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JP7096739B2 - 不透明石英ガラスの製造方法 - Google Patents
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本発明は、反射率が高い不透明石英ガラスの製造方法に関する。
不透明石英ガラスは、半導体装置用部材に使用されるが、一部の半導体装置用部材に使用される不透明石英ガラスには、熱遮断性に優れ、かつ反射率(不透明性)が高い事が要求される。
従来、シリカ粉末を原料とする不透明石英ガラスの製造方法としては、電気溶融法と火炎溶融法が知られており、火炎溶融法によりシリカ粉末から不透明石英ガラスを製造する方法としては、例えば、窒化珪素等の発泡材を添加して溶融する方法が知られている(例えば、特許文献1)。この方法では、シリカ粉末原料とほぼ同程度の純度を有する不透明石英ガラスを製造することができ、比較的高純度の原料を用いれば、比較的高純度の不透明石英ガラスを製造することができる。
特開平05-254882号公報
特許文献1に記載の製造方法で製造された不透明石英ガラスが有する反射率(不透明性)は、特許文献1の図4のAの曲線で示される。しかしながら、不透明石英ガラスを半導体製造装置に用いる場合、製造装置内の均熱性(温度分布の均一性)を高めるために、さらに高い反射率(不透明性)を有する不透明石英ガラスに対する要求がある。
しかしながら、不透明石英ガラスの反射率と製造条件との相関は、製造条件の変数が多く、かつ不透明石英ガラスの反射率の原因となる不透明石英ガラスの特性(例えば、密度や気泡径など)との関係も必ずしも明らかではない。特許文献1では、発泡材である窒化珪素の添加量及び平均粒子径を制御することの記載はある。しかし、最善の結果と考えられる実施例として記載された不透明石英ガラスの反射率(不透明性)は、厚み3mmにおいて波長0.4~2.5μmの全光線反射率の平均値が約45%であり、近時のより高い不透明性に対する要求を満たすには不十分であった。
そこで本発明は、反射率(不透明性)のより高い、具体的には、厚み3mmにおいて波長0.4~2.5μmの全光線反射率の平均値が50%以上、好ましくは55%以上である不透明石英ガラスの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、厚み3mmにおいて波長0.4~2.5μmの全光線反射率の平均値が50%以上、好ましくは55%以上と、特許文献1に記載の不透明石英ガラスより格段に高い不透明石英ガラスの製造方法について種々検討した。その結果、火炎溶融法において、原料として特定の粒度及び粒子径を有するシリカ粉末を用いることで、前記全光線反射率の平均値を50%以上、好ましくは55%以上とすることができることを見出して、本発明を完成させた。
本発明は以下の通りである。
[1]
シリカ粉末と窒化珪素粉末の混合粉末を酸水素火炎で溶融し、石英ガラスをターゲット上に堆積させて、独立した気泡を含有する不透明石英ガラスを製造する方法であって、
前記シリカ粉末の粒度範囲が20~500μmの範囲であり、D50(平均粒子径)が80~160μmの範囲であり、かつ製造される不透明石英ガラスは、厚み3mmにおいて波長0.4~2.5μmの全光線反射率の平均値が50%以上の範囲である、
前記方法。
[2]
前記シリカ粉末は、粒子径177μm以上の粒子の含有量が30体積%以下である、[1]に記載の方法。
[3]
前記シリカ粉末は、粒子径105μm未満の粒子の含有量が10体積%以上である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]
前記混合粉末中の窒化珪素粉末の含有量は、0.1~1.0質量%の範囲である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
前記不透明石英ガラスは、気泡総表面積が50cm2/cm3以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
前記不透明石英ガラスは、Al含有量が10ppm以下、Ca、Naの各含有量がそれぞれ1.3ppm以下、Cu、Fe、K、Li、Mgの各含有量がそれぞれ1.0ppm以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、厚み3mmにおいて波長0.4~2.5μmの全光線反射率の平均値が50%以上の不透明石英ガラスを製造することができる。
本発明は、独立した気泡を含有する不透明石英ガラスを製造する方法である。この本発明の方法では、シリカ粉末と窒化珪素粉末の混合粉末を酸水素火炎で溶融し、ターゲット上に石英ガラスを堆積させ、それにより独立した気泡を含有する不透明石英ガラスを得る。本発明の製造方法では、シリカ粉末と窒化珪素粉末の混合粉末を酸水素火炎で溶融する。酸水素火炎での溶融方法やターゲット上への石英ガラスの堆積方法等については、特許文献1を参照することができる。
本発明の製造方法において、シリカ粉末は、粒度範囲が20~500μmの範囲であり、かつD50(平均粒子径)が80~160μmの範囲であるものを用いる。
粒度範囲とは、シリカ粉末に含まれる個々のシリカ粒子の粒度(粒径)が収まる範囲を意味する。この粒度範囲が20~500μmの範囲である。シリカ粉末に含まれる個々のシリカ粒子は最低でも、20μm以上の粒径を有し、最大でも500μm以下の粒径を有する。シリカ粉末の粒度範囲がこの範囲内であることで、かつD50(平均粒子径)を所定範囲にすることで、本発明所望の不透明石英ガラス(厚み3mmにおいて波長0.4~2.5μmの全光線反射率の平均値が50%以上)を得ることができる。シリカ粉末の粒度範囲は、好ましくは30~400μmの範囲であり、より好ましくは30~350μmの範囲である。
シリカ粉末としては、D50(平均粒子径)が80~160μmの範囲の粉末を用いる。D50(平均粒子径)がこの範囲のシリカ粉末を用いることで、なおかつシリカ粉末の粒度範囲が上記範囲であることで、本発明所望の高反射率の不透明石英ガラスを得ることができる。粒子が大きくなるとガラス中の気泡径が大きくなる傾向がある。D50は、好ましくは90~150μmの範囲である。シリカ粉末の粒度範囲及びD50(平均粒子径)の測定は、実施例に記載のレーザー回折粒子径分布測定装置を用いて実施することができる。
混合粉末に用いるシリカ粉末は、好ましくは177μm以上の粒子の含有量が30体積%以下であることが、本発明所望の高反射率の不透明石英ガラスを得るという観点から好ましい。177μm以上の粒子の含有量は、より好ましくは18体積%以下である。さらに、混合粉末に用いるシリカ粉末は、好ましくは105μm未満の粒子の含有量が10体積%以上であることが、本発明所望の高反射率の不透明石英ガラスを得るという観点から好ましい。105μm未満の粒子の含有量は、より好ましくは15体積%以上であり、さらに好ましくは20体積%以上である。
特許文献1の方法でもシリカ粉末と窒化珪素粉末の混合粉末を用い、酸水素火炎での溶融及びターゲット上への石英ガラスの堆積を行うことで、不透明石英ガラスを製造する。表1に示された実施例1で使用したシリカ粉末は、粒度範囲が50~700μmの範囲(推定)、D50(平均粒子径)が約200μmである。これにより美観上すぐれた白色の不透明石英ガラスを得たと記載している(特許文献1の段落0024)。特許文献1の方法で用いたシリカ粉末は、D50(平均粒子径)が本発明の範囲を大きく上回る。さらに、特許文献1の方法で用いられたシリカ粉末は、177μm以上の粒子の含有量が62.1%であり、105μm未満の粒子の含有量が1.1%である。
本発明において混合粉末に用いるシリカ粉末は、上記の粒度範囲及びD50以外には特に制限はない。例えば、純化処理した天然水晶粉末やシリコンアルコキシドの加水分解によって製造された非晶質粉末等を用いることが出来る。
また、シリカ粉末の純度については、高純度の不透明石英ガラスを得る為には、例えば、Alが10ppm以下、Ca、Naの各々が1.3ppm以下、Cu、Fe、K、Li、Mgの各々が1.0ppm以下であることが好ましい。不透明石英ガラスは、高純度である程、半導体製造装置等に用いる場合には、コンタミ回避の観点で好ましい。
シリカ粉末と窒化珪素粉末の混合粉末に用いる窒化珪素粉末は、酸水素火炎での溶融及びターゲット上への石英ガラスの堆積に際して、熱分解して、泡の形成を補助する。但し、泡の形成は、窒化珪素粉末によってのみ生じるものではなく、泡の形成状況(泡の数や大きさの変動)は、シリカ粉末の性状及び堆積条件等によっても変動する。混合粉末に含まれる窒化珪素粉末の含有量は、0.1~1.0質量%の範囲とすることが好ましい。混合粉末に含まれる窒化珪素粉末の含有量が、0.1~1.0質量%の範囲であれば、所望の全光線反射率を有する不透明石英ガラスを比較的容易に得ることができる。混合粉末に含まれる窒化珪素粉末の含有量は、好ましくは0.1~0.5質量%、より好ましくは0.10~0.30質量%、さらに好ましくは0.10~0.20質量%の範囲である。窒化珪素粉末の添加量は、少なすぎるとガラスの密度が高くなり気泡個数や気泡総表面積が減少し高反射率の不透明石英ガラスを得られ難くなる傾向がある。一方、添加量が多すぎると、密度の低下および大きな気泡の含有がある為、ガラスの強度の低下や、部材の洗浄工程等で浸食されやすい等の問題が発生し易くなる傾向がある。
窒化珪素粉末は、既知の材料を、粒子径などの調整を除いては、そのまま利用できる。例えば四塩化珪素、シリコン、シリカ等を原料とし、それらを窒化することにより得られた粉末等を用いることが出来る。
本発明の製造方法においては、原料となるシリカ粉末及び窒化珪素粉末を混合する。混合方法は限定されず、ロッキングミキサー、クロスミキサー、ポットミル、ボールミル、V型混合器等を用いることができる。次に、得られた混合粉末をターゲット上に酸水素火炎バーナーで溶融堆積し、不透明石英ガラスを製造する。
本発明の方法で製造される不透明石英ガラスは、厚み3mmにおいて波長0.4~2.5μmの全光線反射率の平均値が50%以上であり、好ましくは50~75%の範囲である。全光線反射率の平均値は、シリカ粉末種類(特に粒度)、窒化珪素粉末の種類(特に粒度)等の条件により変動する。本発明では、シリカ粉末の平均粒子径が比較的小さい80~160μmの範囲であるので、全光線反射率の平均値は比較的高くなる傾向があり、全光線反射率の平均値は、例えば、55%以上の範囲とすることもできる。
本発明の方法で製造される不透明石英ガラスは、全光線反射率の平均値が上記値であること以外に気泡総表面積が50cm2/cm3以上であることが、高反射率の不透明石英ガラスであるという観点から好ましい。気泡総表面積は、好ましくは60cm2/cm3以上、より好ましくは70cm2/cm3以上である。
本発明により形成された不透明石英ガラスは、高反射率であることから、半導体製造装置用部材に利用することができる。具体的には、フランジ、断熱フィン、ライナーなどが挙げられる。
上記のような部材は、不透明石英ガラス単独で使用してもよいし、透明石英ガラスと不透明石英ガラスを組合せてもよい。組合せの方法は、単純に不透明石英ガラスと透明石英ガラスを配置したり、不透明石英ガラスの表面に透明石英ガラス層を付与したりする方法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。なおシリカ粉末の粒度等は以下により行った。
~シリカ粉末の粒度~
シリカ粉末の粒度測定は、マイクロトラック・ベル(株)製、レーザー回折粒子径分布測定装置、商品名「MT3000II」を用いて測定した。
~不純物の分析~
シリカ粉末及び不透明石英ガラスの不純物分析は、公知の方法であるICP発光分析法により分析した。
~不透明石英ガラスの密度~
不透明石英ガラスを切断し試料を作製した。公知の方法であるアルキメデス法により密度を求めた。
~不透明石英ガラスの平均気泡径~
不透明石英ガラスを切断し試料を作製した。(株)キーエンス製、デジタルマイクロスコープ、商品名「VHX-900F」を使用し撮影した画像を解析し、平均気泡径、平均気泡表面積、平均気泡体積を求めた。
上記測定した密度と平均気泡体積から気泡個数(個/cm3)を求めた。平均気泡表面積と気泡個数から気泡総表面積(cm2/cm3)を求めた。
~不透明石英ガラスの全光線反射率~
不透明石英ガラスを切断機と研削装置を用いて30mm×3mm(厚さ)の大きさに加工して測定用サンプルとした。これを(株)島津製作所製、真空紫外分光光度計、商品名「UV-3100PC」を使用し、波長0.4~2.5μmの全光線反射率を測定した。
(実施例1)
市販品の純化処理した天然水晶粉末と窒化珪素粉末を出発原料とした。この天然水晶粉末の粒度は40~400μmの範囲で平均粒子径(D50)は129μmであった。また、窒化珪素は、市販品を使用した。窒化珪素の添加量を0.12質量%とした。天然水晶粉末と窒化珪素の混合はポットミルで十分行った。
得られた混合粉末を酸水素火炎にフィードし、ターゲット上に堆積させた。φ160mm×300mm(長さ)の不透明石英ガラスを製造した。
製造した不透明石英ガラスの不純物分析を上記方法により行い、結果を表1に示す。原料に用いた天然水晶粉末の不純物分析結果も表1に併記する。
製造した不透明石英ガラスを加工し、上記方法により密度、平均気泡径、平均気泡表面積、平均気泡体積、全光線反射率の測定を行った。さらに、測定した密度と平均気泡径、平均気泡表面積の値から気泡数と気泡総表面積を求めた。
この不透明石英ガラスの気泡総表面積及び均全光線反射率を表2に示す。この不透明石英ガラスの平均全光線反射率は、61.3%と高い値であった。
(実施例2)
窒化珪素の添加量を0.15質量%としたこと以外は実施例1と同様にして不透明石英ガラスを得た。実験条件及び不透明石英ガラスの物性を表2に示す。この不透明石英ガラスの平均全光線反射率は、66.0%と高い値であった。
(実施例3)
φ550mm×1000mm(長さ)の不透明石英ガラスを製造したこと以外は実施例1と同様にして不透明石英ガラスを得た。実験条件及び不透明石英ガラスの物性を表2に示す。この不透明石英ガラスの平均全光線反射率は、56.9%と高い値であった。
(比較例1)
特許文献1の実施例1に記載の方法の条件及び得られた不透明石英ガラスの物性を、推定値も含めて表2に示す。
Figure 0007096739000001
Figure 0007096739000002
Figure 0007096739000003
上記実施例1~3の実験結果から、本発明によれば、平均全光線反射率が50%以上と高い不透明性を有する不透明石英ガラスが得られることが分かる。
本発明は、石英ガラスの製造分野において有用である。

Claims (4)

  1. シリカ粉末と窒化珪素粉末の混合粉末を酸水素火炎で溶融し、石英ガラスをターゲット上に堆積させて、独立した気泡を含有する不透明石英ガラスを製造する方法であって、
    前記シリカ粉末の粒度範囲が20~500μmの範囲であり、D50(平均粒子径)が80~160μmの範囲であり、粒子径177μm以上の粒子の含有量が30体積%以下であり、粒子径105μm未満の粒子の含有量が10体積%以上であり、かつ製造される不透明石英ガラスは、厚み3mmにおいて波長0.4~2.5μmの全光線反射率の平均値が50%以上の範囲である、
    前記方法。
  2. 前記混合粉末中の窒化珪素粉末の含有量は、0.1~1.0質量%の範囲である、請求項に記載の方法。
  3. 前記不透明石英ガラスは、気泡総表面積が50cm2/cm3以上である、請求項1~のいずれかに記載の方法。
  4. 前記不透明石英ガラスは、Al含有量が10ppm以下、Ca、Naの各含有量がそれぞれ1.3ppm以下、Cu、Fe、K、Li、Mgの各含有量がそれぞれ1.0ppm以下である、請求項1~のいずれかに記載の方法。
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