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JP7100989B2 - 収納容器、および、巻回体入り収納容器 - Google Patents
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JP7100989B2 - 収納容器、および、巻回体入り収納容器 - Google Patents

収納容器、および、巻回体入り収納容器 Download PDF

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Description

本発明は、長尺物の巻回体を収納するための収納容器、および、巻回体入り収納容器に関する。
上述した収納容器は、上面を開口した容器本体と、開口を開閉する蓋体とを備える。容器本体は、ラップフィルムなどの長尺物の巻回体を収納する。容器本体は、底板から立設する周壁を備え、容器本体の開口は、周壁の上辺によって区画されている。容器本体の周壁は、相互に対向する前板と後板とを含む。蓋体は、後板の上辺に連接された上板と、上板の前辺に連接された掩蓋板とを備える。掩蓋板は、上板の前辺から底板に向けて延びる形状を有し、前板の前側から前板の上部を覆う。
収納容器は、長尺物を切断するための切断刃を、掩蓋板の下端に備える。収納容器の利用者は、長尺物の切断操作において、まず、蓋体を開けて、長尺物を開口から引き出す。次いで、蓋体を閉じ、掩蓋板を前板に押しつけて、掩蓋板と前板とで長尺物を挟む。そして、引き出された長尺物に切断刃の一部を刺し込み、巻回体の周方向に容器本体を回して、長尺物を切断する。
収納容器は、前後板と巻回体との間に適度な隙間を有することで、長尺物の引き出しにおいて、巻回体が円滑に回転する。一方、巻回体の直径は、長尺物の使用によって縮小する。巻回体が縮径することで、前後板と巻回体との間に過大な隙間が生じ、収納容器のなかで揺れ動きやすくなる。巻回体の過剰な揺れ動きは、巻回体と収納容器との不要な衝突を引き起こしてしまい、長尺物を傷つける。また、巻回体の過剰な揺れ動きは、巻回体の軸方向を、収納容器の延在方向に対して傾けてしまい、引き出しにより発生する長尺物の撚れ、ねじれが原因の斜め切れや左右不均一な引き出しによる引出し性の悪化などの不具合が発生するおそれがある。そこで、上述した収納容器における左右板の中央に、舌片状の筒体係止片を備える提案がなされている(例えば、特許文献1~3参照)。各筒体係止片は、巻回体の筒体に挿入されて、筒体と接触することで、巻回体の過剰な揺れ動きを抑える。
特開平10-338228号公報 特開2004-142784号公報 特開2010-100293号公報
ところで、長尺物の切断方法は、利用者の選択によって区々であり、例えば、掩蓋板を前板に押しつけずに長尺物を切断する場合もあれば、さらには、蓋体を閉じないで長尺物を切断する場合もある。これらの場合、長尺物の切断は、切断刃の延在方向には伝播せず、切断の開始位置から巻回体に向けて斜めに伝播する、いわゆる斜め切れが生じやすくなる。斜め切れが発生すると、長尺物の切断端が収納容器の中に入り込みやすくなり、長尺物の表面に長尺物の切断端が接触した場合には、切断端の大部分が巻回体上に載ってしまう、いわゆる巻戻りと称される状態となり、次の長尺物の使用を困難なものにさせる。さらに、蓋体を十分に閉めないで切断を行った場合は、斜め切れにならなくても長尺物の切断端が短くなってしまう。その状態で巻回体が収納容器内で自由に揺れ動くと、長尺物の切断端を収納容器内に引き戻す働きとなり、長尺物の切断端が収納容器の中に入ってしまい、巻戻りの状態となる可能性が高くなる。
上述した筒体係止片は、巻回体の揺れ動きに対して一定の抑制効果を示すが、斜め切れの抑制に適した位置に巻回体を留めるものではない。そのため、長尺物の切断性を高めることにおいて、依然として課題を残すものとなっている。なお、長尺物の切断性を高めることは、利用者の負荷を軽減できることのみならず、長尺物の利用効率、すなわち、資源の利用効率を高める観点からも、強く望まれている。
本発明は、長尺物の切断性を向上可能にした収納容器、および、巻回体入り収納容器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための収納容器は、前板、後板、左板、右板、および、底板を備え、前記底板と対向する上面が開口した容器本体であって、前記容器本体の延在方向と、長尺物の巻回体における軸方向とを平行にして、前記巻回体を収納するための容器本体と、前記後板の上辺に回転可能に連接されて前記容器本体の開口を開閉するための上板と、前記上板の前辺に連接されて前記上板が前記開口を閉じた状態で前記前板を前記前板の前側から覆う掩蓋板とを備える蓋体と、を備え、前記左板、および、前記右板の少なくとも一方は、係止板であり、前記係止板は、前記巻回体の筒内に挿入される筒体係止片を備え、前記筒体係止片の前後方向での中心は、前記容器本体の中心よりも前側に位置する。
上記構成では、長尺物の切断操作において、まず、前板が斜め上方に向けられた状態で、蓋体が開けられ、長尺物が開口から斜め上方へ引き出される。次いで、長尺物に切断刃の一部が差し込まれて、巻回体の周方向に容器本体が回される。これによって、長尺物が切断刃で切断される。この間、前板が斜め上方に向けられるとき、巻回体は後板に向けて動こうとし、長尺物が切断されるときには、巻回体は前板に向けて戻ろうとする。また、別の切断操作においては、長尺物が開口から斜め上方へ引き出された後、長尺物に切断刃の一部が差し込まれ、端から長尺物を切断するように容器本体を動かすか、または長尺物を動かして長尺物を切断する。この場合にも、前板が斜め上方に向けられるときに巻回体は後板に向けて動こうとし、切断されるときは、巻回体は前板に向けて戻ろうとする。
この点、上記構成であれば、筒体係止片の中心が容器本体の中心よりも前側に位置しているため、巻回体が長尺物の切断操作において揺れ動こうとしても、筒体係止片が巻回体の動きを抑制する。巻回体は筒体係止片によって前板側にとどまることになり、結果として、長尺物は、巻回体の揺れ動きによって端を収納容器内に引き戻す動きや、巻回体が収納容器内で斜めになることで生じる張力の偏りによる斜め切れや引き出し性の低下を生じ難い。そのため、長尺物の切断操作において、特に、掩蓋板を前板に押しつけずに長尺物を切断したり、蓋体を閉じないで長尺物を切断したりする場合に、斜め切れが生じることを抑えることが可能となる。
上記収納容器において、前記筒体係止片は、前記係止板が備える罫線から前記筒内に向けて折り曲げられ、前記罫線の前後方向での中心は、前記容器本体の中心よりも前側に位置してもよい。また、前記罫線は半切れ線やミシン目、またはそれらの組み合わせにすることも可能である。なお、罫線の前後方向での中心は、容器本体の中心よりも後側に位置することも可能ではある。ただし、上述したように、筒体係止片の要件は、筒体係止片の前後方向での中心を、容器本体の中心よりも前側に配置することである。そして、筒体係止片の基端の位置、すなわち、上述した罫線の位置は、この要件を満たすための大きな機能を担う。この点、罫線の中心が容器本体の中心よりも前側に位置する構成であれば、各要件を満たすことが容易ともなる。
上記収納容器において、前記筒体係止片は、未使用時の前記巻回体の内面のうち前記巻回体の中心よりも前側で、前記巻回体と接触するように配置されてもよい。この構成によれば、長尺物の使用の開始から、上述した効果を得ることが可能ともなる。
上記収納容器において、前記筒体係止片は、前記巻回体の消費により前記巻回体が縮径した状態において、前記巻回体の内面のうち前記巻回体の中心よりも前側で、前記巻回体と接触するように配置されていてもよい。この構成によれば、長尺物を使用して巻回体が縮径し巻回体が容器本体内で動きやすくなる場合において、筒体係止片が巻回体の内面のうち巻回体の中心よりも前側で巻回体と接触するように配置されている。そのため、巻回体の動きを抑制することが可能となり、上述した効果を得ることが可能ともなる。
上記収納容器において、前記係止板は、前記容器本体の外表面を構成する主板と、前記容器本体の内表面を構成する補助板とを備え、前記筒体係止片は、少なくとも前記補助板に形成されていてもよい。この構成によれば、容器本体の内側に折り曲げられる筒体係止片が、少なくとも補助板に形成されるため、筒体係止片を容器本体の内側に折り曲げることが容易ともなる。
上記収納容器において、前記係止板は、前記右板、および、前記左板の両方であってもよい。この構成によれば、巻回体の前後方向での位置が、巻回体の左右両端で定められるため、巻回体を適切な位置に保つこと、ひいては、上述した効果を高めることが可能でもある。
上記課題を解決するための巻回体入り収納容器は、長尺物が巻かれた巻回体と、上記各収納容器とを備える。この巻回体入り収納容器によれば、長尺物の切断操作において、長尺物の切断が、切断刃の延在方向に対して斜めに伝播したり、収納容器の内部にまで伝播したりすることを抑えることが可能となる。
上記巻回体入り収納容器において、前記巻回体は、前記長尺物を巻き付けた筒体を備え、前記巻回体の内面は、前記筒体の内面であり、前記巻回体が前記前板の内面に接触したときの前記筒体の内面と前記前板の内面との間の最短距離は、前側収納距離L(mm)であり、前記筒体の厚さは、筒体厚さs(mm)であり、未使用時の前記巻回体における前記長尺物の厚さは、巻物厚さt(mm)であり、前記筒体係止片は、s+t≦Lを満たす位置に形成されてもよい。
この構成によれば、筒体係止片の位置を適切に定めることができるため、上述した効果をより高めることが可能となる。また、巻回体と前板との過度な接触を防ぎ、長尺物の引き出し性を安定させる。
上記巻回体入り収納容器において、前記巻回体は、前記長尺物を巻き付けた筒体を備え、前記巻回体の内面は、前記筒体の内面であり、前記巻回体が前記前板の内面に接触したときの前記筒体の内面と前記前板の内面との間の最短距離は、前側収納距離L(mm)であり、前記筒体の厚さは、筒体厚さs(mm)であり、未使用時の前記巻回体における前記長尺物の厚さは、巻物厚さt(mm)であり、前記筒体係止片は、L≦s+t+3(mm)を満たす位置に形成されてもよい。
この構成によれば、筒体係止片の位置を適切に定めることができるため、上述した効果をより高めることが可能となる。また、巻回体と前板との接触や、巻回体と前板との隙間を適正に保持することができ、巻回体の収納容器内での傾きを制限することができる。さらに、3mmの余裕があることで、筒体に筒体係止片を折り曲げ挿入する場合に、筒体内面と筒体係止片との過度の接触を防ぎ、安定した成形を可能とすることができる。
本発明における収納容器、および、巻回体入り収納容器によれば、長尺物の切断性を向上することが可能となる。
巻回体入り収納容器の一実施形態における未開封時の構造を示す斜視図。 巻回体入り収納容器の一実施形態における開蓋時の構造を示す斜視図。 一実施形態の収納容器を製造するため中間体の構造を示す平面図であり、収納容器を展開した図である。 一実施形態の巻回体入り収納容器における各種寸法を示す側断面図。 (a)実施例の収納容器における巻回体の位置を示す平面図、(b)比較例2の収納容器における巻回体の位置を示す平面図。 実施例および比較例2の斜め切れ面積とカット長さとの関係を示すグラフ。 実施例および比較例2の引出力と引出長さとの関係を示すグラフ。 実施例および比較例2のカット力の時間推移を示すグラフ。 実施例および比較例2のカット力の時間推移を示すグラフ。
図1~図9を参照して、収納容器、および、巻回体入り収納容器の一実施形態について説明する。なお、図1は、未開封時の巻回体入り収納容器を示し、図2は、蓋体が開けられた巻回体入り収納容器を示す。図3は、収納容器を製造するための中間体を示し、図4は、収納容器の側面視による内部構造を示す。図2では、筒体係止片を説明する便宜上、引き出された長尺物の右端部を破断して示す。図4では、筒体係止片の位置の候補を説明する便宜上、2つの筒体係止片を示す。
まず、図2が示す収納容器の内部構造、および、図3が示す収納容器の展開構造を参照しつつ、図1が示す巻回体入り収納容器の構成を説明し、次いで、図4を参照して、収納容器が備える筒体係止片の詳細構成を説明する。
[巻回体入り収納容器]
図1が示すように、巻回体入り収納容器は、収納容器10、および、巻回体50Rを備える。収納容器10は、容器本体20、および、蓋体30を備える。収納容器10は、一方向(左右方向)に延びる直方体状を有する。収納容器10は、例えば、コートボール紙などの1枚の厚紙を折り曲げることによって製造される。収納容器10を構成する各板は、複数の板部材が積層された積層体として構成することも可能であり、樹脂などの紙以外の材料で構成することも可能である。巻回体50Rは、紙製の筒体50Cを備え、長尺物の一例であるラップフィルム50が、筒体50Cに巻き付けられている。
容器本体20は、上面が開口した箱状を有し、前板21、後板22、右板23、左板24、および、底板25を備える。前板21、後板22、右板23、および、左板24は、底板25から立設する周壁を構成する。容器本体20の開口20T(図2参照)は、周壁の上辺によって区画されている。
巻回体50Rの軸方向Aは、収納容器10が延びる左右方向とほぼ平行である。ラップフィルム50は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメチルペンテンからなる群から選択されるいずれか1つを原材料とするフィルム、もしくは、これらを組み合わせた多層フィルムが挙げられ、これらに限定されるものではない。
図1および図2では、底板25に対向する開口20Tの側を上側、開口20Tに対向する底板25の側を下側として説明する。また、前板21から後板22に向けた方向、および、後板22から前板21に向けた方向を、前後方向として説明する。また、底板25から開口20Tに向けた方向を、高さ方向として説明する。
[容器本体20の構成]
前板21、後板22、および、底板25は、左右方向に延びる矩形板状を有する。前板21と後板22とは、前後方向に向かい合う。底板25の前辺は、前板21の下辺であり、底板25の後辺は、後板22の下辺である。右板23、および、左板24は、矩形板状を有し、左右方向に向かい合う。右板23の下辺は、前板21の下辺、後板22の下辺、および、底板25の右辺に繋がる。左板24の下辺もまた、前板21の下辺、後板22の下辺、および、底板25の左辺に繋がる。
前板21は、補助前板21A(図3参照)、および、主前板21B(図3参照)を備える。補助前板21Aは、容器本体20の内表面を構成する。主前板21Bは、容器本体20の外表面を構成し、ラップフィルム50を仮止めするための仮止め部21Sを備える(図2参照)。
左右板23,24は、係止板の一例であり、3枚のフラップ13F,23F,53F(図3参照)、および、3枚のフラップ14F,24F,54F(図3参照)を備える。左右板23,24において、各フラップ23F、24Fは、容器本体20の内表面を構成する補助板の一例である。各フラップ53F,54Fは、容器本体20の外表面を構成する主板の一例である。各フラップ23F,24Fは、フラップ13Fの内側、および、フラップ14Fの内側に位置する。
左右板23,24は、前後方向に延びる蓋係止片3T,4T(図2参照)を備える。蓋係止片3Tは、フラップ53F(図3参照)の端部を、罫線LTで折り曲げた部分であり、容器本体20の外側に突き出ている。蓋係止片4Tは、フラップ54F(図3参照)の端部を、罫線LTで折り曲げた部分であり、容器本体20の外側に突き出ている。
左右板23,24は、巻回体の筒内に挿入され、左右方向に延びる筒体係止片41(図2参照)を備える。筒体係止片41は、少なくとも補助板(23F、24F)に形成される。各フラップ23F,24Fは、筒体係止片41の縁に沿う弧状の切り込みと、筒体係止片41の基端に沿う直線状の罫線41Lとを備える。各筒体係止片41は、切り込みと罫線41Lとで囲まれた片であり、容器本体20の内側に突き出るように、罫線41Lで折り曲げられている。罫線41Lは、半切れ線やミシン目、またはそれらの組み合わせにすることも可能である。筒体係止片41は、前後方向での中心が容器本体20の容器中心20C(図4参照)よりも前側に位置する。これにより、巻回体50Rが容器本体20内で揺れ動くことを抑える。また、筒体50Cの内面のうち、筒体係止片41と接触する箇所(接触部P:図4参照)は、前後方向における巻回体50Rの中心(筒体中心50A:図4参照)よりも前側である。
収納容器10の製造に際して、主前板21Bは、底板25と主前板21Bとの境界である罫線L1(図3参照)で折り曲げられる。補助前板21Aは、主前板21Bの内側に位置するように、主前板21Bと補助前板21Aとの境界である罫線21Tで折り曲げられる。後板22は、前板21と対向するように、底板25と後板22との境界である罫線L1(図3参照)で折り曲げられる。
左右板23,24の形成に際して、内側から順に、まず、後板22に対して罫線LT(図3参照)でフラップ23F,24Fが折り曲げられ、次いで、前板21に対して罫線LTでフラップ13F,14Fが折り曲げられ、最後に、底板25に対して罫線LT(図3参照)でフラップ53F,54Fが折り曲げられる。そして、フラップ23F,13F,53Fの間、および、フラップ24F,14F,54Fの間が、ホットメルトなどの糊剤で接着される。
この際、筒体係止片41の形成には、以下の方法を用いることが可能である。例えば、主板であるフラップ53F、54Fと筒体係止片41とが対向する位置に、容器本体20の外側から筒体係止片41まで貫通する孔H(図3参照)を備える。そして、容器本体20に巻回体50Rを収納した状態で、孔Hを通じて、容器本体20の外側から内側に向けて、筒体係止片41が押し込まれる。この方法によって、筒体係止片41は形成される。あるいは、罫線LTでフラップ23F,24Fが折り曲げられる際に、これに合わせて、罫線41Lで筒体係止片41が折り曲げられる。この方法によっても、筒体係止片41は形成される。
[蓋体30の構成]
図1に戻り、蓋体30は、上板31、蓋前板32、蓋右板33、および、蓋左板34を備える。上板31は、後板22の上辺に回転可能に連接されている。上板31は、上板31の後辺を軸として、容器本体20に対して回転し、容器本体20の開口20Tを開閉する。
蓋前板32、および、前板21は、相互にほぼ同形の矩形板状を有する。蓋前板32の上辺は、上板31の前辺である。蓋前板32は、蓋体30が開口20Tを閉じた状態で、前板21の全体を前側から覆う。蓋前板32は、高さ方向の中間よりも底板25の側に、半円状を有した複数の切り込み部32Cを備える。切り込み部32Cの後面(内面)は、前板21の前面と接着されている。蓋前板32における高さ方向のほぼ中央は、左右方向の全幅にわたるミシン目線32Mを備える。ミシン目線32Mは、頂部を下方に向けた略V字状を有する。ミシン目線32Mの右端は、ミシン目線32Mに沿って蓋前板32の切断を開始するための開封端32Eである。
開封端32Eが前側に引っ張られるとき、蓋前板32はミシン目線32Mで切断される。また、前板21と蓋前板32との接着は、切り込み部32Cで引き剥がされて、蓋前板32の左右方向の全幅が、ミシン目線32Mを境にして、下側半分と上側半分とに分割される。蓋前板32のなかでミシン目線32Mに区画された上側半分は、掩蓋板32Pである。蓋前板32のなかでミシン目線32Mに区画された下側半分は、切り取り片32Kであり、ラップフィルム50の使用の開始に際して、容器本体20から切り離される。切り取り片32Kが蓋体30から切り離されると、掩蓋板32Pの下端辺から、切断刃35(図2参照)の刃先の全体が露出する。そして、蓋体30が後板22の上辺で回転することによって、容器本体20の開口20Tが開放される。
掩蓋板32Pは、蓋体30が開口20Tを閉じた状態で、上板31の前辺から底板25に向けて延びる板状を有し、前板21の前側から前板21の上部を覆う。掩蓋板32Pにおける高さ方向の幅は、左右方向の端部からやや中央寄りで最も小さく、左右方向の中央部で最も大きい。収納容器10の製造に際して、掩蓋板32Pは、上板31に対して罫線L1(図3参照)で折り曲げられる。
掩蓋板32Pの後面(内面)には、切断刃35が取り付けられている。切断刃35は、左右方向に並ぶ刃先を有した鋸刃状を有する。切断刃35は、蓋体30が開口20Tを閉じた状態で、複数の刃先が掩蓋板32Pから下方に突出するように、掩蓋板32Pに接合されている。掩蓋板32Pに切断刃35を取り付ける方法は、例えば、掩蓋板32Pと切断刃35との間にシーラント材や接着層を介在させて、超音波接着によって行われる。
切断刃35を構成する材料は、特に限定されず、例えば、樹脂、あるいは、金属である。切断刃35は、例えば、樹脂と添加剤とを含み、添加剤の種類や、その添加量によって、切断刃35の剛性や、掩蓋板32Pに対する切断刃35の接着性を調整することができる。切断刃35を構成する樹脂は、例えば、ポリ乳酸などのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂である。切断刃35を構成する添加剤は、例えば、オレフィン系樹脂などの樹脂や、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、タルクなどの無機材料である。
蓋左右板33,34は、2枚のフラップ33F,323(図2参照)、および、2枚のフラップ34F,324(図2参照)を備える。蓋左右板33,34において、各フラップ33F,34Fは、蓋体30の外表面を構成し、各フラップ323,324は、蓋体30の内表面を構成する。蓋左右板33,34は、蓋体30が開口20Tを閉じた状態で、右板23の側方から右板23の上部を覆い、また、左板24の側方から左板24の上部を覆う。各フラップ323,324は、上板31から離れて位置し、各フラップ33F,34Fの内表面に、段差部33S,34Sを形成する。上述した各蓋係止片3T,4Tは、蓋体30が開口20Tを閉じるとき、段差部33S,34Sに嵌まり込み、クリック音を発生させて、段差部33S,34Sと係合する。各蓋係止片3T,4Tは、段差部33S,34Sとの係合を通じ、閉状態で上板31が浮き上がることを抑える。
蓋体30の形成に際して、まず、掩蓋板32Pに対して罫線LT(図3参照)で各フラップ323、324が折り曲げられ、次いで、上板31に対して罫線LT(図3参照)で各フラップ33F,34Fが折り曲げられる。そして、フラップ33Fとフラップ323との間、および、フラップ34Fとフラップ324との間が、ホットメルトなどの糊剤で接着される。
[筒体係止片41の構成]
図4が示すように、筒体係止片41は、左右板23,24の各々から容器本体20の内側に向けて延びる。図4では、筒体係止片41の位置の範囲を説明する便宜上、2種類の筒体係止片41を1つの図中に示す。
巻回体50Rの筒内は、筒体50Cの内部である。筒体係止片41は、筒体50Cの内部に挿入されている。巻回体50Rの内面は、筒体50Cの内面であり、筒体係止片41が接触可能となる面である。筒体係止片41の形状は、例えば、舌片状であり、上方から見て弧状の縁を有する(図5(a)参照)。筒体係止片41の前後方向での中心は、容器本体20の容器中心20Cよりも前側(前板21側)に位置している。筒体係止片が前側に位置することで、巻回体50Rが前板21側に保持され、後板22側に動こうとする巻回体50Rの動きを制限する。それにより、巻回体50Rの位置が前板21側で安定し、引き出し時においてラップフィルム50が撚れることを抑制できるため、斜め切れの発生を抑制することができる。
フラップ23F、24Fは、筒体係止片41の縁に沿う弧状の切り込みと、筒体係止片41の基端に沿う直線状の罫線41Lとを備える。筒体係止片41は、罫線41Lから筒体50Cの内部に向けて折り曲げられることにより、容器本体20の左右方向に延びるように位置する。このとき、罫線41Lの前後方向での中心は、容器本体20の容器中心20Cよりも前側に位置する。それにより、筒体係止片41が容器本体20の前側に位置することになり、巻回体50Rは前板21側に保持されることになる。また、筒体係止片41によって巻回体50Rの動きが制限されるため、巻回体50Rの揺れ動きによるラップフィルム50の撚れから発生する斜め切れが抑制できる。
筒体係止片41の形状、および、筒体係止片41の位置は、筒体係止片41の縁において、その前方端部と、巻回体50Rとを、接触可能とする。筒体50Cの内面において、筒体係止片41と接触し得る箇所は、接触部Pである。接触部Pは、筒体中心50Aよりも前側(前板21側)に位置する。筒体係止片41と筒体50Cの内面が接触することで、巻回体50Rの動きはより制限される。よって、巻回体50Rの揺れ動きによるラップフィルム50の撚れから発生する斜め切れをより効果的に抑制できる。筒体係止片41と、筒体50Cの内面との接触は、未使用時の巻回体50Rにおいて生じるように構成されてもよいし、未使用時の巻回体50Rでは生じず、ラップフィルム50の消費による巻回体50Rの縮径によって生じるように構成されてもよい。ラップフィルム50を使用し巻回体50Rが縮径すると容器本体20内の隙間が大きくなってくるため、巻回体50Rが動きやすくなる。そのため、ラップフィルム50の使用により巻回体50Rが縮径したときに筒体係止片41が筒体50Cの内面と接触するように構成すれば、巻回体50Rが容器本体20内で前後方向に動くことを抑制することができる。巻回体50Rの縮径でより動きやすくなる巻回体50Rを前板21側に保持することによって、斜め切れの発生を抑制することができ、ひいては斜め切れから起こりうる巻き戻りを抑制し、ラップフィルム50を最後まで快適に使用することができる。
なお、筒体中心50Aは、軸方向Aから見た筒体50Cの中心であり、容器中心20Cは、軸方向Aから見た容器本体20の前後方向および高さ方向での中心である。
収納容器10の利用者は、ラップフィルム50の切断操作において、まず、左手で容器本体20を把持し、前板21の前面を右斜め上方に向ける。次いで、蓋体30を開けて、ラップフィルム50の先端を右手で把持し、ラップフィルム50を開口20Tから右斜め上方へ引き出す。続いて、切断刃35の中央部、あるいは、切断刃35の端部をラップフィルム50に刺し込み、左手の手首を回す。そして、巻回体50Rの周方向に容器本体20を回転させて、または、左右の手をフィルムと容器を離間するように動かしラップフィルム50を切断する。
この間、切断操作の詳細は、利用者の選択によって区々である。例えば、蓋体30を閉じ、かつ、掩蓋板32Pを左手の親指などで前板21に押しつけながら、容器本体20を回す場合もあれば、掩蓋板32Pを押しつけない場合もある。さらには、蓋体30を閉じないで容器本体20を回す場合もある。また、ラップフィルム50の幅方向での端からラップフィルム50を切断するように容器本体20を動かしたり、容器本体20を動かさずにラップフィルム50自体を動かして切断する場合もある。いずれの操作であっても、前板21の前面が右斜め上方に向けられるとき、巻回体50Rは、自重の作用によって、後板22に向けて動こうとする。また、容器本体20が回されラップフィルム50が切断されるとき、巻回体50Rは、自重の作用、もしくは切断時におけるラップフィルム50の引っ張りによって、前板21に向けて戻ろうとする。この時、端からラップフィルム50を切断しようとすると、容器本体20内で巻回体50Rが傾き、ラップフィルムの50撚れが発生したり、ラップフィルム50に作用する張力の方向が前後方向に対して傾いたりする。また、カット終了後、巻回体50Rは収納容器内で自由に移動しうる。
この間、筒体係止片41の前後方向での中心が容器本体20の容器中心20Cよりも前側に位置する構成であれば、筒体係止片41が巻回体50Rの前後方向の動きを抑制する。また、筒体係止片41が巻回体50Rの内面のうち巻回体50Rの中心よりも前側で巻回体50Rと接触することで、巻回体50Rは前板21側に保持され、巻回体50Rの動きをより効果的に抑制することができる。そして、筒体係止片41により巻回体50Rが前板21側に保持されることで、切断時における巻回体50Rの容器本体20内での傾きが抑制され、フィルム張力の傾きによるフィルム撚れを抑制することができる。結果として、ラップフィルム50の斜め切れ、および、斜め切れから発生する巻き戻りを抑制することができる。
これに対し、上記構成を満たさない構成では、巻回体50Rが切断時の動作により前板21側から後側(後板22側)にまで動く。そして、容器本体20内で巻回体50Rが大きく傾く。結果として、ラップフィルム50において、巻回体50Rの揺れ動きによるフィルム端を収納容器内に引き戻す働きや、巻回体が収納容器内で斜めになることで生じる張力の偏りが、形成されやすく、斜め切れや巻き戻りが生じやすい。
罫線41Lの前後方向での中心(罫線中心)は、例えば、容器中心20Cよりも前側に位置する。罫線中心が前方に位置するほど、筒体係止片41そのものも前方に位置し、筒体中心50Aも前方に位置する。そのため、罫線中心が容器中心20Cよりも前側に位置する前提であれば、筒体係止片41の具体化が容易である。そして、筒体係止片41の形状として、例えば、半円板状、多角板状、矩形板状などの各種の形状を採用可能とする。また、罫線41Lの延在方向としても、例えば、左右方向、高さ方向、これらと交差する方向などの各種の方向を採用可能とする。
なお、罫線中心は、容器中心20Cと一致する、あるいは、容器中心20Cよりも後側に位置することも可能である。この際、右板13の筒体係止片41は、筒体係止片41の前後方向の中心が、容器本体20の中心よりも前側に位置するように、例えば、罫線41Lから左側前方に突き出る形状を有する。左板14の筒体係止片41もまた、例えば、罫線41Lから右側前方に突き出る形状を有する。
筒体係止片41の前後方向の中心が、容器本体20の中心よりも前側に位置する構成において、筒体係止片41と巻回体50Rとの接触は、例えば、筒体係止片41の前方端部での点接触である。筒体係止片41と巻回体50Rとの点接触は、巻回体50Rに作用する筒体係止片41による摩擦力を抑えて、線接触や面接触と比べて、巻回体50Rの回転を円滑にさせる。
筒体係止片41と巻回体50Rの内面との接触は、巻回体50Rが未使用の状態であるときに接触してもよいし、未使用の状態では接触せず、巻回体50Rを使用して巻回体50Rが縮径した状態において接触してもよい。いずれの場合であっても、筒体係止片41と巻回体50Rの内面とが接触することにより、巻回体50Rが前側に保持されやすくなり、巻回体50Rの動きを抑制する。そのため、未使用の状態から最初にラップフィルム50を使い始めた時から使い終わるまでの間、ラップフィルム50の切断時に斜め切れや巻き戻りの不具合が発生することを抑制することができる。
なお、筒体係止片41と巻回体50Rとの接触は、例えば、巻回体50Rの軸方向Aに沿う線接触も可能である。この際、筒体係止片41は、例えば、巻回体50Rの軸方向Aに延びる矩形板状を有し、巻回体50Rの軸方向Aに沿う前方端部(前辺)で巻回体50Rと接触する。
前板21の内面と接触部Pとの間の距離は、例えば、下記[条件1]を満たす。
[条件1]s+t≦L(mm)。
[条件1]の前提として、接触部Pと筒体中心50Aとは、高さ方向で一致する。
前側収納距離L(mm)は、巻回体50Rが前板21の内面に接触した状態での、前板21の内面と接触部Pとの間の前後方向での距離である。筒体厚さs(mm)は、筒体50Cの径方向での厚さである。巻物厚さt(mm)は、未使用時の巻回体50Rにおける径方向でのラップフィルム50の厚さである。
[条件1]を満たす筒体係止片41は、筒体係止片41の位置を適切に定めることができ、ラップフィルム50の巻回体50Rの揺れ動きを抑制することができるため、斜め切れを効果的に抑制することができる。また、前板21と巻回体50Rとの過度の接触を防止して、ラップフィルム50の引き出しを安定させる。
巻回体50Rの直径は、ラップフィルム50の使用に伴って縮小し、縮径した巻回体50Rは、収納容器10の中で揺れ動きやすい。この点、[条件1]を満たす構成のなかで、L=s+tを満たす構成は、筒体係止片41と筒体50Cの内面との接触を通じ、未使用時の巻回体50Rの外表面と、前板21の内面とが接触する。巻回体50Rと前板21との関係は、未使用時に接触し、ラップフィルム50を使用するに従い、徐々に離間する。そのため、ラップフィルム50を引き出す際に、巻回体50Rの回転を円滑にすることが可能であり、かつ、巻回体50Rの揺れ動きを最小限に止めることが可能ともなる。
また、[条件1]を満たす構成のなかでs+t<Lを満たす構成は、筒体係止片41と巻回体50Rの位置関係を考慮し、適切な位置に筒体係止片41を形成することが可能となる。
前板21の内面と接触部Pとの間の距離は、例えば、下記[条件2]を満たす。
[条件2]L≦s+t+3(mm)。
[条件2]を満たす筒体係止片41は、未使用時の巻回体50Rと、前板21の内面との距離を3mm以下とする。そして、[条件2]を満たす筒体係止片41は、筒体係止片41の位置を適切に定めることができ、前側収納距離Lの設計において、製造時に筒体50Cの内部に筒体係止片41を挿入する場合に、筒体50Cと筒体係止片41との過度の接触を防ぎ、成形を安定させることができる。
[条件2]を満たす構成のなかで、L≦s+t+3(mm)を満たす構成は、巻回体50Rと前板21とを、未使用時においても離間させる。結果として、ラップフィルム50を引き出し始める際に、巻回体50Rの回転を円滑にすることが可能であり、かつ、ラップフィルム50が傷つくことを抑えることが可能ともなる。
筒体係止片41の高さ位置は、筒体50Cの内部で適宜選択される。
例えば、高さ方向において、接触部Pと容器中心20Cとは、相互に一致してもよい(図4にて上側の筒体係止片41)。すなわち、接触部Pと底板25の内面との距離は、収納容器10の内面における高さ10Hの半分でもよい。
また、高さ方向において、接触部Pと筒体中心50Aとは、相互に一致してもよい。
あるいは、高さ方向において、接触部Pは、筒体中心50Aよりも下方に位置してもよい(図4にて下側の筒体係止片41)。接触部Pが筒体中心50Aよりも下方に位置する構成は、筒体係止片41と接触部Pとの接触を通じ、巻回体50Rの揺れ動きを抑制すると同時に巻回体50Rの飛び出しを抑える。
なお、接触部Pは、筒体中心50Aよりも上方に位置してもよい。
[実施例]
収納容器と巻回体入り収納容器とについて、実施例を用いて説明する。
コートボール紙から形成された容器本体20、および、蓋体30を準備し、ポリ乳酸を主成分とする切断刃35を蓋体30に取り付けて、実施例の収納容器を得た。また、ポリ塩化ビニリデンからなるラップフィルム50の巻回体50Rを、実施例の収納容器10に収納して、実施例の巻回体入り収納容器を得た。この際、接触部Pと筒体中心50Aとを高さ方向で一致させて、筒体50Cの内径Rを基準とし、前後幅W、筒体厚さs、巻物厚さt、筒体係止片41の前後方向での幅、および、前側収納距離Lを以下の寸法に設定した。なお、罫線41Lの延在方向は、前後方向であり、図5(a)が示すように、実施例における筒体係止片41の平面視形状は、左右板23,24から収納容器10の内側に突き出る舌片状である。
筒体50Cの内径 : R(mm)
前後幅W :R+17.3(mm)
筒体厚さs+巻物厚さt : 7.0(mm)
筒体係止片41の前後方向での最大幅:R- 4(mm)
前側収納距離L : 8.5(mm)
すなわち、筒体50Cの内径の1/2(R/2)と、前側収納距離Lとの総和は、前後幅Wの1/2よりも小さく、これによって、実施例の収納容器を得た。
なお、実施例の前側収納距離Lは、(筒体厚さs+巻物厚さt)よりも大きい。
また、実施例の前側収納距離Lは、(筒体厚さs+巻物厚さt+3mm)よりも小さい。すなわち、実施例の前側収納距離Lは、[条件1]を満たし、かつ、[条件2]を満たす。
[比較例1,2]
筒体係止片41の前後方向での最大幅を(R-1)mmに変更し、かつ、筒体係止片41の前後方向での中心、および、罫線中心と、容器中心20Cとを一致させ、それ以外を実施例と同じくして、比較例1の収納容器、および、巻回体入り収納容器を得た。
すなわち、巻回体50Rの筒体中心50Aが、容器中心20Cにほぼ保たれる収納容器、および、巻回体入り収納容器を得た。比較例1では、筒体係止片41と接触部Pとが接触した状態で、筒体係止片41の前後方向の中心が容器本体20の中心よりも後側(後板22側)に位置する。言い換えれば、筒体中心50Aが、筒体係止片41と接触部Pとの接触を通じ、容器中心20Cよりも前側に位置していない。
また、筒体係止片41を備えていないこと以外は、比較例1と同じくして、比較例2の収納容器、および、巻回体入り収納容器を得た。
[評価1:開蓋、端からカット時の斜め切れ面積]
実施例、および、各比較例の巻回体入り収納容器を用い、ラップフィルム50を約0.5mずつ繰り返して40mまで引き出し、この間、ラップフィルム50を左右方向の端部から切断し始める方式で、約1m間隔で、斜め切れ面積を測定した。なお、切断操作では、蓋体30を104°開け、かつ、掩蓋板32Pを前板21に押しつけない状態で、切断刃35の端部からラップフィルム50を切断した。
斜め切れは、切断刃35の延在方向に対して斜めに切断が伝播することである。斜め切れによる切断端は、切断の開始位置から、収納容器10の内部に向けて切り込まれる。図5(a)は、実施例の収納容器における平面視構造を示し、斜め切れが生じていない状態を示す。図5(b)は、比較例2の収納容器における平面視構造を示し、斜め切れが生じている状態を示す。図5(b)が示すように、斜め切れ面積は、ラップフィルム50において、切断刃35に沿って形成された切断端と、斜め切れによって形成された切断端とに挟まれた三角片50S(図中一点鎖線を底辺とする三角形)の面積である。
図6が示すように、実施例の巻回体入り収納容器では、カットしたラップフィルム50の長さが40mに達するまで、斜め切れは認められなかった。これに対して、比較例2の巻回体入り収納容器では、カットしたラップフィルム50の長さが長くなるほど、斜め切れ面積は大きく、また、斜め切れ面積のばらつきも増大することが認められた。
なお、比較例1の巻回体入り収納容器では、カットしたラップフィルム50が40mに達するまで、切断端が斜め切れを形成せず容器本体20内に達しそうなほど大きな切れが生じ続け、ほぼ完全巻戻りに近く、斜め切れ面積を測定することが不可能であった。結果として、実施例の巻回体入り収納容器によれば、ラップフィルム50の切断性を向上できることが認められた。
[評価2:引出力]
実施例、および、比較例2の巻回体入り収納容器を用い、前板が斜め上方を向くように容器を45°上側に傾けてラップフィルム50を1秒間で約0.5mずつ繰り返して引き出し、ラップフィルム50を引き出すことに要する力である引出力を測定した。引出力は、長さが50cmのラップフィルム50を収納容器から1秒間で引き出すことに要する力である。なお、引出力の測定機器には、引出力測定器(Access社製)を使用した。
図7が示すように、実施例の巻回体入り収納容器では、ラップフィルム50の引出長さが40mに達するまで、引出長さが大きいほど小さい引出力が認められた。こうした引出力の推移は、比較例2の巻回体入り収納容器と等しく、また、実施例の巻回体入り収納容器が示す引出力は、比較例2の巻回体入り収納容器とほぼ同等であることが認められた。結果として、実施例の巻回体入り収納容器であっても、すなわち、筒体係止片41が巻回体50Rに接触する構成であっても、それによる引出力の変化は微差であり、ラップフィルム50の引き出しを円滑に進行できることが認められた。
[評価3:閉蓋、軸方向Aに沿う中心軸で回転させた時のカット力]
実施例、および、比較例2の巻回体入り収納容器を用い、ラップフィルム50の切断に要する力であるカット力を測定した。なお、カット力の測定では、まず、収納容器10から引き出されたラップフィルム50における幅方向の中央部を、ステージなどに固定されたフォースゲージにチャックさせる。次いで、軸方向Aに沿う中心軸を回転軸として、収納容器10を90度回転させて、この間に得られるフォースゲージの測定値のなかの最大値を、閉蓋時のカット力として測定した。なお、この切断操作では、掩蓋板32Pを前板21に押しつけてラップフィルム50を切断した。なお、カット力の測定には、一軸カット試験機を使用した。
図8が示すように、実施例の巻回体入り収納容器では、閉蓋時のカット力が3Nであることが認められた。このカット力は、比較例2の巻回体入り収納容器のカット力(3.2N)とほぼ同等であることも認められた。結果として、実施例の巻回体入り収納容器であっても、すなわち、筒体係止片41が巻回体50Rに接触する構成であっても、それによるカット力の変化は微差であり、ラップフィルム50の切断を円滑に進行できることが認められた。
[評価4:開蓋、端からカット時のカット力]
実施例、および、比較例2の巻回体入り収納容器を用い、蓋体30を開けた状態でのカット力の推移を測定した。また、比較例2の巻回体入り収納容器を用い、蓋体30を閉じた状態でのカット力の推移を測定した。カット力の推移の測定には、評価1と同じ機器を用いた。なお、カット力の推移の測定では、斜め切れ面積の測定時と同じく、まず、収納容器10から引き出されたラップフィルム50における幅方向の中央部を、ステージなどに固定されたフォースゲージにチャックさせる。次いで、ラップフィルム50を左右方向の端部から切断し始める方式で切断、この間に得られるフォースゲージの測定値の推移をカット力の推移として測定した。
図9が示すように、実施例の巻回体入り収納容器では、0.1秒付近に1つのピークが認められた。このカット力の推移は、蓋体30を閉じた状態での比較例2でのカット力の推移とほぼ同等であることも認められた。なお、蓋体30を開けた状態での比較例2でのカット力の推移は、0.2秒付近と0.4秒付近とに2つのピークが認められた。すなわち、蓋体30を開けた状態での切断では、2度にわたる引っ掛かりが認められ、切断の伝播を円滑に進められていないことが認められた。結果として、実施例の巻回体入り収納容器によれば、蓋体30を開けてラップフィルム50を切断する操作であっても、蓋体30を閉じて切断する操作と同等に、ラップフィルム50の切断を円滑に進行できることが認められた。
以上、上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ラップフィルム50の切断操作において、特に、掩蓋板32Pを前板21に押しつけずにラップフィルム50を切断したり、蓋体30を閉じないでラップフィルム50を切断したりする場合にも、斜め切れが生じることを抑えることが可能となる。
(2)罫線中心が容器中心20Cよりも前側に位置する場合には、筒体係止片41の前後方向の中心が容器本体20の容器中心20Cよりも前側に位置するように筒体係止片41を構成することが容易ともなる。
(3)フラップ23F,24Fに筒体係止片41が位置する場合には、筒体係止片41を容器本体20の内側に折り曲げることが容易ともなる。
(4)左右板13,14に筒体係止片41が位置する場合には、巻回体50Rの前後方向での位置が、巻回体50Rの左右両端で定められる。そのため、巻回体50Rの位置の精度を高めること、ひいては、上記(1)~(3)に準じた効果を高めることが可能でもある。
(5)筒体係止片41が、未使用時の巻回体50Rにおける外表面と、前板21の内面とを接触させる場合には、巻回体50Rと前板21との間の距離が最短である。そのため、上記(1)~(4)に準じた効果を、より高めることが可能となる。
(6)[条件1]を満たす場合には、筒体係止片41の位置を適切に定めることができ、ラップフィルム50の巻回体50Rの揺れ動きによる捩じれや、張力の偏りによる捩じれを抑制することができ、斜め切れを効果的に抑制することができる。
(7)[条件2]を満たす場合には、筒体係止片41の位置を適切に定めることができ、ラップフィルム50の巻回体50Rの揺れ動きによる撚れや、張力の偏りによる撚れを抑制することができ、斜め切れを効果的に抑制することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
[筒体係止片41の位置]
・筒体係止片41は、左板24から割愛されて、右板23のみに備えられることも可能である。あるいは、筒体係止片41は、右板23から割愛されて、左板24のみに備えられることも可能である。すなわち、係止板は、右板23、および、左板24のいずれか一方とすることも可能である。左右板23,24のいずれか一方のみに筒体係止片41が備えられる構成であっても、上記(1)~(3)、(5)~(7)に準じた効果を得ることは可能である。なお、左右板23,24の両方が筒体係止片41を備える場合には、巻回体50Rの前後方向での位置が、巻回体50Rの左右両端で定められるため、上記(4)に記載の通り、上記(1)~(3)、(5)~(7)に準じた効果を高めることが可能でもある。
・左右板23,24がフラップ53F,54F(主板)のみから構成される場合、筒体係止片41はフラップ53F,54Fに形成される。一方、左右板23,24が主板と補助板とを備える場合、筒体係止片41は主板と補助板との両方に形成することも可能であり、補助板のみに形成することも可能である。補助板のみに形成する場合には、13F、14Fの補助板または23F、24Fの補助板のいずれか一方に形成することも可能である。筒体係止片41が主板と補助板との両方に形成される場合には、筒体係止片41の形状や、筒体係止片41の位置に関して、自由度を高めることが可能でもあり、また、筒体係止片41の姿勢を維持しやすくもなる。
・[条件1]では、筒体係止片41と巻回体50Rとが接触する状態において、s+t≦Lを満たすこととしたが、前側収納距離Lよりも、筒体厚さsと巻物厚さtとの合計が、わずかに(0.5mm以下)大きくてもよい。この場合、筒体係止片41と筒体50Cの内面とは、これらの間での接触の程度が強くなるが、筒体係止片41が筒体50Cの内部に挿入できる範囲であれば、前側収納距離Lよりも筒体厚さsと巻物厚さtとの合計がわずかに大きい位置に、筒体係止片41を形成することも可能である。
[その他]
・切断刃の形状は、左右方向に延びる緩やかなV字状に限らず、例えば、左右方向に延びる直線状に変更することも可能である。また、左右方向に延びる全幅の切断刃に限らず、例えば左右方向の端部または中央部などの一部に切断刃を有する形状であってもよい。
・長尺物は、アルミニウム箔やクッキングシートに変更することも可能である。
・前板21が補助前板21Aを有さず、主前板21Bのみであってもよい。この場合、主前板21Bの後面(裏面)が容器本体20の内表面を構成する。
s…筒体厚さ、t…巻物厚さ、10…収納容器、20…容器本体、20T…開口、21…前板、22…後板、23…右板、24…左板、25…底板、30…蓋体、31…上板、32P…掩蓋板、35…切断刃、41…筒体係止片、41L…罫線、50C…筒体、50R…巻回体。

Claims (6)

  1. 前板、後板、左板、右板、および、底板を備え、前記底板と対向する上面が開口した容器本体であって、前記容器本体の延在方向と、長尺物の巻回体における軸方向とを平行にして、前記巻回体を収納するための容器本体と、
    前記後板の上辺に回転可能に連接されて前記容器本体の開口を開閉するための上板と、前記上板の前辺に連接されて前記上板が前記開口を閉じた状態で前記前板を前記前板の前側から覆う掩蓋板とを備える蓋体と、
    を備え、
    前記左板、および、前記右板の少なくとも一方は、係止板であり、
    前記係止板は、前記巻回体の筒内に挿入される片として1つの筒体係止片のみを備え、
    前記係止板は、前記容器本体の外表面を構成する主板と、前記容器本体の内表面を構成する補助板とを備え、前記筒体係止片は、前記後板に連接される前記補助板にのみ形成され、
    前記筒体係止片の前後方向での中心は、前記容器本体の中心よりも前側に位置する
    収納容器。
  2. 前記筒体係止片は、前記係止板が備える罫線から前記筒内に向けて折り曲げられ、前記罫線の前後方向での中心は、前記容器本体の中心よりも前側に位置する
    請求項1に記載の収納容器。
  3. 前記筒体係止片は、未使用時の前記巻回体の内面のうち前記巻回体の中心よりも前側で、前記巻回体と接触するように配置された
    請求項1または2に記載の収納容器。
  4. 前記筒体係止片は、前記巻回体の消費により前記巻回体が縮径した状態において、前記巻回体の内面のうち前記巻回体の中心よりも前側で、前記巻回体と接触するように配置された
    請求項1または2に記載の収納容器。
  5. 前記係止板は、前記右板、および、前記左板の両方である
    請求項1から4のいずれか一項に記載の収納容器。
  6. 長尺物が巻かれた巻回体と、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の収納容器と、を備える
    巻回体入り収納容器。
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