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JP7093544B2 - 表示装置及び時計 - Google Patents
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Description

本発明は、液晶表示などの電気的表示機構を使わないで、機械式で簡易な機構で図案や記号を出現・消失させるなどの変化を生じさせる表示装置に関するものであり、またそれを用いた時計に関する。
時計などで使われる表示装置には、アナログ方式とデジタル方式の2種類がある。アナログ表示装置は、時間を表すための文字や記号を表記した文字盤と、現在時や分を指し示す時針、分針と、それらを駆動する駆動装置(ムーブメント)からなる。刻々と位置を変化させる時針・分針がそれぞれ文字や記号を指し示すことで、その物理的な位置関係から時刻を読み取り、時刻を認識できる。
他方、デジタル表示装置は、液晶表示装置などの電気式表示装置で時刻や分を表す数字を表示する。その数字から時刻を直接読み取り、認識できる。
アナログ方式とデジタル方式のいずれの方式も、今現在の時刻を表しており、読み取った現在時刻から、過ぎ去った時間の長さや、未来のある時刻まであとどれくらいかかるかを計算し知ることができる。
このように、時計に用いられている表示装置の基本的機能は、今現在の時刻を知ることであるが、表示装置にそれ以上の表現を求める要求が高まっている。
例えば、時間の流れそのものを感じられる時計が求められている。この例として、砂時計は時刻を正確に表すことはできないが、落下し、積み重なる砂粒の挙動は、見ていて飽きない楽しさがある。その砂粒の挙動が、目に見えない時間の流れを感じさせてくれるのである。
時間の流れを感じられる時計として、例えば、文字盤の数字が出現し消滅する意匠が意匠文献1に提案されている。
この時計は、1~12時を表した文字盤の上に円板状の時針と針状の分針を設けたものであり、時針は不透明な円板の一部に文字盤の数字が丁度見えるよう小さな円状の透明部とスリット状の透明部が設けられている。
各時刻丁度の時間(正時)になるとこの透明円部と数字が重なり、文字盤の数字が読み取れるが、正時以外の時刻では透明円部と数字が重ならず、透明スリット部から前後の数字がわずかに見えるだけなので、何時であるのかが分らない。この欠点を補うため、針状の分針が設けられているが十分ではない。
意匠登録1421738号公報
上記従来技術は、文字盤の数字が出現しまた消滅する変化を可視化している点で時間の流れを表していると言えるが、数字が現れてきちんと認識できるのは正時の一瞬だけであり、時刻がそこからずれていると時針が何時を示しているかが分らないという問題がある。また、それを補うため、針状の分針を設けているので、針に頼らないで時間を表すという意匠の魅力が大きく損なわれている。
その結果、時間の流れを感じるという効果が損なわれている。
本発明は、上記問題を解消し、機械式アナログ表示装置でありながら図形や記号を可視化させつつ、デジタル表示装置にはない時間の流れを感じることができる表示装置、及びこれを用いた時計を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の表示装置は、遮蔽補完効果を利用して図形や記号を可視化させる表示装置であって、
第1図素と第2図素を有するベース部材と、
前記ベース部材に近接し、かつ対向して配置されたマスク部材と、
前記マスク部材を前記ベース部材に対して第1所定方向に相対的に移動させる駆動機構と、を備え、
前記マスク部材は前記ベース部材を部分的に遮蔽するマスク模様を含み、
前記マスク模様は、複数本の第1ラインからなる第1ストライプ模様と、複数本の第2ラインからなり前記第1ストライプ模様とは異なる第2ストライプ模様と、を含み、
前記第1図素は、第1の図形または記号のうち前記第1ストライプ模様に対応する特定部分を消去して残った部分の集合体であって、
前記第2図素は、第2の図形または記号のうち前記第1ストライプ模様に対応する特定部分を消去して残った部分の集合体であって、
前記マスク部材が第1位置にあるとき、前記第1ストライプ模様の隙間から前記第1図素が露出して前記第1の図形または記号が可視化され、
前記マスク部材が前記第1位置よりも前記第1所定方向下流側に位置する第2位置にあるとき、前記第1ストライプ模様の隙間から前記第2図素が露出して前記第2の図形または記号が可視化されると共に、前記第2ストライプ模様が前記第1図素を部分的に遮蔽することで前記第1の図形または記号の可視化が妨げられ、
前記マスク模様によって遮蔽される前記第1図素の割合は、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置へ向かって移動するに従い増大し、
前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動する間において、前記第マスク模様の隙間から露出する前記第1図素の割合が50%以上となる第1時間長さは、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動するのに要する所定時間長さの50%以上であることを特徴とする。
マスク部材がマスク模様を含むとは、マスク模様が印刷や塗装などの任意の表示方法を用いてマスク部材に形成されている部分を含む状態をいう。あるいは、マスク部材の形自身がマスク模様の形になっている部分、すなわちマスク模様の形にくり抜かれたような部分を含む状態をいう。
また、本発明の表示装置は、前記マスク部材が前記第1位置にあるとき、前記第1図素が占める前記ベース面上の領域と重なる前記第1ラインの本数は4本~10本であって、
前記第1所定方向に垂直な第2所定方向において、隣り合う一対の前記第1ラインの間の隙間の大きさは、当該一対の前記第1ラインの太さの平均値の0.2倍~0.7倍であり、
前記第1ラインの前記第1所定方向に対する角度は±10度以内であることを特徴とする。
また、本発明の表示装置は、前記マスク部材が前記第2位置にあるとき、前記第1図素が占める前記ベース面上の領域と重なる前記第2ラインの本数は2本~6本であって、
前記第2所定方向において、隣り合う一対の前記第2ラインの間の隙間の大きさは、当該一対の前記第2ラインの太さの平均値の0.5倍~5倍であることを特徴とする。
また、本発明の表示装置は、前記マスク部材が、前記第1位置よりも前記第1所定方向上流側に位置する第3位置にあるとき、前記マスク模様の隙間から露出する前記第1図素の割合は50%であり、
前記マスク部材が前記第3位置から前記第1位置へ近づくに従い前記マスク模様の隙間から露出する前記第1図素の割合は漸増し、
前記マスク部材が前記第3位置から前記第1位置まで移動するのに要する第2時間長さは、前記第1時間長さよりも短いことを特徴とする。
また、本発明の表示装置は、遮蔽補完効果を利用して図形や記号を可視化させる表示装置であって、
マスク模様を含むマスク部材と
前記マスク部材に近接し、かつ対向して配置されるベース部材と、
前記マスク部材を前記ベース部材に対して第1所定方向に相対的に移動させる駆動機構と、を備え、
前記ベース部材は、前記マスク部材を光学的に遮蔽する第1図素と第2図素を有し、
前記マスク模様は、複数本の第1ラインからなる第1ストライプ模様と、複数本の第2ラインからなり前記第1ストライプ模様とは異なる第2ストライプ模様と、を含み、
前記第1図素は、第1の図形または記号のうち前記第1ストライプ模様に対応する特定部分を消去して残った部分の集合体であって、
前記第2図素は、第2の図形または記号のうち前記第1ストライプ模様に対応する特定部分を消去して残った部分の集合体であって、
前記マスク部材が第1位置にあるとき、前記第1図素の隙間から前記第1ストライプ模様が露出して前記第1の図形または記号が可視化され、
前記マスク部材が前記第1位置よりも前記第1所定方向下流側に位置する第2位置にあるとき、前記第2図素の隙間から前記第1ストライプ模様が露出して前記第2の図形または記号が可視化されると共に、前記第2ストライプ模様と前記第1図素が部分的に重なることで前記第1ストライプ模様が部分的に光学的に遮蔽されて前記第1の図形または記号の可視化が妨げられ、
前記マスク模様に重なる前記第1図素の割合は、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置へ向かって移動するに従い増大し、
前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動する間において、前記第マスク模様に重なる前記第1図素の割合が50%以上となる第1時間長さは、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動するのに要する所定時間長さの50%以上であることを特徴とする。
また、本発明の表示装置を表示に用いたことを特徴とする時計である。
本発明の表示装置によれば、前記マスク模様によって遮蔽される前記第1図素の割合は、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置へ向かって移動するに従い増大し、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動する間において、前記マスク模様の隙間から露出する前記第1図素の割合が50%以上となる第1時間長さは、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動するのに要する所定時間長さの50%以上であるので、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動するまでの間において、遮蔽補完効果によって前記第1の図形又は記号が可視化された状態が一定時間持続すると共に、可視化の度合いが徐々に低下していく。これにより、前記第1の図形又は記号が読み取れる時間を一定時間確保しつつ、表示が徐々に風化するような時間の経過を表現できる。
また、本発明の表示装置によれば、前記マスク模様と重なる前記第1図素の割合は、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置へ向かって移動するに従い増大し、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動する間において、前記マスク模様の隙間から露出する前記第1図素の割合が50%以上となる第1時間長さは、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動するのに要する所定時間長さの50%以上であるので、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動するまでの間において、遮蔽補完効果によって前記第1の図形又は記号が可視化された状態が一定時間持続すると共に、可視化の度合いが徐々に低下していく。これにより、前記第1の図形又は記号が読み取れる時間を一定時間確保しつつ、表示が徐々に風化するような時間の経過を表現できる。
また、本発明の時計は、上記表示装置を用いるので、正時において時刻表示を正確に表示しつつ、表示を次の時刻表示へ徐々に移行させることができ、砂時計のように時間の流れを感じさせることができる。
本発明の第1の実施形態にかかる表示装置の概略分解斜視図。 図1に示す表示装置において用いる図素の作成方法を説明する模式図。 図1に示す表示装置が備えるマスク部材が第1位置に位置し、第1の元図が可視化されている状態を示す正面図。 図3に示すマスク部材が第2位置に位置し、第2の元図が可視化されている状態を示す正面図。 図3に示すマスク部材が第1位置と第2位置の間に位置する状態を示す正面図。 図1に示す表示装置における第1図素の露出率の変化を表すグラフ。 本発明の第2の実施形態にかかる表示装置の概略分解斜視図。 図7に示す表示装置における第1図素及び第2図素の露出率の変化を表すグラフ。
以下、本発明の実施の形態を図1~図8に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る表示装置について図1~図6を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態に係る表示装置1は、遮蔽補完効果を利用して図形又は記号を可視化(表示)させるものであって、ベース部材2と、ベース部材2のベース面2aに近接し、かつ対向して配置されたマスク部材3と、マスク部材3をベース面2aに対して第1所定方向D1に相対的に移動させる駆動機構(図示せず)と、を備える。
ベース部材2の素材については各種の公知の固体や弾性体などが適宜使用でき、例えば製造が容易な材料として、木材、プラスチック、ゴム、金属、セラミクス等やこれらの組み合わせ、またこれらの材料に各種の表面処理を施したものを利用できる。
マスク部材3は、一定形状を保持可能な透明素材からなる板状部材からなり、マスク部材3を介してベース面2aを視認可能とされている。また、マスク部材3にはベース面2aを部分的に遮蔽するためのマスク模様5が施されており、ベース面2aのうちマスク模様5と重なる部分は視認できないようにされている。
マスク模様5は、ベース面2aからの光を遮断する材料を用いて形成され、例えば不透明な顔料インク等を用いてマスク部材3に印刷されて形成されてもよく、或いはマスク部材3に光学フィルターや偏光フィルターなどを複数個配列させて形成されてもよい。
マスク模様5は、第1ストライプ模様50と、第1ストライプ模様50とは異なる第2ストライプ模様51と、を含み、第2ストライプ模様51は第1ストライプ模様50よりも第1所定方向D1上流側に位置している。なお、マスク模様5は、第1ストライプ模様50よりも第1所定方向D下流側に位置する他のストライプ模様(図示せず)をも含むが、ここでは発明の理解を容易にするため当該ストライプ模様の説明は省略する。第1ストライプ模様50と第2ストライプ模様51は、それぞれ第1所定方向D1と垂直な第2所定方向D2に概略並列に並んだ複数本の第1ライン50aと第2ライン51aから構成される。
ベース部材2は第1図素6aと第2図素6bを有する。なお、図1に示す例では、これら第1図素6a及び第2図素6bはベース面2a上に表記されている。第2図素6bは第1図素6aよりも第1所定方向D1下流側に位置している。図2(a)に示すように、第1図素6aは、元図4aとしての第1の図形又は記号(ここでは数字の「1」)から、第1ストライプ模様50に対応する特定部分を消去して残った部分画像の集合である。また、図2(b)に示すように、第2図素6bは、元図4bとしての第2の図形又記号(図2に示す例では数字の「2」)から、第1ストライプ模様50に対応する特定部分を消去して残った部分画像の集合である。
かかる構成において、図3に示すように、マスク部材3が所定の第1位置P1に位置するとき、第1ストライプ模様50の隙間から第1図素6aがマスク部材3の透過部分を介して視認可能に露出し、遮蔽補完効果によって元図4aが可視化され、観者は元図4a(「1」)を読み取ることができる。なお、この状態においては、上述した他のストライプ模様(図示せず)によって第2図素6bが少なくとも部分的遮蔽され、元図2bの可視化が防止されている。
この状態からマスク部材3が第1所定方向D1へ所定の第2位置P1まで移動すると、第1ストライプ模様50の隙間から第2図素6bがマスク部材3の透過部分を介して視認可能に露出し、遮蔽補完効果によって元図4bが可視化され、観者は元図4b(「2」)を読み取ることができる。その一方で、第1図素6aは第2ストライプ模様51によって部分的に遮蔽され、露出率が低下することで遮蔽補完効果が損なわれ、元図4aの可視化が妨げられている。ここで、以下の説明において「表示」とは遮蔽補完効果によって元図が可視化されることを意味し、「非表示」又は「表示されない」とは遮蔽補完効果が損なわれ又は妨げられることにより元図が可視化されないことを意味するものとする。
露出率とはマスク模様5の間隙から現れている図素の割合をいう。図3に示すようにマスク部材3が第1位置P1に位置するとき、第1図素6aの露出率は最大(100%)となる。また、図4に示すように、マスク部材3が第2位置P2に位置するとき、第2図素6bの露出率は最大(100%)となる一方で、第1図素6aは第2ストライプ模様51によって部分的に遮蔽され、第1図素6aの露出率は50%を大きく下回り、元図4aが非表示とされている。
このように、本実施形態の表示装置1では、マスク部材3を第1位置P1に位置させることで元図4aを表示させ、マスク部材3を第2位置P2に位置させることで元図4bを表示させる一方で、元図4aを非表示としている。
ここで、上述したような好ましい遮蔽補完効果を得るためには、第1及び第2所定方向D1,D2に垂直な第3所定方向D3(ベース面2aに垂直な方向)において、図素6a,6bとマスク部材3とが十分近接しているのが好ましく、具体的には、図素6a,6bとマスク部材3の距離が図2に示す所定高さH1に対して0.1倍以下であるのが好ましく、0.01倍以下であるのがより好ましい。
そして、図3に示すように元図4aが表示されている状態から、図4に示すように元図4bが表示され元図4aが表示されない状態へ、瞬間的に切り替えることも考えられるが、本実施形態においては、図3に示す表示状態から図4に示す表示状態へ次のようにして徐々に変化させていくことで、時間の経過を実感できるように構成されている。
図5に、マスク部材3が第1位置P1から第1所定方向D1へ少し移動したが第2位置P2までは到達していない状態を示す。
第1ストライプ模様50によって遮蔽される第1図素6aの割合は、第1位置P1のときよりも少し増大し、遮蔽補完効果がわずかに損なわれているが、元図4aの読み取りには問題なく、元図4aの可視化が成立している。このような状態は、第1ストライプ模様50によって遮蔽される第1図素6aの割合が小さいとき、すなわち、第1ストライプ模様50(マスク模様5)の間隙からの第1図素6aの露出率が十分大きいときに実現され、具体的には露出率が50%以上であれば可視化が十分に成立する。
そして、表示状態を徐々に変化させるためには、図素の露出率(図素の遮蔽率)を徐々に変化させて行けばよい。
図6は、表示状態の変化の様子を第1図素6aの露出率の変化で表した概念図である。縦軸はマスク模様5の隙間から第1図素6aが露出する割合(露出率)を表し、横軸は第1所定方向D1におけるマスク部材3の位置を表し、第1位置P1から第2位置P2への移動にかかる時間長さ(所定時間長さ)はLである。
図6に示すように、第1位置P1では第1図素6aの露出率が100%なので、元図4aが明確に表示される(図3の状態)。その後、マスク部材3が第1位置P1から第1所定方向D1へ移動するのに従い第1図素6aの露出率が漸減し、図5に示すような中間状態を経て第2位置P2に達するが、第2位置P2に達する前に露出率が50%以下となり、元図4aは表示されなくなる(図4の状態)。
そして、マスク部材3が第1位置P1から第2位置P2へ移動するまでの間において、第1図素6aの露出率が50%以上となる時間長さ(第1時間長さ)L1は所定時間長さLの50%以上であるのが好ましく、このように第1時間長さL1を所定時間長さLに対して十分長くすることで、元図4aが表示された状態を十分長く維持することができ、また露出率を漸減させることで元図4aの表示の度合いを徐々に低下させることができる。
更に、本実施形態では、マスク部材3が第1位置P1に近づくにつれて第1図素6aの露出率が漸増するように設定されており、第1位置P1よりも第1所定方向D1上流側の第3位置P3において第1図素6aの露出率が50%に達し、マスク部材3が第3位置P3から第1位置P1まで移動するのに要する時間長さ(第2時間長さ)L2は、第1時間長さL1よりも短くなるように設定されている。これは、元図4aが現れる(可視化されて表示される)ときの方が変化が急で、消え行くときの方が変化が緩やかであることを意味する。
次に、上述したような望ましい元図の表示/非表示(遮蔽補完効果の発揮及び抑制)を実現するために必要な条件について説明する。
望ましい元図の表示(遮蔽補完効果の発揮)は、以下に述べる本数条件、隙間条件、角度条件が合わせて成り立つときに実現しやすい。
すなわち、図2(a)に示すように、第1図素6aは、ベース面2a上において第2所定方向D2に所定高さH1を有する領域を占めるが、マスク部材3が第1位置P1にあるとき、第1図素6aが占めるベース面2a上の当該領域と重なる第1ライン50aの本数が4本~10本であって、且つ第2所定方向D2において、隣り合う一対の第1ライン50a,50aの間の隙間の大きさが当該一対の第1ライン50a,50aの太さの平均値の0.2倍~0.7倍であるのが好ましく、第1ライン50aの本数が6本~8本であって、且つ第1ライン50a,50aの間の隙間の大きさが当該一対の第1ライン50a,50aの太さの平均値の0.3倍~0.5倍であるのがより好ましい。
第1ライン50aの本数がこれよりも少なすぎて且つ細過ぎたり、多すぎて細すぎたりすると、蔽補完効果を抑制しにくくなり、また第1ライン50aの本数が少な過ぎて太すぎると、良好な遮蔽補完効果が得られにくくなり、更に第1ライン50aの本数が多すぎて太すぎると第1ストライプ模様50に対する第1図素6aの領域割合が小さくなり過ぎて、元図4aを読み取り難くなるためである。
また、第1所定方向D1に対する各第1ライン50aの角度は±10度以内であるのが好ましく、±5度以内であるのがより好ましい。角度が大きいほどマスク部材3の移動に伴う遮蔽率の変化が大きくなるため、角度が±10度より大きくなると上述した第1時間長さL1及び第2時間長さL2が短くなりすぎて、元図が表示された状態を十分長く維持することができないためである。
次に、望ましい元図の非表示(遮蔽補完効果の抑制)は、以下に述べる本数条件、隙間条件が合わせて成り立つときに実現しやすい。
すなわち、マスク部材3が第2位置P2にあるとき、第2ストライプ模様51により第1図素6aを良好に遮蔽する(元図4aを非表示とする)には、第1図素6aが占めるベース面2a上の上記領域と重なる第2ライン51aの本数が2本~6本であって、且つ第2所定方向D2において、隣り合う一対の第2ライン51a、51aの間の隙間の大きさが当該一対の第2ライン51a,51aの太さの平均値の0.5倍~5倍であるのが好ましく、第2ライン50aの本数が3本~5本であって、且つ第2ライン51a、51aの間の隙間の大きさが当該一対の第2ライン51a,51aの太さの平均値の1倍~3倍であるのがより好ましい。
第2ライン51aの本数がこれよりも少なすぎて、かつ細過ぎると蔽補完効果を抑制しにくくなり、また第2ライン51aの本数が多すぎて、かつ太すぎると蔽補完効果は抑制されすぎ、第2ライン51aの隙間からの第1図素6aの露出具合を調整することが困難になるので好ましくない。
上述したように本実施形態の表示装置1は、第1ストライプ模様50の遮蔽補完効果によって複数の図形や記号を読み取れるよう徐々に出現させ、また徐々に消滅させられるので、図形や記号が認識できるのは一瞬だけでなく、そこからずれた状態でも一定の時間は読み取ることができる。
従って、100%表示から0%表示に至る中間状態を適宜表すことができ、それによって図形や記号が徐々に風化するような”状態の経過”を発生させる効果がある。
また、本実施形態の表示装置1は、表示したい図形や記号に対して第1ライン50aの本数や間隙や角度の大きさを同時に調整することによって遮蔽の割合や変化速度を調整するので、遮蔽補完効果をより高めて表示したい図形や記号を読み取りやすくすることができる。
また、本実施形態の表示装置1は、表示したくない図形や記号に対して第2ライン51aの本数や間隙の大きさを同時に調整することによって遮蔽の割合を調整するので、遮蔽補完効果を抑制して表示したくない図形や記号を読み取りにくくすることができる。
そして、本実施形態の表示装置1は、遮蔽割合の変化が移動方向に対して非対称なので、ある図形や記号の表示が終わろうとしていることが容易に分かり、次の図形や記号への表示の移行を明確におこなうことができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態にかかる表示装置について図7、図8を参照して説明する。なお、本実施形態において、上述した第1の実施形態におけるものと実質同一の部材については同一の参照番号を付し、その説明は省略する。
図7を参照して、本実施形態にかかる表示装置101は、上記表示装置1を時計に応用したものであって、表示装置1と同様の構成を有するが、マスク部材103がベース部材102のベース面102a中心から伸びる回転駆動軸7を中心に回転可能とされており、第1所定方向D1が回転駆動軸7を中心とする回転方向(時計回り方向)とされている点において異なる。
このため、マスク模様105が有する第1ストライプ模様50と第2ストライプ模様51を構成する複数本の第1ライン50aと第2ライン51aの並び方向は、マスク部材103の径方向となる。
また、ベース面102a上には、時計の文字盤における1時から12時までの時字位置に対応して12個の図素(図7には1時,2時,及び3時にそれぞれ対応する第1図素106a、第2図素106b、及び第3図素106cのみ示す)が表記されている。
本実施形態における遮蔽補完効果を利用した元図の表示及び非表示の原理は上述した第1の実施形態と同じなので説明を省略する。
図8は、本実施形態における表示状態の移り変わりの様子を図素の露出率の変化で表した概念図である。縦軸はマスク模様105の隙間から図素が露出する割合を表し、横軸は第1所定方向D101へのマスク部材103の移動位置(回転角度位置)を表している。本実施形態では、マスク部材103は1時に第1位置P1に位置し、2時に第2位置P2に位置し、第1位置P1から第2位置P2までの所定時間長さLは1時間である。
図8に示すように、マスク部材103が第1位置P1に位置するとき、第1図素106aが大きく露出し、元図の「1」の文字が最大に可視化(表示)され、観者は現在の時刻が1時であることを認識できる。そして、マスク部材103が第1位置P1から第2位置P2に向かうに従い第1図素106aの露出率が漸減するので、「1」の文字が徐々に消えて見え難く(認識しにくく)なり、第2位置P2の直前で「1」の文字はほとんど見えなくなり、代わりに元図の「2」の文字が見え始める。そして、マスク部材103が第2位置P2に達すると、第2図素106bの露出率が100%となり、元図の「2」が最大に可視化(表示)され、観者は現在の時刻が2時であることを認識できる。これを他の時刻にも同様に行い、各時刻の表示と次の時刻への移り変わりを表現している。
このように、表示装置を時計に用いることによって、可視化される時刻表示が持続され、デジタル時計のように時刻を正確に表示しながらも徐々に次の時刻に移行する様子も表示できるので、砂時計のように時間の流れを感じさせることができる。
また、本発明の表示装置を時計に用いる場合、現れ方や消え方の変化を自在に調整できるのでデザイン価値を高めることができる。
以上、本発明の実施形態に係る表示装置について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
例えば、マスク部材3(103)の形状は、図1に示す矩形や図7に示す円形に限らない。また、マスク部材3(103)は、可撓性を有する帯状体であってもよい。
また、図素が設けられたベース面2a(102a)の上に透明な保護層などを設けてもよい。また、上記実施形態では、図素はベース面2a(102a)に設けられているが、本発明はこれに限定されず、透明素材からなるベース部材2(102)の内部にレーザー刻印などにより形成されたものであっても良く、マスク部材2(103)側から視認可能なものであれば構わない。
また、ベース面2a(102a)の形状は平坦面である必要はなく、円柱面や球面であってもよい。
マスク部材3(103)の移動方向(第1所定方向D1)は、ベース面2a(102a)が平坦面の場合は、並進移動や回転移動、それらを組み合わせたものなどが可能であり、ベース面2a(102a)が円柱面の場合は、円柱軸に沿った方向への並進移動や、円周方向への回転移動(周回移動)などが可能である。
マスク部材3(103)の第1所定方向D1への移動を可能にする駆動機構は、上記のように並進移動や回転移動に応じて適宜公知のものを用いることができる。例えば電動モーターなどのアクチュエーターにギアなどの減速手段と、回転運動を直線運動に変換する公知の機構を適宜組み合わせたものなどを用いることができる。
上記実施形態では、第1ストライプ模様50と第2ストライプ模様51とは離隔しているが、第1ストライプ模様50と第2ストライプ模様51とを連続して設けても良く、第1ストライプ模様50と第2ストライプ模様51とが部分的に重複するものであってもよい。また、マスク模様5は複数本のラインから構成されてもよく、一本の連続したライン(例えば渦巻状のライン)から構成されても良く、これらの場合にはマスク模様5の所定領域部分を第1ストライプ模様とし、他の領域部分を第2ストライプ模様とすれば良い。
更に、ベース面2a(102a)に表記される図素の数は2個や12個に限定されず任意の個数とすることができる。
上記実施形態では、図素を有するベース部材(2,102)の手前にマスク模様(5)を含むマスク部材(3,103)が配置されているが、ベース部材を透明部材とし、マスク模様を含むマスク部材の手前に図素を有するベース部材を配置し、図素がマスク模様と光学的に干渉するよう設定しても、上述したのと同様な遮蔽補完効果が期待できる。この場合、マスク部材が第1位置にあるとき、第1図素の隙間から第1ストライプ模様が露出して第1の図形または記号が可視化され、第2位置にあるとき、第2図素の隙間から第1ストライプ模様が露出して第2の図形または記号が可視化されると共に記第2ストライプ模様と第1図素が第3方向において部分的に重なることで第1ストライプ模様が部分的に光学的に遮蔽されて第1の図形または記号の可視化が妨げられる。そして、マスク模様と重なる第1図素の割合は、マスク部材が第1位置から第2位置へ向かって移動するに従い増大する。
1,101 表示装置
2,102 ベース部材
2a,102a ベース面
3,103 マスク部材
5,105 マスク模様
50 第1ストライプ模様
50a 第1ライン
51 第2ストライプ模様
51a 第2ライン
6a,106a 第1図素
6b、106b 第2図素
106c 第3図素
D1 第1所定方向
D2 第2所定方向
D3 第3所定方向
H1 所定高さ
L 所定時間長さ
L1 第1時間長さ
L2 第2時間長さ
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置


Claims (6)

  1. 遮蔽補完効果を利用して図形や記号を可視化させる表示装置であって、
    第1図素と第2図素を有するベース部材と、
    前記ベース部材に近接し、かつ対向して配置されたマスク部材と、
    前記マスク部材を前記ベース部材に対して第1所定方向に相対的に移動させる駆動機構と、を備え、
    前記マスク部材は前記ベース部材を部分的に遮蔽するマスク模様を含み、
    前記マスク模様は、複数本の第1ラインからなる第1ストライプ模様と、複数本の第2ラインからなり前記第1ストライプ模様とは異なる第2ストライプ模様と、を含み、
    前記第1図素は、第1の図形または記号のうち前記第1ストライプ模様に対応する特定部分を消去して残った部分の集合体であって、
    前記第2図素は、第2の図形または記号のうち前記第1ストライプ模様に対応する特定部分を消去して残った部分の集合体であって、
    前記マスク部材が第1位置にあるとき、前記第1ストライプ模様の隙間から前記第1図素が露出して前記第1の図形または記号が可視化され、
    前記マスク部材が前記第1位置よりも前記第1所定方向下流側に位置する第2位置にあるとき、前記第1ストライプ模様の隙間から前記第2図素が露出して前記第2の図形または記号が可視化されると共に、前記第2ストライプ模様が前記第1図素を部分的に遮蔽することで前記第1の図形または記号の可視化が妨げられ、
    前記マスク模様によって遮蔽される前記第1図素の割合は、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置へ向かって移動するに従い増大し、
    前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動する間において、前記第マスク模様の隙間から露出する前記第1図素の割合が50%以上となる第1時間長さは、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動するのに要する所定時間長さの50%以上であることを特徴とする表示装置。
  2. 前記マスク部材が前記第1位置にあるとき、前記第1図素が占める前記ベース面上の領域と重なる前記第1ラインの本数は4本~10本であって、
    前記第1所定方向に垂直な第2所定方向において、隣り合う一対の前記第1ラインの間の隙間の大きさは、当該一対の前記第1ラインの太さの平均値の0.2倍~0.7倍であり、
    前記第1ラインの前記第1所定方向に対する角度は±10度以内であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記マスク部材が前記第2位置にあるとき、前記第1図素が占める前記ベース面上の領域と重なる前記第2ラインの本数は2本~6本であって、
    前記第2所定方向において、隣り合う一対の前記第2ラインの間の隙間の大きさは、当該一対の前記第2ラインの太さの平均値の0.5倍~5倍であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
  4. 前記マスク部材が、前記第1位置よりも前記第1所定方向上流側に位置する第3位置にあるとき、前記マスク模様の隙間から露出する前記第1図素の割合は50%であり、
    前記マスク部材が前記第3位置から前記第1位置へ近づくに従い前記マスク模様の隙間から露出する前記第1図素の割合は漸増し、
    前記マスク部材が前記第3位置から前記第1位置まで移動するのに要する第2時間長さは、前記第1時間長さよりも短いことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の表示装置。
  5. 遮蔽補完効果を利用して図形や記号を可視化させる表示装置であって、
    マスク模様を含むマスク部材と
    前記マスク部材に近接し、かつ対向して配置されるベース部材と、
    前記マスク部材を前記ベース部材に対して第1所定方向に相対的に移動させる駆動機構と、を備え、
    前記ベース部材は、前記マスク部材を光学的に遮蔽する第1図素と第2図素を有し、
    前記マスク模様は、複数本の第1ラインからなる第1ストライプ模様と、複数本の第2ラインからなり前記第1ストライプ模様とは異なる第2ストライプ模様と、を含み、
    前記第1図素は、第1の図形または記号のうち前記第1ストライプ模様に対応する特定部分を消去して残った部分の集合体であって、
    前記第2図素は、第2の図形または記号のうち前記第1ストライプ模様に対応する特定部分を消去して残った部分の集合体であって、
    前記マスク部材が第1位置にあるとき、前記第1図素の隙間から前記第1ストライプ模様が露出して前記第1の図形または記号が可視化され、
    前記マスク部材が前記第1位置よりも前記第1所定方向下流側に位置する第2位置にあるとき、前記第2図素の隙間から前記第1ストライプ模様が露出して前記第2の図形または記号が可視化されると共に、前記第2ストライプ模様と前記第1図素が部分的に重なることで前記第1ストライプ模様が部分的に光学的に遮蔽されて前記第1の図形または記号の可視化が妨げられ、
    前記マスク模様に重なる前記第1図素の割合は、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置へ向かって移動するに従い増大し、
    前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動する間において、前記第マスク模様に重なる前記第1図素の割合が50%以上となる第1時間長さは、前記マスク部材が前記第1位置から前記第2位置まで移動するのに要する所定時間長さの50%以上であることを特徴とする表示装置。
  6. 請求項1ないし5の何れかに記載の表示装置を用いたことを特徴とする時計。
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