の中央位置に設けてもよく、あるいは、支持体24に固定された固定部34付近の位置に設けてもよい。なお、貫通孔38の位置に応じて吸音ピークの周波数(共鳴周波数)及び吸音率が変化する。吸音ピークの周波数及び吸音率の変化量は、膜状部材30の振動可能な部分36の中央位置に貫通孔38を設けた場合の方が、固定部34付近に設けた場合に比べて大きくなる。
図7は、防音構造体20の変形例を示す図であり、背面空間42内に多孔質吸音体50が配置された構成を示す断面図である。
また、多孔質吸音体50の流れ抵抗σ1には特に限定はないが、1000~100000(Pa・s/m2)が好ましく、5000~80000(Pa・s/m2)がより好ましく、10000~50000(Pa・s/m2)がさらに好ましい。なお、多孔質吸音体50の流れ抵抗σ1は、1cm厚の多孔質吸音体の垂直入射吸音率を測定し、Mikiモデル(J. Acoust. Soc. Jpn., 11(1) pp.19-24 (1990))でフィッティングすることで評価することができる。あるいは、「ISO 9053」に従って多孔質吸音体50の流れ抵抗σ1を評価してもよい。
また、特定の周波数の騒音、又は狭い帯域の周波数の騒音を、通常の遮音材のメカニズムである質量則に従って遮音すると、音圧が全体的に小さくなるが、特定周波数における騒音が周辺の周波数の音と比べて卓越している状態は変わらない。このため、遮音材を適用しても、依然として、特定周波数における騒音が周辺周波数における騒音と比べて強く出ているために、耳触りな状態は変わらない。
これに対して、本発明の防音構造体20であれば、図8及び図9に示すように、共鳴周波数よりも高い周波数において透過損失がピークを有するため、そのピーク付近の周波数の騒音を選択的に遮音することができる。この結果、遮音対象である騒音が周辺の周波数の音と比べて相対的に大きい状態を解消することができるため、特定周波数騒音による耳障りな状態を効果的に抑制することができる。
これに対して、本発明の防音構造体20が採用する共鳴構造(すなわち、膜型共鳴体22の構造)では、空気中を伝播した騒音が膜状部材30の表面に直接入射されることで膜状部材30が共鳴(振動)するから、特に膜状部材30と音源との接続を要しない。それ故に、本発明の防音構造体20では、振動を伝達させる連結機構等を設ける必要がない。
これに対して、本発明の防音構造体20が採用する共鳴構造では、吸音ピークの周波数(極大共鳴周波数)と遮音対象周波数との比であるfn/frを好適な範囲に設定することにより、効率よく騒音を遮音することが可能である。
・周波数比率=(透過損失差が極大となる周波数)/(透過損失差が極小となる周波数)
・基準振動モードの周波数比率=(基準振動モードにて透過損失差が極大となる周波数)/(基準振動モードにて透過損失差が極小となる周波数)
・高次振動モードの周波数比率=(高次振動モードにて透過損失差が極大となる周波数)/(高次振動モードにて透過損失差が極小となる周波数)
本発明の防音構造体の共鳴構造の防音性能について、有限要素法計算ソフトCOMSOL ver.5.3a (COMSOL Inc.)を用いたシミュレーションによって検討した。
シミュレーションに用いた計算モデルは、二次元軸対称構造計算モデルとし、本発明の防音構造体の共鳴構造、すなわち、開口部が形成された支持体の一端に膜状部材が固定され、反対側に背面板が固定された構造に関してシミュレーションを行った。膜状部材については、ヤング率が4.5GPaであり、密度が1.4g/cm3であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを想定し、その厚みを50μmに設定した。また、支持体については、アクリル製の円筒体とし、その開口部の直径(換言すると、膜状部材の振動可能な部分の直径)を20mmに設定した。また、背面板については、厚み2mmのアクリル板とし、背面空間の厚みを3mmとした。
シミュレーションでは、上記の共鳴構造の膜面(膜状部材の表面)側から平面波状の音が入射されたときの透過率と反射率と吸音率を計算した。吸音率については、垂直入射吸音率配置で行い、各々の極大値とその時の周波数を計算した。
<防音構造体の作製>
膜状部材として、厚み50μmのPETフィルム(東レ株式会社製 ルミラー)を用意し、直径60mmの円形状に切り出した。
厚み3mmのアクリル板(株式会社光製)を用意し、レーザーカッターを用いて直径60mmの円板を切り出し、その中央部に一辺20mm角の正方形状の開口部を形成し、リング状の板(以下、ドーナツ状部材)を1枚作製した。このドーナツ状部材を支持体として用いた。そして、作製したドーナツ状部材の片面と円形状のPETフィルムとを、両者の外縁が一致するように重ね合わせ、両面テープ(アスクル製 現場のチカラ)を用いて貼り合わせた。
ドーナツ状部材のもう片方の面には、厚み2mm、直径60mmの円形アクリル板(背面板)を両面テープで貼り合わせた。
以上の手順により、太鼓状振動膜構造(膜型共鳴構造)の防音構造体を作製した。この防音構造体の背面空間は、閉じた空間であり、その厚みは3mmである。
作製した防音構造体を膜面(膜状部材)側から音を入射させる配置で音響管測定を行った。具体的には、「ASTM E2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従い、4端子マイク(不図示)を用いた透過率と反射率の測定系を作製して評価を行った。音響管の内部直径は40mmとした。なお、これと同様の測定は、日本音響エンジニアリング製WinZacMTXを用いることができる。
また、上記と同様の音響管測定により、厚み2mm、直径60mmのアクリル板単体を対象として透過率と反射率の測定を行った。
その後、それぞれの測定において得られた透過率から透過損失を求め、また、(1-透過率-反射率)である音の吸収率(吸音率)を求めた。
また、図20及び図21を対比すると分かるように、高い吸音率を示す高次振動モードの共鳴周波数では、膜状部材及び背面板を支持体に固定して作製した防音構造体の透過損失が、アクリル板単体の透過損失よりも小さくなる(換言すると、透過率が高くなる)。その一方で、上記の共鳴周波数よりも高周波側では、作製した防音構造体の透過損失がアクリル板単体の透過損失よりも大きくなる。このように、音が平面波として防音構造体に入射される場合、共鳴周波数よりも高周波側で大きな遮蔽効果が得られる。
<放射音実験用の箱の作製>
音源から放射する音源の放射音を調査するため、箱からの放射音実験を検討した。そこで、一辺が300mmの立方体状の空間を5枚のアクリル板(厚み10mm)にて囲んだ箱を用意した。この箱の一面は、開口面となっており、一辺300mm角の正方形状の開口を有する。また、空間を囲む5枚のアクリル板の各々の内側面には、厚み10mmの多孔質吸音体(イノアック製 カームフレックス)を貼り付けた。また、箱の内部には、音源としてのスピーカを、その音響出力面(スピーカ面)が開口に向くように配置した。また、箱における開口を塞ぐ位置には、後述する手順にて作製した防音構造体を配置した。これにより、スピーカからの広がりのある音の放射を、開口面に配置した防音構造体によって遮断する実験系とした。
実施例1と同様の手順により、膜型共鳴構造の防音構造体を作製した。枠の素材はアクリルを用いた。枠については、厚みが3mmであり、開口部が一辺20mm角の正方形であり、縁幅が5mmの構造を枠の基本単位として、この基本構造を、全体サイズが300mm×300mmのサイズとなるまで複数並べた構造を枠構造(支持体)として用いた。枠構造の作製方法については、レーザーカッターを用いて厚み3mmのアクリル板から正方形を切り出して枠構造を作製した。これによって、20mmの正方形が25mmピッチで周期的に配列された、サイズ300mm×300mmの枠構造を得ることができた。この枠構造に厚み2mmのアクリル板からなる背面板を両面テープで貼り付けた。また、枠構造の表面(一端面)に厚み50μmのPETフィルムを貼り付けた。これにより、実施例1と同様の振動膜構造が周期的に複数配列されて背面板に取り付けられた防音構造体を作製した。
作製した防音構造体を、上述した箱の開口を塞ぐ位置に取り付けて、開口面からの透過音圧量を測定した。具体的には、開口面の外側にて開口面から150mm離れている位置に3本のマイクを配置し、各マイクでの音圧エネルギーの平均値を求めることで、開口から出る音圧量を測定した。
また、上記と同様の手順により、厚み2mmで直径60mmであるアクリル板単体を開口面に配置したときの透過音圧量の測定を行った。
背面空間の厚みを1mm~6mmまで1mmずつ変化させたときの透過損失を、シミュレーション1にて使用した計算モデルと同じモデルを使用してシミュレーションした。なお、計算モデルにおける各設定値については、背面空間の厚みを除き、シミュレーション1の場合と同様である。
各背面空間の厚みについて計算した透過損失を図24に示す。なお、図24の縦軸は、各背面空間の厚みに対して計算した透過損失と、本発明の防音構造体の共鳴構造から膜状部材だけを除いた構造(すなわち、背面板と支持体のみとなった構造)を用いたときの透過損失との差分を示している。
膜状部材の厚みを10μm~100μmまで10μmずつ変化させたときの透過損失を、シミュレーション1にて使用した計算モデルと同じモデルを使用してシミュレーションした。なお、計算モデルにおける各設定値については、膜状部材の厚みを除き、シミュレーション1の場合と同様である。
各膜状部材の厚みについて計算した透過損失を図25及び図26に示す。なお、図25及び図26の各々の縦軸は、各膜状部材の厚みに対して計算した透過損失と、本発明の防音構造体の共鳴構造から膜状部材だけを除いた構造(すなわち、背面板と支持体のみとなった構造)を用いたときの透過損失との差分を示している。
20 防音構造体
22 膜型共鳴体
24 支持体
24s 開口面
26 枠
28 開口部
30 膜状部材
32 膜
34 固定部
36 振動可能な部分
38 貫通孔
40 背面板
42 背面空間
44 板体
50 多孔質吸音体
Claims (16)
- 二つの空間の一方側にある音源から発せられた騒音を低減する防音構造体を備え、前記二つの空間を区画する区画部材であって、
前記防音構造体は、
開口部を有する支持体と、
前記支持体の前記開口部が形成された開口面に固定され、騒音が入射されることで振動する膜状部材と、
前記膜状部材とは反対側で前記支持体に固定された背面板と、
を有し、前記背面板と前記膜状部材と前記支持体とに囲まれた背面空間、及び、前記膜状部材によって構成された共鳴構造によって吸音し、且つ、前記共鳴構造の共鳴周波数のうち、吸音率が極大となる極大共鳴周波数よりも高い周波数の音を遮音し、
前記極大共鳴周波数が、騒音に対して設定された遮音対象周波数よりも低くなるように設定され、且つ、前記遮音対象周波数をfnとし、前記極大共鳴周波数をfrとしたときに、fn/frが1.10~1.40となることを特徴とする区画部材。 - 前記膜状部材及び前記背面板の各々の少なくとも一部分が、前記支持体に固定されており、
前記膜状部材の振動が、前記支持体において前記膜状部材が固定された部分から前記背面板が固定された部分に伝播する請求項1に記載の区画部材。 - 前記防音構造体は、複数の膜型共鳴器によって構成されており、
前記膜状部材は、前記開口面に固定される固定部と、前記固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を備えており、
前記複数の膜型共鳴器の各々は、前記膜状部材の前記振動可能な部分が振動した際に前記共鳴構造によって吸音し、
前記複数の膜型共鳴器の各々において、前記膜状部材の前記振動可能な部分の振動の、1kHz以上に存在する少なくとも一つの高次振動モードの共鳴周波数における吸音率は、基本振動モードの共鳴周波数における吸音率よりも高く、
前記少なくとも一つの高次振動モードの共鳴周波数は、前記遮音対象周波数よりも低く設定されている請求項1又は2に記載の区画部材。 - 前記膜状部材のヤング率をE(Pa)とし、前記膜状部材の厚みをt(m)とし、前記背面空間の厚みをd(m)とし、前記膜状部材における振動可能な部分の直径又は円相当直径をΦ(m)とすると、前記膜状部材の硬さE×t3(Pa・m3)が、21.6×d-1.25×Φ4.15以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の区画部材。
- 前記膜状部材の硬さE×t3(Pa・m3)が2.49×10-7以上である請求項4に記載の区画部材。
- 前記防音構造体は、複数の膜型共鳴器によって構成されており、
前記複数の膜型共鳴器のうち、少なくとも二つの膜型共鳴器の種類が互いに異なっている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の区画部材。 - 前記膜状部材は、前記開口面に固定される固定部と、前記固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を膜型共鳴器別に備えており、
膜型共鳴器別に備えられた前記固定部及び前記振動可能な部分は、同一の前記膜状部材中に配置されており、
種類が異なる前記少なくとも二つの膜型共鳴器の間では、前記背面空間の体積が互いに異なっている請求項6に記載の区画部材。 - 前記防音構造体は、複数の膜型共鳴器によって構成されており、
前記膜状部材は、前記開口面に固定される固定部と、前記固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を備えており、
前記複数の膜型共鳴器の各々は、前記膜状部材の前記振動可能な部分が振動した際に前記共鳴構造によって吸音し、
前記複数の膜型共鳴器の少なくとも一つにおいて、前記膜状部材の前記振動可能な部分に貫通孔が形成されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載の区画部材。 - 前記防音構造体は、前記背面空間内、又は、前記膜状部材に接する位置に設けられた多孔質吸音体を更に有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の区画部材。
- 前記防音構造体は、前記膜状部材が前記音源側を向いた状態で配置されている請求項1乃至9のいずれか一項に記載の区画部材。
- 前記区画部材の表面の少なくとも一部分に前記防音構造体が配置された請求項1乃至10のいずれか一項に記載の区画部材。
- 前記膜状部材の厚みが10μm~200μmである請求項1乃至11のいずれか一項に記載の区画部材。
- 前記背面空間の厚みが0.5mm~10mmである請求項1乃至12のいずれか一項に記載の区画部材。
- fn/frが1.10~1.35となる請求項1乃至13のいずれか一項に記載の区画部材。
- 請求項1乃至14のいずれか一項に記載の区画部材が、モータ、インバータ、エンジン、及びタイヤのうちの少なくとも一つの機器が配置された空間と、乗員が乗る空間と、の間に配置されている乗物。
- 筐体内に前記音源を備え、且つ、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の区画部材が前記筐体のうちの少なくとも一部分、又は、前記筐体内に配置されている電子機器。
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