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JP7097659B2 - 粘着性を有する収納物用包装材料 - Google Patents
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本発明は、粘着性を有する収納物が内面に粘着しないようシリコーンなどの剥離剤層が積層形成されている包装材料に関するものである。
各種ペースト状物とか粘着剤が塗着されている商品の包装には、一般に内面にシリコーンなどの剥離剤が塗工されているものが使用されている。そして、この剥離剤が塗工されている部位はヒートシールができないので、ヒートシール代を残して剥離剤を塗工する技術も開発されている(特許文献1)。そこで用いられている剥離剤はシリコーン系で、これをポリアクリロニトリル層の上に積層している。
また、シリコーン等の剥離剤を塗工する場合、シリコーンは無色で塗工部と未塗工部の判別が難しいためその境界に着色された剥離剤を境界にライン状に塗工する技術も開発されている(特許文献2)。
特許4549732号公報 特許5590489号公報
シリコーン等の剥離剤は、その性質上接着力が弱く、フィルムやシート等の基材層に塗工した場合、剥離しやすいという問題がある。そのために、剥離剤を塗工する基材層の表面にコロナ処理やフレーム処理等の活性化処理を行って剥離剤の接着性を高めることは有効であるが、表面活性化処理を行うとヒートシール性が悪化する。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、耐熱性や透明性が高いばかりでなく、ポリエチレンやポリプロピレンと違い、臭気を吸収しない等包装材料として優れた性質を有しているが、表面活性化処理を行うとヒートシール性が弱まる傾向にある。一方、表面処理をヒートシール代を除いた剥離剤層を形成する局部的な位置だけに形成することは商業的生産では難しく、商業的生産においては包装材料内面全域に処理を施すことが現実であった。
本発明の目的は、ヒートシール代を残して剥離剤の層を設ける包装材料において、ヒートシール代も含めて表面活性化処理を行ってもヒートシール代で良好にヒートシールを行なうことができる包装材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討の結果、本発明者らが先に開発した、ポリエチレンテレフタレートにスチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジルを加えた樹脂組成物よりなる結晶化度の低い包装材料(特許5593383号など)は、表面活性化処理するとシリコーン等の剥離剤を良好に接着でき、また、表面活性化処理をしても良好なヒートシール性を発揮することを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はポリエチレンテレフタレート100質量部に対し、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジル共重合体0.1~3質量部を含む樹脂組成物よりなる結晶化度が6~11.5%の基材層の表面が活性化処理され、ヒートシール代を残して剥離剤層が積層されている包装材料に関するものである。
本発明により、粘着性を有する収納物の包装に、耐熱性や透明性が良く、臭気の吸収もないPETを包装材料として使用することができ、ヒートシール性も良好なので収納物の品質を損なうことなく安定して保存でき、取出しも容易な包装材料を提供できる。
本発明の一実施態様である包装材料の部分断面図である。 その平面図である。 本発明の一実施態様である包装材料を適用して形成した容器の断面図である。
本発明の樹脂組成物に用いるPET樹脂は、フェノール:テトラクロロエタン=1:1の混合溶媒に溶解させ、25℃にてウベローデ型粘度計で測定する固有粘度が好ましくは0.6~0.8dl/g、より好ましくは0.6~0.7dl/g、さらに、好ましくは0.6~.065dl/gである。0.6dl/g未満では、溶融粘度が不十分となり、成膜や成形が不安定となり易い。一方、0.8dl/gを越えると、ヒートシール性が発現しにくい。PET樹脂は単独で用いても2種以上を組合せて使用してもよい。
本発明に用いるPET樹脂は、ヴァージン樹脂はもちろんのこと、上記条件を満たしていれば成形加工品から再生されたリサイクル原料を用いてもよい。
本発明に用いるスチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジル共重合体は、ASTM-D1652の方法により測定したエポキシ価が0.5~4.0meq/gであることが好ましい。より好ましいエポキシ価は1.0から2.5meq/gである。エポキシ価が0.5meq/g未満では、成膜や成形に十分な溶融粘度が維持できないとともに、結晶化度が所望の範囲内まで低下せず十分なヒートシール性が発現しない。一方、4.0meq/gを越えるとPET分子間の再結合が過剰に進行し、成膜や成形時にゲル異物が多発する等の支障をきたす。
スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジル共重合体の例は、例えば、特開2005-154690号公報に記載されており、またBASFジャパン株式会社のジョンクリル、東亜合成株式会社のアルフォンなどが市販されている。スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジル共重合体は単独で用いても2種以上を組合せて使用してもよい。
本発明のPET基材層を単独のフィルムとして成形する場合には成形助剤を加えることが好ましい。成形助剤には、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、オクチル酸などの炭素数10~20程度の飽和、不飽和脂肪酸と、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛などのアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛族などの金属との金属塩が好ましい。具体的には、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等が挙げられるが、とりわけ食品や医療品包装材料として安全衛生性に優れたステアリン酸カルシウムが最も好適である。
本発明の樹脂組成物には、前記に加えて分散助剤(成形助剤の粒の表面を湿潤させ分散を均一にする作用がある)を添加してもよい。助剤は多官能のエポキシ基を有する高級脂肪酸エステルが好ましい。代表的な助剤として、エポキシ化大豆油およびエポキシ化亜麻仁油が挙げられる。
また、柔軟性が要求される用途には柔軟化剤を加えることができる。柔軟化材には、PET樹脂と親和性があり且つ柔軟性に富んだ材料を指す。具体的には、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体や共重合体ポリエステルが挙げられる。前者の好適な例として、エチレンメタクリル酸グリシジル共重合体やエチレン-アクリル酸ブチル等が挙げられる。後者の好適な例として、テレフタル酸-エチレングリコール-1,4-シクロヘキサンジメタノールの共重合体、ポリエステルのハード成分とポリエーテルのソフト成分の共重合体など、自身の結晶性を低下させたポリエステル等が挙げられる。これらは市販品があり、それを用いることができる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の作用を発揮する限り、その他の物質も更に含むことができる。
本発明の樹脂組成物の配合割合は、PET樹脂100質量部に対し、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジル共重合体0.1~3質量部、好ましくは0.5~2.5質量部、より好ましくは1~2質量部、であり、成形助剤を加える場合には0.05~1.5質量部、好ましくは0.1~1質量部、柔軟化材を加える場合には3~20質量部、好ましくは5~10質量部が適当である。
本発明の基材層は、上記樹脂組成物を成膜や成形して得られる。本発明の成膜および成形物がヒートシール性を有する理由は詳しくは不明であるが、成膜や成形時の加熱によりPET樹脂に少量含まれる分子鎖末端のカルボキシル基とスチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジル共重合体のエポキシ基とが結合する反応、PET樹脂に含まれる微少量の水分によるPETの加水分解反応、及び前記加水分解反応により生成するカルボキシル基と前記エポキシ基とが結合する反応、これらの反応が同時に進行し、成膜や成形に適したPETの高分子量化および結晶化度の低下によりヒートシール性が発現すると考えられる。そのために、ベント式の溶融押出機が装備された成膜あるいは成形装置を用い、溶融押出機内で樹脂組成物を加熱圧縮させ、脱水および脱気を行わせながら、成膜や成形を行うことが好ましい。
押出機のスクリュー圧縮比は脱水、脱気効率の観点から1.8~3.5が好ましい。なおスクリューの圧縮比とは、スクリューの供給部と計量部の1ピッチ当りの溝部の体積比で表わされ、成形材料を溶融状態で圧縮混練する程度を示す。溶融押出温度はPET樹脂の融点以上、好ましくは260℃~350℃、経済的観点から260~280℃が好ましい。
基材層となるフィルムやシートの成膜はTダイ成膜およびインフレーション成膜などが使用し得る。以下、インフレーション成膜の場合について詳細に説明する。インフレーション成膜は上向き空冷式、下向き水冷式のいずれでもよいが、容易にブロー比や成膜速度を上げることができる上向き空冷式が好ましい。適切なブロー比は1.1~4.0好ましくは1.5~3.0である。1.1未満では工業的な製造効率が低下し、一方、4.0を越えるとフィルムやシートに過度の延伸配向が印加され、ヒートシール性の阻害原因となる。なおインフレーション成膜において、フィルムやシートを膨張させて成膜するが、この膨張比率をブロー比という。
ブロー比 = 筒状フィルムの直径/ダイス口径 = (フィルム幅×2/π)/ダイス口径で表される。
また徐冷による結晶化度の増加を抑制するため、成膜時の冷却は速やか且つ低温で行うことが好ましい。ダイスから吐出された筒状フィルムやシートは5~30℃の冷却空気により一次冷却され、さらに60℃前後のニップロールで扁平に折られた後、扁平筒状の両端部を切断され、反物状として巻き取られて成膜が完了する。
成膜されたフィルムやシートは後工程において剥離剤層を積層するため、片面に表面活性化処理を施す。この表面活性化処理は、酸化処理してカルボニル基等の官能基を発生させ、剥離剤の接着力を高めるものでありコロナ放電処理やフレーム処理、オゾン処理、プラズマ処理などによって行われる。これらの処理条件は、通常の処理条件でよく、例えば、コロナ放電の場合の好ましい放電処理は20~100W/min/mである。
この表面活性化処理により処理された面は、剥離剤が安定して固定されるためには、JISK6768の濡れ張力測定方法で測定された表面張力が40ダインを超え80ダイン以下、好ましくは45ダイン以上60ダイン以下とすることが望ましい。
得られたフィルムやシートの厚みは、10~1000μm程度であり、袋にする場合は20~150μm程度、通常30~100μm程度、容器にする場合は500~1000μm程度、通常700~900μm程度である。
このフィルムやシートは、低温ヒートシールにより外界から速やかに収容物を密封することが可能であり、且つ145℃以上の高圧蒸気滅菌やマイクロ波加熱にも対応できる耐熱性を有する。
本発明の樹脂組成物を成膜あるいは成形して得られたフィルムやシート等の基材層あるいはそれから成形される容器等は、示差走査熱量計(DSC)分析において検出される融解エンタルピーΔH、結晶化エンタルピーΔHCLから次式(a)で求められる結晶化度χが6~11.5%であることが好ましい。更に好ましい結晶化度は、6.0~9.5%である。
χc = 100×(ΔH-ΔHCL)/140 ・・・(a)
基材層に積層される剥離剤は、シリコーン系付着防止剤などが用いられ、剥離剤層の厚みは0.5~3g/m程度、通常0.8~1.2g/m程度である。
剥離剤層は、ヒートシール代を残して形成され、粘着性を有する収納物と接する面に設けられる。粘着性を有する収納物と接しない部位については設けなくてもよい。
ヒートシール代の幅は、ヒートシールにより密閉性を確保できればよく、収納物の重量等によって変わるが通常5~20mm程度、あればよい。
この局所的に剥離層を設ける技術はグラビア印刷等の印刷技術を利用して行うことができる。
本発明の包装材料は、基材層が単層であってもよいが、その用途に応じ、剥離剤層と反対側の面に種々の層を積層することができる。例を挙げればガスバリヤー層、PET樹脂層、PBT樹脂層、ポリアミド樹脂層、ポリオレフィン樹脂層、ポリスチレン樹脂層などである。
その包装形態も、用途に応じ、袋、容器など各種の形態をとることができ、袋も、2方、3方、4方シール袋、ピロー袋、ガゼット袋等、熱成形シートとフィルムとの組合せによる容器、熱成形シート同士の組合せによる容器等、ヒートシール部を有する如何なる形態であってもよい。
本発明の包装材料の実施様態の例を図1~3に示す。
図1の包装材料は、基材層1の上面がコロナ放電処理されて表面処理層2が形成され、その上に剥離剤層3が、図2に示すように碁盤目状に設けられ、剥離剤層3の間の表面処理層2が露出してヒートシール代4を形成している。
図3は、図1の包装材料を各区画毎に切り取って圧空成形により長箱状の容器5に加工したものであり、粘着性を有するペースト状収納物6に接する面に剥離剤層3が位置している。そしてフランジ状の容器5の上縁には蓋材7がヒートシールされている。
尚、ヒートシール手段は問わず、熱板式、インパルス式、高周波式、超音波式などのヒートシール装置を利用できる。ヒートシール強度は、被充填物や要求特性によっても異なるが、通常10~40N/15mm幅程度、好ましくは15~35N/15mm幅程度が望ましい。
本発明の包装材料で包装される被包装物も特に限定されないが、粘性を有するものが適しており、例えば、携帯用カイロ(現行品は粘着シート部分に剥離紙が貼着されているが、本発明の包装材料はこの剥離紙を兼用させることができる。)、食品、電材等の業界におけるペースト品(袋からの取出しが便利になる。)ペースト状ペットフード(レトルト仕様が可能になる。)、味付すり身などの練業界商品(剥離性向上で取り出しが便利になる。)、ウレタン系やオレフィン系のホットメルトや接着剤、粘着ロール(端面剥離シートが不要になり、使用後そのまま収納できる。)などの包装に用いることができる。本発明の包装材料は被包装物が充填時150℃~180℃のような高温でも良好なヒートシール強度を維持できる。この点でホットメルト接着剤の包装などに特に有効である。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(ユニチカ製MA-2101M、密度1340kg/m、融点255℃、固有粘度0.62dl/g)100質量部にスチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジル共重合体(重量平均分子量10800、エポキシ価1.8meq/g、Tg52℃)1.8質量部、ステアリン酸カルシウム0.3質量部を配合した樹脂組成物(HS-PETclear)を厚さ80μmのフィルムに成形した、このフィルムの結晶化度は8.5%であった。
このフィルムの片面をコロナ放電処理して幅15mmに切断し、その2枚をコロナ放電処理面を合わせてJISZ0238に準拠して、ヒートシール温度150℃、荷重0.2MPaで1秒間ヒートシールした。
得られたヒートシール強度を表1に示す。
比較のために、やはりPET非結晶品であるPET-G(グリコール変性品)(タマポリ製、「ハイトロンPG」)についても同じ条件でコロナ放電処理し、その処理面を合わせてヒートシールした結果も併せて表1に示す。
Figure 0007097659000001
本発明により、粘着性を有する収納物の包装材料を安価に効率よく製造できるので、粘着性を有する収納物の包装材料として広く利用できる。
1 基材層
2 表面処理層
3 剥離剤層
4 ヒートシール代
5 容器
6 収納物
7 蓋材

Claims (3)

  1. ポリエチレンテレフタレート100質量部に対し、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジル共重合体0.1~3質量部を含む樹脂組成物よりなる結晶化度が6~11.5%の基材層の表面が活性化処理され、この活性化処理された表面にヒートシール代を残して剥離剤層が積層されている包装材料。
  2. 剥離剤がシリコーンである請求項1記載の包装材料。
  3. 表面活性化処理がコロナ放電処理又はフレーム処理である請求項1又は2記載の包装材料。
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