以下、エンジンの排気浄化制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明は、エンジンの排気浄化制御装置の一例である。図1は、エンジン1の構成を例示する概略図であり、図2は、排気系のレイアウトを一部省略して例示する概略図である。また、図3は、DPF44の構成を例示する概略図であり、図4は、エンジン1の排気浄化制御装置の構成を例示するブロック図である。
エンジン1は、軽油を主成分とした燃料が供給されるディーゼルエンジンであって、4つのシリンダ(気筒)を備えた4ストロークエンジンとして構成されているとともに、四輪の自動車(車両)に搭載されている。エンジン1の出力軸であるクランクシャフト7は、不図示の変速機を介して自動車の駆動輪に連結されており、エンジン1が運転することにより、その出力が駆動輪に伝達されて自動車が走行するようになっている。
エンジン1は、2ステージ式のターボ過給機付エンジンである。すなわち、図1に示すように、エンジン1の燃焼室6へと通じる排気通路40には、燃焼室6内へ導入されるガスを過給するように構成された第1ターボ過給機51及び第2ターボ過給機52が設けられている。この排気通路40には、上流側から順に、後述のNOx触媒41と、排気ガス処理装置としてのDPF44が設けられている。
以下、エンジン1の全体構成について詳細に説明する。
(1)全体構成
エンジン1は、複数のシリンダ2(図1においては1つのみを図示)が設けられたシリンダブロック3と、このシリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、各シリンダ2内に挿入されたピストン5と、を有している。このピストン5は、コンロッドを介してクランクシャフト7と連結されている。
また、各ピストン5の頂面にはキャビティが形成されている。このキャビティと、シリンダ2の内壁面と、シリンダヘッド4とによって、シリンダ2毎に燃焼室6が区画されている。
シリンダヘッド4には、シリンダ2毎に、燃焼室6へと吸気を導入するための吸気ポート16と、燃焼室6から排気を導出するための排気ポート17が形成されている。吸気ポート16は燃焼室6に開口しており、その開口を開閉する吸気弁12が配設されている。同様に、排気ポート17もまた燃焼室6に開口しており、その開口を開閉する排気弁13が配設されている。
シリンダヘッド4にはまた、燃焼室6の内部へ燃料を噴射するインジェクタ10と、各シリンダ2内のガスを昇温するためのグロープラグ11とが、各シリンダ2につき1組ずつ設けられている。
図1に示す例では、インジェクタ10の先端は、燃焼室6の天井面(具体的には、シリンダヘッド4によって区画される面)から燃焼室6に臨むように配置されている。インジェクタ10の先端には複数の噴射口が設けられており、各噴射口の開度を制御することができるように構成されている。
後述のECU100は、インジェクタ10を通じた燃料の噴射態様を制御するべく、インジェクタ10へとパルス信号(制御信号)を入力する。このパルス信号のパルス幅、入力タイミング、入力回数等を通じて、燃料の噴射態様を制御することができる。
具体的に、インジェクタ10は、主としてエンジントルクを得るために実施されるメイン噴射と、その燃焼エネルギーがエンジントルクに殆ど寄与しないポスト噴射とを実施することができる。ここで、メイン噴射とは、噴射された燃料が圧縮上死点付近から燃焼し始めるように、圧縮上死点の手前ないし近傍で燃料を噴射することである。対して、ポスト噴射とは、メイン噴射よりも遅角側のタイミング(具体的には、膨張行程中のタイミング)で燃料を噴射することである。
またグロープラグ11は、通電されることで、その通電電圧に応じて発熱する発熱部を先端に有している。図示は省略するが、この発熱部は、燃焼室6の内部に臨んでいるとともに、インジェクタ10の先端部分の近傍に位置するように配置されている。例えば、グロープラグ11の発熱部は、インジェクタ10の各噴射口から噴射される噴霧の間に位置しており、それらの噴霧とは、直接接触しないようになっている。
エンジン1の一側面には吸気通路20が接続されている一方、その他側面には排気通路40が接続されている。ここで、吸気通路20は、各シリンダ2の吸気ポート16に連通しており、各燃焼室6へと新気を導入する。対して、排気通路40は、各シリンダ2の排気ポート17に連通しており、各燃焼室6から既燃ガス(排気ガス)を排出する。これら吸気通路20と排気通路40には、前述の第1ターボ過給機51と第2ターボ過給機52が配設されている。
吸気通路20には、上流側から順に、エアクリーナ21、第1ターボ過給機51のコンプレッサ51a(以下、適宜、第1コンプレッサ51aという)、第2ターボ過給機52のコンプレッサ52a(以下、適宜、第2コンプレッサ52aという)、インタークーラ22、吸気シャッター弁23及びサージタンク24が設けられている。吸気シャッター弁23は、基本的には全開状態であるが、例えばエンジン1の停止時には、ショックが生じないように全閉状態になる。
吸気通路20にはまた、第2コンプレッサ52aをバイパスする吸気バイパス通路25と、これを開閉する吸気バイパス弁26とが設けられている。吸気バイパス弁26は、全閉状態と全開状態とに切り替えられる。
図2に示すように、排気通路40は、4つのシリンダ2のうちの一部(具体的には、気筒列方向の両端に位置する2つのシリンダ2)に接続された第1排気通路40Aと、4つのシリンダ2のうちの他部(具体的には、気筒列方向の中央に位置する2つのシリンダ2)に接続された第2排気通路40Bと、第1排気通路40A及び第2排気通路40Bとが各々の下流側で合流して成る第3排気通路40Cと、を有している。
この構成例では、第1及び第2排気通路40A、40Bには、それぞれ、略同一の機能を発揮するよう構成された別体の触媒43、43が設けられている。2つの触媒43は、それぞれ、前述のNOx触媒41を含んで成る。
触媒43は、NOxを浄化するNOx触媒41と、酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)42とを含む。ここで、酸化触媒42は、NOx触媒41と一体に、又は、このNOx触媒41よりも上流側の排気通路40に設ければよい。この構成例では、第1触媒43は、NOx触媒41を成す触媒材の表面に、酸化触媒42を成す触媒材がコーティングされることで構成されている。
NOx触媒41は、排気の空燃比が理論空燃比よりも大きいリーンな状態(空気過剰率λがλ>1の状態)において排気中のNOxを吸蔵し、この吸蔵したNOxを、排気の空燃比が理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)、つまり、NOx触媒41を通過する排気が未燃のHCを多量に含む還元雰囲気下において還元する、NOx吸蔵還元型触媒(NSC:NOx Storage Catalyst)である。
なお、この構成例では、排気の空燃比と、燃焼室6内の混合気の空燃比とは対応している。つまり、一方がリッチのときには他方もリッチとなり、一方が理論空燃比近傍のときには他方も理論空燃比近傍となり、一方がリーンのときには他方もリーンとなる。ここで、「理論空燃比近傍」の語は、排気又は混合気の空燃比が、14~16の範囲内に収まっていることを意味する。
具体的に、本構成例に係るNOx触媒41には、酸化還元剤としてのプラチナと、吸蔵剤としてのバリウムとが担持されており、排気の空燃比がリーンな状態においては、排気中のNOxがプラチナによって酸化されてバリウムに吸蔵される。一方、排気の空燃比がこれよりもリッチな状態においては、バリウムからNOxが放出され、HC等を還元剤として還元されるようになっている。
また、このNOx触媒41においては、排気の空燃比がリーンな状態であるときに、排気中の硫黄酸化物(SOx)もプラチナによって酸化されてバリウムに吸蔵される。NOx触媒41に吸蔵されたSOxは、NOxと同様に、排気の空燃比がリッチな状態において放出されて還元されるようになっている。SOxは、「硫黄成分」の例示である。
また、NOx触媒41は、吸蔵していたNOxを還元する際に、アンモニア(NH3)を発生して放出するようになっている。具体的に、NOxの還元時に、NOx触媒41が吸蔵していたNOx中の窒素と、NOx触媒41を通過するNOxと、NOx触媒41に導入された還元剤である水素等が結合することで、NH3が生成される。
酸化触媒42は、炭化水素(HC)の吸着機能を有しており、当該機能によって吸着させたHCを浄化するように構成されている。具体的に、この酸化触媒42は、排気中の酸素を用いてHC、すなわち未燃燃料や一酸化炭素(CO)などを酸化して水と二酸化炭素に変化させる。ここで、酸化触媒42で生じるこの酸化反応は発熱反応であり、酸化触媒42で酸化反応が生じると排気の温度は高められる。
このように、酸化触媒42は、冷間始動時など、酸化触媒42が活性化しておらずHCを十分に浄化することができない時にHCを一時的に吸着し、酸化触媒42が活性化した後に吸着されているHCを放出して浄化する機能を備えている。
以下の記載では、第1排気通路40Aに設けられた触媒43及びNOx触媒41を、それぞれ、「第1触媒43A」及び「第1NOx触媒41A」という。同様に、以下の記載では、第2排気通路40Bに設けられた触媒43及びNOx触媒41を、それぞれ「第2触媒43B」及び「第2NOx触媒41B」という。酸化触媒42についても、同様の呼称を用いる場合がある。
一方、第3排気通路40Cには、上流側から順に、第2ターボ過給機52のタービン52b(以下、適宜、第2タービン52bという)と、第1ターボ過給機51のタービン51b(以下、適宜、第1タービン51bという)と、DPF(Diesel Particulate Filter)44と、このDPF44に対して下流側の排気通路40に尿素を噴射する尿素インジェクタ45と、この尿素インジェクタ45から噴射された尿素を用いてNOxを浄化するSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒46と、SCR触媒46から排出された未反応のアンモニアを酸化させて浄化するスリップ触媒47とが設けられている。
ここで、DPF44は、排気通路40において2つの触媒43の下流に位置しており排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するためのパーティクル・フィルタとして構成されている。
具体的に、DPF44には、多孔質のセラミックス等で格子状に多数の通路が形成されている。それら多数の通路には、図3に示すように、排気上流側が開口しかつ排気下流側が閉塞した通路44aと、排気上流側が閉塞しかつ排気下流側が開口した通路44bとが含まれている。これら2種類の通路44a、44bは、交互に千鳥状に配設されている。通路44aに流入した排気ガスは、通路44aと通路44bとを隔てる隔壁44cを通過して通路44bへと抜ける。この隔壁44cは、通路44aから通路44bへのPMの抜けを防止するフィルタとして機能する。すなわち、PMは、この隔壁44cによって捕集される。
また、この構成例に係るDPF44は、PMの捕集機能に加えて、さらに酸化機能も備えている。具体的に、DPF44の隔壁44cには、酸化触媒層44dがコーティングされている。この酸化触媒層44dには、炭化水素(HC)すなわち未燃燃料や一酸化炭素(CO)等が吸着されるようになっており、これらが排気中の酸素によって水と二酸化炭素に酸化されるようになっている。酸化触媒層44dで生じるこの酸化反応は発熱反応であり、酸化触媒層44dで酸化反応が生じると、排気の温度は高められる。
DPF44によって捕集されたPMは、高温に曝されて且つ酸素の供給を受けることで燃焼し、DPF44から除去される。PMが燃焼除去される温度は650℃程度であって比較的高温である。したがって、PMを燃焼させてDPF44から除去するためには、DPF44の温度を比較的高温にする必要がある。一般に、PMをDPF44から除去するのに必要な温度(約650℃)は、SOxをNOx触媒41から除去するのに必要な温度(約600℃)よりも高い。
また、尿素インジェクタ45は、DPF44の下流側の排気通路40中に尿素を噴射する。尿素インジェクタ45から噴射された尿素は、SCR触媒46に導入される。
SCR触媒46は、尿素インジェクタ45から噴射された尿素を加水分解してNH3を生成し、このNH3を排気中のNOxと反応(還元)させて浄化する。このように、この構成例では、尿素インジェクタ45から噴射される尿素が、SCR触媒46用の還元剤として機能する。
詳しくは、SCR触媒46では、導入されたNH3が吸着され、この吸着されたNH3とNOxとが反応することでNOxが還元される。また、前記のように、NOx触媒41におけるNOxの還元時には、このNOx触媒41からもNH3が放出されるようになっており、SCR触媒46は、NOx触媒から放出されたNH3を排気ガス中のNOxと還元させることによってもNOxを浄化する。
SCR触媒46及びNOx触媒41は、双方ともNOxを浄化することができるが、これらは、NOx浄化率(NOx吸蔵率)が高くなる温度が互いに異なっている。SCR触媒46のNOx浄化率(NOx吸蔵率)は、排気ガスの温度が比較的高温のときに高くなり、NOx触媒41のNOx浄化率(NOx吸蔵率)は、排気ガスの温度が比較的低温のときに高くなる。
この構成例では、NOx触媒41とSCR触媒46との両方を用いてNOxの浄化を行う。具体的には、SCR触媒46の温度が第1温度未満であり、SCR触媒46によるNOx浄化率が低いときには、NOx触媒41のみによってNOx浄化が行われ、SCR触媒46の温度が第2温度以上(第2温度は第1温度よりも高い)であってSCR触媒46によるNOx浄化率が高いときにはSCR触媒46のみによってNOx浄化を行う。そして、SCR触媒46の温度が第1温度と第2温度との間であるときには、NOx触媒41とSCR触媒46との両方によってNOx浄化を行う。また、排気ガス流量が大きく、SCR触媒46によるNOx浄化率が低くなるときにも、NOx触媒41とSCR触媒46との両方によってNOx浄化を行う。
排気通路40(具体的には、第3排気通路40C)にはまた、第2タービン52bをバイパスする排気バイパス通路48と、これを開閉する排気バイパス弁49と、第1タービン51bをバイパスするウェイストゲート通路53と、これを開閉するウェイストゲート弁54とが設けられている。これら排気バイパス弁49とウェイストゲート弁54とは、それぞれ全閉状態と全開状態とに切り替えられるとともに、それらの状態間の任意の開度に変更される。
エンジン1はさらに、排気の一部を吸気に還流させるEGR装置55を有する。このEGR装置55は、排気通路40(具体的には、第3排気通路40C)のうち排気バイパス通路48上流端よりも上流側の部分と、吸気通路20のうち吸気シャッター弁23及びサージタンク24の間の部分とを接続するEGR通路56と、これを開閉する第1EGR弁57と、EGR通路56を通過する排気を冷却するEGRクーラ58とを有する。また、EGR装置55は、EGRクーラ58をバイパスするEGRクーラバイパス通路59と、これを開閉する第2EGR弁60とを有する。
次に、エンジン1の制御系について詳細に説明する。
(2)制御系
エンジンの排気浄化制御装置は、エンジン1を運転するためのECU(Engine Control Unit)100を備えている。ECU100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラである。ECU100は、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)と、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力バスと、を備えている。ECU100は、コントローラの一例である。
ECU100には、図3に示すように、各種のセンサSW1~SW10が接続されている。センサSW1~SW10は、検知信号をECU100へと出力する。そうしたセンサには、以下のものが含まれる。
すなわち、エンジン1に取り付けられかつ、その冷却水の温度を検知する水温センサSW1、吸気通路20におけるエアクリーナ21の下流に配置された、吸気通路20を流れる新気の流量を検知するエアフローセンサSW2、及び、新気の温度を検知する吸気温センサSW3、エンジン1に取り付けられかつ、クランクシャフト7の回転角を検知するクランク角センサSW4、アクセルペダル機構(不図示)に取り付けられかつ、アクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を検知するアクセル開度センサSW5、排気通路40に設けられかつ、排気ガス中の酸素濃度を検知するO2センサSW6、車両の速度(車速)を検知する車速センサSW7、サージタンク24に取り付けられかつ、燃焼室6へと導入される空気の圧力を検知する過給圧センサSW8、並びに、排気通路40におけるDPF44とSCR触媒46との間、及び、同通路におけるSCR触媒46とスリップ触媒47との間にそれぞれ設けられ、排気ガス中のNOx濃度を検知するNOxセンサSW9である。また、排気通路40には、同通路40を流れる排気ガスの温度を検知する排気温センサSW10が取り付けられている。
ECU100は、これらの検知信号に基づいてエンジン1や車両の運転状態を判断するとともに、各デバイスの制御量を計算する。ECU100は、計算をした制御量に係る制御信号を、インジェクタ10、グロープラグ11、吸気シャッター弁23、吸気バイパス弁26、排気バイパス弁49、ウェイストゲート弁54、第1EGR弁57、及び、第2EGR弁60へ出力する。
例えばECU100は、過給圧センサSW8による検知信号に基づいて、検知した時点での実際の過給圧(以下、「実過給圧」ともいう)を取得する。それと並行して、ECU100は、他のセンサからの検知信号に基づいて、過給圧の目標値(以下、「目標過給圧」ともいう)を算出する。そして、ECU100は、実過給圧が目標過給圧となるように、吸気バイパス弁26、排気バイパス弁49、ウェイストゲート弁54等の開度を調整する。
そうして、ECU100は、吸気バイパス弁26、排気バイパス弁49及びウェイストゲート弁54等の開度調整を通じて、第1ターボ過給機51と第2ターボ過給機52の作動を制御する。
一般的なエンジンでは、第1触媒43やDPF44など、排気通路40に設けられた各種装置を浄化・再生するために、NOx触媒41からNOxを除去するためのDeNOx制御と、NOx触媒41からSOxを除去するためのDeSOx制御(NOx触媒再生制御)と、DPF44からPMを除去するためのDPF再生制御とを、1つずつ順番に実行することが考えられる。
対して、このエンジン1では、DeSOx制御とDPF再生制御とを効率的に完了するべく、双方が同時に開始されるように構成されている。そこで、以下の記載では、DeSOx制御とDPF再生制御とを「DeSOx+DPF再生制御」と総称する場合がある。
以下、燃料噴射制御の基本的な内容について説明した後、DeNOx制御、DeSOx制御、DPF再生制御等の詳細について順番に説明をする。
-燃料噴射制御-
最初に、この構成例における燃料噴射制御について説明する。この燃料噴射制御は、車両のイグニッションがオンにされてECU100に電源が投入された場合に開始され、所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ECU100は、車両の運転状態を判断する。具体的に、ECU100は、少なくとも、アクセル開度センサSW5が検知したアクセル開度、車速センサSW7が検知した車速、クランク角センサSW4が検知したクランク角、及び、車両の変速機において現在設定されているギヤ段を取得する。
次いで、ECU100は、判断された車両の運転状態に基づいて、車両の目標加速度を決定する。具体的に、ECU100のメモリなどには、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップが予め記憶されている。ECU100は、そうした加速度特性マップの中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択されたマップを参照することにより、現在のアクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次いで、ECU100は、決定された目標加速度を実現するための、エンジン1の目標トルクを決定する。この場合、ECU100は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジン1が出力可能なトルクの範囲内で、目標トルクを決定する。
次いで、ECU100は、決定された目標トルクをエンジン1から出力させるべく、当該目標トルク及びエンジン回転数に基づいて、インジェクタ10から噴射させるべき燃料噴射量を算出する。この燃料噴射量は、メイン噴射において噴射させるべき燃料噴射量(メイン噴射量)である。
他方で、前述した処理と並行して、ECU100は、エンジン1の運転状態に応じた燃料の噴射パターンを設定する。具体的に、ECU100は、前述のDeNOx制御等を行う場合には、メイン噴射に加えて少なくともポスト噴射を行うような燃料の噴射パターンを設定する。この場合、ECU100は、ポスト噴射において噴射させるべき燃料噴射量(ポスト噴射量)や、その噴射タイミング(ポスト噴射タイミング)なども決定する。
その後、ECU100は、算出されたメイン噴射量および設定された噴射パターンを実現するよう、インジェクタ10へと制御信号を出力する。ここで、ポスト噴射を行う場合には、前述のポスト噴射量及びポスト噴射タイミングを実現するような制御信号が出力される。つまり、ECU100は、所望の噴射パターンにおいて、所望の量の燃料が噴射されるようにインジェクタ10を制御する。
(2-1)通常制御
まず、DeNOx制御、DeSOx制御、DPF再生制御等を実施しない通常の定常運転時に実施される制御(通常制御)について説明する。
この通施制御では、燃費性能を高めるべく、燃焼室6内の混合気の空燃比が、理論空燃比よりもリーンな状態(λ>1)にされる。例えば、通常制御では、混合気の空気過剰率λは、λ=1.7程度とされる。また、この通常制御では、ポスト噴射は制限されてメイン噴射のみが実施される。また、通常制御では、グロープラグ11の作動は停止される。また、通常制御では、第1EGR弁57、第2EGR弁60、吸気バイパス弁26、排気バイパス弁49、ウェイストゲート弁54は、それぞれ、エンジン1の運転状態、例えば、エンジン回転数とエンジン負荷等に応じて、EGR率が適切な値になるように制御される。前述の如く、過給圧についても、エンジン1の運転状態に応じた目標過給圧を実現するような制御が実行される。
(2-2)DeNOx制御
続いて、NOx触媒41に吸蔵されたNOx(以下、「吸蔵NOx」ともいう)を還元させてNOx触媒41から放出(離脱)させるための制御であるDeNOx制御について説明する。
前記のように、NOx触媒41では、混合気の空燃比が理論空燃比近傍の状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)において、吸蔵NOxが還元される。したがって、吸蔵NOxを還元するためには、混合気の空燃比を通常運転時(後述の通常制御の実施時)よりも低減させる必要がある。
そこで、ECU100は、所定条件が成立したとき(この構成例では、DPF再生許可フラグが「1」に設定されたとき)には、エンジン1の運転状態に対応した燃料噴射(メイン噴射)の後に燃料の追加噴射を行うことによって、その所定条件が成立する前よりも空燃比をリッチにするDeNOx制御を実行するよう、インジェクタ10へ制御信号を出力する。
具体的に、この構成例では、ECU100は、追加噴射としてのポスト噴射を実施して混合気の空燃比を低減させることにより、吸蔵NOxを還元させる。つまり、ECU100は、インジェクタ10に対し、メイン噴射に加えてポスト噴射を実行させる。そうしたDeNOx制御においては、例えば、混合気の空気過剰率λをλ=0.94~1.06程度にする。そうすることで、NOx触媒41に吸蔵されたNOxが還元されることになる。
次に、この構成例におけるDeNOx制御について説明する。
ECU100は、DeNOx制御として、エンジン負荷が中負荷域(図5の第2領域R12を参照)のときに実施されるアクティブDeNOx制御(NOx触媒リッチパージ制御)と、エンジン負荷が上限付近のとき(図5の第1領域R11を参照)に実施されるパッシブDeNOx制御とを使い分けることができる。
例えば、ECU100は、アクティブDeNOx制御として、NOx触媒41におけるNOxの吸蔵量(以下、単に「NOx吸蔵量」ともいう)が所定量以上の場合(典型的にはNOx吸蔵量が限界付近にある場合)に、ポスト噴射により噴射された燃料が燃焼室6内(シリンダ2内)で燃焼するような噴射タイミングで、インジェクタ10からのポスト噴射を継続的に実行させる。こうすることで、多量の吸蔵NOxを強制的に還元し、ひいては、NOx触媒41におけるNOxの浄化性能を確保することができる。
アクティブDeNOx制御におけるポスト噴射の噴射タイミング(ポスト噴射タイミング)は、予め設定されており、例えば、膨張行程の前半であって圧縮上死点後30~70°CAの間の時期に設定されている。こうすることで、ポスト噴射により噴射された燃料が、そのまま未燃燃料(つまり、HC)として排出されることや、ポスト噴射された燃料によるオイル希釈を抑制するようにしている。
さらに、この構成例においては、ポスト噴射により噴射された燃料の燃焼を促進するべく、アクティブDeNOx制御の最中、グロープラグ11を通電して混合気を加熱する。
一方、ECU100は、パッシブDeNOx制御として、NOx吸蔵量が所定量未満の場合であっても、車両の加速により空燃比がリッチ側に変化するときに、ポスト噴射により噴射された燃料が燃焼室6内(シリンダ2内)では燃焼しないような噴射タイミングで、インジェクタ10からのポスト噴射を実行させる。パッシブDeNOx制御においては、車両の加速時のように、メイン噴射量が増加して混合気の空燃比が低下するような状況に乗じてポスト噴射が実行されるため、非加速時のような状況に乗じてポスト噴射が実行される場合と比較して、目標空燃比を実現するためのポスト噴射量が相対的に少なくなる。これにより、吸蔵NOxを強制的に還元しつつも、ポスト噴射による燃費悪化を抑制することが可能になる。
パッシブDeNOx制御におけるポスト噴射の噴射タイミング(ポスト噴射タイミング)は、少なくともアクティブDeNOx制御におけるポスト噴射の噴射タイミングよりも遅角側に設定されている。例えば、パッシブDeNOx制御におけるポスト噴射の噴射タイミングは、膨張行程の後半であって圧縮上死点後110°CA付近の時期に設定可能である。こうすることで、ポスト噴射により噴射された燃料の燃焼に起因した、スモーク(煤)の発生を抑制することができる。
ここで、図5を参照して、パッシブDeNOx制御及びアクティブDeNOx制御のそれぞれを実行するエンジン1の運転領域について説明する。図5の横軸はエンジン回転数を示しており、同図の縦軸はエンジン負荷を示している。また、図5において、曲線L1は、エンジン1の最大トルク線を示している。
この構成例では、ECU100は、エンジン負荷とエンジン回転数が図5に示す第2領域R12に含まれるときに、アクティブDeNOx制御を実行する。ここで、第2領域R12は、エンジン負荷が第1基準負荷Lo1以上で第2基準負荷Lo2(>第1基準負荷Lo1)未満であり、かつ、エンジン回転数が第1基準回転数N1以上で第2基準回転数(>第1基準回転数N1)未満の運転領域である。
一方、ECU100は、エンジン負荷とエンジン回転数が図5に示す第1領域R11に含まれるときに、パッシブDeNOx制御を実行する。ここで、第1領域R11は、第2領域R12よりもエンジン負荷が高い領域であって、エンジン負荷が所定の第3基準負荷(>第2基準負荷Lo2)以上となる領域である。
前記のように、第1領域R11と第2領域R12とでDeNOx制御の内容を使い分けているのは、次の理由による。
エンジン負荷が低い、あるいは、エンジン負荷が比較的高いがエンジン回転数が低い運転領域では、排気の温度が低い。それに伴って、NOx触媒41の温度が吸蔵NOxを還元できる温度よりも低くなり易い。そこで、この構成例では、そうした運転領域ではDeNOx制御を制限する。
また、前記のようにDeNOx制御ではポスト噴射を実施するが、ポスト噴射された燃料が燃焼せずにそのまま排気通路40へ排出されると、この未燃燃料に起因するデポジットによってEGRクーラ58等が閉塞する虞がある。そのため、ポスト噴射により噴射された燃料は、燃焼室6内で燃焼させるのが好ましい。しかしながら、エンジン負荷が高い、あるいは、エンジン負荷は比較的低いがエンジン回転数が高い領域では、燃焼室6内の温度が高いこと、あるいは、1クランク角度あたりの時間が短いことに伴って、燃焼室6内のガスが排出されるまでの間に、ポスト噴射により噴射された燃料と空気とを十分に混合させることが難しい場合がある。その場合、ポスト噴射により噴射された燃料を燃焼室6内で十分に燃焼させることができない虞がある。またさらに、燃料と空気との混合が不十分であることに起因して、煤が増大する虞がある。したがって、このような運転領域では、基本的にDeNOx制御を停止する。
ただし、エンジン負荷が非常に高い第1領域R11では、メイン噴射量が多いことに伴って、通常運転時であっても混合気の空燃比が小さく抑えられる。そのため、第1領域R11では、吸蔵NOxを還元するために必要なポスト噴射量を小さくして、未燃の燃料が排気通路40へ排出されることに起因した影響を小さく抑えることができる。
そこで、ECU100は、エンジン負荷およびエンジン回転数のいずれもが低すぎず、かつ、高すぎない第2領域R12では、ポスト噴射された燃料を燃焼室6内で燃焼させるアクティブDeNOx制御を実施する。一方、ECU100は、第1領域R11では、ポスト噴射された燃料を燃焼室6内で燃焼させないパッシブDeNOx制御を実施する。なお、第1領域R11は、排気の温度が十分に高く、酸化触媒42が十分に活性化する領域である。そのため、排気通路40に排出された未燃燃料は、この酸化触媒42によって浄化される。
また、DeNOx制御を停止することとした運転領域のうち、特に第2領域R12よりも高負荷側、又は、高回転側の領域(第1領域R11よりも低負荷側の領域R13)では、SCR触媒46によるNOx浄化性能が十分に確保されているので、DeNOx制御を実行せずとも、車両からのNOxの排出を確実に防止することができる。
SCR触媒46によってNOxを浄化する領域R13よりも更に高負荷側の第1領域R11では、排気ガス量が大きくなり、SCR触媒46ではNOxを浄化しきれなくなるものの、前述の如くパッシブDeNOx制御を実行することで、NOx触媒41によってNOxを浄化することができる。
ここで、エンジン1の運転状態が、図5中の矢印に示すように変化したときの制御内容について具体的に説明する。まず、エンジン1の運転状態が第2領域R12に入ると(符号A12を参照)、ECU100は、アクティブDeNOx制御を実行する。そして、エンジン1の運転状態が第2領域R12から外れると(符号A13を参照)、ECU100は、アクティブDeNOx制御を一旦中止する。このときには、SCR触媒46がNOxを浄化することになる。そして、エンジン1の運転状態が第2領域R12に再度入ると(符号A14を参照)、ECU100は、アクティブDeNOx制御を再開する。こうすることで、NOx触媒41に吸蔵されたNOxが略ゼロに低下するまで、アクティブDeNOx制御を終了させないようにする。
次に、この構成例においてパッシブDeNOx制御、又は、アクティブDeNOx制御を行う温度範囲について説明する。前述のように、NOx触媒41は、比較的低温域においてNOxの浄化性能を発揮する一方、SCR触媒46は、比較的高温域、具体的にはNOx触媒41がNOxの浄化性能を発揮する温度域よりも高い温度域において、NOxの浄化性能を発揮する。
この構成例においては、エンジン1の運転状態が、仮に第1領域R1にあるときであっても、SCR触媒46の温度がNOxを浄化可能な温度にまで高められているときには、SCR触媒46によってNOxを浄化することができるため、アクティブDeNOx制御を実行しない。こうすることで、DeNOx制御の実行に起因する燃費の悪化を抑制することができる。
具体的に、ECU100は、SCR触媒46の温度(以下、「SCR温度」と呼称する)が、所定のSCR判定温度未満である場合にのみ、アクティブDeNOx制御の実行を許容し、SCR温度がSCR判定温度以上である場合には、アクティブDeNOx制御の実行を禁止する。ここで、「SCR判定温度」とは、NOxを浄化可能な温度範囲(SCR触媒46の温度範囲)の下限値付近に設定される判定値を指す。SCR判定温度は、前述の第2温度に等しい。
(2-3)DeSOx+DPF再生制御
DeSOx制御とは、NOx触媒41に吸蔵されたSOx(硫黄成分の例示であって、以下、適宜、吸蔵SOxという)を還元して除去するための制御である。
前記のように、吸蔵SOxは、空燃比が理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)において還元される。これに伴い、DeSOx制御でも、混合気の空燃比を理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)にするべく、メイン噴射に加えてポスト噴射を実施する。
ただし、SOxはNOxに比べて結合力が強いため、吸蔵SOxを還元するためには、DeNOx制御時よりもNOx触媒41の温度ひいてはこれを通過する排気の温度をより高温(600℃程度)にする必要がある。これに対して、前記のように、酸化触媒42において未燃の燃料を酸化反応させれば第1触媒43ひいてはNOx触媒41を通過する排気の温度を高めることができる。
そこで、この構成例では、DeSOx制御として、DeNOx制御と同様にポスト噴射を行って、排気の空燃比を通常運転時よりもリッチにして理論空燃比近傍あるいはこれよりも小さくする(以下、適宜、単にリッチにするという)リッチステップと、排気の空燃比を理論空燃比よりもリーンとしつつ(以下、適宜、単にリーンにするという)ポスト噴射を行って酸化触媒42に空気と未燃の燃料とを供給してこれらを酸化触媒42で酸化させるリーンステップとを交互に実施するように、4つのインジェクタ10各々のインジェクタ10へと制御信号を出力する。
ECU100は、こうしたDeSOx制御を複数サイクルにわたって実行することにより、NOx触媒41としての第1及び第2NOx触媒41A、41Bから硫黄成分を除去するように構成されている。
一方、DPF再生制御とは、DPF44に捕集されたPMを除去することで、DPF44の浄化能力を再生するための制御である。DPF44に捕集されているPMは、前記のように、高温下で燃焼除去することができる。PMを燃焼させるためには、DPF44へと酸素を供給することが求められる。
これに対して、DPF44の上流側に設けられた第1触媒43に含まれる酸化触媒42においてHC等つまり未燃燃料を酸化反応させれば、DPF44に流入する排気の温度ひいてはDPF44の温度を高めることができる。さらにまた、DPF44の酸化触媒層44dにおいても未燃燃料を酸化反応させることにより、DPF44の温度を高めることができる。そうした酸化反応を促すためにも、DPF44へと酸素を供給することが求められる。
ここで、前述のDeSOx制御を成すリーンステップに着目すると、このリーンステップにおいてはストイキよりも多量の空気が排気通路40へと供給される。そうした空気は、NOx触媒41を通過してDPF44へと至るため、このリーンステップを利用してDPF44を再生することができるように思われる。
しかし、DeSOx制御においては、リッチステップとリーンステップとが交互に実施される。そのため、リーンステップにおいては多量の酸素が確保されるものの、リッチステップにおいては酸素が不足してしまう可能性がある。このことは、DPF44を浄化するには不都合である。そこで、リッチステップを実施する時間に対して、リーンステップを実施する時間を長くすることも考えられるが、NOx触媒を効率的に浄化するためには、リーンステップばかりでなく、リッチステップを実施することも求められている。
本願発明者らは、全てのシリンダ2について共通のNOx触媒を用いるのではなく、図2に示すように、第1NOx触媒41Aと第2NOx触媒41Bを用いれば、リッチステップとリーンステップとを交互に実施しつつも、DPF44へと供給するべき酸素を確保できることを見出した。
すなわち、この構成例においては、DeSOx制御が、DPF再生制御を兼ねている。その意味で、前述のように、以下に示す制御を「DeSOx+DPF再生制御」と呼称する場合がある。
具体的に、ECU100は、DeSOx制御を行うときに、第1排気通路40Aへ通じるシリンダ2(以下、第1気筒群2Aともいう)においてリッチステップを実施する際には、第2排気通路40Bへ通じるシリンダ2(以下、第2気筒群2Bともいう)においてリーンステップを実施するよう、各インジェクタ10へと制御信号を出力する。
その一方で、ECU100は、DeSOx制御を行うときに、第1気筒群2Aにおいてリーンステップを実施する際には、第2気筒群2Bにおいてリッチステップを実施するよう、各インジェクタ10へと制御信号を出力する。
このように、リーンステップとリッチステップとを互い違いに且つ同時に行うことで、第1NOx触媒41A及び第2NOx触媒41BからSOxを除去しつつ、その下流に配置されたDPF44へと酸素を十分に供給し、その酸素を以てDPF44を再生することができる。
ここで、ECU100は、リッチステップを実施するときには、アクティブDeNOx制御と同様に、燃料の追加噴射(ポスト噴射)を実行する。具体的に、ECU100は、エンジン1の運転状態に対応した燃料噴射の後に、ポスト噴射された燃料がシリンダ2内で燃焼するような噴射タイミング(膨張行程の前半であって、例えば、圧縮上死点後30~70°CA)でポスト噴射を実行するよう、インジェクタ10へと制御信号を出力する。そして、リッチステップでは、混合気および排気の空気過剰率λを1.0程度として混合気および排気の空燃比を理論空燃比近傍にする。例えば、リッチステップでは、混合気および排気の空気過剰率λをλ=0.94~1.06程度とする。これにより、CO等の還元剤をNOx触媒41へと供給し、NOx触媒41に吸着されたSOxを還元して除去することができる。
また、リッチステップでは、アクティブDeNOx制御と同様に、ポスト噴射された燃料の燃焼に伴う煤を抑制しつつこの燃焼の安定性を高めるべく、第1EGR弁57を全閉にする一方、第2EGR弁60を開弁させ且つ第2EGR弁60の開度を通常運転時よりも小さくする。また、ECU100は、混合気の空燃比が低くなるように、吸気シャッター弁23、排気バイパス弁49およびウェイストゲート弁54を、それぞれ、吸入空気量が通常運転時よりも減少するように制御する。
一方、ECU100は、リーンステップを実施するときには、パッシブDeNOx制御と同様に、エンジン1の運転状態に対応した燃料噴射の後に、ポスト噴射された燃料がシリンダ2内で燃焼しないような噴射タイミング(膨張行程の後半であって、例えば、圧縮上死点後110°CA)でポスト噴射を実行するよう、インジェクタ10へと制御信号を出力する。そして、リーンステップでは、混合気の空気過剰率λを1以上として混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーンにする。例えば、リーンステップでは、混合気の空気過剰率λをλ=1.2~1.4程度とする。
また、リーンステップでは、未燃燃料に起因するデポジットによってEGRクーラ等が閉塞するのを防止するべく、第1EGR弁57および第2EGR弁60を全閉にする。
このように、DeSOx制御では燃焼室6内の混合気の空燃比をリーンにする必要がある。そのため、エンジン負荷が高く混合気の空燃比を十分にリーンにできない第1領域R11ではDeSOx制御を実施するのは難しい。一方、前記のように、ポスト噴射を燃焼させる制御は第2領域R12で行われるのが好ましい。そこで、この構成例では、第2領域R12でエンジン1が運転されているときにのみDeSOx制御を実施する。
前記のように、燃焼室6内の混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーンとし且つポスト噴射をその燃料を燃焼させることなく実施すれば、PMを燃焼除去することができるため、リーンステップの実施時にPMの燃焼除去が可能となる。
-リッチステップとリーンステップの詳細-
以下、リッチステップとリーンステップにおける制御量の決定方法について説明する。
前記のように、ECU100は、エンジン1の要求トルクに基づいて、メイン噴射量を決定する。一方、リッチステップにおけるポスト噴射量は、SCR触媒46におけるNH3の吸着量(以下、単にNH3吸着量ともいう)に基づいて決定されるようになっている。詳細は省略するが、NH3吸着量は、NOxセンサSW9の検知信号に基づいて、ECU100によって推定されるようになっている。
具体的に、ECU100は、NH3吸着量が大きいときには、該NH3吸着量が小さいときよりもリッチステップにおけるポスト噴射量を低減するように、インジェクタ10へと制御信号を出力する(図6の下図を参照)。
さらに詳しくは、ECU100は、リッチステップを複数回にわたって繰り返すに従ってポスト噴射量を単調に減少させかつ、その繰り返し回数(DeSOxサイクル数)が所定回数を超えると、図6の破線に示すように、ポスト噴射量を一定にするようになっている。
つまり、DeSOx制御によってNOx触媒41から脱離される硫黄成分の量は、NOx触媒41に吸着されている硫黄成分が多いほど多く望める。そのため、リッチステップを繰り返すにしたがって、ポスト噴射量を減少させたとしても、硫黄成分を十分に脱離させることができる。ポスト噴射量を減少させた分、燃費性能の向上を図ることができる。
この構成例では、リッチステップにおけるポスト噴射タイミングもまた、ポスト噴射量と同様に、NH3吸着量に基づいて決定されるようになっている。
具体的に、ECU100は、NH3吸着量が大きいときには、該NH3吸着量が小さいときよりもポスト噴射タイミングを遅角させるように、インジェクタ10へと制御信号を出力する(図6の上図を参照)。
さらに詳しくは、ECU100は、リッチステップを複数回にわたって繰り返すに従ってポスト噴射タイミングを徐々に遅角させかつ、その繰り返し回数(DeSOxサイクル数)が所定回数を超えると、図6の破線に示すように、ポスト噴射タイミングを一定にするようになっている。
詳細は後述するが、このような構成を取ることで、ポスト噴射により噴射された燃料に起因した燃焼温度を低下させ、そのことで、NOx触媒41におけるNH3の発生を抑制することができる。
また、リッチステップとリーンステップは、各シリンダ2において燃焼行程を1回行う度に入れ替わるのではなく、それぞれ、所定時間にわたってリッチステップ又はリーンステップを行った後に入れ替わるようになっている。以下、リッチステップを継続して行うときの、1ステップあたりの実行時間をリッチ継続時間と呼称する。同様に、リーンステップを継続して行うときの、1ステップあたりの実行時間をリーン継続時間と呼称する。
リッチ継続時間の目標値である基本リッチ時間と、リーン継続時間の目標値である基本リーン時間は、それぞれ、NOx触媒41における硫黄被毒量(以下、S被毒量ともいう)に基づいて決定されるようになっている。
具体的に、ECU100は、第1及び第2NOx触媒41A、41Bの各々における燃料の噴射量(メイン噴射量とポスト噴射量を合算したトータルの噴射量)に基づいて、第1NOx触媒41AにおけるS被毒量(以下、第1被毒量ともいう)と、第2NOx触媒41BにおけるS被毒量(以下、第2被毒量ともいう)とを算出する。続いて、ECU100は、算出された第1被毒量及び第2被毒量の大小関係を判断する。
そして、ECU100は、DeSOx制御を行うときに、第1被毒量が、第2被毒量よりも大きいときには、小さいときと比較して、第1気筒群2Aにおいてリッチステップを実施する時間を長くする(つまり、基本リッチ時間を長く設定する)。
さらに詳しくは、ECU100は、第1被毒量から第2被毒量を減算して成る差分が大きくなるに従って、基本リーン時間を基本リッチ時間によって除算して成る比率(図7の縦軸に相当)を大きくする。そして、ECU100は、この差分が所定値以上になると、図7に示すように、この比率を所定値のまま、一定に保つ。この所定値は、全シリンダ2に係る空気過剰率が1.2~1.3になるように選ばれている。
なお、第1被毒量から第2被毒量を減算して成る差分は、例えば、第1気筒群11Aにおける燃料の噴射量と、第2気筒群11Bにおける燃料の噴射量との差分から算出することもできる。
詳細は後述するが、このような構成を取ることで、DeSOx制御の効率を高めつつ、DPF44の再生効率を確保することができる。
(2-4)制御プロセスの具体的内容
次に、アクティブDeNOx制御、及び、DeSOx+DPF再生制御の具体的な内容について、図8のフローチャートを用いて説明する。図8に示すフローは、ECU100によって所定の周期で繰り返し実行されるとともに、前述の燃料噴射制御などと並行して実行される。
ステップS1では、ECU100は、DPF再生許可フラグが1であるか否かを判定する。この判定がNOであれば、ステップS20に進み、ECU100は通常制御を実施した後、処理を終了する(ステップS1に戻る)。一方、ステップS1の判定がYESであれば、ステップS2に進む。DPF再生許可フラグは、DPF44の再生が許可されると1となり、DPFの再生を禁止するときに0となるフラグである。本実施形態では、DPF再生許可フラグは、DPF44のPM堆積量が前記再生開始堆積量以上になると1とされ、PM堆積量が再生終了堆積量以下になると0とされる。再生終了堆積量は、もはやDPF44からPMを除去することが必要ない程度にまで低下したPM堆積量であり、例えば、0付近の値に設定されている。
まずステップS1では、ECU100は、DPF再生許可フラグの値が「1」であるか否かを判定する。同フラグの値が「0」であれば(ステップS1:NO)、制御プロセスはステップS20に進む。この場合、ECU100は、前述の通常制御を実施した後、処理を終了する(ステップS1へ戻る)。対して、DPF再生許可フラグの値が「1」であれば(ステップS1:YES)、制御プロセスはステップS2に進む。
なお、DPF再生許可フラグは、DPF44の再生が許可されると「1」となり、DPF44の再生を禁止するときに「0」となるフラグである。この構成例では、DPF再生許可フラグは、DPF44のPM堆積量が、所定の再生開始量以上になると「1」とされ、PM堆積量が、再生終了量以下になると「0」とされる。
ここで、PM堆積量は、例えば、DPF44の上流側および下流側に設けられた圧力センサから算出されるDPF44の前後差圧(DPF44よりも上流側の圧力と、下流側の圧力との差)等から算出される。また、再生開始量は、DPF44が捕集可能なPM堆積量よりも所定量小さい値に設定されている。一方、再生終了量は、もはやDPF44からPMを除去することが必要ない程度にまで低下したPM堆積量であり、例えば、0付近の値に設定されている。
続くステップS2において、ECU100は、エンジン1の運転状態が第2領域R12にあるか否かを判定する。この判定がNOであれば、制御プロセスは、DPF44の再生を禁止するときと同様に、ステップS20に進んで通常制御を実施した後、処理を終了する(ステップS1へ戻る)。一方、ステップS2の判定がYESであれば、ステップS3に進む。
続くステップS3において、ECU100はアクティブDeNOx制御を実施する。
ステップS3から続くステップS4において、ECU100は、吸蔵NOx量が予め設定されたDeNOx終了判定値以下であるか否か、つまり、アクティブDeNOx制御の実施に伴って吸蔵NOx量がDeNOx終了判定値以下まで低下したか否かを判定する。この判定がNOであれば、ステップS2に戻る。一方、この判定がYESであれば、ステップS5に進む。つまり、ECU100は、吸蔵NOx量がDeNOx終了判定値以下となってステップS4の判定がYESとなるまで、アクティブDeNOx制御を継続する。
ここで、吸蔵NOx量は、エンジン1から排出されるRawNOxの量(流量)を示しており、排気流量と混合気の空気過剰率λ等から推定される。また、DeNOx終了判定値は、例えば0付近の値に設定されている。
なお、DeNOx制御の実施中に、ECU100は、NOx触媒41から放出されるNH3の量を推定し、該推定量が多いほど尿素噴射量が少なくなるように尿素インジェクタ45を制御する。
そして、ステップS4の判定がYESとなると、ECU100は、ステップS5に進む。ステップS5では、ECU100は、アクティブDeNOx制御を停止してDeSOx+DPF再生制御を開始する。具体的に、ECU100は、第1気筒群2Aにおいてリッチステップを開始する一方、第2気筒群2Bにおいてリーンステップを開始する。なお、第1気筒群2Aにおいてリーンステップを開始する一方、第2気筒群2Bにおいてリッチステップを開始してもよい。この場合、以下の記載は、適宜、第1気筒群2Aと第2気筒群2Bとを互い違いに読み替えればよい。
ステップS5から続くステップS6において、ECU100は、エンジン1の運転状態が第2領域R12にあるか否かを判定する。この判定がNOであれば、ステップS20に進み、ECU100は通常制御を実施した後、処理を終了する(ステップS1に戻る)。
一方、ステップS6の判定がYESであれば、制御プロセスは、ステップS7に進む。つまり、エンジン1の運転状態が第2領域R12から外れ次第、DeSOx+DPF再生制御を中止して通常制御に戻るようになっている。この場合、ステップS1等を順番に処理することで、エンジン1の運転状態が第2領域R12に含まれ次第、DeSOx+DPF再生制御は再開されるようになっている。
そして、ステップS7において、ECU100は、第1気筒群2Aにおけるリッチ継続時間が、前述の基本リッチ時間以上になったか否かを判定する。この判定がNOであった場合には、ステップS8へ進んで現ステップを維持する一方、この判定がYESであった場合には、ステップS9へ進んでステップ切り替えを実行する。
具体的に、ステップS8において、ECU100は、第1気筒群2A及び第2気筒群2Bの一方では、リッチステップを継続して行うとともに、その他方では、リーンステップを継続して行う。例えば、仮に、第1気筒群2Aにおいてリッチステップを開始する一方、第2気筒群2Bにおいてリーンステップを開始したときに、ステップS9に示す処理を一度も行うことなくステップS8に進んだ場合(つまり、繰り返し回数が「1」の場合)、第1気筒群2Aではリッチステップを続ける一方、第2気筒群2Bではリーンステップを続けることになる。
対して、ステップS9において、ECU100は、第1気筒群2A及び第2気筒群2Bの一方では、リッチステップからリーンステップへと切り替えるとともに、その他方では、リーンステップからリッチステップへと切り替える。
ステップS8又はステップS9から続くステップS10において、ECU100は、第1NOx触媒41Aに吸着した吸着SOx量と、第2NOx触媒41Bに吸着した吸着SOx量とが、双方とも、所定のDeSOx終了判定値以下になったか否かを判定する。この判定がNOであれば、ステップS6へと戻る。一方、この判定がYESであれば、ステップS11に進んでDeSOx+DPF再生制御を終了する。つまり、ECU100は、吸着SOx量がDeSOx終了判定値以下となってステップS10の判定がYESとなるまで、DeSOx+DPF再生制御を継続する。
ここで、吸着SOx量は、前述の第1被毒量(第2被毒量)の累積値から、DeSOx制御によって脱離したSOxの量(SOx脱離量)を減算することによって算出される。SOx離脱量は、排気温センサSW10によって検知された排気ガス温度と、空燃比とに基づいて算出されるようになっている。なお、種々の状態量を用いてNOx触媒41の温度を推定し、この推定値を排気ガス温度の代わりに用いることもできる。一方、DeSO終了値は、例えば0付近の値に設定されている。
ステップS11においてDeSOx+DPF再生制御を終了した後、制御プロセスはステップS12へと進む。このステップS12において、ECU100は、DPF44の再生に特化した制御(以下、単に「DPF再生制御」ともいう)を開始する。
この構成例では、ECU100は、DPF再生制御として、混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーンとしつつポスト噴射を行って、酸化触媒42に空気と未燃燃料とを流入させてこれらを酸化触媒42で酸化させる制御を実施する。具体的には、DPF再生制御では、ポスト噴射された燃料が燃焼室6内で燃焼しないタイミング(膨張行程の後半であって、例えば、圧縮上死点後110°CA)でポスト噴射を実施する。DeSOx+DPF再生制御とは異なり、このDPF制御では、全てのシリンダ2においてリーンな混合気を燃焼させるようになっている。また、DPF再生制御では、ポスト噴射を燃焼させる必要が無いため、グロープラグ11への通電は停止する。
ステップS12から続くステップS13において、ECU100は、DPF44のPM堆積量が、前述の再生終了量以下になったか否かを判定する。この判定がNOであれば、ステップS12へと戻る。一方、この判定がYESであれば、ステップS20に進んで通常制御を実施してリターンする(ステップS1に戻る)。つまり、ECU100は、PM堆積量が再生終了量以下となってステップS13の判定がYESとなるまで、DPF再生制御を継続する。
(2-5)制御例
次に、図9を参照して、ECU100による制御(特に、DeSOx+DPF再生制御)の具体例について説明をする。図9は、この構成例においてDeSOx+DPF再生制御を実行したときの、種々のパラメータの変化を例示する図である。
なお、図9の各図において、実線は、本開示の構成例を示している一方、破線は比較例を示している。比較例においては、従来のDeSOx制御が実施されるようになっている。すなわち、比較例においては、本開示の構成例と同様に、リーンステップとリッチステップとを交互に実施するように構成されているものの、本開示の構成例とは異なり、第1気筒群2Aにおいてリッチステップを実施するときには、第2気筒群2Bにおいてもリッチステップが実施されるようになっている。リーンステップについても同様である。
また、比較例においては、そうした従来のDeSOx制御が完了すると、図8のステップS12に示す処理と同様のDPF再生制御が開始されるようになっている。
また、図8において、「deSOx_Flag」とは、それに対応する気筒群においてリッチステップを実施するか、或いは、リーンステップを実施するかを示している。具体的に、このフラグの値が「1」のときにはリッチステップが実施されるとともに、同フラグの値が「0」のときにはリーンステップが実施されるようになっている。
図9において、時刻t1にDPF再生許可フラグが0から1に変化すると、アクティブDeNOx制御が実施される。具体的に、排気の空燃比が理論空燃比よりもリッチとされるとともに、ポスト噴射が実施される。このとき、ポスト噴射された燃料が各燃焼室6(シリンダ2)内で燃焼するように、ポスト噴射の噴射タイミングが比較的進角側(膨張行程前半)とされる。また、第1EGR弁57が全閉とされるとともに、第2EGR弁60の開度が通常運転時すなわち時刻t1直前の開度よりも小さく(閉じ側に)、ただし、全閉よりも開き側にされる。
アクティブDeNOx制御の実施に伴い、時刻t1以後、NOx吸蔵量は徐々に低下していく(不図示)。また、ポスト噴射された燃料が燃焼室6内で燃焼することで排気ガスの温度が増大することに伴い、時刻t1以後、DPF44の温度が徐々に増大する。具体的に、時刻t1以後、DPF44前の温度と、DPF44内の温度とが双方とも増大する。なお、図9において、「DPF前の温度」とは、DPF44の直上流側の第3排気通路40Cにおける排気温度を示している。一方、「DPF内の温度」とは、DPF44の内部の温度を示している。
また、図示は省略するが、時刻t1以後、酸化触媒42の温度も徐々に増大する。
時刻t2にて、吸蔵NOx量がDeNOx終了判定値以下になると、アクティブDeN
Ox制御は停止される。続いて、比較例の場合は、通常のDeSOx制御が実施される一方、本開示の構成例の場合は、前述のDeSOx+DPF再生制御が実施される。
比較例の場合は、第1気筒群2Aと第2気筒群2Bとでリーンステップとリッチステップとを互いに違いに行うのではなく、全てのシリンダ2においてリッチステップ及びリーンステップのいずれか一方を交互に繰り返して実行する。
比較例を実施した場合、リーンステップにおいては、DPF44前(DPF44の直上流側の第3排気通路40C)のO2濃度が確保されるため、酸化触媒層44dにおける酸化反応によって排気ガスの温度が上昇し、DPF44前の温度と、DPF44内の温度とが双方とも上昇する。これにより、DPF44に捕集されたPMを燃焼させることが可能となる。
一方、比較例のリッチステップにおいては、NOx触媒に吸着したSOxこそ脱離されるものの(不図示)、DPF44内のO2濃度が、リーンステップを実施したときと比較して不足してしまい(図例では、実質的に0になる)、酸化反応による発熱が不十分となる。そのため、DPF44前の温度は略一定に保たれるものの、DPF44内の温度が低下してしまい、PMを燃焼させる上で不利になる。
したがって、比較例を実施した場合、リーンステップにおいてはPM(図例ではスス堆積量)が減少するものの、リッチステップにおいてはスス堆積量が増大してしまう。これにより、時刻t2以後t5未満の範囲内では、スス堆積量は実質的に減少せず、時刻t5以後に通常のDPF再生制御を行うことで、時刻t5から時刻t8にかけて通常のDPF再生制御を実行することで、スス堆積量を減少させることが可能となる。そして、時刻t8において、このDPF再生制御を完了することになる。
また、比較例の構成では、リッチステップの最中、O2濃度の不足に伴って還元剤として機能するCOや全炭化水素(THC)が一時的に増大してしまう、という問題もある。図9の「DPF前のCO、THC量」と、「DPF後のCO、THC量」との比較から見て取れるように、比較例の構成を用いた場合、DPF44は、COやTHCを実質的に除去しない。なお、「DPF後のCO、THC量」とは、DPF44の直下流側かつ、SCR触媒46の直上流側の第3排気通路40CにおけるCO、THC量を示している。
対して、本開示の構成例を実施した場合、時刻t2以後t3未満の範囲内では、第1気筒群2Aにおいてはリッチステップが実施される一方、第2気筒群2Bにおいてはリーンステップが実施される。
さらに詳しくは、時刻t2にて、第1気筒群2Aではリッチステップが実施されて、噴射時期が比較的進角側であって噴射された燃料が燃焼室6内で燃焼するように設定されたポスト噴射が実施されるとともに、排気の空燃比が理論空燃比近傍、又は、これよりもリッチにされる。これと同時に、第2気筒群2Bではリーンステップが実施されて、噴射時期が比較的遅角側であって噴射された燃料が燃焼室6内で燃焼しないように設定されたポスト噴射が実施されるとともに、排気の空燃比が理論空燃比よりもリーンにされる。
さらに、時刻t3以後t4未満の範囲内では、第1気筒群2Aにおいてリーンステップが実施される一方、第2気筒群2Bにおいてはリッチステップが実施される。
こうして、第1気筒群2Aと第2気筒群2Bとでリーンステップとリッチステップとが互いに違いにかつ、交互に繰り返し実行されることになる。
本開示の構成例を実施した場合、一方の気筒群にてリッチステップを実施するときには、他方の気筒群にてリーンステップが実施される。よって、DPF44前のO2濃度が略一定に保たれるようになるから、酸化反応による発熱が十分に確保される。そのため、この構成例では、スス堆積量が単調に減少するようになる。それと同時に、一方の気筒群にてリッチステップを実施するときには、その気筒群に通じるNOx触媒41においてSOxを離脱させることができる。これにより、図9に示すように、スス堆積量を減少させると同時に、SOx吸着量を減少させることが可能となる。
また、本開示の構成例では、O2濃度が十分に確保されるため、酸化触媒層44dにおける酸化反応がより頻繁に発生し、それに起因した発熱量が増大することになる。酸化反応に起因した発熱量が増大する分だけ、DPF44前の温度を従来よりも低くすることが可能になる(図9を参照)。
さらに、図9の「DPF前のCO、THC量」と、「DPF後のCO、THC量」との比較から見て取れるように、DPF44は、DeSOx+DPF再生制御を通じて供給されたO2によって、COやTHCを酸化して除去することができる。このように、DeSOx+DPF再生制御を行うことと、DPF44が酸化機能を有することが相俟って、本構成例に係るDPF44は、スス等のPMばかりでなく、COやTHCを除去することができる。このことは、エンジン1のエミッション性能を高める上で、取り分け有効である。
本開示の構成例においては、時刻t6以後、第1NOx触媒41Aと、第2NOx触媒41Bの双方においてSOx吸着量が十分に減少したことを受けて、通常のDPF再生制御へと移行する。通常のDPF再生制御は、全てのシリンダ2において、リーンステップを継続的に行うことに等しい。これにより、スス堆積量がさらに減少することになる。
本開示の構成例においては、DeSOx+DPF再生制御の最中、スス堆積量は、単調に減少する。よって、比較例よりも早いタイミングである時刻t7において、DPF再生制御を完了することができる。
(3)まとめ
以上説明したように、ECU100は、DeSOx制御を行うときには、図9のタイムチャートに示すように、リッチステップとリーンステップとを交互に実施する。これにより、NOx触媒41に吸着されたSOxを離脱させることができる。
しかし、単にリッチステップとリーンステップとを交互に実施するだけでは、図9に示す比較例のように、リッチステップにおいてO2濃度が不足する可能性がある。
そこで、構成例として示したエンジン1は、全てのシリンダ2について共通のNOx触媒41を用いるのではなく、図2に示すように、第1排気通路40Aに設けられる第1NOx触媒41Aと、第2排気通路40Bに設けられる第2NOx触媒41Bとの使い分けに着目した構成となっている。
つまり、ECU100は、図8のステップS6~S10に示すように、第1NOx触媒41Aを流通する排気の空燃比がリッチとなるとき、つまり第1気筒群2Aにおいてリッチステップを実施するときには、第2NOx触媒41Bを流通する排気の空燃がリーンとなるように、第2気筒群2Bにおいてリーンステップを実施する。
これによれば、第1NOx触媒41Aを通過する排気ガスについては酸素が不足する可能性があるものの、第2NOx触媒41Bを通過する排気ガスには多量の酸素が含まれるようになるため、それらの下流に設けられた第3排気通路40Cには、全てのシリンダ2においてリッチステップを実施した場合と比較して、多量の酸素を含んだ排気ガスが流通するようになる。
これにより、図9に示すように、DPF44へと酸素を安定して供給し、ひいては、そのDPF44を効率的に浄化することが可能となる。一方、シリンダ2単位では、リッチステップとリーンステップとが交互に実施されていることに変わりないため、DPF44ばかりでなく、NOx触媒41を効率的に浄化することもできる。
このように、DPF44とNOx触媒41を双方とも効率的に浄化することができる。
また、ECU100は、リーンステップを実施するときには、ポスト噴射を実行する。このポスト噴射によって噴射される燃料は、シリンダ2内では燃焼しないため、未燃の燃料(HC)として排気通路40へ排出される。そうしたHCは、還元剤として利用することができる。
そのため、図3に示すように、DPF44が酸化機能を有していた場合、多量の酸素が供給されることに伴って、このDPF44にて、従来よりも頻繁に反応熱が生じることになる。DPF44に捕集されたPMを燃焼させるためには、比較的高温の排気ガスをDPF44へと供給する必要があったところ、そうした反応熱の分だけ、排気ガスを従来よりも低温にすることができる。よって、前述の追加噴射など、燃料の噴射量を低減することが可能となると同時に、排気ガスを低温にした分だけ、NOx触媒41を従来よりも低温に保つことが可能となる。
一般的には、NOx触媒41が過度に昇温してしまうと、それに吸着したSOxが凝集してしまい、NOx触媒41から脱離させるのが困難になることが知られている。このことは、DeSOx制御の効率低下を招くという点で好ましくない。
対して、このエンジン1は、NOx触媒41を従来よりも低温に保つことができるため、DeSOx制御の効率低下を抑制するという観点からも有効である。
また、DPF44が酸化機能を有しているため、DeSOx+DPF再生制御の最中であっても、HC等の未燃燃料を、このDPF44において酸化させることができる。そのことで、エンジン1のエミッション性能を向上させることができる。
ところで、エンジン1を搭載した車両が加速や減速を繰り返していくうちに、燃料の噴射量に偏りが生じてしまい、それに起因して、第1気筒群11Aと第2気筒群11BとでS被毒量に差が生じる可能性がある。
また、リッチステップにおいては、排気が還元雰囲気となる。一方、NOx触媒41に吸着したSOxは、そうした還元雰囲気下において放出されるようになっている。
よって、第1NOx触媒41AにおけるS被毒量が大きく、同触媒41Aに多量のSOxが吸着していると考えられる状況下では、図7に示すように基本リッチ時間を長くする。そのことで、より多量のSOxを第1NOx触媒41Aから放出させることができる。
一方、基本リッチ時間を過度に長くすると、リーンステップにおいてDPF44が十分に浄化されず、その再生効率が低下する可能性がある。
そこで、第1NOx触媒41AにおけるS被毒量が十分に大きい場合には、基本リッチ時間を長くすることなく、図7に示すような一定の所定値にする。これにより、DPF44の再生効率を確保することができる。
また、DeSOx+DPF再生制御を行うと、NOx触媒41が過度に昇温した結果、同触媒41に吸蔵されたNOxが脱離する可能性がある。
対して、この構成例では、図8のステップS3~S5に示すように、DeSOx+DPF再生制御の開始前にアクティブDeNOx制御を実行する。これによれば、DeSOx+DPF再生制御を開始するのに先立って、NOx触媒41からNOxを除去しておくことができる。
また一般に、NOxや還元剤等の結合によって、アンモニアが発生する場合がある。アンモニアの発生は、匂い等を抑制するためには望ましく無い。
一方、図6の上図に示すように、NH3の吸着量が大きいときには、それが小さいときよりもポスト噴射タイミングを遅角させる。そうすると、ポスト噴射によって噴射された燃料が、各シリンダ2内で燃焼するときの燃焼温度が低減される。その結果、各シリンダ2から排出される排気ガスの温度は低下することになる。アンモニアの生成には、所定の熱エネルギーが求められるから、こうした構成は、アンモニアの発生を抑制する上で有効である。また、アンモニアの発生を抑制することで、スリップ触媒47の負担を軽減することもできる。
また、図6の下図に示すように、NH3の吸着量が大きいときには、それが小さいときよりもポスト噴射量を低減する、そうすると、ポスト噴射によって噴射された燃料の燃焼によって生じる熱エネルギーを抑制することができる。そのことで、アンモニアの発生を抑制する上で有利になる。また、アンモニアの発生を抑制することで、SCR触媒46の負担を軽減することもできる。また、アンモニアの発生を抑制することで、スリップ触媒47の負担を軽減することもできる
《他の実施形態》
前記実施形態では、DPF44のPM堆積量が再生開始堆積量以上になったときに、アクティブDeNOx制御と、DeSOx+DPF再生制御とを順番に行うように構成されていたが、この構成には限られない。例えば、NOx吸蔵量が所定量以上になったことをトリガーとして、アクティブDeNOx制御と、DeSOx+DPF再生制御とを順番に行うように構成してもよい。